タマムシ大附属学校
ポケモンのオリトレ小説、学園パラレル企画掲示板。
要するに、オリトレ達のドタバタ学園コメディ(待て)。
物語がどう突き進むかは全く不明ですが、何はともあれ楽しみましょう。
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[464] 学園ネタ読み切り(7)「バッドエンド」(※今回ボイスネタはほとんどありません) |
- アット - 2008年05月14日 (水) 23時50分
いよいよ当ブロック、最終エキスパションです。 今後も1ブロックにつき3つずつという構成で進むので、お楽しみに(何)。
ともあれ、まずはブレイカー・ブロックのラストをどうぞ。
「変なの……。何で男子って、ああも熱くなれるのかしら」
呆れた様子の女子一同から、漏れた声である。 特に誰という訳でもない。
ここは中等部二年A組の教室。 ちょうど今は昼時であり、給食が配られ終わったところである。
そんな折、急に一部の男子が騒ぎ始めた。 どうやら、給食の取り合いを始めたらしい。
「ぐあー!!? まっ、負けた……俺のから揚げ〜(涙)」
「よっしゃー、次は俺だ! そのコーヒー牛乳は頂くぜ!」
「くっ! こいつを取られる訳にはいかねぇ……ぜってー勝つ!」
これらも、特にどのセリフが誰という訳でもない(ぇ)。 ただ、かなり白熱した様子であることだけは伺えた。
参加者は一品ずつ持ち寄って賭け合い、じゃんけんを行う。 勝った者は、敗者が賭けていた品をゲットできるという、ごく単純な勝負だ。
「なんであんな、ムダの事やるのかしらねー」
そんな様子に、冷ややかな視線を送るのが女子たちであった。
「給食はみんなに同じ分だけあるんだから、仲良く食べればいいのにね」
「あー。あれは、そうじゃねぇんだよ」
彼女らに説明を与えるのは、それとは別の方角にいた男子の一名。 彼は給食争奪戦に加わる様子もなく、のんびり机に向かいながら、肩肘たてた手の上にあごを乗せている。
「男ってのは、ただ勝負事の好きな奴が多いってだけなのさ」
「どういうことよ?」
「そりゃあ賭けてる以上、給食が多く食べられれば嬉しいし、取られると悔しいのは確かだろうな」
一人冷静に解説する呼時(コトキ)に対し、いつの間にか女子一同が耳を傾けていた。
「けど、実のところ戦利品は二の次。ただ単に、ああやって仲間とちょっとしたスリルで競い合うこと自体が、楽しいだけなんだよ」
「ふーん、そういうものなの……」
……コトキはクラスの中でも、比較的大人なイメージが定着している。 ただし、別に顔が渋いとか、そういう意味ではない。 むしろコトキの場合、見た目はどちらかと言えば童顔に近い部類である。
「ま、大目に見てやれよ。女子にお喋り好きが多いのと、同じようなもんだからさ」
彼が大人びいているのは、あくまでも内面だ。 諸事情によって留年生である為、実年齢が1つ上だからということもある。 しかし、歳が1つ違う程度で、そこまでの差が表れるだろうか。 やはりコトキのイメージは、彼の本質そのものがそう見えるからに他ならない。
基本的に、コトキは冷静だ。 かと言って暗い訳では決してなく、むしろ男女問わずに社交的な性格である。
無意味な馬鹿騒ぎはしなさそうで、その実けっこうノリはよく、度を過ぎない程度にクラスメートとふざけ合ったり。 誰かがボケれば、率直に突っ込んでくれたりもする(ぇ)。
留年と言っても、原因は成績にあった訳ではない。 むしろ本来の学年の1つ上ぐらいなら飛び級できる程だし、何ら遅れている様子はないのだ。 彼に勉強を見てもらう同級生の間でも、コトキの教えは分かり易いと評判でもあった。
「はぁ〜。コトキ君……セレナがすでにいるんじゃなければ、狙ってもよかったかもなぁー♪」
1人の女子が、そんなとんでも発言をこっそり述べる。 だが、近くにいたセレナは、思いがけない返答を返してきた。
「……ん? 私、別にコトキさんと付き合ってる訳じゃないよ?」
「え、そうなの!?」
周囲にいた他の女子数名も含めて、彼女らは驚いた。 何せコトキとセレナは、いつも一緒にいるような認識があったからだ。
「それならセレナは、改めて告白とかしないの?」
「…………。分かんないなぁ」
やや間を置いて、セレナは言う。
「正直言うとね。私……コトキさんの事は好きだよ?」
セレナは、コトキが座る方へと、彼に気づかれないまま視線を向ける。 しかし彼女の目は、その更に先を見るような、遠くを眺めるものだった。
「でも……コトキさんには、他に好きな子がいるみたい」
学園ネタ読み切り(7)「バッドエンド」(※今回ボイスネタはほとんどありません)
Phase 1 雷帝vs雷帝
片や、無限城に住むVOLTSの元リーダー。 暴走時には、電子レンジの要領で近づく者の血液すら沸騰させるという、『雷帝』の称号を持つ者。 その名を銀j……もとい、ジェード?
片や、魔界の王候補の1人。 王族の厳しい英才教育を受け、育てられた才能は王宮騎士達さえ恐れる程という、紫電の眼光と白銀の髪を持つ『雷帝』。 その名をゼオn……もとい、コトキ?
「Σボイスネタ無しなんじゃなかったの!?」
なんだ。いたのか、シクー(ぇ)。 心配せずとも、これだけで終わりだ(何)。
この先はボイスネタ一切無しの、ジェードvsコトキの闘いである。
大人っぽいイメージとは言うものの、あまりコトキ本人にそんな自覚はない。 冷静な時もあるが、普段のテンションはむしろ高め。 歳相応に、勝負事に対しても積極的だったりする。 手品部所属の彼は、同時に『助っ人』という立場として、部に囚われずに顔を出す事がまれにあった。
「……じゃ、いきますよ。ジェード先輩」
コトキが立っていたのは、なんと野球部内練習試合でのマウンド上。 そこそこに運動神経も良いとはいえ、いきなりピッチャーに大抜擢は行き過ぎな気もするが……。 それでも彼は、今から立ち向かうべきバッターの方へ向き直る。 そのバッターこそ野球部部長、高等部三年のジェードに他ならない。
「あぁ。いつでも来い」
「…………」
コトキは、第一投のフォームに入る。 が、それは不自然なところで中断された。
「……はい。ボール、消えました(ぇ)」
手品だった……(爆)。 確かに彼の手からボールは消滅し、そして直後に。
「ストライークっ!!」
「何ぃっ!!?」
審判の宣言に、ジェードはびびる。 確かにボールは、いつの間にかキャッチャーミットに収まっていた。
「コトキ! 今は野球の試合なんだから、野球で勝負しろッ」
「えー。俺、手品部ですしー(ぁ)」
コトキが大人っぽいイメージというのは、あくまでもイメージというだけの域を出ない。 彼は、大人気なかった(爆)。
「(むしろ凄いのは、今のを見破った審判だな……(汗))」
ふと、そう思うジェード。 そして間髪入れず、コトキの手から第二球が放たれる。
「……っ!」
今回もコトキの手から、球は不自然に消えていた。 されども、そう何度も同じ手をくうジェードではない!
「(……! そこだっ)」
カキーンっ! ジェードがバッドを振ると……『あるはずのない』球が、音を立てて天高く舞い上がる。
「くっ!? ラグナ先輩っ」
コトキが、守備を任せていた先輩に声をかける。 途端、ラグナの体が……。
「……ん? な、何だと!?」
……空中に、浮かび上がった(爆)。
「手品のタネしこんでおきました!(グッ)」
「どこにだッ! どんなタネだッ! そして明らかに手品の域じゃねぇぞ!!」
ガッツポーズを決めるコトキに向かって叫びつつも、ラグナの体は不気味に、勝手に宙を舞う。 そして、明らかにホームランボールだったはずの打球は、ラグナのミットにすっぽり収まるのであった。
「って、そんなのありかよ!?」
「これで攻守交替です、ジェードさん」
「……ぐっ」
あからさまに卑怯(?)くさい手を使うコトキに問い詰めるも、あっけらかんと返されるのみ。 ていうか、何故か審判もふつーにスリーアウト宣言してたりするもんだから、逆らうに逆らえない……。
……コトキの運動神経は、まずまず平均以上。 とはいえ、群を抜いている程でもない。 少なくとも、ジェードやラグナのそれに比べれば、明らかに下回る。 彼の本職は……あくまでも、こっちだった(どっちだ!)。
攻守が代わり、先ほどとは真逆の勝負となる。 即ちマウンド上にはジェード、そしてバッターボックスには……。
「ジェード先輩。たとえどんな変化球や剛速球が来ても、必ずしとめてみせます。本気で来てください」
ニヤっと黒々しく笑う、生意気な後輩コトキの姿が。
「(さっきの件といい、今回も何らかの仕掛けが施されていると見ていいだろう)」
ジェードは、警戒していた。 同時に、決意を固める。 この回……1点たりとて、譲りはしないと!
「……捻じ伏せるっ!!」
この場面、ジェードが選んだ手段は変化球ではない。 放たれたのは、最大威力の直球(ファストボール)だ。
「(もらった!)」
どんなタネを仕込んだかはともかく、コトキはそれすらバットに当てる自信があった。 事実、彼がバットを振ると、そのボールは……。
ベキィっっ!!
「…………。はい?(汗)」
バットの身を軽く粉砕して、キャッチャーのミットに収まっていた(爆)。
「ストライークっ」
審判の宣言が、やたら無情に思えるコトキであった。
「……木製バットを破壊するとは……。それなら、金属バットだ!」
「……っ!」
負けじとコトキは、即座に対応策を下す。 だが、関係ない。 ジェードは有無を言わず、第二投に入り……。
ゴリっっ!!
「ストライークっ」
ガシャっっ!!
「ストライークっ。バッターアウト!」
嫌な音を立てて、金属バットは次々ぐにゃりと折り曲げられていく。 だが、折り曲げたなら折り曲げたなりに、ボール側も失速するのが、普通に想像できる物理法則。 ていうか、明らかに球の軌道は狂うハズである。 にも関わらず……ボールは2度とも、金属バットを歪ませてなお、ストライクゾーンを通過しキャッチャーに届いていた。
「勝負あったな。コトキ」
「打てるかーっっ!!」
コトキは、グレた(爆)。
試合も終わり、日も少しずつ傾き始めていた。 激戦(?)を終えたジェードとコトキは、グランド横の日影に佇み、休息を取っているらしい。
「……もう、二年近く経つのか? コトキが事故で大ケガしてから」
それはコトキが、タマ大附属校の中等部に入学した年の夏。 彼は交通事故に遭い、生死の境を彷徨うほどの重体に陥った事がある。
なんとか一命を取り留めたが、長期間に渡る寝たきり状態を余儀なくされた。 何ヶ月もの入院生活と、延々と続くリハビリの毎日。 ようやく復帰できるようになった頃には、とても進級できる出席日数ではなかったのだ。 翌年、彼は新入学生と共に、改めて一年生からのスタートせざるを得なくなる。
「どうしたんですか、ジェード先輩。唐突にそんな話……」
最終的にコトキは、完全復活を遂げた。 今では後遺症も無く、他の生徒と何ら変わらない生活を送れるようになっている。 学力面を考えれば、十分遅れを取り戻せるどころか、更に先への飛び級もやってのけられよう。
実際かつての同級生……ヒカルとヒカリは、すでに高等部に飛び級済み。 結果、同い年にして二学年もの差がついてしまっている。 追いかけようと思えば十分可能なのに、あえてコトキはその選択肢を取らずにいた。
「失われた一年分の学校生活を、このままでいれば取り戻していけるのに……それを破棄するような事を、わざわざやりたくはないんだっけ?」
「…………。そうですね。今は、わざわざ飛び級する理由が見つかりませんよ」
思う所があったのか。 わずかに間を置いてからだが、コトキはジェードの言葉を肯定する。
「今のところは、な……」
Phase 2 こういう経験があるのは自分だけですか?(ぇ)
一日に何回かある。
突然に思い出す……過去の失敗や、恥ずかしい出来事。 一瞬、意識が飛ぶに等しいほど、他の思考が全て一気に吹き飛んでゆく。
頭が痛くなって、内心で脳を抱えだす。 実際の痛覚はない。 ただ、何であんなことをしたのか、どうしてそれを止めなかったのか。 後悔とは似て非なる、形の無い痛みとして、それは暴走しだす。
そのほとんど、何年も昔の過去の出来事。 恐らく、誰も覚えてはいない。 自分も、そんな昔の事は忘れる方が当然だろうと考える。 けれども、このよく分からない突発性フラッシュバックは、それを一時的な忘却でしか許さない。
一日に何回かある。
それでもフラッシュバックは、ものの2〜3秒で終息する。 なので、気にしなければ何でもない。
ただし原因不明。そして、それは今でも起こる。 得体の知れない凹みは、毎日幾度も蘇っては、その無意味という事実を前に消滅していき続けている。
「ダイスケ君にはないかなぁ? そういうこと」
Phase 3 デッドオアアライブ
「……植物研究家、ですね。……植物に携わる事が出来れば、それで満足ですけど」
問いかけは、『将来なりたいものは何か』というものだった。 古流剣術部の活動も終わり、ダイスケは特に理由もなく散歩していたのだ。
あえて言うならこの辺り、夏の花が綺麗な彩りを見せている。 誘ったのは、ホナミだった。 彼女が学園敷地の隅で、新たに咲いている花を見かけたというので、眺めに行くのも悪くはないと思ったのだろう。 今は人気の無い場所、ダイスケとホナミの2人だけが、お喋り交じりに歩みを共にしている。
「うーんと、私の将来の夢はねぇ。『家族』が欲しいなー♪ 今は親も姉妹も、親戚もいないから」
さらりと、とんでもない事を述べるホナミ。 ダイスケもまた、ホナミが天涯孤独の身である事をすでに知るが故、何も言わず自然と受け止めていた。
慣れとは、恐ろしいものである。 初めて彼女に身寄りが無いと聞かされた時、夢の中で寂しさに涙する彼女を見て、思わず抱きしめてしまった程なのに。 時が経つにつれ、それが今のホナミであると受け入れてきてしまう。 学園では楽しげに過ごしている彼女を見て、気に留めなくなってしまうのだ。
もちろん、それが正解という考え方もある。 悲しい過去を、むやみに弄くり返す必要など無い。 今のホナミが楽しそうに日々を送っているなら、それ以上、何を気にすることがあるだろう。 楽しいまま、そっとしておくべきである。
だが同時に、それは1つの言い訳でもある。 なぜなら、ホナミが楽しげに過ごしているというのは、あくまでダイスケの私見。 彼自身がそう見ただけの、主観の『感想』に他ならない。
ダイスケは、決してホナミが孤独の身であることを失念している訳ではなかった。 ただ、気づいてないだけである。 一見楽しく学園生活を送っていそうな彼女が、実は今なお孤独感にさいなまれているかも知れないという、その可能性に……。
「ダイスケ君だって将来、誰かと結婚したら、自分の家族を持つ事になるよねぇ♪」
「はぁ……。僕と結婚しようと思う人なんて、いる訳がないでしょうけどねぇ……」
「そんなこと言ってたら、いざ本当にそんな人が現れた時、困っちゃうと思うよぉ?」
「……そうですね……そうなったら、困ると思います。……でも、いないものはいない訳ですし」
そう、あくまでも否定し続けるダイスケ。
「もうっ。いるかもしれないでしょぉ!」
「……? 何でそんなに怒るのか分からないけど……ありえない事を考え過ぎても、仕方がないですよ」
「っ……」
ダイスケに悪気はない。 それでも、ホナミは何故か悔しい気分になった。 思いっきり歯を噛み締めて、頭をうつむけてしまう。
「ありえない事じゃ……ないもん」
「……?」
「私は……。…………」
ためらい気味に、ホナミは口をつむぐ。 そうして、伏せていた顔をようやく持ち上げると……。
「……好き」
ただ一言、そう告げるのだった。
「……? 僕も好きですよ、ここにある花は全て……」
だが、当然この通り。 ダイスケにそのまま伝わるはずもない。
「そ、そうじゃなくって……私は、ダイスケ君の事が好き……」
「??? ……あぁ、僕にとってもホナミさんは大切な方ですよ。もちろんヒカル君、それにヒカリさんも……」
「……だから、違う……」
「……はい? ……あ、聞き間違えだったのかな。だったら、すみません……」
「…………。私は、好きだって言ったの……」
「……うーん。……やっぱり、同じに聞こえます。……もしよかったら最初から、どういう意味での話なのかを、説明してもらえm……」
パァンっっ!!
乾いた音が響いていた。 ダイスケは訳も分からず、左頬の鈍い痛みに驚きながら、目を丸くしている。
「……大した事ないねぇ、古流剣術部の師範代さん。私みたいな素人にだって、平手打ちが当てられるんだもん……」
「…………。ホナミ……さん?」
突然のビンタに対し、ダイスケは別段怒ったりすることはなかった。 ただ単に、理由が分からない為、ぼぅっと突っ立ったままでいるしかできないのである。
「……ごめんね」
たった今、ダイスケに痛打を与えたばかりの、ホナミの右手。 それが今度は優しく、いたわるように彼の頬をさする。
「ごめんね……痛かった?」
「…………」
「でもね、ダイスケ君……それは、いけない事なの。誰かをキズつけてしまうかもしれない事なんだよ?」
さながら、母親が子供を叱るように。 しかし怒鳴りはせず、激昂を表現したのはただ一度の平手打ちのみ。 後はゆっくり少しずつ、ダイスケに言葉を与えていく。
「知らない事が罪とは言わない。でもそれは、知らなかったら覚えていかなきゃいけないの。そうでないとダイスケ君……貴方はいつか、誰かをキズつけてしまうかも知れないの」
語りながら、ホナミの目からは涙の一滴がこぼれる。 彼がキズつけたというのは、たった今も同じ。 それを訴えるつもりではなかったが、ただ自然と涙は出てしまった。 自分の想いを、悪意なく否定されたことが、悔しかったのだ。
けれど今のダイスケに、それは分からない。 分からないなら、教えてあげなければならない。 たとえ今すぐ理解できずとも、いつかは分かってほしい。 キズつける事をしてほしくないのだ……自分自身に対してではなく、ヒカルやヒカリも含め、彼の周囲にいる者達全てに。
「どうして分からないんだと思う? それは、ダイスケ君が拒絶しているからなんだよ」
ダイスケは、何も言えなかった。 彼女の涙が、身動き一つさえ許してくれないような、そんな気がしていた。
「そういう事もありうるって思っていれば、自然と分かる事なの。でも、ダイスケ君は始めから拒否している。ありえない事だって、最初から否定している」
「…………」
「それはダメだよ。ダイスケ君だって、他の人の心が全て読めるなんて事、できる訳ないでしょ? だから誰かの気持ちに対して、それがありえないなんて思っちゃダメ。否定してはいけないことなの」
「…………」
まだ分からない……。 そんな想いからなのか、ダイスケは顔をうつむけたまま微動だにしなかった。
身長は、ホナミの方が低い。 彼の顔の下に入りこめば、伏せた表情を見上げることは十分可能だった。
「だからそれが、『ありえない事』だなんて最初から決め付けないで、きちんと受け止めてほしい」
どことなく虚ろになりつつあったダイスケの目を、ホナミはしっかり見返した。 目を合わせたままで彼を逃がさず、今一度の告白を与える。
「私は、ダイスケ君が好き。それは恋人同士になって……もし叶うのなら、将来結婚したいって思うぐらいに、そういう意味でダイスケ君が好き」
「…………」
「……まだ、分からない? それなら、思い切ってお願いしてみるね? ダイスケ君……」
「…………」
「私を、ダイスケ君の恋人にして」
……その少女は、固まってしまった。 見てはならないものを、見せてしまったから。
「……ぁっ……」
そして、ダイスケとホナミに気づかれぬよう後ずさりをし、振り返ると一目散に逃げてしまう。
月色の髪を乱しながら、彼女は恐怖に駆られて走っていた。 その後の展開を見ている勇気など、彼女は持ち合わせていなかった。
Phase 4 蒼夜のボイスイメージは櫻井孝宏さんから三木眞一郎さんに変更となったようです
タマ大附属校の新聞部には、常に最新情報を届けられる。 学園機密調査部の連携もあって、その情報収集能力は一級品と言えよう。
だが時として、情報は取捨選択をせねばならない。 集めた情報の真偽さえ確かならば、何でも構わず載せてしまうのが、前々からの悪癖だった。
『高等部三年の蒼夜のボイスイメージが変更! 今度からネタをやるなら三木さんネタに!』
『今までやってた櫻井さんネタについては、今後は中等部三年のハルキにやらせることを推奨!』
『セレム達が教師にやってくる!? 各々担当科目を持つので、興味のある人は用チェック!』
『古流剣術部師範代、ダイスケが告白を受けた! その具体的な詳細h……』
ドゴォっっ!!
「げっ!!?」
……あまり余計な事を掲載すると、カナの美人画が描かれた隕石1つが、『このように』落ちてくる。 たとえ彼女にとって喜ばしい出来事であろうと、周知されることで事態がややこしくなるなら、そんな展開は好むまい。 何せカナ、明らかに女性優遇者的なところがたまにあるし……(ぇ)。
ちなみに今「げっ」って叫んだのは、多分ユウトかブラッキーか、大体そのへんです(待て)。
「師範代? どうしたの、そんな所で」
いつも大体決まったパターンの生活行動を行うダイスケだ(そうなのか?)。 少し違う行動をしてたり、変なところに佇んでいれば、何かあったらしい事はすぐ察知可能(ぇ)。 セレナは、ダイスケが学園敷地内のベンチに腰かけているのを見つけ、とりあえず横に座ってみた。
「…………。もしかして、ホナミに告白されたこと?」
「…………」
大した反応が見えない。 それでもセレナは、彼が『肯定』の意を抱いていることを認識できた。
「ひょっとして、まだどうすればいいか分からないって事なの?」
「……分かりませんよ」
実はセレナは、ホナミから大方の事情は聞いていた。 相談……というよりは、1人で抱えているのが怖かった為の訴えだったのだろう。 彼女も、ダイスケがその手の理解に疎いことを、それなりに分かっているつもりらしい。 なので、その場ですぐ返事を強要することはなく、一旦時間を置いてからという事でその場は別れたらしいのだ。
「……大体ホナミさんは、なんで僕なんかに、あんな事を……」
「それは、しょうがないじゃない。ホナミは、師範代の事が好きって言ってたんでしょ? 師範代にはホナミの心の全てが読める訳じゃないんだから、全て理解できないのはむしろ当然よ」
どことなく、ホナミに言われたことと近い内容だ。 ダイスケの体は、かすかにぴくりと反応した。
「何でも理屈で考えようとしたって、あまり意味ないよ? あるのは、『ホナミは師範代が好きだ』っていう事実だけなんだから」
「事実……なんですかね?」
「じゃあ師範代は、ホナミが嘘をついてるとでも言うの? それ、ホナミが聞いたらキズつくと思うけど」
「……はぁ……そうですね」
それも、ホナミに言われた事だった。 そしてあの時、彼女が涙を流していたのも……それもまた、事実の話。
「ただでさえ師範代、あんまり多くの人とは話すの苦手なんでしょ? でもホナミは、そんな師範代にも気さくに話かけてくれたし、師範代も抵抗なく話せるようになった相手でしょ」
「…………」
「ヒカルやヒカリもそうだけど……そうやって普通に話せるようになった相手だったら、その人の心ぐらい信じてあげなさい」
セレナの口調は、ややきつめだった。 それぐらい強めに言った方が、ちょうどいいのかも知れない。
「もちろん、告白に応じるか、断るかは別問題。それは師範代が、自分で決めなさい」
そう言って、黙ったままのダイスケを尻目に、彼女は立ち上がる。
「それでも……どっちの答えにせよ、必ず返事はしてあげなさい。それも、そんな日にちが経たない内にね」
「…………」
「分からないなら、分からないままでもいいから、答えを出しなさい。理屈で考えては駄目よ。待ってる方は、師範代が思ってる以上に、すごく辛いんだから」
あまり、話を長引かせるつもりはない。 セレナは、ただそれだけを言い残し、後はダイスケを1人にさせて去っていくのだった。
Phase 5 残心
残心とは、武道における心構え。 主に相手を倒した後、事を成し遂げた後などに、終わったからといって緊張を解かないことを指す。
武道においては、その種類によって若干考え方が異なる。
剣道では、打ち込んだ後の相手の反撃に備える心の構え。 弓道では、矢を射た後その到達点を見極める心の構え。
「…………」
弓道部のヒカリは、矢を射た後の残心にも身が入らず、歯がゆさを感じていた。 理由は考えずとも分かる。 偶然にも、ホナミがダイスケに告白している場面を、その目で見てしまったからだ。
ヒカリは、ダイスケのことが好きだ。 しかしだからこそ、ホナミの気持ちが誰よりも強く分かる。 どうしていいか分からない彼女は、そのまま落ち込むのみで、集中力を著しく欠いてしまっていた。
「あれ。今、帰りか?」
夕暮れの校庭。 すでに人気がなくなった中をヒカリが歩くのは、古流剣術部道場にいるであろうヒカルを迎えに行く為だ。 そこで声をかけられたのは、偶然知り合いに出くわしたからである。
「…………。ぁ……」
それはヒカルと仲の良い友人でもあり、ヒカリ本人にとっても、かつての同級生。 今でこそ学年上は下級生だが、実際には同い年である中等部二年生、コトキがそこに立っていた。
ヒカリは、男性恐怖症である。 それはヒカルの友人であるコトキに対してであっても、例外ではないだろう。 ただ、それでも比較的、話し易い相手でもあった。 彼女が一人で歩いていた今、もし声をかけてきたのがコトキ以外だったのなら、有無を言わず逃げ出していたかもしれない(ぇ)。
「……あ、はい……。あの……お疲れ様です……」
「お疲れ。今からヒカルと一緒に帰るのか?」
「……はい」
コトキも、ちょうど今から帰る所だったらしい。 たまたま校門と同じ方角でもあった為、2人は並んで歩いている。
ヒカリは、内心ほっとしていた。 彼女は幽霊の類いが大の苦手であり、転じて不気味な暗がりなども極端に嫌う。 夕闇に染まっているとはいえ、ここは拓けた学校のグラウンド。 まだマシじゃないかという気もするが、彼女にとっては決して居心地の良い空間ではなかった。
ツイてない事に、普段はこの時間でもそこそこ人が残っている校庭に、今日は全く人がいなかった。 この日はヒカル側の部活の方が終了は遅く、自分から迎えに行かねばならない。 早い話が、ここを一人っきりで歩いて行くのは、怖かったのである。
コトキは、兄とは仲が良い間柄ではあるし、少なくとも他の男よりか多少は信頼できる。 近づかれ過ぎれば退いただろうが、彼は程よい距離を保ったままで一緒に歩いてくれていた。 これならヒカリも平気だったし、何より一人っきりで薄暗い中を歩かずに済んだ点は、大いに助かった模様。
「…………。なんか、随分暗い顔してるな。大丈夫か?」
「……え……そ、そんな事ない……です……」
突然の言葉に、ヒカリはうまく返答できなかった。 顔にどう出ていたかは分からない。 しかし、心が暗くなっていたのは、彼女も自覚していたようである。
「やっぱ、あれの事か……」
「…………」
ヒカリは顔をうつむけたまま、何も答えなかった。 どうやらコトキもまた、ホナミがダイスケに告白したことを知っているらしい。
感のいいコトキのことだ。 ヒカリが暗い理由を、あっという間に察してしまったようである。
「……まぁでも、ヒカリもホナミの気持ちは知ってたんだろ? 予期できなかった訳じゃ……ないよな」
「…………」
正直、この話題をあまり続けてほしくはない。 触れられるのが嫌だった。 なのでヒカリは、口をつぐんだまま歩く。
「…………。そんなに気なるんだったらさ。いっそ、ヒカリもダイスケに告白したらどうだ?」
「っっ!!? そんなっ、駄目です……!!」
途端、頭をぶるぶる左右に振りまくるヒカリ。
「うーん。だけど、そのままでいたら、ずっと暗いままじゃないのか?」
「あうう……。でもっ……言ったら余計、駄目になるのは嫌……」
「それは、まぁ……言ってみないと分からないけど」
「……いやっ……言ったら、駄目になります……! だから、駄目……!!」
ぶるぶる。 なおも飽き足らず、月色の髪をふわふわ揺らしながら、何度も何度も顔を往復させている。 ……コトキは見ていて、ちょっぴり面白かった(蹴)。
「……そんな、始めから否定しなくても(汗)。もしかしたらダイスケだって、ヒカリのことが好きかも知れないだろ」
「そ、そんな事っ……無いと思います……。と、とにかく駄目なんです……!! わ、私の事を好きなんて……そんなこと、絶対無い……」
あまりにもヒカリが拒絶するので、コトキは少々むっとする。
「絶対無いかなんて、聞いてみないと分からないだろ。自分が相手に好かれてるかどうかなんて、分かるのかよー?」
「絶対っ、絶対そんな事は無いです……!! あうう……」
「……俺がヒカリを好きな事だって全然気づいてないくせに、いばったみたいに言うなっ」
「…………。え……???」
……何か、おかしな事を言われた気がした。 ヒカリはきょとんとなり、足を止めて呆然と立ち尽くす。
「……えっ……えっ……!?」
聞き間違いだったはずはない。 ヒカリの混乱度合いが跳ね上がったのは、言うまでもなかった。
「(……なんか微妙にむかついたから、言ってやっちゃったな……(ぁ))」
今更無かったことにもできないので、コトキは一応続けてみることにする。
「…………。俺は……ヒカリの事が、好きだ……」
「……っっ!!? ……あっ……あの……えっ……ど、どうして……そんな突然……!? あううっ!!」
「だーって、お前ダイスケにぞっこんだったじゃん? これでも言いづらかったんだけど」
ヒカリは男性恐怖症だ。 唯一の例外対象はダイスケのみであり、いくら多少は話せる相手とはいえ、コトキは残念ながら例外対象にはならない。 だから彼女は、混乱すると共に困り果てた。 彼に、どう返答をしていいかが分からないのだ。
「…………」
「……そのっ……えっと……あううっ……」
「……なぁ、ヒカリ。やっぱり、ダイスケに告白したらどうだ?」
「…………。え……?」
突然、話題が巻き戻しに遭う。 混乱を抑えることはできなかったが……彼の言葉を、そのまま聞くしかなかった。
「このままじゃ、納得できないんじゃないのか? 何よりヒカリ自身が」
「……わ、私……は……」
慌てた素振りは、少しずつ鎮静化してきたようだ。
けど、分からない。 コトキは確かに、自分のことを好きだと告げてきた。 しかし同時に、自分が好きである、別の相手に告白することを勧めている。 ヒカリの頭は、整理がつかずにいた。
「いや、別に強制する訳じゃないんだけど……。なんか今日のヒカリを見てたら、いたたまれなくなったもんだから……」
「……あうう……」
「だからさ。無理にとは言わないけど……言ってみたらどうかなって」
「…………」
不意に、コトキは小走りを始めた。 気づけば校門は目の前であり、彼はあっという間にそこを通過していく。
「あ、そうだ」
そして校外の道へと飛び出し、振り返ったところで一言。
「もしもダイスケに告白するのなら、その結果の後でもいいからさ。……俺にも返事、もらえないか?」
「……えっ……」
「一応、こっちも告白のつもりだったからな……」
彼の言い残す言葉は、それが最後。 再び走り出して目の前から去っていく彼を、ヒカリは引き止める声をかけることができなかった。
続きは結果次第(ぇ)
ブレイカー・ブロックの最終章、お送りいたしました。 思い起こしてみると、ブロック名に恥じることなく、つくづく色々なものを破壊しまくっていったシリーズだった気がします(ぇ)。 最後は結局、『破局すべき契りの符(フラグ・ブレイカー)』を出す機会はありませんでした。 今回、メインに据えていた部分に気を取られてまくってたのが原因です(ぇ)。
簡単に解説。
今回は、ダイスケvsルールσ(シグマ)の対決でした(何!?)。 しかし、残念ながら今のダイスケでは、十中八九勝てない気がします……。 もし勝てたら、お見事としか言いようがありませんけど(笑)。
それとPhase 2の最後のセリフは、大体の人が分かってるでしょうけど、ホナミのつもりです。 そしてこの話、実際に僕が今現在も体験しうる話です。原因不明。
Phase 5のサブタイトルは、残心です。 これの真の意味は、ダイスケvsルールσ(シグマ)が一段落した後も気を抜くなという警告。 別に、抜いてないかも知れませんが(ぁ)。
さて、だいすさん。 後は答えてもらうだけです(ぇ)。 このシナリオは、答えの選択に応じて今後のストーリーが著しく変化します。 しかも、むしろ本編の方に影響大(ぁ)。
答え方はこの小説に対するレスでも、キャラチャ上でも、改めてこの続きの話を書くのでも構いません。 ですが、仮に続きの話を書いて時間がかかりすぎるようなら、いっそレスかキャラチャで返答したほうがいいと思います。 ダイスケのみならず、ヒカリの件もお忘れなく(待て)。
【ルールσ(シグマ)】
連鎖のフラグ。 詳細不明。 破壊条件は、ヒカリが宝具『破局すべき契りの符(フラグ・ブレイカー)』を服用すること。 ただし、それによる反動は不明。
【ルールγ(ガンマ)】
反転のフラグ。 本編と学園編において、『対象A』はどちらか一方で必ず『対象B』とCPが成立し、もう一方では必ず成立しない。 優先順位が学園編側にある為、学園編側での決定事項が、そのまま本編に影響するフラグと化す。 破壊条件は、ヒカルが宝具『破局すべき契りの符(フラグ・ブレイカー)』を服用すること。 破壊による反動は、無差別に別カップリング1つが破綻。
現在判明している、この連立方程式の対象Aおよび対象Bの値は以下の通り。 対象A=「コトキ」のとき、対象B=「セレナ」。 対象A=「タイチ」のとき、対象B=「ティシア」。 対象A=「ラグナ」のとき、対象B=「美少女」。 対象A=「コウ」のとき、対象B=「PMAキャラ」。 (ただしラグナのみ当方程式は破壊済み)
【ルールω(オメガ)】
終末のフラグ。
表面: カナは学園編において、全知全能の存在である事の定義。 破壊条件、および反動も不明。
裏面: 詳細不明。 破壊条件、および反動も不明。
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[467] さぁ、宴の始まりだ |
- だいす けん - 2008年05月15日 (木) 23時49分
ありえない
こんな事、あるはずがない
なら何故起きた?
誰が望んだ?
誰が願った?
分からない
分からない
わからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからないわからない
PhaseEX.1 ”連鎖破壊(チェーン・デストラクション)
日常というものは、『常』に続いているものだという認識が多い。 それを具体的に考察する機会は少ないし、あえてそれを行う人間もまた少ない。 これは断言ではなく、『日常』を生きる人間全てに共通している事だ。
だが、その日常の在り方は個人によって大きく異なる面がある。
わざわざ考えるまでも無いが、人間は個人で立場、視点、基準がまったく異なる。 どれほど似た境遇で生きていようと、同じ環境で長らく共に過ごそうと、微細な違いは常に存在し、やがてそれは両者を分かつ境界線の一つとなっていく。
しかし、全ての日常に共通しているものがないわけではない。
その一つが、『変化に対する抵抗性』だ。
須らく日常とは、変化に疎い。 『常』にその状態であり続けようとする性質が強いが故に、大規模な変化に対して耐性が皆無なのである。 そして、その大規模な変化という定義もまた、共通するものがある。
――それが起こるまで継続していた日常の破壊―― ――及びその破壊の後、かつての日常への復帰が不可能となり、その人間にとっての『非日常』を生み出す――
日常に慣れ親しんだある人間は、その刺激の無い生活に生の意味を見出せず、非日常を強く求める。 またある人間は、いつ訪れるとも分からない非日常への変化を怖れ、ひたすらに己の日常を保とうと努める。
完全に相反するこの二つの在り方。
だが、その実は錯覚。
二つは互いに互いを肯定し、互いを否定する絶対必要条件。
そこに矛盾など存在しない。
それを誰よりも、ダイスケは理解していた。
否、それこそは彼を動かす柱の一つであり、彼の生き方そのものであった。
故に彼は強く望んだ。
己の心の平静を保つ日常が続く事を。
彼は強く拒んだ。
己の心をかき乱す非日常が訪れる瞬間(とき)を。
……それこそが、彼自身の心に対する背徳行為であるとも知らず。
ダイスケは、錯乱していた。
普段の無口で落ち着き払った姿勢と、周囲に対してどこか冷めたような立場を取る少年の姿は見る影も無い。
彼の頭の中は今、かき回されていた。
例えるなら平地を阿鼻叫喚の地獄へと変貌させる竜巻、それとも大海原の穏やかな海面に突如吹き荒れ、狂乱の世界へと変える台風か。
さまざまな思いが、言葉が、次から次へと浮かんでは消える。
それは鎖にも似た繋がりを持ち、ダイスケの心をさらに縛り付ける。
しかし、それでも。
それでも尚、ダイスケは己を見失う一歩手前で踏みとどまっていた。
彼の心にある一つの救い。
誰よりも心を開き、許した親友(とも)の存在。
彼は今、全力で駆けていた。
この混乱した状況の中で唯一、確実に、自分を支えてくれる親友を探し、ひたすら駆けていた。
…いや、正確には『そうするしかない』と言うべきだろうか。
彼を戸惑わせているのは、かつてない驚愕の事実。
まったく予期せぬところに降りかかった天災。
寝耳に水などという次元ではない。
まさに青天の霹靂。 ある事情から、人一倍急激な状況の変化に対応する事が難しいダイスケにとっては、こう形容するしかないのだ。
早く、早く見つけないと。
早くしないと。
もう、訳がわからない。
頭も心も、はち切れそうだ。
その前に、早く。
早く、見つけないと。
やがて、彼は、見つけた。
しかし、それは、彼が求めてやまない親友ではなく。
その親友の友の一人。
……そして、その半身。
銀月の少女。
だが、それは問題ではない。
彼の、唯一聴こえる右耳が捉えた、一言。
「…………。そんなに気なるんだったらさ。いっそ、ヒカリもダイスケに告白したらどうだ?」
……なんだ。なにを、いっているのだ。
いったい、なにを、はなしている?
この、ふたりは、なにを、ここで、はなして、いる?
だれが、だれに、なにを、する?
ぼくが、だれに、なにを、する?
おまえは、だれだ?
ぼくは、だれだ?
なぜ、ここに、ぼくが、いる?
なぜ、なぜ、なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜ
ひかりさんが、ぼくを、すき、だった?
「う…………うわぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――っ!!」
ダムは、決壊した。
――To be continue――
後書き
何もいう事はありません(オイ) ……え? それで済ませるなって? 仕方ないですねぇ〜。 あえて一言いうなら、『思っていたほどではなかった』。これに尽きますね(何) ま、今の自分にはパンチ力が足りなかったというわけです。何故かは分かりませんが(ぁ) さて、すぐに続編を書きます。むしろ書きたくて仕方ないです。 この続編を書きたくて何ヶ月待っていたことか……。ふっふっふっふ……(謎笑) それでは、続編をお楽しみに!
…あ、この下に空白が長くありますが、何もありませんよー。
by だいす けん
清閑なる蒼が雅な暮れ頃の朱に染められ、天空の支配権を奪われつつある時。 何の前触れも無く、空間が、横に裂けた。
怪物が獲物を食すために口を開ける様を思わせるその亀裂は、異常だった。
その裂け目から現れたのは、六人の男。 どの人物を見ても、その姿は異形のものを感じさせる。
しばしの間、男達は何かの気配を探っていた…が、それも僅かな時間。
「…ちっ! 糞作者共が、余計に候補者を増やしやがったか。だからごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと殺しちまえば、こんな面倒にはならなかったのによ」
六人の中でもっとも存在感が強い男は、吐き捨てるように呟くと他の五人の方へと振り返った。
「いいかてめぇら。遠慮も区別も一切ねえ。少しでもフラグのある奴は、一匹残らず、皆殺しだ」
そう告げた男の瞳に移るは、底知れぬ憎悪と狂気。
……夜鷹が、悲しげに夜の帳が落ちた事を告げた。
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[469] これは面白いことになってきたな。 |
- ガルダ - 2008年05月18日 (日) 15時50分
フラグブレイカーから始まった一連の騒動もひと段落か。 だが、どうやらこの後が一番面白くなりそうだ………
ギル「つか、ややこしくなってきたなこれは。」
エリゴル「まあ、ここは本来の場所に影響を与えるべき要素が多いのも事実なのでしょう。問題は、その要素を決定する要素は此方の方が優先されていると言う事でしょうか。」
ルールγの影響か、こっちで何かが成立すると本来の場所でそれは起こらなくなるようだが。 ………本来の場所に与える影響が大き過ぎる部分が隠れているような気がしない訳でもない。
ギル「ルールは破る為にあるんだ。…もっとも戦場じゃルールも何もあった物じゃないがな。」
エリゴル「肯定と否定は両方があって成立するのであって、片方が無くなったら意味がありませんからね。…まあ、此方には関係の無いことですが。」
さて、この後どうなるか……………
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[470] だいすさんがDP編3日目を見て驚いたのって、もしかして…… |
- HIRO´´ - 2008年05月19日 (月) 16時15分
”3つのルール”の適応。 その発動条件がいまいちよくわからないなぁ。 そのルールというのは、本編がクロスオーバーで繋がっている人たちだけなのかなぁ。
本編はVG&NS、EOEM、アクジェネ、外伝&翼&PMAで分類されているというのは知っているけど、アクジェネのキャラとEOEMのキャラがワームホール(?)で繋がるっていう場合もあるし……
つまり、3つのルールとは神の一人である@ライダーが与えた試練ということで、これは今後凄まじい影響を及ぼすものになりそうです。
この後の続きはだいすさんが書かれるようですが……シリアス系ですか……。 学園をどうシリアスで仕上げてくるか、期待と不安のフィフティ×フィフティーで待っています。
……あれ?この”フィフティー×フィフティー”って最近書いた小説で使った表現だな……なんだっけ?まあいいか(蹴)
ヴェル「ユウナとユウトがくっ付いて、ハルキとカレンがくっ付き、ヒロトとココロがくっ付いて、エースとライトがラブラブに……ほとんど作者のCPはこれで完結ね!」
ユウナ「ラグナとミイ、ファイアとリーフ、リュウ&ナミネを忘れているわよ」
ヴェル「あら〜♪そうだったわね!」
コトハに関しては決まっているそうだし……
ユウナ「(西日)ヒカリはどうするつもりなのかしら?」
あぁ……(汗)
ユウナ「考えてなかったのね(ため息)」
あまりもののショウ×ヒカリじゃだめ?
ヴェル「そう言われると、VG×EOEMに聞こえるわよ?」
その組合せって、まったく関係ないじゃん(汗)
ところで、後CP組ませたいキャラで残り物といったら……
ヴェル「ちょっとぉー!私のCPの件はどうなったの!?私とレオンの話はぁ!?」
それは本編でいいじゃん。 ヴェルは学園ではボイスネタ要員だから。
ユウナ「それはどうかと思うわ(汗)」
ヴェル「第一、私が主人公の本編を書く気あるの?」
だって、いまDOCで手一杯(汗) それに君は主人公じゃないでしょ。
ヴェル「何ですって!?私が出ておいて、何で私が主人公じゃないの?私が出てくる話はすべて私が主人公なのよ!」
いったいいつからそんな決まりがあったんだよ…… とりあえずだ。さっきの話の続きで……
オトハ ネス イチゴ
の3人かなぁ。 いずれも主人公クラスのキャラたちです。
ユウナ「オトハはモトキと組ませるって言っていなかった?」
関係から見ればその二人はこの話で言うコトキ&セレナ程度のレベルの心密度です。
ヴェル「ネスはエリーかチロルさんがいるじゃない」
どうせなら、他作品のキャラと組ませたいじゃない?
ユウナ&ヴェル「イチゴさんは……………………」
……いや、何で言葉を詰まらせるの?
ユウナ&ヴェル「そんなこと言われても……」
とりあえず、ネスとモトキとオトハは3つのルールの適合者ということで勝手に勧めています。
ユウナ「本当に勝手ね(汗) ……あれ?もしかして、ヒロトも適合しているのかしら?」
それ教えちゃったら、面白くないじゃないの?(何)
ヴェル「ユウコさんはいったいどうなるの?」
ユウコはアイドル道一直線で。 だから、Yネットにも参加はさせません(ぁ)
うーん。こんなところかな?
(1分考えた)あ、そっか。こういう組合せもあったか。 ダメだった場合こうしよう。
ユウナ「いったい何を考えているのか……理解しがたいわね……」
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