タマムシ大附属学校
ポケモンのオリトレ小説、学園パラレル企画掲示板。
要するに、オリトレ達のドタバタ学園コメディ(待て)。
物語がどう突き進むかは全く不明ですが、何はともあれ楽しみましょう。
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[491] 破壊(その4) |
- アット - 2008年07月02日 (水) 22時23分
【注意事項】
今回、内容は相当ダークです。 ていうか、もはや学園内容じゃないですし(ぇ)。
いや、見る人によりけりなので、この程度全然平気って人もいることでしょう。 しかし、暗い話が苦手な人は見ない方がいいと思います。
警告した以上は、見た事で不快に思われても僕は知りません(待て)。 ていうか、それなら見ないままでいてほしい(ぇ)。 後で後悔するぐらいなら、いっそ閲覧しないでおいてください。
とりあえず暫定ですが、学園でこういう話は今回限りにするつもりです。
某月某日。 タマ大附属校に、デイサゲと名乗る男が現れた。 生徒は無残に、次々となぶり殺され、あっという間にそこは地獄絵図と化した。
……と思いきや、実は被害者はすべて『人形』に摩り替わっていた(ぇ)。 結果、負傷者はデイサゲと直接に相対した、ダイスケのみ。 全ての生徒には、かすり傷1つもつけられる事無く終わったという。
「…………」
あの時は、『そう返すしかなかった』と……。 少女は、今更に後悔していた。
「…………」
ならば、拒絶していればよかったのか。 相手が必死の想いで導き出した答えを、全て否定してしまえば良かったのか。
そんな事、できるはずもない……。
interlude.
影の王は、蔑み混じりの笑みで問いかける。
「お前さ。なんで自分が不器用なのかって、考えた事ねーのかよ」
それは、塀(へい)の上に腰かける少年だった。 影の王という呼称は、自ら名乗った訳ではないし、かと言って誰かがそう呼んだのかも定かではない。 そもそも、本当に彼が『王』たる器なのかも怪しい。 ほとんどの者が見ても、彼のことを『王』だなどという印象を受けないだろう。
ただ、それでも何故か彼の呼び名は、影の王だった。 学年はダイスケと同じであり、フェンシング部に所属してるとか何とか。
「確かに不器用だな。けど同時に、やっぱお前は『完璧主義者』だよ」
「……はぁ」
ダイスケは、素っ気無い態度しか取らない。 だが、それは常のこと。 影の王も、今更それを気にする訳でもない。 相手が聞いてるかどうかは別に、自分勝手に述べるのみである。
「そうだろう? お前は、100か0かでしか選択しない。というより、自分で100と思わない限りは、0以上にしようとしねぇだろうが」
塀から飛び降りる、影の王。 気づけば彼は、ダイスケの正面で顔を近づけていた。
「完璧主義者はプライドが高い人間だと思われがちだが、そうじゃねぇ。本来、完璧主義者ってのは、失敗を必要以上に嫌がる人間のことだ。 それはプライドと関係なしに、『自分が動いたせいで失敗すること』を極端に恐れる。『失敗するぐらいなら動かない方がマシ』だと、勝手に決め付けてやがるんだよ」
「……はぁ」
「動かないのも、確かに1つの選択肢。だが時として、『動かない事自体が失敗』となる場合があるのも事実。お前は、そこに気づけてないんじゃねぇのか?」
一振りの刺突剣を抜き取り、影の王は切っ先を向けてくる。 もちろん、そうなればダイスケとて、ぼさっと突っ立ってはいない。
剣を抜いたというのは、干渉の意思表示である。 ならば、相対するのは至極当然の流れだ。
「ふっ」
ダイスケは、淡白に刀を抜き、振るう。 ただしその剣筋は、達人に目を見晴らせるほどの閃光。 淡白で、無駄な熱がこもっていないが故の、ムラの無い斬撃を生む。
下手な武芸者ならば、瞬時に両断するであろう、それを……。
「…………」
影の王は無言に、これまた淡白な表情で、片手で白刃取りをしてみせていた。 代わりにダイスケの喉元には、刺突剣の切っ先がつきつけられている。
「もう少し、本気(マジ)でやれよ。……**?」
「…………」
ただし、それは口だけだ。 影の王からは、大した殺気は感じ取れない。
「お前さ。素で、自分が変わり者だと信じきってるのか? それとも無意識の内に、『変わり者でありたい』と望んでるのか?」
相手が本気で殺しにかかってきたら、もちろんダイスケは即座に対応の動きを見せていただろう。 しかし、少なくとも今この瞬間、敵に殺気はない。 ならば、無闇に先に動いて仕掛けるのは、得策ではない。 実際……影の王は、ダイスケの首筋に当てがっていた切っ先を、ゆっくり離していく。
「ついでに言っておくとな。お前の剣、誰かを護る為にはまるで向いてねぇ」
「……はぁ」
「自己防衛ならば、お前はこの上なく強いだろう。しかし誰かを護る時、それはどうしても『攻め手』が必要になる。 お前の性質は、引きこもりに特化し過ぎてるからな。自分が耐える事においてはこの上ないが、攻撃となると……並みの相手なら問題ないだろうが、通用するのはせいぜい一流の弱止まりって所だ」
影の王は、自分の得物を鞘に収めていく。 やがて、思い出したかのように、つかんでいたダイスケの刀もパっと離してみせた。
「ダイスケ。お前、何で自分が不器用か分かってねぇだろ」
「…………」
「コミュニケーションが苦手だからでも、片耳が聞こえないからでも、ましてやお前自体が変わり者だからでもない。 そもそも、誰がお前を変わり者だと決めつけた? そりゃあ、今までにはそんな奴もいたんだろうが、最終的にそう決め付けてるのは他でもない、お前自身だろう」
ダイスケは、何も喋らない。 喋りたくないのか……いや、喋る必要がないと考えているのかも知れない。 逆に、一方的に話し続けるのが影の王。
「お前が不器用なのは、単にお前自身、頑固過ぎるだけだ」
あえてここでは、影の王の口でのみで伝えるものとする。 描写文を使って訴えることは、あえてしない。
なぜなら、口に出さない訴えに力は宿らない。 どちらにせよ強さのこもらない語りかも知れないが、それでも言葉に出さないものなど、なおのこと伝わるハズがないからだ。
「ちょっと変わった事や、自分が至らない事があったとしても、それはそれって受け入れりゃいい。なのにお前は、頑として受け入れねぇ。周りがお前を拒絶してるんじゃなく、お前が周りを受け入れる事を拒絶してやがるんだよ」
「……はぁ」
「僕がお前を完璧主義者と呼ぶのは、そういう所だ。……あぁ、至らない事があればお前の場合、所詮そんなもんだと諦めるんだっけか。けど、諦めたならそれは結局『0点』でしかない。『0点』と『100点』の間の、『半端な得点』を、お前は嫌がってるんだ」
「…………」
「この前の、告白の返事にしたってそうだ。『自分の気持ちが分からないから保留』って、つまり理解度が100点に至らない限りは、結果を先延ばしにするって意味だろ。ちょっとでも好意があるなら、その好意というものの理解度が20点でもいいから、『試しに』付き合ってみるという選択肢もあったはずだ」
「そんな回答は、早計です。安易に結論を急いでも、いい結果にはなりませんよ」
そこで、唐突にダイスケは言葉を出す。
今までは回答しなかった、あるいはする気がなかった。 でも、この点においては違ったのだろう。 自分が悩み、その上で導いた結論だったからこそ、すっぱり言い切る事ができた。
「物は言いようか。俺に言わせれば、無闇に結論を先延ばしにしたところで、いい結果にはならねぇんだがな」
と、真逆の回答を返す、影の王。
「お前は安易な結論で、誰かを傷つける事を恐れているようだがな。逆に、結論を先延ばしにする事で、誰かが傷つく可能性を失念してねぇのか?」
「…………」
「お前は、安易な結論を出さなかった。が、『安易な先延ばし』を選んじまったんだよ」
ずいっと、再び影の王は顔を近づける。
「20点の回答を馬鹿にしない方がいいぜ。むしろ、それが『世間的には普通』だ。お前は自分だけが低い点数であると、それが『自分のズレであると勝手に誤認』してやがるようだがな」
「…………」
「それともお前にとって、今回の答えが20点のつもりだったのか? だが、結局は保留にして、己の理解度が100点に至るまでは、次の結論を出さないつもりなんだろう。 そんな、延々と保留を続けた後の『無期限の末の100点』になど、意味はねぇ。その事に、まだ気づいてねぇようだがな。この完璧主義者は」
そこまで話して、ようやく影の王はきびすを返した。
「まぁ、小難しい話はやめだ。要は今回、お前の『安易な先延ばし』が、とある一輪の花を確実に踏みにじった」
それが、影の王が言い放つ最後の言葉。 次の一言のみを残して、彼の姿は消えて失せた。
「せいぜい、後悔しやがれ」
interlude out.
――私は、最低だ。
――それは、子供のわがままとは訳が違う。 ――罪深き思考でしかない。
ホナミは、うずくまっていた。 頭を抱えたまま、微動だにしない。
ダイスケの気持ちが、伝わらなかった訳ではない。 むしろ、彼の言い分はよく分かった。 分かったからこそ、やるせない。 彼の回答は、ある意味、ホナミが最も欲しくはない言葉だった。
――私以外の、他の誰かを選んでいたなら、その方がよっぽど良かった。
――私に全く興味がないなら、その方がよっぽど良かった。
――たとえ彼が答えを見つけられなくても、選んだ誰かと一緒に歩み出す姿を見れたならば……。 ――それが私以外だったとしても、その方がよっぽど良かった。
――それなら、まだ諦めがついたはずだから。
――恋愛というものが分からないなら、分からないままでも構わない。 ――分からないなりにも、彼が誰かを選んでいたなら、私は祝福した。 ――選んだ相手が私以外だとしても、彼が新しい一歩を踏み出していたなら、私は祝福していた。
――……否定するな。
――あれこそが彼にとっての、新しい一歩だったはずだ。 ――だから、否定するな。 ――あんなの新しい一歩じゃないだなんて……そんな下劣な感情、抱くんじゃない。
――でも、何故だろう。 ――どうして彼は、あそこまで自分に否定的なのだろう。
――貴方は、変わり者などではない。
――貴方は、不器用なんかじゃない。
――貴方は、立派に生きている1人の人間だ。
――私が、保障しよう。 ――たとえ貴方以外の全てを敵に回しても、私は死ぬまでそれを保障し続けよう。
――だから貴方には、新しい世界を見てほしかった。 ――告白したのは、貴方の事が好きだから。
――けれど、それ以上の願いは、貴方に新しい世界を見てほしいこと。 ――私の願いなど、成就しなくてもいい。 ――ただ、きっかけを作れれば、私はそれで満足だった。 ――だから、他の誰かが選ばれていても、私はそれでも一向に構わなかった。
――貴方は変わらず、貴方のままでいてほしい。 ――変わらなくてもいい……けれども、新しい世界を見てほしい。
――……違う。 ――彼が出した答えは……あんなのは、新しい世界ではない。
――……違う。 ――彼が悩み抜いて出した答えこそが……彼にとっては、新しい世界なはずなのだ。
――だから、拒むな。
――拒むんじゃない。
――人が悩み抜いて出した答えを、何踏みにじろうと考えてるんだ、この下劣。
――私という人間よ。 ――お前は、最悪だ。
――人が悩みの末で出した結論を、まるごと否定している。 ――彼の悩みが無駄だったと、決め付けにかかっている。
――この、最低のメスが。 ――お前など、彼の近くで立つだけの存在にすら、値しない。
「だから、何度も言わすな。ごちゃごちゃ言ってねぇでさっさと殺しちまえば、こんな面倒にはならないだろうが」
ブシュっ……!
それは、何かの悪夢だろうか。 それとも、芝居?
……いいえ。 悪夢でも、芝居でも、ましてや冗談などでもない。 一瞬の現実。 現実と見ないのは、逃げているだけでしかない。
デイサゲは、再び学園に姿を見せていた。
このデイサゲは本物か、偽物か?
ダイスケ自身が奈落に陥る前に、容易く現れてみせたのだ。 ならば、偽物と捉えるのが妥当なのであろうか。
デイサゲが本物か偽物かは、正直どうでもいい話である。 あるのは、1つの現実でしかないのだから。
やってきたその場所で、ダイスケが目の当たりにした光景だった。
刃の切っ先が、ホナミという1人の少女の、胴の中央にめり込んでいく。 針の穴に糸を通すように、すんなりと貫いていく、凶器という名の刀。
血のしぶきは、花壇を染める雨となった。
ダイスケは、駆け出していた。 自分が何かを叫んでいたのか、それとも何も言わず終いだったのか……それすら、自覚できなかった。
「……あ……」
感覚が消えていく体に、かすかな温もりを感じられた。 目はぼやけてきていたが、それが『彼』であることだけは、確かな確信を持てた。
「……ごめんね……。……ダイスケ君の……望み……私は……お手伝い……できなくなっちゃっ……。っ……」
溢れ出る血を抑えるでもなく。 自分の涙を拭くでもなく。
ホナミはただ、ダイスケの零す涙だけを拾っていた。
「……泣かない……で……貴方は……悪くない……」
苦痛にさいなまれた笑顔で、彼女は諭す。
「……ただ、……私が弱かっ……のが……罪……っ……た、だ……け……」
ダイスケが、彼女に何かを呼びかけようとした時。
ホナミは、事切れていた。
『学園編におけるホナミの全設定データが削除されました』
《3つのルール》
タマ大附属校を取り巻く、世界の三大法則。 どのような由来で生まれ、何のために存在するのか、一切不明。 運命そのものとも呼べる最強のフラグである。
特定のキャラにランダムで作用し、様々な事象を形作る。 全く影響を受けないキャラも多く、その者が影響を受けるか否かに法則性は存在しない。 現在もいくつかの法則が判明しているが、今後も新たに発見されるものも出てくるかも。
【ルールσ(シグマ)】
連鎖のフラグ。 あるスイッチが入るの事をキッカケに、連鎖的に特定事象を発生させる法則。 また、このルールは『本編と学園編において共通かつ同一のものが存在』する。 定義は、以下の通りである。
{『事象A』発生時、『条件B』が満たされなければ、『結果C』が発生する。}
今回発生した内容は、以下の通り。
事象A=『ダイスケへのホナミの告白』 条件B=『告白返答時までにダイスケが異性の誰かと恋人同士になること(ただし期限は一ヶ月)』 結果C=『ホナミが殺害される』
つまり、カップル成立相手がホナミである必要性はない。 とにかく異性を恋人にできれば、ルールσに勝利。 それが達成できなければ、敗北。
この場合、どれほど恋心が芽生えているかは問わない。 要するに、「気持ちの整理は完全じゃないけど嫌いな相手ではないし試しに付き合ってみよう」で可。
ルール破壊条件は、ヒカリが宝具『破局すべき契りの符(フラグ・ブレイカー)』を服用すること。 ただし、それによる反動は不明。
【ルールγ(ガンマ)】
反転のフラグ。 本編と学園編において、『対象X』はどちらか一方で必ず『対象Y』とCPが成立し、もう一方では必ず破綻する。 優先順位が学園編側にある為、学園編側での決定事項が、そのまま本編に影響するフラグと化す。
現在判明している、この連立方程式の対象Xおよび対象Yの値は以下の通り。
対象X=『コトキ』のとき、対象Y=『セレナ』。 対象X=『タイチ』のとき、対象Y=『ティシア』。 対象X=『ラグナ』のとき、対象Y=『美少女』。 対象X=『コウ』のとき、対象Y=『PMAキャラ』。 (ただしラグナのみ当方程式は破壊済み)
例えば、コトキとセレナを例に挙げた場合。 学園編でコトキ×セレナが成立すると本編で破綻し、逆に学園編で破綻すれば本編で成立する。
破壊条件は、ヒカルが宝具『破局すべき契りの符(フラグ・ブレイカー)』を服用すること。 破壊による反動は、無差別に別カップリング1つが破綻。
【ルールω(オメガ)】
終末のフラグ。
表面: カナは学園編において、全知全能の存在である事の定義。 破壊条件、および反動も不明。
裏面: 詳細不明。 破壊条件、および反動も不明。
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[493] 『この世で尤も美しい事は、もっとも残酷な事でもある』 |
- だいす けん - 2008年07月03日 (木) 20時33分
茫然自失。 ホナミだった亡骸を胸に抱き、ダイスケは固まっていた。
「…死んだか。いわゆる『薄幸の少女』って奴だったな。もっとも俺にしてみればうっとおしいだけの奴だったが」
刃についた血を振り払い、刀身を肩に担ぎデイサゲは吐き捨てた。 彼の言葉を受け、ダイスケは振り向く。 その表情は冷たく、感情の動きが全く見受けられない。
「ふふん、嫌に冷静だな。するとお前は、無意識のうちにこうなる事をも予測してたって事か? まあ俺にはどうでもいいことだがな」
無言のダイスケを前に、デイサゲは虚空で刀を横に薙いだ。 すると刃が通り抜けた空間が一直線に裂け、そこに光り輝く階段が現れた。
「……!」
この光景を目にしたダイスケの顔に驚きの色が浮かぶ。 それを満足そうに眺め、デイサゲはにやりと口元を歪めた。
「いいか、俺がその女を殺したのはうっとおしかったからだ。誰に頼まれたわけでもねぇし、誰の意志によるものでもねぇ。だが『結果としてそうなってしまう』のは我慢できねぇ。俺が俺の為にやった事が、俺の大嫌いな連中の思う壺になるなんざ死んでも御免だ。今回の俺の行動は、結果としてこの女の望むものになった。他にも望んでいる奴がいただろう。どこのどいつかしらねぇが、なめた野郎だ。『理を破る者』を御する事が出来るとでも思ってるのか?」
クククと愉快そうに笑うデイサゲ。 言うほどこの状況に檄していないらしい。
「……それで。どうするつもりなんですか、あなたは」
抑揚の無い冷めた口調で、ダイスケが問う。 デイサゲはそれには答えず、手元の刀を放ってよこした。
受取ったそれを、ダイスケはまじまじと眺める。 直刃の反りが少ない刀身は鈍く輝き、見る者の心をはっとさせるものがある。 長さはいわゆる脇差程度だが、その内に秘められている力は相当のものだ。
「……これは?」
「野暮な事を聞くんじゃねぇよ。お前も知ってるだろうが。達人が使えば、人間が持つ一切の煩悩を一振りで断ち切れる業物、『白楼剣』だ。俺が持ってるといずれ壊しちまうからな。お前が持ってろ」
「……………はぁ」
あぁ、やっぱりそうだったかとダイスケは内心ため息をついた。 どこかで、半人半霊の庭師の少女が滂沱していそうだなと旨のうちで呟いておく。
「……で? こんなものを僕に渡して、どうしろというんですか? まさか、あなたの我侭に付き合えというんじゃないでしょうね」
半分目を開いた状態、いわゆるジト目をして言うダイスケに、デイサゲはまた満足そうに口元を歪めた。
「なんだ、よく分かってるじゃねぇか。ならいちいち言う必要もないな」
「必要大有りです。はっきり言ってもらえないと理解できません」
「知るか。今重要なのは俺がどうしたいかだ。お前との皮肉の応酬を愉しむ事じゃねぇんだよ」
それだけ言うと、デイサゲは踵を返し階段を昇り始めた。 あまりにも大雑把で投げやりな態度に、ダイスケは深く嘆息する。 こういう性格の相手だということは重々承知しているのだが、それでもこんな風に振り回されると色々な意味で疲れてしまうものだ。 もっとも、そういった面も含めてデイサゲがデイサゲであるという事でもあるのだが。
「おら、何ぼさっとしてやがる。さっさとついてこい。他の連中に見つかると面倒だろうが」
デイサゲに促され、渋々ながらダイスケは後に続いた。 しかしその歩みは数歩で止まる。 どうしても、今どうしても言わなければならない事があるからだ。
「……あの、さっきあなたは誰の為になることもしたくないといってましたけど、これも結果としては僕やホナミさん、そしてその他の存在の為になるんじゃないですか?」
先程のデイサゲの発言の揚げ足を取るダイスケの物言いに、デイサゲはふんと鼻を鳴らす。
「たまたまだ。たまたま俺がする事がお気に入りのお前が望むことだった。それが他の連中にとってどうだろうと知るか。俺が満足できればそれでよし、不満ならぶっ壊す。それだけだ」
あくまで、自分のしたいことだからという姿勢を変えようとしないデイサゲを見て、ダイスケは微笑を浮かべた。 彼は嘘を言っていない。言う必要がないからだ。 今の発言は彼の本心であり、彼の行動原理そのものだ。 他の人間だったら『ツンデレ乙』とか『人間臭い』とかそういう結論になるだろうが、それは当てはまらない。 それを当てはめるには、デイサゲはあまりにも巫山戯た存在だからだ。 そして、それはダイスケもまた然り。
「……影の王。お前の言葉は僕には届かない。お前の事を知らない僕が、お前の言葉で意見を変える事はない。お前の意見は、あくまでもお前の意見だ。僕にとっての真実ではない。……それともう一つ」
ダイスケは立ち止まり、後ろを振り返った。 その視線の先にはオオバコの花が咲いている。
「……単に踏みにじられただけで、自ら全てを投げ出すような花なんか存在しない。お前は、花を軽んじた。僕は、それが許せない。……今の僕と、同じぐらいに」
再び、ダイスケは階段を昇り始めた。 その後姿が光の波の中に呑まれ、消えるよりも先に開いた空間は閉じ始め、やがて何の痕跡も残さず全てが消え去った。
>学園掲示板におけるダイスケのデータ、『一時消去』確定
続くかな??
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[495] |
- ガルダ - 2008年07月04日 (金) 19時04分
ギル「けっ、ここでは死人なんざ出ないと思っていたがなぁ……拍子抜けだぜ。」
???「…今回の事態は、ここで起きるべき事態では無いな。もっと別の場所でやるべきだった。」
だが、俺は待っていた、このような事態になる事をな。…近い内に『アレ』が飛ぶ。
???「…あれか。だが、あれがここに落ちたところで、誰も影響を受けないとは思うが。」
それでいいんだよ、後始末に余計な茶々が入らずに済む。 …ルールσには明確に『CPのみに影響を与える』とは書いていない。つまり他の事態があってもなんら不思議ではない。
???「それについてだが、近い内に会合を開くそうだな。」
ああ、今後の事態について話し合いをやっておく。 とりあえず、それの準備を始めるとするか……
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[496] 巻き込まれなかった事が奇跡だとしか言い様が無い(汗)。 |
- クロム - 2008年07月05日 (土) 19時31分
クロム「フラグ・ブレイカーの余韻で、ここまでの被害が出るとは…(大汗)。」
マサシ「ああ…。まさか、死者がでるとは夢にも思わなかった。」
アヤ「正直言って、恐いわ…。下手したら、私達だってこの事態に巻き込まれていたかもしれないんだし…。」
クロム「下手に僕がマサシのCP候補キャラを作りすぎたとはいえ、これは運がよかったとしか言い様がないね(汗)。」
ユイ「でも、私とマサシなら絶対大丈夫だよね♪」
マサシ「だからユイ、すぐ俺に抱き付くな!!!」
クロム「しかし、これでまだ終わったとはとても思えません。下手したら、この騒動の余波がこっちにまで飛び火する可能性もあるわけだし…。覚悟、決めた方がいいかも…。」
マサシ「…そうだな。」
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[497] 破壊の裏にて・・・ |
- 零崎夜識+六識 - 2008年07月07日 (月) 08時30分
シキ「・・・これか?」
少年は、学園の屋上で『何か』を見つめていた。
イオ「そうだと思います・・・」
彼の横で、優しげな女生徒がその『何か』が目的の物ということを肯定する。
シキ「・・・しかし、分からない。何故にナユはこれを破壊しろというのか・・・直接やればいいものを」
そう呟きながら彼は、その物体の解体工作を始める。
イオ「おb・・・ナユ母さんは、何でも『選択肢を1つ増やす』為の行動を始めてるらしいです。・・・出来ますか?」
シキ「ああ。拍子抜けする位に簡単な構造だ。・・・あ?」
物体の解体に終わった少年は、顔を顰めた。
イオ「どうしました?まさか、解体して爆発・・・」
シキ「んな構造ならとっくに気付く。・・・これ、解体したら二度と爆発しない構造だ。しかも解体してから分かるといった仕組みでな。」
イオ「他の人が使うのを避ける為・・・?」
少年と少女は、物体の前で話し始めたが
シキ「まあ、魂胆はワーグルにでも聞くか。報告もかねてな。・・・おし。爆発はしないが、一応戻しておくか。」
イオ「え、何でですか?」
シキ「ドッキリみたいなもの・・・っ!」
シャンシャンシャン、とシキの袖から6つのナイフが彼の背後に向けて飛び出した。カカカッ!とナイフは壁にぶつかるだけだった。
シキ「(何だ・・・?今、人のような、人で無いような気配がしたが・・・?)」
イオ「見て来ましょうか?」
ピピピピピ・・・・
シキ「俺が行った方が早い。・・・む。」
イオ「・・・え?」
突如2人から音が出た。2人はそっと『何か』を取り出す
『ホナミの全設定データ消去』 『ダイスケのデータ一時消去』
シキ「・・・誰だ、この2人は?」
イオ「私も転校したばかりなので分かりません・・・すいません」
少女の方は申し訳なさそうに謝るが、少年の方は気にしない、といった顔で文字を見ていた。
シキ「・・・学園全体で何かが起きてるようだな。・・・俺も、行くか」
イオ「あの、私たち今日来たんですが・・・」
シキ「だからだ。来たばかりだから、誰にも知られてない。・・・行くぞ。場合によっては、ナズナの仲間呼べ。あいつらは性格に難ありだが・・・戦闘に関しては使えるからな」
その言葉に少女は「貴方も性格難ありだと思うけど」と思いながら頷いた。
少年と少女は、どこかへと消えていった。 ・・・来たばかりの彼らには、まだデータは存在しない。 出来るのは・・・事情があり、2週間後

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