一体何がどうしてこうなっているのか。

桃城は自分と背中合わせにロープで縛られている海堂の体温を背中で感じながら部室を占拠した男２人に視線をやる。
『逃亡中の銀行強盗犯２名が都内某中学校テニス部に部員の中学男子２名を人質にとって立てこもり中』
こんな日常もあるんだなぁ、とどこか他人事のように考えてしまう。
当然だろう。
たまたまいつもの喧嘩が悪化してお互い手が出てしまって止められた手塚に罰として部室掃除を言い渡されて全員が帰ったなか胸クソ悪いライバルと黙々と部室清掃中に、だ。
突然出刃包丁を持った覆面の男達が入ってきて大人しくしろと包丁を突きつけられあっという間にロープでぐるぐる巻きに拘束され人質となってしまうなんて。
どこのドラマだと思ってしまってもおかしくはないわけで。
「・・・・腹・・・減った・・・」
思わずこんな不謹慎な台詞を呟いてしまっても許してもらいたい。
「アホか・・・貴様」
小さな声で背中の海堂が咎めるように言うが彼もまたそれほど緊張感を持っていないのか口調から余裕が伺える。
そんな２人とは逆に緊張しまくりの神経ピリピリ尖がってる犯人側は無駄にいイライラが募る。
軽く錯乱状態に近い。
「黙れお前等！！！人質なんだぞ！！？？**クラああああ！」
「落ち着いて！兄貴！！！」
兄弟らしい。
「・・・ホラみろ。テメェがくだらねェ事言うからだろ」
「ああ？テメェが縛られてるくせに生意気そうなマムシだからだろ？！」
「なんだと！？」
「あんだよ！？」
「黙りやがれテメェ等ああああ！！！！」
「兄貴！！！」

・・・めちゃくちゃだった。