[317] 奥手と鈍感の恋って典型的? まぁ、それはそれで面白いかも☆ じゃぁ学園恒例他作家同士のCP作ってみようゼ! PART1 |
- 津波 - 2007年11月20日 (火) 00時58分
その出会いは、刺激的だった、違う意味で。
冷泉アイスと飛向翔は。
タマムシ大学付属高校に所属する飛向翔(以下よりショウ)と中等部所属のアイスは、二人とも病弱なので、会った事も無いが お互いに、名前だけなら知っていた。
「アイス! なんでまたスクランブルエッグになるの!?」
「知るか! だいたい、玉子焼きとスクランブルエッグの違いが判らないんだもん!」
アイスと口論をしているのは十字シャーウだ。 この学園では、男子も女子と一緒に家庭科を学ぶので、男子なのにエプロンを着けて授業を受けていた。 今日の調理実習は『玉子焼き』なのだが、アイスは何故か玉子焼きだけは作れなかった。 他の料理は平均ランクで、上手くは無いが下手でもない。 だが、玉子焼きは必ずスクランブルエッグになってしまうのだった。 グループは二人グループで、アイスとシャーウは一緒に作っていたのだが、これで三度目の失敗だった。
「二度あることは三度ある!」
「……仏の顔も三度まで!」
ぎゃぁぎゃぁと騒ぐ二人だが、調理実習だとよくあるシーンの、体育の授業をしている生徒が実習の料理を食べようとする シーンが別の場所では繰り広げられていた。
「玉子焼き? いいからちょーだい(はぁと)」
「もう、オルガ先輩ったら(はぁと)」
アイスたちのクラスメートを誘惑しているのは、アイスの兄であり、全生徒の憧れの先輩・オルガである。
成績優秀 容姿端麗 運動神経抜群 歴代最高の生徒会長
ただ、惜しらむべきは、女に目が無いということだった。
オルガには一応本命の亞河ジリーという彼女がいるのだが、ジリーが言うには
『男が女のを求めるのは本能です。故に、オルガ様が女を求めるのをとめるつもりはございません。 ただし、それはあたしに一応目を向けるから許すのであって、あたしを無視するのであれば、あたしは許しませんよ?』とのこと。 心が広いのか狭いのか判らないのが、ジリーだった。
「もう、お兄ちゃん! 恥ずかしいなぁ!」
「アイス!? あー……そういえばアイスのクラスか」
「だいたい、ここに料理求めに来るのお兄ちゃんくらいよ!?」
そりゃそうだ。
説明していなかったが、ここの調理室は1階ではない。地下でもない。『四階』なのだ。
オルガは、料理を食べたい為に、授業の合間に、窓から窓を登り、態々危険な行動をしてまでも食べに来るのだ。 これで「飯のためならば」と言うなら呆れてしまうくらいだが、彼は「エプロン姿の女子生徒って可愛いじゃん?」という 下らない理由のために来ているのだ。 しかも、授業の途中なので――――。
「冷泉んんんん――――!! 何しとるんじゃぁぁぁぁっ!」
体育教師からもろ見えである。
「あ、ヤバイ。じゃぁまた後でね?」
女子生徒の頬にキスしてから消えるというのが、なおクサイ男であるが、顔も成績も良いので、自然と人気になっていた。
「もぅ……!」
「もう、じゃねぇよ。早く玉子焼き作るぞ?」
「男は少しは時間に余裕を持たないと」
「もう時間ねえんだよ!」
結局シャーウが普通の玉子焼きを作り、それで授業は終わったのだが……。
「あ、オレ、今日は陸上の方に出るから!」
「じゃぁ図書室で本でも読んで待ってるね」
「ごめんな」
シャーウは頭は良くないが、運動のほうは恵まれたようで、偶に色々な部活の助っ人をやっていた。だが、一つの部活には縛られない。 なんでなのか聞いてみると 『毎日部活に出てたらドラマが見られないじゃないか!』とのこと。 だが、アイスは毎日シャーウを待っていた。まるで、二人は恋人同士のようだが、アイスは否定していた。
そしていつものように図書室に顔を出して、色々な本を読んでいた。 今日は違う分野にも手を出してみようかと思い、今まで行っていなかった奥の棚のほうに行くアイス。
その直後、星が散った。
「「いったぁーっ!」」
静かに! と司書に叱られた。
「ご、ご、ごめんね!」
「あ、私も。すみませんでした」
お互いに頭を下げて謝った。
とても優しそうな表情、でもどこか淋しそうな彼の名前は飛向翔と言った。
高等部と図書室が分かれているこの学園で、高等部の人間が中等部の図書室に来ることは珍しかった。 別に禁止されていないが、高等部の図書室のほうが在庫も多いし、広いので、めったに来ることは無かった。 だが、彼は高等部の制服を着ていて、実際に高校生だった。
「冷泉アイスって……中等部の天然記念物!?」
「そういう先輩は野球部の最終兵器≠ワたはスイレン先輩の下僕=v
「Σえ、僕ってそんな異名持ち!?」
「つか、私は人ですらない!?」
お互いに病弱であることを異名にされなかったのは良かったことだが、二人とも自分の異名を知らないというのは 偶然か、天然か、馬鹿か。
ショ&ア「馬鹿って言うな!」
二人とも元々は病弱(ショウに関しては喘息持ち)なのがあり、お互いにすぐに仲良くなった。 「アイス」 「ショウ?」
時間というのは過ぎ去るのが早い。特に楽しい時間だと。 「シャーウ!」
「す、スイレン!?」
接点の無さそうな二人が、一緒に二人のもとに来たのが不思議だったが、そんな疑問はどうでもよかった。
「ショウ! 今日は私の買い物に付き合うって約束したじゃない」
「いぃ!? いつだよ!」
「昨夜!」
〜昨夜〜
スイレン「ショウ? 明日古本フェアがあるから付き合って」 ショウ「……今何時だと思ってるの。3:45……」 スイレン「じゃぁよろしくね」 ショウ「……zzz」 スイレン「明日学校終わったらすぐ行くから」 ショウ「……zzz」
ピッ(電話の切れた音)
〜回想終了〜
「覚えてるわけ無いだろ!」
「ショウが覚えてるかは必要ないの。もう私のスケジュールに入っているのですから」
「ちょ……スイレン、耳引っ張らないでー!」
そのまま引っ張られるショウを見ながら、アイスとシャーウが思ったのは 「あぁ、やっぱりスイレンの下僕≠セ」だったそうだ。
翌日
「今日は野球部の助っ人を頼まれた」と言ったシャーウを見に遠くから野球部を見ていたアイスは彼を見た。 ショウを。
「――!」
ベンチにずっと座っていた彼だが、打順が着たのか、マウンドに足を踏み入れる。
「頼むぞ!」
丁度アイスに見える位置にいるが、ショウはアイスに気づかない。 アイスはショウを見て、何故か心臓が高鳴ることに気づいた。 地面を見て、心臓を押さえた。それで鼓動が落ち着くわけじゃないのに。
キ――――――ン――――――!
「え…………?」
高く舞い上がるボール。 華奢な彼が打ったとは思えないほど高く、そして遠くまで飛んでいくボール。
『ホームラン!!』と叫んだ審判の声で、アイスは再び鼓動が高鳴っていた。 野球に興奮した? 違う。 これは多分――――。
「アイス、見に来てたの?」
「ショウ……先輩」
部活終わりにやっとアイスに気づいたショウは、すぐにアイスの近くに来て、頭を撫でた。 恥ずかしかった。何故か。 嬉しかったけど、恥ずかしかった。
「ショウ先輩!」
ドキドキしている。 これは、多分、初めての感情。
「何?」
優しい微笑みのショウ。
「私、ショウ先輩のこと、すびでfgy」
ただ、アイスは噛んでしまった。
「う…………忘れてください――――!!」
恥ずかしさから逃げてしまったアイス。 何も判らないショウ。
アイスの恋物語はまだ始まったばかりだった。
今回は翡翠さんのキャラのショウを相手に書いてみました。
これはキャラチャの「アイスとショウでCPが成り立つかも?」という話から出来た話です。
奥手なショウと鈍感なアイス。 接点は病弱だったという部分なのですが、結構楽しめて書けました。 まぁ内容は古い少女漫画みたいな感じですが。
これは続き物なので、近いうちにPART2も書こうと思います。
ただ、これはショウとアイスのCP小説なので、シャーウ×アイスが好きな人はごめんなさい。
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