[566] 人殺しと呼ばれた少年(中編) |
- 闇ツルギ - 2008年09月12日 (金) 02時04分
あれからさらに数年がたって、ユウキはタマムシ大附属学校に入学した。 別に特に理由があってこの学校に入学したわけじゃなかった。 あの事件以来ユウキの心は半分死んでいた・・・。
人殺しと呼ばれた少年(中編)
入学しても何か変わったというわけではなかった。 ただ学校に行って、授業を受けて、下校する・・・。 という風に毎日機械のように生活していた・・・・。
そんなある日のことだった。 ユウキは校内で歩いている時にあるものを見つけた。 それは『古流剣術部』だった。 もう剣道はやるつもりはなかったが、なぜか興味を持ったので少しだけ見てみることにした。
実際に見てみると特に何かが変わってるというわけではなかった。 なぜ興味がわいたのか疑問に思いながらあたりの様子を見ているとすごい腕前の少年たちを見つけた。 それは努力だけで成せるような腕ではなかった。 剣の動きがほとんど見えなくて、少年たち自身の動きもすばやかった。 ユウキはそれに目を奪われていた。
「コウ・・・・・・。」
確かあの子達同じクラスの名前は・・・ヒカル君とダイスケ君って言ったっけ?などと考えていると昔のことが思い浮かんだ。 自分も昔、コウとあんな風に練習していたんだよな・・・。 ヒカルとダイスケは本当に仲がよさそうにユウキには見えた。 もしコウが今生きていたら自分たちもあんな風に練習していたのかな・・・。
いつのまにか涙が流れていた・・・。 ユウキはそのまま古流剣術部をあとにした・・・。
静かなところでしゃがみこんで声を殺して泣いていた。その時だった。
「どうした、大丈夫か?」
声のした方を見上げると、1人の少年と少女がいた。
「泣かないで・・・これ使って。」
少女がハンカチを渡してくれたのでユウキはあわててそれで涙を拭った。
「いや・・・何でもないよ、ありがとう・・・。」
そのまますぐに立ち去ろうとしたが少年がユウキを止めた。
「まあ、待てよ。なやみがあるんなら話してくれないか?・・・あ、俺カケルっていうんだ。」
「私はサクラっていいます。」
「なあ、俺たちと友達にならないか?」
「え・・・・・?」
友達・・・自分にはもう無縁な言葉だと思ってた・・・。 でもまさかまた友達ができるなんて・・・。
「あなたの名前は?」
「・・・・・ユウキ。」
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