[410] 雪合戦と報われない君へ |
- 津波 - 2008年02月28日 (木) 11時25分
「三月ですね」
「そうだね」
「昨日年間予定表見たんだけどさ、うちの学校、卒業式だけないのは何故?」
「それは突っ込んじゃいけないんだよ」
※カナさん曰く、卒業式=らき☆すたの最終回らしいです(ぇ)
1.愛知の雪は侮れないのですよ
強ち季節外れとは言えない雪が積もった日、雪かきすんのも面倒だという理由で、全校生徒対象雪合戦が行われたのでした。 因みに、むかぁしむかぁしに夏に雪が降ったこともあるそーな(ぇ) いつかは知らんけど(投槍)
ルール無用。ま、好き勝手に行き投げあったら良いんじゃないかな? 的な展開で繰り広げられた雪合戦。 必ず一人はいるのが、雪の中に石を入れるという反則なのだが、それは普通の学校ならではの恒例であったりする。 タマムシは何故か奇抜な人間が集まる傾向にあるらしく、そんな普通の反則はツマンナイという理由でやらなかったりする。 じゃぁ普通に投げるのかと言えば、違う。 そんな反則も無い雪合戦はそれはそれでツマンナイって言うか、明らかにツマンネーだろ? ってことで 生徒会長のオルガすら反則をしている。と言っても、根が真面目なオルガはまだそんなに奇抜な反則じゃないのだが。 「ひゃぁ。皆元気やねー♪」
スティックアイスを舐めながら冷泉アイスは高みの見物をしている。他の人からすれば『寒いのに……』 だろうけど、冬に成ると急にアイスを食べたくなるって人もいるのだ。ただ、アイスの場合は年がら年中食べてるが。 「冷泉オルガ! 雪に鉛筆を詰めています、なんの意味があるんだー!? てかー?」
そんなアイスに雪が投げつけられる。
――バシャッ
冷たい雪が当たり、ギギギと首を回していくと、そこには冷や汗をたらすシャーウがいた。 雪合戦に参加しないから少しちょっかいを出したのだろうけど、流石学園一報われない運の無いヘタレ。 嫌な時に、ナイスな所に当たるのだ。 シャーウの投げた普通の雪は、アイスの顔にドンピシャ(アイスがどこにいたかはツッコミ禁止)。 ゆっくりと、ゆっくりと微笑むと、アイスは落ち着いた声で、ゆっくりと――。
「シャーウ、くん?」
彼女を知るものなら誰もが逃げ出すであろう名前のように冷たい声でアイスは。
「Vuole morire?=v
訳すと『てめえ死にたいのか?』である。 英語で言うなら『Do you want to die?』か……?
「あ、あ――――! gy――――」
悲鳴も上げられず、一時間ほどしたときに、雪に埋もれたシャーウが発見されたらしい。
2.今日の最高気温は10度らしいでしょう多分
「ヒヨコ狩りだ〜ヒヨコ狩りぃ♪」
「Σ僕ヒヨコじゃないってば! それにヒヨコぶべっ!?」
ヒヨコが女子生徒にリンチ(違)されている頃、ニイナはピザを雪に落としてしまい、そのショックと怒りから 周りの雪を溶かしてしまっていた。 こんなところでピザを食うほうが間違いだと思うが、ニイナの言い分だと、全てニイナが正しくなるので不思議だ(ぁ)。 「に……ニイナ?」
世間では『腹黒!?』と呼ばれており、傍若無人な彼女に振り回されているという噂もある悠火がニイナを抑えるが 彼女の怒りはそんなことじゃ収まらないらしく、偶然近くを歩いていたエイとイクムが被害に遭ったらしい。 「ぎゃー!?」「なんで服に火がー!?」
「うっさい!」
先輩の前だろうと教師の前だろうと堂々としているこのニイナ。末恐ろしいのと同時に、ある意味憧れる。 だが、雪を溶かすのはニイナだけじゃなかったりする。 先ほどシャーウをピ――――したアイスと、それを知らないショウ。 二人のラブラブさに、雪も溶けそうな勢いである。実際に溶けているわけではないのだが。
「僕寒いのは平気なんだ」
「ショウ先輩……寒い」
「大丈夫?」
ぎゅっ♪
みたいな(ぁ)
一人身の人が見れば、嫉妬するような光景だが、それにしても、学校側には秘密にしているとは言え マルスの前で堂々と彼氏とイチャつけるアイスも凄いと今更ながら思う。 (寒いならアイスなんか食うなよ……!)
雪に埋もれながらシャーウはツッコんだそうだ。さすがツッコミ、気絶しながらも、埋もれながらも、ツッコミは忘れない。 これは既に本能と成っているのだろうか。だとすれば、他のツッコミである
腹黒チビとか
コウ「Σ誰のことさっ!(涙)」
ヘタレ女性恐怖症ヒ(以下略)とか
ヒカル「原形とどめてないよ!?」
ギップルとか(ぁ)
コトキ「ギップリャァ! って、俺だけボイスネタだしっ! てか、お前、これ出したかっただけだろ!」
〜〜♪ 〜〜〜♪
コトキ「図星かよ」
3.究極の洗濯
「ん〜雪も溶けて、いい天気だよねー!」
「……(ガタガタブルブル)」
雪に一時間も埋められていたせいか、未だに震えており、このままじゃ明日学校に来られるかすら不明である。 ここで言っておくが、この何でも有りな学園には寮もあり、アイスとシャーウは学園の寮に住んでいる。 当然男子と女子は別れていて、普通なら男子は『女子立ち入り禁止』女子なら『男子禁制』なのだが……。 アイスは普通に男子寮のシャーウの部屋にいた。
「もう。悪かったってば!」
額を合わせて熱を測る。 破れた恋とは言え、シャーウはまだアイスのことが好きで、そんな好きな女の子のアップを見て平気なほど女子に免疫があるわけじゃない。 熱が下がるどころか、高揚する。 マンガではなく、現実に。
「…………うきゅぅ」
「シャーウ!?」
元々ベッドで寝ていたが、そのまま目を回して倒れこんでしまった。
「シャーウぅ!? な、ナースコール……って、ここは病院じゃねぇぇぇ! カナせんせー!!」
シャーウは夢を見ていた。 小さい頃に、風邪を引くと母親が看病してくれた頃の、小さな今では体験できないあの頃の夢を。 (リンゴジュース飲む?)
女神の様な微笑みで、手作りのリンゴジュースを飲ませてくれた。 たまに、それに嫉妬した父親が勝手に塩をいれたせいでしょっぱくなってたのは……良い思い出……なのか?
「先生。シャーウ、大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫。すぐに治る、わ。ま、彼次第だけど、風邪だし精精3日でしょう」
安心から胸をなでおろすアイス。 それを見て、カナはアイスに尋ねた。
「ねぇアイスちゃん。貴女にとってシャーウくんって、大事な人?」
「はい」
「ショウくんも大事な人よね?」
「……ええ、とても」
アイスはカナが何を言いたいのか分からなかった。 でもカナはとても真剣な表情である。
「貴女にとって大事なのはどっち? 幼馴染で親友のシャーウくん? とっても好きで恋人のショウくん?」
「――――!!」
究極の選択だった。 シャーウか、ショウか。
「そんなの…………!」
「そんなの…………!」
「ショウ先輩です」
その答えは、即答にも近かった。
4.オチは無い。あ、そーいや、今日ブックオフ行くんだー
次の日、シャーウの熱は下がったが、シャーウは何故か一週間近く学校を休んだという。 理由は……言わずとも(ぁ)。
P.S
この事件から、雪があまりにも積もったとしても、生徒を雪かき要因にすることは無くなった……らしい。
完
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