一体どれだけ時間が経っただろうか。
銀行強盗が中学校に立てこもっているのだ。
きっと部室の外は警官達が囲んでいるに違いない。
黒い覆面をかぶった、どうやら兄弟らしいこの２人が捕まるのも時間の問題だろう。
立てこもりは体力勝負だ。
特に犯人側は一瞬でも隙を見せたら終わりだ。
硝煙でも投げ込まれて突入されてあっという間に御用。
だから常に相手の状況を把握し神経を張り巡らせ弱気な態度を見せないようにしないといけない・・・・のではないのだろうか。
「兄貴・・・俺達・・・どうなるのかな」
「安心しろ。お前は・・・お前だけは俺が守る！」
ところが目の前の犯人達はすっかり覆面も取り去りまるっきり外に注意も向けずただ２人寄り添って兄弟愛を深めている。
おお、覆面とったらわりと美男子なんだな、この２人、とどうでもいい事を桃城は考えながらこれなら解放されるのも時間はかからないだろうと黙って時を待つことにした。
きっと海堂も同じ事を悟っているのだろう、ピクリとも動かない体は寝ているのかと思ってしまう程だ。
寝る
ああ、それもいいかも、と桃城が目を閉じようとした時だった。
「兄貴・・・・んっ」
・・・なんだか今おかしな声を聞いたような、と犯人達の方へ視線を移して思わず固まってしまった。


意外と美男子だった兄弟銀行強盗犯AとBは熱烈なチュウの真っ最中だった。