[654] 悪戯の翼仕事篇 〜ターゲットは教頭〜 |
- 津波 - 2009年01月16日 (金) 22時19分
生徒達の間で裏で囁かれている部活(サークル)が存在する。その名前は――
『悪戯の翼』という。
「itazura@wing……っと」
「何それー」
「知らないの? 悪戯の翼≠ヨの依頼アドレス。一部の人にしか伝えられてないんだけどねー」
「悪戯の翼って……依頼すれば、どんな『悪戯』でもしてくれるっていう!?」
「そ☆」
「さっき教頭に“あなたは何の為に学校に来てるんですか? 遊びにならさっさと退学しな”って言われたし! ちょっと遅刻しただけなのにーっ!」
言うならば復讐かもしれない。 だが、そんな依頼ですら、悪戯の翼は引き受ける。 何故ならば――彼らは、『悪戯』が好きなだけだから。
某部室パソコン前――
昆布茶(紙カップ)を飲みながらメールチェックをしているのは、ヒスイ女子にてファンクラブもできているとか、噂がある少女。 シシーである。
「お? おおお……」
「どしたー?」
そんなシシーに話しかけたのは最年多の悠火である。 どうして1年と3年が、Yネットとヒスイ女子が、と疑問が浮かぶのだが、その理由は簡単だ。 悠火とシシーは実は同じ部活に所属している。 その部活……いや、非公認サークルこと『悪戯の翼』だ。
そしてその悪戯の翼のリーダーであるシシーは、依頼のチェックをしていたのだ。
この依頼、実は生徒の間で秘密裏で知られているメールからできる依頼で、その依頼数は百じゃ足りない。 なので、選別して行うのだが、彼らの予定もあるので、依頼が実行されるのはいつなのか不明である。
「今回の依頼は“教頭への復讐”でオーケーか?」
「他にはどんなのがあるんだ?」
「面白いぜ? ミズキさんにメイド服を着させる、食堂のカレーにからし混入、とかあるけど、今回はコレでいいよな?」
「いいけど難しいなぁ……」
「難しいからこそ面白い、だろ? 頼むぜ、Yネットさん?」
「了解」
「あ、それともコレにする?」
『ニイナさんを一度泣かせてください』
「やめてくれっ! 命いくつあっても足りないから!!」
因みに彼らが唯一実行できなかった任務がニイナ関連なのであるが、ニイナ関連の依頼は後を絶たない、というのはここだけの話である。
「さて、Yネットが情報を集めるまではオレは暇だし……。どうすっかなー」
「宿題でもしたらどうかな?」
「……マコト。そーゆー水を差すことは言わないでくれるか?」
そこにいたのはマコトである。 少し真面目なのか、マコトはため息をつくと、シシーの隣の椅子に座った。
「それにオレは宿題ってのは※内職で済ます」
※内職とは……
授業中に他の宿題をやったり、別のことをすることである☆
「Σ堂々と言わないでよ!」
なのにシシーは結構成績が良かったりする。
「そういえば、シシーってどうしてこのサークル立ち上げたのさ? シシーって誰かとつるんでるイメージが無いし」
「まぁな。オレは一部の人間としか一緒にいないけど……でも、なぁ」
にっこりとシシーは笑った。 ただ、それは何かをたくらんでいる時の笑顔だ。
「悪戯したときの相手の反応って楽しいじゃん?」
「Σお前性格悪いっ!」
シシーはビシッとマコトに指を差して「お前も一緒じゃんか」と言われてしまえば、サークルに入っているので文句言えないのだ。 創立したのはシシーであるが、入ったのはマコト本人の意思なのだから。
「来るもの拒まず去る者追わず、しかしながら不義には罰を。かつ、やるからには徹底して。ってな」
「罰ってどんなの?」
「んー……小手調べに紐なしバンジーでもする?」
「Σ死ぬからっ!!」
ときおり、シシーは本気で言っているような気がして仕方が無い。 そしてその言葉を確定へ変えたのは次のシシーの言葉だ。
「じゃあ屋上行こうか」
「やるの僕ぅっ!?」
「教頭はいつもこの時間に園芸部の花を一個踏んでから自宅へと帰るんだ」
「性格悪いなおいっ!」
「それを知っているけど、いつも嫌味で返されるって園芸部からの依頼もあったっけ……」
「じゃあおいらがちょちょーっとやってきてやるよ〜」
「待て待て。もう少し待つんだ」
「……くそっ。あの生徒会長め……わたしの推薦を断りおって……復讐してやる」
「さてと教頭室に行くぞ」
「何するのさ?」
「ホタネ、頼むぞ」
「おーけーっ!」
翌日――――。
「教頭……お、僕としても、これは少々……」
オルガは頭を抱えていた。 この高校、実は教師よりも生徒の方が力が強かったりする部分があるが、これは『怖い』 オルガも校内掲示板の前で、自分用のパソコンであるページを開きながら嘆いた。
そこに映っているのは――
教頭先生のSMクラブで女王様っぽい女性に叩かれているシーン。 因みに校内掲示板にも同じ写真が張ってあった。
「これはわたしを嵌めるための罠だ!」
「お、僕としても、信じたいですよ? 教頭」
俺ではなく『僕』と言っているので、オルガも結構動揺しているようだ。
「教頭にあんな趣味があるとは……」
「でもそんな顔してない?」
「Σどんな顔だよ!(つかやったの俺たちのサークル……)」
そう会話するのは上からシャーウ、アイス、ムキルである(ぁ)。
「とにかく! これを行った生徒を捜してくださいよ!」
「善処は致します。しかしながら……教頭?」
「なんですか」
オルガはとある文書を教頭に突きつけた。
「あなたが園芸部の花を踏み潰していた、という事実は免れませんよ」
そこにはとある文章と写真があった。
「調べましたが、どうやら事実みたいですし? ……これは、学園を束ねる生徒会長としても許せない事実です」
周りがざわつく。 それを教頭は冷や汗を垂らしていた。
「こちらでは教師を罰することは出来ません。が、これは上に報告させていただきます。 ええ、ロベルト理事長代理に」
その瞬間に教頭が項垂れて、悔しそうな表情をした。
生徒達(特に園芸部)が喜んだ瞬間、影で見ていた悪戯の翼もハイタッチをする。 教頭が罰せられることになったからじゃない。 教頭が『悔しそうな表情』をしたからだ。
「まだ終わってないぞ! ほら、行くぞ!」
「ど、どこに!?」
「こっちだ!」
――教頭室にて
「きぃぃ! あんの馬鹿ども……ん?」
教頭室の椅子の後ろの壁に、掲示板に貼ってあった写真が拡大されている写真が、まるでグラビア写真のようにあった。
「……なっ」
そして、机の上に手紙があった。 最初に掲示板を見ていたので気付かなかった。いや、違う。朝は無かったはずだ。 そこにはパソコンで書かれた文字で『校庭を上から見てみろ』とある。
……嫌な予感がする。
上からだと? なんて上目線の言葉だ、と思いつつも屋上へと教頭は走った。
――バンッ!!
そこには、いつも屋上にいると有名な生徒がいたが、今は興味ない。
「くすっ……」
何、こいつ今笑ったのか? まさか。
まさか!
校庭には黒く(見える)翼の絵があった。 それは、一部の人間だけに伝えられている絵だ。
……悪戯の翼
「くそっ…………!」
その場で蹲った。
『また』だ。
一部の人間の間で囁かれている非公認サークル――悪戯の翼
任務を頼めば忙しいながらも、行う
報酬は要相談
秘密のメールに依頼を頼もう――。
――
というわけで、久し振りの学園は『悪戯の翼』の仕事です。
一応悪戯の翼ということで行ってますが、もし名前が気に入らないのならば教えてください。
因みに今回は名前が判明しているキャラが少ないのは仕様なのですよ? では、次回のターゲットは――。
ヒミツw
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