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[854] 本格RS《Dream Makers》 7日目後半 各々の恋模様
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 00時04分

3スレ目
ここまで行くと、当時の投稿の状態でもだいぶ読みやすくなっています。

[855] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (1)
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 00時06分

―――――――――――――――――――


「あれ?プリンスさんがいませんよ?」
一番最初に気が付いたのはひこだった。確かにこの部屋にプリンスはいなかった。
「抜け出したのでしょうね、まったく。あれ程ここから動いてはいけないと言ったのに、」
ベルはまあ気分転換にちょうどいいと言い、ビーストの調査を中断して、プリンス探しをすることにした。
「・・・・探検をしに行ったのでしょうか?」
「さぁ・・・・?俺はしらねぇな。HAHAHA」
「・・・・・?」
「あ、誰か来た」
ドアが開き、みんなはベルがプリンスを連れ戻したのかと思いきや・・・・
そこにはベルとプリンスではなく、一匹のキルリア、クラスタだった。
「あれ?ベルさんは?」
「その前のお前は誰だ?」
RXがクラスタにたずねる
「あ、し失礼しました・・・、僕の名はクラスタ、ステア師匠の代理人です。ベルさんに呼ばれてここまでやってきたんだけど、ベルさんは何処でしょうか?」
「ベルだったらプリンスさんを探してるよ。」
と瑞が言った。

******

・・・・一方、ベルは
「プリンスさん、そんな所にいたんですね。」
ベルはプリンスを見つけ出した。
「あ、ベルさん、あははははちょっとはぐれちゃったっというか」
「普通にしていれば、はぐれるはずがないでしょう。たしかに貴方ははぐれものですが」
「オイ、それってカゲが薄いって言いたいのか?」
「・・・・・・その判断はプリンスさんに任せますよ。」
2人は廊下を歩きながら、話す。
「すでに皆さんに言いましたがここから動く事は非常に危険です。さっき、ビアンカ達がビーストにやられましたからね。今はここで固まっていることが一番です」
「えぇ・・・!?えええ?」
プリンスはベルの言葉に驚きを隠せなかった。さっきまでいたビアンカ達がビーストにやられたのだから。
(ああ、なんかメンドクサイなぁ・・・)
プリンスが思った。そしてドアの前に着いた。ベルはドアを開けた。
「オイオイ、プリンクン、探検なんかしちゃ駄目だYO!」
「は?探検・・・何のこと?」
澪亮は瑞が「探検してる」と言ったので探検してると思っていたが、プリンスただ迷子になっただけなので、探検が何のことか分からなかった。そしてベルはすでにクラスタがこの部屋にいるので驚いていた。
「お久しぶりありがとうございます、クラスタさん来てたのですね。あなたがいると助かりますよ」
「フフッ♪ ひさしぶり、また会えて光栄だよ。状況はいかがですか?」
「ええ、準備にまだ掛かりそうですが、悪くありません。 まず・・・」
ベルとクラスタは話をし始めた。他の人達は体力を温存するため、みんな寝ていた。
「ビーストはうまくマサラからグレンへと誘導できたのですか?」
「いいえ、トキワ方面に逃がしてしまいました、どうやら本部への攻撃は後回しにして、街を破壊して回るつもりのようです。牽制と攻撃と住民の避難をして、ニビとヤマブキへの侵入を阻止して、なんとかハナダに近づけないように指示を出しています」
ベルは奥の部屋に案内して、モニターをクラスタに見せる。
「見てください」
「どれどれ」
クラスタは横からコンピューターの画面を覗き込んだ。
「なるほどトキワシティだね」
クラスタが言うと、ベルが続ける
「つまりビーストは、本部を抜け出した後、21番水道を渡り、マサラタウンを破壊、そして続いてトキワシティを破壊しているという訳ですね。」
「そして、次は西のタマムシへと誘導か 本当は東が良いのだけどね、街が無いところに行くことはないからなぁ」
「そうなります。幸いなことは破壊に時間を掛けているために移動速度が非常にゆっくりなことでしょうか? その破壊攻撃力はさすが、最強と呼ばれるポケモンだけあって、桁違いではありますけど」
「はい・・・・確かにポケモンの中では誰もが認めるトップクラスの強さですね・・・。彼なら街どころか、この世界ひとつを消し去る事など容易なことですからね。放っておけばこの世界は影も形もなく消されますよ。」
「そうですね・・・・。」
ベルとクラスタは淡々と語り合う、世界の存亡を掛けた戦いの話としてはやや緊張感が欠けているが、慌てず騒がず客観視している結果であろうか。
「僕もそろそろ寝ます、丸1日寝てなかったので・・・。」
「ええ、どうぞ、好きにしてください。」
そういうと、クラスタも部屋に置いてあるソファーで寝た。
ベルはビーストがそんなに近くにいないと知って、安心した。ベルが立ち上がると、みんなソファやベッドで寝ていた。
ベルはクロゼットにしまってある毛布を取り出し、「やれやれ」と言わんばかりにそっと毛布をかけた。
「ふう・・・・では、ビーストについての調査の続きを再開しようか」
ベルは一枚の写真と手紙を取り出して、しばらく眺めたあと、よしっと一言自分に活を入れて。
コンピューターに向かい合った。
「ユーナ、見ていてくれ」

―――――――――――――――――――
~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

本編とは関係あるけど、話の流れからは寄り道したクロスオーバー。
ガムさん執筆の 断片話 〜烈のエピソード〜

○(お話に入る前に)以前、塔の40階で登場させた悠の兄の烈の活躍が唐突で他の方々に受け止められにくい・・・と感じて、悠達が活躍していた「その頃の烈は・・・」という設定での回想話風に烈のお話を作らせて頂きました。
今現在のストーリー状況から烈だけの時間を一気に巻き戻す形になり、他のキャラクターの動きにも食い違いがあるかもしれない、読みにくい文章ですが、設定「追憶編」「その頃こうだった編」と、本編に関与させるかどうか・・・ぐらいの「番外編」の見方で見ていただければ幸いです・・・!

(それでは、回想話をはじめます!)
・悠との再会を果たし、記憶石と必殺技を授けた烈は悠の進化を見届けたあと、自らのダークエネルギーの暴走を恐れ、人・・・いや、ポケモンがいないところへと走りつづけていた。
「うっ!」
「傷が・・・治らない」

烈は、傷だらけの自分の身体を見つめながらつぶやいた
「バシャーモが死ぬとき、俺も・・・」
そして・・・自分がこの世界へ送られてきた時のことを思い出していた

・・・(人間界にいた頃からもう何ヶ月もたったような気がする)・・・

**********

・烈がこの世界に飛ばされる前、人間界に、2人の仲の良い兄弟がいた。
「おーい、いつまでやってるんだ?早く代わってくれよ」
2人は家に1つだけあるパソコンを共有してお互い、それぞれのお気に入りの掲示板に書き込みをしていた。
「もうちょっと待ってよ!兄さん!今、否定するスレのレスがきたんだ!あと、どっち派のお題も浮かんだところだから!」
その弟は、その掲示板へ【悠】というハンドルネームでよく書き込みをしていた。
「否定するスレ?どっち派?・・・なんだそれ?」
兄の名前は【烈】という。弟のよき理解者であり、弟が毎日『ポケ書』を楽しんでいることも知っていた。
「じゃあ席が空いたら呼んでくれよ!俺も今日、大事なHPの更新だから」
「うん、わかった!」
烈はそう弟に伝えると外出していった
2人は本当に仲がよくて、つらいこと、悲しい事があってもお互いに助け合い、信じあって、いままで困難を乗り越えてきた。

―この日、こんな出来事が待っているとも知らずに・・・―

・・・しばらくして烈が帰ってきた
「あれ?おかしいな・・・パソコンがつけっぱなしだ」
弟も席を外した気配があり、そこにはパソコンの電源がつけっぱなしの「なんでもお話し板」の画面が映っていた。
「・・・ったく、仕方がないな」
こんなことは弟のよくある行動で、烈はそのまま席にすわり電源を切ろうとした。
「あれ・・・何だこれ?荒らしか・・・?」
烈はそこに真っ白な文面のスレが無数に立てられていることを確認すると同時にその投稿者の名前を読んでみた
「ゴット・・・フリート?」
・・・その時!!

**********

・「う・・・ん・・・」
烈は目を覚ました。
さっきまで家にいたはずなのに、塩のにおいがする・・・
「な・・・なんだこれ」
あたり一面が海だった。そして目の前にはとても巨大なお墓があった。
そう・・・烈はナナシマの5のしま[おもいでのとう]に飛ばされたのだ。
「それにこの姿は一体なんなんだ・・・」
烈は海面に映っている自分のワカシャモに変えられた姿そのものが全くわからずにいた。
彼にはポケモンの知識や関心もほとんど少ないのである・・・
・・・どうしていいかわからずにたたずんでいると、海の向こうから一体のドラゴンポケモンが通り過ぎるのを目にした。
当然、烈にはそれがポケモンだということがわかるはずもない
「か・・・怪物!?」
烈の前を通り過ぎようとしていたそのドラゴンポケモンは、あきらかに場違いな場所にいるワカシャモの烈の姿と驚き声を聞き取るとこっちに向かってきた!
「・・・お前もこの世界に飛ばされてきた、ポケモン界に害を及ぼすものか?」
「え・・・?」
「わが名はドラゴン四天王『アクアファイター』キングドラのカール。お前にはここで死んでもらう!」
当惑する烈に対して有無を言わさずカールは[みずのはどう]を放ってきた!
「うわぁぁぁ!」
・・・一瞬の出来事だった。
カールの[みずのはどう]をくらった烈は1発で[ひんし]にされ、海に流されていった・・・
カールは流されていく烈を見ながら
「しかし、あの男・・・ワカシャモの姿なのに私をキングドラとわからずに怪物と呼ぶなど・・・」
それに加えて・・・という表情で
「あれほど戦い慣れしていない、ポケモンも珍しい・・・まるで人間を相手にしているようだった」
「これはゴットフリート様に報告する必要があるな・・・」

**************

・「・・・っと・・・ちょっと!大丈夫?」
烈は3のしまの海岸にまで流され、打ち上げられていた。
揺り動かされるように烈は目を覚ました
「こ・・・ここは?」
「ここは3のしま!君、傷だらけで大変だったんだよ!」
「うわ!ネコが・・・ネコがしゃべってる!?」
烈を揺り動かしたのは1匹の♀のエネコだった
「何言っているの?君だってワカシャモじゃない?」
「え?」
烈は改めて自分の姿を海面で確認した。間違いなく自分の姿は人間だった時のものとは違う。
「(この姿はワカシャモというのか・・・)」
「ふふっ、変なの!ポケモンなのにポケモンのこと知らないんだなんて!」
エネコは、にっこりした笑顔で返した。
「君、ひとりなの?だったらこっちについておいでよ!」
そう言うとエネコは烈を森の中へと連れて行った
「あ・・・あの?」
「何?」
「君の名前は・・・?」
「あ、そっか、紹介がまだだったね私の名前は【カレン】エネコの【カレン】っていうんだ!」

*****************

・「うわぁ・・・」
森の中につれてこられた烈の前には、たくさんのきのみやそれをあつめるポケモン達がいた
「あら、カレン?その子は?」
1匹のニドリーナがカレンに話しかけた
「この子は烈って言って5のしま迷ってたポケモンなんだ!」
カレンがそう話すと周囲のポケモン達があつまってきた
「おお!また家族が増えたか」
「家族・・・?」
首をかしげた烈にエネコのカレンが説明した
「ここは『きのみのもり』っていって、たくさんのきのみが落ちているところなんだ!でも、今ではドリームメイカー軍に襲われて家族をなくした子達がよりそって暮らすようになったところから『家族村』とも呼ばれるようになっているだよ」
「え?じゃあ・・・」
烈は聞くべきかどうか迷っていたが、烈がきりだす前にカレンの方から答えた
「私のパパとママ・・・ドリームメイカー軍に襲われて死んじゃったんだ・・・」
「・・・」
烈は何も言えなかった・・・
「さあ、こんなところでボサッとしてないで私達もきのみをあつめよう!」
「我々も君を歓迎するぞ!」
家族村のポケモン達は烈を暖かく迎え入れてくれた
「いこう!烈」
カレンは烈の手をひっぱっていった

家族村・・・みんなが仲良く暮らしていける場所。
烈はこの世界へ来て初めて感じる「平和」と同時に人間世界の弟のことを思い出していた
今頃、弟はどうしているだろうか・・・人間界での弟は・・・
「ん・・・?どうしたの?」
カレンは烈の顔をのぞきこむ
「いや・・・なんでもない」
カレンも人間界でいうと弟と同じくらいの年頃か・・・
烈はそんなことを思っていた

・・・その時!
「敵襲だー!敵襲だ―!」
村の人々が騒ぎ始めた
「ドリームメイカー軍が襲ってきたぞー!みんな、早く逃げるんだ―!!」
「敵襲・・・?ドリームメイカー?」
烈はまだ状況が飲み込めていない
「烈!何やってるの!?早く逃げないと!」
しかし、カレンが烈を連れて避難しようとした時
「させませんわよ・・・」
「きゃぁっ!」
「うわぁっ!」
[りゅうのいぶき]が烈とカレンを襲った!
「私(わたくし)、『死の歌姫』のファビオラから逃げきれると思って?オーッホッホッホ!」
烈もカレンも[まひ]状態になってうごけない・・・
「さあ、スピアー達!やっておしまい!」
ファビオラは部下のスピアー達を逃げる他の村人達へと仕向けた!
「み・・・みんな!」
烈は目をそむけた。
ある仲間は[ダブルニードル]や[ミサイルばり]に貫かれ、また、逃げ惑う仲間は[おいうち]をうけ、次々に倒れていく・・・
「フフフ・・・あなた達も私(わたくし)の歌声で永遠の眠りにおつきなさい!」
ファビオラは呪文のような怪しげな歌声を森全体に響き渡らせた
「あ・・・あれは、『死の歌姫』の[ほろびのうた]!?」
カレンがファビオラの[ほろびのうた]の発動体勢を見てなんとか烈だけでも逃がそうとする・・・が
「う・・・うわぁぁぁ――!!」

*****************

・「うぅ・・・」
烈は目を覚まし、自分がまだ生きていることを確認した
「ぐすっ・・・みんな・・・」
もう森の中にファビオラやスピアーの大群はなく、大勢いた仲間達の亡骸がそこにあった。
烈とカレンだけが生き残っていた・・・どうやら、カレンが[さわぐ]を使って[ほろびのうた]の注意をほんのわずかなだけそらしてくれたようなのだ
「どうして?・・・どうしてなの?」
「・・・」
亡骸を前に泣いているカレンに対して烈はかける言葉がなかった・・・
「カレン・・・みんなのためにお墓をつくってあげないと・・・」
ポケモンのことをほとんど知らない烈でもそれだけはしたかった。自分に安息を与えてくれたみんなのために・・・
「うん・・・」

*******************

・烈とカレンは森の仲間達の亡骸を5のしまの[おもいでのとう]に埋葬した
「[おもいでのとう]・・・烈はここに飛ばされてきたの?」
「・・・」
烈は黙ってうなずいた。
エネコのカレンは泣き止んだのか、周りを見渡すと
「ここって、とても寂しいところだね・・・」
と言った。
「(これからどうするか・・・)」
烈はそんなことを考えていた
「烈・・・あれを見て!」
カレンの呼び声に烈は海の向こう側を見たものすごいスピードで1匹のドラゴンが飛行している
「あのドラゴンは・・・?」
「カイリューっていうポケモンだよ」
「カイリュー・・・」
その烈とカレンの話し声に感づいたのか、ドラゴンポケモンがこっちに来た!
「お前がワカシャモの悠か?」
カイリューは悠に話しかけた
「・・・悠だって?」
悠・・・人違いだが、烈にはその名前をどこかで聞いたことがある
「エネコといっしょか・・・」
「話によればゴースとメリープといっしょだと聞いた・・・情報とは違うがゴットフリート様の命令だ」
そういうとカイリューはエネルギーをためて
「この『ウェザーマスター』のハインツの[はかいこうせん]であの世にいけ!」
「うわぁぁ!!」
たちまち周囲が爆発した!
烈もカレンもかろうじてハインツの[はかいこうせん]を回避した・・・つもりだったが
「この俺から逃げられると思うな・・・」
「ぎゃぁっ!」
まるで逃げる軌道を読まれていたかのように、烈はハインツにつかまり、たたきつけられた!
「うう・・・」
烈は身体中を強くうたれ[まひ]に似たような状態になり、動くことができない・・・
「うっ・・・ひっく」
烈の目の前にハインツに追いつめられたカレンがいた
「(カ、カレン・・・逃げるんだ・・・!)」
「こ・・・こわいよぉ・・・」
カレンは足がすくみ上がって逃げることができない
「お前も悠の仲間か?」
ハインツはカレンに標準を定めて[はかいこうせん]を発射せんとしている
「(く・・・くっそぉぉぉ!!)」
烈は自分の無力さを呪った。

(自分を助けてくれた子1人、助けることもできないのか・・・?)

「死ね!」
ハインツの[はかいこうせん]がカレンのいる方向へ放たれ、大爆発をおこした
・・・
「何・・・?エネコがいない」
煙の向こうにエネコのカレンを抱えたまま満身創痍のワカシャモの烈がいた
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ」
「こざかしい・・・」
ハインツは[でんじは]を烈に放った!
「うわぁぁぁぁ――――――っ!!!」
烈が叫び声を発したその時!!
「あれは・・・進化!?」
烈自身、それが何なのか気がつかなかったが、確かにバシャーモに進化していた!
烈はそのまま上空のハインツに飛びつくと背中にしがみつき、翼をもぎとった!
「ぐぁぁ!!」
そのままわしづかみに勢いにまかせ、じめんへ急降下しつつハインツの頭を地面にたたきつけた!!
「この!この!このぉ!!」
烈はハインツの首を締め上げるが
「ぎゃぁっ!!」
なぜか、背中から[つばさでうつ]攻撃をうけた!
「ど・・・どうして?」
烈の背後にはハインツが立っている
「気付かなかったのか?さっきからお前が相手にしているものは俺の[みがわり]だ」
「にもかかわらず[みがわり]を何度も攻撃しているお前は最高におもしろかったぞ!ハーッハッハ!」
ハインツは烈に対して[げきりん]を発動させようとする勢いだ!
「・・・」
しかし、ハインツは手を休めた
「さっきから・・・お前、なぜポケモンのワザを使って戦わない?」
ワザを使わないバシャーモ・・・ハインツにはその行動がが不可解で仕方がないようだ
「一瞬でバシャーモへ進化できる力がありながら・・・お前は何者だ?」
烈はこう言った
「ポケモン?・・・ワザ?なんだそれは?」
「!!」
ハインツはその言葉に驚愕の表情を隠し切れなかった
「まさか・・・いや、そんなバカな!ポケモンとは無縁の者がこの世界に招かれるなど・・・」
「もう一度お前に聞く、名はなんと言う?悠ではないのか?」
ハインツは烈に聞いた
「俺の名前は烈・・・お前らとは違う、人間だ!」
「なんだと・・・それではお前はやはり悠とは」
ハインツは烈のことが人違いだったとわかると
「お前のことはゴットフリート様に報告しておく!」
と言い残し、飛び去っていった・・・
「た、助かった・・・」
その場へへたりこむ烈。
・・・
カレンも無事なことに安堵していたが、彼にとって一度に知らないことがあまりにたくさんあった・・・
ポケモンのこと・・・カレン達、この世界のポケモンのこと・・・ドリームメイカーのこと・・・自分と間違えられた悠という名前の人のこと・・・
「!・・・悠!?」
烈は1つだけ思い出した!
「悠とは・・・確か俺の弟が書き込みのハンドルネームで使っていた名前だ!」
悠もこの世界へ飛ばされたのか?
烈には得体の知れない胸騒ぎがした・・・

*******************

ここはグレンじまの塔の最上階・・・そこに3匹のポケモンが集まっていた
「・・・それは本当か?ハインツ?」
「はい、ゴットフリート様・・・」
メタグロスとカイリューとキングドラが話し合っている
「あのワカシャモ・・・いや、バシャーモは悠に似た姿形していながらポケモンの経験、知識は全くの皆無・・・なのにあの異常な成長の早さ」
「ポケモンとは無縁の者が何ゆえこの世界に送られてきたのか・・・」
ハインツがそういうと隣でキングドラのカールも言った
「それは私も・・・」
「あのポケモン、何と言うべきか・・・しきりに人間界のことばかり叫んでいて、まるで、本物の人間を相手に攻撃していたというか・・・」
「ククク・・・説明になっていないな、カールよ。それでもドラゴン四天王の1人か?」
どこからともなく闇の中からボーマンダが姿を現した
「お前は・・・ゼロ!」
「人間だろうがポケモンだろうが、要はこの世界に送られてきた奴らを1匹残らず根絶やしにすればいいだけのこと・・・お前らはそれに従っていればいい」
「ゼロ!」
「そのバシャーモに手も足も出ないというなら俺に良案がある。とっておきのな・・・ククク」
そういい残すとゼロは闇に姿を消していった
「あいつに任せて本当に大丈夫なのだろうか・・・?」
ハインツとカールは不安の表情を隠し切れない
「・・・」
メタグロスは沈黙を続けていたが
「ハインツ、カール。今、リディアはどうしている?」
ハインツがその言葉に答えた
「はっ、現在リディアはメタモンの浅目を討伐。サーナイトの愛を取り逃がした後、一度ここへ戻ってまいりましたが、今は烈とカレンの2人と交戦中であります」

******************

・「くっ、こんな強さは報告になかったわ・・・このバシャーモ、本当にあたし達と同じ『ポケモン』なの?」
四天王『砂上の蜃気楼』のリディア。彼女は相性がいいはずのバシャーモに対して、全く、手も足も出ずにいた。
「どうした?四天王の実力とはこれほどのものか?」
「い・・・言わせておけば!」
バシャーモのその言葉にプライドの高いリディアは怒り、[りゅうのいぶき]をかけた!
「ぐっ・・」
「やった![まひ]状態!形勢逆転!」
リディアが「勝った!」と思ったその瞬間
「・・・なーんてね!」
「そら!自分の仕掛けたワザで自分がすっとべ!・・・[オウムがえし]!!」
バシャーモもまた[りゅうのいぶき]をリディアに向かって放った!
「きゃぁっ!」
ドラゴンタイプのリディアにこのワザは[こうかばつぐん]だ!・・・でもどうして[まひ]状態の彼が?
「烈!・・・[いやしのすず]がうまくいったみたいね!」
バシャーモの後ろにエネコロロがついていた!
「これなら・・・どう!」
リディアはなおもワザをの体勢をとった!・・・が
「烈・・・くるわ![じしん]よ!」
「む!」
バシャーモは[こらえる]を使い、エネコロロは[かげぶんしん]を使い、応戦した!
「今度はこっちからいくぞ!」
バシャーモはこらえたダメージをそのまま[きしかいせい]に切り替え、また、エネコロロはそのワザを[てだすけ]し、リディアに叩きつけた!!
「きゃぁぁぁぁ!!」
「これで・・・とどめ!!」
バシャーモは足に[ほのおのうず]を放ち、集中させるとリディアが体勢を立て直す隙もあたえずに
「[火の玉・・・キーック!!]」
必殺技は見事にリディアの急所をとらえた!
「お・・・覚えてらっしゃい!このかりは必ず・・・」
リディアはそういい残すと、その場から退散して行った・・・
「ふぅ・・・」
「烈、お疲れ様!」
「いや、カレン、君がいてくれたからだよ!」
そう・・・このバシャーモとエネコロロはあの日、ドリームメイカー軍に教われ、生き残ったワカシャモの烈とエネコのカレンだったのだ!
あの日から2人とも、たくましく成長していた。

*******************

・3のしまの『きのみのもり』・・・仲間達と暮らしていたこの場所を拠点としてバシャーモになった烈とエネコロロになったカレンはお互いの技を磨いていた
「いくぞ!カレン![ほのおのパンチ]!」
「なんの!これならどう?[ひみつのちから]!」
双方の力は互角!
「・・・烈どこなの?烈!」
烈はカレンの後ろに回りこんでいた
「俺も今日から、一人前の戦士だぜ」
「・・・初めて私が、あなたに後ろを取られたわね」
烈とカレンの訓練はまだ続く!
「烈!あなたも悠、悠って、いいかげん、弟さんから卒業したらどう?」
「お前こそ!そろそろ年頃の娘らしくしたらどうなんだ?カレン!」
「烈!私にリボンをつけさせたかったら、ゴットフリートの首を持ってくることね!」
「君のためならゴットフリートの首でも尻尾でも、なんでも持ってきてやるさ!カレン!」
「烈・・・」
「カレン・・・君には本当に感謝している。この世界に迷い込んで、ポケモンのことを教えてくれて・・・君がいなかったら今ごろ、俺は・・・」
・・・その夜、烈はいつものように考えふけっていた。
「(悠・・・俺の弟、悠・・・お前は今、どうしている?)」
烈は記憶石のかけらを見つめながら思っていた。この記憶石はハインツに襲われた時にカレンが[ほしがる]で無意識的に奪ったもの・・・らしい。
その記憶石からはいろいろな情報が見えてきた。
「(この記憶石が教えてくれるお前はまだ、あの頃の人間の姿だ・・・)」
「(迷いこんだお前は敵に教われていないか・・・仲間はいるのか・・・俺と同じバシャーモなのか・・・)」
そんなことを考えていた烈に・・・
「烈・・・」
「カレン?その姿は・・・?」
カレンは首にリボンをつけていた
「烈・・・私もあなたに会えてよかったと思っているわ。あの時・・・この森で私が友達や仲間達を失った時にあなたがそばにいてくれた」
「カレン・・・」
2人は寄り添いあった・・・
その時!
「ククク・・・お邪魔だったかな?」
闇の中からボーマンダが姿を現した!
「お前は『冥府の司祭』・・・ボーマンダのゼロ!」
「ほう・・・俺の名を知っているとは嬉しいな」
「知っているも何も、お前の見境のない殺戮を知らない者は誰もいない!」
「そうよ!こんな所に現れるなんで、私達がここであなたを成敗するわ!」
烈とカレンはすぐさま身構えた!
「ほざけ・・・俺自ら出向いた意味を教えてやる・・・お前らはここでお・わ・りだ」
「何を!」
カレンはゼロへ向かって[アイアンテール]をくりだした!
「ふん・・・」
「きゃぁっ!」
ゼロはそれを軽く避けると、[つばめがえし]で切り替えしてきた!
「カレン!・・・くそ![がんせきふうじ]」
「ククク・・・そんな子供だましのワザは俺には通用せん・・・」
ゼロは烈の攻撃をも[まもる]で簡単に防ぎ、[ドラゴンクロー]をあびせた!!
「がぁっ!」
「大丈夫?烈!?」
「ああ・・・カレン!あの技をいくぞ![てだすけ]たのむ!」
「OK!」
烈は自らに[ほのおのうず]を放ち、カレンは[てだすけ]の体勢をとった!
「む?」
「くらえ![火の玉・・・キ―――ック]!!」
「させるか・・・うぉぉぉぉっ!?」
ゼロはその攻撃も[まもる]で再び防ごうとするが、[火の玉キック]の技の凄まじさにガードを崩され、直撃をくらった!
「ほう・・・これは確かに『ポケモンの強さ』ではないな。お前はやはり人間の記憶を抜き取られず戦っているというわけか・・・」
「だったらどうだというんだ!?」
「このままでは俺もお前らにやぶれるやもしれん・・・だが、これを見ろ」
ゼロは自分のつかさどる空間(精神世界)への裂け目に手を突っ込むと、そこから無数の霊魂をつかみ出し、烈とカレンに見せつけた!
「あ・・・あれは!」
その霊魂はこの『きのみのもり』・・・別名『家族村』で殺された烈とカレンの家族と呼んでも過言ではない、仲間達の霊魂だったのだ!
「ハハハ!この無数の霊魂を身にまとっている俺を攻撃できるか?」
不気味に勝ち誇ったような笑みを浮かべるゼロ
「み・・・みんな!」
!・・・カレンは霊魂でも再開できた家族村の仲間達の所へ引き寄せられようとしていた
「よせ、カレン!そっちに行くな!それはゼロの心理作戦だ――!!」
必死に止めようと呼びかけるが・・・
「ククク・・・仲間と再会できて嬉しいか?おもしろいものを見せてやろう・・・」
そういうと、ゼロは自らが精神世界から取り出した家族村の霊魂を1つ1つにぎりりつぶし始めた!!
「!!!!!」
カレンはそれを見るや否や、
「ゼロォォォォォォォ!!」
ものすごい勢いで逆上し、ゼロにとびかかろうとした!!
「カレン!!やめろ――――!!ゼロの術中に陥るな――――!!」
しかし、カレンには完全に烈の声が届いていない!!
ゼロはニヤリと獲物をとらえたような表情に変わり
「もう遅い!!」
[はかいこうせん]を超至近距離からカレンの急所へ直撃させた!
「ああああああぁぁぁぁぁぁ――っ!!」
その時、カレンの首につけていたリボンが散った・・・
「カ、カレ――――――――――ン!!!!」
「・・・れ・・・つ・・・・・」
カレンは目にたくさんの涙を浮かべながら、最後に烈の名前を呼び倒れた・・・
烈も、ゼロの[いかく]どころではなくなり、カレンの元に駆け寄った
「カレン!カレン!カレ――――ン!!」
カレンは、目を開いたまま絶命してる・・・即死だった。
「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!!!!!」
烈は声にならない叫び声を上げずにはいられなかった!
・・・しかし、そこにゼロの姿はなく、精神世界へ姿を消していた。
「(お前には死ぬ以上の生き地獄を味あわせてやる・・・せいぜいそのエネコロロを死なせた不幸を呪うんだな・・・ハーッハッハ!!)」
ゼロが、せせらわらいながらそう言い残し闇へと消えていった・・・

********************

・家族村の仲間に続き、最愛の人、エネコロロのカレンをも失ってしまった烈・・・また5のしまの[おもいでのとう]に立っていた・・・
カレンの亡骸もこの[おもいでのとう]に埋葬したのだ。
「・・・カレン」
・・・しかし、そんな烈の目の前に『砂上の蜃気楼』フライゴンのリディアと2、3匹のビブラーバ達が上空に待ち構えていた
「待っていたわ」
「・・・」
「家族を失い、友を失ったお前が戻って来る所はここしかない」
「・・・」
「烈、もう逃げられないわよ!」
リディアは部下のビブラーバ達に指揮をとり、烈の周囲をとりかこうが・・・
「・・・」
「・・・?」
リディアはおかしい?という表情で烈の顔を見た・・・烈は既に死んだようにぬけがらのような表情をしていている。とても戦える者の目ではない・・・
・・・そして、烈は黙ってリディアに向かって両腕を突き出した
「・・・ゴットフリート様に報告。バシャーモの烈をただちに捕虜として連行」
烈は身体に[きょうせいギブス]をつけられ、拘束された状態でリディアとビブラーバ達によって連行された・・・

*****************

・ここはグレン島の塔の72階・・・
「そうか・・・よくやったリディアよ」
「はっ、ありがたきお言葉」
そこにはメタグロスと、カイリュ―のハインツ、キングドラのカール、ストライクのアレクセイ、そして、烈を連行してきたフライゴンのリディアと・・・捕まった烈がいた。
アレクセイは烈に何度も記憶石を押しあてる。
「だめです・・・この者からは記憶の抜き取りも封印も転写も不可能・・・やっぱりハインツとカールが言ったようにこやつは人間世界の記憶をそのまま持ち込んだのでは・・・?」
ハインツは烈に言った
「もう一度聞く・・・お前の名前は何だ?」
「・・・」
烈には答えるほどの気力もない
「ハインツ・・・その男は【烈】と呼ばれていたわ」
代わりにリディアが答えた
「人間的すぎる行動と異常なまでの進化の早さを除けば、何もかもが悠と酷似している・・・偶然とは思えん」
「我々は悠と間違えて、違う人間をこの世界に引き寄せてしまったと言う事になるのか・・・」
ハインツとカールがつぶやいた時
「・・・?どうしました?ゴットフリート様?」
リディアが烈を見つめ続けるゴットフリートに呼びかけた
「もうよい、烈よ・・・芝居は終わりだ」
「え・・・!?」
「まさか・・・!」
ハインツ達は烈に対して身構えた!
「衛兵!衛兵はいるか!?」
アレクセイは下の階から四天王の部下のポケモン達を呼び集めた!
それまでぬけがらのようだった烈の表情がみるみる変わっていく・・・!
「烈!下手な芝居で墓穴を掘ったな!」
ハインツ達は配下のポケモン達を烈にしむけ、自らも襲いかかったが
「どけぇ!!」
「俺は、雑魚には用はない!!!!!」
烈の嵐のような[オーバーヒート]があたり一面を巻き込む勢い一気に炸裂した!!
「ぐわぁぁぁ!!」
「きゃぁぁぁ!!」
ハインツもリディアもカールも烈の[もうか]のような攻撃にたったの一撃でふきとばされた!
そして、烈はゴットフリートのふところへもぐりこんだ!

「『家族村』のみんなの仇!カレンと、多くの仲間達の仇!そして・・・この世界の多くのポケモン達の無念・・・
ゴットフリート!!覚悟ぉぉぉ―――――――!!!!!」

「うぉぉぉ!こ、これは・・・」
烈の持っている記憶石が強く反応し、記憶石の中の悠の記憶と共鳴しあっている!
その時!烈の拳に[ほののうず]が集中された!
烈の怒りと弟との同調か、烈にはその記憶石には収められていないはずの、弟と同じ[火の玉スカイアッパー]の情報が見えた!!
「[火の玉・・・スカイアッパ―――――――――!!!!]」
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
烈はメタグロスのゴットフリートを粉々に打ち砕いた!・・・かに見えた
「・・・!?ち、違う・・・これはダンバル!?影武者・・・?」
ゴッ・・・!
「ぐぁっ!」
烈は背後からものすごく重い一撃を叩き込まれ、そのまま倒れてしまった・・・
「さすがは、人間世界の記憶を保持した者・・・あのままでは私の命も危うかった・・・」
烈の[オーバーヒート]に倒れていたハインツ達も立ち上がってきた
「なんて恐ろしいやつだ・・・しかし、この者。一体どうすれば・・・」
気絶し、[ひんし]になった烈を眺めている。
ゴットフリートは考えが決まった様子で72階の皆に言った
「この者はひょっとすると、【ビースト】や【グレイス】にも匹敵するほどの脅威になるやもしれぬ・・・」
ゴットフリートはそのまま、烈を見つめながら
「この男はこの世界に招かれざる者・・・しかし、この者にはこれから先、我々とこの世界の維持のために、大いに役立ってもらわねばならん」
やがてアレクセイに向かって
「アリーシャ、この者にただちにダーク改造をほどこし、完全に反逆できないようにせよ!それと・・・『DARK BOX』を取り付けることを忘れるな!」
「はっ!おおせの通り・・・」

******************

・・・(そこから先は覚えていない・・・ただ、今の俺には、自分と同じように、この世界に飛ばされてきた弟の悠に会いたい一心でここまできたことだけは間違いないはずだ)・・・

烈は5のしまの[おもでのとう]にいた。
カレンの墓を前にして、うっすら涙を浮かべていた・・・
・・・今の烈に、もう心残りはなかった

「悠・・・この世界を正しく導いて、必ずこの世界を救ってくれ・・・」
「俺のためにも・・・カレンのためにも・・・!」

**********************

・「?」
「・・・兄さん?」
悠は静かに光る記憶石を握りしめていた。
「悠さん?どうしたの」
アッシマーが心配そうに悠に話しかけた
「い、いや・・・なんでもないです」
・・・悠は記憶石を通じて、今はっきりと自分に兄がいた事を1つだけ思い出した
「(兄さんに、今までそんなことが・・・)」
そしてみんなに気付かれないよう、こっそり泣いた・・・

+++++++++++++++
○(あとがき)・ハインツに襲われた後、四天王&ゴットフリート打倒のために烈とカレンが訓練の末、強くなったという場面から始まり、烈がカレンを失いダーク改造をほどこされ(「ダークボックス」を埋め込まれ)現在にいたるまでを、烈の「追憶編」として書ききらせていただきました・・・!
・悠と間違えられて烈がこの世界に飛ばされてきたことを本編中の描写に含ませたつもりですが、わかりにくいところや説明不足な箇所、また、脱線や矛盾点などがあったら遠慮なく言ってください!可能な限り考え、お答えします!

・(おおまかな箇所で語れば)ゴットフリートはこの世界に招かれざる客人として飛ばされてきた烈の「抜き取られない記憶」「(それゆえ)記憶石をうけつけない事」「(そのためか)『ポケモン』の強さではない異常な能力をおそれてのダーク改造」という点をお話の主な部分としています。
・ただ、本編中に烈が悠の記憶を眺め、また、[火の玉スカイアッパー]を使うシーンがありますが、正確には烈の中に他人の記憶が直接「流れこんだ(転写?)」描写がなく「見えた」という感じで使わせており、記憶石が烈本人の記憶に何ら変化がない「写真(またはビデオテープ)」のような使わせ方をさせて頂きました(記憶に関する影響を受けない烈のみの記憶石の使い方を「情報を見る」という形に少しだけアレンジさせていただいた上で)
・アリーシャはアレクセイの愛称で間違いなかったと思います(うろおぼえ・・・)

○(かなり余談)このお話しにも元ネタがあり、「六神合体ゴッドマーズ」のタケル(マーズ)の兄マーグが主役のOVA版「17歳の伝説」からかなりモチーフにした(なぞった)部分が多いです(汗)
ttp://www.tms-e.com/library/tokushu/godmars/
(本編とは関係ないけど)この元ネタでも「記憶メダル(だったと思う)」というアイテムがあり、烈の記憶石の使わせ方に少しだけなぞっていたりもします(大汗)

・この先の烈の展開は僕の方ではしばらくお休みで、悠がみんなでいじれるキャラであるようにみなさんで進めていただいたいて(今度こそ)かまいません!
設定を読んで見ると確かに烈は悠に対して、いい意味でかなりのブラコンかもしれませんが(汗)悠が最大のピンチの時に再度登場&活躍させようかどうか・・・と思っています。でも自分だと元ネタになぞって(いじれるキャラという点もあり)死にキャラにさせてしまうかもしれません・・・(大汗)

蛇足話終了、次から本編。
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――――――――――――――――

・(話はガム達がグレン島に上陸する数十分前にさかのぼる・・・)
ここはグレンの塔の40階・・・
悠はステアの間接[テレポート]で飛ばされたアッシマー達がいた跡をしばらく、見つめていた・・・
「(アッシマーさん、必ず生きて会えますよね・・・)」
そんな悠にワタッコが語りかけた
「さて、俺達も行こうか」
「そうですね・・・僕たちは一刻も早くゴットフリートに会って、その真意を確かめないと・・・」
悠とワタッコは次の41階へ上っていこうとした・・・その時
「ちょっと待て」
2人を呼び止めたのはステアだ。
「な、何ですか・・・?ステアさん」
先を急ごうとする悠にステアは言った
「先を急ぐのなら君達も私の[テレポート]で元いた赤い3連星のいる46階までだが、飛ばしてやろう」
それに続いて後ろでヒャクエが言った
「それと・・・私の[みらいよち]からの予言だが・・・もうすぐこの塔に6人の来訪者が訪れる・・・2人は炎タイプでもう1人は今にも消えそうな命・・・あと3人は・・・ドス黒い影・・・」
「ドス黒い影・・・」
悠達はそのドス黒い影の1人が『冥府の司祭』のゼロだとはまだわからなかった・・・
ヒャクエはユフとフウチをつかせながら、
「私達はステアと共に32階へ戻ってその客人を待とうと思う」
そしてステアは悠とワタッコをを間接[テレポート]させる状態で話した
「ドリームメイカー内は今、一番不安定な状態だ・・・たのんだぞ!」
悠達は
「・・・はい!」
と勇ましく答え、ステアの間接[テレポート]によって飛ばされていった・・・

*****************

・「・・・ここが46階・・・」
悠とワタッコは元の46階に戻ってきた・・・
「・・・待っていたぞ」
「!・・・お前達は」
悠が振り返るとそこにはウインディが3匹・・・そう、「赤い3連星」のアグル・チップ・オルティアだ。
・・・しかし、今度は3匹から殺気を感じない
「みなさんの話は全て下の階で聞いていました」
とチップ
「あんたらのこと・・・誤解してすまんかったね」
とオルティア
・・・どうやら3連星は悠とアッシマー達とステアの話を全て上の階から聞いていたようだ・・・
「・・・」
悠とワタッコは自分達に謝る3連星を見て、やっとビースト撃退の誤解がとけたことを確認すると
・・・悠が3人に語りかけた
「オルティア・・・顔をあげて」
「うん・・・」
とオルティアへ
「チップ・・・こっちこそごめんなさい・・・」
「はい・・・」
とチップへ
「アグル・・・僕達はもう時間がない・・・このまま上の階にあがってもいいね?」
「もちろんだ・・・!」
とアグルへ語りかけた。悠達と3連星はやっと和解できたのだ!
・・・しかしアグルが悠達を引き止める
「ただ・・・お前達に頼みがある」
「?」
「あれを見てくれ」
悠とワタッコはアグルが指差す方向・・・46階の窓から外を眺めた
「あれは・・・ボーマンダ?」
悠達が見る方向にはいかにも「殺したい」という欲求に満ちたような、どう見ても殺戮者としか思えないような顔つきのボーマンダが遠くからこの塔にやってくる光景を目にした
どうやら、背中と腕にそれぞれポケモンを1体ずつ連れているがこちらからでは遠くてボーマンダの姿以外よく見えない・・・
「あれはドリームメイカーのドラゴン四天王の頂点・・・『冥府の司祭』のゼロだ」
「ゼロ・・・」
悠はその時、フッとゼロの事を思い出した・・・ような気がした
仮死状態での精神世界のクラッシュとのバトルの時にまた、悠もどこかでゼロの姿を見ていたのかもしれない・・・
「ゼロ・・・己の欲望のためにしか動かない、ドリームメイカーのかざかみにもおけないヤツ・・・」
ワタッコも前々からゼロの事を知っていたようにつぶやいていた・・・おそらく、ジルベールの記憶が教えてくれるのだろう・・・
悠とワタッコは[そらをとぶ]で塔の最上階から入っていくゼロと、そのゼロの背中に乗っていたポケモンと腕につかまっていたポケモンの2体がとびおり、塔の入り口から入っていくところを見ていた・・・
アグル達は悠達に頼み込むように話しかけた
「我々はもうゼロの独裁にはついてけない」
「かといってドリームメイカー軍の者同士で戦っては、下の者どもへの示しがつかないのです・・・」
「あんたらに頼む・・・私たちにかわってゼロを倒してほしい」

・・・しばらく2人は黙っていたが
「僕に任せてください!」
「あいつは俺もなんとかしなくてはと思っていたんだ」
と2人が快く答えた!
アグルはその返答を確認すると安心したように
「それを聞いて安心した・・・この46階は我々が命に代えても守り通す!お前達はここから先を進んでいってくれ・・・!」
と2人へ上に続く階段を指差した
「わかった!3連星も気をつけて!・・・いきますよ!ワタッコさん!」
「了解した!」
悠とワタッコは上に続く階段をあがっていった・・・!

********************

・その頃、ガムとアカリンは、まだ目が覚めないフィを抱えながらグレン島へ上陸していた。
「(フィちゃん・・・)」
アカリンは昏睡状態のフィをまだ心配そうに見つめていた
「(ここにくるのは2度目だな・・・)」
ガムはボートから降りて周囲を見渡していた
「?・・・あれは?」
「どうしたの?アカリン?」
アカリンが80階の塔の入り口付近にいる影に気がついた
「ユーリさんだ!」
「ユーリさん・・・?」
ガムはブイズの中では唯一シャワーズのユーリとだけ面識がなく、まだ彼女のことは知らない
「それにルエルスさん!ルレン君も!」
「!・・・なんだって!?」
ガムとアカリンはフィを背中に乗せてブイズの3人のいる所へと駆けつけた!
「アカリン、待ってたわよ」
「ユーリさん、遅れてごめんなさい!ブイズ『モエる朱色』のアカリン、ただいま到着しました!えへっ☆」
アカリンはブイズのみんなには、これまでのことで心配させまいと元気な顔で到着の報告をおこなった。
「ドリーフさんから通信で聞いているわよ。そっちがブースターのガムさんね?」
「うん!紹介するね!こっちがポケモンタワーで会った♂のブースターのガムくん!」
アカリンは改めてユーリへガムの事を紹介した
「あなたが・・・ユーリさん?」
ガムはユーリへ顔をやる。ユーリの事を少しだけ知っていたように。
きっとボートでの移動中にアカリンからブイズの全メンバーのことを聞いていたのだろう・・・
「初めまして、私がブイズのシャワーズのユーリよ」
「こ・・・こちらこそ」
ガムはユーリとの挨拶を交わしながら思っていた
「(よく考えたら、ブイズでこうやってちゃんと自己紹介するのって初めてだな・・・)」
そして・・・
「ルエルス・・・ルレン!」
ガムはエーフィのルエルスとブラッキーのルレンの姉弟に向けては[にらみつめる]を放っていた。
「・・・」
ルエルスはただ黙っていた
ガムは忘れない。人質を取り、マグマラシだった頃のRXをそそのかし、そのRXにダーク改造をおこない、さらには『DARK BOX』まで仕掛け・・・3回もRXを操ったこの姉弟の事を・・・
そして・・・許す事ができなかった
「お前は・・・今ごろぬけぬけと・・・!」
ガムは2人に対しては[にらみつける]を放ち続けている
そんなガムに対し、ルエルスは
「・・・ごめんなさいね」
と静かに謝罪した
「!・・・何が『ごめんなさい』だ!お前らのせいでRXさんは・・・RXさんは・・・!!」
ガムはルエルスに向かって「RXさんを返せ!」と言いたかった。
あの時、「情報収集」と行ったきり帰ってこないRXは、ガムの中ではまだマグマラシのままで、もう会えないものと思っている・・・
・・・しかし、この時のガムは、まだRXがバクフーンに進化して、生存世界に戻ってきたことを知らなかった。
「いえ、あのあと反省したの・・・ドリーフさんに説教をうけて、「無闇な行動をするな」と」
「・・・!」
初対面の時とは違う、ルエスルのその潔い謝罪にガムは戸惑い始めていた
・・・しかし、そこにアカリンが
「ねぇ・・・ガムくん?」
少し厳しい表情でガムに語りかけた
「君は、ポケモンタワーで言ったよね?もう『ドリームメイカーの全てを敵視しない』って・・・そんなにブイズのことが信用できない?」
「!」
そうだ・・・ガムはアカリンとの出会いでドリームメイカー軍が『悪』ではないことがわかったはず・・・なのに、何を自分は拘り続けているんだ・・・
「ご・・・ごめん、アカリン・・・」
「ううん、わかればいいんだよ☆」
何も言わずに、黙って頭を下げているルエルス、彼女はこの件は申し訳ないと思っていた。
だからこそ、蘇ったRXのもとにまっさきに駆けつけて、彼の治療と看護を行った。
それは罪滅ぼしじゃないから、ガムにそれを言うつもりは無いし、RXにも彼が目覚める前に知り合いに任せて去ることにした。
「…………」
ルエルスは寝ているフィの寝顔を静かに触れて、ニッコリと笑う。未だにこの子の自由進化でエーフィに進化したところを見たことが無いが、もしもこの子彼が私のことを覚えていてくれたならば、きっと2人の助けになるとルエルスは考えていた。
ルエルスがふと横を向くと、彼女のとなりにいるルレンもまたガムに対して[くろいまなざし]を放っていた。
「・・・こら!ルレン!」
ルエルスは弟のルレンを叱りつける
「姉さん、僕もまだ納得いかないよ、あの時のバトルを今ここでつけてもいいでしょ?」
ルレンは今にもガムへとびかかりそうなライバル意識をぶつけている・・・が
「いい加減になさい!」
「ぎゃっ!」
ルエルスはルレンに[スピードスター]で一喝した
「いい?ルレン?今は仲間同士で争っている場合ではないのですよ。お前もブイズの一員なら、軽率な態度はつつしみなさい」
ルレンはルエルスに叱られると、しょんぼりして
「・・・わかったよ、姉さん」
と[くろいまなざし]をといた
そして・・・お互いがひと段落したのを確認したユーリがガムに改めて話しかけた。
「さて・・・ガムさん、私達が本部の地下からこの塔の入り口まで移動したのは他でもないわ、あなたに伝えなくてはいけないことがあって待っていたの」
「伝えなくてはいけないこと?」
ガムは悪い知らせでなければいいが・・・とユーリへと耳を傾ける
「1つは現在の悠達だけど・・・察しのとおり現在悠達はワタッコとの2人だけで塔の46階へ上がったわ」
「46階?・・・全然進んでいないじゃないか!?・・・悠さん達はまだそこに!?」

・ガムは耳を疑うのも無理はない。ガムが悠達と行動を共にしていた所までが46階だったからなのだ。ガムがアカリンと会ってから今まで塔の中では一体なにが・・・
「アッシマーとルカ☆と秋葉はステアさんの[テレポート]でビーストの追跡に向かったけど・・・心配しないで、今の塔の中は休戦状態で一部を除いてほとんど戦いはおこなわれていないはず・・・ただ」
ユーリが少し心配そうに話しはじめた
「さっきゼロが[そらをとぶ]で塔のてっぺんから入っていくところを見たわ・・・そして下からは、やつの仲間が2人入り口から・・・ちょうど私達がここ(入り口)にたどり着く数分間ね」
「ゼロ・・・ゼロだって!?」
ガムは「休戦状態」で胸をなでおろす間もなく、ゼロとその仲間が入っていったという情報に赤い顔を真っ青にした・・・悠達が危ない・・・!!
「ゼロの仲間を2人も入れてしまったことはうかつだった・・・でも、今度は私達がこの塔の入り口からもう誰も近づけさせないわ・・・それと、アカリン?」
ユーリは今度はアカリンに声をかけた
「アカリン、これは私からの警告。この戦い、あなたには荷が重すぎるわ・・・悪いことは言わない、あなたは私達といっしょにここに残りなさい」
アカリンは「何を!」というように答える
「そ、そんな・・・私だってたたかえるんだよ!それに私にはドリーフさんにうけた『スパイとして悠達の行動をさぐれ』って任務だってあるんだから!」
そのまま、
「ユーリさんにはわるいけど、私はガムくんといっしょにいくよ!フィちゃんのためにも・・・」
ユーリはアカリンが大事そうに抱えているフィに目をやると
「止めても無駄のようね・・・」
ユーリはガムとアカリンが塔へと入れるよう、入り口への道をあけた。
「ユーリさん・・・ありがとう☆」
アカリンはそう言うとわれ先にと塔の中へ入っていった、それに続いてガムも入っていこうとした・・・が
「ガムさん!!」
突然ルレンに呼び止められた
「ルレン・・・」
「強くなるためには、どうすればいいのですか?」
ガムは少し考えて、言う。
「……負けて悔しいという気持ちを大切にすること。負けても、次は絶対負けない!と思い続けることができれば、どこまでも強くなれると思う」
「じゃあ、覚えておいてくださいね・・・僕とあなたの戦いはまだ終わったわけじゃないってこと! 僕はまだ必殺技も出していない。この戦いが終わったら、僕は今度こそあなたに勝ちますからね!」
ルレンは挑戦的な態度でガムを見送った。
ルレンはあの戦い以来、ガムにライバル意識と憧れを持っているのだ・・・
「・・・わかった!全ての戦いが終わったらまた僕とバトルだ!」
ガムはそれに快く答え、アカリンの後を追いかけ塔の中へ入っていった・・・

「負けて悔しいと思う気持ちか……」
ルレンはその言葉を聞いたとき、ガムとの戦いの他に、もう一つ思い当たった戦いがあった。
それはポケモンタワーでの戦い、褪せた黄色のコートにいろいろな装飾品で着飾った彼女との一戦だった。
「こっそり行って、勝負をして来ようか」

―――――――――――――――――――

[856] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (2)
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 00時42分

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ここは5のしまのおもいでのとう
カレンの冥福を祈っている烈がいた。
(カレン・・・・・お前にもらった命は決して無駄にはしない!!)
烈は合掌して、墓の前に深く頭を下げた、その時だった。
「おんや、お前が烈という奴だな?」
「だ、誰だ!?」
烈が後を振り向くと、そこにはさっき223達から逃げ出したシャッコがいた。それと同時に歌声、のような羽音が聞こえた。
「この音はまさか・・・・・!!」
シャッコが後を振り向くと、そこには1匹のフライゴンとそのフライゴンの背中に乗っていたグラエナがいた。そう、シャッコに築かれないように追っていた223と由衣だった。
「馬鹿な奴やなぁ。僕が後におんのにその存在にさえ気付かれへんとは。まあ、これも一応作戦のうちやったんやけどなぁ。」
「ど、どういう事だ!?」
「あの時私達はわざとあなたを逃がしたんですよ。あなた達の居場所を突き止めるためにね!!」
「ならば・・・・オールレンジ光線!!」
島の上空からはかいこうせん、サイケこうせん、れいとうビーム、ソーラビームが飛んでくる。しかしその技を攻略してしまった223と由衣の前では無意味だった。
「こんなのかわせばしまいやで。」
223が勝ち誇ったかの用に言う。
「くっ・・・・ぐあああああ!!」
「フン・・・俺を忘れてもらっちゃ困るな。」
「ありがとう!悠さん!」
由衣が烈に言ったが・・・・
「違う・・・!!俺は悠の兄の烈だ!」
「え?バシャーモやから悠さんなんとちゃうん?だってワカシャモはちゃんとバシャーモに進化するし。」
どうやら223と由衣はずっと烈の事を悠と思っていたようだ。兄弟という事もあって、間違えてしまったのだ。
「おーい!!俺の事は忘れているのか!!」
やられたと思ったシャッコはまだんでいなかった。
「うっとおしい、奴やな。だったらアレ行くで!由衣さん、降りろ!」
「オッケー!!」
「スーパー火の玉キック!!」
「炎上の翼!!」
烈と223の必殺技がシャッコにクリーンヒットした。
「ぐああああああああああああああああああ!!!」
シャッコは火だるまになって、海へ転落した。
「あのやられ方、あの時の砂上の蜃気楼のリディアみたいでしたね。」
「そうやな、じゃあ烈さん、改めて自己紹介しとくわ。」
とりあえず、223と由衣は自己紹介をし、簡単なミーティングを終えた。
「で、これからどうするの?223はフライゴンでも一気に2人も乗せられないでしょう?」
「やっぱり船来るまで待っとく?」
「それがよさそうだな。」
とりあえず、3人は船が来るまで待つことにした。

**********

その時を同じくして、へんげのどうくつ、ベルの臨時基地では・・・
(・・・・・・・これで、よし)
コンピューターの画像に示されてあったのは、ビーストがこれから向かうだろう方向だった。
クチバシティですでに別のチームが向かい討つそうなので、自分達はそれに応じて動くことにする。地の利を考えるとやはり・・・・・。
「決戦は・・・・セキチクシティですね。」
とりあえずコンピューターの計算によると、ビーストは約20時間後にやってくるというので、
(戦いは明日の朝・・・・今日の夜には出発してついていなければ・・・!!)
ベルの基地には他に、ひこ、プリンス、澪亮、瑞、光、RX、クラスタがいる。唯一便りになるのがエスパータイプにめっぽう強い悪タイプの瑞。澪亮はゴーストタイプだが、彼女の防御力では非常に危険。
(もっとビーストの情報を入手しなければ・・・!! なるべく沢山の情報量がある上での作戦も立てた方がいい。ビーストを倒すためなら、どんな手段も選びませんよ・・・・!!!)
いくらゼロの直属の部下であっても、『切れ者』の称号を持っているとしても、ベルはビーストに関しての情報が完全ではない。出来るだけ、沢山の情報を得るため、時間が必要だ。
(しかし・・・最悪のタイミングに現れましたね。ただでさえ内乱状態だというのに、そこにビーストが来られては・・・ドリームメーカーの中でも居場所が確認されていない人もいるし、最悪中の最悪のビーストが本部に侵攻という場合も考えざる得ないですからね。厳重に行動しないと、さらにパニック状態になりかねませんね。)
ベルは沢山の心配を抱えながらも、ビーストの情報を入手していく。もう、いつ誰がんでもおかしくないという状況なのだ。そして、決戦の時間は一刻、一刻と迫っていくのであった。

―――――――――――――――――――

ガムとアカリンはもう10階まで上っていた。
最初に来たときに敵をほとんどやっつけたせいか、ほとんど順調に進むことができる・・・
ガムとアカリンはフィを大事に抱えつつ、移動をしながら話をしていた。
「それにしてもブイズのメンバーって本当に、いろんな人がいるんだ・・・」
ガムはドリーフも含めた全てのブイズに会ったことでその話をアカリンにしていた。
「うん!そうなんだよ☆でもね、ガムくん、1つだけ、誤解しないでほしいことがあるんだ」
「?」
ガムが首をかしげるとアカリンは走りながら、首を少しさげてゆっくり話し始めた。
「私はガムくんが思っているほど完璧じゃないんだよ・・・」
「・・・」
その話を同じく移動しながら、黙って聞くガム。
「私はユーリさんみたいに賢くないし、リーディさんみたいに強くない・・・ルエルスさんみたいに綺麗じゃないし、ルレン君みたいな戦法も上手じゃない・・・
 私の必殺技だって、ドリーフさんから教わったものや、人の技術を盗んで真似て極めていったものがほとんどなんだ・・・だから、私1人の力じゃない・・・」
・・・アカリンは黙って、んだマシュリの事を思い出していた・・・
「アカリン・・・」
しかし、アカリンはすぐに顔をあげて
「だから・・・」
「ブイズのみんながお互いの弱点を補っているのかもしれないね☆」
とガムに言った
「・・・」
ガムもその話を聞いていてしばらく、黙り込んでいたが・・・
「そうだね・・・でも、僕は少なくともアカリンのその笑顔に何度も救われた」
ガムは少し照れくさそうにして
「僕はそれだけで十分だ」
とアカリンを励ました
「・・・えへっ☆」
アカリンは元の元気を取り戻すと
「さあ!ガムくん、ボサっとしないの!もたもたしてると、私だけ置いて行っちゃうよ!」
と[でんこうせっか]でいちもくさんに次の階目指して駆け上がっていった!
「ああ!アカリン!待って!」

―――――――――――――――――――

アッシマーはテレポートされる瞬間、足がふっと宙に浮いたように感じた。
そして、景色は見たことの無い街になっていた。
既にビーストの襲撃を遭っているらしく、いたるところで煙が立ち上っている。
「まず、ビーストを探さないと・・・」
と、その時だった。

「だあああっ!」
いきなり、道の横から1体のポケモンが飛び出してきた。
「きゃっ!」
ルカ☆がそのポケモンの攻撃を受けてしまった。
「殴ったね・・・おにいちゃんにもぶたれた事ないのにー!!」
ルカ☆は少しばかり訂正されたア○ロ・レ○の名ゼリフを叫びつつ、『いわなだれ』をかける!
伊達にガンダム好きというわけではないようだ。
いわなだれを受け、姿を表した1体のポケモン。
それは、色違いのポチエナだった。
「ちいっ!」
ポチエナが言う。
「シャドーボール!」
「きゃ!」
ポチエナはなおもルカ☆を攻撃する。
「畜生・・・どうすれば・・・!」
迷いかけたその時だった。
「・・・そうか・・・僕はキャプチャ装備品の一式を持っているんだった!」
アッシマーの口から、そんな独り言が出た。
「よし!」
アッシマーはキャプチャ・スタイラーを手にして、それをポチエナに向けた!
「キャプチャ・オン!!」
アッシマーの持つキャプチャ・スタイラーから、キャプチャ・ディスクが放たれた!
キャプチャ・ディスクは光の尾を引きながらポチエナに向かい、そしてポチエナの周りで輪を描き始めた!
アッシマーはまるでトンボを捕まえるときのように、キャプチャ・スタイラーを持つ手をまわす。
そして、光の輪はポチエナに吸収された!
「・・・敵意は・・・無いの?」
急にポチエナの態度が変わった。キャプチャのおかげでアッシマーの本当の心がポチエナに伝わったからだろう。
「そうだよ。だから安心して。」
アッシマーはゆっくりとポチエナに近づいていく。
「分かったよ。あなた達を信じるわ。」
ポチエナは威嚇の表情を消し、明るい笑顔でそう答えた。

 * * *

「私の名前はベルカ。ここにはさっき逃げて来たばかりなの。」
ベルカと名乗ったポチエナは、まだ声に幼さが残っていた。
「1人ぼっちなの?」とルカ☆がたずねる。
「うん。でも、おとといまではパパとママと、このトキワで普通に暮らしていたんだ。
でも・・・あの『ビースト』っていうのが来たせいで・・・パパとママは・・・」
「殺された。のですか?」
ベルカの言葉に、秋葉はまずいところで横槍を入れてしまった。
「ううっ・・・」
ベルカは泣き出してしまう。
「うわああああああ!!」
そして、とうとう大声で泣き出してしまった。
「秋葉さん!言葉に気をつけてください!
あの様子だったら・・・誰だって・・・・・・」
秋葉の空気を読まない発言にアッシマーが釘を刺す。
そして、言葉を付け加えようとしたが、ベルカの気持ちを考えて、それ以上は言わなかった。
「・・・大丈夫。もう私たちがいるから安心して。君は1人じゃないよ。」
泣き崩れるベルカを、ルカはまるで母親のようになだめた。

「!!」
その時だった。
アッシマーの頭に、なにか殺気のようなものがよぎった。
何故かはわからない。キモリは尻尾で空気の湿度を感じ取る事が出来るというが、その能力が残っているせいだろうか?
「危ない!!」
そして、その殺気は的中した。
突然、シャドーボールがどこかから飛んできたのだ。
「・・・ビースト!」
秋葉はシャドーボールが飛んで来た方向を見た。
そこには、黒いサイキックオーラに包まれるミュウツーの姿があった。
「ミュウツー・・・・ まさか、本当にミュウツーの姿なんて」
ルカ☆が呟く。
「・・・お前達はこの世界に紛れ込んできた人間か・・・まあいい。
俺にとってはこの世界の全てが敵か、破壊すべき物か、俺のために働く僕(しもべ)でしかないのだからな!!」
「・・・秋葉さん、ルカ☆、ベルカちゃん、下がってて・・・ここは僕がやる!これ以上、みんなを傷つけてたまるか!」
アッシマーはリーフブレードを発動し、ビーストに斬りかかった!

だが・・・
「!?」
まるで霞を斬ったかのようだった。手ごたえも何もなく、ビーストの体をすり抜けてしまった。
慌てて後ろを振り向いてみる。だが、そこにビーストはいない。
「どこに向かって攻撃しているんだ?俺はこっちだぞ?」
と声がする。声がした方を見ると、そこにはやはりミュウツーの姿が。
「このー!チョロチョロしやがって!その化けの皮を剥いでやる!!」
アッシマーは再びリーフブレードをそのビースト目掛けて叩き込んだ!

「うっ!!」
今度は間違いなく当たった。手ごたえもあった。
「・・・?」
しかし、何かがおかしい。
ビーストの声はかなり低いハスキーボイスだったが、今の悲鳴は高い女性の声だった。
「くく、何をしている・・・?」
とビーストがあざわらう。
「え!?」
アッシマーは目の前に倒れているビーストを凝視してみる。
すると、その姿はぐにゃりとゆがみ、そして再び形を現した。
黄色いコートを身にまとった、オレンジ色の尾の長いポケモン・・・
「・・・秋葉さん!?」
アッシマーはビーストを攻撃していると思って、味方である秋葉を攻撃していたのだ。
「今更気付いてももう遅いぜ!」
「・・・!!」
本物のビーストの言葉に、偽りはなかった。
「ぐわああっ!」
アッシマーは、シャドーボールのゼロ距離射撃を受けてしまった!
アッシマーはその場に倒れこむ。
「ふふふ・・・神様のところへ行く覚悟をするんだな!」
ビーストはそう言いながら、手を前に突き出す。
すると、そこに光が集中し、三又の槍・・・否、巨大な銀のフォークが現れた。
「大丈夫さ、ちょっとの間痛い思いをするだけだ・・・その後、すぐに天国にいけるぜ・・・」
ビーストはアッシマーを片足で踏みつける。その上で銀のフォークがギラリ、と光った。
「おにいちゃん!!」
ルカ☆はいてもたってもいられず、アッシマーに駆け寄ろうとする。だが・・・
「邪魔しないでくれるかなぁ。お譲ちゃん!」
ビーストはそう言うと、ルカ☆に向かってねんりきを放つ!
「きゃあ!」
ルカ☆はねんりきで弾き飛ばされてしまった。
「心配するな・・・すぐに後を追わせてあげるよ。君もね。
さあ・・・処刑のはじまりだ!」
「やめて!おにいちゃんを殺さないでええ!!」
ルカ☆はもう一度アッシマーに駆け寄ろうとする、だが、もう遅い。
巨大な銀のフォークは、アッシマーの脳天目掛け振り下ろされ・・・

―――――――――――――――――――

・ここは塔の20階・・・
「ガムくん、ちゃんとついて来てくれてるかな?」
どうやら、先に到着したのはフィを抱えたアカリン1人だけのようだ
「ここには何もないみたいだね・・・」
・・・その時!
「うっ!」
アカリンは足元に異様なものを感じた
「ゲヘヘ・・・引っかかりましたね・・・あたなはポケモンワザ[メロメロ]を封印されたのですよ」
そんなアカリンの足元には・・・「×」と大きくかかれた床が仕掛けられていた!
これは・・・踏むとワザの1つが封印され、使用できなくなってしまう、ポケダンの罠[ふういんスイッチ]だ!
「・・・誰!?」
アカリンはその声に反応してあたりを見回すと
「ギヒヒヒ・・・ゼロの言葉に乗ってついてきてみれば・・・いましたよ、いい獲物が・・・」
そこには、まるで気が触れたような顔つきのユレイドルが[たべのこし]をほおばりながら、まるで獲物を見つけたようなように近づいてくる・・・
「(この人・・・ドリームメイカーじゃない!)」
アカリンはそのユレイドルに危険を感じると気付かれないようにフィを19階への階段途中へ隠した・・・
きっとこのユレイドルもゼロと同じく、フィを見つけたら欲望のままに殺そうとしただろう・・・
「おやおや、どうしましたか?」
幸い、そのユレイドルは昏睡状態のフィには気付いてはいなかった。
「・・・なんでもないよ!・・・ひょっとして、あなた!ゼロの連れてきた2人の仲間の1人でしょう!?」
アカリンはそう言って、ユレイドルを指差した!
「仲間・・・?何を勘違いしているんですか?・・・ゼロと私は同志。『殺しが楽しめる』という元に集った同志ですよ・・・もっとも、ゼロと私とは信頼はないですがね・・・グフフフ」

『殺しが楽しめる』という元に集ったゼロの同志達。
それは後に《ジェノサイドクルセイダーズ》と呼ばれることになり、数年後に大きな戦いを引き起こすことになるのだが。
今はそんな名前が付けられていない、まだ人数の少ない集まりだった。

そしてもう1回言う
「ここ(20階)で待っていればいい獲物が来るとゼロから聞いて待っていれば・・・来ましたよ、殺しがいがありそうな♀のブースターが・・・ギヒヒヒ」
・・・しかし、[ふういんスイッチ]によって[メロメロ]を封じられているアカリンは、それでもひるむことなく
「なめないで!この『モエる朱色』のアカリンを!私は[メロメロ]なしでも十分たたかえるんだよ!」
そういってユレイドルへ[でんこうせっか]でユレイドルへ突撃していった
「(今ここで私ががんばらなくちゃ・・・フィちゃんが)」
今のアカリンにはとにかくフィを再び危険にさらしたくない気持ちが先立っていた
「グフフフ・・・いわタイプの私に[でんこうせっか]だなんて、とんだミスマッチですね」
「このワザはおとりだよ☆・・・えいっ!!」
アカリンはユレイドルのふところに飛び込み、[でんこうせっか]を[アイアンテール]にきりかえた!いわタイプに鋼の技はこうかばつぐんだ!!
「うおぉぉ・・・!?」
「やった!」
・・・かにみえたが
「グフフ・・・効きませんねぇ・・・」
ユレイドルは微動だにしていない・・・というかダメージそのものがない!
「・・・ならこれならどう![シャドーボール]!!」
「グフフフ・・・」
ユレイドルはよけるどころか、むしろ・・・なにもしていない
「そんな、なでるような[シャドーボール]が攻撃とは・・・グフフフ・・・」
そのままユレイドルは[いわなだれ]をアカリンにしかけた!
「きゃぁっ!・・・」
アカリンは身を引いた
「(なんなのこいつ・・・まるで壁を相手にしているというか・・・手ごたえがないよ・・・)」
「ギヒヒ・・・いきますよ・・・[がんせきふうじ]!」
そのユレイドルはアカリンに再び攻撃をしかけた
「うわっ!」
からくも攻撃を回避するアカリン
「ゲヘヘ・・・万策尽きたみたいですね・・・あなたも私のコレクションにしてあげますよ」
ヘラヘラ笑いながらもその奥底にドス黒い殺意をひしひしと感じさせるユレイドル
・・・しかし、アカリンは引かない!
「まだまだ!こんなのじゃないよ!」
そう言うとアカリンは2発の[ほのおのうず]を放った!
「む・・・?」
その1発はユレイドルの身動きを封じ、アカリンはもう1発の[ほのおのうず]を駆け上がる!!
「ツイン・トルネード・クラ――ッシュ!!」
その[ほのおのうず]の中心のユレイドルの脳天めがけてアカリンは必殺の[T・T・C]をかけた・・・が
「きゃあっ!」
ふっとばされたのはアカリンだ・・・ユレイドルは?
「[T・T・C]・・・それがあなたの必殺技ですか・・・いたくもかゆくもくすぐったくもないですよ・・・ゲヘヘヘ」
ユレイドルは微動だにしていない!
「(嘘・・・?そんな!なぜ?どうして!?あの時の[T・T・C]は完璧だったはずなのに)」
ユレイドルは、アカリンのその動揺が初めからわかっていたように[げんしのちから]で反撃してきた!
「きゃぁっ!」
「ギヒヒヒ・・・」
アカリンはまだあきらめない!再び立ち上がると
「私を[T・T・C]だけの女の子と思わないで!いくよ![ほのおのうず]!!」
アカリンは[ほのおのうず]を[もらいび]で吸収し、自回転しながらコマの原理で[アイアンテール]で体当たりを仕掛けた・・・これは!アカリンが必殺技の中では最もよく使う
「ブースター・スピン・クラ――ッシュ!!」
その[ほのおのうず]の回転体当たりは見事にユレイドルの急所をとらえた・・・かに見えたが
「きゃぁぁぁ――!!」
「グフフフ・・・」
なぜかアカリンが大ダメージを受けている・・・!
「こ・・・これは・・・[ミラーコート]・・・?」
アカリンがヨロヨロ立ち上がりならダメージ返しのからくりを見抜いた
「ほう・・・よくわかりましたね、あなた自身がが攻撃するほどダメージを受けるわけが、でもね・・・これだけじゃないんですよ、ギヒヒ・・・」
対してユレイドルはいっこうにダメージをうけていない・・・[ミラーコート]とて無傷のワザではないのに・・・なぜ?
「ま・・・まだだよ!負けられない・・・!アカリン、[ほのおのうず]・・・いき・・・ます!」
そう言うとアカリンは今度は1発の[ほのおのうず]をユレイドルに仕掛けた!今度は[S・T・C(シングルトルネードクラッシュ)]の体勢だ!
「ふふ・・・無駄なことを」
アカリンは[ほのおのうず]を駆け上がりながら、身動きを封じたユレイドルをがっちりつかみ、投げの体勢に入った・・・が
「!?・・・持ち上がらない・・・」
どうしたことか、ユレイドルの身体が床にびしっとはりつくように固定されていて[ほのおのうず]の勢いでは持ち上がらない・・・!!
「ふん!」
「きゃぁぁ!!」
アカリンは[げんしのちから]で簡単に[S・T・C]を返された・・・
「な・・・なんで・・・なんで?」
「グフフ・・・知りたいですか?ここを見なさい」
「!?」
アカリンはユレイドルの足元を見て驚いた・・・
「あれは・・・!?」
ユレイドルの足元は[きゅうばん]と[ねをはる]で地面にはりついていた・・・これでは[ほえる]や[ふきとばし]がきかない状態だ・・・もちろん[ほのおのうず]の風圧ではビクともしなかっただろう
「私はね・・・こうやって『しつこい戦い』を主義とするのですよ・・・ゲヘヘ」
「う・・・」
アカリンは不気味に笑うユレイドルに後ずさりした・・・
「S・T・C」が成立しなければ、[スカイダイブドライバー]も十分な威力を発揮しない・・・アカリンは1度に4つもの必殺技を殺されたのだ・・・
「おや・・・?」
ユレイドルはその時19階の階段に目をやった
「ほほう・・・イーブイですか・・・これはいい」
!!・・・ユレイドルがフィに気がついた・・・今にも殺さんとする不気味な笑顔だ・・・!!
「!!・・・待ちなさい!」
その時、アカリンの表情が一変した!!
「勝負は・・・まだついていないよ!・・・みせてあげる・・・私の最大の奥義・・・」
アカリンが滅多に見せない怒りの表情を見せた
「グフフ・・・いいでしょう・・・そういえば、あれだけの岩タイプのワザをあびせても倒れないあなたも・・・さては[のろい]を使いましたね?」
その通り!アカリンはユレイドルとの戦いの最中[のろい]を数回かけていた、そのため防御力があがり、ある程度の攻撃に耐えることができたのだ・・・
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
しかし、アカリンの体力も残り少ない・・・必殺技の乱用とユレイドルの[ミラーコート]であとわずかの体力なのだ
「ギヒヒ・・・」
そんなアカリンをユレイドルの[がんせきふうじ]が襲う!!
「(次で・・・次で決めなきゃ・・・!)」
アカリンは最大の必殺技の体勢に入った!
「[こらえる]!!」
アカリンはユレイドルの[がんせきふうじ]を薄皮一枚で防いだ!・・・そして
「[朱・転・殺(しゅてんさつ)――!!]」
[じたばた]と[からげんき]を同時にユレイドルにあびせた!!!
「!?・・・ぐぉぉぉぉぉ・・・!」
ユレイドルは大きく体勢を崩した!!・・・
「も・・・もう1発!!」
アカリンは続けざまにユレイドルへ[朱転殺]をもう1発くりだした!!
おそらく、岩タイプといえど、この攻撃はひとたまりもないはずだ!!
「(おねがい!・・・もう・・・もう、立ち上がってこないで!!)」
アカリンは倒れこんだユレイドルを見て必至にそう思っていた・・・が
「グフフフ・・・さすがに今の攻撃はききましたよ」
「!!!!」
・・・ユレイドルはゆっくり立ち上がってきた。しかも傷がみるみるうちに回復している・・・[じこさいせい]を使っているのだ
・「あ・・・あ・・・」
全ての必殺技が通じない・・・いくら攻撃しても倒れない・・・そんなユレイドルを見てアカリンはガクガク震え始めた
「どうしました?早くあなたのの必殺技を見せてくださいよ・・・ギヒヒヒ」
「あ・・・あ・・・」
アカリンにはもう決め手になる必殺技がもう1つもない・・・
「い・・・いや・・・」
「グフフ・・・」
アカリンに襲い掛かってくるユレイドル
「いや―――!!!!」
アカリンは誰にも見せなかったような・・・絶対に考えられなかったような表情で泣き叫びながら悲鳴を上げた

アカリンの脳裏には思い出したくない2年前の光景が浮かび上がっていた・・・
――ポケモンタワー・・・いくら攻撃をしても倒れないゲンガー・・・呪い殺されていく親友のマシュリ・・・何も出来ない自分・・・――

「いや――――!!やめて!! 来ないで!!!」
アカリンは、いつものアカリンでは絶対に考えられなかったような涙を流して絶叫していた・・・全ての必殺技の意味がない・・・ダメージを与えている実感がないこの敵に対して「絶対に超えられないどうしようも無い壁」というマシュリをなせたの頃のトラウマが蘇ったのだ
「きゃぁぁぁ―――っ!!!」
アカリンはユレイドルの[ヘドロばくだん]の直撃を受けると、そのまま倒れそうになった・・・が
「おっと、まだ落とさせませんよ・・・」
ユレイドルはアカリンを[からみつく]でとらえた!
「久しぶりの♀の殺しだ・・・じっくりいたぶらせてもらいますよ・・・ギヒヒヒ。 いい顔だ、アナスタシアさんも連れてくるべきでしたね・・・」
そう言うとアカリンに[ようかいえき]をあびせ始めた・・・
「そういえば自己紹介がまだでしたね・・・私の名前は【グロス】またの名を『必殺技殺し』の【グロス】。口の悪い同志はこの能力を『異常再生』といいますが、弱いもののひがみですよ・・・ゲヘヘヘ」
「あ・・・あ・・・」
まるで無抵抗になったアカリンに対しユレイドルのグロスはせせら笑いながら
「ゼロから聞いていますよ、アカリン。お前は自分の必殺技が全て通じない敵に遭遇すると2年前のトラウマから何も出来なくなると・・・グフフフ」
アカリンの必殺技は、その全てがもうグロスには通じない・・・戦意喪失したアカリンはグロスにされるがままにするしかなかった・・・
「い・・・いやぁぁぁぁ――!!」
[なこごえ]とは全然違うアカリンの悲鳴が20階内に響き渡る・・・
「ギヒヒヒ・・・いい悲鳴だ」

―――――――――――――――――


「さあ・・・処刑のはじまりだ!」
「やめて!おにいちゃんを殺さないでええ!!」
ルカ☆はもう一度アッシマーに駆け寄ろうとする、だが、もう遅い。
巨大な銀のフォークは、アッシマーの脳天目掛け振り下ろされ・・・
「うおおおおおおっ!」
「!?」
・・・なかった。
突然誰かの雄叫びと共に、ビースト目掛けて雷光が落ちてきたのだ!
「くっ!」
ビーストは手に持ったフォークで、それを弾き返した。
「誰だ!!」
ビーストは岩が飛んできたほうに視線を向ける。
「この私・・・が相手です」
そこにいたのは、周りの見晴らしが効く瓦礫の上に立つ秋葉の姿があった。
「しょせん、こねずみの分際で、俺に楯突いた事を・・・」
ビーストは秋葉に食って掛かろうとする。が・・・
「・・・真下ががら空きだよ!かみなりパァァァンチ!!」
「!!ぐわあ!!」
ビーストが見せた隙を、アッシマーは見逃さなかった。
アッシマーはなんとか立ち上がった。が・・・
「・・・ぐ!」
体中が激しく痛む。すぐに倒れこんでしまった。
「お兄ちゃんっ、しっかり!」
ルカ☆は地面に手を突いて
「くらえ! いわなだれぇぇぇぇっ!!」
ビースト目掛け、いわなだれをかける!
「フッ・・・無駄な事を!」
ビーストの姿は再び掻き消えた。ルカ☆のいわなだれは空を切る。
「!!」
「その程度じゃ、俺には勝てないぜ!」
すると突然、何もないところからシャドーボールが飛んで来た!
「わあっ!」
そのシャドーボールはルカ☆に直撃した。
「る、ルカ☆っ! 畜生・・・!」
それを目にしたアッシマーはいてもたってもいられず、ビーストに食ってかかろうとする。
「だめです! そんなにやみくもに突っ込んだら・・・瞬殺されるのは目に見えてますよ!」
頭に血が上っているアッシマーを、秋葉が止めた。
「じゃあどうしろって言うんだ!このままやられろって言うのかよ!」
「そんなことは言ってませんよ!」
秋葉とアッシマーは完全に口げんか状態だ。
「おやおや、こんな時にノンキに仲間割れか・・・まあ、俺にとっては好都合だがな。
二人仲良く天国へでも地獄へでも行くがいい!!」
ビーストは再び手を体の前にかざす。今度は銀のスプーンが現れた。
そして、アッシマーと秋葉を目掛けて突撃する!
「おにいちゃん!」
ルカ☆の声が、路上に響き渡った。

「そこ!!」
突然誰かの声がして、アッシマー達の前を影が横切った。
ベルカだ。
ベルカはビーストのいる方向・・・ではなく、何もない所へ全力でダッシュし、そしてシャドーボクシングのごとく、何もない虚空に向かって『かみつく』を繰り出した!
「え・・・ 何やってるんですか、ベルカさ・・・ん?」
突然、目の前のビーストの姿が掻き消えた。
「な・・・なぜ俺の居場所が・・・」
突然、ベルカのいる場所、何もないはずのところから声が聞こえた。
秋葉とアッシマーはベルカの方を見てみる。すると、ベルカの口の辺りの空間がグニャリとゆがみ、そして紫色の物体が現れた。
巨大な銀のスプーンを携えた、いでんしポケモン、ミュウツーだ。
「・・・『かぎわける』で本当の位置を見つけたんだよ。もういい加減に隠れてばっかりいるのはやめたら?この臆病者!」
ベルカは幼さの残った、しかしどすの利いた唸るような悪タイプらしい声で、ビーストを『ちょうはつ』する。
攻撃技しか出せなくすることで、これ以上幻影を見せられないようにするつもりのようだ。
「く・・・この小娘!!」
ビーストは腕に噛み付いているベルカを振り払おうとする。だが、かなり強い力で噛み付いている。なかなか離れない。
ベルカの牙はビーストの皮膚に突き刺さり、噛み付いている場所からは血が流れている。
「よくも・・・よくもおにいちゃんにあんなひどい事を!」
不意に、ルカ☆が、前に出た。
「おにいちゃんと秋葉さんは今戦えない・・・だったら私がやるしかない!!」
ルカ☆はそう言うと、突然不思議な舞を舞い始めた。
「はああああああっ!」
舞を舞いつつ、ルカ☆は目を閉じ、大声で雄叫びを上げる。
「りゅうのまいに・・・きあいだめ?」
それを目の当たりにした秋葉の口から、そんな言葉がこぼれた。
「排除開始・・・お前を・・・殺す!!」
まるでルカ☆とは思えないような恐ろしく、しかも頭の中でガンガンと響くような大きな声が響く。
そしてルカ☆は、その表情を背筋が凍りつくような恐ろしい形相に変えた。
ルカ☆は、息を思い切り吸い込む。それとともに、ルカ☆の口にオレンジ色の光球が現れる。
その光球はどんどんふくらみ、やがてルカ☆の体の大きさをも超えた。
「・・・《バスタールカ☆ライフル》、発射あああああっ!!」
そして、ルカ☆の大声と共に、オレンジ色の光球から尋常ではない太さの『はかいこうせん』が放たれた。
「たあっ!!」
ベルカはビーストにかみついていた口を離し、そのまま離脱した。
「ぐわあああああああっ!!」
はかいこうせんはビーストをいとも容易く飲み込んだ。
「な・・・なんという破壊力・・・」
あまりの威力に、秋葉の顔が青ざめる。
「凄い・・・」
アッシマーはそれを呆然と見ていた。
自分の妹が、あれだけの能力を抱えていたなんて・・・正直、信じられない。
「・・・ルカ☆?」
アッシマーは『バスタールカ☆ライフル』を撃った後、仁王立ちしたまま動かないルカ☆に声をかけてみた。
「・・・おにい・・・ちゃん・・・?」
ルカ☆はアッシマーのほうへ振りかえ・・・ろうとした。
が、そのまま糸の切れたように崩れ落ちた。
「ル・・・カ☆!?ルカ☆!!」
アッシマーは傷が痛むのも忘れ、ルカ☆の許へ駆け寄る。
「う・・・私・・・なんだか凄く・・・疲れて・・・」
ルカ☆は意識こそあるが、ぐったりとしたまま体を動かさない。
「さっきの技・・・『バスタールカ☆ライフル』のエネルギー消耗が・・・物凄く高かったのでしょうね・・・」
秋葉がつぶやく。
「く、お前ら……許さん。皆殺しにしてやる」
「!!!」
『バスタールカ☆ライフル』を受けたビーストが立ち上がった。しかし、これ以上、自分達は戦えそうも無い。
「いいです、飛びましょう、ベルカさんも一緒に!」
秋葉がそう叫ぶと、4人はテレポートの光に包まれていく。
アッシマーは、一歩踏み出して叫ぶ。

「果たし状!」
そして、高々に宣言する。
「明日の朝、クチバにて待つ。 アッシマーMkU量産型!」

そしてすぐにステアの遠隔テレポートが発動して、ビーストだけを残して、アッシマー達はクチバへと消えた。

―――――――――――――――――

[857] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (3)
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 01時51分

・「アカリン・・・どこまでいったのかな・・・?はやく追いつかないと・・・」
その時、下の階からガムがあがってきた。ようやく19階までやってきたみたいだ
「おや・・・?フィ?」
ガムは19階の階段の途中にいる昏睡状態のフィを見て不思議に思っていた
「もしかして・・・アカリン!?」
ガムはその異変に気付き、すぐに20階に上がり、周囲を見回した・・・すると!!
「うっ・・・!!!!」
ガムの目の前には・・・

「ギヒヒ・・・そうれ!」
「あ・・・あぁ・・・・」
ユレイドルのグロスにうちのめされ泣き叫ぶアカリンの光景・・・

!!!!!!!!!!!
(ドクン・・・・・・)
ガムの で何かが破裂する音がした・・・そして、
・・・感情のスイッチが入った!!!!

「おやおや、おそかったですねちょうど今、この♀のブースターの処刑にかかるところで・・・」
(バン!!!)
「ぎゃぁっ!!」
ガムはグロスがしゃべりきる前に不意打ち気味に[アイアンテール]を放った!
ドサッ・・・
アカリンはその衝撃でグロスの[からみつく]から解放された
「・・・!!!」
「ぐげっ・・・がぁ!」
しゃべらないガムからは、間髪をいれず[シャドーボール]や[アイアンテール]を嵐のようにグロスへ打ち続ける!!
「アカリンを・・・お前はアカリンに一体何をした・・・!?」
言葉では冷静でもこのガムの心の中はいつもと違う・・・
戦いの最中いつも心のどこかに、熱いものがあったガムに・・・今はそれがない。
ガムはそのまま、つなげて[でんこうせっか]をグロスにあびせようとしたが・・・
「ふん!」
「ぐあっ!」
グロスに[いわなだれ]で一蹴された!
「グフフフ・・・効きませんねぇ・・・」
アカリンの時と同じく、ガムの攻撃にも全くダメージを感じさせないグロス。
「うう・・・これは・・・そうか」
ガムは今、のグロスの反撃でその絶対的な防御を見抜いた!
「これは・・・[ドわすれ]と[バリアー]・・・」
グロスは、もうすでに勝ったような表情で誇らしげに答える
「グフフ・・・そうですよ。私はアカリンとあなたがこの20階にくるずっと前から[バリヤー]と[ドわすれ]で全防御力を最高値まであげていたのですよ・・・よくわかりましたね・・・ゲヘヘヘ」
「・・・そうか・・・だからお前のこの能力が、アカリンにとって決定打にならなかったわけか・・・」
ガムは静かながらも、いつもと違う、「心」を感じさせない表情で答えた。
その通り・・・グロスは[バリアー]と[ドわすれ] を何回も重ねがけしており、[たべのこし]と[ねをはる]でさらに重ねがけ回復をおこなっていた・・・そして急所にあたっても[ミラーコート]で反撃をし、[きゅうばん]で地にはりつき必殺技を成立させず、なおかつ[じこさいせい]でまた回復する・・・必殺技が決めてにならない無限地獄のような攻撃をアカリンは繰り返していたのだ・・・
・・・グロスはまたしても誇らしげに言い放つ。
「私のこの『必殺技殺し』にはどんな相手もただあがくしかないだけ・・・さぁ・・・早くあなたの必殺技もこのグロスに見せてくださいよ・・・ギヒヒヒ」
ガムはそんなグロスのいびつな笑いを見てアカリンがグロスにどれだけ苦しめられたのか、1発でわかった・・・
「・・・グ・ロ・ス―――!!!!!」
ふるふると、再度怒りの表情をあらわにするガム・・・
そしてガムはこう言った
「俺はお前に見せる安っぽい必殺技など持ち合わせてはいない・・・通常技で十分だ!!!」
「グヘ?」
ガムはすかさず[でんこうせっか]をグロスへ!
「グフフ・・・無駄といったでしょう。岩タイプにでんこ・・・何!」
「[スモッグ]!!」
ガムは[でんこうせっか]と見せかけて[スモッグ]をグロスへあびせた!
いつかの「ワザの嘘だし」を今度はガム自身が使ったのだ!!
「グヘヘヘ・・・無駄無駄・・・そんな攻撃、いくらやった・・・う!!!」
グロスの身体の様子がおかしい・・・
「・・・[でんこうせっか]も[スモッグ]も、おとりワザさ・・・本当に狙っていたのは・・・」
ガムは身体からものすごい毒素を含みだすと・・・
「これだ!!!!」
ガムはグロスに対しても徐々にダメージが増える猛毒、[どくどく]をあびせかけた!!
「ぐ・・・ぐえぇぇっ!!」
[どくどく]・・・・・その性格上[スモッグ]を覚えようとしなかったアカリンはもちろん[どくどく]も覚えようとしなかった・・・これは、ガムだけの戦法だ。
「さあ?どうする?このまま俺の攻撃を待っていたら[じこさいせい]や[ねをはる]をつかってもいずれ死ぬぞ?」
そんなガムには自ら仕掛ける気配がまるでない。
一人称が「僕」から「俺」にかわり、アカリンにむごい仕打ちをしたグロスに対して徹底した乱暴な言葉にかわっている・・・いつものガムではない・・・
「ギュ、グウゥゥ――・・・お、おのれぇ――!!」
グロスは[どくどく]状態で[げんしのちから]をつかおうとした・・・が
「(しめた!)」
ガムは[げんしのちから]をつかおうとしているグロスにとびかかると
「そして・・・『しつこい戦い』がそのまま己の死因につながることを・・・」
「グヘェェェ!?・・・は・・・はなせぇ!!」
ガムにつかまれてうまく行動できない[どくどく]状態のグロス・・・
「・・・教えてやる!!」
そう言うと、ガムはグロスにワザを使う隙もあたえずに
「[ほのおのうず]発動!!!!!」
がっちりつかみ、密着状態で[ほのおのうず]をかけた!ちょうどガムがグロスごと身を封じ、拘束することにより、[しめつけ]以上に身動きを封じた状態となり、グロスは行動不可能となっているのだ!!
これは[B・R・C]のボスゴドラ戦、ハガネール戦で見せた型の[ほのおのうず]とよく似ている・・・
「グ・・・グギュ――ッ!!!」
[げんしのちから]を発動しようとしていたところを飛び込まれたので[ミラーコート]の切り替えもできなかった。グロスは[ほのおのうず]に拘束されるしかなかった・・・
「グロス・・・そう言えばお前は地にへばりつく戦いがメインだったな・・・なら・・・これならどうだ?」
ガムは、さらにお[ほのおののうず]を連続してくりかえし、グロスをそこから離れららなくすると・・・
「リーディ戦法そのB・・・「獲物は逃すな」・・・」
ガムはさらに[ほのおのうず]でグロスをおさえつけた
「ギュ・・・ギャァァァ――」
[どくどく]が身体中にまわってきているグロス・・・[じこさいせい]や[ねをはる]で補ってもおいつかないほどターンが経過している・・・
「グロス・・・お前はアカリンにもそうやっていたぶっていたんだろう・・・?」
ガムは[ねをはる]をおこなっているグロスの足元にも[ほのおのうず]をはなち、頭を除く全箇所を[ほのおのうず]で拘束した・・・
「そして・・・たしかに、お前は[バリアー]と[ドわすれ]で防御が最高値まであがっている・・・だが」
!!!!!!!
ガムは悲鳴をあげるグロスの口の中へ顔を突っ込み
「[かえんほうしゃ]!!!!!!」
口移し気味にグロスの体内に[かえんほうしゃ]を放ち、それにつないでグロスの顔面へ[ほのおのうず]でグロスの顔面を覆った!![バリアー]と[ドわすれ]で防御力があがっているグロスだが・・・まさか体内から焼かれるとは思ってもみなかっただろう・・・
ガムはいつもでは考えられないほどの恐ろしいほどの冷淡な顔で苦しみもだえるグロスをながめる。

・「グ・・・グギュ――!!ギュ――ッ!!!!」
グロスは悲鳴を上げたくてもあげられない・・・
[たくわえる]や[はきだす]は使えても[かみつく]はつかえないユレイドルのグロスは[ほのおのうず]で、さるぐつわをされたような状態でそのまま[かえんほうしゃ]を[のみこむ]しかなかった・・・
「・・・アカリンの苦しみがその程度だったと思うか?」
今のグロスを例えるならば、溶かした鉄を口の中から直接流し込まれ、そのまま[ほのおのうず]でさるぐつわをされ・・・おそらく今のグロスの体内は逃げ場のない炎が燃え盛っている・・・
「ふん!」
「ギュ―――!!!」
そしてガムは、グロスの葉っぱらしきものを1枚1枚[かみつく]で・・・いや、かみちぎっていった。
その時のガムは・・・敵に対して一片の慈悲や情けや思いやりも感じさせない完全に理性のなくなった炎タイプの凍りつくような[つららばり]のような顔だった。
ザシュ!ザシュ!ザシュ!!
「ギュ、ギュ――!!!!!!!」
そして、ガムはリーディとの戦いの時に手に入れた[ぎんのハリ]を投げつけずに・・・直に持ち、何度もその傷口に突き刺し、めったやたらに突き刺した!
その形相はとてもかつて、人間だったものとは思えないほど歪んでいる・・・最愛の人をここまで汚し、痛めつけた者への「怒り」などという次元におさまらず、完全に感情のスイッチが入ったガムにはもう人間らしい感情がなかった・・・
「ギュ・・・ギュ・・・ギュ・・・」
グロスの身体の隙間から煙があがっている・・・
ガムがグロスの体内に放った[かえんほうしゃ]がグロスの体内を焼き尽くしたのだ・・・
「・・・」
ガムは[どくどく]状態になりながら内部から焼かれるグロスを見ると・・・

「死ね」

「!!!!!!!」
ボン!
その声と同時にグロスは内部からこっぱみじんに爆破された・・・!!!

*************

・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・は!!」
アカリンをむごたらしく倒され、完全に逆上していたガムは今、我に返った!
しかし、そこには・・・

無数のグロスの破片と、グロスにめった打ちにされて[ようかいえき]と[ヘドロばくだん]にまみれ倒れたアカリン・・・
「・・・う・・・うえぇっ!!」
ガムはその地獄絵図に思わずふさぎこみ、吐き気をもよおした・・・が
「(・・・い・・・いけない・・・!)」
すぐに我に返ると倒れているアカリンの方へ大急ぎで駆け寄った!

・・・・・・・幸いアカリンのはまだ生きていた。[ねがいごと]をかければまた傷もすぐ完治するだろう・・・が、アカリンは
「ガ・・・ムくん、見たでしょう・・・グロスにやられる私の姿」
アカリンが弱々しくしゃべる・・・
「あれがね・・・ほんとうの・・・1番嫌いな私なんだ・・・2年前のあの日・・・ポケモンタワーで親友のマシュリを助けられなかった・・・何も出来ない自分・・・」
ガムはアカリンに対して首を何度も横にふり
「もういいよ・・・しゃべらないで、アカリン・・・」
「ガ・・・ム・・・くん」
・・・・・・・・・・・・・・
その後、[ねがいごと]によってガムとアカリンの傷は一応は完治した。昏睡状態のフィも下の階から連れて上がってきた・・・だが2人の心にはなんだかザラザラ、ごわごわとしたものが残っていた・・・
(・・・ゼロが狙っていたのはこれだったのか・・・肉体的よりも精神的に2人を痛めつける策略・・・)
「こんな後味の悪い戦い・・・初めてだ」
と、先ほどの自分のおこなった残虐ファイトに対して嫌悪感がぬぐいされないガム。
「私・・・もう・・・たたかいたかくない・・・」
とここにきて、マシュリの頃のトラウマがはっきりと蘇り、初めての弱音をはくアカリン・・・
ガムとアカリンがうつむいていた時、
「が・・・」
「!?」
「!・・・フィちゃん?」
昏睡状態のはずのフィがしきりに寝言を言った・・・!
その言葉は・・・
「が・・・む・・・」
「あ・・・か・・・り・・・ん」
フィは・・・初めてガムとアカリンの言葉をしゃべった・・・!!
「フィ・・・ううっ・・・」
「あっ・・・あっ・・・フィちゃん・・・」
ガムとアカリンの目からはいっぱいの涙がこぼれた・・・
一生懸命、必死に生きようとする1つの小さな命にアカリンとガムは精神的に救われた・・・
「アカリン・・・行こう・・・フィのような小さな命だって必死に生きようと頑張っているんだ・・・ここであきらめたら、僕達・・・本当にゼロに負けたような気がする・・・」
「うん・・・ガムくん・・・☆」
ガムとアカリンはフィをかかえ、力のない足取りでお互いを支えあいながら次の階へと向かって行った・・・


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久しぶりにあとがきと意見を引用します。

Re: 本格リレー小説 《Dream Makers》 話は収束へ、bU!!  ガム

○(あとがき)今回を書くにあたってショッキングな展開が2つあったと思います・・・これは、打ち合わせをかねてから考えていたことである意味、初の展開なのですが・・・
打ち合わせの際「アカリンにはマシュリの頃のトラウマがある」という、「ネガティブ」が1番似合わないアカリンのそのような面を、あきはばら博士さんから聞き、話し合っていた際、「これは使える」と思い、あきはばら博士さんのその言葉をモチーフとさせて頂き、アカリンの完璧じゃない面をここで具体的に構成したことが今話のいきさつです

・(アカリンのトラウマ)
正式にキャラ設定を打ち合わせる時に決めていたことなのですが、天真爛漫で一見弱点がないように見えたアカリンにも弱点はあったのです。
その弱点とは、アカリンが自分の必殺技が「初めから意味がなかった」ような通用しない「無力(絶対に超えられないどうしようも無い壁)」を痛感させられた時、2年前の親友のマシュリを助けられなかった「無力な自分」の記憶が蘇りなにもできなくなってしまう・・・という、例えるならばポケスペのブルーの鳥ポケモン恐怖症と似たような状態に陥ります。
アカリンの必殺技は、威力も大きく、成功率も高く、数も豊富なので、まさかその全てが返されるとは自身も思っていなかっただけ、そのショックも大きかった・・・はずです。

・(残虐ファイトのガム)
そのアカリンの惨く、汚れた姿を見せ付けられたガムは「怒り」を通り越し、逆上以上に壊れかけた「心」を見失い、いつもどこかに正々堂々(?)のあったガムの戦い方とは程遠いどう見ても完全に乱心しているドリメで初めて見せる残虐ファイトです・・・いつか「残虐ファイトの研究をおこなっています」と述べたことがありましたが・・・本当になってしまいました・・・(汗)
「人格分け」や「人格分裂」を語る以前に、自分は人の持つ切り離せないような「二面性」というものを考えるのがけっこう好きで、「感情のスイッチ」みたいなものが入ると完全に「変心(へんしん)」してしまい、その感情のスイッチが切り替わり、一人称どころか、戦い方まで変わってしまう・・・な感じです・・・
そのモチーフは某ヒーロー雑誌と某人造人間ヒーローなのですが・・・これはわかる人だけわかってください。
※(注)残虐ファイトのガムは人格がどうこうではない、自分の(嫌っている)本来の一面なので、(マニアックに例えるなら「キ○肉マン」の「ウォーズ○ンスマイル(マジギレ)」)もう2度と本編中、このモードに入ることはない、と強く断言します。

設定的に言うとゼロの策略でアカリンにはマシュリのトラウマを、ガムには自分が嫌っている残虐面を引き出させることで、グロスを差し向けて肉体的よりも、むしろ精神的な敗北感を負わせることが目的だったみたいです(グロスで初めから2人を倒すとはゼロは思っていなかった・・・という裏設定)

フィの心の支えがなければ、ガムとアカリンはとてももう上にはあがっていこうとは思わなかったでしょう・・・フィは重要なキャラでまだまだ活躍します・・・

○(プリンスさん)
・(死にキャラについて)ベルが死にキャラになるという予想は共通しましたね(汗)ずっと先の展開で自分が書く際はそう考えていたのですが、プリンスさんの中ではクラスタをも死にキャラにしてしまうのですか・・・うーむ・・・
ゲストあつかいだからといってあまりめったやたらに死なすのも「死なせすぎだ!」という意見がきそうですね・・・
死なない程度に←(!?)キャラを戦闘不能のリタイヤにするか、何らかの理由で(いざという時にリサイクルできるように)行方不明あつかいにするのもチームからはずす上ではいいかもしれません(実際、塔の突入部隊と戦った敵はほとんどが死んでいる・・・という厳しい意見を頂いた事がありました・・・汗)
・烈はそもそもは自分が作り出したキャラだったのですが、その元となった作品のキャラが壮絶な(悲しすぎる)死をとげたので、誰かが「やめろ!」と言わない限りは自分の書き込みとして、烈の戦死するストーリーも、(決してあっさりではない形として)書きたいと思っているのです(そのためまた長文の予感・・・汗)
ただ、烈の死の考察はまだ「そうしようかな?」程度のものなので、ストーリー次第では烈の死の話が「なかった事」になる可能性もあります(なので烈の死に関しては100%間に受けないでくださいです)

○(アッシマーさん)
アッシマーさんにお願いしていたのですが・・・途中レスしてくださって本当にありがとうございました・・・心からお礼を申し上げますm(_ _)m
・・・アッシマーさんのJチームもボリュームがあって読みごたえがありましたよ!
・(ビーストの真の姿)
ビーストはミュウツーと公式設定されましたが、アッシマーさんの「前半」ではまだはっきりと語られていないですねでも幻覚攻撃や銀のフォークなどなどミュウツーファンニヤリな要素が・・・後編でどのような行動をビーストがとるのか楽しみです(過去のビースト失敗例にもなぞっていて・・・今回は見事です!)
・・・と思っていたら「後編」でその能力がついに明るみになりましたね!!狂喜乱舞です!!(^▽^)/ 本編では「力のインフレを起こす能力を持たせるのは絶対禁止です」をミュウツーでどう気をつけさせるのかなど、かなり心配ですが・・・頑張ってください!(アッシマーさんならできます!)
・(ガンダムインテリ)
ドリメが本格的に小説として、完成しつつある現在(ガンダムを知らない読者が増えた手前)どのようにしてこの要素を本編にいれるかも書き手の技量がためされますね・・・あえて元ネタを明かさず、迫力だけを伝えるか・・・などなど・・・応援していますよ!(^-^)/

●(みなさんにお願い)以前お話しした通り、80階の塔のチーム&敵(悠チーム&ガムチーム)のお話を打ち合わせもおこなっている自分(あるいは秋葉さん)に全面的にお任せ頂きたいことを改めて断らせて頂きます。理由はそうすると、塔のチームと塔の外で戦っているチームとの目的の一致までのシナリオが最短になるからなのですが・・・もしかしたら、チームが別々の状態で最終回をむかえるかもしれない可能性もあるので、
打ち合わせも決めつつ、とにかく自分は塔のシナリオをやる気満々でバリバリ考察&構成を最高速度で進めています!(でも、意見・苦情受け付けます)

●(次回予告)今回を読んで意外な展開と思われ、意気消沈した読者がいなければいいのですが・・・でも大丈夫・・・だと思いますです。
次回は、ガムチームの起死回生のアカリンのトラウマ克服のストーリーに着手する事を断らせて頂きたく、バリバリ構成しているのです!(でもまた四重投稿になるかもしれません・・・大汗)
早ければ来週末、遅くても再来週末までには確実にその続きをアップできます!(ただ、現在はポケ書のサーバーの移転中のこともあるので)

※自分ばかりが仕切らせて頂いていて大変恐縮なのですが・・・これまでの伏線消化もおこないつつ、物語を進めていかなくてはいけないので・・・
最終回へ最短ルートでいくためにはまず、伏線消化を完全におこなわなくてはいけないことが先決でもあるので(目的を達成させ、残り1つにまとめる。もちろん、唐突過ぎず、無理がない形で)
アッシマーさんの書き込みが完全に完了し、全チームの目的が一段落するか、あるいは「打倒ビースト」で一致する展開に行き着くまでは、他のチームは、間違ってもむやみに動かさないでください・・・ということを改めて打ち出させて頂きます(ただ、「この小説自体や別のチームに影響を及ぼさない限り」で続きを描く事は今現在でも自由です。±0の状況として)

あと、これはあくまで独自の視点なのですが・・・ひょっとすると各チームは別々のままEDをむかえる可能性も考えられそうです(「合流する」ことが本作の目的ではありませんし。なにより、そうなると非常に書きにくいのです・・・汗)

(2006/03/04 23:37:55)

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Re: 本格リレー小説 《Dream Makers》 話は収束へ、bU!!  アッシマーMkU量産型    
>プリンスさん
誠に勝手ながら、『ビーストがセキチクへ移動した』というシナリオはやめていただきたいです。
僕としてはビーストはクチバ郊外に残り、この後アッシマー達はビーストともう一度対峙するというシナリオを考えており、そうしなければベルカの活躍が数話では終わらなくなってしまいます。
またあとがきにも、「そのためと言っては難ですが、ビーストとの2回目の戦いまでもうしばらくアッシマー達の展開を任せていただきたいです」と書いてあるので、もうしばらくはビーストの展開を僕に任せてください。
僕が説明不足だった事もあるのですが・・・よろしくお願いします。

(2006/03/05 06:28:54)

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Re: 本格リレー小説 《Dream Makers》 話は収束へ、bU!!  あきはばら博士    
>プリンスさん
アッシマーさんの書き込みと被ってしまいますが。すみませんが、この書き込みはNGですね。
アッシマーさんが「ビーストとの2回目の戦いまでもうしばらくアッシマー達の展開を任せていただきたいです」と言っているように、クチバでの第二回戦の予告がされているのです。(ひょっとしたら三回戦もあるかもしれませんけど…)
なので、このFチームとビーストをセキチクで戦わせる展開は遠慮していただきたいですね。まずはアッシマーさんの一件が終了するまでへんげのどうくつ辺りに留まっていただきたいです。
あと、500メートルの巨大なシャドーボールは絶対に駄目です、明らかになんでもありな絶対的な強さですし、力のインフレを引き起こす原因になります。
そもそも、アッシマーさんがビーストに巨大な銀のフォークを持たせたのはビーストと自分達を同じ視点に立たせて戦いを進めるためであり、なんとか倒せそうなレベルまでビーストの強さを落として、なんでもありの一線を越えないように努力しているからであるので
ここでそのような強大すぎる力を与えるのは今後の展開上好ましくないと思います。それに、なんでもかんでもサイコパワーだけで解決してしまう展開はつまらないでしょう?
これまでの指摘でプリンスさんは重々きまりについては承知だと思いますが、一応責任者として警告しておきます。
「あまりに書き手を意識しない続き・展開を繰り返すと最悪の場合、ストーリー展開で死なせるか、参加からドロップアウト(リタイヤ)の展開にすることをあらかじめご了承ください」
まあ、よほどのことが無い限りこれを実行しないと思いますが……
Fチームは現在、大人数で行動しているのでアッシマーさんの書き込みが終わるまで、平和でフレンドリーな雑談を描くとか、知的でシリアスな対話を描くとか、
もしくは暇を持て余した澪亮さんが騒ぎを起こして、「いくら姉御でもそれは許せない、俺が相手だ!」とRXさんが横槍を入れて澪亮VSRXの戦いが始まる展開など、この小説自体や別のチームに影響を及ぼさない限りでFチームの続きをお願いします。

(2006/03/05 12:45:18)

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6  プリンス・マッシュ    
じゃあボツにします。

(2006/03/05 16:42:22)

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書き手として(今回の件について)  ガム    
プリンスさんの削除された書き込み(Fチームの続き)を何度も見ていたのですが、今回の件は自分もかなり考え込んでいたので、今回の件(反省点)を自分なりにおさらいさせていただきます

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<今回の件のまとめ>

@(最終回への伏線消化のためにその1)現在、続きを着手されている方々の「予告」にはしっかりと目をやり、手は加えずに、でしゃばらずに、終わるのを待つこと(それに、いくら時間がかかっても)
A劇中、ものすごい強敵が登場したとしても「ありえない」ほど強いような、「なんでもあり」的な絶対的な強さをあたえない。主要メンバーとだいたい同じくらいの能力を基礎として構成する(力のインフレをおこさないため)
B(最終回への伏線消化のためにその2)「@・A」や、スレの「ルール&注意書き」をあまりに意識しない(書き手を意識しない)続き・展開を繰り返すと(エスカレートすると)最悪の場合、そのキャラ(参加者)をこの先のストーリー展開で死なせるか、参加からドロップアウト(リタイヤ)の展開にすること
Cアッシマーさんの続きが完全に終わるまで、現在のFチームはそこに留まる形で、この小説自体や別のチームに影響を及ぼさない限りでFチームの続きを書いてみること(シナリオ的には複線的に「±0」の状態)

<その考察>
・@は言うまでもなく、現在、最終回へむけてそれぞれの書き手の方々が少しでも早く、多く、これまでのちらばった無数の伏線を消化しようと努力しています。それ故に普通に書いていた頃ではやらなかった「次回予告」という手段もおこなわざるおえなくなった・・・という事が、書き手の1人の僕としての意見です。
実際、(伏線消化のために)「お任せください」としっかり予告した部分のお話にいきなり手を加えられ(進められ)ると、書き手はそうとう困るでしょう。
※でも、過去に秋葉さんとプリンスさんの同じ場面の書き込みがかさなった・・・という事態さえあったので(それで秋葉さんのシナリオが自主的にボツになりかけた記憶が)、第二部(仮)が始まった時には、あらかじめ「この続き書きます」というマナーをつくろうかどうか迷っています←(でもまだ、過程の段階なので「この第一部(仮)」でそれはおこないません)
・Aについてはまぎれもない「500メートルのシャドーボール」のことですが、そんなに「ありえない」ほどの絶対的な強さをビーストに与えて、普通のポケモンとしての能力者である悠達にどう対抗させるつもりだったのでしょう?(「500メートル」という時点ですでにもう「なんでもあり」の領域で自分では、このシナリオにはもうついていけませんでした・・・)
そもそも、これといった形態をもたなかったビーストに対して「ミュウツー」というポケモンとしてあつかうことにした理由の1つが「倒せない事はない敵として描くため」ということを発案者として断らせて頂きます。
それに、アッシマーさんが書かれた今現在の限りでのビースト(ミュウツー)の能力は決して「ありえない」ものではなくて、幻影攻撃は劇場版になぞっており、また「巨大な銀のフォーク」はポケスペのミュウツーの武器のスプーンが応用されているので、この小説では(力のインフレになるため)タブーだった伝説系のポケモンを、うまく自分達のレベルでも「なんとか倒せそうなぐらい」の領域まで調整されています。なおかつ元があるので読者がついていけるのです。
「力のインフレを起こす能力を持たせるのは絶対禁止です」ということ秋葉さんがドリメを企画される前から言われていた事でもあります。実際、本当にその通りでこの一線をこえてしまうとストーリーというもの自体が「なんでもあり」になる恐れもある・・・と自分は思います。それだけは忘れないで下さい。
必殺技の開発だって、ポケモンが今ある能力を原理として(ポケダンでいう「連結技」をモチーフにして)工夫し、開発するからおもしろいのです。必殺技マニアとして、「あれ?」と思うものがあれば、改正を提案するか、厳しい目でダメだしするかもしれません。
・Bに関してはまだ1度もおこなわれたことはないのですが、(というか、何度もそれをおこなう人自体それまで1人もいなかったのですが・・・)「連帯責任」となり、最終回へ向けてなおその責任の重みがあがっている現在、禁止事項無視やあとがきを無視したような続きを連続されると(ややこしくされると)今現在、伏線消化をすませようと試行錯誤している他の書き手をそうとう悩ませる結果にしかならず、今度こそ話の複線がオーバーフローの状態におちいり、「打ち切り」という最悪中の最悪の事態にもなりえないので、あまりにこれにふれた「続き」を連発する人のためにあきはばら博士さんが(まだ使ったことのない)レッドカードを持っているもの・・・として考えてください
ちなみに『あまりにこれにふれた「続き」を連発する人』の可能性が1番強い人が誰なのかは、ここでは誰なのかあえて言いません。
・Cについては、同じく最終回のために「連帯責任」となっている現在、ちらばっている各チームの目的がひとだんらくするまではFチームには黙って留まっていてほしいというのが、僕も正直な意見です(特にFチームは大人数な手前、うかつにうごかすべきではありません)
「それだとつまらない」と思うなら、あきはばら博士さんが言われるようにアッシマーさんの書き込みが終わるまでは
Fチームにフレンドリーな雑談や、シリアスな対談を描くとか、1話限りの一時的なバトルをおこなわせるとか(したっぱをさしむけてもいいかもです)するといいと思います(ストーリー的に±0の展開)
とにかく今が慎重な時なので今現在は他チーム(ビースト等も含む)に関与しない「この小説自体や別のチームに影響を及ぼさない限り」でFチームの続きをお願いします・・・と僕も言わせて頂きます。
※ちなみに、少し脳内構成を語ると、Kチームも他チームに関与する動かしはやめてほしいです。
あと、Iチームチームはその後Kチームと合流させると各チームの人数が均等に保てて続きが書きやすいことを打ち合わせの際、書き手へ切望したことも書き残しておきます
もしかすると各チームはバラバラのままエンディングへ行くかもしれない可能性もあるのです。

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アッシマーさんとあきはばら博士さんがちゃんと「よくない」と言われた後で、この件はプリンスさんがあの本文を削除された時点でで終わった話なのに、それをむし返すような発言をしてごめんなさい・・・でもどうしても断っておかなくては僕個人も書き手として、そうとうつらいものがあったのが本音なのです。
これには自分の一方的な見解もまじっているので万一のためにワードをのこしていきます。でもこれを共々の戒めとして頂ければ幸いです。
(基本的にはあきはばら博士さんの言われた事全てを「本当の意味」で守られていればまず問題はないでしょう)

削除ワードは「spirits」

(2006/03/05 21:34:57)

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ビーストへの宣戦布告をして、クチバへとテレポートしたアッシマー達。
4人はそこに座り込み、戦いの一休みをしたあと、立ち上がる。
目の前の景色は変わっていた。グレンに来る前、まだ目が両方見えた頃、まだ自分の体がジュプトルだった頃に訪れた街。
「クチバシティ・・・ここにラティアスがいるのか・・・」
アッシマーがつぶやく。
「さて、まずはポケ書の皆さんを探しましょうか。」
秋葉がそう言って、歩き出す。アッシマーとルカ☆とベルカもそれに続く。
「セキチクから避難場所を変えたっていうから、どこにいるかも分からないけど・・・」
「ねぇ、さっきから言ってるポケ書の皆さんってだれ?」
不意に、ルカ☆がアッシマーに問いかける。
「ああ、僕達が知り合ったポケ書のキャラクターたちだよ。ディグダマンに、サナさん、バク次郎、ラティオス、ノクタスちゃん、それから・・・ゴスロリのラティアス・・・」
その時、ルカ☆は見た。
アッシマーが『ラティアス』と口にしたとき、彼の頬がふっと赤みを帯びたのを・・・
「・・・お兄ちゃんもしかして・・・そのラティアスに惚れちゃってるんじゃな〜い?」
「え・・・ば、バカ!そんな分けないだろ!」
アッシマーはますます顔を真っ赤にして、慌ててそれを否定する。しかし・・・
「そんな事言ったって、顔に書いてあるよ。お兄ちゃん☆」
真っ赤になった顔を証拠に、ルカ☆はなおもアッシマーを追い詰める・・・
「・・・・・・・・・・・・!!・・・!・・・!・・・」
アッシマーはひたすらもじもじしながら、無言でルカ☆から顔を背けた。

 * * *

「サナさ〜ん!、バク次郎さ〜ん!」
「ディグダマンさ〜ん!ラティオスさ〜ん!」
「ノクタスちゃん・・・ラ・・・ラティア・・・ス・・・・・・」
3人は大声でポケ書の一同の名前を呼ぶ。
しかし、なぜか秋葉とルカ☆は、サナ、ディグダマン、バク次郎、ラティオスの名前しか呼ばない。
したがって、アッシマーにはノクタスちゃんのほかに、ラティアスがまわってきてしまうのである。
「ハァ・・・ある意味いじめだよこれ・・・
みんなが・・・みんなが僕をいじめる・・・・・・」
フォ○・ムラサ○の真似をしてみたが、そんな事をしても何もおきるわけがない。
と、その時だった。
「ひさしぶりだなお前達、来ていたのか」
そう、話しかけたのはディグダマンだった。
「ディグダマンさん、元気でしたか?」
「お久しぶりです」
「・・・ああ、えええ・・・・・」
「・・・こ、こんにちは・・・?」
頭では分かってはいたが、筋肉隆々の体にふんどし一丁、ディグダの頭巾という格好にルカ☆とベルカは顔がひきつる。
「さっきまでなにか戦いをしていたのか? みんな満身創痍のようだな・・・。他のみんなに会いたいのだろう? はやく私達の隠れ家へ戻ろう。そこには回復アイテムもたくさんある。ついてきな」
ディグダマンはそう言うと、町の真ん中へと歩いていった。
「そうですね・・・じゃ、行きますか。」
秋葉はそう言うと、ルカ☆の手をとった。
そして、一同はクチバの道を、よろよろと歩いていくのだった。

―――――――――――――――――

・ガムとアカリンはその後、力のない足取りでよたよたしながらも、お互いを支え合いながら、ゆっくりと・・・ゆっくりと塔を上がり、現在32階への階段へまできていた
「アカリン・・・大丈夫・・・?」
ガムはアカリンのことを心配していた・・・
グロスにあんな仕打ちを受けた上に、マシュリのトラウマがはっきりと蘇ったアカリンのことがガムには気が気でならない
「う・・・うん。ガムくん、私は大丈夫・・・だよ、えへっ☆」
しかし健気な姿とは裏腹に、アカリンの言葉は、かつての、それまでのアカリンとは思えないほどの弱々しい覇気のないものだった・・・
「・・・」
(アカリン、また、心配させまいと頑張ってる・・・)
ガムはアカリンのその姿になにかつかえるものを感じつつも黙っていた
「あ・・・そろそろ32階へつくよ!」
アカリンがそういうと2匹と1匹は32階へと到着した!
「あれ?・・・誰もいない・・・」
ここではいろんなことがあった・・・あかつき!の人格統合、ビースト(ミュウツー)の襲来、赤い3連星との再バトル・・・あれ?確か、自分はここでヒャクエの変則的[サイコキネシス]によってアカリンのいるポケモンタワーまで飛ばされたはず・・・
ここまでのことがあったのに誰かいてもいいのに・・・悠達ならともかく・・・と思いながらガムは周囲を見回す
「おーい!誰かいないのかー!」
と、一応叫んでみる。当然何の反応もない
「ガ、ガムくん・・・あれ、見て」
アカリンが一方に気付いたのか、ガムを呼び止めた
「どうしたの・・・?アカリン?・・・う!」
ガムが目をやった先には2つの大きな岩の塊がひび割れて無雑作に捨てられていた
「あれは・・・・ユフとフウチ・・・」
形が相当変形していたが、そこにはソルロックのユフとルナトーンのフウチが無残な姿だった
ひび割れた2匹からは・・・生命反応が見られない・・・
「僕が抜けていた間にこの32階で、一体何が・・・」
ガムは再度あたりを見回してみる
「!?」
今頃気がついたが、あかつき!の記憶回復のために使用されていた記憶石と大きな黒いキューブが消滅していることに気付いた。さらに見渡してみると無数のつぶての破片があちこちに散乱している・・・
「この階で・・・何があったんだ?」
ガムが不可解な顔をしていると・・・
「『記憶石』も『黒いキューブ』も元々この世界には無用の長物。ビーストがこの世界で暴れまわった余波で2つとも砕け散ってしまったのだ・・・気にするな」
背後から気配を感じた!・・・ネイティオのヒャクエだ!
「ヒャクエさん!」
「一体、何があったのですか!それにあのユフとフウチは!?」
アカリンとガムは同時にヒャクエに問い掛けた
・・・ヒャクエは少し疲れた表情で
「さきほど・・・ゼロの刺客の1人がこの階を襲撃した。ビーストの出現に乗じてゼロはこのドリームメイカーをのっとるようだ、からくも私は逃れることができたのだが・・・ユフとフウチは私をかばうために・・・」
ヒャクエは原型をとどめていないユフとフウチの亡骸へ目をやった
「でも・・・エスパータイプのユフとフウチがこんなに無残な姿にされるなんて・・・相手はやっぱり」
・・・!ガムは「ゴーストタイプなのでは?」と言おうとしたが、アカリンの不安をあおることにならないよう、その先の言葉を飲み込んだ

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ヒャクエさん・・・そうだったのですか、悠さん達は今、上を目指して・・・」
その後、ガムは、自分がいない間に塔の中で一体何があったのか、その出来事を一通り、ヒャクエから聞く事ができた・・・
「ところで・・・」
ヒャクエはガムの背中に乗っている昏睡状態のフィを見ると
「そのイーブイ・・・話には聞いていたが、あの遺伝子進化研究のイーブイだな?」
「え!?」
「ヒャクエさん、フィちゃんのことを知っているの!?」
ガムとアカリンの問い掛けに対してヒャクエは静かにうなずく
「うわさでしか聞いたことがなく、遺伝子工学は私の専門外なのだが・・・そのイーブイ、体力的に相当まいっているようだぞ」
そのことについてはドリーフからすでに聞いていたのだが・・・ガムとアカリンはフィのその状態を改めて聞かされ、お互いの赤い顔を真っ青にしていた・・・
「心配するな、とりあえずこれをつかうといい。体力的な問題ならばおそらくはこれでなんとかなるはずだ」
ヒャクエはそう言うと、ふところから[ふっかつそう]をとりだした。ポケモンではおなじみの漢方で、ひんしの状態から全快できる草だ
「そうか・・・!ヒャクエさん!ありがとう!」
ガムはその草をうけとると、さっそくフィに与えようとするが・・・
「うう・・・フィ!」
昏睡状態ながらも、フィはそっぽを向いた
「そうか・・・[ふっかつそう]はものすごく苦い漢方だったんだ・・・フィのような赤ちゃんには向いていない」
ガムは[ふっかつそう]をくわえながら悩んでいた・・・
「オブラートでもあれば、大丈夫なんだけど・・・」
オブラート・・・苦い薬などを包み込み服用するあの透明円状の薄いやつだ。人間界の道具が当然この世界にあるはずがない
「ガムくん・・・ちょっと、かしてみて?」
アカリンは[ふっかつそう]とフィを受け取ると、自分の口に入れた
「アカリン・・・な、何を?」
そして、アカリンは自分の好物の[モモンのみ]を同時に口にふくみ、[ふっかつそう]のにがみを[モモンのみ]の甘味で中和して
「ん・・・(フィちゃん、お願い、飲んで・・・)」
フィに、口移し気味に与えた
「・・・」
ガムは黙ってそれを見つめた。
その姿は、まるで母親が我が子をいとう姿そのものだった・・・男のガムにはできないようなこと・・・
「・・・コクン」
「やった!」
フィは、アカリンが噛み砕いた[ふっかつそう]を飲み込んだ!
「・・・フィィィィ」
「スースー・・・zzz」
まだ目は覚めないものの、それまで苦悶の表情だった昏睡状態が、今度はまるで安心しきったように眠り始めた・・・生命の危機をフィは乗り越えたのだ!
「よかった・・・フィちゃん」
アカリンも安堵の表情に戻った、あとは時間がたてば、フィは自然に目を覚ますだろう・・・
「さてと・・・」
ガムはすっくと立ち上がると
「アカリン、上へ急ごう、こんなことをしている間にも上では悠さん達が・・・」
「うん☆ わかった!ガムくん」
アカリンはフィを抱えてガムと共に上へ上がろうとする
「ちょっと待て」
「?」
シュン!
「うわっ!ス・・・ステアさん!?」
その時、2人の後ろから、それまでいなかったステアが姿を現した!
「君達も私の[テレポート]で飛ばしてやろう・・・といいたいのだが」
ステアは逃げ腰で話す
「すまない、ビースト戦で手一杯になってしまい、あと1回くらいしか[テレポート]を使うことができない。乱用したためか・・・私自身のPPがもう1しかなのだ・・・」
・・・突然現れてはずいぶん情けないことを言うステア、無理もないステアもヒャクエもドリームメイカーの非戦闘集団の2人・・・元々、戦いには向いていない
「残り1回の[テレポート]は私達がビーストから身を隠すために使わせてもらおうと思う・・・万が一ということがあった時は我々が壊滅寸前のドリームメイカーの建て直しにいなくてはならないから・・・」
ステアはヒャクエと手をつなぎ、[テレポート]の体勢に入った・・・その前に
「頑張ってくれ、そして気をつけてくれ。おそらく、次の戦いは君が頼りだ」
ガムにそれだけ言い残し、ステアとヒャクエは、最後の[テレポート]で避難するように塔から抜け出した・・・

*******************

「ここは・・・?」
階段を駆け上がるガムは周囲を見回す
「ガムくん、あれ見て!」
アカリンは目の前の壁に異様に馬鹿でかい穴があいていることに気がついた。
ガムはそれを見つけると
「・・・ということは、ここはやっぱり40階か」
現在の塔には悠の兄の烈が塔から出るためにぶち破った40階の穴と、ビーストが塔から抜け出るためにぶち破った32階の穴の2つの穴がある・・・
どうやら2人は、40階に到着したようだ
「アカリン、先を急ごう、ここが40階だということは、僕たちはまだ塔の半分しか上がっていない・・・」
「うん☆そうだね、」
ガムとアカリンは大急ぎで上の階へと[でんこうせっか]で駆け上がっていった!
「(よく考えてみたら、こうやって塔の41階を登るのは初めてだ・・・悠さん達と上がる時はミヤビの[ワープだま]で45階まで飛ばされて・・・降りる時はステアさんの[テレポート]で32階まで下ろされたんだったな・・・)」
41階から44階までは、まだ何があるかわからない・・・慎重にいこう・・・

―――――――――――――――――――――――

話は過去に遡るが……。
フローレンに連れていかれた離脱したあかつき!と水無月は。
下の階へ降りていくと、フローレンが急に立ち止まり、何もない空間へぼそりとつぶやく。
「・・・ステア、聞こえてるんでしょ。 こっちに来なさい」
何も反応が無いので、フローレンは持っている骨で床を打ち叩いて言う。
「もう一度言うわ、来なさい」
「一息入れていたのに、あなたにそうズバズバと言われるとこちらのペースが乱されるな」
すると突然目の前から、疲れた表情を隠せずにいるステアが現れた。
「下の階にはブイズがいるわよね。このまま行けば鉢合わせて面倒なことになりかねないから、
ステアの「テレポート」で私たち3人を目的地まで送ってもらえるわよね? ね!?」
フローレンのそういう強引さに頭が上がらなさそうなステアは、いやいや「テレポート」で3人をある場所へ瞬間移動させた。

*******************

「はい、到着しましたよ。まったく3人いっぺんにテレポートとは、また無茶な注文を申し付けますね。
思った以上に時間がかかって疲れました。いいですか、これであなたとはもう絶縁ですからね。」
「臨むところだわ。」
「しかし、最後の言葉がこれではいやだな。さようなら。おしあわせに。」
「言われなくとも。」
イライラしているステアになぜか喧嘩腰のフローレンと、割って入る隙を与えさせてもらえないあかつき!と水無月。
だがふと周りを見渡してみると、あかつき!にとって見覚えがある風景がそこにはあった。
「・・・こ、ここはまさか、オイラが住んでたポケアイコンの集落・・・。でも今は誰もいない・・・。」
ファビオラの「ほろびのうた」による大量虐殺をうけたポケアイコンの集落。そこにはもう当時のぬくもりはなかった。
「そう、私があなたをここへつれてきた答えはこれなのよ。」
「どーゆーこと!?」
「あなたは「死の歌姫」としてのファビオラを知らない・・・。だからそれを教えに来たの。」
「死の歌姫」・・・、イーナスが言ってたことは本当だったのか、と思い悩むあかつき!。
「私はあの時、あなたがいるこの集落で見ていたわ。特性「ぼうおん」以外のポケモンたちが次々と倒れていくのを・・・。
なんとか「ほろびのうた」を逃れた彼らでさえ、イーナスと私の「ひらいしん」で無力化されたところを次々と・・・。」

==============================

「ファビオラ、おかしいと思わないの!? どうして私たちがポケモンたちを殺さなきゃいけないの。
私たちだって同じ存在じゃない!! そんなのおかしいわよ!!」
「おかしいのはあなたの方ですわ!! 今は任務遂行中。私情を入れるあなたこそどうかしていますわ。
まったく、救助依頼で何度か足を踏み入れて毒されたに違いありませんね。
でもあなたには感謝していますわ。まさか特殊な加工を施すことで「かいがらのすず」に
「ぼうおん」効果をもたらすことができたなんて・・・。私たちのには必須のアイテムですわね。ありがとう。
さぁイーナス、私と共に「ほろびのうた」を歌いましょうね・・・。」
まるで悪の権化のようなオーラを放つファビオラ。なす術のなくなったフローレンの叫び声を
まるで聞こえていないかのように無視するファビオラとイーナス。おどろおどろしい歌声が周囲に響き渡る。
すると一瞬にしてまわりの草木が枯れ、目の前の命を次々に奪っていった・・・。
だがその時、ファビオラにも予想外の出来事が起こった。なんとフローレンにも「ほろびのうた」が効いていたのだ。
「あなた、どういうつもり!? 「かいがらのすず」はどうしたの!?」
苦しくて仕方がない状況でもフローレンは、「ほろびのうた」。
「この前の救助依頼、駆けつけた時にはもう瀕死な子がいた。
鳴らせば徐々に体力が回復するから、その子に持たせておいたの。
でもまさか救助中にあなたから連絡が来るなんてね。それもよりによってその子のいたところを襲撃するなんて。
その時、私はどうなってもいいからこの子を助けたい!!って思ったの。だからその子にそっと鈴を託し・・た・・の・・。」
ファビオラは彼女の意識が遠のいていく瞬間、思わず無言で綿のような翼でそっと抱きしめた。
2体のムウマに「かいがらのすず」をつけたジグザグマが捕虜としてファビオラの前に連れてこられた。
「ファビオラ様、いかがなさいましょう!」
「・・・」
「ファビオラ様?」
「・・・この者を置いて早く撤退の準備をしなさい。このものの処分は私が決めます。」
そういってファビオラは、この時初めて自分の中に「死の歌姫」ではない自分がいたことを思い出した。
(フローレン、本当にごめんなさい・・・。私が間違っていましたわ。この子に愛情を注いで育てることにします。)
ファビオラは空を見ながらそう固く決心した・・・。

=======================

「どうして・・・どうしてファビオラ様はこのことをオイラに黙ってたんだろう・・・。
・・・そんなことで嫌ったりはしないよ!ファビオラ様!!」
「・・・今のあなたには理由を話さなくてよさそうね。」
あかつき!の心の叫びにフローレンは「その答えが聞きたかった」という風に顔を綻ばせた。
「さて、これで私のお役目も終わり。残念だけどもう時間ね、行かなきゃ。」
「行くってどこへ???」
「だって、私はもう死んでるのよ。」
「!!」
「で・・・でもステアは・・・何も言わなかったよ・・・?」
「あいつを脅してこっちに来たからね、あれでも空間術師だから精神世界空間との出入りできるのよ。
それにあいつは死んでいるとか生きているかとかを気にするヤツだと思ったの? とんだお門違い!! 自分以外が生きてるとか生きてないとか興味のないヤツだから。
精神世界はそのうち無くなるわ、ここに戻りたいとは思わないけど、その前にあのジグザグマに会って話をしたかったの」
動揺するあかつき!。だが死んでいることを気にしないように明るく振舞うフローレン。
彼女の考えは、「死」は怖くないものだと言う。
「じゃあ、バイバ〜イ。「暁の中隊長」さん!!」
すると彼女は太陽の中に溶け込み、姿を消して言った・・・その時!
「オイラの「かいがらのすず」が砕けた・・・?」
フローレンがいなくなったと同時に、彼女の作った「かいがらのすず」はすべて粉々に砕け散った。
これでもう、「ほろびのうた」によって、他者だけが苦しめられることはもうない、と悟ったあかつき!は
水無月と共に近辺の調査に取り掛かるのであった。

**********

すると向こう側に岩でできたオブジェが見えた。そこには見覚えのあるバシャーモがいることに
気付いたあかつき!は水無月と共に駆け寄ったり、波に乗ったりと大忙し。やっぱり彼はあかつき!の知り合いであった。
「烈〜〜〜!! こんなところにいたんだね!!」
「お、お前はいつかの中隊長!」
どうやらこの二人は顔見知りであったらしい。
似た境遇で知り合っていたこの二人には、ちょっと変わった仲良しオーラがあるようだ。
「由衣もいるんだね!! こっちのフライゴンはだぁれ?」
「223や!あかつき!さん。訳あってシュウからポケモンの姿になってもうたんや。」
「えぇっーーー!! マジで〜!!」
とベタな反応をするあかつき!に笑い呆れる由衣とため息をつく烈。
どうやら独特なメンバー構成になってしまった。
果たしてこれからこのメンバーの運命はいかに!?

―――――――――――――――――

ガムとアカリンは42階、43階へと順調へ上がっていき、44階へと到着したのだが・・・
「う!」
その周囲は黒い煙で敷き詰められていて、床と天井が全くよく見えない・・・かろうじてその中間が見えるぐらいだ。
「何!この陰気臭い空気は!?」
とアカリンが周囲手探りで進もうとした
「(私が知っている塔の44階はこんなのじゃなかった・・・もしかしてゼロの刺客のもう1人がここに?)」
アカリンはうっかりフィを黒い煙の中に落とさないよう、ひしっと眠っているフィを抱えなおし、周囲を確認していた
また、一方でガムは
「(44階・・・死が2つ・・・なんて縁起の悪い数字だ)」
と考えながら
「黒い煙・・・これはひょっとして[くろいきり]じゃ・・・アカリン、注意して!この部屋で能力変化形の技は使えないよ!」
と言おうとした時
「うわっ!?」
「・・・?どうしたの!ガムくん!?」
突然ガムの姿が消えた!
「・・・!ガムくん?ガムくん!?」
その時のアカリンとの距離はかなり離れていたので、アカリンは[くろいきり]にさえぎられてよく見えない。44階をまさぐるように調べるしかなかった
「(もしかして・・・ひとりぼっち?)」
アカリンは何度もガムの声を呼ぶが、何の返事も返ってこない・・・アカリンは急に恐くなってきた
「どこに言ったの!?ガムくん!?返事してよ!!」
アカリンは44階を探し回るが
「きゃぁぁぁっ!」
ドサッ・・・
アカリンはフィを[くろいきり]の中に落とし、霧で見えない足元の異様な物質を感じるや否や勢いよく吹き飛ばされた!
「痛っ!」
そして何か足に突き刺さるようなものを感じた
「これは・・・[とっぷうスイッチ]と[まきびし]・・・!?」
「フィちゃん?フィちゃん!フィちゃ―ん!!!」
アカリンはガムだけではなく、フィまでもはぐれてしまった事により、完全に取り乱していた・・・
そして・・・それはこの44階では完全に自殺行為だった!!
「うあっ!」
アカリンは再び足元の異様な物質につまずくと・・・おかしな香気を吸った
「う・・・うぅ・・・フィちゃん・・・ガムくん・・・」
アカリンの倒れこんだ足元には、おかしな突起の面があった・・・すいみん状態になる[バクスイッチ]だ・・・

**************

・「う・・・ん・・・」
アカリンは目を覚ました
「あれ・・・?」
アカリンは周囲の変化に気がついた
「おかしいな・・・さっきまで、私、[くろいきり]につつまれていたのに・・・」
それにここはどこか思い出があるような・・・
そうだ、ここはなんとなく[ポケモンタワー]に似ている・・・
ここは一体どこなんだろう・・・・
「ガムくーん!フィちゃーん!」
アカリンはとりあえずガムとフィを探し始めた。さっきまで行動を共にしていたのだからまだどこかにいるに違いない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「誰もいない・・・ここはどこなんだろう・・・?」
アカリンはなおもタワーの内部を探っていた
「?」
その時、アカリンは自分より一回り大きい影に気付いた
「あれは・・・」
アカリンはその影に近付いてみる
「そこにいるのは誰?」
「・・・」
影は全く反応しない
「アカリン・・・」
やがて影はその姿を現した
「!・・・あなたは!」
アカリンは目を疑った!
「あなたは・・・いいえ、そんな・・・あなたは・・・マシュリ!」
そこにいたのは・・・アカリンのかつての親友で2年前、ポケモンタワーでゲンガーに呪い殺された♀のウインディのマシュリだった!
「久しぶりね、アカリン」
「マシュリ、生きていたの・・・?」
「ええ」
アカリンの顔からは戸惑いと驚愕が入り混じったような表情が現れる
「マシュリ・・・私はあの時、マシュリのことをどれだけ心配したか・・・」
アカリンは2年ぶりの再会を、受け入れようと、そのままマシュリへそっと近付いた
マシュリはアカリンに答える

「ええ」

「っていうか・・・」

「なんであの時、助けてくれなかったの――――――!!!!!!」

!!!!!!!!!!

マシュリはその言葉と同時にものすごい形相へ豹変し、アカリンに対して叫んだ!!!
「!・・・マ・・・マシュリ!!」
そのマシュリを見たアカリンは笑顔が一気にひきつったような表情に変わり、
「ウオオォォォォオオォォォ――――――!!!!!!!」
「ひぃっ・・・!」
マシュリの[ほえる]に吹き飛ばされてしまった!!
「・・・ぎゃあっ!!」
アカリンはその勢いで、遠くの壁へとたたきつけられた!
「う・・・うぅ・・・」
アカリンはかろうじて立ち上がると
「そんな・・・マシュリ・・・」
アカリンは先ほどのマシュリの反応が信じられないという状態だ
「アカリン・・・」
「!?」
アカリンは再び自分を呼ぶ声に反応した
「!・・・ユーリさん!リーディさん!ルエルスさん!ルレンくん!ドリーフさん!」
アカリンの前にはブイズのみんながいた
「ユーリさん、さっき、マシュリが・・・マシュリが・・・うあぁぁぁ・・・」
アカリンは最も信頼する仲間のブイズ達に心のうちを打ち明けたく、今にも泣きそうな顔で走っていった・・・が
「・・・」
「[サンダーフラッシュ]!」
「ぎゃっ!」
アカリンはリーディにはじきとばされた!
「リーディさん・・・な・・・なんで?」
「やめて!アカリン、それ以上、私の前に近付かないで!」
「アカリン!あなたと私じゃ所詮不釣合い、私はあなたの代わりを探すわ!」
とリーディはアカリンに吐き捨てるように言い放つ
「そ・・・そんな・・・」
「アカリン・・・いくら頑張ってもあなたは私達、ブイズのお荷物でしかないのよ」
とユーリは冷淡にアカリンに言いつける
「・・・」
「いい?私の美しさの前には貴方なんてただのみそっかすですのよ?わかって?」
とルエルスはそれまでのアカリンをせせら笑うように言う
「い・・・いや」
「アカリンさん・・・あなたは邪魔なんだ、さっさとブイズから消えててくれないか?」
ルレンはアカリンをうとましがる顔で白い眼差しに近いような[くろいまなざし]を放っている
「いや――――!!!!」
「アカリン、お前が死んでも代わりはいくらでもいるんだ・・・いくらでもな」
ドリーフはアカリンはもう死んだものというように、ブイズを連れてその場から去っていこうとする
「もう・・・もう1人ぼっちはいや――――!!!!」
アカリンは泣き叫びながら自分から背を向けるブイズを追いかけた
「どうして、だれも私に気付いてくれないの!!?」
「私は・・・もうひとりぼっちになりたくない!!!」
「マシュリを無くしたときみたいになるのは・・・う・・・うああああ――!!!!!」
・・・しかし、そこにブイズの姿はどこにもなかった
「フーッ・・・フーッ・・・フーッ・・・」
アカリンは完全に錯乱している・・・
「!・・・あ・・・れ・・・は?」
アカリンが目をやる先には、1匹の♂のブースターがいた
「ガ・・・ムくん・・・」
アカリンの顔からは、やや落ち着きが戻る
「ガムくん!ガムく・・・ん!さがしたんだよ!」
アカリンは、その♂のブースターの元へ駆け寄った・・・が
「誰だ・・・?お前は?薄気味の悪いヤツだな・・・」
「え・・・?」
その♂のブースターにはアカリンのことがわからなかった・・・
「お前もドリームメイカーの仲間か?・・・なら、お前は僕の敵だ!!」
そう言うと♂のブースターは[シャドーボール]をアカリンへ間髪をいれずに打ち込んだ!
「ぎゃぁっ!」
アカリンは勢いよくぶっとばされた!!
「う・・・いやぁぁ・・・」
「あ・・・あ・・・あぁ・・・」
アカリンの何かが崩れていく音がした

********************

・「うう・・・まさかあんなところに[おとしあな]があったなんて・・・」
ガムは43階にいた。
先ほどの44階で突然姿を消したガムはポケダンの[おとしあな]にかかって下の階の43階に落とされていたのだ・・・そして少し気絶していた。
???
ということは、さっきアカリンが会った♂のブースターは?
「早く44階に戻らないと・・・!」
ガムは[でんこうせっか]で44階へと上がっていった!
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「くそ・・・まだ[くろいきり]が・・・」
ガムは44階に敷き詰めている[くろいきり]で辺りがわからない・・・
「アカリーン!フィー!」
ガムは2人を呼んでみる
「い・・・いや・・・いやぁぁぁ・・・」
「!?」
ガムはアカリンの声を確認した!
「・・・!アカリン?・・・うっ!」
ガムは声の方向から[くろいきり]の中のアカリンを見つけたのだが・・・そこにいたアカリンは・・・
[バクスイッチ]の上で仰向けになり、瞳は白目をむきかけていて、涙と涎を垂れ流している・・・なんて酷い光景・・・
「アカリン!・・・アカリン!!アカリン!!!」
ガムが何度呼びかけても揺り動かしてもアカリンは目を覚まさない・・・・
「これは・・・[あくむ]と[ゆめくい]と[のろい]をかけられている・・・のか?」
「う・・・やぁ・・・いやぁ・・・」
「・・・いや――!!!」
アカリンは寝言でまで悲鳴をあげている・・・
「!!(アカリン・・・!)」
その状態にはさすがにガムも今までにはなかったぐらいに取り乱した・・・!
「このままだったら、アカリンは[あくむ]と[ゆめくい]の中で廃人同然だ・・・(どうしよう・・・どうしよう・・・)」
ガムはオロオロしながら周囲を見回すと・・・
「あれは・・・?」
アカリンが倒れている方向とは別の方向にもう1つの[バクスイッチ]を見つけた

*************************

・[あくむ]の中のアカリンは周囲の四面楚歌から完全に孤立していた
周囲の光景は先ほどとは違う・・・辺り一面真っ白な何もない灰色にも似た空間にアカリンが1人だけ・・・助けてくれる人、理解してくれる人は誰もいない・・・
・・・そこには妄想の産物のようなブイズや♂のブースターの姿さえもうなく、不気味な声だけがアカリンに呼びかけていた
「あなたは独り。ずっと、これからも」
「私はひとり・・・私はひとり・・・」
「あなたが死んでも誰も泣かない。悲しんでくれる人はいない。あなたが死んでも世界は普通に動く」
「私は孤独・・・私は孤独・・・」
「あなたは誰からも祝福されずに生まれてきた」
「私は・・・誰からも望まれていない生命・・・」

・・・完全に壊れかかってているアカリンの前に

「ウフフフ・・・」
本物ではない、妄想マシュリがアカリンの前に再び姿を現した
「ねえ、アカリン?あのポケモンタワーで、あなた1人だけ助かって私だけが死ぬなんて、どう考えても不公平だよね?」
「私はひとり・・・私は孤独・・・望まれていない生命・・・・」
「フフ・・・そうよ、だからあなたを私がいるところへ連れて行ってあげる。これからはいつまでもいっしょよ・・・ウフフフ」
!!・・・そう言うと妄想マシュリはアカリンの喉元・・・丁度、頚動脈あたりへ[かみくだく]の体勢に入った!
「またあとで会いましょうね・・・もっとも、廃人になったら精神世界へもいけないでしょうけど・・・アハハハ」
・・・その時!

「男の魂、充電完了・・・!!」
「男の魂の球が」
「貴様らに打てるか――!!!」

妄想マシュリへ[にらみつける]の形相がくっきりと浮き出た火の玉シャドーボールが飛んできた!!・・・[B・男球]だ!!
「ぎゃぁぁっ!!」
妄想マシュリはその攻撃に撃退された!
「ここが・・・アカリンの悪夢の中・・・なんて重いところ・・・なんだ・・・」
ガムがアカリンの前に姿を現した!今度は妄想ではない、本物だ!・・・でもどうしてこんなところにまで?
―その手段はアカリンと同じく[バクスイッチ]である。ガムも[バクスイッチ]で眠りにつくことにより、一時的にアカリンの夢の中へ入り込むことに成功したのだ―
ガムの周辺にまで白く灰色に濁った世界の重々しく寂しい空気が伝わってくる・・・
「アカリン!アカリン!!アカリン!!!」
ガムは、今度は直接、アカリンの理性へ必死によびかけた
「あなたは・・・だれ?」
「!(アカリン・・・)」
「私は・・・だ・・・れ?」
アカリンは今度は本物のガムにもまるで反応できない・・・信用できない・・・
「アカリン・・・」
ガムは少し思いつめたような表情をした・・・が
「(今度こそ・・・今ここでアカリンを取り戻さないと・・・アカリンが・・・!)」
ガムはグッとアカリンの前足をつかむと
「・・・ごめん!アカリン!!」
ガムは引っ張るとそのままアカリンを抱きしめ、[ほのおのうず]で2人を1つに縛り、めいいっぱい口付けをした!!
「!!・・・んんっ!?」
・・・その時、アカリンの無機質で真っ白な空間に暖かな光をが入り・・・習字の半紙のような真っ白な紙に墨汁が落ちるように、少しずつ、少しずつ、白い空間が元の色に戻っていった・・・
「(・・・ガムくん・・・苦しい、息ができないよ・・・)」
「(いやだ・・・離す・・・もんか!アカリン、君にはずっと僕のそばにいて欲しいんだ!)」
アカリンはそのガムの言葉に対して
「(ガムくん、私のことはもう放っておいて・・・私はこのままマシュリのいるところへいくよ・・・)」
「(!!!)」
ガムはアカリンに
「(馬鹿野郎!!!)」
「(!?)」
ガムが心でアカリンに訴えかけた!
「(僕にはマシュリさんのことは正直、今でもわからない・・・でもあれが本当のマシュリさんだったの!?)」
「(・・・)」
「(アカリン・・・君は2年前の自分の過ちから、負ける事、失敗を極端におそれ、疑心暗鬼におちいっていることはないか・・・?)」
「(あのマシュリは君自身の『弱さ』・・・独りが嫌で、失敗を恐れるという自分自身の力への溺れでもあるんだ・・・)」
「(ガムくん・・・)」
「(アカリン・・・嬉しいことや楽しいことは自分から進んでいかないと手に入らない。けれど・・・つらいことや、悲しいことは待っていてもやってくる・・・)」
「(今のアカリンには酷な言い方かもしてないけど・・・それでも、頑張るしかないんだ・・・!)」
ガムは心の中でアカリンにもう1度だけ呼びかける

「(でも、これだけは忘れないで・・・)」
「(世界中のみんながアカリンを拒絶しても、世界中のみんなを敵に回しても・・・僕は・・・僕だけは)」
「(ずっと君の味方だ・・・)」

ガムは全てを告げるとアカリンの口から口をはなした・・・
「・・・」
「(アカリン・・・)」
「ガムくん・・・ありがとう」
アカリンはアカリンは正気をとりもどすとガムにそう言った・・・ガムの必死の説得がアカリンに光を取り戻させたのだ・・・!
「フフフ・・・別れの挨拶はもういいかしら?」
「・・・マシュリ・・・いや、偽者のマシュリ・・・私の心の弱さ・・・」
アカリンはそう言って妄想マシュリを見つめる。
ガムもそれを確認すると・・・何を思ったのか、今度はアカリンにノータッチだ・・・
「ガムくん・・・?」
「アカリン、ここから先はアカリンだけの戦いだ、ここで誰かが手を貸しちゃいけない・・・もしここで誰かが手を貸したらアカリンはこの先、一生人の力に頼らなくては生きていけなくなるような気がする・・・」
「アカリンなら、きっと1人でもこの壁を乗り越えられると僕は信じている・・・!」
ガムはそう言うと姿が薄くなってきた・・・本体のガムがそろそろ夢から覚める頃なのだ・・・
アカリンは自分の夢から消えていくガムを見つづけると
「私・・・もう1回だけ頑張ってみる!」
と言った。
しかし、その寸前ガムは言った
「アカリン僕から一言・・・この戦い、必殺技もつかうな」
「必殺技もつかうな?」
「アカリンは・・・たくさんの必殺技なんかに頼らなくても、十分に1人で立てるはずだよ!勝てるはずの戦いが『恐れ』から勝てないと思い込ませているんだ」
そういい残すと、ガムは今度こそ、アカリンの夢の中から姿を消していった・・・
「・・・」
アカリンは今、向かってこようとする妄想マシュリを静かに眺めていた
「さぁ・・・あなたも早く私のいる世界へいらっしゃい!」
―(ここから先はアカリンだけの戦いだ)―
アカリンはガムの言葉を何度も、心の中でその言葉を読み返していた。
「(必殺技に頼らずに・・・私、やってみせるよ!)」
「マシュリ、ごめん!」
アカリンは妄想マシュリへ向かって初めて戦う姿勢をあらわにすると、「かえんほうしゃ」を勢いよく放った!・・・が
「ウフフフ・・・アカリン?あなた、2年間私と会っていないせいか、少しカンがにぶったんじゃないの?」
なんと、妄想マシュリはなんともない!それどころかかえって、パワーアップしたような気配さえする・・・
「そうか・・・思い出したよ、マシュリの[とくせい]・・・[もらいび]だったんだよね」
ウインディのマシュリの[とくせい]は[いかく]ではなく、アカリンとおなじ[もらいび]・・・アカリンは炎をメインとした技が一気に使えない状況に一気に陥った
それは、妄想マシュリとて同じことなのだが・・・力で戦ったらあきらかにウインディのマシュリの方に分があることは言うまでもない
「いくわよぉぉ!アカリン!!」
妄想マシュリはアカリンに対して[とっしん]して向かってくる!!
「それなら・・・こっちも[とっしん]!!」
アカリンは妄想マシュリに対して、自分も同じ[とっしん]で向かっていくが・・・
「きゃぁぁぁぁ!!」
体格では遥かにウインディより劣るブースターのアカリンは簡単にぶっ飛ばされてしまった!!
「アカリン、あなたはいつもそうだった・・・あの肝試しの時も・・・逃げ回ってばかりで、私の影に隠れて・・・」
「ひっ・・・!」
倒れたアカリンに対して妄想マシュリは憎悪の表情で詰め寄る
「ウオォォォォオオォォォォオオ――――――――!!!!!!」
「きゃあぁぁぁ――っ!!」
アカリンは再び妄想マシュリの[ほえる]によって勢いよく吹き飛ばされた!!・・・が
「[しんそく]!!」
「があっ!!」
アカリンが吹き飛ぶ方向へ妄想マシュリが[しんそく]で回り込み、カウンター気味にアカリンをたたきつけた!!
今度はアカリンに逃げる隙を全く与えない!!
「か・・・[かげぶんしん]!!」
アカリンは[かげぶんしん]で妄想マシュリの攻撃を当たり難くしようとした!
「そのまま、[かみつく]・・・いきます!」
アカリンが妄想マシュリのふところまで飛び込んだ時!
「甘い!」
「え!?・・・きゃあっ!!」
アカリンは[つばめがえし]の反撃を受けた!![つばめがえし]は必中のワザ・・・アカリンの[かげぶんしん]は簡単に破られてしまった・・・
「・・・アカリン?あなたが[かげぶんしん]でくるってこと、読めない私だと思って?」
その上、妄想マシュリは[かぎわける]で本物のアカリンを見抜いた!・・・アカリンの[かげぶんしん]は妄想マシュリに対して完全に効力を失ってしまった・・・
「アカリン!なんであの時・・・私が死んであなたが助かったのよ!!?」
妄想マシュリは[しんそく]で倒れたアカリンをさらに押さえ込み、再びアカリンの頚動脈を狙い[かみくだく]をくりだしてくる・・・!
「あんたなんか・・・あんたなんか、生き残るべきじゃなかったのよ!だから、今ここで私といっしょに死のう!ね?」
「くっ・・・」
アカリンは、まるで[あばれる]かのように・・・繰り出してくる、狂ったような妄想マシュリの[かみくだく]を全部その身に受けた!
「嘘・・・なんで?なんで倒れないのよ!?」
アカリンは妄想マシュリの全攻撃を頚動脈から外れるよう、全て[こらえる]でガードしたのだ!
そして・・・アカリンはもうその言葉にはもう惑わされない・・・
「何ですって!?・・・アカリンの傷が・・・治って・・・いく!?」
アカリンは妄想マシュリの激しい攻撃のさなか、[ねがいごと]を自分にかけていた!
一定時間が経ち、アカリン自身のダメージを回復させたのだ!!
「私は・・・もうにげない!」
「えい!!!」
「きゃああっ!!」
アカリンはそのまま[じたばた]で妄想マシュリを払いのけた!!
「ふん!2年前の死に損ないのブースターがいい気になっているんじゃないわよ!」
妄想マシュリはなおもアカリンにむかって[とっしん]を仕掛けてきた!対してアカリンは
「ごめん・・・マシュリ・・・私、あなたがいるところには・・・」
アカリンは妄想マシュリの[とっしん]に対して再び受けの構えだ
「まだいけないよ」
ガッ!!!
「[こらえる]発動っ・・・!!!」
アカリンは[こらえる]を使いマシュリの攻撃を防ぎきった!!
「!?・・・なんで身体も重さも違うあなたが私の攻撃を受けきれるのよ!!?」
「あなたはさっきの[とっしん]でもせり負けたのに・・・なんで!!!?」
!!・・・その時のアカリンの4本の足は微妙に地にめりこんでいた![あなをほる]気味に4本の足を地中に固定し、まるで[ねをはる]かのように妄想マシュリの体格差による攻撃を防ぎきることができたのだ!
そしてこれは、ユレイドルのグロスの戦法に酷似している・・・アカリンはやられっぱなしだった、あの20階の戦いでも相手の特技を盗むことを忘れなかった!!
「[じたばた]!!!」
「ぎゃぁっ!!!」
アカリンはそのまま妄想マシュリの[とっしん]の威力を背後に受け流し、[じたばた]で勢いを加え、妄想マシュリを巴投げ風に投げ飛ばした!!!
「あああ――――!!!!」
妄想マシュリは空中に飛ばされ、ガードがガラ空きだ!!!
「マシュリ・・・」
アカリンは少し躊躇していたが・・・やがてキッとしたような顔つきにかわると、妄想マシュリの急所へ標準を定め・・・
アカリンの口から高エネルギーが集中される・・・
「は・か・い・こ・う・せ・ん―――!!!!」
そのアカリンの[はかいこうせん]は無情なぐらいに妄想マシュリを貫いた
「ギャアァァァァァア――――――ッ!!!!」
「サヨウナラ・・・」
妄想マシュリは跡形もなくアカリンの悪夢の中から消し飛んだ・・・

―――――――――――――――――――――――

[858] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (4)
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 02時27分

―――――――――――――――――――――――

30分ほど歩いただろうか。
「着いたぞ。ここだ。」
ディグダマンが指差した先には、洒落た雰囲気のホテルがあった。
「ホテル・・・?避難してる立場にしては随分と贅沢な所に住んでいますね・・・」
「まぁ、ホテルとは言っても最近ビーストやドリームメイカーの争いが激化しているせいで、ここの従業員とかもほとんど避難してしまっているんだけどね。
そのせいか、ここは最近はビースト難民の避難所として使われているんだ。」
秋葉のしごく当然ともいえる疑問に、ディグダマンが説明を付け加えた。

一同はホテルの中に入る。ロビーにはラティオスとバク次郎が談話していた。
「あ、君達は」
「お前達もクチバに来ていたのか」
「お久しぶりです。ラティオスさん、バク次郎さん」
一同はそれぞれ自己紹介と近況報告を済ます。
ロビーにはそれ以外には誰もおらず、ただ並べられて・・・というより無造作に放置されている椅子やらテーブルやらがあるだけだった。
「ひっくり返ってるのまである・・・なんだかひどい有様だな・・・」とアッシマー。
「本当はもっとたくさんあったんだが、半分くらいビースト事件での難民たちが持っていっちまったんだ。
まぁ、それだけ住民の生活も切羽詰ってるってことなんだよ。」
それに、バク次郎がそう答えた。
「じゃあ、エレベーターで上へ上がろう。こっちだ。みんなも上にいるから。」
ラティオスがそう言って、ホテルの奥へと進んでいく。
一同もその後に続いて、奥へと進んでいった。

「・・・ねぇ、アッシマー。」
「なんだい?」
アッシマーは突然、ベルカに声をかけられる。
「アッシマー達って何処から来たの?やっぱり・・・ビーストにやられた所?」
「・・・いや、違うよ。
僕達はね、実は君達ポケモンのアニメやマンガやゲームで楽しんでいた人間なんだよ。」
「えっ?人間!?だって、アッシマーはジュカインでしょ?なのに人間って・・・どういうこと?」
アッシマーの答えに、ベルカは驚いて目を白黒させている。
まあ、この世界で目の前のポケモンが『自分は人間だ』と言ったら誰でも驚くだろうが・・・
「実はね・・・」
アッシマーは歩きながら、ベルカに自分達の事を説明した。
ポケ書という非公式ポケモンウェブサイトの掲示板に通っていた人間である事、
ある日突然パソコンの画面に吸い込まれ、ここへ来てしまった事、
ドリームメーカーがビースト対策の戦力にするために、自分たちを呼んできた事、などなど・・・
「そうなんだ・・・じゃあ、早く人間の世界に帰れるといいね!」
「・・・うん。そうだね・・・みんな心配してるだろうから・・・」
ベルカの明るい言葉に、アッシマーはなぜか、明るく答える事ができなかった。

少し前までは、とにかく早くこの世界から抜け出したい、早く人間の世界に帰りたい、という気持ちばかりが彼を駆り立てていた。
そのために、自分はドリームメーカーの仮設敵ポケモンと戦い、技を覚え、己の身体を進化させたはずだった。
だが、今は違う。
今の自分は、この世界から離れたくないという思いのほうが強いのだ。
なぜなら、彼はここで恋をしたから。
アッシマーはこの世界の住人に“恋”をしてしまったのだ。

彼女の事は、初めてテレビで目にしたときから、ずっと前から1つのポケモンのキャラクターとして『好き』だった。
だが、この世界に迷い込んできてから、それは変わった。
実際に彼女と会って、話をして、少しの間だけだったが共に過ごしたことで、1つのキャラクターとして彼女が『好き』なのではなく、1人の女性として彼女を『好き』になってしまったのだ。
彼女とは住んでいる世界が違う自分には、もしかすると許されない事かもしれない。
「・・・でも・・・」
ふと、口から独り言がこぼれた。
「君と離れるなんて嫌だよ・・・ラティアス・・・」

「え?今なんか言った?」
そのルカ☆の言葉で、アッシマーは我に返った。
「い、いや、どうでもいいことだよ。ほら、僕ってよくどうでもいいこと独り言でブツブツ言うじゃないか、だからそれだよ、うん。」
アッシマーは自分の癖を盾にして、なんとかその状況を切り抜けた。

 * * *

エレベーターで一同が上がったのは、20階だった。
そこは基本的に部屋だけが並んでいるだけの階である。
「サナ、ラティアス、ノクタスちゃん、戻ったぞ。懐かしい人たちと出合った、一戦交えて皆が満身創痍みたいだ、回復アイテムをたくさん持ってきて欲しい。」
ディグダマンが奥の廊下に向かって話しかけた。そこには、サナとラティアスとノクタスちゃんがいた。
「あら、秋葉さんにアッシマーさんじゃないですか!お久しぶりですね〜」
「元気にしてたかい?アタシはもう大丈夫だから心配いらないよ!」
サナとノクタスちゃんは満面の笑顔で迎えてくれた。
「アッシマーさんひさしぶり!おかげでケガももう良くなったよ!
あ、そのヨーギラスとポチエナは?」
アッシマーは自分の鼓動が速くなったのがわかった。ラティアスに笑顔で話しかけられたせいだ。
(・・・ラティアス・・・かわいさはいつも変わらないな・・・
ゴスロリ衣装の黒と白のヒラヒラって、思えばラティアスによく似合って・・・って何考えてるんだよ僕!!)
一瞬そんな思いが頭の中を過ったが、それを慌てて否定するアッシマー。
「え、あ、この子はルカ☆。僕の妹だよ。こっちはベルカ。町の中で会った・・・ビースト災害の犠牲者なんだ。」
「あ・・・はじめまして・・・」
「はじめまして。」
ルカ☆とベルカはぺこりと頭を下げた。

―――――――――――――――――――――――

・「アカリン・・・」
ここは塔の44階、まだ眠りつづけているアカリンへガムは心配そうに目をやっていた
「(いや、アカリンはきっと自分の弱さを乗り越えてくる・・・アカリンの強さを信じよう・・・)」
そうしてガムはアカリンを見つめていると・・・
「う・・・ん・・・」
[バクスイッチ]の上のアカリンは静かに目を覚ました!
「!・・・アカリンが目を覚ました・・・戦いに勝ったんだね!!」
「・・・」
アカリンの目覚めに歓喜するガムとは全く別に、アカリン自身の顔は晴れなかった・・・
「・・・そうか・・・そうだよね」
・・・ガムもまたアカリンのうかない顔を見ると、静まった
無理もない、自分が生み出した妄想とはいえ、アカリンは自分の親友のマシュリをこの手で殺さなくてはいけなかったのだから・・・

「あれ?」
アカリンはうつむきながらも周囲の変化に気がついた
「さっきまであったこの階の[くろいきり]は・・・?」
ガムもアカリンの言葉で気付き、周囲見回した
「そういえば・・・」
さきほどまでに部屋いっぱいに敷きつめられていた陰気臭い[くろいきり]がほぼ晴れていて、少しずつ少しずつその霧が消えていくにしたがって・・・
「あれは・・・!」
黒い影が2人の前に姿を現した
「フン・・・[あくむ]と[ゆめくい]で美味く食えると思ったんだけど・・・しゃあねぇな」
2人の目の前に♂のゲンガーが姿を現した
「お前が・・・お前がアカリンにあんな惨い悪夢を見せていたのか!?」
ガムはそのゲンガーを見るや否や[ほえる]ような大きな声でゲンガーをにらみつけた!
「ハハハ・・・その通り、お前たちの夢を美味しく頂こうと思ったんだよ」
「僕とアカリンの夢・・・?まさか!」
ガムはその言葉である程度のことを察した・・・このゲンガーは自らは手を下さずに、先ほどから44階でガムとアカリンの悪夢の一部始終をずっと覗き見、傍観していたのだ・・・
「き・さ・ま――・・・」
ガムはそのゲンガーの[ちょうはつ]にも似たコロコロ変わる言葉遣いに激怒しつつあった・・・
「ゼロってやつから『美味い夢が食えるからついてこないか?』って誘いをうけたんだが・・・とんだ夢だったぜ」
「僕の夢ならまだしも、アカリンの夢まで盗聴するような真似をしたことは・・・んでもあまりあるぞ・・・!!!!」
ガムは今にもゲンガーに飛び掛ろうとする勢いだ・・・が
「あ・・・あ・・・」
「?・・・アカリン?」
さっきからアカリンの様子がまた、変だ・・・
「あなたね?・・・2年前のあの日、[ポケモンタワー]で肝試ししていた私をおそって・・・マシュリを呪い殺したポケモンは・・・」
「なんだって!?」
隣で聞いていたガムもさすがに驚愕の反応を示した・・・しかしそれなら、先ほどのアカリンの悪夢にマシュリが現れたことは納得だ
「マシュリ?知らねぇなぁ・・・お前は昨日食った夢もいちいち覚えていろっていうのか?」
「!」
アカリンは怒りを必に押えつつも冷静さを保ち
「でも・・・ドリーフさんの話じゃ、退治されたんじゃ・・・」
ゲンガーは答える
「ハハハ・・・俺はに真似が何より得意でねぇ・・・そいつも騙されたんだろ?」
アカリンはその言葉に「やっぱり!」というような表情で
「マシュリの仇・・・そこに名乗りなさい!今ここで私があなたを成敗してあげる!」
ゲンガーは返す
「おっと・・・ならば名乗ってやるぜ、俺の名前は【ザキ】だ、ちゃんとフレンドリーに【ザキさん】って呼んで欲しいなぁ・・・ハッハッハ」
アカリンがあの事件で聞いた『くそっ!!正体がばれちまった。ならば名乗ってやるぜ!!俺は…ザキ……!』の声と一致した、この前は澪亮と勘違いをしていたが、今回は間違いない
「誰が!あなたになんか・・・!」
アカリンは弱音以上に滅多に見せない怒りの表情をあらわにすると、ザキへむかって[かみつく]の体勢で飛びかかった!」
「アカリン・・・いけない!ザキの[ちょうはつ]に乗るな!」
ガムが[でんこうせっか]でアカリンを静止する
「ガムくん・・・はなしてよ!こいつだけは、このザキだけは・・・」
アカリンの[じたばた]がガムを叩く・・・アカリンの怒りは半端ではない!!
「アカリン、あのザキをよく見るんだ!」
「何よ!」
アカリンはザキをよく見た・・・あれは!?
「ハッハッハ・・・」
ザキはアカリンが飛び込んでくる隙をうかがっていつでも[さいみんじゅつ]と同時に[ほろびのうた]を繰り出せる体勢だ
きっとあのままアカリンがザキに飛び込んでいたら再びすいみん状態にされてしまい、今度こそ[あくむ]と[ゆめくい]で終わりまた、途中で目を覚ましても[ほろびのうた]でアウトだっただろう
「このゲンガー・・・」
ガムはアカリンを止めるとそうつぶやいていた
「・・・ところで、お前さっきからマシュリがどうだとか言ってるけど馬鹿なヤツだよな?おい?そんなことで、いちいちメソメソするなんてよ?」
「なんだと!?お前のためにマシュリが、みんなが・・・」
とガム、
「そして、私が!どんなにつらい思いをさせられたか!」
とアカリン。特にアカリンからは今にも泣きそうな悔し涙をためている
「みんな・・・みんなお前のせいだ!」
「ふん・・・そのの♀のブースター、泣いているのか?」
しかし、ゲンガーのザキはなおも不気味に[ちょうはつ]気味に話をすすめる
「マシュリとかいうやつもお前のようなくだらない『情』に流されるから命を落とすという結果となったんだ、ただそれだけよ」
「なんだと・・・?」
さすがにガムの表情もキッとなった
「教えてやろう、人間もポケモンも実に利己的で実に愚かな生き物だ、俺やお前らも例外なくな・・・それは全世界が自己愛で満ち満ちている」
ザキはいかにも誇らしげに話を進めている
「・・・」
アカリンは黙って聞いていた
「お前は今、深い深い悲しみの中にいる。だが勘違いしてはいかん」
「マシュリがんだ時も今こうしている時も、すべては自分のためにしか泣く事はできないのだ」
「(どういうこと?)」

「親友のマシュリとはもう会えないという自分に・・・親、兄弟達にも会えないという孤独さに・・・全ては己自身への哀れみの涙なのだ」

「解る?人間やポケモンとは、他人のためになど決して涙を流す事のできない悲しい生き物なのよ」
「・・・!!!」
その時、アカリンは途中から女風に変わったザキの言葉遣いに再び激怒の表情を浮かべた!!
なぜなら、ザキは声色をマシュリと同じに[ものまね]してアカリンの精神的動揺を誘っているのである。
「ザキ・・・マシュリの声でそんな話を続けるのは・・・」
アカリンの反応が明らかに楽しいようで、ザキはマシュリの声で話を続ける

「所詮あなたのの涙なんて、そんなもの。あなたの涙はんだ私(マシュリ)を哀れむ涙などではなく、強い自己愛に支配された可愛そうな自分に対する涙に他ならないのよ」
「そんな利己的なポケモンが私(マシュリ)の仇を討つですって?フフフ・・・おかしなはなしよね?えぇ?」
「・・・」

ザキは言葉でガムとアカリンを弄びつつ元の口調に戻り、なおも話を続ける。

「アカリンとかいうやつ・・・お前は自分可愛さのために、独りぼっちにされた自分自身のためにそのポケモンタワーとかいう所で2年前、涙を流していたに過ぎないのだ」
「結局の所、自己愛に支配された獣と同じなのだ、だが自分を責めるな・・・自己愛を感じる事は恥ずかしいことではない、人はみな自分が可愛いのだ」
「なぜなら、その自己愛がなければ人はみな自滅してしまうだろう・・・」
ザキはせせら笑いながら
「ククク・・・お前も目を覚ませ、自己中心的に生きるということは自身を守る最大の武器でもあるのだ」

・・・ザキの話を聞いて、ガムとアカリンはもうすでに『怒り』という次元ではない、反面ザキにあきれたような表情をしていた
「・・・どこまで腐りきっているんだ?」
とガム
「ガムくんは私に言ってくれた、『僕だけはずっと君の味方だ』って」
とアカリン
「人には・・・いや、ポケモンには誰にも奪えない誰にも支配されないものがある!」
「それは」

「人を愛することだ(ことだよ!)!」

「貴様がどんなにあがこうと、汚い手をくだそうと・・・人の心までは奪えない!」
一人称が「俺」に変わっているガムとアカリンの声は、次第にもっと高くなっていく・・・!
「そして俺も(私も)お前に教えてやる(あげる)!」
アカリンは言い放つ
「『愛』とは与え続けるもの・・・決してその見返りを期待しない!自分を殺しても与え続けることが『愛』なんだ!」
続いてガムが、
「人を敬い、人を愛する心だけが、この世界に本当の平和を与えるんだ!愛する者もなく、愛されたこともない貴様には到底理解できないことだがな!」
「まるでんでいるかに生きているような奴ほど、ぬ事を1番忌み嫌うんだ・・・少なくともアカリンはお前の言うその精神に打ち勝った!」
「そして弱い人間・・・いや、ポケモンとは、ことさらに自分の弱さをひけらかし、それ自分の武器にしたがるもの・・・弱いのはお前の方だ!ザキ!」

――――――――――――――――――――――

アッシマーがクチバでポケ書チームと合流した。
その夜。
「それで、少し問題があるんだけど・・・」
ロビーで休んでいるベルカとルカ☆、秋葉に向かって、ラティオスが言った。
「問題って?」
ベルカがそれに答える。
「部屋の問題だよ。」
ラティオスはそう答えた。
「部屋?」
秋葉がそう言ったとき、奥からアッシマーがやって来た。手には5つのびんを持っている。
「自販機で『おいしいみず』を買ってきました。僕のおごりですよ。飲んでください。」
「あ、どうも・・・」
「ありがと。」
「アッシマーさん・・・なんだか今日は気前がいいですね・・・」
おいしいみずを受け取ったベルカ、ルカ☆、秋葉はそう答えた。
「これはラティオスさんの分ですよ。」
「あ、ありがとう・・・で、その部屋の話に戻るんだけど・・・ここにはビースト難民がたくさん集まっているもんだから、三人部屋が残り一つしか空いていないんだよ。」
ラティオスは深刻な表情でそう言う。
「え・・・じゃあ残り1人は床で寝ろってことなんですか?」
ベルカがラティオスにそうたずねた。
「いや、寝る場所が無いわけじゃないんだ。二人部屋に一人しかいない所があるから・・・」
ラティオスはそう答える。
「じゃあ・・・」
「やっぱり・・・」
「そうですね・・・」
ベルカ、ルカ☆、秋葉の視線が一点に集中する。
「・・・え?どうしてそんなに僕を見るんですか?」
視線の先にいたもの、それはアッシマーだった。
「就寝分離の一般的な考えでいけば、私とルカ☆さんとベルカさんが三人部屋に寝て、アッシマーさんが二人部屋のほうに行く、ということになりますけど。」と秋葉。
「あ・・・」
確かに4人の中で、アッシマーは唯一の男性だ。普通に考えるなら確かにアッシマーが違う部屋に寝る事になる。
「そうですね。じゃあそうしましょうか。」
アッシマーは快くそれを了承した、もっとも、数秒後この判断をした事を後悔することになるのだが・・・

「・・・それで、その二人部屋で僕と一緒に寝るのは誰なんですか?」
アッシマーはそう言って、おいしいみずを口に含んだ。




「ラティアスだよ。」




ラティオスの口からその言葉が出た瞬間、ぶーっという音がロビーに響き渡った。
アッシマーが、口からおいしいみずを噴き出したのである。

 * * *

「・・・・・・・・・」
アッシマーは顔を真っ赤にしながら、ラティオスの後ろを歩いていく。
やがて、ラティオスは立ち止まった。
「ここが秋葉さん達の部屋だよ。これがこの部屋の鍵だから。」
そう言って、ラティオスは秋葉に鍵を手渡した。
「じゃあ、アッシマーさんはこっちへ・・・」
そう言って、ラティオスは部屋の前を去っていった。アッシマーもその後をついていく。
「おにいちゃんおやすみ〜」
ルカ☆はアッシマーに向かってそう言った。彼からの答えは無かった。

***************

秋葉はロビーに向かい、ベルカはさっさと部屋の中へ入ってしまった。一方のルカ☆は、廊下に立って不機嫌そうにしていた。
「もう・・・いくら恥ずかしいからって答えないことないでしょ・・・」
ルカ☆は独り言をつぶやいた。と、その時。
「・・・あれ?なんだろこれ・・・」
ルカは足元に、モンスターボールのような色をした箱があるのを見つけた。
正体を明かせば、これはポケモンXDでよく見かけるアイテムの入った箱である。
「何が入っているんだろう・・・」
ルカ☆はワクワクしながら、箱を開けた。
そこには、『ふしぎなアメ』が入っていた。
「・・・使えるかもしれないから持っていこっと。」
ルカ☆はふしぎなアメを持って、部屋の中へ入っていった。

**************

秋葉はホテルのロビーで少しくつろぎ、部屋に戻ろうと思ったときに、突然カウンターの電話が鳴り出した。
辺りを見回したが、近くにいるのは自分しかいなかったので、自分がその電話を取るべきだろう。
それにしても、このたまたま自分しかいない時に電話が鳴ると言う偶然のシュチレーションはあまりにも出来すぎている。
こんなことは偶然なんかじゃない、必然だ。ならばそれに甘んじよう。
運命というものを信じると仮定するならば、偶然と必然は自動的に同意語になる。
ふと、頭によぎったそんな言葉を3秒で忘れて、
カウンター越しに受話器を取る。
「もしもし……」
『こんにちは、あきはばら博士さんですね?』
秋葉は眉をひそめた。
『僕の名はベル、と申します』

******************

一方でラティオスとアッシマーは、エレベーターで上の階へと上がっていた。
「・・・どこまで上がるんですか?」
アッシマーはラティオスにたずねる。
「・・・ほら、着いたよ。」
その質問に、ラティオスはそう答えた。
エレベーターのランプは最上階を指している。
エレベーターのドアが開くと、ラティオスはエレベーターから降りた。それに続いてアッシマーもエレベーターを降りる。
「ここの部屋だよ。」
ラティオスが指した部屋は、エレベーターのすぐ前にあった。
今までの部屋と違い、ドアもどこかデラックスな雰囲気がする。さらに、ドアには『Suite room』と書かれていた。
「ちょっと、ここって・・・スイートルームじゃないですか?」
「まあね。でも、みんなの現状を考えればどこの部屋だって同じようなものだよ。」
アッシマーの疑問をラティオスはあっさり受け流し、そして部屋のドアを開けた。
「あれ、お兄ちゃんにアッシマーさん・・・どうしたんですか?」
中では、首にタオルをかけたラティアスがいた。
「ラティアス、ちょっとすまないけど、アッシマーさんを今夜ここで寝かせてあげてくれないかな?」
「え・・・?」
ラティオスの唐突過ぎる頼みに、ラティアスもまた困惑した表情を見せる。
「・・・他に・・・寝る場所ないの?」
「すまないけど・・・ないんだ。頼むよ!」
ラティオスは両手を合わせてまで必に頼み込んだ。
「・・・うん、いいよ。アッシマーさん。」
ラティアスは顔を少しうつむけながら言った。
「じゃあ、よろしく頼むよ。それとアッシマーさん。妹に変な事をしたらただじゃおきませんからね!」
ラティオスはそう言い残すと、部屋を出てエレベーターで下へ降りていった。

 * * *

「変な事って・・・いたいけな少年がそんな事すると思うか?」
アッシマーはドアを閉めつつ、愚痴をこぼす。本当にいたいけなのかどうかは置いておいて。
「じゃあ・・・寝ましょうか?」
そんなラティアスの言葉が耳に入ってきた途端、アッシマーの鼓動が急に速くなった。
「う・・・うん、そうだね・・・ハハハ・・・」
なんとか平常心を保とうとするが、今のアッシマーの心はこんらん状態とメロメロ状態に同時になっているような状況だった。
嬉しいような恥ずかしいような気持ちに襲われ、本気でわけもわからず自分を攻撃してしまいそうだった。
「ねぇ・・・そういえばさ・・・」
「何?」
「首に・・・タオルかかったままだよ。」
「あ!そうだった!そういえばさっきシャワーあびてたんだよね・・・」
ラティアスは首にかかったタオルを取りながら言う。
確かによく見れば、ラティアスの羽毛は少し湿っている。
「・・・へぇ・・・そうだったんだ・・・」
顔がニヤけそうになるのを必に抑えて、アッシマーは答えた。
どうしても湿った羽毛が色っぽく見えてしまうのである。

2人は2つあるベッドにそれぞれ潜り込み、明かりを消した。部屋の中は闇で包まれた。
「・・・そういえば、人間の世界にいた頃、よく明かりを消した後もお兄ちゃんと話してたっけな・・・」
アッシマーはつぶやいた。
何故だかはわからないが、アッシマーは他のなんでもお話板の仲間と違い、現実世界のことをはっきりと覚えている。
いくらラティアスを愛しているとはいえ、未練が残っている事は確かだ。
「アッシマーさん・・・さみしいの?もとの世界に・・・帰りたいの?」
ふと、ラティアスの声が聞こえた。
どこか寂しそうな、小さくて透明な声・・・

「確かに・・・さみしいよ。でも・・・僕は・・・僕はこの世界から離れたくないんだ。なぜって・・・なぜって・・・」
アッシマーは自分の意志をはっきりと言った。そして、ラティアスに自分への思いを告げようとした。
しかし、それはラティアスの言葉に遮られた。
「・・・それって・・・本当?アッシマーさんが・・・この世界から離れたくないって・・・」
ラティアスの小さな声。その声は、今のアッシマーには世界のどんな女性の声よりも美しく聞こえた。
「本当だよ!だって、僕・・・僕・・・」
アッシマーはいてもたってもいられず、掛け布団を跳ね除け、ベッドから体を起こした。



「僕、君の事が大好きだから!世界で一番、君の事が好きなんだ!」



アッシマーは思い切って、自分の思いをラティアスに告げた。
同時に、恥ずかしさと満足感と愛しさが交じり合って、アッシマーの頬を赤くした。
「・・・・・・」
それを聞いたラティアスは、黙って体をベッドから起こした。体はすこし震えている。どうやら泣いているようだ。
「・・・ラティアス?」
アッシマーの心に、急に不安が湧きだしてきた。嫌われたのかと思ったからだ。
「・・・そうだよね。僕みたいな・・・情けなくて気持ち悪い男なんて・・・嫌いだよね。
やっぱり・・・ガムさんの方が・・・君にはふさわしいよ。君を二度も助けたんだし・・・きっと君を・・・」
「勘違いしないでよ!」
急に、ラティアスが大きな声を上げた。
「私だって・・・アッシマーさんの事・・・大好きなんだから・・・
大好きだから・・・好きだって言ってくれて・・・嬉しくて泣いてるんだからぁっ!!」
ラティアスはいきなりこちらを向いたかと思うと、アッシマーの胸に飛び込んできた。
「大好き・・・アッシマーさん・・・」
ラティアスは小さな腕で、アッシマーの体を強く抱きしめる。
「・・・・・・」
アッシマーはそれに答えて、自分もまたラティアスを抱きしめようとした。
「・・・っ!」
しかし、アッシマーはラティアスを抱きしめようとする手を止めた。それでもラティアスを抱きしめようとする手を、なんとか律してラティアスの肩の上に置いた。
「・・・いや・・・僕は確かに君が好きだよ。でも・・・僕は君にふさわしい人間じゃない。
僕は・・・君を横好きしてるだけで、何一つ君のためにしていないじゃないか。
それに比べて、ガムさんなんて・・・君の命を二度も助けたんだ。
人生経験だってガムさんのほうが上だし、僕みたいなドジで自分の力じゃ何もできない男よりは・・・」
「バカな事言わないでよ!!」
パシン!!
アッシマーの言葉を打ち消し、ラティアスはアッシマーの頬をビンタした。
「告白された私が言うのも難だけど・・・なんでアッシマーさんはそんなに弱気なの!?
せっかく告白できたんだから・・・せっかく両想いになれたんだから・・・胸を張って好きだって言ってよ!
アッシマーさんがそんな自分に自信を持てない人なら・・・私、アッシマーさんなんて大嫌い!」

「ラティアス・・・」
「確かに、アッシマーさんはドジで情けないかもしれないよ・・・
でもそうじゃなかったら、アッシマーさんはアッシマーさんじゃなくなっちゃうでしょ?」
「・・・・・・・・・」
スイートルームに、少しの間沈黙が流れる。
「・・・それにね、私、見ちゃったんだ。
ガムさんがクチバの港に向かって、小さなイーブイをもう一人の女の子のブースターと一緒に運んでいたのを・・・
そのブースターとガムさん、とっても仲がよさそうだった。ガムさんは私よりも本当に大好きな人を見つけていたんだよ。きっと・・・
だから遠慮する事なんてない。私を好きでいてかまわないんだよ。アッシマーさん。
私だって、アッシマーさんのこと好きだから・・・」
ラティアスはアッシマーの顔を見つめた。
暗くてよくわからないが、その顔はほほ笑んでいるように見えた。

「・・・・・・うん、そうだよね・・・変な事考えてたよ。僕。」
アッシマーはラティアスにほほ笑み返して言う。そして・・・

「・・・ラティアス、今すぐにとは言わないけど・・・僕と結婚してくれ!
僕だって男だ。君を必ず守って見せるから・・・
この場所で・・・この世界で・・・ずっと一緒に暮らそう!」
アッシマーはもう一度、自分の想いをラティアスに伝えた。
彼の眼差しは、先程よりもずっと真剣なものだった。
「・・・うん!」
「ラティアス・・・大好きだ!他のどんな人よりも・・・ポケモンよりも・・・」
「私もだよ・・・アッシマーさん・・・ううん、アッシマー!」
アッシマーは、今度は強くラティアスを抱きしめた。

「・・・ねぇ、アッシマー。」
アッシマーの腕の中で、ラティアスが言う。
「何?」
「そろそろ・・・寝よう。もう夜遅いし・・・」
「・・・そうだね。じゃあ、おやすみ。」
「おやすみ。」
ラティアスはそう言うとアッシマーを放し、自分のベッドに戻った。
「まだ一緒に寝るのはさすがに早い、ってことか・・・」
といたいけな少年らしからぬ言葉を口にする
「・・・僕もそろそろ寝よう。明日はまたビーストと戦うことになるだろうし・・・」
アッシマーもまた、もう一度掛け布団に潜り込み、そして眠りについた。
こうして、彼と彼女のクチバの夜は更けていくのだった。

―――――――――――――――――――――――

・ここはグレンの塔の72階、
「・・・以上が、精神世界でおこった事の大体です」
「そうか・・・ご苦労、ゼロ、さがってよいぞ」
「はっ・・・」
ゴットフリートは塔に帰還したゼロからの報告で、これまでの精神世界での出来事を一通り聞いていた
「・・・」
ゴットフリートの前から下がっていくゼロをスターミーのサリットが見つめる
それに対してゼロは[こわいかお]をしていた
「(ふん・・・たかがゴットフリートの側近の分際でいきがるなよ・・・この『冥府の司祭』のゼロ様が帰ってきたからにはお前もいずれ・・・ククク)」
ゼロは72階をあとにした・・・
「・・・ゴットフリート様、いいのでしょうか?私にはあのゼロという男の考えていることが全くわかりません・・・」
「一部のうわさによると、あやつはゴットフリート様にとってかわらんとしているなど・・・本当にあのような者を信じていいものか・・・」
ゴットフリートはただ黙っていた・・・が
「かまわん・・・今は悠にこの階にたどり着いてもらうほかならぬ・・・その時は・・・お前もわかっているな?サリット?」
「はい・・・」
「ところで・・・ソアラはどうした?」
そう言えば、72階で鎖につながれていたアーマルドのソアラの姿がない・・・
「アーマルドのソアラはゴットフリート様のやり方に途中、異を唱えておりましたが、あやつもこの世界の平和を望む者・・・説得が上手くいき、現在この階の別室で[ねむる]を使っております」
「そうか・・・」
ゴットフリートは下の階を眺めていた
「悠・・・早くこの階へ来てくれ・・・ドリームメイカーが完全に内部崩壊するその前に・・・」

・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ククク・・・ゴットフリートめ、お前の天下はもう終わりだ」
ゼロは下の階でさも愉快そうに笑っている・・・
ファビオラを始めとした、ドリームメイカーの幹部達が消えていったことがさも嬉しそうだ
「ジルベール!」
ゼロの呼ぶ方向にはジルベールがとまっていた
「・・・」
ジルベールの様子がおかしい・・・ずいぶん前に悠、澪亮、ひこの3人の前に現れた時とは違い、目の焦点があっていない・・・
「ふん・・・俺が記憶を抜き取ったことも知らずに・・・こいつはゴットフリートから特別評価されていたようだからな・・・じわじわ記憶がなくなるようにほどこしてやったら、ここまで上手くいくとは思わなかったぞ・・・ハハハ」
ゼロはジルベールに近付くとまるで洗脳するかのように言い聞かせた
「いいか?ジルベール、今、下の階から目障りな俺達の敵が近付いて来ている・・・2人ともかつて人間だった奴等だ」
「人間・・・」
「そうだ、俺達ドリームメイカーの憎むべき存在だ」
「・・・」
「ジルベール、お前は記憶の大半を消去されているようだから俺が教えてやる、『人間』は普段は聖人ヅラして『平和』だの『正義』だの『愛』だの唱えちゃいるが、常に武装し、理解を超える存在には牙をむき占領を繰り返す・・・」
「そして統治が済めばまた『正義』の皮をかぶりやがる」
記憶が無くなったジルベールはゼロの言う事が正しいと全てを聞いている・・・
「殺せ!ジルベール!!お前の使命はそんな半端な偽善者どもを血祭りにあげることだ!!」
「・・・」
「そうすればゴットフリート様がお前に全てをくれるぞ!」
・・・とまっていたジルベールはやがて大きくはばたき
「了解した」
そのまま[そらをとぶ]で下の階へ向かうと
「ポケモン・・・人間・・・なんだってやってやる」
「この俺に『記憶』をくれるのなら・・・」
と言い残し、下へ降りていった・・・
「(ククク・・・ジルベールが上手く悠達と共倒れになればそれでよし、なれなくてもジルベールと戦って、とても無傷ではいられないだろう・・・)」
ゼロは1人いびつに笑うと
「さて・・・俺は・・・」
と再び上の階へ戻っていった・・・

**********************

・一方、ガム達よりも早く3連星と和解した悠達はすでに59階まで上っていたが・・・
「悠、離すなよ・・・下は見るな」
ワタッコが[そらをとぶ]で悠を爪でかかえながら飛んでいた
「ええ・・・ワタッコさんの[そらをとぶ]のがなければ僕もあのように・・・」
と下を見つめる・・・
悠とワタッコが飛んでいる下のは無数の[おとしあな]、[ヤドンスイッチ]、[どくばりスイッチ]、[ばくはスイッチ]の罠の数々・・・
さらにはポケモンの白骨体が特に目立つ・・・みんなこの罠を越えようとしてやられた者達なのか・・・
「『47階からは罠の数が特に多くなる』という、ジルベールの記憶が俺の中になければ今頃は・・・用心のために[そらをとぶ]で移動しておいて正解だった・・・」
ワタッコは悠をかかえながら60階へ続く階段へと移動していった
「ところで、47階からは敵がいませんでしたね・・・罠にさえ気をつけていれれば、ほぼ順調にすすむことができましたよ」
「むう・・・そうだな、現在はビーストを討つため、休戦状態と言っていたからな・・・真に倒すべき相手はゼロとゴットフリート、そして・・・」
ワタッコは何か思い詰めたような顔をして
「・・・ジルベールとの決着をこの手でつけなくては・・・な」
「ワタッコさん・・・」
ワタッコは忘れたわけではない。
この塔にワタッコが同行したそもそもの目的は、ジルベールと自分との決着をつけること・・・そして・・・
―(おぬしが合体したのは記憶石のジルベール・・・。おそらくコピーと思われているのが本物であろう)―
とミヤビの言葉を思い出していた。
あの日、自分が同化したのが本物ではなく偽者の・・・いや、正確には本物のジルベールの記憶そのもので・・・上には記憶を抜かれたジルベールが待ち構えている・・・
「悠・・・ここから先は」
と、ワタッコが切り出そうとした時
「わかっていますよ、ワタッコさんはジルベールの記憶を救うことを優先してください!」
「・・・」
「すまない」
ワタッコは、RXやガム達の前に初めて姿を現したあの時とはまた違った意味で悠にお礼を言った
・・・ワタッコはこの世界に来て、人に何かを頼むということはほとんどなかった。
ジルベールとの対決はワタッコがこの世界へ来ての宿命であると同時に、誰にも邪魔されたくないワタッコ自身の最初で最後のわがままなのかもしれない・・・
「そろそろ60階へ着くぞ」
「ええ、わかっています!」

――――――――――――――――――――――――――

アッシマーとラティアスがスイートルームで愛を語り合っていた頃、秋葉、ルカ☆、ベルカが寝ている部屋では・・・
「・・・ん・・・」
ルカ☆はなかなか寝付けずにいた。
部屋の空気が乾いているせいか、喉がカラカラだった。いくら自分のタイプがいわ・じめんでみずタイプが苦手とはいえ、水がないと日干しになってしまうのは同じようだ。
水でも飲もう、と思ったルカ☆はベッドから体を起こし、部屋の明かりをつけた。

自分の隣のベッドで寝ているベルカは、ぐっすりと眠っていた。明かりをつけたことにも気付いていないようだ。
しかし、その奥のベッドで寝ている・・・はずの秋葉だけは違った。
なぜか秋葉はベッドの上で座り込んでいる。どうやら起きているようだ。
「・・・秋葉さん? どうしたんですか?」
ルカ☆は不思議に思って、秋葉に声をかけてみた。
「・・・ルカ☆さんですか。こんな夜中にどうしたんですか?」
秋葉はいつもどおりの声と口調で、ルカ☆に返してくる。
「私もそれを聞こうとしてたんですよ。あ、私は喉が渇いたから水を飲もうかなって・・・」
ルカ☆はとりあえずそう答える。
「・・・・・・いや、なんでもないですよ。
私はちょっと散歩してきますから、ルカ☆さんは先に寝てていいですよ。」
そう答えた秋葉の表情は、どこかいつもと違った。
ただメガネを外しているからかもしれないが、心に何かを抱え込んだような・・・心なしかそんな感じの表情をしているように見えた。
「・・・分かりました。じゃあ・・・先におやすみなさい。」
「おやすみなさい。」
秋葉はそう言って、部屋を出た。
ルカ☆も水を飲んでから早々とベッドに戻り、そして明かりを消し、眠りについた。

――――――――――――――――――――――――――

[859] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目後半 (5)
あきはばら博士 - 2010年09月04日 (土) 02時33分

――――――――――――――――――――――――――

「ここが60階って・・・うわァ・・・」
悠が60階の周囲を見回すといきなり途方にくれた
その理由は60階全体が巨大な大迷宮になっていたからだ。ポケダンでいえばどう考えても難しさ☆はあるような迷路・・・
無数の罠があるかと思えば、いくつもの別れ道まである
ずっと下の階でガムとアッシマーが迷いかけたことがある迷路はまだ生やさしいほうと思えてくるほどの大迷宮がそこにあった・・・
「どうしよう・・・どこから進もう・・・」
悠がその場でしどろもどろしていると、ワタッコが
「ここは2手にわかれて移動したほうがいいな・・・多少危険だが今は時間がない。先に出口を見つけた方がもう1人にそこを知らせるんだ」
ワタッコが悠を爪からおろすと、2手に分かれるように悠に話し掛けた。
そうすると悠がワタッコに言う
「でも・・・連絡はどうするんですか? [ポケモンのふえ]はもうないのに・・・」
ワタッコは悠に
「それなら[なきごえ]を代用として使えばなんとかなるだろう、1フロア内ならば多分、届くはずだ」
と告げた
悠はどうしていいかわからず、しばらく複雑にいりくんだ迷路を眺めていたが・・・振り返り、ワタッコに言った
「わかりました!足踏みしていても何も進みませんからね・・・2手にわれましょう!」
と、ワタッコとは反対の方向から迷路内へと入っていった!
「了解した!・・・しかし無茶はするなよ!」
そう言い残すと、ワタッコも迷路の中へと入っていった・・・


・「それにしても・・・なんて複雑なフロアなんだ・・・」
悠は無数の罠に足元をとらわれないように気をつけながら[でんこうせっか]で迷路の中を移動していた
「ワタッコさんはもうどこまで行っただろう・・・」
改めて見ると60階には罠だけではなく、所々汚れているなど、長い間放置されていたような跡が目立った・・・
「ここ(60階)にも、フロアを守る者は始めから存在しなかったのか・・・?」
そんな事を考えながら移動していると
「?・・・あの姿は!」
悠が見る方向には・・・色違いのオオスバメがいた!
「ワタッコさん!迷路から無事抜け出せたんですね!」
悠がオオスバメの近くに駆け寄り
「どうでした?ワタッコさんの方で出口は見つかりましたか?」
と話しかけるが
「・・・」
「ワタッコさん?」
オオスバメはうつろな目をしてつぶやく
「キサマは・・・俺が誰だか知っているのか?」
「何言ってるんですか!ワタッコさん!?」
悠は一瞬、ワタッコの気がふれたのかと勘違いしそうになった・・・が
「!・・・(もしかして!?)」
悠はそのオオスバメの前から後へ飛び、間合いをつめると戦闘体勢に入った!
「あなたは・・・いや、お前は・・・ワタッコさんじゃないな!」
色違いのオオスバメは悠の問いにこう返す
「お前は知っているのか?俺のことを・・・」
「(何を言っているんだ・・・?)」
「人間・・・どこまでも愚かな生き物・・・」
悠はそのオオスバメから放たれるただならぬ殺気に威圧されながらも、その色違いのオオスバメが何者なのか、すぐにわかった
「(この人は・・・間違いない!ジルベールさんだ!)」
しかし、悠は澪亮達と行動していた時・・・つまり、この世界で初めてみんなとバラバラにされ、クチバシティで遭遇した時とはあきらかに違うジルベールを見て
「(戦うしかないのか・・・?)」
というぬきさしならないほどの状況を感じるしかなかった・・・
「お前を殺せば『記憶』がもらえる・・・」
ジルベールはまるで命じられる機械のように悠に[つばさでうつ]で襲い掛かってきた!
「いいや!そんなことはない!・・・『偽りの記憶』からジルベールさんを今、解放するんだ!」
悠はやってやる!とジルベールに対して身構える。

・「[つばさでうつ]!!」
「[きりさく]!!」
ジルベールの[つばさでうつ]と悠の[きりさく]が打ち合う!
威力は互角に見えた・・・が
「・・・うわあぁぁぁっ!!」
悠が苦しみ倒れた!
爪がひび割れ、わずかな血を流し、衝撃が腕の内部にまで響き、
「腕が・・・片腕が・・・んだ・・・なんて威力だ」
悠は[つばさでうつ]だけでここまでの破壊力を秘めているジルベールの・・・ドリームメイカー初代リーダーに見初められた者の実力にたじろいでいた・・・
「それが『痛み』か?」
ジルベールはまるで実験動物を見るような顔をしてゆっくりと近付いてくる・・・
「や・・・やられる!?」
悠はすかさず地面を殴り上げ、[いわなだれ]をジルベールに仕掛けた!!
グシャッ!!
「何だって!・・・どうして避けようとしないんだ!?」
素早さが自慢のオオスバメであるジルベールが悠の攻撃を全く避けようとさえしない・・・それどころかその攻撃さえ、まともに受けては、興味深く眺めていた
「ウオォォォ・・・!」
ジルベールは悠の[いわなだれ]で痛めたのではないか、と思われるはずの翼でなおも[つばさでうつ]を仕掛けてくる!
「な・・・なんなんだ!・・・この戦い方は!?」
悠は[つばさでうつ]でめった打ちにされながらジルベールの不可解な戦い方に戦慄を感じる
「ジルベールさん・・・あなたは!」
ジルベールは答える
「そうだ!俺のこの体は『痛み』を感じない・・・『痛み』という『記憶』さえない!」
「うわぁ!!」
そして悠へ[がむしゃら]をかけながら
「教えてくれ!『痛み』とはなんだ!?」
と悠をぶっ飛ばした!!
「くっ・・・!」
記憶が抜かれたから?偽りの記憶を吹き込まれているから?そんなことはない。
いや、むしろ『感情』という『記憶』まで失っているからこそ、その力にためらいや手加減がなくおそろしい・・・

「もっと・・・お前の『痛み』を、『苦痛』を見せてくれ!!」

ジルベールは[そらをとぶ]で中高く舞い上がった!
「や・・・やられる!?」
その時、悠はワタッコの言葉を思い出した!
―([なきごえ]を代用として使えばなんとかなるだろう)―
「(そ・・・そうだ!)」
「ワタッコさ――――ん!!!!」
とフロア全体に響きわたるような[なきごえ]をあげた!
「・・・」
・・・しかし、誰も現れず、ジルベールの影は悠へ向かって急降下せんと標準を定める!!
「[ゴッドバード]!!!」
!!!・・・ジルベールの突きが地面をえぐった!!
「・・・?」
そこに悠の姿はない!
「・・・かかったな!」
悠が地面から姿を現した!
「僕はあなたの事を知らない・・・けど」
「あなたが今刻んでいるのは最悪の記憶だ!!」
そうするとジルベールにむかってまだ使える片方の拳に力を込める!
「クラッシュを倒した戦法だ!くらえ!!」
「[時間差スカイアッパ――]!!!!」
「うおぉぉぉ・・・!」
悠の[スカイアッパー]が見事にジルベールの急所をとらえ、
「[ブレイズキック]!!!」
「うがぁぁぁぁ!!!」
そのまま[ブレイズキック]へつなぎ、ジルベールを火だるまにした!
「ハァ・・・ハァ・・・」
悠は燃えるジルベールを見て、これでよかったのか・・・と思っていた・・・が
「・・・ちがう!これは[みがわり]!?」
悠が目の前の消し炭がジルベールの[みがわり]であることに気付いたその時!
「[つばめがえし]!!」
「ぎゃぁっ!」
真上からジルベールの[つばめがえし]が悠を直撃した!
「こ・・・[こらえる]!!」
悠はジルベールの攻撃を薄皮1枚でこらえると
「(ワタッコさん・・・あなたの技を借ります!)」
悠は体勢を立て直すと
「[つるぎのまい]!!!」
戦いの踊りをおどって攻撃力を増幅させ、瞬時に[きしかいせい]の体勢へ入った!!
「む・・・?」
悠の攻撃を見るジルベールに対して
「これがバシャーモ版[飛翔侍村正]だ!!いっけぇぇぇぇ!!」
悠の[きしかいせい]の一撃を・・・なんと!ジルベールは!!
「[飛翔侍村正]・・・その技は記憶が無くとも身体で覚えている・・・」
ジルベールは自らにものすごい毒素である[どくどく]を放ち、[こんじょう]状態に入った!そして・・・悠の[きしかいせい]を[こらえる]で受け止め、[カウンター]へと入った!
「な・・・なんだって!?うわぁぁぁぁ――!!!」
ものすごい威力の[きしかいせい]なだけ、[カウンター]で返された時の威力も計り知れない!!
悠はその衝撃で60階の天井までぶっ飛ばされてしまった!!
さらにはジルベールの猛毒状態が嘘のように消えている・・・回復技[リフレッシュ]を使っているのだ!
[飛翔侍村正]はその威力ゆえ、隙も弱点も多い技・・・だが、ジルベールは[飛翔侍村正]を決めた後の薄皮1枚の猛毒状態による自滅をも[リフレッシュ]により補っていた!!
「・・・」
ひんし状態になり気絶した悠を前に、ジルベールの脳裏にゼロの言葉が浮かぶ
「(感じるか・・・ジルベール?感じるだろう)」
「う・・・う・・・」
「(敵をねじ伏せ、引きちぎるたびにそのからっぽの身体にこみあげるよろこびを・・・それがお前の感じる事ができる唯一のものだ・・・ククク)」
「ウガァァァ!!!」
ジルベールが半ば気がふれたように倒れている悠に向かって[ゴッドバード]の体勢をとった!!
「今度は・・・お前の『』を見せろ!!!」
ジルベールのくちばしが悠の急所を貫こうとした時・・・
「[つばめがえし]!!」
「がぁっ!!」
ジルベールとまったくうりふたつのオオスバメが[ゴッドバード]を[つばめがえし]で崩した!!
「だ・・・誰だ!?」
加減のあった[つばめがえし]のため、ジルベールにダメージはなかったものの、[ゴッドバード]は見事に悠のいる方向をそれた!
「・・・ジルベール・・・また会ったな」
ジルベールの目の前にはワタッコがいた!
悠の[なきごえ]を聞き取って今、やっと駆けつけることができたのだ!!

――――――――――――――――――――――――――

「はぁぁ……」
秋葉は一人、夜のクチバをさ迷っていた。電気の街で有名なクチバシティもビーストが襲来する寸前ともなれば静かに鎮まり、月のひかりしかないまっくらな街になっている。
「私は、間違っていたのでしょうか」
一人、闇夜に問いかける。
秋葉はこの世界とは何か、DMの目的とは何か、について考察をしていた。そこで会ったのが自分達を連れて来たという1人のユンゲラー、そこで彼に話を聞いた。そうして行き着いた仮説は「DMは自分達を人間で無くしてポケモンへと変えようとしている。ポケモンとさせて自分たちを戦わせることで人間としてのアイデンティティを消滅させ、半ば強制的に自分達の仲間に取り入れようとしている」こと。だから、その反抗として服を着て、戦わないことを選択した。

しかし。
彼はウソをついていた、と言っていた。

よく考えればすぐに分かるウソだった、ビーストという存在が分かった時点で説に無理が生じてしまう、彼は全員均等に戦わせて、自分だけが戦わないようにあのようなことを言っていたのだろうか。
様々なポケモン達の行動や言葉で、違うという事を目にもの見せられた。ドリームメイカーにあらぬ疑いをかけて、自分たちに助けを求めている存在に勝手に偏見を抱いていた。
「……こんな所で自己嫌悪したところで、どうしようもないですよね……」
自分の考えを信じていたことを変えるのはとても難しい、自分の心が間違っていたと認めたくないと言っている。なによりも悔しいことは、彼が信用できないことは自分自身が一番良く知っていたはずだったことだ。だからこそ、騙されていたのだろうか。
「あああ…………」
どうしようもない気持ちを闇夜に問いかける。
「……どうしよう」
ざく  と
突然、後ろに何かの気配を感じて、飛び上がって驚き振り向く。
そこには、一匹のブラッキーが闇夜に同化して立っていた。
「こんばんは、秋葉さん」
男性の声、秋葉は記憶を手繰り寄せる、ブラッキーは何匹か知っているが、声から推測すると。
「……ル、ルレン?」
「はい、お久しぶりです。 実はあなたにお願いしたいことがありまして」
そう言って、真剣な顔をしたルレンは秋葉に対して一歩近づく。
「な、なんでしょうか?」
すぐ後ろにいたということは、さっきまでの独り言を全部聞かれていたのだろうか? 最悪の展開が頭によぎる。
冷静に考えれば、独り言を聞かれていたとしても心の声は聞こえてないのだから、それだけでは何も分からないのだが、非常に恥ずかしいところを見られてしまったような気がする。自分の心臓の音がよくわかる。
一体、言いたいこととは何だろう?
「ぼ、僕と(の勝負に)付き合ってくれませんかっ!」
「は? はいぃぃぃぃ??!」

*******************

「(おちつけ、私、 おちつくんだ…… うん、大丈夫、まだ慌てる時間じゃない……)」
秋葉は落ち着いて無かった。
ルレンは返事を待っているような気がする。何か返答が無いと相手に失礼だ。
「(やめて、くろいまなざしやめて 返事を先延ばしできない)」
パニックだった。
様子がおかしい秋葉を見て、ルレンはよく聞こえてなかったのかと判断する。
「僕と勝負しませんか?」
「!」
秋葉は何かを思いつく。
「分かりました。 じゃあ、私に勝てたら、付き合ってもいいですよ」
「?」
ルレンはその返事に少し疑問を覚えたが、あのときのリベンジバトルを受けてくれたのだと受け取った。
秋葉は何も血迷ってあのようなことを言ったわけではない。1対1の勝負で、彼に勝てるという自信があったからだ。
ステアに戦わないよう仕向けられていた自分は強いという自信、ルレンよりも強いことで有名なアカリンとの戦いに勝てたという自信、そしてルレンに1度勝っているという自信。
負ける気はしなかった。

だが、それは甘かった。
ブイズの中で、リーディとアカリンの戦闘能力の高さが目立つが、どちらも一番強いとは言われたことは無い。
うっかり殺しかねない危ない戦い方から、姉から本気で戦うことを禁じられていた彼は、負けて悔しかったので、今度は手加減をする気は全くない。
ブイズの秘密兵器、ブイズ最強とこっそり呼ばれていたルレン。
秋葉はそれを知らなかった。


――――――――――――――――――――――――――

「ククク・・・」
ザキは笑いながらも、やや動揺していた
・・・少し前だったらザキのその理屈にガムとアカリンは完全に踊らされただろう・・・
しかし、ガムとアカリンはザキの悪夢を乗り越えている・・・今の2人にその理屈はなおも闘志に火をつける結果にしかならなかった・・・!
「いくぞ(よー)!」
ピッタリ息の合った2人は
[あくむ]による精神攻撃でも、理詰めでも負けたザキがおこなえる攻撃方法は・・・
「ハーッハッハ!!負けた負けた!!」
「!!!」
「ふざけてるのか!!?」
2人にを思わせる悪夢と嫌気がさすような自己愛を説いたザキのその台詞に、これからの激戦を予感していたガムとアカリンは驚き怒らずにはいられなかった
「悪夢が破られたからにはもう、俺がお前らに勝てる術(すべ)はない。ふん・・・喜べ、お前らの勝ちだ」
ザキはそう言うと[ふゆう]で2人の前から距離をおくと
「ちょっと待て!逃げる気か!?」
ガムの呼び止めに
「逃げる?俺に逃げるという言葉はない、だがお前らの手によって殺されるぐらいなら・・・」
そう言うと・・・ザキは自らの急所を
「ふん!!」
「な・・・何やってるの!?」
アカリンの見ている前でザキは自らの急所を[シャドーパンチ]で深くえぐった!!
「お・・・お前らに殺されるぐらいなら自分で命を絶った方がマシというものだ・・・」
ザキは効果抜群の[シャドーパンチ]で自害すろと、そのまま倒れこんだ
「俺が・・・ぬ前にもう1度言っておいてやる」
「ザキ・・・」
自分達をさんざん苦しめた・・・特にアカリンにとっては仇であったザキのに行く様を2人は複雑な心境で見ていた・・・
「前らの言・・・うとおり『愛情』も情のうちだ・・・だが覚えておけ・・・」

「『薄情』も情のうちだと・・・いうこと・・・を」

「・・・」
「それがある・・・限り俺は何度でもお前らの夢枕に立ってやるぞ・・・ハハ・・・ハ」
ザキがぬと、その身体はテレビの砂嵐の波のように分解され、やがて跡形も無く消滅していった・・・ゴーストタイプの『』はみんなこうなのか・・・

・強敵かに見えたザキの「お前らの手によって殺されるぐらいなら・・・」という潔い自害に消えていった跡を見て、しばらくアカリンは呆然としていた・・・
「・・・」
「アカリン?」
そのアカリンをガムが心配そうに覗き込む
「!?」
「・・・ガムくん!」
アカリンはハッとすると
「(い・・・いけない!)」
「え・・・えへっ☆」
妄想マシュリとの戦いの時から無くしていた笑顔をなんとか取り戻そうとするアカリンを見て
「・・・」
「もう・・・泣いてもいいんだよ」
「!」
「でも!私が泣いたらみんなが私のことをきらいに・・・」
「僕はアカリンのそんなところが嫌いだ」
ガムはじっとアカリンを見て答える、アカリンはこれまで本当に頑張ってきた・・・と
「!」
「アカリンが泣いても誰もアカリンを嫌いになる人なんていないよ、だから」
「本当に?本当に泣いてもきらいにならない?」
「もちろん」
「う・・・う・・・」

「うわあぁぁ―――――――!!!!」
アカリンはガムの中でこれまでの全てを洗い流すように泣いた
グロスのこと。のこと・・・ザキのこと・・・そして、マシュリのこと

・・・人はあまり他人に涙を見せてはいけない・・・だけど、人のために流せる涙は、決して恥ずかしい事じゃない・・・

アカリンがこんなに泣いたのは2年前のマシュリを失った時以来だった・・・
「・・・」
ガムはただ黙ってアカリンの全てを内包するように、受け止め、抱きしめた・・・

「ガムくん・・・」
「アカリン・・・」

・・・ガムはその日、初めてアカリンを抱いた。
アカリンの口からはさっき食べたモモンの味がした・・・

× × × × × ×

 × × × × × ×

× × × × × ×


―――――――――――――――――――――――

「はじめよう」
そう言って、ルレンはまず[だましうち]をする。前回のように道具を使ってくることを警戒しているようだ。
しかし、秋葉は今回道具を使って戦う気などないので動揺しない、尻尾をピンと真上に伸ばし、[かみなり]を使う、[かみなり]は秋葉の尻尾に向けて落雷して、その電気を体の中に残さず[充電]する。
ルレンは[くろいまなざし]で鋭く秋葉をにらみつける。
「(いまだっ!)」
秋葉はこの瞬間を逃さない、[アンコール]の構えに入り、両手を1回叩く。
だが、ルレンのわっかの模様から鈍い閃光が走り、立ちくらみを起こして、[アンコール]は失敗する。
前回の戦いにも使っていた牽制として使う弱い[あやしいひかり]、混乱にはならないが相手をひるませて攻撃のキャンセルをさせる効果を持つ。
「(読まれて……いたっ?)」
秋葉はすぐに作戦を変更する、揺らがない意思を持つ強気な攻めならば、あやしいひかりでキャンセルされないだろう、長期戦は避けたい。
「らいらい、らいっ!」
先手必勝。秋葉は[10万ボルト]で溜まった電気の一部を相手に向けて放電する。
ルレンは攻撃を受ける直前だけ[まもる]を展開することで攻撃をかわす。
すぐにルレンは自分の体から毒々しい紫の液体を搾り出し[どくどく]を使用する。
「僕の必殺技を見てくれ」
そして、それを自分の体に浴びせる。
「ええっ? ちょ」
突拍子も無いその行動に、秋葉は度肝を抜かれた。自分に[どくどく]を使うなんて何をかんが、
がえ……
「なっ、あ……れ?」
酷い吐き気に襲われて、立って居られなくなる。
「シンクロだよ」
ルレンは確かに毒に襲われているようだが、平気そうな顔を浮かべて言った。
特性:シンクロ、それは持ち主が毒や火傷や麻痺になった時に周囲の敵も同じ特殊状態にする特性、それは相手の攻撃だけでなく、ベタベタフードを食べるなどで自分から毒になっても感染する。
さらに、ブラッキーの汗は強い毒素を持つ、自分の体液の毒には、強い耐性を持つのは当たり前のことだろう。
「(……く、どうしよう、電気をうまく溜めることができない。なんとか、なんとか私を回復させて下さい……!)」
シンクロによって感染した毒は内部から蝕んでいく。
「《B・R・A(ブラッキー・リピート・アタック)》!」
そこに、ルレンの必殺技が飛んでくる。 秋葉は仕方なく、後ろに下がりながら回避をしようと試みるが。
後ろに下がることができない。彼から離れることができない!
「(く、くろいまなざしっ!?)」
気付いたときには遅かった、ルレンの[でんこうせっか]が命中する、その攻撃の衝撃で宙に飛ぶ秋葉にさらに[おいうち]が命中する、その攻撃の衝撃で宙に飛ぶ秋葉にさらに[おいうち]が命中する、その攻撃の衝撃で宙に飛ぶ秋葉にさらに[おいうち]が命中する、その攻撃の衝撃で宙に飛ぶ秋葉にさらに[おいうち]が命中する。
結局、木の幹に激突して、これ以上追って当てることが出来なくなったところで、《B・R・A》による連続攻撃は終わった。
「おお、やるなぁ」
優しげな光を帯びる秋葉を見てルレンが感心の言葉を呟いた。虫の息になった秋葉の体力が、さきほど願った[ねがいごと]の効果で回復する。しかし、あまり回復できた気になれない。
「(一撃で、一撃で倒さないと……)」
あせりを感じていた。こんな状態になっては長期戦をすることは命に関わる、中途半端な攻撃をしては防御されたり回復されるオチだろう、だから一撃で倒す大技を使うしかない。

その考えは、ルレンの思う壺だった。

あきはばら博士は、自分の知識と思考力を持ってすればどんな局面も切り抜けられると思っていた、そして自分は戦ったら強いと思い込んでいた、実際には敵前逃亡しかしていなかったというのに……。
そんなものは自信ではなく、過信だ。 その過信は、このような実力的にどうしようもない存在の前に崩される。
「……来る」
ルレンは小さくそう呟いて、[のろい]の受けの体勢に入る。
秋葉はそれまで充電して溜めていた電気を右手に集める。[かみなりパンチ]と[ばくれつパンチ]を掛け合わせ、高電圧を相手の体内で爆発させる。名付けて《スタンガンパンチ》。命中すれば、相手は確実に失神する。
「おおお!! くらえぇ!」
ルレンは動じず、秋葉の動きを見つめる。
自分にどくどくを使うアイディアはルレンのこの必殺技が元祖で、ジルベールがそのアイディアを貰う形で《強化型・飛翔侍村正》を完成させた。ルレンもまた《朱転殺》のカウンターのアイディアを貰い、この必殺技を完成させた。
何が元祖で何がリスペクトだとか考えるのは無駄なことで、3人で3つの必殺技を考えたというのが正しい表現かもしれない。この必殺技は《朱転殺》をもじり、こう呼んでいる。

「――《暗剣殺》っ!!」

[じたばた]と[からげんき]、さらに[しっぺ返し]を掛け合わせた《暗剣殺》は、体力減・状態異常・後攻発動・タイプ一致の効果で威力は何倍にも膨れ上がり、相手の決の攻撃を丸ごと飲み込み、その攻撃の威力もそのまま相手に返す。
秋葉の体は木の幹に叩き付けられて、幹が軋んだ後、動かなくなる。


秋葉にダメージを貰うことなく勝ったルレンはその後すぐに、慌てて駆けつけてきた姉のルエルスにボコボコにされることになる。「貴方、言ったそばから全く反省していないわね」とか「彼女に何かあったら責任を取らなきゃならないわよ」とか、
そういう言葉と共に、この夜の勝負は終わることになった。

――――――――――――――――――――

・「悠・・・」
ワタッコは気絶している悠をかかえ、安全な方向へ運んだ・・・
その様子を見つめながらジルベールはワタッコに叫ぶ
「キサマは・・・キサマは俺が誰だか知っているか!?」
ワタッコはふりかえると「この日をどれだけ待ったことか」という表情で、そのジルベールに対して返した!
「ああ・・・知っているとも・・・お前は俺、俺は・・・お前だ」
「何・・・?」
悠と戦っていた時はほとんど表情を変えなかったジルベールがここにきてワタッコの言葉を聞き、一気に崩れだす・・・
「俺はお前の記憶を所持している」
とワタッコは言った
「!!!」
ジルベールはその言葉に一気に大きくはばたき、今にもワタッコを殺さんとする勢いで[ゴッドバード]を仕掛けてきた!!
「俺自身、俺の記憶!!・・・俺の記憶を返せ!!」
ワタッコはジルベールの[ゴッドバード]に対し、
「こっちも・・・[ゴッドバード]!!」
自らも[ゴッドバード]で応戦した!
「ぐっ!」
「くうぅ・・・!」
[ゴッドバード]はお互いの威力を殺し、2匹ははじきとばされた!
「ジルベール・・・そんなにこの俺が憎いか?」
ワタッコは[つばめがえし]でジルベールに切りかかったが
「この世界に『ジルベール』は2体もいらない・・・!」
ジルベールもまた[つばめがえし]をくりだしてきた!
ガシイッ!!!
[つばめがえし]と[つばめがえし]はつばぜり合いのようにせりあう!!
「俺があの日・・・スバメだった時・・・『たんじょうのしま』でお前の・・・ジルベールの記憶と融合しなければ、今頃は・・・」
「ウオォォォォ!!!」
[つばめがえし]同士の威力も相殺された!
「だが、俺は負けるわけにはいかない・・・ジルベール・・・お前のために!」
「俺の・・・俺の記憶!!」
互いは[そらをとぶ]をおこない、60階の天井ぎりぎりの空中戦にもちこまれた!
オオスバメ同士の基本技の応酬は熾烈を極めた・・・!
[ゴッドバード]には[ゴットバード]が、[つばめがえし]には[つばめがえし]が、[そらをとぶ]には[そらをとぶ]が打ち合い、そして返されていく・・・
「お前を見て1つだけ思い出したことがある・・・」
「これが・・・これが[いかり]か・・・!!」
ジルベールは[いかり]をワタッコに対してあびせかける
「・・・させるか!」
ワタッコは[こうそくいどうで]回避する!
「もう1回!」
そして再び[こうそくいどう]を重ねがけした!!
「何・・・?」
「連撃[つばめがえし]!!!」
今のワタッコはポケダンで言う『三倍速』になり、1回分の攻撃でおそらく軽く4回は[つばめがえし]を繰り出すができるだろう・・・が
「[こうそくいどう]に[つばめがえし]か・・・ふん!」
ジルベールもまた[こうそくいどう]で応戦する!・・・しかも!
「なんだって!?・・・ジルベールの[こうそくいどう]は・・・よ・・・『四倍速』!?」
「連撃[つばめがえし]!!!」
「ぐあぁぁぁ!!!」
ワタッコのさらに上を行く連撃[つばめがえし]でワタッコをねじ伏せた!!
ジルベールの、とても残りHPが薄皮1枚のポケモンとは思えないほどの判断力と攻撃力にワタッコはもしや・・・と思いつつも立ち上がる
「ジルベール・・・お前を倒すにはやはりこの技でなければ駄目なようだ・・・」
と居合いの型に入った!
そして自らの身体から猛毒を含み、その[どくどく]をを自分にあびせた!!
これは!・・・[こんじょう]状態の[飛翔侍村正]の構えだ!!
「連撃[ゴッドバード]!!!」
ジルベールが[こうそくいどう]の状態からなおも連撃で攻撃を加えてくるのに対し、ワタッコは
「[こらえる]!!」
受けの体勢に入る!!ワタッコはジルベールの全ての[ゴッドバード]を全てその身に受けると・・・
「くらえ・・・[飛翔侍村正]――!!!!」
[こんじょう]状態の[カウンター]と[がむしゃら]をめったやたらにジルベールに打ち込んだ!!
「う・・・うおぉぉぉ!?」
「これで・・・どうだ!!!」
そしてそのまま[つばめがえし]につなぎジルベールをふっ飛ばした!!
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・な・・・何!?」
しかし、ワタッコは目の前の状況を見て戦意を喪失しそうになる・・・倒れないジルベールがそこにいる!
「・・・何が[飛翔侍村正]だ・・・[飛翔侍村正]はお前が俺の記憶を通じて体得したもの・・・記憶が無くとも身体で覚えている俺と記憶でしか覚えていないお前とでは違いがありすぎる・・・そうだろう?」
ジルベールもまた[飛翔侍村正]の[こらえる]を受けにまわすことにより、ワタッコの[飛翔侍村正]の威力を完全に無効化していた・・・
「う・・・うぅ・・・」
ワタッコは[飛翔侍村正]を防ぎきられたことにより、わずかなHPに猛毒状態によるダメージがまわりダウンしてしまった・・・
「・・・」
そのワタッコを見つめるジルベールの脳裏をまたゼロの言葉がよぎる
「(ククク・・・ジルベール・・・お前はまだ癒されていないはずだ・・・)」
「う・・・うぅ・・・」
ゼロの言葉が脳裏に浮かぶたびにジルベールは不安定になる・・・
「(お前は『からっぽ』だ・・・その『からっぽ』な魂を満たすには『命』が足りぬ・・一滴でも多くの血と悲鳴でお前の心を満たすのだ・・・お前はまだ足りん・・・憎め、憎め、憎め・・・殺せ、殺せ、殺せ・・・ヒヒヒ)」
「・・・」
しかし・・・
「(タッコ・・・ワタッコ・・・ワタッコ!!)」
「(う・・・あ・・・なたは?)」
ダウンしているワタッコにも誰かが語りかけていた・・・
と、同時に目の前のジルベールの動き鈍くなっていく・・・
「(頼む・・・私を・・・ジルベールをゼロの呪縛から解放してくれ・・・このままでは・・・私はもう・・・)」
ワタッコの心に語りかけてきたのは・・・目の前にいるジルベールの声・・・いや、正確にはジルベールの『心』・・・ワタッコが所持した『記憶』を通じて語りかけてくる本物のジルベールの無意識な『心』だった
「(ジルベールさん・・・?)」
「(ワタッコ・・・私はあの日・・・『たんじょうのしま』でスバメだったお前に言ったはずだ・・・私の意志をお前にたくすと・・・)」
「(・・・)」
ゼロに操られており、表面では全く伝えられなかったジルベールの心の叫びがワタッコの所持した『記憶』を通じて響く・・・
「(私の身体はもう・・・思うようにならない・・・ワタッコ・・・このままでは記憶どころか心までゼロに支配されてしまう・・・たのむ・・・ワタッコ・・・そうなる前に俺を・・・)」
「・・・」
「ジルベール・・・」
ワタッコは意を決したように戦意をとりもどすと猛毒状態を押して、起き上がった!
「ジルベール・・・お前の心の訴えでわかった・・・俺にはお前の叫びがまるで泣いているようにしか聞こえなかった・・・」
「だから・・・」
「お前のかきむしるような苦しみ・・・俺が止めなくてはならない!!」
ワタッコはジルベールに向かって叫ぶ!
「ジルベール!![飛翔侍村正]で来い!!俺にお前の技はもう通じん!!」
それに対してジルベールは言わずとも必殺の[飛翔侍村正]の構えに入っている!
「ハァ・・・ハァ・・・!!ワタッコ!!」
それに対し、ワタッコも必殺技の構えに入った!!
この状況を例えるならどう説明しよう・・・!
そう、まさに剣客同士の一対一による真剣勝負の構図となっている!!

「[飛翔侍村正]!!!」
「[飛翔侍村正]!!!」

2人の[飛翔侍村正]の[がむしゃら]が火花を散らし、羽から、くちばしからものすごい勢いでの突きや斬りが乱れ飛ぶ・・・!
「ぐあぁぁっ!!!」
やられたのはワタッコだ!!・・・[飛翔侍村正]の勝負ではあきらかにワタッコには分が悪い・・・!
ジルベールには『痛み』という『記憶』そのものがない・・・『痛み』をともなう必殺技、[飛翔侍村正]にかけるためらいや躊躇のなさでジルベールの使う[飛翔侍村正]の方がワタッコを圧倒していた!
「う・・・腕が・・・両腕が・・・」
ワタッコは地面に墜落し、飛べなくなった・・・両腕が折れたのだ・・・
「・・・終わりだ・・・飛べないオオスバメはもはや牙をもがれた狼も同然・・・」
ジルベールは倒れているワタッコに向かって[ゴッドバード]の体勢に入る!
「うう・・・ま・・・まだだ!まだいける!!」
両腕を折ったワタッコは足だけで立ち、ジルベールを迎え撃つ!
「[ゴッドバード]・・・!!!」
「[こらえる]!!!」
ジルベールの[ゴッドバード]を[こらえる]で阻止すると・・・
「な・・・何!?」
ワタッコの気迫が[飛翔侍村正]そっくりな居合いの構えに入った・・・いや、しかし、これは[飛翔侍村正]ではない!!
「[から・・・げんきッッ]!!!」
「こ・・・これは!?う・・・うぎゃあぁぁぁぁ――!!!!」
その攻撃は確実にジルベールの急所をとらえた!!!!
ジルベールは、まるで『居合い』を思わせるようなワタッコの[からげんき]のものすごいインパクトに勢いよく、ぶっとばされ
「ぎゃあっ!!」
壁に叩きつけられると・・・動けなくなってしまった・・・
「ハァ・・・ハァ・・・う・・・うぅ・・・」
ワタッコは「上手くいった」という表情でジルベールに詰め寄る
「な・・・なんだ・・・今の攻撃は?」
ジルベールはたった一撃の攻撃で虫の息になると・・・今の攻撃が不可解な様子だ・・・
「ジルベール・・・お前はこの技を知らないのか?・・・この技は・・・♀のブースターが、お前の[飛翔侍村正]をモチーフにあみだした[朱転殺]の原型だ・・・」
[朱転殺]・・・[こらえる]と[のろい]で居合いをとるアカリン起回生の奥義だ。
[飛翔侍村正]の弱点は[がむしゃら]と[カウンター]で相手出方をうかがうため、防ぎきられる場合以外にも相手の出方をうかがわなければならないことであり、自分から攻撃を仕掛ける技には向いていない・・・カウンター技の究極版ともいえる。
[飛翔侍村正]を受身の技と呼ぶならば、[朱転殺]は能動の技・・・ワタッコは自分から攻撃を仕掛ける能動技で勝負したのだ!
「それにしても・・・ジルベールの記憶で使ってみたらまさか、ここまでの威力とは・・・」
アカリンがジルベールの技を、みようみまねでアレンジしたアカリン用の必殺技でもあるこの技はもちろん原型を使うワタッコでも使える・・・
[こらえる]で相手の攻撃を防ぎ、状態異常による[からげんき]で威力を2倍に増幅させ、さらに状態異常を[こんじょう]で1.5倍に増幅させ、3倍に、さらにはオオスバメは[からげんき]と同じノーマルタイプのためさに威力は1.5倍に増え、4.5倍に・・・さらにその攻撃はジルベールの急所をとらえ、2倍に増え、9倍に・・・威力に計算するとジルベールは630もの恐ろしい威力の[からげんき]を受けた事になる・・・まさに『居合い』の型といえよう。
原型なので必殺技とは呼べないが、この戦法はオオスバメ使いならば、知らない者はいない必殺の戦法と呼べるかもしれない・・・
しかしなぜ、ジルベールがこの技を知らない?
「・・・ジルベール・・・お前は[飛翔侍村正]を『身体』で覚えていると話したな・・・[朱転殺]は♀のブースターがお前の技をみようみまねで作り出したもの・・・つまり他人に『教えた』という『記憶』までは身体に染み付いていなかったのだ・・・この技は俺しか使えなかったんだ・・・」
「む・・・無念・・・」
ジルベールはそう言い残すと動かなくなった・・・
「・・・」
ワタッコは倒れたジルベールを見ると「あいつを偽りの記憶から解放させてやってはくれまいか?」と言い残したミヤビの言葉を思い出していた・・・
「(ミヤビ・・・ゆるせ)」
ワタッコは使えなくなった翼を鋼鉄のように鋭く光らせる・・・
[はがねのつばさ]でジルベールにとどめをさす体勢に入った

・「うおおお!!!」
斬!!!!
ワタッコはジルベールの首を[はがねのつばさ]ではねとばした!!
「ぐっ・・・!」
と同時にワタッコの腕の感覚が無くなる音がした・・・もうこの翼はつかえない・・・そんな冷たい痛みが走った・・・

***********************

・気絶した悠と首の無くなったジルベールを眺めて、感覚の無くなった腕をぶらさげているワタッコは栄光とは程遠いむなしい勝利に長時間たたずんでいた・・・先ほどの激戦が恐ろしいほど静かな60階・・・
「・・・」
ワタッコが首の無くなったジルベールの亡骸に目を向けていると・・・
「[破壊の言霊]!!」
ズガアァァ!!!
突然、破壊光線が60階の壁を貫く音がした!
「誰だ!?」
ワタッコはそこに目をやった
「あんたは・・・ミヤビ!」
そこにはジルベールの同僚で、ワタッコ達にジルベールの記憶を任せたクロバットのミヤビがいた
「むう・・・おそかったか・・・」
ミヤビは首のないジルベールに目をやると、静かにそうつぶやいた
「すまない・・・ミヤビ・・・あんたとの約束を守る事ができなかった・・・」
申し訳なさそうに話し掛けるワタッコに対し、ミヤビは答える
「いや・・・おぬしが気に病むことはない・・・ジルベール殿を操っている根源がゼロだとわかった時より、こうなることは予感していた・・・ジルベール殿を安らかな眠りにつかせるため、こうするしか他なかったのでござろう?・・・顔をあげなされ」
「ジルベール殿に代わって例を言おう・・・本当によくやってくださった・・・」
労いの言葉をかけるミヤビに対してワタッコはやりきれなかった・・・
「・・・すまない」
と、もう1回謝るワタッコ
「それよりおぬしのほうこそ、そんな翼でこれからどう戦おうというのだ?」
ミヤビは両腕の感覚がないようにぶらさげているワタッコへ問い掛けた
「さあな・・・俺はこのままこの世界で最後まで戦うのも、果てるのもいいかもしれない・・・なんとかなるさ」
「そうか・・・拙者はジルベール殿の亡骸を弔うためにやってきた・・・」
ミヤビはジルベールの亡骸をかかえるとそのまま[そらをとぶ]で60階から抜けようとする
「あんたはこれからどうするんだ?」
と、ワタッコもミヤビにたずねてみた
「フッ・・・拙者、この戦いを通して『ドリームメイカー』という組織にほとほと愛想が尽きた」
「ジルベール殿の遺体を故郷に埋葬した後・・・どこか、人目がつかないところでひっそりと暮らすのも悪くござらんな・・・」
「・・・」
とミヤビが背を向けた時
「!・・・あんた!その傷は!?」
ワタッコは愕然とした!
ミヤビが振り返った背中は無数の切り傷や刺し傷でひどく爛れていたのだ・・・特にフォークで何回も突き刺されたような無数の穴が痛々しい・・
フォークに突き刺された跡でワタッコにはその傷がミュウツーのビーストがあの時・・・32階から塔の外に抜け出す時に、ミヤビが外に出すまいと必に食い止めようと戦っていたことが語らずともわかった。
この60階まで来た事はおろか、ワタッコとこうして話をしていることさえ奇跡に近いと思える・・・
「だ・・・大丈夫なのか!?」
とミヤビに近付くワタッコに対し
「哀れみはくださるな!それでは拙者があまりにみじめでござる・・・」
「・・・!」
その言葉にワタッコは足を止めた
「おぬし達の武運を祈っておる・・・もう会うこともないと思うが・・・達者でな」
ズタズタにやられた背中を痛々しそうに、ミヤビはジルベールと共に[破壊の言霊]で空けた60階の穴からヨロヨロと[そらをとぶ]で出て行った・・・
「・・・」
おそらくミヤビはもう助からない・・・ジルベールと一緒に眠りにつきたかったのか・・・ワタッコはその姿を見送る事しかできなかった・・・

――その後、クロバットと首のないオオスバメの亡骸が誰からも見つかることは最後までなく、ミヤビは自ら誰にも悟られる事無く力尽き、ひっそりと果てていった・・・ワタッコでも最後までミヤビの姿を見つけられずまた、探す気にはなれなかった・・・――


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長く頭を悩ませていたワタッコ&ジルベールの話がまとまったので、
解説をかねてガムさんのあとがきの引用をします。

○(あとがき)以前から謎が多く、長い間ほったらかされていた←(殴)ジルベールについての伏線消化とワタッコさんとの決着をつけさせるべく今回は「ワタッコさんVSジルベール」へとなるまでの軸修正した展開をアップさせて頂きました
・まず、ゼロが塔へ帰還したことにより、ゴットフリートへ精神世界でこれまであったことを(表面上だけ真面目に)報告していますが・・・ここではプリンスさんの続きであったアーマルドのソアラさんを鎖につないで拷問にかけるように脅迫(?)していたゴットフリート&サリットの展開の軸修正をさせて頂いています。
理由はもちろん、そのさらに前にあったゴットフリート&ソアラさんの展開で、それまで敵だと思っていたドリームメイカーが敵ではないかもしれない、なおかつソアラさんとゴットフリートがほぼ対等な立場で協力的な関係だった展開から一気にとんでしまうと判断したからです。そうしなければ続きが書けなかったという状況をご理解下さい・・・
そのため、あきはばら博士さんの案をとりいれ「協力的だったがやっぱり彼のやり方に不満があってまた幽閉された」のが、説得がうまくいき、ゴットフリートとソアラさんは和解(というより仲直り?)して、休んでいるという±0の展開にさせて頂きました。
ただ、サリットはゴットフリートの側近という立場にしています。
頂点に立つ者(ゴットフリート)の身の回りの世話をする配下のものもいれば役作りが楽だ・・・と思っており、なおかつ次々と幹部が倒されて、塔の中で頂点に立つ者が1人だけという状況も何だか無用心でへんだなと思ったという感じです。
ここでのゴットフリートがなぜ悠を必要としているのかについても、ちゃんと秘密があります。そこがかなりの物語の鍵として今後書いていくつもりです!

・(ジルベール)ジルベールはドリメの物語前半でいろんな登場の仕方をしており、考えればドリメ初の伏線となったキャラで、僕もどんな複線が残っていた実は考察が進まなかったり、覚えていないところが多いのです。
記憶石が禁止項目となった今、うかつに彼を忠実に再現(記憶シナリオ)することも下手をすれば「なんでもあり」の一線をいってしまいそうな恐れがあったので、ジルベールを陥れたのは全てゼロが画策した(洗脳したような)という展開1本で通しています。
しかし、ゴットフリートにとってかわらんとしているゼロならば、今の幹部が邪魔に違いないですからやりかねない展開でもありそうです(汗)

・今回「VSジルベール編」を書くにあたっていろんなところに使いまわしたセリフが所々目立ち、自分の力不足を痛感させらせます・・・1、2つ弱音を吐くと、ワタッコさん初登場&ジルベール初登場の時に伏線は残ったものの、ジルベールについての設定を何も残っていなかったためにジルベールというキャラが長期間放置されてしまい、それにいていての設定も「コピー?」ということ以外なにもわからなかったので、結果、ドリメで特に操りにくいキャラになってしまったことが否めませんでした・・・あかつき!さんのミヤビ話がなければ、考察が行き届かず断念していたかもしれません・・・orz
実際、伏線を最後まで消化しきれずに初期のCチーム(ヒメヤさん&RXさん&ガム)のVSファビオラ戦で現れたオオスバメはワタッコさんだったのかジルベールだったのか、という(本編には影響しない)事が最後まで残っています・・・これはもうドリメの謎としましょう(何)
第二部を始める時はこの問題(設定不足)も前向きに検討していきたいところですね・・・

・しかし、バトルの方はガムVSアカリンのブースター同士の対決以来の同族(オオスバメ同士)の戦いだったので、書いていてかなり楽しかったです。
記憶がない故に感情も痛みもないジルベールとそのジルベールの記憶とジルベールの心の叫びを聞き、ゼロの呪縛から解き放ち、ジルベールの心を救うために非情にジルベールの息の根を止める戦い。ジルベールの記憶(強さ)が戻る展開の場合だとワタッコさんの経験はスバメに戻ってしまう・・・という裏設定だったので、実は去年末の段階からもうジルベールの亡オチだけ考えていたのです(汗)
おそらく、ジルベールはこうなることでゼロの支配から解き放たれ、また「心」は「記憶」になってワタッコさんの中で生き続けているので、ジルベールはワタッコさんに撃たれて後悔はしていなかった・・・という感じです。
・ミヤビはこうなることを見通した上で、ワタッコさんにお礼を言っていますが、ミヤビほどのキャラならば塔の32階からビーストが出て行く時にそれを見逃すはずはないと思って、ミヤビ自身もビーストとの戦いの末、もう助からない身だった・・・とさせて頂きました(苦情受け付けます)

○(アッシマーさん)
アッシマーさん♡ラティアスの急接近&読ませていただきましたよ!
はれて両想いになれてよかったですね!そして、いつかのアッシマーさんのドリメ世界永住フラグもたって・・・Bガムとアカリンも式には呼んでくれと言っていましたよ!(^-^)
でも、恋愛構図をご自身でここまで深みのあるように書けるなんて・・・僕がBガムとアカリンの展開を書いた(書いて頂いた)時は自分1人の力ではどうにもならず、あきはばら博士さんの協力がなければ、おろかしくも一直線ゴールさせてしまおうとする始末でした(うわ・・・) アッシマーさんの構想力にはただ驚かされるばかりでした!
それに、アカリンと再開する前のBガムがラティアスを好きだったという複線(?)消化も「実はラティアスはクチバでBガム達を見ていた」というところで、違和感なく納得の展開でした・・・!本当にすごいです!
このままビーストとの戦いがどうなるのか楽しみです!続きに期待していますよ!(^-^)/

●(次回予告)次回の塔の2チームのお話は、CチームとLチームを合流させ、これまでの塔の2チームのおさらいと、塔のシナリオのラストスパートに入るために、(塔の)最終決戦のフラグ立てのようなやりとりをさせます。
今が1番、C&Lチームの肝心なところなので、最後までお任せ&お付き合いいただくようよろしくお願いします。
次回のアップ予定期は来週末までにはあげる予定でいきますので・・・m(_ _)m

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「…………ベットの中?」
うまく事情を把握できない秋葉は隣にいるルカ☆に何があったのかを尋ねてみたところ。
昨晩、埠頭で考え事をしている最中に寝てしまっていたらしいと言って、上品そうなエーフィが秋葉を運んできたと言っていた。
「――埠頭で何を考えていたの? ビーストについて?」
「……い、いえ、なんでもありませんよ……」
昨晩の戦いの怪我や体調はウソのように回復しており、昨晩の戦いは夢の中の出来事じゃないかと思えてくる。
「(夢であってほしいものですけど……)」
昨晩のバトルの前に取り交わしたあの約束の内容を思い出しながら、なんとなく自分のコートのポケットの中を確認してみる。所持金が半分になることは無くて。

一輪の花が入っていた。

「…………」
姉弟のどちらが入れたのかは、分からない。
「決めました」
「えっ?」
「私、戦おうと思います」
何のことか分からないルカ☆を気にせず、秋葉は言う。
「私に出来る限りの戦いを、背伸びはしない、やれることをやります、彼の依頼も受けることにします。そして、必ず生き抜きます。」
それは静かな決意だった。

―――――――――――――――――――――――


「うー・・・まだじんじんするよぉ・・・」
アカリンは自分の目をゴシゴシしている・・・たくさん泣いたから目も痛いのだろう
「・・・・・」
その横に座るガムはそんなアカリンの横顔を静かに眺めていた。
「・・・決めた」
ガムは何かを決心したかのように立ちあがる
「どうしたの?ガムくん?」
「僕は・・・もう人間界には帰らない」
「え・・・?」
「アカリン・・・君だけのために・・・この世界にずっとずっと留まろうと思う」
「・・・」
「アカリン・・・その時は、僕といっしょに・・・」
ガムはアカリンの前足を強くにぎった
「・・・えへっ☆」
そんな所に
「フィ〜♪」
フィが駆け寄ってきた!
「!・・・フィちゃん!」
「フィ!目が覚めたのか!!・・・よかった!」
フィはあの時、アカリンが落とした場所が幸運なことにも[ふしぎなゆか]だったため、眠っている最中にも外敵から危険にさらされることなくやり過ごすことができ、なおかつ[ふっかつそう]も十分に効き、変身によるリスクの生命の危機からも回復することができたようだ!
「フィ〜!」
フィはアカリンのモフモフの中に飛び込んだ!
「きゃっ!・・・えへっ☆フィちゃん、よかった・・・元の元気を取り戻したみたい!」
「うん・・・!」
ガムとアカリンは全快したフィを安心したように見ていると
「さあ、いこう!ガムくん!今の私たちの目的はずっと上の階の悠さんっていう人達と合流することでしょ?」
アカリンは今度こそフィをはなさないように大事に抱えながら[でんこうせっか]の移動体勢をとった!
「あ・・・ああ!そうだね!」
ガムもまた[でんこうせっか]の体勢で上の階へと一緒に走っていった!
「・・・ありがとう」
「なに?」
「ううん!なんでもない☆」
アカリンは少し照れくさそうにしつつも、その足取りには今までにないほどの迷いのない力強さがあった!
アカリンは今、やっと過去の自分と・・・2年前のマシュリをなせた弱い自分と決別することができた・・・そんな気がした

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