兄は切れ長のつり上がった目の茶髪の長髪。
見たところ22、3歳くらいだろうか。
弟は目の大きな大人しい感じの細面な青年。
歳は・・・18か19だろうか。
一見男だろうかとマジマジと見てしまうほど中性的な顔立ちをしている。
正反対の雰囲気をかもし出す兄弟だが端々を見れば似ている部分もある。
やっぱり兄弟なのだなと納得する事が出来る・・・のだが。
『お、・・・お、おい、海堂!おま、あれ、見てみろよ!!』
桃城は小声でばれないよう、それでも勢いよく海堂の肘を自分の肘でつつく。
『あいつ等ちゅうしてんぞ!!男同士なのに!!』
うわぁ、初めて見たぜ、ホモ、とどこか感心したように息を吐く桃城に海堂からの反応はない。
あ?と思って無理やり後ろを振り向いてみると
「・・・・寝てやがる」
海堂は本当に寝ていたのだった。
これだけの騒ぎにしかもつついても起きやしない。
やっぱりお前、結構図太いよなと改めて思う桃城だった。
『海堂!起きろって!なぁ!もしかしたら今逃げ出すチャンスかもしれねェぞ!!』
犯人達にばれない様に桃城は自分の体を揺らして海堂を起こす。
ちなみに逃げられるかも、と必死な桃城のBGMは彼等のちゅっ、ちゅっというキスの音だったりする。
思わず顔を青ざめて俺何してるんだろうと思いながらも海堂を必死に揺り起こした。
そのかいあってか程なくして海堂の体が身じろぐ。
『起きたかよ!』
『・・・・あぁ』
まだどことなく寝ぼけている感じの海堂に改めて図太い奴だと思う桃城。
だが今はそんな事より。
『海堂、今逃げ出すチャンスかもしれねェぞ!』
『何?なんでだ?』
『あれ、見てみろ!』
『?』
あれ、と言われ桃城の指した先に視線をやる。
そしてあいつ等は誰だろう、とかそういえば自分は今何をしていたんだったか、と思うよりも。
見たくもない男同士の熱い抱擁チッスシーンが海堂の寝起きの頭をスッキリと目覚めさせたのだった。
・・・ある意味もう一度夢の世界へと旅立ちたくなったとはいえど。