[855] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (1) |
- あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 00時06分
―――――――――――――――――――
「あれ?プリンスさんがいませんよ?」 一番最初に気が付いたのはひこだった。確かにこの部屋にプリンスはいなかった。 「抜け出したのでしょうね、まったく。あれ程ここから動いてはいけないと言ったのに、」 ベルはまあ気分転換にちょうどいいと言い、ビーストの調査を中断して、プリンス探しをすることにした。 「・・・・探検をしに行ったのでしょうか?」 「さぁ・・・・?俺はしらねぇな。HAHAHA」 「・・・・・?」 「あ、誰か来た」 ドアが開き、みんなはベルがプリンスを連れ戻したのかと思いきや・・・・ そこにはベルとプリンスではなく、一匹のキルリア、クラスタだった。 「あれ?ベルさんは?」 「その前のお前は誰だ?」 RXがクラスタにたずねる 「あ、し失礼しました・・・、僕の名はクラスタ、ステア師匠の代理人です。ベルさんに呼ばれてここまでやってきたんだけど、ベルさんは何処でしょうか?」 「ベルだったらプリンスさんを探してるよ。」 と瑞が言った。
******
・・・・一方、ベルは 「プリンスさん、そんな所にいたんですね。」 ベルはプリンスを見つけ出した。 「あ、ベルさん、あははははちょっとはぐれちゃったっというか」 「普通にしていれば、はぐれるはずがないでしょう。たしかに貴方ははぐれものですが」 「オイ、それってカゲが薄いって言いたいのか?」 「・・・・・・その判断はプリンスさんに任せますよ。」 2人は廊下を歩きながら、話す。 「すでに皆さんに言いましたがここから動く事は非常に危険です。さっき、ビアンカ達がビーストにやられましたからね。今はここで固まっていることが一番です」 「えぇ・・・!?えええ?」 プリンスはベルの言葉に驚きを隠せなかった。さっきまでいたビアンカ達がビーストにやられたのだから。 (ああ、なんかメンドクサイなぁ・・・) プリンスが思った。そしてドアの前に着いた。ベルはドアを開けた。 「オイオイ、プリンクン、探検なんかしちゃ駄目だYO!」 「は?探検・・・何のこと?」 澪亮は瑞が「探検してる」と言ったので探検してると思っていたが、プリンスただ迷子になっただけなので、探検が何のことか分からなかった。そしてベルはすでにクラスタがこの部屋にいるので驚いていた。 「お久しぶりありがとうございます、クラスタさん来てたのですね。あなたがいると助かりますよ」 「フフッ♪ ひさしぶり、また会えて光栄だよ。状況はいかがですか?」 「ええ、準備にまだ掛かりそうですが、悪くありません。 まず・・・」 ベルとクラスタは話をし始めた。他の人達は体力を温存するため、みんな寝ていた。 「ビーストはうまくマサラからグレンへと誘導できたのですか?」 「いいえ、トキワ方面に逃がしてしまいました、どうやら本部への攻撃は後回しにして、街を破壊して回るつもりのようです。牽制と攻撃と住民の避難をして、ニビとヤマブキへの侵入を阻止して、なんとかハナダに近づけないように指示を出しています」 ベルは奥の部屋に案内して、モニターをクラスタに見せる。 「見てください」 「どれどれ」 クラスタは横からコンピューターの画面を覗き込んだ。 「なるほどトキワシティだね」 クラスタが言うと、ベルが続ける 「つまりビーストは、本部を抜け出した後、21番水道を渡り、マサラタウンを破壊、そして続いてトキワシティを破壊しているという訳ですね。」 「そして、次は西のタマムシへと誘導か 本当は東が良いのだけどね、街が無いところに行くことはないからなぁ」 「そうなります。幸いなことは破壊に時間を掛けているために移動速度が非常にゆっくりなことでしょうか? その破壊攻撃力はさすが、最強と呼ばれるポケモンだけあって、桁違いではありますけど」 「はい・・・・確かにポケモンの中では誰もが認めるトップクラスの強さですね・・・。彼なら街どころか、この世界ひとつを消し去る事など容易なことですからね。放っておけばこの世界は影も形もなく消されますよ。」 「そうですね・・・・。」 ベルとクラスタは淡々と語り合う、世界の存亡を掛けた戦いの話としてはやや緊張感が欠けているが、慌てず騒がず客観視している結果であろうか。 「僕もそろそろ寝ます、丸1日寝てなかったので・・・。」 「ええ、どうぞ、好きにしてください。」 そういうと、クラスタも部屋に置いてあるソファーで寝た。 ベルはビーストがそんなに近くにいないと知って、安心した。ベルが立ち上がると、みんなソファやベッドで寝ていた。 ベルはクロゼットにしまってある毛布を取り出し、「やれやれ」と言わんばかりにそっと毛布をかけた。 「ふう・・・・では、ビーストについての調査の続きを再開しようか」 ベルは一枚の写真と手紙を取り出して、しばらく眺めたあと、よしっと一言自分に活を入れて。 コンピューターに向かい合った。 「ユーナ、見ていてくれ」
――――――――――――――――――― ~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
本編とは関係あるけど、話の流れからは寄り道したクロスオーバー。 ガムさん執筆の 断片話 〜烈のエピソード〜
○(お話に入る前に)以前、塔の40階で登場させた悠の兄の烈の活躍が唐突で他の方々に受け止められにくい・・・と感じて、悠達が活躍していた「その頃の烈は・・・」という設定での回想話風に烈のお話を作らせて頂きました。 今現在のストーリー状況から烈だけの時間を一気に巻き戻す形になり、他のキャラクターの動きにも食い違いがあるかもしれない、読みにくい文章ですが、設定「追憶編」「その頃こうだった編」と、本編に関与させるかどうか・・・ぐらいの「番外編」の見方で見ていただければ幸いです・・・!
(それでは、回想話をはじめます!) ・悠との再会を果たし、記憶石と必殺技を授けた烈は悠の進化を見届けたあと、自らのダークエネルギーの暴走を恐れ、人・・・いや、ポケモンがいないところへと走りつづけていた。 「うっ!」 「傷が・・・治らない」
烈は、傷だらけの自分の身体を見つめながらつぶやいた 「バシャーモが死ぬとき、俺も・・・」 そして・・・自分がこの世界へ送られてきた時のことを思い出していた
・・・(人間界にいた頃からもう何ヶ月もたったような気がする)・・・
**********
・烈がこの世界に飛ばされる前、人間界に、2人の仲の良い兄弟がいた。 「おーい、いつまでやってるんだ?早く代わってくれよ」 2人は家に1つだけあるパソコンを共有してお互い、それぞれのお気に入りの掲示板に書き込みをしていた。 「もうちょっと待ってよ!兄さん!今、否定するスレのレスがきたんだ!あと、どっち派のお題も浮かんだところだから!」 その弟は、その掲示板へ【悠】というハンドルネームでよく書き込みをしていた。 「否定するスレ?どっち派?・・・なんだそれ?」 兄の名前は【烈】という。弟のよき理解者であり、弟が毎日『ポケ書』を楽しんでいることも知っていた。 「じゃあ席が空いたら呼んでくれよ!俺も今日、大事なHPの更新だから」 「うん、わかった!」 烈はそう弟に伝えると外出していった 2人は本当に仲がよくて、つらいこと、悲しい事があってもお互いに助け合い、信じあって、いままで困難を乗り越えてきた。
―この日、こんな出来事が待っているとも知らずに・・・―
・・・しばらくして烈が帰ってきた 「あれ?おかしいな・・・パソコンがつけっぱなしだ」 弟も席を外した気配があり、そこにはパソコンの電源がつけっぱなしの「なんでもお話し板」の画面が映っていた。 「・・・ったく、仕方がないな」 こんなことは弟のよくある行動で、烈はそのまま席にすわり電源を切ろうとした。 「あれ・・・何だこれ?荒らしか・・・?」 烈はそこに真っ白な文面のスレが無数に立てられていることを確認すると同時にその投稿者の名前を読んでみた 「ゴット・・・フリート?」 ・・・その時!!
**********
・「う・・・ん・・・」 烈は目を覚ました。 さっきまで家にいたはずなのに、塩のにおいがする・・・ 「な・・・なんだこれ」 あたり一面が海だった。そして目の前にはとても巨大なお墓があった。 そう・・・烈はナナシマの5のしま[おもいでのとう]に飛ばされたのだ。 「それにこの姿は一体なんなんだ・・・」 烈は海面に映っている自分のワカシャモに変えられた姿そのものが全くわからずにいた。 彼にはポケモンの知識や関心もほとんど少ないのである・・・ ・・・どうしていいかわからずにたたずんでいると、海の向こうから一体のドラゴンポケモンが通り過ぎるのを目にした。 当然、烈にはそれがポケモンだということがわかるはずもない 「か・・・怪物!?」 烈の前を通り過ぎようとしていたそのドラゴンポケモンは、あきらかに場違いな場所にいるワカシャモの烈の姿と驚き声を聞き取るとこっちに向かってきた! 「・・・お前もこの世界に飛ばされてきた、ポケモン界に害を及ぼすものか?」 「え・・・?」 「わが名はドラゴン四天王『アクアファイター』キングドラのカール。お前にはここで死んでもらう!」 当惑する烈に対して有無を言わさずカールは[みずのはどう]を放ってきた! 「うわぁぁぁ!」 ・・・一瞬の出来事だった。 カールの[みずのはどう]をくらった烈は1発で[ひんし]にされ、海に流されていった・・・ カールは流されていく烈を見ながら 「しかし、あの男・・・ワカシャモの姿なのに私をキングドラとわからずに怪物と呼ぶなど・・・」 それに加えて・・・という表情で 「あれほど戦い慣れしていない、ポケモンも珍しい・・・まるで人間を相手にしているようだった」 「これはゴットフリート様に報告する必要があるな・・・」
**************
・「・・・っと・・・ちょっと!大丈夫?」 烈は3のしまの海岸にまで流され、打ち上げられていた。 揺り動かされるように烈は目を覚ました 「こ・・・ここは?」 「ここは3のしま!君、傷だらけで大変だったんだよ!」 「うわ!ネコが・・・ネコがしゃべってる!?」 烈を揺り動かしたのは1匹の♀のエネコだった 「何言っているの?君だってワカシャモじゃない?」 「え?」 烈は改めて自分の姿を海面で確認した。間違いなく自分の姿は人間だった時のものとは違う。 「(この姿はワカシャモというのか・・・)」 「ふふっ、変なの!ポケモンなのにポケモンのこと知らないんだなんて!」 エネコは、にっこりした笑顔で返した。 「君、ひとりなの?だったらこっちについておいでよ!」 そう言うとエネコは烈を森の中へと連れて行った 「あ・・・あの?」 「何?」 「君の名前は・・・?」 「あ、そっか、紹介がまだだったね私の名前は【カレン】エネコの【カレン】っていうんだ!」
*****************
・「うわぁ・・・」 森の中につれてこられた烈の前には、たくさんのきのみやそれをあつめるポケモン達がいた 「あら、カレン?その子は?」 1匹のニドリーナがカレンに話しかけた 「この子は烈って言って5のしま迷ってたポケモンなんだ!」 カレンがそう話すと周囲のポケモン達があつまってきた 「おお!また家族が増えたか」 「家族・・・?」 首をかしげた烈にエネコのカレンが説明した 「ここは『きのみのもり』っていって、たくさんのきのみが落ちているところなんだ!でも、今ではドリームメイカー軍に襲われて家族をなくした子達がよりそって暮らすようになったところから『家族村』とも呼ばれるようになっているだよ」 「え?じゃあ・・・」 烈は聞くべきかどうか迷っていたが、烈がきりだす前にカレンの方から答えた 「私のパパとママ・・・ドリームメイカー軍に襲われて死んじゃったんだ・・・」 「・・・」 烈は何も言えなかった・・・ 「さあ、こんなところでボサッとしてないで私達もきのみをあつめよう!」 「我々も君を歓迎するぞ!」 家族村のポケモン達は烈を暖かく迎え入れてくれた 「いこう!烈」 カレンは烈の手をひっぱっていった
家族村・・・みんなが仲良く暮らしていける場所。 烈はこの世界へ来て初めて感じる「平和」と同時に人間世界の弟のことを思い出していた 今頃、弟はどうしているだろうか・・・人間界での弟は・・・ 「ん・・・?どうしたの?」 カレンは烈の顔をのぞきこむ 「いや・・・なんでもない」 カレンも人間界でいうと弟と同じくらいの年頃か・・・ 烈はそんなことを思っていた
・・・その時! 「敵襲だー!敵襲だ―!」 村の人々が騒ぎ始めた 「ドリームメイカー軍が襲ってきたぞー!みんな、早く逃げるんだ―!!」 「敵襲・・・?ドリームメイカー?」 烈はまだ状況が飲み込めていない 「烈!何やってるの!?早く逃げないと!」 しかし、カレンが烈を連れて避難しようとした時 「させませんわよ・・・」 「きゃぁっ!」 「うわぁっ!」 [りゅうのいぶき]が烈とカレンを襲った! 「私(わたくし)、『死の歌姫』のファビオラから逃げきれると思って?オーッホッホッホ!」 烈もカレンも[まひ]状態になってうごけない・・・ 「さあ、スピアー達!やっておしまい!」 ファビオラは部下のスピアー達を逃げる他の村人達へと仕向けた! 「み・・・みんな!」 烈は目をそむけた。 ある仲間は[ダブルニードル]や[ミサイルばり]に貫かれ、また、逃げ惑う仲間は[おいうち]をうけ、次々に倒れていく・・・ 「フフフ・・・あなた達も私(わたくし)の歌声で永遠の眠りにおつきなさい!」 ファビオラは呪文のような怪しげな歌声を森全体に響き渡らせた 「あ・・・あれは、『死の歌姫』の[ほろびのうた]!?」 カレンがファビオラの[ほろびのうた]の発動体勢を見てなんとか烈だけでも逃がそうとする・・・が 「う・・・うわぁぁぁ――!!」
*****************
・「うぅ・・・」 烈は目を覚まし、自分がまだ生きていることを確認した 「ぐすっ・・・みんな・・・」 もう森の中にファビオラやスピアーの大群はなく、大勢いた仲間達の亡骸がそこにあった。 烈とカレンだけが生き残っていた・・・どうやら、カレンが[さわぐ]を使って[ほろびのうた]の注意をほんのわずかなだけそらしてくれたようなのだ 「どうして?・・・どうしてなの?」 「・・・」 亡骸を前に泣いているカレンに対して烈はかける言葉がなかった・・・ 「カレン・・・みんなのためにお墓をつくってあげないと・・・」 ポケモンのことをほとんど知らない烈でもそれだけはしたかった。自分に安息を与えてくれたみんなのために・・・ 「うん・・・」
*******************
・烈とカレンは森の仲間達の亡骸を5のしまの[おもいでのとう]に埋葬した 「[おもいでのとう]・・・烈はここに飛ばされてきたの?」 「・・・」 烈は黙ってうなずいた。 エネコのカレンは泣き止んだのか、周りを見渡すと 「ここって、とても寂しいところだね・・・」 と言った。 「(これからどうするか・・・)」 烈はそんなことを考えていた 「烈・・・あれを見て!」 カレンの呼び声に烈は海の向こう側を見たものすごいスピードで1匹のドラゴンが飛行している 「あのドラゴンは・・・?」 「カイリューっていうポケモンだよ」 「カイリュー・・・」 その烈とカレンの話し声に感づいたのか、ドラゴンポケモンがこっちに来た! 「お前がワカシャモの悠か?」 カイリューは悠に話しかけた 「・・・悠だって?」 悠・・・人違いだが、烈にはその名前をどこかで聞いたことがある 「エネコといっしょか・・・」 「話によればゴースとメリープといっしょだと聞いた・・・情報とは違うがゴットフリート様の命令だ」 そういうとカイリューはエネルギーをためて 「この『ウェザーマスター』のハインツの[はかいこうせん]であの世にいけ!」 「うわぁぁ!!」 たちまち周囲が爆発した! 烈もカレンもかろうじてハインツの[はかいこうせん]を回避した・・・つもりだったが 「この俺から逃げられると思うな・・・」 「ぎゃぁっ!」 まるで逃げる軌道を読まれていたかのように、烈はハインツにつかまり、たたきつけられた! 「うう・・・」 烈は身体中を強くうたれ[まひ]に似たような状態になり、動くことができない・・・ 「うっ・・・ひっく」 烈の目の前にハインツに追いつめられたカレンがいた 「(カ、カレン・・・逃げるんだ・・・!)」 「こ・・・こわいよぉ・・・」 カレンは足がすくみ上がって逃げることができない 「お前も悠の仲間か?」 ハインツはカレンに標準を定めて[はかいこうせん]を発射せんとしている 「(く・・・くっそぉぉぉ!!)」 烈は自分の無力さを呪った。
(自分を助けてくれた子1人、助けることもできないのか・・・?)
「死ね!」 ハインツの[はかいこうせん]がカレンのいる方向へ放たれ、大爆発をおこした ・・・ 「何・・・?エネコがいない」 煙の向こうにエネコのカレンを抱えたまま満身創痍のワカシャモの烈がいた 「ハァ・・・ハァ・・・ハァ」 「こざかしい・・・」 ハインツは[でんじは]を烈に放った! 「うわぁぁぁぁ――――――っ!!!」 烈が叫び声を発したその時!! 「あれは・・・進化!?」 烈自身、それが何なのか気がつかなかったが、確かにバシャーモに進化していた! 烈はそのまま上空のハインツに飛びつくと背中にしがみつき、翼をもぎとった! 「ぐぁぁ!!」 そのままわしづかみに勢いにまかせ、じめんへ急降下しつつハインツの頭を地面にたたきつけた!! 「この!この!このぉ!!」 烈はハインツの首を締め上げるが 「ぎゃぁっ!!」 なぜか、背中から[つばさでうつ]攻撃をうけた! 「ど・・・どうして?」 烈の背後にはハインツが立っている 「気付かなかったのか?さっきからお前が相手にしているものは俺の[みがわり]だ」 「にもかかわらず[みがわり]を何度も攻撃しているお前は最高におもしろかったぞ!ハーッハッハ!」 ハインツは烈に対して[げきりん]を発動させようとする勢いだ! 「・・・」 しかし、ハインツは手を休めた 「さっきから・・・お前、なぜポケモンのワザを使って戦わない?」 ワザを使わないバシャーモ・・・ハインツにはその行動がが不可解で仕方がないようだ 「一瞬でバシャーモへ進化できる力がありながら・・・お前は何者だ?」 烈はこう言った 「ポケモン?・・・ワザ?なんだそれは?」 「!!」 ハインツはその言葉に驚愕の表情を隠し切れなかった 「まさか・・・いや、そんなバカな!ポケモンとは無縁の者がこの世界に招かれるなど・・・」 「もう一度お前に聞く、名はなんと言う?悠ではないのか?」 ハインツは烈に聞いた 「俺の名前は烈・・・お前らとは違う、人間だ!」 「なんだと・・・それではお前はやはり悠とは」 ハインツは烈のことが人違いだったとわかると 「お前のことはゴットフリート様に報告しておく!」 と言い残し、飛び去っていった・・・ 「た、助かった・・・」 その場へへたりこむ烈。 ・・・ カレンも無事なことに安堵していたが、彼にとって一度に知らないことがあまりにたくさんあった・・・ ポケモンのこと・・・カレン達、この世界のポケモンのこと・・・ドリームメイカーのこと・・・自分と間違えられた悠という名前の人のこと・・・ 「!・・・悠!?」 烈は1つだけ思い出した! 「悠とは・・・確か俺の弟が書き込みのハンドルネームで使っていた名前だ!」 悠もこの世界へ飛ばされたのか? 烈には得体の知れない胸騒ぎがした・・・
*******************
ここはグレンじまの塔の最上階・・・そこに3匹のポケモンが集まっていた 「・・・それは本当か?ハインツ?」 「はい、ゴットフリート様・・・」 メタグロスとカイリューとキングドラが話し合っている 「あのワカシャモ・・・いや、バシャーモは悠に似た姿形していながらポケモンの経験、知識は全くの皆無・・・なのにあの異常な成長の早さ」 「ポケモンとは無縁の者が何ゆえこの世界に送られてきたのか・・・」 ハインツがそういうと隣でキングドラのカールも言った 「それは私も・・・」 「あのポケモン、何と言うべきか・・・しきりに人間界のことばかり叫んでいて、まるで、本物の人間を相手に攻撃していたというか・・・」 「ククク・・・説明になっていないな、カールよ。それでもドラゴン四天王の1人か?」 どこからともなく闇の中からボーマンダが姿を現した 「お前は・・・ゼロ!」 「人間だろうがポケモンだろうが、要はこの世界に送られてきた奴らを1匹残らず根絶やしにすればいいだけのこと・・・お前らはそれに従っていればいい」 「ゼロ!」 「そのバシャーモに手も足も出ないというなら俺に良案がある。とっておきのな・・・ククク」 そういい残すとゼロは闇に姿を消していった 「あいつに任せて本当に大丈夫なのだろうか・・・?」 ハインツとカールは不安の表情を隠し切れない 「・・・」 メタグロスは沈黙を続けていたが 「ハインツ、カール。今、リディアはどうしている?」 ハインツがその言葉に答えた 「はっ、現在リディアはメタモンの浅目を討伐。サーナイトの愛を取り逃がした後、一度ここへ戻ってまいりましたが、今は烈とカレンの2人と交戦中であります」
******************
・「くっ、こんな強さは報告になかったわ・・・このバシャーモ、本当にあたし達と同じ『ポケモン』なの?」 四天王『砂上の蜃気楼』のリディア。彼女は相性がいいはずのバシャーモに対して、全く、手も足も出ずにいた。 「どうした?四天王の実力とはこれほどのものか?」 「い・・・言わせておけば!」 バシャーモのその言葉にプライドの高いリディアは怒り、[りゅうのいぶき]をかけた! 「ぐっ・・」 「やった![まひ]状態!形勢逆転!」 リディアが「勝った!」と思ったその瞬間 「・・・なーんてね!」 「そら!自分の仕掛けたワザで自分がすっとべ!・・・[オウムがえし]!!」 バシャーモもまた[りゅうのいぶき]をリディアに向かって放った! 「きゃぁっ!」 ドラゴンタイプのリディアにこのワザは[こうかばつぐん]だ!・・・でもどうして[まひ]状態の彼が? 「烈!・・・[いやしのすず]がうまくいったみたいね!」 バシャーモの後ろにエネコロロがついていた! 「これなら・・・どう!」 リディアはなおもワザをの体勢をとった!・・・が 「烈・・・くるわ![じしん]よ!」 「む!」 バシャーモは[こらえる]を使い、エネコロロは[かげぶんしん]を使い、応戦した! 「今度はこっちからいくぞ!」 バシャーモはこらえたダメージをそのまま[きしかいせい]に切り替え、また、エネコロロはそのワザを[てだすけ]し、リディアに叩きつけた!! 「きゃぁぁぁぁ!!」 「これで・・・とどめ!!」 バシャーモは足に[ほのおのうず]を放ち、集中させるとリディアが体勢を立て直す隙もあたえずに 「[火の玉・・・キーック!!]」 必殺技は見事にリディアの急所をとらえた! 「お・・・覚えてらっしゃい!このかりは必ず・・・」 リディアはそういい残すと、その場から退散して行った・・・ 「ふぅ・・・」 「烈、お疲れ様!」 「いや、カレン、君がいてくれたからだよ!」 そう・・・このバシャーモとエネコロロはあの日、ドリームメイカー軍に教われ、生き残ったワカシャモの烈とエネコのカレンだったのだ! あの日から2人とも、たくましく成長していた。
*******************
・3のしまの『きのみのもり』・・・仲間達と暮らしていたこの場所を拠点としてバシャーモになった烈とエネコロロになったカレンはお互いの技を磨いていた 「いくぞ!カレン![ほのおのパンチ]!」 「なんの!これならどう?[ひみつのちから]!」 双方の力は互角! 「・・・烈どこなの?烈!」 烈はカレンの後ろに回りこんでいた 「俺も今日から、一人前の戦士だぜ」 「・・・初めて私が、あなたに後ろを取られたわね」 烈とカレンの訓練はまだ続く! 「烈!あなたも悠、悠って、いいかげん、弟さんから卒業したらどう?」 「お前こそ!そろそろ年頃の娘らしくしたらどうなんだ?カレン!」 「烈!私にリボンをつけさせたかったら、ゴットフリートの首を持ってくることね!」 「君のためならゴットフリートの首でも尻尾でも、なんでも持ってきてやるさ!カレン!」 「烈・・・」 「カレン・・・君には本当に感謝している。この世界に迷い込んで、ポケモンのことを教えてくれて・・・君がいなかったら今ごろ、俺は・・・」 ・・・その夜、烈はいつものように考えふけっていた。 「(悠・・・俺の弟、悠・・・お前は今、どうしている?)」 烈は記憶石のかけらを見つめながら思っていた。この記憶石はハインツに襲われた時にカレンが[ほしがる]で無意識的に奪ったもの・・・らしい。 その記憶石からはいろいろな情報が見えてきた。 「(この記憶石が教えてくれるお前はまだ、あの頃の人間の姿だ・・・)」 「(迷いこんだお前は敵に教われていないか・・・仲間はいるのか・・・俺と同じバシャーモなのか・・・)」 そんなことを考えていた烈に・・・ 「烈・・・」 「カレン?その姿は・・・?」 カレンは首にリボンをつけていた 「烈・・・私もあなたに会えてよかったと思っているわ。あの時・・・この森で私が友達や仲間達を失った時にあなたがそばにいてくれた」 「カレン・・・」 2人は寄り添いあった・・・ その時! 「ククク・・・お邪魔だったかな?」 闇の中からボーマンダが姿を現した! 「お前は『冥府の司祭』・・・ボーマンダのゼロ!」 「ほう・・・俺の名を知っているとは嬉しいな」 「知っているも何も、お前の見境のない殺戮を知らない者は誰もいない!」 「そうよ!こんな所に現れるなんで、私達がここであなたを成敗するわ!」 烈とカレンはすぐさま身構えた! 「ほざけ・・・俺自ら出向いた意味を教えてやる・・・お前らはここでお・わ・りだ」 「何を!」 カレンはゼロへ向かって[アイアンテール]をくりだした! 「ふん・・・」 「きゃぁっ!」 ゼロはそれを軽く避けると、[つばめがえし]で切り替えしてきた! 「カレン!・・・くそ![がんせきふうじ]」 「ククク・・・そんな子供だましのワザは俺には通用せん・・・」 ゼロは烈の攻撃をも[まもる]で簡単に防ぎ、[ドラゴンクロー]をあびせた!! 「がぁっ!」 「大丈夫?烈!?」 「ああ・・・カレン!あの技をいくぞ![てだすけ]たのむ!」 「OK!」 烈は自らに[ほのおのうず]を放ち、カレンは[てだすけ]の体勢をとった! 「む?」 「くらえ![火の玉・・・キ―――ック]!!」 「させるか・・・うぉぉぉぉっ!?」 ゼロはその攻撃も[まもる]で再び防ごうとするが、[火の玉キック]の技の凄まじさにガードを崩され、直撃をくらった! 「ほう・・・これは確かに『ポケモンの強さ』ではないな。お前はやはり人間の記憶を抜き取られず戦っているというわけか・・・」 「だったらどうだというんだ!?」 「このままでは俺もお前らにやぶれるやもしれん・・・だが、これを見ろ」 ゼロは自分のつかさどる空間(精神世界)への裂け目に手を突っ込むと、そこから無数の霊魂をつかみ出し、烈とカレンに見せつけた! 「あ・・・あれは!」 その霊魂はこの『きのみのもり』・・・別名『家族村』で殺された烈とカレンの家族と呼んでも過言ではない、仲間達の霊魂だったのだ! 「ハハハ!この無数の霊魂を身にまとっている俺を攻撃できるか?」 不気味に勝ち誇ったような笑みを浮かべるゼロ 「み・・・みんな!」 !・・・カレンは霊魂でも再開できた家族村の仲間達の所へ引き寄せられようとしていた 「よせ、カレン!そっちに行くな!それはゼロの心理作戦だ――!!」 必死に止めようと呼びかけるが・・・ 「ククク・・・仲間と再会できて嬉しいか?おもしろいものを見せてやろう・・・」 そういうと、ゼロは自らが精神世界から取り出した家族村の霊魂を1つ1つにぎりりつぶし始めた!! 「!!!!!」 カレンはそれを見るや否や、 「ゼロォォォォォォォ!!」 ものすごい勢いで逆上し、ゼロにとびかかろうとした!! 「カレン!!やめろ――――!!ゼロの術中に陥るな――――!!」 しかし、カレンには完全に烈の声が届いていない!! ゼロはニヤリと獲物をとらえたような表情に変わり 「もう遅い!!」 [はかいこうせん]を超至近距離からカレンの急所へ直撃させた! 「ああああああぁぁぁぁぁぁ――っ!!」 その時、カレンの首につけていたリボンが散った・・・ 「カ、カレ――――――――――ン!!!!」 「・・・れ・・・つ・・・・・」 カレンは目にたくさんの涙を浮かべながら、最後に烈の名前を呼び倒れた・・・ 烈も、ゼロの[いかく]どころではなくなり、カレンの元に駆け寄った 「カレン!カレン!カレ――――ン!!」 カレンは、目を開いたまま絶命してる・・・即死だった。 「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!!!!」 烈は声にならない叫び声を上げずにはいられなかった! ・・・しかし、そこにゼロの姿はなく、精神世界へ姿を消していた。 「(お前には死ぬ以上の生き地獄を味あわせてやる・・・せいぜいそのエネコロロを死なせた不幸を呪うんだな・・・ハーッハッハ!!)」 ゼロが、せせらわらいながらそう言い残し闇へと消えていった・・・
********************
・家族村の仲間に続き、最愛の人、エネコロロのカレンをも失ってしまった烈・・・また5のしまの[おもいでのとう]に立っていた・・・ カレンの亡骸もこの[おもいでのとう]に埋葬したのだ。 「・・・カレン」 ・・・しかし、そんな烈の目の前に『砂上の蜃気楼』フライゴンのリディアと2、3匹のビブラーバ達が上空に待ち構えていた 「待っていたわ」 「・・・」 「家族を失い、友を失ったお前が戻って来る所はここしかない」 「・・・」 「烈、もう逃げられないわよ!」 リディアは部下のビブラーバ達に指揮をとり、烈の周囲をとりかこうが・・・ 「・・・」 「・・・?」 リディアはおかしい?という表情で烈の顔を見た・・・烈は既に死んだようにぬけがらのような表情をしていている。とても戦える者の目ではない・・・ ・・・そして、烈は黙ってリディアに向かって両腕を突き出した 「・・・ゴットフリート様に報告。バシャーモの烈をただちに捕虜として連行」 烈は身体に[きょうせいギブス]をつけられ、拘束された状態でリディアとビブラーバ達によって連行された・・・
*****************
・ここはグレン島の塔の72階・・・ 「そうか・・・よくやったリディアよ」 「はっ、ありがたきお言葉」 そこにはメタグロスと、カイリュ―のハインツ、キングドラのカール、ストライクのアレクセイ、そして、烈を連行してきたフライゴンのリディアと・・・捕まった烈がいた。 アレクセイは烈に何度も記憶石を押しあてる。 「だめです・・・この者からは記憶の抜き取りも封印も転写も不可能・・・やっぱりハインツとカールが言ったようにこやつは人間世界の記憶をそのまま持ち込んだのでは・・・?」 ハインツは烈に言った 「もう一度聞く・・・お前の名前は何だ?」 「・・・」 烈には答えるほどの気力もない 「ハインツ・・・その男は【烈】と呼ばれていたわ」 代わりにリディアが答えた 「人間的すぎる行動と異常なまでの進化の早さを除けば、何もかもが悠と酷似している・・・偶然とは思えん」 「我々は悠と間違えて、違う人間をこの世界に引き寄せてしまったと言う事になるのか・・・」 ハインツとカールがつぶやいた時 「・・・?どうしました?ゴットフリート様?」 リディアが烈を見つめ続けるゴットフリートに呼びかけた 「もうよい、烈よ・・・芝居は終わりだ」 「え・・・!?」 「まさか・・・!」 ハインツ達は烈に対して身構えた! 「衛兵!衛兵はいるか!?」 アレクセイは下の階から四天王の部下のポケモン達を呼び集めた! それまでぬけがらのようだった烈の表情がみるみる変わっていく・・・! 「烈!下手な芝居で墓穴を掘ったな!」 ハインツ達は配下のポケモン達を烈にしむけ、自らも襲いかかったが 「どけぇ!!」 「俺は、雑魚には用はない!!!!!」 烈の嵐のような[オーバーヒート]があたり一面を巻き込む勢い一気に炸裂した!! 「ぐわぁぁぁ!!」 「きゃぁぁぁ!!」 ハインツもリディアもカールも烈の[もうか]のような攻撃にたったの一撃でふきとばされた! そして、烈はゴットフリートのふところへもぐりこんだ!
「『家族村』のみんなの仇!カレンと、多くの仲間達の仇!そして・・・この世界の多くのポケモン達の無念・・・ ゴットフリート!!覚悟ぉぉぉ―――――――!!!!!」
「うぉぉぉ!こ、これは・・・」 烈の持っている記憶石が強く反応し、記憶石の中の悠の記憶と共鳴しあっている! その時!烈の拳に[ほののうず]が集中された! 烈の怒りと弟との同調か、烈にはその記憶石には収められていないはずの、弟と同じ[火の玉スカイアッパー]の情報が見えた!! 「[火の玉・・・スカイアッパ―――――――――!!!!]」 「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 烈はメタグロスのゴットフリートを粉々に打ち砕いた!・・・かに見えた 「・・・!?ち、違う・・・これはダンバル!?影武者・・・?」 ゴッ・・・! 「ぐぁっ!」 烈は背後からものすごく重い一撃を叩き込まれ、そのまま倒れてしまった・・・ 「さすがは、人間世界の記憶を保持した者・・・あのままでは私の命も危うかった・・・」 烈の[オーバーヒート]に倒れていたハインツ達も立ち上がってきた 「なんて恐ろしいやつだ・・・しかし、この者。一体どうすれば・・・」 気絶し、[ひんし]になった烈を眺めている。 ゴットフリートは考えが決まった様子で72階の皆に言った 「この者はひょっとすると、【ビースト】や【グレイス】にも匹敵するほどの脅威になるやもしれぬ・・・」 ゴットフリートはそのまま、烈を見つめながら 「この男はこの世界に招かれざる者・・・しかし、この者にはこれから先、我々とこの世界の維持のために、大いに役立ってもらわねばならん」 やがてアレクセイに向かって 「アリーシャ、この者にただちにダーク改造をほどこし、完全に反逆できないようにせよ!それと・・・『DARK BOX』を取り付けることを忘れるな!」 「はっ!おおせの通り・・・」
******************
・・・(そこから先は覚えていない・・・ただ、今の俺には、自分と同じように、この世界に飛ばされてきた弟の悠に会いたい一心でここまできたことだけは間違いないはずだ)・・・
烈は5のしまの[おもでのとう]にいた。 カレンの墓を前にして、うっすら涙を浮かべていた・・・ ・・・今の烈に、もう心残りはなかった
「悠・・・この世界を正しく導いて、必ずこの世界を救ってくれ・・・」 「俺のためにも・・・カレンのためにも・・・!」
**********************
・「?」 「・・・兄さん?」 悠は静かに光る記憶石を握りしめていた。 「悠さん?どうしたの」 アッシマーが心配そうに悠に話しかけた 「い、いや・・・なんでもないです」 ・・・悠は記憶石を通じて、今はっきりと自分に兄がいた事を1つだけ思い出した 「(兄さんに、今までそんなことが・・・)」 そしてみんなに気付かれないよう、こっそり泣いた・・・
+++++++++++++++ ○(あとがき)・ハインツに襲われた後、四天王&ゴットフリート打倒のために烈とカレンが訓練の末、強くなったという場面から始まり、烈がカレンを失いダーク改造をほどこされ(「ダークボックス」を埋め込まれ)現在にいたるまでを、烈の「追憶編」として書ききらせていただきました・・・! ・悠と間違えられて烈がこの世界に飛ばされてきたことを本編中の描写に含ませたつもりですが、わかりにくいところや説明不足な箇所、また、脱線や矛盾点などがあったら遠慮なく言ってください!可能な限り考え、お答えします!
・(おおまかな箇所で語れば)ゴットフリートはこの世界に招かれざる客人として飛ばされてきた烈の「抜き取られない記憶」「(それゆえ)記憶石をうけつけない事」「(そのためか)『ポケモン』の強さではない異常な能力をおそれてのダーク改造」という点をお話の主な部分としています。 ・ただ、本編中に烈が悠の記憶を眺め、また、[火の玉スカイアッパー]を使うシーンがありますが、正確には烈の中に他人の記憶が直接「流れこんだ(転写?)」描写がなく「見えた」という感じで使わせており、記憶石が烈本人の記憶に何ら変化がない「写真(またはビデオテープ)」のような使わせ方をさせて頂きました(記憶に関する影響を受けない烈のみの記憶石の使い方を「情報を見る」という形に少しだけアレンジさせていただいた上で) ・アリーシャはアレクセイの愛称で間違いなかったと思います(うろおぼえ・・・)
○(かなり余談)このお話しにも元ネタがあり、「六神合体ゴッドマーズ」のタケル(マーズ)の兄マーグが主役のOVA版「17歳の伝説」からかなりモチーフにした(なぞった)部分が多いです(汗) ttp://www.tms-e.com/library/tokushu/godmars/ (本編とは関係ないけど)この元ネタでも「記憶メダル(だったと思う)」というアイテムがあり、烈の記憶石の使わせ方に少しだけなぞっていたりもします(大汗)
・この先の烈の展開は僕の方ではしばらくお休みで、悠がみんなでいじれるキャラであるようにみなさんで進めていただいたいて(今度こそ)かまいません! 設定を読んで見ると確かに烈は悠に対して、いい意味でかなりのブラコンかもしれませんが(汗)悠が最大のピンチの時に再度登場&活躍させようかどうか・・・と思っています。でも自分だと元ネタになぞって(いじれるキャラという点もあり)死にキャラにさせてしまうかもしれません・・・(大汗)
蛇足話終了、次から本編。 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ――――――――――――――――
・(話はガム達がグレン島に上陸する数十分前にさかのぼる・・・) ここはグレンの塔の40階・・・ 悠はステアの間接[テレポート]で飛ばされたアッシマー達がいた跡をしばらく、見つめていた・・・ 「(アッシマーさん、必ず生きて会えますよね・・・)」 そんな悠にワタッコが語りかけた 「さて、俺達も行こうか」 「そうですね・・・僕たちは一刻も早くゴットフリートに会って、その真意を確かめないと・・・」 悠とワタッコは次の41階へ上っていこうとした・・・その時 「ちょっと待て」 2人を呼び止めたのはステアだ。 「な、何ですか・・・?ステアさん」 先を急ごうとする悠にステアは言った 「先を急ぐのなら君達も私の[テレポート]で元いた赤い3連星のいる46階までだが、飛ばしてやろう」 それに続いて後ろでヒャクエが言った 「それと・・・私の[みらいよち]からの予言だが・・・もうすぐこの塔に6人の来訪者が訪れる・・・2人は炎タイプでもう1人は今にも消えそうな命・・・あと3人は・・・ドス黒い影・・・」 「ドス黒い影・・・」 悠達はそのドス黒い影の1人が『冥府の司祭』のゼロだとはまだわからなかった・・・ ヒャクエはユフとフウチをつかせながら、 「私達はステアと共に32階へ戻ってその客人を待とうと思う」 そしてステアは悠とワタッコをを間接[テレポート]させる状態で話した 「ドリームメイカー内は今、一番不安定な状態だ・・・たのんだぞ!」 悠達は 「・・・はい!」 と勇ましく答え、ステアの間接[テレポート]によって飛ばされていった・・・
*****************
・「・・・ここが46階・・・」 悠とワタッコは元の46階に戻ってきた・・・ 「・・・待っていたぞ」 「!・・・お前達は」 悠が振り返るとそこにはウインディが3匹・・・そう、「赤い3連星」のアグル・チップ・オルティアだ。 ・・・しかし、今度は3匹から殺気を感じない 「みなさんの話は全て下の階で聞いていました」 とチップ 「あんたらのこと・・・誤解してすまんかったね」 とオルティア ・・・どうやら3連星は悠とアッシマー達とステアの話を全て上の階から聞いていたようだ・・・ 「・・・」 悠とワタッコは自分達に謝る3連星を見て、やっとビースト撃退の誤解がとけたことを確認すると ・・・悠が3人に語りかけた 「オルティア・・・顔をあげて」 「うん・・・」 とオルティアへ 「チップ・・・こっちこそごめんなさい・・・」 「はい・・・」 とチップへ 「アグル・・・僕達はもう時間がない・・・このまま上の階にあがってもいいね?」 「もちろんだ・・・!」 とアグルへ語りかけた。悠達と3連星はやっと和解できたのだ! ・・・しかしアグルが悠達を引き止める 「ただ・・・お前達に頼みがある」 「?」 「あれを見てくれ」 悠とワタッコはアグルが指差す方向・・・46階の窓から外を眺めた 「あれは・・・ボーマンダ?」 悠達が見る方向にはいかにも「殺したい」という欲求に満ちたような、どう見ても殺戮者としか思えないような顔つきのボーマンダが遠くからこの塔にやってくる光景を目にした どうやら、背中と腕にそれぞれポケモンを1体ずつ連れているがこちらからでは遠くてボーマンダの姿以外よく見えない・・・ 「あれはドリームメイカーのドラゴン四天王の頂点・・・『冥府の司祭』のゼロだ」 「ゼロ・・・」 悠はその時、フッとゼロの事を思い出した・・・ような気がした 仮死状態での精神世界のクラッシュとのバトルの時にまた、悠もどこかでゼロの姿を見ていたのかもしれない・・・ 「ゼロ・・・己の欲望のためにしか動かない、ドリームメイカーのかざかみにもおけないヤツ・・・」 ワタッコも前々からゼロの事を知っていたようにつぶやいていた・・・おそらく、ジルベールの記憶が教えてくれるのだろう・・・ 悠とワタッコは[そらをとぶ]で塔の最上階から入っていくゼロと、そのゼロの背中に乗っていたポケモンと腕につかまっていたポケモンの2体がとびおり、塔の入り口から入っていくところを見ていた・・・ アグル達は悠達に頼み込むように話しかけた 「我々はもうゼロの独裁にはついてけない」 「かといってドリームメイカー軍の者同士で戦っては、下の者どもへの示しがつかないのです・・・」 「あんたらに頼む・・・私たちにかわってゼロを倒してほしい」
・・・しばらく2人は黙っていたが 「僕に任せてください!」 「あいつは俺もなんとかしなくてはと思っていたんだ」 と2人が快く答えた! アグルはその返答を確認すると安心したように 「それを聞いて安心した・・・この46階は我々が命に代えても守り通す!お前達はここから先を進んでいってくれ・・・!」 と2人へ上に続く階段を指差した 「わかった!3連星も気をつけて!・・・いきますよ!ワタッコさん!」 「了解した!」 悠とワタッコは上に続く階段をあがっていった・・・!
********************
・その頃、ガムとアカリンは、まだ目が覚めないフィを抱えながらグレン島へ上陸していた。 「(フィちゃん・・・)」 アカリンは昏睡状態のフィをまだ心配そうに見つめていた 「(ここにくるのは2度目だな・・・)」 ガムはボートから降りて周囲を見渡していた 「?・・・あれは?」 「どうしたの?アカリン?」 アカリンが80階の塔の入り口付近にいる影に気がついた 「ユーリさんだ!」 「ユーリさん・・・?」 ガムはブイズの中では唯一シャワーズのユーリとだけ面識がなく、まだ彼女のことは知らない 「それにルエルスさん!ルレン君も!」 「!・・・なんだって!?」 ガムとアカリンはフィを背中に乗せてブイズの3人のいる所へと駆けつけた! 「アカリン、待ってたわよ」 「ユーリさん、遅れてごめんなさい!ブイズ『モエる朱色』のアカリン、ただいま到着しました!えへっ☆」 アカリンはブイズのみんなには、これまでのことで心配させまいと元気な顔で到着の報告をおこなった。 「ドリーフさんから通信で聞いているわよ。そっちがブースターのガムさんね?」 「うん!紹介するね!こっちがポケモンタワーで会った♂のブースターのガムくん!」 アカリンは改めてユーリへガムの事を紹介した 「あなたが・・・ユーリさん?」 ガムはユーリへ顔をやる。ユーリの事を少しだけ知っていたように。 きっとボートでの移動中にアカリンからブイズの全メンバーのことを聞いていたのだろう・・・ 「初めまして、私がブイズのシャワーズのユーリよ」 「こ・・・こちらこそ」 ガムはユーリとの挨拶を交わしながら思っていた 「(よく考えたら、ブイズでこうやってちゃんと自己紹介するのって初めてだな・・・)」 そして・・・ 「ルエルス・・・ルレン!」 ガムはエーフィのルエルスとブラッキーのルレンの姉弟に向けては[にらみつめる]を放っていた。 「・・・」 ルエルスはただ黙っていた ガムは忘れない。人質を取り、マグマラシだった頃のRXをそそのかし、そのRXにダーク改造をおこない、さらには『DARK BOX』まで仕掛け・・・3回もRXを操ったこの姉弟の事を・・・ そして・・・許す事ができなかった 「お前は・・・今ごろぬけぬけと・・・!」 ガムは2人に対しては[にらみつける]を放ち続けている そんなガムに対し、ルエルスは 「・・・ごめんなさいね」 と静かに謝罪した 「!・・・何が『ごめんなさい』だ!お前らのせいでRXさんは・・・RXさんは・・・!!」 ガムはルエルスに向かって「RXさんを返せ!」と言いたかった。 あの時、「情報収集」と行ったきり帰ってこないRXは、ガムの中ではまだマグマラシのままで、もう会えないものと思っている・・・ ・・・しかし、この時のガムは、まだRXがバクフーンに進化して、生存世界に戻ってきたことを知らなかった。 「いえ、あのあと反省したの・・・ドリーフさんに説教をうけて、「無闇な行動をするな」と」 「・・・!」 初対面の時とは違う、ルエスルのその潔い謝罪にガムは戸惑い始めていた ・・・しかし、そこにアカリンが 「ねぇ・・・ガムくん?」 少し厳しい表情でガムに語りかけた 「君は、ポケモンタワーで言ったよね?もう『ドリームメイカーの全てを敵視しない』って・・・そんなにブイズのことが信用できない?」 「!」 そうだ・・・ガムはアカリンとの出会いでドリームメイカー軍が『悪』ではないことがわかったはず・・・なのに、何を自分は拘り続けているんだ・・・ 「ご・・・ごめん、アカリン・・・」 「ううん、わかればいいんだよ☆」 何も言わずに、黙って頭を下げているルエルス、彼女はこの件は申し訳ないと思っていた。 だからこそ、蘇ったRXのもとにまっさきに駆けつけて、彼の治療と看護を行った。 それは罪滅ぼしじゃないから、ガムにそれを言うつもりは無いし、RXにも彼が目覚める前に知り合いに任せて去ることにした。 「…………」 ルエルスは寝ているフィの寝顔を静かに触れて、ニッコリと笑う。未だにこの子の自由進化でエーフィに進化したところを見たことが無いが、もしもこの子彼が私のことを覚えていてくれたならば、きっと2人の助けになるとルエルスは考えていた。 ルエルスがふと横を向くと、彼女のとなりにいるルレンもまたガムに対して[くろいまなざし]を放っていた。 「・・・こら!ルレン!」 ルエルスは弟のルレンを叱りつける 「姉さん、僕もまだ納得いかないよ、あの時のバトルを今ここでつけてもいいでしょ?」 ルレンは今にもガムへとびかかりそうなライバル意識をぶつけている・・・が 「いい加減になさい!」 「ぎゃっ!」 ルエルスはルレンに[スピードスター]で一喝した 「いい?ルレン?今は仲間同士で争っている場合ではないのですよ。お前もブイズの一員なら、軽率な態度はつつしみなさい」 ルレンはルエルスに叱られると、しょんぼりして 「・・・わかったよ、姉さん」 と[くろいまなざし]をといた そして・・・お互いがひと段落したのを確認したユーリがガムに改めて話しかけた。 「さて・・・ガムさん、私達が本部の地下からこの塔の入り口まで移動したのは他でもないわ、あなたに伝えなくてはいけないことがあって待っていたの」 「伝えなくてはいけないこと?」 ガムは悪い知らせでなければいいが・・・とユーリへと耳を傾ける 「1つは現在の悠達だけど・・・察しのとおり現在悠達はワタッコとの2人だけで塔の46階へ上がったわ」 「46階?・・・全然進んでいないじゃないか!?・・・悠さん達はまだそこに!?」
・ガムは耳を疑うのも無理はない。ガムが悠達と行動を共にしていた所までが46階だったからなのだ。ガムがアカリンと会ってから今まで塔の中では一体なにが・・・ 「アッシマーとルカ☆と秋葉はステアさんの[テレポート]でビーストの追跡に向かったけど・・・心配しないで、今の塔の中は休戦状態で一部を除いてほとんど戦いはおこなわれていないはず・・・ただ」 ユーリが少し心配そうに話しはじめた 「さっきゼロが[そらをとぶ]で塔のてっぺんから入っていくところを見たわ・・・そして下からは、やつの仲間が2人入り口から・・・ちょうど私達がここ(入り口)にたどり着く数分間ね」 「ゼロ・・・ゼロだって!?」 ガムは「休戦状態」で胸をなでおろす間もなく、ゼロとその仲間が入っていったという情報に赤い顔を真っ青にした・・・悠達が危ない・・・!! 「ゼロの仲間を2人も入れてしまったことはうかつだった・・・でも、今度は私達がこの塔の入り口からもう誰も近づけさせないわ・・・それと、アカリン?」 ユーリは今度はアカリンに声をかけた 「アカリン、これは私からの警告。この戦い、あなたには荷が重すぎるわ・・・悪いことは言わない、あなたは私達といっしょにここに残りなさい」 アカリンは「何を!」というように答える 「そ、そんな・・・私だってたたかえるんだよ!それに私にはドリーフさんにうけた『スパイとして悠達の行動をさぐれ』って任務だってあるんだから!」 そのまま、 「ユーリさんにはわるいけど、私はガムくんといっしょにいくよ!フィちゃんのためにも・・・」 ユーリはアカリンが大事そうに抱えているフィに目をやると 「止めても無駄のようね・・・」 ユーリはガムとアカリンが塔へと入れるよう、入り口への道をあけた。 「ユーリさん・・・ありがとう☆」 アカリンはそう言うとわれ先にと塔の中へ入っていった、それに続いてガムも入っていこうとした・・・が 「ガムさん!!」 突然ルレンに呼び止められた 「ルレン・・・」 「強くなるためには、どうすればいいのですか?」 ガムは少し考えて、言う。 「……負けて悔しいという気持ちを大切にすること。負けても、次は絶対負けない!と思い続けることができれば、どこまでも強くなれると思う」 「じゃあ、覚えておいてくださいね・・・僕とあなたの戦いはまだ終わったわけじゃないってこと! 僕はまだ必殺技も出していない。この戦いが終わったら、僕は今度こそあなたに勝ちますからね!」 ルレンは挑戦的な態度でガムを見送った。 ルレンはあの戦い以来、ガムにライバル意識と憧れを持っているのだ・・・ 「・・・わかった!全ての戦いが終わったらまた僕とバトルだ!」 ガムはそれに快く答え、アカリンの後を追いかけ塔の中へ入っていった・・・
「負けて悔しいと思う気持ちか……」 ルレンはその言葉を聞いたとき、ガムとの戦いの他に、もう一つ思い当たった戦いがあった。 それはポケモンタワーでの戦い、褪せた黄色のコートにいろいろな装飾品で着飾った彼女との一戦だった。 「こっそり行って、勝負をして来ようか」
―――――――――――――――――――
|
|