[772] タマムシとヒスイはカオスの味 |
- 津波 - 2010年02月27日 (土) 02時23分
最近食事中に腹痛を訴えたり、涙を流したり、血を吐いたり、発狂したり、窓から飛び降りたり、「私は鳥だ」と言ったり、という生徒が増えたらしい。
「いや、後半全部発狂じゃないか?」
ということで、なぜか捜索を依頼されたのは悪戯の翼メンバーたちであった。 リーダー(一応)シシーは今回の依頼に頭を抱え込む。
「……シシー?」
「悠火。もし、もしだぞ。犯人が分かっているけど告白するのが怖かったらどうしよう」
「は?」
ぐっと拳を握りしめ、苦虫を噛み砕いたような表情をするシシー。
「……」
そして一言。
「犯人、リロなんだよ」
『タマムシとヒスイはカオスの味』
それは、ナユという教師の気まぐれにより始まった『合同調理実習』だったのだが、何の偶然なのか、そこで作られた料理は給食に出されることになった。 そこまではいい。 給食じゃなく弁当持ち込みの生徒もいるので、ある意味免れる生徒も多かった。だが……
「今回の料理担当はリロだって、昨日リロが言ってたんだよ」
「リロって……葉山リロート? 料理の腕はどうなんだ」
「……そうだな。この間オレが指導して出来上がったオムライスには」
ごくり、と唾を飲み込むメンバーたち。
「剣山が入ってた」
「「「Σなんで」」」
確かにチェックした。 変な素材が入っていないか。急にアレンジしないか注意し、出来上がったはずのオムライスを半分に割ると、ケチャップに塗れた剣山を発見した時のショックは計り知れない。 そして、半分に割っておいてよかったと思った。
「だが、問題はそれだけじゃなく、食べたら」
「食べたら?」
「オレが指導しただけあり、それなりに美味かった。だが。時間差で、授業中に視界が紫に染まった」
「こわっ!!」
SDサングラスでもなんでもなく、急に紫に染まり、黒板は見えないし、ノートも何も書けない。 あれは怖かった……!
「因みに今回の給食の被害者たちは半分が発狂し、半分は急に虫が見えるとか言いだしたとか」
「麻薬症状じゃないか!!」
「まだいいほうなんだ! 悪い時なんかな、オレ、食べて一分たったら、実は一週間同じ姿勢で固まっていたことが発覚したことあるんだぞ!」
「えええええ!!?」
「死後硬直じゃないかって騒がれたんだぞ! でも脈があるからってなぁ……」
後半は涙で言葉にならないシシーだった。
「で、どうするべき?」
「……とりあえず犯人のところに行こう」
「やだ!!」
シシーがかなり震えていた。 メンバーからしてみれば、リロという人物はシシーと仲が良く(幼馴染らしい)、ショートカットで、活発な女の子の、可愛らしい子だというイメージしかない。
「今会ったらオレ、死ぬ! あいつはオレに会うたびに食事を盛るんだ!」
「食事を盛るっておかしくない!?」
○毒を盛る ×食事を盛る
「あいつのせいでオレ、前に病院で胃と肺の機能が落ちてます≠チて言われたんだぞ!」
本気で震えていたので、仕方なく、シシーを置いてリロに会うことにしたメンバーだったが、まさか後悔することになるとは思わなかったのである。
そして
「「「ぎゃーっ!!」」」
今日も学園に悲鳴が轟くのであった。
これが悪戯の翼の初敗北の日だった、と記されている。
――作者あとがき――
だいぶ待たせてこの低クオリティすみません。 しかもシシーとリロと悠火以外名前でてないorz かなり消化不良ごめんなさい
次の人よ頼むぞ……ッ(ばたん)
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