流行り歌なんて言葉もなくなった今になってもあたしたちは新しいものに無闇に飛びついては消費されていく。そう、消費されたって何てことはない、あたしたちは底無しだ。次々と生まれる誘惑を、果てしない欲望で貪欲に消化していく。そのたびにあたしたちの身体は爛熟し、腐敗臭を放ち、次の獲物を誘き寄せる。
　どう？ 「土曜の夜」なんて言葉があった時代のことなんて、もう想像もつかないでしょ？
　あの頃、一週間はきっちり終わってた。だから、ぐちゃぐちゃに蕩け崩れても、週が明ければあたらしい命。今は違う。堕ちていくばかりで、仕切り直しの朝は来ない。でも、今にしてみればあの頃、日曜ごとにリセットされてた貪欲な快楽なんて、おままごとにしか過ぎない気がする。今のあたしたちは、もっと凄味のある何かだ。誰も見たことのない悦楽の境地を切り拓き掘り進み、二度と戻らぬ河を渡る。遊びが遊びでなくなるまで、身体が身体でなくなるまで、全身を擲って遊ぶ。
　一緒に来てくれるのね？ …ありがとう。それじゃ、あなたは獲物じゃなくて、もうあたしたちの一部。溶け合ってあなたもわたしもない、わたしたちの。
　さあ、今夜はどこがもぎ取れるまで踊る？