タマムシ大附属学校
ポケモンのオリトレ小説、学園パラレル企画掲示板。
要するに、オリトレ達のドタバタ学園コメディ(待て)。
物語がどう突き進むかは全く不明ですが、何はともあれ楽しみましょう。
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[658] シリーズ第4弾「月の恵フェスティバル(続編)」 |
- HIRO´´ - 2009年01月18日 (日) 17時03分
30(現在編)
月の恵のコンサート前日……の日没後。
タマムシ学園はデーモン軍団によって、壊滅状態に陥られそうになった。
だが、そんなことはさせない勇者達がいた……
「これで……最後ったい!!」
少女は脚を踏ん張って、最後のデーモンに一突きした。 強力な突きにデーモンは一撃で地面へと伏した。
「ふう……何とか終わったな」
竹刀を肩に掲げて、少女のパートナーの封真はヤレヤレと肩をすくめる。
「これで学校が破壊されることなんてないだろ。それにしても……ヴェル先輩はどこからこんな奴らを召還したんだ?」
疑問に思い首を傾げる封真。 しかし、ヴェルはきっとこう言うだろう。 「もちろん、企業秘密よ〜♪」と。
「先生や奏たちは無事だろうか?奈月、探しに行くぞ!」
「……ふにゃあ?」
「って、奈月!?」
そこには、ぐったりまったりと身体をまるませたにゃんこが存在していた。
「もう腹が減って一歩も動けないにゃ……おさかにゃ……おさかにゃ食べたい!!」
「我慢しろよ。今は、みんなの無事を確かめる方が先決だろ?」
「うにゅ〜……」
渋々と立ち上がる奈月。 されど、空腹のあまりふらふらしているようだ。
「魚なら、あっちに居ましたよ?」
「……! ニクスに奏!?」
奈月の魚を食べたいと言う叫びが、自分達の場所を知らせたようだ。
「本当!?」
「いや、ニクス、アレはデーモンだろ」
奏がとりあえず突っ込む。
デーモンの中には魚型のノイズや魚型のシャドウが居る。 だが、かといって、それらが食えるかどうかは不明である。
「とりあえず……アンリ先生とコール先生を探そう」
「『イオ』!!」
「『カストール』!!」
ドガガガガッ!!!!
「あ……」
「これは……(汗)」
4人が2人の先生を見つけたとき、彼らは己の魂に潜む困難に立ち向かうための人格の鎧を召還して、戦いを繰り広げていた(笑)
「いつもいつも……しつこいのよ!!」
「うるせぇ!俺はお前に勝つまでやめねぇぞ!!」
そう。ここは戦場である。(ぁ)
「これ……止めた方がいいよな?」
「止めた方がいいでしょうけど、これを止めることはできますか?」
「奈月……お前の台風で……って無理か……」
「にゃぁ……(ぐったり)」
仕方がなく、彼らは先生達の戦いを観戦していた。
「まったく!!酷い目に遭ったわ!!」
ぶつぶつと差し棒を持った女の子が現れる。 言うまでもなく、このタマムシ学園崩壊未遂の原因を作った諸悪の根源である。
「あんたたちが、全員揃わないから、あたしまで酷い目にあったじゃない!!」
「ヴェルちゃんが何処からともなく変な生き物を連れてくるからだろ!?」
奏のツッコミはもっともである。
「とにかく、この勝負はA組の勝ちね!」
「何で!?」
「ちゃんと、倒した数をカウントしたから間違いないわ!」
「一体いつの間に……(汗)」
だが……
「アンリー!!」
「コールッ!!」
2人の超絶バトルは収まる気配がない。 例え、結果を教えたところで、コールがまた勝負しろと言いだしかねないために、2人を放って置くしかなかった。
「仕方がないから、帰りましょうか♪」
「お腹減ったにゃぁ……」
「ほら、捕まれ」
「結局、この戦いで得た物なんてなかったな……」
「決闘なんてそんなものですよ」
生徒達は先生を放っといて帰って行ったのだった……
「って、君たち、いい加減にやめないか!!」
「「っ!!」」
ピシャッ!と雷のような一声にアンリとコールはびくついた。
「「る、ルイ教授……」」
「まったく、どうして君たちはいつもケンカしてばかりなんだ」
「ほんと、いつもどおりね」
ルイ教授の後ろにも一人の女性が居た。
「カズハもいたのか……」
はい、勘違いしないで欲しいのは、カズハとは月野先生のことです。
「それにしても、こうやって、4人で集まると思い出しますね。月の恵のこと……」
「月の恵か……」
「そういえば、あの頃は楽しかったわね」
アンリ、コールそしてルイも空を仰ぐように数十年前のことを思い出す。 彼らが学生だった頃、4人は月の恵という名でバンドを活動していた。 名前の由来は単純に月野先生の名前と、当時のアイドル部の看板アイドルの恵からとった名前らしい。
「そういえば、生徒達が月の恵を作って明日にライブを開くのでしたっけ?」
ルイはカズハを見る。
「はい。明日開演となっています。私もアドバイザーとして参加していますよ」
「へー」
「カズハがね……」
そして、アンリとコールは顔を見合わせる。
「それなら、見に行こう?みんなで!」
「ああ。そうだな」
こうして、アンリとコールの決闘は一時休戦。 そして、月の恵のコンサートはいよいよ明日だ!
月の恵フェスティバル(続編)
「狽ソょっと待った!!」
何?
「月の恵フェスティバル(続編)って何!?“続編”ってなんだよ!?」
見てのとおり続編。
「5話構成って境編で言わなかった!?」
いいじゃないか。“続”編なんだから。 これなら、5話だろうが6話だろうが7話だろうが関係なし!
「そうか……結局、前回の終編で収まりきらなかったから、ごまかそうって言うんだね?」
うっ……そう言われちゃ仕方がない。 そうです。そうなんですよっ! 本当は全て30kbの5話構成で終わらせる予定だったんですよ! ところがところが、30kbで収まったのは最初の序編だけで、残りは30kbを突破してしまい、境編と終編は2話あわせて100kbに到達してしまうと言う状態。 気がつけば、ここまでで50kbオーバーです。
「150kbどころか、200kbも超えるよね」
てか、もう学園で長編なんて書くもんか!!(泣) 少なくともテールデュが完結するまでは長編は書かない!! 200kbなんて、テールデュ約13話分も書けるではないかっ!!(ぁ)
「そんなの僕は知らないよ(汗)」
という訳で、この続編を書いたら、とりあえず、学園編の長編からは離れます。 短編は書きますけどね。
31(現在編)
タマムシ大付属学校とヒスイ女子学園。 この二つの学校はとっても近くにあり、親密な関係にあるようだ。
学校の仲の良さが手伝ってかはわからないが、この2つの学校内にはたくさんのカップルがいた。
……え?現実でもそんなもんだって? ……それは……知らない。 多分、そうなんだろうけど事実を隠して付き合っている人もいるんじゃないかな? だって、友達に知れたら……冷やかされたり、ネタにされるのがオチじゃない? まぁ、それでも、周りのことを気にしない人や、いつも相手のことしか考えられない人は平然と付き合っちゃうだろうけどねー。
……っと、こんな恋愛談義はどうだっていいんだよ!(何)
ここはタマムシ大付属学校のセレモニーホール。 タマムシ大付属学校の設立100周年を祝って建てられたとか何とか。
「いや、セレモニーホールがあるなんて初耳だけど!?」
だって、初めて出したもん。 セレモニーホールは、演劇部が舞台の発表に使ったり、吹奏楽部が発表に使ったり、悪戯の翼が集会所として使ったり、放送部の発声練習のために使われたり……用途は様々である。
「蝿黷ツおかしなの混じってない!?」
もちろん、アイドル部のコンサートにだって使われる。 そして、本日、このセレモニーホールを使用するのは、メンバーが集まって、始めてライブを行う月の恵なのだ!!
「僕のツッコミは無視なの?」
無視だよ。いちいちラーメンのツッコミに構っていられるほど、余裕があるわけじゃない。 下手するとまた50kbに到達しかねないからね!!
「もしそうなったら、250kbだね」
そうだね。テールデュ約17話分書ける……って、んなアホな計算してる場合じゃないっての!!
とりあえず、月の恵がこのセレモニーホールを使う。
だが、一つ問題があった。
「……?」
「……あ!」
コトハがこのホールに一番乗りしていた。 しかし、先に誰かがいたようで、コトハは驚いた顔をする。
「何?オレの家になんか用か?」
「……なんでシシーがここにいるの!?」
シシーとは……月の恵編中編参照。(オイ)
「ここはオレの家だ」
「いつから、シシーの家になったのよ!?」
「昨日、家出してここに住むことにしたんだよ!」
「何で?」
「実は……サイアスの奴……家にまで追いかけてくるようになったんだ。だから、仕方がなく……。それにここは悪戯の翼の集会所だし」
「そ、そうなの……(汗)」
ちなみに、コトハとシシーは同じ高等部の1年生です。学校は違うけど。
「シシーちゅわーん!!」
「ゲッ!?また出た!?」
まぁ、当然の如くサイアスが現れた。
「マラカスアタック!!」
ズドォ―――――――――――――――――――ンッ!!!!
コトハはマラカスでサイアスを打っ飛ばした。
「これで、大丈夫ね?」
「明らかにマラカスの打撃音じゃなかったぞ?(汗)」
「とりあえず、ここは今日、月の恵のコンサートを開くから、開けてくれない?」
「んー。サイアスに家出先がばれてるみたいだし……わかった」
サイアスのストーカーがなくなった今、シシーはここを明け渡すのに異論はなかった。
「それに、今日はやることあるしな」
そう小さく呟いて、シシーはホールから出て行ったのだった。
32(現在編)
「タマムシセレモニーホール……ここだな」
チケットを片手に持った緑髪の少年は、入り口を見上げた。 そこには“月の恵フェスティバル”と書かれている。
「間違いないな」
「ヒロト様ーっ」
彼……ヒロトは自分の名前を呼ばれたと思い振り返る。 亜麻色の髪で神秘的な雰囲気を醸し出す女の子がヒロトの名前を連呼し、彼に走り寄って行く。 彼の近くに来ると、彼女……ココロは彼のシャツの裾を掴んで、息を整える。
「お待たせしちゃいました?」
「いや、俺も今来たところだよ」
「ふふっ♪いつもカツトシさんのコーヒーショップばかりでこうゆうデートははじめてよね」
「ああ。そうだな……っ!?」
ふと、ヒロトの右手を温かい両手が包み込む。
「さぁ、行きましょう?ヒロト様っ♪」
「あ、ああ……」
彼女の笑顔にヒロトも一瞬たしろいだと言う。
今回の月の恵のコンサートは、なんと言っても、カップルで来場した場合、チケットは2人でチケット一枚の値段となる。 つまり、一人で来れば1000円であるが、カップルで来た場合は、一人500円で済むと言う。
ゆえに、タマムシやヒスイのカップル達は大抵ここに集まってくる。
「…………」
「ど〜した〜?コトハ〜?」
浮かれているような、でも少し悲しそうな顔をしているコトハに気付いてモトキが尋ねる。
「せっかくの初舞台なのに、もっと元気出していこうぜ?」
コトハの一つ上の先輩……ミズキも彼女を元気付ける。 ちなみに、彼女(ミズキ)の格好は、青のジーンズ系のオーバーオールを着用している。 あくまで、女の子の格好はイヤらしい。
う〜ん。何でそこまで女の子の格好はイヤなんだろう?
「ミズキ先輩、絶対ふんわりした格好をすれば可愛いのに。テン君もそう思うでしょ?」
「……そうですね」
青乃とテンからそういう声が上がる。 2人は演奏はしないが、月の恵のサポートと言うことで裏方にいるのである。
「コトハ。どうしたのですか?」
姉のオトハも心配する。
「はは……。私がこのバンドに参加したはね、ヒロト先輩に振り向いてもらうためだったの」
「……コトハ?」
「だけど、このバンドが始まる前に、ヒロト先輩はココロ先輩と付き合い始めちゃった。一時期ね、バンドを辞めようと思ったこともあるわ」
「…………」
一瞬、周りがシンとした。
「だけどね、悪いことばかりじゃなかった。私が落ち込んでいるとき、励ましてくれる人がいたの」
「……誰なの?」
莉徒が気になって、聞いてみた。 でも、コトハはフッと笑うだけだった。
「だから、私は今日、その人のために歌おうと思うの。……初めてのライブがこんな風になっちゃうなんて、人生何が起こるかわからないなぁ……てね」
コトハは照れくさく笑った。 そんなコトハの頭にモトキが手を置く。
「♪それじゃ〜今日はその人のために一生懸命歌いな〜」
片手でジャジャーンッとモトキはギターを鳴らす。 ……え?片手?
「ところで、本当に……その励ましてくれた人って誰なんですか?」
「私も気になる!」
「…………」
莉徒と青乃がどうしても聞き出したいようだ。 一方、口には出さないが、ミズキも気になるよう。
「秘密よ、秘密!」
と、コトハは口に人差し指をつけてウインクする。
だが……
「コトハ!見に来たぞ〜!」
「!?」
彼が姿を現した。
「え?タイチ先輩?」
「何で?」
「!?」
花束を持って現れたのはバスケ部の野崎 太智(のざき たいち)。 詳しくはアットさんの設定資料をご覧ください。
「あれ?でも、この設定資料には“ティシアとは将来を誓い合った仲(爆)”と書かれているでヤンスよ?」
そんなの知らないよ? むしろ誓い合っただけで、誰もくっつくとは言ってないし。
「確かにそうでヤンスけど……じゃあ、ティシアはどうなったでヤンスか!?」
疑問に思うトラン。あえて私は彼のツッコミを無視した。 ……で。
「タイチ先輩かぁ」
「あれ?タイチ先輩って女好きで有名だよな?」
「そんな事ありませんよぅ」
ミズキの疑問をオトハが否定した。
「タイチさんはいい人ですよぅ」
柔らかい物言いに、タイチはオトハを見ていた。
「…………」
グニッ!!
「っつあっ!?」
タイチはコトハに足を踏みつけられて、飛び上がった。
「オト姉ェ見て鼻の下を伸ばさないでよ!!」
やっぱり、タイチはタイチだったのかも(ぁ)。
「会場はこっちですよー」
会場案内をする一匹のクマがいた。 いや、正確にはクマのキグルミ。 その中に入っているのは、ご存知、『マスコットコウクマ』である。
「ほんとに、何で僕はこんなことをしているんだろう……」
会場の列の整理を初めて30分。 このキグルミは中が暑く(ちなみに5月)さらに、雑用ばかりでコウはやってられなくなっていた。
「(逃げようか)」
と思い、後ろを振り向いたそのとき……
ゲシッ!!
「うわっ!?」
何者かに蹴られて転倒した。 このクマのキグルミは、一度転ぶとなかなか起き上がれないのである。
「ちょっと、大丈夫!?」
自分で蹴ったくせに、『大丈夫!?』はないだろうに。(汗) とりあえず、彼女はマスコットコウクマ……略してコウを起こす。
「(呼び方そのままじゃないか)」
「真面目に働いてる?」
「……からかいに来たのなら、手伝ってよ、ティシア!」
「イヤよ」
ティシアは拒否した。
「そう、ならば仕方がないよね……」
と、コウは何かをしようとした。
「……っ!!」
ティシアは、その動作を見てすぐにいい直した。
「や、やっぱりやるわよ。(汗) いえ、やらせてください(棒読み)」
「うん。お願いね?(にっこり)」
あれ?なんだか、よくわからないけど、ティシアよりもコウのほうが強いの?
そして、会場に数百人のお客さんが収容された。 月の恵のライブが始まるのは、もう少しだ。
「ティシアのお陰で助かったよ」
「……はぁ……」
ティシアはため息と言うか、ぐったりとした表情でコウと並んで歩いていた。 2人は月の恵の楽屋に行くつもりのようだ。 手伝った御礼に、楽屋でコウが月の恵を紹介するんだとか。
だが……
「タイチ!?」
「ティシア!?」
そう。2人は会ってしまった。
彼らの話といえば、<http://bbs4.sekkaku.net/bbs/?id=Tamamushi&mode=res&log=150>。 このときに、タイチとティシアは大ケンカをして別れた。 そして、いつの間にか2人ともちゃっかりとお相手を作っていた。
「ふうん……まだ、コトハと別れてなかったんだ」
「そっちこそ、コウに愛想を尽かれてなかったんだな」
2人がそれぞれ相手の恋人といるのを見るのは、数ヶ月ぶり……だと思われる。 いや。よくよく考えると、本編でつながりがなければ、タイチとティシアって学園では繋がりないよね? タイチはタマムシの高等部の3年で、ティシアはヒスイの中等部の3年だし。
「うん。タイチは私に良くしてくれるもん」
「っ!?」
コトハはタイチの腕に絡みつく。 やっぱり、そうなると、タイチは彼女の胸の膨らみを気にすることになる。そう、気にしないはずがない!!(ぁ)
「こっちだって、ティシアは僕の要求になんだって応えてくれるもん……ね?(にっこり)」
「……う、うん……」
コウがティシアの肩に手を置いた。
いや、間違い。置きたかったのだけど、コウの身長じゃ届かず、ただ背中に腕を回すだけだった。 う〜ん。凸凹カップル。(ェ)
「コウ、会場整備は終わったの?」
話の流れを一刀両断。 莉徒はデストラクトコードを発動して世界を崩壊させるが如く、話を元に戻した。
「それは話がでかくなりすぎでヤンス」
「ティシアも手伝ってくれたから、準備は終わったよ。後はみんなの準備ができれば、いつでも開演できるよ」
「♪そうか〜コ〜ありがと〜〜後は〜客席でティシアとラブラブしてたら〜?」
「ラブラブって……(汗)」
「いいんですか?」
「♪もっと手伝ってくれるって言うのならありがたいけど〜?」
モトキがそういい終わる頃には、すでにコウはティシアの手を引いて楽屋の扉を開き、廊下に出ていた。
「じゃあ、お言葉に甘えますよ」
「ちょっと、コウ!?」
こうして、コウとティシアは観客席へと言ってしまった。 コウとティシアに関しては多分、裏に続く。(誰かお願い)
「秤スででヤンス!?」
「じゃあ、オレたちはそろそろ準備しようぜ」
ミズキがドラムを叩く棒をカッコよく上へ回転投げてキャッチする動作をしながら、みんなに呼びかける。
「あ、そうでヤンスね」
トランは片手にトランペットを持っている。 コトハの語りからずっとメンテナンスをしていたから、トランペットはピッカピカだ。
「はぁ……緊張してきたなぁ……」
キーボードの莉徒は胸に手を当てて、迫り来る開演の緊張と戦っている。
「みんなアレだけ練習したのだから大丈夫ですよ」
「うん。私もそう思うな」
サポートのテンと青乃は裏から彼らを励ます。
「♪コトハ〜ちゃんとマラカス持たないとダメだぞ〜?」
「だから、本当になんでマラカスを持たないといけないのよ!?」
「♪タイチもいいと思うよな〜?コトハにマラカス」
「え?俺は、どちらかと言うと、リコーダーの方が……」
「何でリコーダーなの?(泣)」
どっちにしても、コトハの楽器はあまりかっこよくなかった。(ぁ)
「……あれ?一人足りませんよね?」
オトハが「誰か忘れているような……?」と思い、辺りを見回す。
「皆さん、ごめんなさい!!遅刻してしまいました」
そして、彼女が現れた。
「あ。そうでしたか。月野先生がまだでしたか……」
不安が解消されたように、オトハはにっこりと微笑む。 あれ?いや、足りないのは月野先生じゃないと思うんだけど。(汗)
「とりあえず、みんな、落ち着いてがんばってね!」
「うわっ。凄くありふれたアドバイス(汗)」
ミズキがボソッと呟く。
「♪さぁ〜みんな揃ったし〜そろそろ開演だぁ〜!!」
モトキが手を前に出す。 合わせて、みんな手を重ねる。
……ってだからぁ!!一人足りないって言っているでしょ!?
「一人足りないって〜?誰が〜?」
「……ふわぁぁ……おはようございます……」
あれ?
「ナツキならずっとここで寝てたでヤンスよ?」
狽サうだったの!?
「そ〜ゆ〜わけで〜今日のライブを成功させるぞ〜!!」
“おおっ!!”
……あー。ついに始まるのね(汗)
33(現在編)
31フェイズの冒頭で、このコンサートのチケットはカップルだと半額になるということを述べました。 つまり、明らかにカップルを集めるための戦略とも言えます。 このコンサートに乗じて、たくさんのカップルがこの月の恵のコンサートに足を運んでいました。
「♪空にかかる虹〜海に墜つ星〜陸に吸い込まれるたいよ〜う〜」
「♪さまざまなものが僕らの冒険を待っているよ〜」
ミズキのドラムとモトキのギターで始まり、莉徒とオトハがキーボードとフルートで旋律を奏でる。 そこから、ナツキとコトハのダブルボーカルで月の恵のライブは幕を開けた。
「♪ヘッドホンを捨て〜」
ボーカルの歌詞にあわせて、フルートの柔らかいソロが次の段階へ鍵となる。
「♪耳を澄ませば……ほら〜聞こえるよ〜」
コトハが目を閉じて片方の耳で実際に耳を澄ませる仕草をする。
「「♪と・も・の・声〜」」
コトハとナツキの2人の声にあわせて、会場は盛り上がり、サビに入る。
「♪こんなに〜仲間がいたなんて……知らなかった〜」
「♪みんながいることで〜楽しくなれる〜〜」
「「♪幸せになれる〜〜」」
1番が終わったところで、会場はさらに盛り上がった。 2番、サビとこの曲を歌い上げて、コトハが挨拶をした。
「こんにちはー!!元気ですかー!?」
会場は「もちろーん!!」とか「あたりまえだー!!」とか返してきて、ヒートアップする。 ちなみに、現在はお昼過ぎた時間帯である。(何)
「これから、まだまだ歌を歌いたいと思うので、最後まで聞いていってくださいね〜!!」
そして、そのまま会場を冷まさないまま2曲目、3曲目と次々と歌い上げていった。
4曲目が終わったところで、数分の休憩に入った。 その間、観客者たちは、取り損ねたお昼を食べたり、友達や恋人と喋ったり、各々のことをして次の曲に入るのを待っていた。
「(……アレは……コウくん……?)」
そのとき、彼女は前から気になっていた同級生のちっこい少年に目が留まった。 コウは楽しそうに隣の女の子と話をしている。
「(コウくんもティシア先輩と来ていたのですね……)」
その様子を見て、ちょっと、寂しそうな表情をする。
「セリン?」
「…………」
「セリン?」
「はっ?」
2度目の自分の名前を呼ばれたときに同時に肩を叩かれて、セリンは隣に顔を向ける。
「え?あ、ごめんなさい。……ええと、なんでしょう?」
「元気なさそうだったから。具合でも悪いのかなって。大丈夫?」
「大丈夫ですよ。エイくん」
セリンと共にこの月の恵のライブに来ていたのは、タマムシの高等部の1年生のエイだった。 そして、2人はカップルのチケットで半額でこのコンサートを見に来ていた。
「そう?それならいいんだけど……少し優れない表情をしていたから……」
「本当に大丈夫ですよ」
セリンは笑顔を作って、その場をどうにかやり過ごそうとする。
「それならいいんだけど……」
だけど、どうもエイは府に落ちないらしく微妙な顔をしていた。
「そういえば、知っていますか?」
「何を?」
「昨日、タマムシの高等部で邪悪な生物が校舎を荒らしまわっていたと言う噂です」
「うん。野球部は他校との練習試合で外に出ていたから、帰ってからイクムに聞いたよ。なんだか、凄いことになったんだって?」
「ええ。でも、にゃんこと呼ばれる先輩を筆頭に、その邪悪な生物の千匹斬りをして、事なく終えたそうです」
「でも、それ以上に昨日はなんだかおかしな日だったと思わない?」
「……言われてみれば……昨日は一日の感覚が長かったような、短かったような…………まるで時間が歪んでいるようでしたね」
「本当に、最近は何が起こるかわからないね……」
そして、エイはイクムが昨日シグレを怒らせてサンダースコールを発動させたこととか、珍しく部活にラグナが来ていたこととか、シブキのコントロールのなさとかを面白おかしく話した。 その話を聞いてセリンは笑っていた。
「あ……そうでした。これをどうぞ」
もう少しで休憩時間が終わるというところで、セリンは一つの包みを取り出した。
「今日、エイくんのために作ってきました」
「手作り弁当……?嬉しいよ!いただきます!」
だが、セリンの設定を知っている人ならわかるだろう。
このあと、エイはセリンのお弁当を食べた。
そのことが原因で、エイとセリンのデートはそこで終了する。
エイくん……憐れなり(汗)
34(現在編)
セレモニーホールで月の恵のコンサートが開かれているこの頃。 SKY PLACEに、あるキャラたちが集まっていた。
「ふう……お茶がおいしいなぁ……」
注文して出てきたお茶をしみじみと口に運ぶのは、マイペース学生のリズオだ。 温かいお茶を包み込むようにして、ふうと息を零す。
「微妙におじさん臭いな……」
「おじさんは酷くない?(汗)」
左目に眼帯をした少年……ミオにツッコミを入れられて、渋々とリズオが反論する。
確かに、お茶と言えども、抹茶だし、すんごく渋いと思うんだよね。(ぁ)
「それに比べて、ミオはココアか……リズオ先輩に比べたら子供っぽいよね」
「響香。ココアじゃない。チョコレートミルクだ」
チョコレートミルクとは、チョコレートを溶かし、そのままミルクを混ぜ込んだと言う甘党にはお勧めの一品である。 まさに、甘い物が好きらしいミオのお勧めの飲み物だった。
「それは甘すぎじゃないか!?」
そして、いつも帽子を被っている彼……マコトもミオのグラスから漂ってくるあまりのチョコレートの薫りにツッコミを入れる。
「このくらいがちょうどいいんだよ」
と平気でミオはグラスを逆さにしてグイッと飲み干す。
「なんか……それを見たら、気持ち悪くなってきた……」
まぁ、そんなわけで、リズオ、マコト、ミオ、響香の4人は、コーヒーショップのSKY PLACEに集まっていた。 集まった理由? そんなの決まっているじゃない。 そこに、SKY PLACEがあるからだ!
「そういうみせをめざして、ひびしょうじんしているって、カツトシのおにいちゃんがいっていたよ!」
そこへ姿を現したのは、初等部1年生、6歳児のカズミである。
「カツトシさん、そんなこと言ってたのか?」
同じく店の奥から出てきたのは、リズオと同じ学年のはずのトキオだった。
何でトキオ?
「カツトシさんに店番を任されたからだよ!俺はここでアルバイトしているんだよ!作者が忘れてどうするんだ!?」
カレンがバイトしていたのは覚えていたけど。
「カレンは今頃ハルキの奴に…………くそっ!!」
「そこ、本気で悔しがるところなのか!?」
苦笑いでマコトがツッコミを入れる。
「いや、わかるよ。トキオ先輩の気持ち!!」
「え゛?」
だが、トキオの気持ちがわかった奴がいた。
「綺咲がいつか他の男の手に渡る日が来ると思うと……苦しい物があるよ」
響香だった(ぁ)
「(シスコン?)」
お茶をズズッとリズオ君はふと思った。
ってことは、響香とトキオでシスコン同盟結成だね♪(待て)
「あぁ……俺も彼女さえいれば今日はバイトせずにライブへ行ったのにな……」
「トキオ先輩、彼女いなかったんですか?」
「ああ……?」
「そういえば、トキオ先輩はFRIENDLY SHOPの店長、ルーカスさん狙いでしたよね」
「萩ソ香、何で知ってんだよ!?」
「いや、みんな知ってますよ」
リズオもマコトもミオも揃って頷く。
「彼女かー……僕は今のところいいや。それよりも、屋上でのんびりと昼寝でもしていたほうが……」
「本当に、リズオ先輩はマイペースだな」
「そんな響香は、メフィンのことは誘わなかったのかよ?」
「えっ!?(ドガッ!!)」
突然話を振られた響香は慌てて立ち上がって、椅子をひっくり返した。
「な、何でフィーの名前がここで出てくるんだよ!!(赤面)」
「だって、好きなんだろ?メフィンのこと(にっこり)」
「そ、そんなことは……」
……あれ?マコトってこんな性格だっけ?(待て)
「すきなひと?あたしもいるよ!!」
そこへ、カズミが割って入る。
「きのうね、ラグナおじちゃんにね……キスをされちゃったーおくちに〜♪」
「「「「「!!??」」」」」
ビックリして、この場に居合わせた男5人がいっせいにカズミを見て、その後5人で顔を見合わせる。
「……ラグナってロリコン?」
「いや、最近、だいぶ女の子を漁っているって噂を聞いたことがあるよ?」
「ミミに似た女の子とも別れたって聞いたことがあるな……」
「そういえば、最近、保健室で怪しい声を聞いたって噂が……」
それぞれラグナの噂が立つ中……
「トキオ。抹茶の御代わりお願い」
リズオだけは相変わらずマイペースだったという。(笑)
35(現在編)
さて……ほぼ全てのカップルが月の恵に集結している最中、一組のカップルが手を繋いで歩いていた。 今日は休日で学校も休みとあって、2人で街に飛び出していた。
「本当によかったよ……“別れてくれ”なんていって、本当にこのまま別れちゃうと思っていた」
腕を絡ませて、彼女……ミイは黒いコートの男、ラグナと一緒に歩いていた。
「俺が間違いだったんだ。どうして、俺はあの時、あんなことを言っちまったんだろうな」
ラグナはミイの顔を見て照れくさそうに笑う。
「ミイの気持ちを考えず……悪かった」
謝るラグナに首を横に振るミイ。
「ううん。いいの。今こうやって一緒にいてくれるだけで、私は嬉しいよ。謝ることなんてないよ……」
少し歩いたところで、ミイは立ち止まる。
「昨日、私を1日中探してたって聞いて、とても嬉しかった。私を本当に心配してくれていたんだなって思った。だから、私もその想いをラグナくんに返したい……」
「……ミイ……」
「(え?)」
ミイは自分の体が強く包まれるの感じて驚いた。 そして、少し落ち着くとそれがラグナの腕がまるでロープのように自分を縛り付けているのだなと感じた。
「俺は……もうミイを離さない……」
「うん……ずっと……一緒だよ……」
誰もいない閑散とした公園で2人は互いの気持ちを交換したのだった。
「ラグナくん、じゃあ、待っててね!」
そういうと、ミイは行ってしまった。 近くにおいしいクレープ屋さんがあるから、買って来るのだという。 本当はラグナも行こうとしたのだが、ミイが頑なに一人で買ってくると言ったので、ラグナは仕方がなくベンチで待っていることにしたのだった。
「ミイは本当にいい子だな」
ラグナはぼそりと呟く。
「そうね」
「っ!?」
誰かの返答する声を聞き、ラグナはぎょっとして後ろを振り向く。
「そんないい子を騙すなんて、本当にあなたは悪い人ね、ラグナ」
「……っ!! てめぇは!!」
そこにいたのは、いつもはブレザーを来ているが今日は休日のためにワンピースにズボンと本編と相変わらず同じ格好をしたユウナだった。
「いえ、あなたは正確にはラグナじゃないわね」
「なんだと?」
「本当のラグナは、昨日、珍しく野球部に出ていたって情報があるわ」
「……あ゛?じゃあ、そっちが偽者じゃねぇのか?」
「あなたが本物?そんなのありえないわ」
クスリと笑う。
「ラグナが今みたいに女の子を抱きしめたり、“俺は……もうミイを離さない……”なんて浮いたセリフを言えるわけないじゃない!!」
そして、キッパリとユウナは断言した。
「ケッ。そう思うか?」
ラグナが嘲り笑うと同時に、ユウナが刀を持って切りかかる。
って、いつの間に刀持ってんの?
「ならば、“あいつ”と“俺”……どっちが本物か戦ってみればわかるじぇねぇか」
「っ!!逃がさないわよ!!……雷鳴の馬車、糸車の間隙、光もて此を六に別つ!!縛道の六十一……」
「ケッ!!遅ぇよ」
「くっ!!」
だが、詠唱が間に合わなかった。 ラグナは瞬時にその場からいなくなってしまった。
「……あいつの狙いは……本物のラグナね……。くっ……昨日、あんなことがなければ、解決できたはずなのに……」
ユウナは唇を噛み締める。
昨日、Yネットは全員が狂気のボイスネタに支配されてしまった。 ユウナ自身さえも、そのボイスネタの狂気に勝てず、支配されてしまう始末。 ゆえに、昨日の記憶は狂気に取り付かれる前と、狂気の事件が解決したその後のすっかり日が落ちて真っ暗になってからの記憶しかない。
本日の午前中はYネットの部屋の整理を全員で行った。そして今もユウナと悠火以外のメンバーは片づけを行っているために増援は来ない。 だから、本日はユウナ一人で解決しなければならなかった。
「……何とかしないと……」
ところで本物のラグナは何をしているかと言うと……?
「…………」
…………?
「…………」
ええと、何をやってるの?ラグナ。
「……っ!!何もやってねぇよ!!」
だって、草むらに隠れてさ、怪しいよ?
「怪しくなんかねぇ!!」
怪しくないなら、何をやってんだよ!教えなさい!!
「誰が教えるか!!」
それならいいよ。 私が勝手に説明してしんぜよう。
「待てやコラ!」
本当のラグナはというと、草むらを通り、電信柱(ってあるかな?)に身を潜め、移動しながら、ある女の子を見ていた。
「……?」
ふと、振り向く彼女。 気のせいだと思い、再び前を見て歩き出す。
その女の子は、さきほどのユウナが指摘した、ラグナと一緒にいた女の子によく似ていた。 それもそのはず。 ラグナを追っていた女の子というのは、ミイの双子の姉なのだから。
うん。つまり、ラグナはストーカーをしていた。
「ストーカーじゃねぇ!!」
いや、後ろからピッタリつけていくなんてストーカー以外に何がある!?
「SPだ!」
ソウルポイントね。
「そんなボケはいらねぇ!!」
要するに、彼女を守るために後ろからつけてるのね。 はいはい、わかったよ。 ナレーションは引っ込むから、がんばってね。
「もう出てくるんじゃねぇ!!」
「キャッ!!」
「!?」
ちょうどそのときだった。 彼女の悲鳴がラグナの耳に届いてきた。
「ミミ!?」
慌てて、電信柱を飛び出すとそこには……
「てめぇは!?」
「ふっ」
自分そっくりの人間がいた。
「なんなんだ、てめぇは……?」
「え……?ラグナくん?……こっちもラグナくん?……ラグナくんが2人?」
そして、ミミは少し考えて、結論を出す。
「わかった!ラグナくんも双子なんだね?」
「「蝿痰・よ!!」」
ラグナが2人いたら、それはそれで面白いけどね(オイ)
「違うの?」
ミミは2人のラグナを見比べる。
「よう。てめぇは今から俺の影になるんだ」
「はぁ?俺がてめぇの影だと?」
「そうだ。てめぇは俺に比べてヘタレだ!好きな女がいたとしても、告白できないほどのヘタレだ!」
「っ!? てめぇには関係ねぇだろ!!」
「関係あるな。言っただろ、俺はてめぇだと」
「……っ!!」
ミミに襲い掛かった方のラグナ……以下“白ナ”はミミの腕を掴んで引き寄せる。
「ミミ。知っているか?どうして、昨日、あいつが真面目に部活に参加したか。そして、あいつがどうして今ここにいるかを」
「……え?」
「てめぇ……それ以上……」
「あいつは、てめぇのことが好きなんだよ」
「……? ラグナくんが私を……?」
あっけにとられたかのようにミミはポカンとしていた。 あまりに突然のことで、ミミはどうも信じられないらしい。
「てめぇ……いい加減ミミから離れろ!!」
もう一方のラグナ……以下“黒ナ”は白ナに向かって飛び蹴りを繰り出す。
「けっ!そんなの食らうかよ!!」
しかし、白ナはミミから離れて黒ナと間合いを取った。
「てめぇが女と付き合うことなんてできねぇよ!!俺だったら、一人の女だけでなく、全ての女と付き合ってやるよ!!」
「全ての女だと?何をバカなことを言ってやがる……」
「まぁいい。今日ここで、てめぇは影になり、俺が本物のラグナになるんだからよ!!」
白ナが刀を抜いた。
「卍解!!『天鎖斬月』!!」
卍型の鍔と柄頭に途切れた鎖がついている白くやや長い日本刀を肩に掲げて、白ナはほくそ笑む。 どうやら、コレが白ナの本当の姿らしい。
「いや、普通にボイスネタだろ!!しかも、俺と同じボイスだし!!」
まぁ。影だしね。(オイ)
「さぁ、かかってこいや!ヘタレ男!」
「確かに、俺は自分の気持ちを伝える点ではヘタレだ。そんなの自分自身がよくわかってんだよ!だが、他の奴にそういわれると腹が立つんだよ!!」
黒ナは透き通った水色の剣を持って素早く切りかかっていく。 しかし、白ナは軽くそれを防ぐ。
「言ってんだろ。俺はてめぇだって!他の奴の誰でもない俺なんだよ!!」
白い刀で一気に黒ナを突き飛ばし、尋常なスピードで黒ナの背中を取った。
ガギンッ!!
しかし、黒ナは吹き飛ばされながらも、剣を出して背中から来る斬撃を防いだ。
「ぐわっ!!」
防いだのはよかったものの、地面へと叩きつけられる。
「へぇ。よく俺のスピードについてこれたな。さすが俺だ」
「くそっ……こうなったら……」
水色の剣を集中させて、黒ナは体の奥底に眠る力を解き放った。
「Ready Go!!」
「っ!!」
水色の剣が変化して、見るからに凄まじい切れ味を持った高そうな剣になった。 そして、さらに黒ナのスピードが格段とアップしていた。 だが、それでもスピードは白ナと同等のようで、黒ナの繰り出す剣撃を白ナはいなしていた。
「けっ!!『月牙天衝』」
白く大きな斬撃が白い剣から放たれる。 白ナの最大の一撃のようだ。
「『エナジーレイン』!!」
魔力で練った数本の水魔法を集中して斬撃にぶつける。 それで攻撃の勢いが弱まった。
「オマケだっ!!」
ズドンッ!!
さらに同じような攻撃を2度繰り返すと、白い斬撃は跡形もなく相殺された。
「けっ。やるようだな。ならば……これならどうだ?」
白ナはどこからともなく仮面を取り付ける。 禍々しい力を持つ仮面だ。
「っ!!」
その圧倒的な気迫の前に黒ナは萎縮する。
「終わりだ」
ズシャ、ズシャ、ズシャッ!!!!
「ガハッ……」
黒ナは地面に肩膝をつく。 息も荒くなっていて、ダメージはかなり深い。
「……まだ息があるのか?タフな野郎だな。……それでこそ俺なんだがよ」
クククと白ナは嘲り笑う。
「ち……くしょう……てめぇに……負けるわけにはいかねぇんだ……。アレを使うしかねぇ……」
黒ナは武器をもう一つ手にした。 その武器の名は『神槍ローレライ』。 シクーの持つ『真剣エクセリオン』に並ぶディバインと呼ばれし究極を誇る武器。
もう、すでにシクーやラグナにとっちゃお馴染みの武器である(ェ)。
「だが、てめぇのそのローレライじゃ、俺のスピードについてくることは不可能だぜ!その最強の攻撃が発動される前に叩けばいいだけの話だ!!」
「やってみるか?」
「やらなくてもわかるんだよッ!!『月牙天衝』っ!!!!」
仮面を被ったことにより、スピードもさらに技の威力も増している。 斬撃は仮面を被った時のおよそ10倍の威力を持っている。 これを破るのは到底不可能……か?
「断罪、炎に燃えよ……『告死ローゼンクライ』!!」
ローレライから繰り出される高出力の炎が白ナの斬撃を押しとどめる。
「なんだと!?」
だが、驚くべきはそれじゃない。 そのまま、黒ナは突っ込んできたのだ。
「くっ!!」
白い斬撃をぶち抜いて、神槍ローレライで白ナに向かって突きつける。 あわてて、白ナはその場から一気に空中へと逃げた。
「危なかったぜ……がっ!?」
「ボール?」……と白ナはいきなり自分の後頭部に打つかって跳ね返っていった物を見てそう認識する。 そして、そのボールは宙を舞い、太陽と重なった。 さらに、太陽が漆黒の翼に隠れた。
「これで決める……『エース・オブ・ザ・ブリッツ』!!」
空を舞う自分で編み出した最強のテクニカルかつパワーシュート。 サッカー部員もビックリのこのモンスターもいとも簡単に一撃で仕留める強力な攻撃が白ナを完璧に捕らえた。
「ぐ、ぐわぁああああああっ!!!!」
木々をなぎ倒して、最後に白ナはビルの壁にめり込んだのだった。
「ちくしょう……俺は……俺は……あんな男の……影でしかねぇのかぁああ!!??」
そして、白い刀を持ったラグナは、光と共に消えていったという。
「どうやら……杞憂だったようね」
後から追いついてきたユウナはそう呟くと、その場から去っていったのだった。
36(現在編)
「みんなっ!ありがとうね!!」
セレモニーホール。 コトハやその仲間達はホールの外で観客達と握手を交わしていた。
“コトハちゃん、またライブを開いてね!”
“莉徒、キーボード、よかったぞ!”
“ミズキー今度はさースカート穿いて来てよ!”
“ナツキちゃん!アイドル部もがんばってね!”
特にナツキとコトハにはたくさんの男どもが群がってきた。
「あっ!」
コトハは、人ごみを掻き分けて、閑散としたところにいた一人の男を見つける。
「タイチ!」
人ごみを掻き分けるのに労力が要ったらしく、タイチの元へ着いた時にはかなり消耗して息を切らしていた。
「私の歌……聞いてくれた?」
「ああ」
タイチはコトハの手をギュッと握った。
「本当にビックリするほどよかったよ……。気持ちが凄く伝わってきたし……俺の笛以上に凄かったぜ!」
タイチの笛の実力は……アクアド参照(ェ)。
「よかった……嬉しいよ……」
見つめあう二人。 周りを見ると、タイチに殺気を送っている者が数十人。諦めている者が数人。 さて、タイチの明日はあるのか!?(ェ)
「…………(汗)」
「あれ?そういえば……」
「どうしました?」
青乃がキョロキョロと辺りを見回すのを見て、テンが問いかける。
「オトハ先輩とモトキ先輩がいませんよ?」
「……みたい……ですね。どこに行ったのでしょうか……?」
誰もいなくなったセレモニーホール。 そのステージに一人、彼女は佇んでいた。
深く息を吸い込み、力を抜いて息を吐き出す。 先ほどまで、たくさんの観客達の前で音を奏でて、轟々と唸るような歓声の中で絹のようにしなやかに舞い、バンドの音楽を表現していた。
「(…………)」
そして、ライブが終わってそのなんともいえない充実感が彼女を満たしていた。
「凄かったねー」
後ろから聞こえてくるのは、いつもと比べて真面目に聞こえる青年の声。
「ええ」
コクンと頷くと、その声の主を見た。
「みんなの前で音を奏でたり、踊ったりすることがこんなに素晴らしいことだったなんて知りませんでした。このことを教えてくれたのは、他でもないモトキさんです」
「べ〜つに俺はたいしたことはしてないよ〜」
「いえ。モトキさんが誘ってくださらなければ、今の私はここに居ませんでしたよ」
腕を後ろに回してにっこりと微笑むオトハ。
「そ、そ〜かな〜〜」
やや声が上ずっているモトキ。
「……そういえば、どうしてモトキさんはどうしてこの月の恵を作ろうと思ったのですか?」
「…………」
モトキはふと黙り込んギターを壁にかけた。
「最初は純粋にオトハと組んで自分達の力がどこまで通用するか試したかったのだと思うなー」
「“最初は”……ですか?」
フッとモトキは少し表情を和らげたが、すぐに緊張した顔になる。
「今はもっとオトハの奏でる音と踊る姿を近くで見てみたいと思っているんだ」
「……私を……ですか……?」
あっけにとられたかのように口ごもるオトハ。 ちょっと考えた後、オトハははにかむように微笑む。
「はい。でも、条件がありますよ?」
「どんな条件?」
「これからも、私の知らない素晴らしい世界を見せてくれますか?」
オトハの目はキラキラと輝いていた。
「(まるで、その瞳に吸い込まれそうだ……)」
そして、モトキは答える。
「もちろんさ〜♪」
「モトキ先輩ー?オトハ先輩ー?」
「いますかー?」
「あ〜テンと青乃の声だな〜」
モトキはギターを手にして、ちょっと慌てる。
「そういえば、外へ出て挨拶をしているのでしたね」 「じゃあ〜オトハ〜〜行こうか〜」
「ハイッ」
そして、オトハとモトキはステージを降りて出口へと向かって行った。 その出口は、ライブの終わりではなく、新たなスタートを意味していたのだった。
37(現在編)
月の恵のコンサートが終わりを告げて、時間は太陽は沈みかけていた。
「ったく……今日は散々な一日だったぜ」
自分自身との戦いを終えたラグナは、ちょうど帰路に差し掛かっていた。 体力の消耗が酷く、もう家に帰ったら即座に布団に寝転びたいとラグナは考えていた。
だが、しかし……
ザッ
ザッ
ザッ
3人の女の子達がラグナの目の前に現れた。
「ん?どうしたんだお前ら?」
ラグナはただ首を傾げて彼女達に尋ねるしかない。
「ラグナくん……どういうことなの?」
ミライが激昂状態でラグナを睨みつける。
「私のほかに2人も付き合っていたなんて、酷いよ!!」
ミイは今にも泣き出しそうな表情で拳をギュッと握り締める。
「最近、ショウが他の女の子と付き合っているのを知ってそのとこに付け込むなんて……最低よ!!」
スイレンは頬を膨らまして、どこから持ち出したのか、なぎなたを持っていた(ぁ)
「は?いったい何のことだよ?」
ラグナはシラを切る。
「ワケわかんねぇ。俺は急いでんだ」
と言うのも、ラグナ自身は本当に何のことだかわからない。
「「「惚けるなッ!!」」」
3人の一斉攻撃!
「っ!!本当に俺が何したっていうんだ!?」
ラグナは逃げ出す。 もちろん女子達は追いかける。
「ん?アレはラグナ先輩?」
「シクーッ!!ちょっと助けろ!!」
助けを請う者は藁にもすがる。 今のラグナの状況はまさにそれである。
しかし、ラグナを追いかけている3人の女の子の凄まじい形相を見てシクーは腰が引けていた。
「……僕には無理だって(汗)」
「なっ!?シクー、てめぇ!!」
ドガッ!!
「ぐふっ」
ラグナの後頭部に拳がヒットする。
バキッ!!
ラグナの腹に蹴りがヒットする。
ドズンッ!!
ラグナは思いっきり背中を地面に打ち付ける。
バキッ!バキッ!バキバキッ!!
なんか酷い音がする。
メイキドキバキメクメクトトトンッ、パキーンッ!!
これ以上説明するのはグロイので省略……
「二度と、保健室に来ないで!」
「ラグナくん……反省してね!!」
「ラグナ君のバカぁーっ(泣)」
そして、3人はそれぞれラグナに言い放って、帰っていった。
シクーはラグナがメッタメタになる様子を終始見ていた。
「(も、もしかして、ココロ先輩が言ってた“凄まじい地獄のような光景”ってこれのこと?)」
「うぅ……シ……クー……」
そして、ラグナが最期に言った言葉は……
「シクー……生きろッ!!!!」
だった。 そして、
「ラグナっ―――――――――!!!!」
とシクーは叫ばなかった。
「……叫ぶ理由がないしね(汗)」
とりあえず、シクーはラグナを搬送しようと思ったけど、シクーから見てもラグナはもう助かりそうにない。
「ラグナ先輩……どうか、安らかに眠ってください……」
シクーは手を合わせて祈った。
「し、死ぬかーッ!!(バタッ)」
だが、ラグナは倒れた!
「(だけど、一体何があったんだろう……(汗))」
シクーは指一本も動かさないラグナを見て、ただ疑問に思っていたのだった。
「OK!これで依頼完了だな」
「意外と簡単でしたね」
草むらの影から、声が聞こえてくる。
「恨みは果たせましたね」
「オイラの作戦はバッチリだったでしょ!?」
上から男勝りで学校で女にモテるシシー。 丁寧な言葉遣いの裏にどこか黒さを感じる悠火。 長髪で素直な中等部の衣杏。 最年少で恵家の末弟のホタネ。
どうやら、この場に居たのは4人の共通性のないメンバーだ。 だが、彼らにはごく一部にしか知られていない共通性がある。
ってか、この月の恵編続編の最初辺りに出てたよね?コレが何か。(ェ)
「寺内 ログ(てらうち ろぐ)君のラグナに死ぬほどの苦しみを味合わせて欲しいと言う依頼は完了しましたね」
「悠火先輩がラグナ先輩の弱みを握ってなければ、オイラの作戦でもここまでうまくは行かなかったよー」
悠火とホタネは顔を見合わせる。
「僕の恨みも果たせましたよ。ログ先輩と同じく、僕の料理も『犬でも食えるかっ!!』ってバカにされましたから……」
そのセリフを聞いて、3人は思っただろう。 ラグナの言葉は間違いじゃないと。(笑)
「で。報酬はなんだっけ?」
「ログの手作り料理ですよ?」
「「「!!??」」」
衣杏以外の3人はそれを聞いて表情が固まったという。
てか、イヤなら報酬を拒否すればいいじゃん(ぁ)
38(未来編)
「昨日はさんざんだったなぁ……」
「…………」
とある喫茶店で(SKY PLACEではない)2人……キトキとカズミはお茶とコーヒーをそれぞれ飲んでいた。 いつも姉弟のように二人は仲がいい。
……と言う設定なのだが、実際はカズミがキトキをパシリ扱いしているだけのような気がする。(ぁ)
「だけど、昨日のフェザーのあの顔は面白かったわ」
カズミはクスッと思い出し笑いをする。
あの事件のあと、フェザーはシズコに告白をした。 まぁライブに負けたら、オトはシズコと付き合うのをやめてフェザーと付き合うと言う約束だったのだから、仕方がない。 だが、シズコの真実を知ったフェザーは愕然とした。
「アスもタケノリも面白いことするわよね」
「…………」
「キトキ?」
「え……?」
未だに手をつけないお茶をみて、カズミが心配そうな顔で呼びかける。
「そんなわけないじゃない!だれが、キトキを心配そうな顔で呼びかけるって?」
……あ。失礼しました(汗) 訂正。
怒った表情でキトキを睨んでいた。
「いつまで、くよくよしているのよ!!男ならシャキッとしなさい!!」
だけど、珍しくカズミの叱咤でも、キトキはずーんっと落ち込んだままだった。
「だって……」
キトキの目からふと涙が零れ落ちてくる。
「だってさ……」
「そんなくよくよしているから、あんたはダメなのよ」
さて、何があったのか? それは昨日に遡る。
―――「っ……いったい何が?」―――
瓦礫の中からキトキはどうにか出ることができた。 そして、辺りを見たとき、体育館の存在はどこにもなかった。
―――「そうだ……みんなは!?」―――
―――「キトキ先輩、大丈夫ですか?」―――
後ろから右腕を抱えている少女が近寄ってきた。
―――「み、ミキ!?大丈夫?」―――
いつもは照れくさくて直視できないキトキでも、こんな非常事態は別。 ミキの押さえている右腕を心配する。
―――「うん。何とか大丈夫。それよりも、オト君やホープちゃんがまだ見つかってないの!」―――
―――「え!?……わかった!早く見つけ出そう!!」―――
周りを見ると、すでにカズミやタケノリ、アス、ヒトミと未来Xのメンバーとオトたちを探していた。
そして、数分後。
―――「シズトよ!!見つけたわ!!」―――
カズミが慌ててみんなを呼ぶ。 シズトは気を失っているようで、ぐったりとしていた。
それと、見つかったのはシズトだけではなかった。 シズトはホープを守るように盾になって彼女を守っていたのである。
―――「シズト……意外と男らしいところがあったんだな……」―――
ふと、タケノリが呟く。 さんざん、ホープのことで弄っていた彼にとっては、ちょっと彼について見直される行動だったに違いない。
―――「ううん……」―――
そして、ホープが先に目を覚ました。 それと同時のことだった。
―――「オトさんをみつけたよ〜」―――
ヴィヴァーチェのやや能天気の印象を持つ声が、キトキたちに知らせていた。
―――「つぅ……」―――
しかし、彼も一人ではなかった。
―――「大丈夫かい?」―――
オトは一緒にいたもう一人を気遣う。
―――「(え……?)」―――
その一緒にいた人物を見て、キトキは固まる。
―――「だ、大丈夫……やん……。オト君こそ……大丈夫かやん……?」―――
特徴的な語尾に独特のスリーテールの髪型。 キトキに見間違いはなかった。
―――「君が無事なら、僕も大丈夫だよ。……ほんとによかったね。ケガがなくて……」―――
―――「っ!!」―――
オトの優しい言葉と気持ちが伝わってきて、彼女はポーっと彼の顔を見つめる。 まるで魂を抜けたように放心していて、表情はほんのり赤かった。
―――「ゆ……ユミ!!」―――
このタイミングでキトキは急いで話しかける。
―――「だ、大丈夫なの!?ユミ!!」―――
返事がない。 ただの恋する乙女のようだ。(ェ)
―――「ユミッ!!」―――
肩をつかんで彼女を揺さぶるキトキ。 そうして、ようやくユミはハッとした。
―――「あ、キトキ君?」―――
―――「よかった……ユミが無事で……」―――
―――「う、うん。ウチは大丈夫やん!だって……オト君が守ってくれたからやん……」―――
―――「っ……!!」―――
そして、キトキは悟ったのだった。
―――「…………」―――
その様子をシズトを介抱しながらオトたちの方を見るホープ。
―――「どうかしたの?」―――
―――「もしかして、あっちが気になるの?」―――
そんなホープに近寄るのはヒトミとアスだった。
―――「……えっ?」―――
慌てて振り向くと、アスは意地の悪いような笑みをしていた。
―――「もしその気があるのなら、早くしないと、オトをとられちゃうかもしれないわよ?」―――
―――「……え?別に私は……」―――
と言いつつも、ホープは複雑な表情でオトを見て、そして、助けてくれたシズトと見比べていた。
―――「ちなみに、ヒトミも気をつけたら?」―――
―――「ふぇ?」―――
―――「もしかしたら、オトに心を奪われちゃうかもよ?」―――
―――「―――ッ!! そ、そんなことにはならないもん!! 私の心はすでにタケちゃんに…………っ!!」―――
そして、慌てて、ヒトミはその場にしゃがみこむ。 言ってて、恥ずかしくなったらしい。 その様子を見てアスは口を押さえて笑っていたと言う。
―――「という訳で、いつまでもくよくよしてないで、さっさと飛び出しなさい!!」―――
どういうわけだかわからないが、キトキはカズミに喫茶店を追い出された。 「……そんなこと言われても……僕はオトに勝てる気がしないよ……」
争うことが嫌いなキトキ。 このまま、キトキはユミのことを諦めてしまうのか……? そして、彼らの恋愛模様はどうなるのか……?
全ては……未定。
「ミキ先輩も覚えてないの?」
「うん。覚えているのは、リリス先生がステージに上がってきたところまでなの。その後の記憶はタケノリ君に呼びかけられてからしかないわ」
「…………。そうですか。ありがとうございます」
タケノリは深く考えた後、お礼を述べた。
「でも、どうしたの?」
「昨日起こった事……俺以外に覚えている奴がいなかったんです」
「う〜ん?フェザーさんもなの?」
「はい」
昨日の騒動で唯一意識があったのは、タケノリだけだったから当たり前なんだけどね。(苦笑)
「それに、最後にリリス先生は気になることを言ったんだ」
「気になること……?」
やっぱり、昨日のこと。
ヒロトはリリスの最大の一撃を掻い潜って、最大の一撃を叩き込んだ。 リリスは膝をつく。 そして、身体が闇になり、千切れるように消滅していく。
―――「これで…お前の…狂気によるボイス…圧縮と時間圧縮は…失敗だ……」―――
息を切らしつつ、ヒロトはガンブレードを消え行くリリスの首に突きつけて言い放つ。
―――「ふふふっ……アハハッ!!」―――
―――「何がおかしいんだ?」―――
―――「狂気によるボイス圧縮は失敗したわ。でも、時間圧縮はあたしを倒しても止めることはできないわ」―――
―――「何!?」―――
―――「時間圧縮……これは『神の意思』なのよぉ!!」―――
そして、リリスは跡形もなく消え去った。
―――「『神の意思』……だと……」―――
―――「……?」―――
「不思議なことがあったのね。そのあと、そのヒロトとシクーと言う男の子達は帰っちゃったのね?」
「そう。このリリス先生の言葉が示すことはわからない。でも、近いうちに何かがきっと起こると思うんだ」
タケノリはミキだけにこの話をしたのだった。
「何も……起こらないといいけど……」
39(現在編)
沈んでいく……
今まで培ってきたものがすべて沈んでいく……
苦しい……
体中に俺を蝕む何かがうごめいていて苦しい……
消えていく……
沈んでいくという感覚も、苦しいという思考も、全てが真っ暗になって消えていく……
死ぬってこういうことなのか……?
全てが無に還ることなのか……?
そこには白も黒もない世界なのか……?
俺は……無に……還る……のか……?
…………?
あれ……?
ここは……?
「あ、ラグナくん!!」
「(……天使……?……じゃねぇ!?)」
ゆっくりと目を開いた先にいたのは、茶色の髪のセミロングの女の子。 そして、ラグナが非常に気にかけていた女の子だった。
「……ミミ……か?」
「う、うん。そうだよ。ちょっと待ってて!今お医者さん呼んでくる!」
「待ってくれ……」
ラグナに呼び止められて、ミミは足を止める。
「一人なのか?」
背を向けていたミミが振り向く。
「うん。さっきまで、ネフライト君やエイ君がいたけど、先に帰っちゃった」
「そうか……」
「え!?ラグナくん!?」
「いっ……!!」
急に起き上がろうとして、顔を歪める。
「4日も寝たきりだったんだよ!?まだ寝てなくちゃダメだよ!」
「4日……そんなに俺は寝てたのか……」
呟くようにいうと、すぐに室内はシンと静まってしまった。
「わ、私……」 「なぁ」
2人が同時に喋ると、譲り合うように視線で牽制しあう。 そして、頷いたラグナが喋り始める。
「今更カッコわりぃんだけどさ……改めて言っていいか?」
「…………」
頷きもせず、ただミミはラグナを見る。
「俺はミミが好きだ。妹のミイじゃなくて、俺は姉の……お前のことが好きだ」
「…………」
「部活の時やクラスで一緒にいて感じたことがある。俺にとってミイと一緒にいるときよりもミミと一緒にいたときのほうが安心できた。ミイとお前は性格もスタイルも同じだから、何故かは説明できねぇ。ただ……」
ラグナは少々痛みで顔をしかめつつも言った。
「俺が選んだのはミイじゃなくてお前なんだ……ミミ。俺と付き合ってくれねぇか?」
ラグナは自分の言葉に後悔はしていなかった。 この告白が後にどんな展開になるかなんて、わからない。
ただ、一つだけいえる。 ラグナは意外に純粋な奴だということ。 これだけは確かなことだった。
そして、ミミはラグナにその答えを告げるために口を開いたのだった…………
「…………」
ここは……どこだろう?
「…………」
とりあえず、辺りは霧に包まれていた。 あまりにも霧が濃すぎて、周りなんかまったく把握などできなかった。
いや。そう思ったのは、つい今まで。 徐々に霧が晴れてきた。 視界がどんどん開けてきたのである。
「……ふっ」
しかし、その人物はあざけるように鼻で笑う。
「こうでなくては面白くはない。次回は私の力を見せてやる……」
と、その人物は言った。
だけどゴメンね。 このシリーズは今回で終わりだから、君の出番はないよ。
「狽ヲ?なに!?待てっ!!」
終わり?
☆キャラたちの履歴
コールはアンリには勝てはしないのだった。 アンリはいい加減コールに諦めて欲しいのだった。 ルイは昔の月の恵のリーダーだった。 カズハは昔から意外と抜けてるところがあった。
ユウナは本日はあんまり活躍してなかった。(ラブシーン以外は(ェ)) ユキヤはジェードの影を撃破する活躍を見せた!(『武蔵の竹刀』は経験地を1.5倍にします) ユウトはヒロトとシクーをアシストする活躍を見せた。(ユウナともラブラブ(ぁ)) ユウは天海と綺咲のラブラブスクープを手に入れる活躍を見せた。(後に天海によって消滅) 悠火は何だかんだで、一番活躍していたと思う。(Yネット&悪戯の翼) シシーは暴れたり、居候したり、せわしかったと思う。(今後の活躍、期待してます!) 衣杏は食に関してはかなりうるさいと思う。(腕は悪いけど) ホタネは悪戯に関してはトップクラスの実力を誇る。(しかし、学園ではまだ振るわれたことってなかったかも(汗))
コトキはいつもどおりセレナに振り回される運命にある。 セレナはコトキを振り回す運命にある。 奈月はにゃんこ大魔神が付きまとう運命にある。 封真は奈月によって苦労に振り回される運命にある。 奏は……私から見てよくわからないキャラである。(オイ) ニクスは非常識キャラたちを相手に日々立ち向かう運命にある。 ドルは心の中でいつもいつも相手を罵る運命にある。 ナズナはコウとは結ばれない運命だと思う。 ヴェルはいつもいつもナレーションの邪魔をしてくるからムカつく。(ェ) タチバナは実況をする上では意外に扱いやすかったと思う。
ミライはラグナの幼馴染で好意があったが、今回の事件で評価がガクッと下がった。 スイレンはショウのこともあり、ラグナ(白ナ)の優しさに心が揺らいだが、今回の事件でかなり嫌いになった。 ミイはラグナのことが本当に好きだったが、今回の事件で相当深く傷ついた。 ラグナは知らず知らずのうちに事件に巻き込まれて、憐れだと思う。……けど、同情はしねぇ!(蹴)
リズオはのんびり屋でおじいちゃんっぽい。 マコトは慌しいと思うけど常識的っぽい。 ミオは甘い物が好きで子供っぽい。 響香はラグナとトキオと同じ匂いがする気がするっぽい。 トキオはやっぱりシスコンっぽい。 カズミはこのときはまだ幼かったっぽい。
オトはクールで人望が非常にあるという設定。 キトキは打たれ弱く争いごとが嫌いで努力する人という設定。 カズミはムチムチのお姉さんという設定。 タケノリはオトとコンビを組むことで最強の黒キャラになるという設定。 ミキはしっかり者のお姉さんで一番常識的という設定。 ホープは純粋で周りを癒してくれる存在という設定。 シズトはメンバーの中では最年少で女装が一番上手いという設定。 アスはミキやシズトを弄るのが大好きで、かなりマイペースという設定。 ヒトミは史上最強の萌え弄られキャラという設定。 ユミは元気なマイペース屋さんで恋愛事には関心が薄い設定…………でした。(過去形)
フェザーはVGからのゲスト出演です。 ヒマザはCOMからのゲスト出演です。 ヴィヴァーチェはFCからのゲスト出演です。 レイナは外伝からのゲスト出演です。 ナルミはWWSからのゲスト出演です。
モトキは世界一のギターリストを目指して一歩踏み出した。 オトハは新たな世界を見るために一歩踏み出した。 コトハはタイチと付き合って、新たな一歩を踏み出した。 トランはユニゾンツッコミを取得して、新たなツッコミの道を踏み出した。 ミズキは女ツッコミ師として、新たなツッコミの可能性を開拓した。 テンは作詞家として、新たな一歩を踏み出した。 青乃はテンのサポーターとして、(何故か)新たな道を踏み出していた。 莉徒は月の恵の常識人として、新たな道を示し始めた。 ナツキは新たな道を見つける前に、寝ていて、今歩いている道さえも見てないんじゃないかと思う。 コウはマスコットとして、新たな可能性を開拓した。
ティシアは何故かわからないけど、コウの言いなりになっていた。 タイチは何故かわからないけど、コトハと付き合っていた。 エイは何故かわからないけど、セリンと付き合っていた。 セリンは何故かわからないけど、料理が壊滅的にまずかった。 ヒロトは何故かわからないけど、無事に現在に帰っていた。 ココロは何故かわからないけど、魔女じゃないのにゴーレムが作れた。 シクーは何故かわからないけど、未来へ行った時は強かった。 リリスは何故かわからないけど、ボスキャラになっていた。
40
―――そして、事件があった時から数日経った日の朝。
「う〜ん……今日も元気にがんばりますかっ!!」
タマムシの校門に立っていたヒロトは伸びをしていた。 そのヒロトを横切るように、たくさんの生徒達が校門を通って、教室へと入っていく。
「……あれ?」
しかし、ヒロトは何故か違和感に駆り立てられる。
「なんか見かけない生徒がかなりいるような……?」
「ヒロト先輩ーっ!!おはよーっ!!」
「お。おはよう!」
ヒロトに向かって走ってきたのは、月の恵のボーカルのコトハだった。
「今日もいい天気ね!」
「そうだね」
「ふわぁ……」
そこへあくびをした少年が通りかかる。
「よっ!シクー!」
「あ、ヒロト先輩、コトハ先輩。おふぁよぉごはいます……」
よっぽど眠いのか、挨拶の言葉があくびで歪んでいた。
「おはようございます」
「おはよう!!」
ある2人が校門にいる3人に挨拶を交わした。 そして、驚くことになる。
「え?」 「なっ!?」 「は!?」
3人は驚いてそれ以上の声が出ない。
「どうしたの?」
「どうかしたの?」
コトハともう一人の女の子が3人に問いかける。
彼らが驚くのも無理はない。 シクーとヒロトが見たその2人とは、タケノリとミキだったのである。
当然、タケノリのほうも驚きを隠せない。
「なんで、2人が未来からこっちに来てんだ!?」
「いや、そうじゃなくて、何で過去の世界の2人がこっちに!?」
シクー、ヒロト、タケノリは呆然とするしかない。
「本当にどうしたの?シクー、ヒロト先輩、“タケちゃん”」
「え?」
慌てて、タケノリはコトハを見る。
「何で俺の名前を……?」
「……?」
コトハは怪訝そうな顔で首を傾げる。
「同じ月の恵のメンバーなのに名前を知らないはずがないじゃない。どうしたの?記憶喪失なの?」
「そういえば、私はコトハさんと同じ学年でボーカルをやっていたかも……」
「ミキ先輩まで!?」
そして、3人は悟った。
「まさかこの状況……」
「時間圧縮が完了している?」
「しかも、その事実を知っているのは俺たちだけということか!?」
3人は固まった。
「大丈夫?」
「保健室に行く?」
様子がおかしい3人をコトハとミキはジーッと眺めていたのだった。
☆未来編と現在編が時間圧縮されて、未来編の月の恵のメンバーが使えるようになりました。(ぁ)
そして、タマムシ大附属学校シリーズ第2部が幕を開けた!!
ほんとに終わり
アトガキ
早速ですが問題です。 月の恵編終編に出てきて歌われた3つの曲の名前を答えてみてください。 正解者の中から抽選でギアスを進呈…………しません! この前は大変だったんだから!(ぁ)
さて。ようやく月の恵編が完結!! 長いー長すぎるー!!結局、250kbOVER。 冒頭でも書いたように当初の予定が150kbだったのに、シリーズ2とシリーズ3をあわせた容量よりも多くなるっていったいどういうことですか(汗)。 やっぱり、未来編が多くなる原因だったのでしょうか(汗)。 だけど、未来編は書いてて楽しかったですけどね。
月の恵編ということで、もちろんメインは月の恵に関する話でした。 だけど、何故か途中でアンリとコールがケンカしたり、シシーvsサイアスの話があったり、ラグナの恋愛話があったり、脱線しまくりですね(爆)。
そして、好評だった未来編のキャラも参戦が決定!! よりいっそう、タマムシ学園は凄くなっていくことでしょう。
って、これ以上容量が増えるとイヤだから、この辺にしときます。 多分、アトガキスペシャルもやることになるだろうし(苦笑)
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[660] |
- クロム - 2009年01月18日 (日) 21時19分
250kbって…。COMジョウト篇に匹敵するとんでもない長さになりましたね(汗)。 まあ、あれは1話毎のの長さが大した事無かったからなんですけどね(蹴殴)。 それでもやっぱり、長いとは思いました。
フィル「それにしても、何かごちゃごちゃだね…。未来編と現代編が融合しちゃったんだから…」
まあ、今後更に使用できるキャラが増加すると言う事ですね。 で、そうなると一番やってみたいのが…。
フィル「何?」
腹黒コンビ同士による暗躍物語(爆)。
フィル「狽アの上なく不穏な空気を漂わせる話になりそうで怖いよ!!(汗)」
だけど今は、学園小説Vを完結させることが先決。 これが終わってから、後のことを色々と考えよう。
という訳で、相変わらずの『感想になっていない座談会のようなもの』をお送りしました。
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[661] 狽ネにぃ!? |
- 日乃 水葉 - 2009年01月18日 (日) 22時38分
ミオ「・・・えーっと何、どした?」
いやいや君さ、何でって・・・! なんかとんでもない展開というかオチだったじゃん!?
奏「・・・まぁ確かにそれはいえ・・・ってか待て!青乃h」
え。別にいつもいつも自己完結する必要もないかなと。 ってか片思いのままここでは終わらせていい?
奏「・・・待てこら、俺は無視かよ?」
響香「それはそうと・・・あれ?ミオ、いつの間にホットケーキ食べてるの!?しかもメープルシロップかけすぎじゃない!?」
狽、ホントだいつの間に!?
響香「剥者も気づいてなかった!?」
ミオ「ん?・・・まだ少ないぜ、俺的にはこれぐらいなんて(さらっ)」
奏「狽「やこれは少ないって言える量じゃねーけど!?」
おかしいな。 確かに甘いもの好きな設定なんだけど、ここまで制御不能じゃなかったはずだぞ・・・なのにどして?
響香・奏「「僕(俺)が知るかっ!!」」
ミオ「・・・・・・もう少し食べたい」
「「「柏Hべるの早っ!?」」」
作者である私と響香&奏の力ではどうしようもできなさげなのでミオは放置します(汗) ・・・あれ?まともな感想じゃない?かも?
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[662] |
- アット - 2009年01月19日 (月) 00時30分
結局ノーバディもハートレスも出現しませんでしたね。
シクー「伯セう事はそれなの!?」
さて、現在編と未来編が1つになりました。 ちなみに現在編が♂で、未来編が♀です。
ナツキ「どうぞお幸せに、ですわ♪」
シクー「いや、ぜんっぜん意味分かんない……(汗)」
これでオトやタケちゃんを始めとした新たなメンツが、学園を賑わせてくれる事でしょう。
……あれ。 でもそうなると、月の恵ってメンバーどんぐらいになるんだろ(汗)。
シクー「あー、確かに。ナツキちゃん、いま何人ぐらい?」
ナツキ「Zzz……」
シクー「柏Qるなー!!」
しかし、確かに相当長かった……。 一通り読みはしたけど、内容全て覚えていられる自信はないかもしんないので、ごめんなさい(ぇ)。
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[664] |
- 零崎 夜識+六識 - 2009年01月19日 (月) 11時53分
ミズキ「・・・穿かないからな、スカートは」
ミズキは演奏後、そう呟いた。
っつか、何で穿かないの?
ミズキ「お前が聞くのか・・・いや、なんつーか、ヒラヒラしたのとか女の子ーっての、何か落ち着かなくて・・・」
・・・ま、だからイジられるんだけどね(ボソッ)
あ、それとー。どうでもいいけど「イヤらしい」、ちゃんと漢字にしないと別の表現に見えますよー!!
ミズキ「・・・それは確かに」
ミズキがそう言ったのと同時。
ドスッと音がして、ミズキは意識を失った。
???「・・・ふん。成る程。未来と現在が繋がったか。」
ミズキを一撃で気絶させた男は言う。
???「・・・さて、私もそろそろ動くとするか。例の噂の正体も知りたいしな」
彼は・・・『詐欺師』はそう言って、ミズキをその場に放置すると、学園内へと入っていった。
シキ「・・・?」
イオ「シキ君、どうかしたんですか?」
中庭。2人はバカップル食事をしていた(ぇ)
シキ「・・・この学園に、何かが起きている」
シキはそう言うと、弁当をイオに渡した。
イオ「異変・・・ですか?」
零「ああ。・・・時間の圧縮だ。」
零は突如として現れた。
シキ「・・・時間の圧縮?」
零「まあ元々あったんだが、それが広がったようだな。おかしいと思わなかったか?ワーグルとナユ・・・はともかく、ミズキとイオの歳に差が不自然だと」
2人「・・・・・」
ミズキとイオは親子だ。だが、その歳の差は10歳未満
2人「この学園だから」
零「まあそうだし作者の手抜きでもあるがな」
ぐっ・・・!
零「・・・ついでに、何か『悪意』が入り込んだようだ。警戒すべきだな」
零はそう言って、どこかへと向かった。 こうして、『異変』に気付いたのは彼らもいるが・・・?
零「(この異変・・・術式・・・?いや、違う・・・)」
零は・・・
さて、タチバナは随分と活躍したようだね。
ナギ「うん。『タチバナは実況をする上では意外に扱いやすかったと思う。』だって♪流石作者のキャラでは少数派の『・・・』が殆どないキャラだよねん♪」
・・・
ナギ「あらら、黙っちゃった(汗)」
とりあえず、ありがとうございました
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