[406] 破壊と破滅 |
- ガルダ - 2008年02月17日 (日) 20時53分
場所は教頭室。…ここに、とある理由で呼び出されたのはレンとクミの二人だ。 だが、どうにも話に進展が無いようで、すぐに話が終わってしまったようである。
事は少し前、古流剣術部の部室及びその周辺で戦闘(と言うか乱闘)騒ぎを起こしたのが原因。 と言ってもこれは半ば運が悪かったとしか言えそうにないのだが。
この時クミが狙ったのは、あくまでも馬鹿一人だけなのだが、何しろ手加減無しに撃ったのが災いした。 全く関係の無い人まで何人か巻き込んだ挙句、古流剣術部の師範代であるダイスケとひと悶着起こしている。 ついでに、この時ばかりはレンも、事態を冷静に判断している暇が無かったようである。
しかもこの時吹っ飛ばした奴は現在入院してるとか。…最も、至近距離で喰らって生きてるだけマシなのだが。 どんな状態なのか、教頭のシュレイダーが見に言ったところ、
『内蔵破裂・全身複雑粉砕骨折・大動脈の一部断裂及び、脳挫傷』
という状態。…普通に考えればとっくにお亡くなりになっているはずのこれで辛うじて生きてるだけ奇跡である。 (しかし現在危篤状態とも取れる分、予断を許さないのは確かだ)
ともかく、器物損壊とか公共物破損とか言ったレベルではない被害を出したのだから、シュレイダーとか、ナシェンとかいった奴等が黙って見過ごすはずがない。 で、二人を呼び出した…ところまでは良かったのだが、レンはともかくクミの方が問題だった。 何しろクミは、他人と関わろうとする気がロクに無いのだから。…聞く耳持たないわけでは無いのだが、どうも聞き流したように見える…
さて、この三日後の事である。…またしても二人は呼び出されていた。 だが、今度は用件が違うようである。
「…と、言うわけだ。」
何の用件かと言うと、まあ簡単に言えば『古流剣術部に対してまた何か企んでいるように思えるシュレイダーが、学園の状況をよく知らない二人を利用する為に呼び出した』と言う状態。…口先『だけ』は達者な教頭なのだから、普通の相手、もしくは古流剣術部をよく思わない人物が相手であれば、どうにでも丸め込めるはずである。…しかし。
「……断るわ。」
「何っ!?」
「……どう解釈しても、ただの言い掛かりにしか聞こえないわね。」
何やらクミばかり喋っているが、こういう場合、レンは何も言わない。…と言うかこういう場合、二人の考えというのは一致しているのである。
ズガンッツ!!!!!
「…!!!!!」
シュレイダーは何かを言いかけたが、それが止まる。…理由は単純で、クミが『破滅の力』をほんの少しだけ撃ったからだ。 それでも壁に大穴を開ける程の威力はある。…現に、シュレイダーのすぐ後ろの壁に、大穴が開いている。
「…」
一応の補足で説明すると、クミは『左利き』なのだが、破滅の力は『右』の腕からである。…クミは、腕を下ろした。
「わ、私を殺す気かね!?」
「……さぁ?」
殺すとも殺さないとも取れる一言だが、これがいつもの対処である。 だが、下手をすれば前に吹っ飛ばされた奴の二の舞に、シュレイダーもなるだろう。
「……教師なら教師らしくやってればいいのよ。…けど、どう転んでもあなたは教師に向いてないとしか思えないわね…」
どう考えても目上の人物に向かって放たれる言葉ではない。 …いつものシュレイダーならば、これに対抗するかの如く長々と説教でも始めるはずである。だが…今回は相手が悪い。 事と場合によってはそれこそ命が危うい。…と、シュレイダーはある事に気づいた。 …音も無く開いたドアから、ナシェンが入って来たのだ。
おそらくはシュレイダーが事前に何か企んでいたのだろう。 だが、そんな事に気付かないレンとクミではない。
「(……レン、後ろ。)」
「(…!)」
目線だけでそんなやり取りをした後、レンは、いきなり後ろを振り返って、ブレードアーム状に具現化している『破壊の力』を、ナシェンの顔にギリギリ当たらない場所に突きつけた。
「!!!!!!?」
「……そんな事に気付かないとでも思った?」
「やっぱりクミの予想した通り…」
どうやら、こうなりそうだという事は予測したらしい。…声すら出せない程に固まっているナシェンを無視し、クミが続ける。
「……姑息な考え程、逆に予想され易い。…だからこのくらいは簡単に予想出来たわ。……こっちを甘くみないで欲しいわね。」
…ある意味、何かの警告染みた事を言い放つと、クミは。
「……レン、そろそろ『それ』は解除。」
「うん。」
とりあえず、レンが発動している奴を解除するように促した。
「……あまり関わらないで欲しいわね。…相手するのも面倒だから。」
それだけ言うと、二人の姿はその場から消えた。
…この後も、二人は現れたり現れなかったりという行動を見せていた。 相変わらずのこの行動、理由を知る者はごく僅かである…
少なくとも、この学園内では誰も知りえない事だ。
終わり
後書き(と書いて座談と読む)
…『何とか』書いたのはいいが、相変わらずネタを使っていない。
クミ「……どうせネタあっても使えないでしょう。」
…まあ、そうなるのだが…学園とはいえあんまし本部で書いてる事と変わらんのはどうか…
レン「それはどうしようも無いんじゃ…」
クミ「…」
…やはりネタは他の人に任せるか…俺にはどうしようも無いんでな… では諸君、また会おう。
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