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[818] ヒカリストーリーEvolution 30作達成記念3部作 第3部:禁断の技術
フリッカー - 2009年05月22日 (金) 18時08分

 突然ですが、この物語はヒカストの『番外編』という位置づけで書いているため、STORY30/31/32という区分ではなく、SPECIAL STORY PART01〜03という形に修正しました。
 STORY30/31/32の番号は、この特別編終了後のSTORYに振り直します。
 混乱するかもしれませんが、ご了承ください。

 そんな訳で、30作達成記念3部作も最終章!

・オリポケ
 パーフェクト・ポリゴン
 ゲイリーが持つポリゴンが、奪ったベルリッツ・システムを使用した事によって、当初計画していた通りの本来の姿へと『進化』した姿。
 色は変わっていないが、ポリゴン2ともポリゴンZとも異なる外観をしており、カラーリングに面影は残っているが、手と足が生え、ダチョウ恐竜のような姿をしており、もはや別のポケモンとなっている。ただし、感情は持っていない。
 わざ“テクスチャー2”ととくせい『ダウンロード』をさらに発展させ、相手のポケモンが苦手とするタイプのポケモンそのものに自在に変身できるわざ“ラーニング”を持つ。

[819] SECTION07 完全なるポリゴン、誕生!
フリッカー - 2009年05月22日 (金) 18時09分

 あたし、ヒカリ! 出身はフタバタウン。
 あたしがサトシ達と合流した時にいた、あたしと瓜1つの姿を持つ女の子。その正体はシンオウ一のお金持ち、ベルリッツ家出身の女の子、プラチナ・ベルリッツ。この子が偶然あたし達の近くにいた事が、騒動の原因だった。
 こんなひょんな事から知り合ったあたしとプラチナは意気投合、一緒にプラチナの泊まる高級ホテルでご飯を食べたりした。そして一緒に製鉄牧場へ行ったその時、ゲイリー率いるプラチナを狙う黒ずくめの集団が襲ってきて、プラチナを人質に取って牧場に立てこもったの!
 そんなゲイリーの要求するものは、『Zファイル』。ベルリッツ家の人が封印していたファイルで、そこにはポケモンの秘密を暴く、悪にも転がりかねない技術が封印されているんだって! プラチナのパパ、コバルトさんはやむを得ずZファイルをゲイリーに渡したけど、ゲイリーはそれを使って、何かとんでもない事を企んでいるみたい……!


SECTION07 完全なるポリゴン、誕生!


「これって、まさか……」
「進化……!?」
 ヒカリとサトシが、声を洩らしました。
 間違いなく、進化が始まっています。ポリゴンの進化系と言えば、ポリゴン2やポリゴンZがいます。でも、目の前のポリゴンは、明らかにポリゴン2に進化するとは思えない進化をしていました。
 体から2本の手と、2本の足が伸びて、首も長く伸びていきます。シルエットも角が取れて、どんどんスマートになっていきます。そして光が収まると、ポリゴンは今まで見た事のない、全く別のポケモンになっていました。
 カラーリングにポリゴンの面影は残してはいますが、そのシルエットは全くの別物で、細長い足はしっかりと床を踏みしめています。短いけど手も生え、そして長い尻尾と少し鋭くなった顔。まるでずつきポケモン・ズガイドスなどのような、恐竜時代のポケモンのような姿になっていたんです。
「見たか!! これがポリゴンの真の姿だ!!」
 ゲイリーは高らかに叫びました。
「何なんだ、あのポケモンは……!?」
 サトシがポケモン図鑑を取り出しましたが、図鑑の画面には『NO DETA』という文字が表示され、「データなし」という言葉が流れるだけでした。
「まあ、あえて名前を付けるなら、『パーフェクト・ポリゴン』と言ったところか」
 ゲイリーはサトシの言葉に答えるように、そうつぶやきました。
「さあ、パーフェクト・ポリゴンよ!! お前の力を見せてやれ!!」
 ゲイリーが指示すると、パーフェクト・ポリゴンは風を巻いてこちらに向かって走ってきました。すぐにサトシが前に出て、応戦しました。
「ピカチュウ、“10まんボルト”!!」
「“でんじほう”!!」
 ピカチュウとパーフェクト・ポリゴンが、ほぼ同時に電撃を発射しました。その電撃は正面からぶつかり合い、そして大きな爆発を起こしました。黒い煙が、辺りの視界を遮りました。このように視界が遮られた状況では、自分の影は見えなくなりますが、当然敵の姿も見えなくなります。ですから、何も考えずに指示を出す事はできません。つまり、何か周りの状況を探る方法がない限りは、両者共うかつに動く事はできません。サトシもそれをわかっているのか、すぐには指示を出しませんでした。
「“トライアタック”!!」
 でもゲイリーは、すぐに指示を出しました。このように周りが見えない状況にも関わらず。すると、煙の中から爆発音が響いたと思うとピカチュウの悲鳴が聞こえてきました。そして煙の中から、ピカチュウが弾き飛ばされてきました。そして煙が晴れると、勝ち誇ったように立つパーフェクト・ポリゴンの姿が。あの煙の中で、攻撃できたというのでしょうか!?
「ピカチュウ!?」
「へへっ、こいつの目にはジバコイルのデータを使っていてな、あんな煙の中でも暗視ゴーグルのように相手を見つけられるのさ」
「ジバコイルのデータを……!?」
 ゲイリーの言葉に、私は驚きました。ジバコイルの目は暗視ゴーグルの役割をするそうですが、その能力をパーフェクト・ポリゴンに取り入れられている……!?
「さあ、そろそろ見せてやろうか。完全なるベルリッツ・システムを組み込んだ、パーフェクト・ポリゴンの真の力を!! “ラーニング”だ!!」
 余裕の表情を見せるゲイリーが、今まで聞いた事のないわざを指示しました。すると、パーフェクト・ポリゴンの目が一瞬光ったと思うと、パーフェクト・ポリゴンの体が、急に粘土で形を作るように、形を変え始めました。そしてその姿は、全く違うシルエットのポケモンへと変わったんです。
「あれは……ドンファン!?」
 長い鼻に太い4本の足、そして大きな耳。その姿は紛れもなく、サトシの言う通り、よろいポケモン・ドンファンだったんです。
「そんな、ドンファンに“へんしん”した……!?」
 私は思わず、声を上げてしまいました。それに驚く間もなく、ゲイリーはドンファンの姿となったパーフェクト・ポリゴンに指示を出しました。
「“だいちのちから”だ!!」
 ドンファンの姿となったパーフェクト・ポリゴンが吠えると、ピカチュウの足元の床が割れ、そこから白い光線が飛び出しました。突然の攻撃を、よけられるはずがありません。効果は抜群。ピカチュウは容赦なく跳ね飛ばされてしまいました。
「ピカチュウ!!」
「こうなったらポッチャマ、“バブルこうせん”よ!!」
 とっさにヒカリがフォローに出ました。ヒカリのポッチャマがドンファンの姿となったパーフェクト・ポリゴンの前に飛び出しました。
「“ラーニング”だ!!」
 するとゲイリーは、またあのわざを指示しました。すると、ドンファンの姿となったパーフェクト・ポリゴンの目がまた光り、また姿が変わり始めました。今度は一転して背が高くなり、体の色は緑色に変わり、木のような尻尾を持つ、2本足で立つドラゴンポケモンのような姿になりました。
「あれは、ジュカイン!?」
 その姿は、紛れもなくみつりんポケモン・ジュカインでした。その姿に変わった瞬間、ヒカリのポッチャマの“バブルこうせん”が飛んできました。でも、くさタイプのジュカインには効果は今ひとつ。決定打にはなりません。
「また変わった!? 何なのあいつ!?」
「“リーフブレード”!!」
 ヒカリが驚いた直後、ゲイリーが指示を出しました。ジュカインの姿となったパーフェクト・ポリゴンは、腕の葉を使って素早くポッチャマを切りつけました。効果は抜群。ポッチャマはたちまちヒカリの前へと弾き飛ばされてしまいました。
「ポッチャマ!?」
「続けて“タネマシンガン”!!」
 ヒカリが驚くのを尻目に、ジュカインの姿となったパーフェクト・ポリゴンは、“タネマシンガン”をこちらに発射しました! それはポケモン達だけでなく、私達も容赦なく襲いかかりました。
「わあああああっ!!」
 私達は反射的に後ろに下がりました。“タネマシンガン”の雨は容赦なく続き、それがやっと止んだのは、私達が建物の外に出てしまった時でした。
「くっ、何なんだよあのポリゴン……!」
「どうしてあんなにコロコロ姿が変わるの!?」
 サトシとヒカリは、唇を噛んでいました。そこに、ジュカインの姿から元に戻ったパーフェクト・ポリゴンとゲイリーがゆっくりと歩いてきました。
「どうだい? このパーフェクト・ポリゴンは、“ラーニング”ってわざを使えば、体のデータを書き換えて相手のポケモンに有利なタイプのポケモンにいくらでも姿をかえられるのさ。つまり、こいつは弱点がない、無敵のポケモンって事だ! それもこれも、手に入れたベルリッツ・システムのお陰さ!」
 ゲイリーは勝ち誇ったように堂々と叫びました。
 これが、ベルリッツ・システム……ポケモンの細胞に住む共生生命体『P』を思い通りに変化させる。それができるから、このような事ができるのでしょう。お爺様はこれが悪用される事を恐れていたようですが、それが現実のものになってしまった。私はベルリッツ・システムがどれほど恐ろしいものなのか、この力を目の当たりにして初めてわかりました。
「さあ、弱点がないこいつに、お前達はどう戦う?」
 ゲイリーは挑発するように、私達に向けてそう言いました。


 一体何なの、あのポリゴン?
 ゲイリーは勝手に『パーフェクト・ポリゴン』なんて名付けてるけど、あのポケモンは普通じゃない。
 聞いた事もないわざ“ラーニング”を使って、姿がコロコロ変わる。それも、相手にするポケモンに有利なタイプのポケモンになるように。奪ったZファイルを使ってああしたみたいだけど、『ベルリッツ・システム』って何? それでどんな細工をしたって言うの? もうわからない事だらけ。
「サトシー!!」
「ヒカリー!!」
 すると、後ろからタケシとケンゴの声が聞こえてきた。振り向くと、タケシとケンゴがこっちに向かってきている。周りの黒ずくめの集団はほとんど警官達に捕まっていて、あの大乱戦は終わっていたみたい。2人はゲイリーが連れているパーフェクト・ポリゴンの姿を見て、思わず足を止めた。
「何だ、あのポケモンは!?」
「あんなポケモン、見た事ないぞ!? 新種か!?」
 2人は当然、見た事のないパーフェクト・ポリゴンの姿に驚きを隠せない様子だった。
「犯人に告ぐ!! あなた達の仲間達の多くは捕まったわ!! もうあなたに勝ち目はないから、無駄な抵抗は止めなさい!!」
 すると、ジュンサーさんがたくさんの警官達を連れて、ゲイリーの前に出てそう叫んだ。それでもゲイリーは。余裕の表情を崩さないまま、ゆっくりと前に出る。
「……嫌だと言ったら? 行け!!」
 ゲイリーの一声で、パーフェクト・ポリゴンが一気に前に飛び出した。見た事のないポケモンの姿に、ジュンサーさん達も驚きを隠せなかった。その間に、パーフェクト・ポリゴンの目が光った。まさか、また“ラーニング”!?
 その予想は的中した。パーフェクト・ポリゴンの姿は、大きく羽を広げたプテラへと変わって、勢いよく空へと舞い上がった。
「“はかいこうせん”!!」
 ゲイリーが指示すると、プテラになったパーフェクト・ポリゴンは、速いスピードで飛びながら、口から“はかいこうせん”を発射! 光線は固まっていた警官達を、まとめてなぎ払った! 起きた爆発の上を、素早く飛び去るプテラになったパーフェクト・ポリゴン。
「“へんしん”した!?」
「とにかく、あいつの足を止める!! キノガッサ!!」
 すると、ケンゴがすかさずモンスターボールを投げた。出てきたのはきのこポケモン・キノガッサ。ポケモンコンテスト・ズイ大会でも使ったあのポケモン。
「“しびれごな”だ!!」
 キノガッサは頭の傘から、黄色い粉をばら撒いた。“しびれごな”は、相手を『まひ』させるわざ。動きの速いプテラに使うのは、有効な戦法。すると、プテラになったパーフェクト・ポリゴンの目がまた光って、プテラの姿からまた違う姿へと変わり始めた。また“ラーニング”!?
 変わった姿は、茶色の人型のシルエット。長い足が特徴のキックポケモン・サワムラーだった。サワムラーになったパーフェクト・ポリゴンは“しびれごな”の中にそのまま飛び込む。でも“しびれごな”は全然聞いてない。
「また変わった!?」
「まずい!! とくせい『じゅうなん』でサワムラーは『まひ』しないぞ!!」
 驚いたケンゴに、タケシが叫んだ時にはもう手遅れだった。サワムラーになったパーフェクト・ポリゴンは、あっという間にキノガッサの前に躍り出た。
「“ブレイズキック”!!」
 ゲイリーが指示すると、サワムラーになったパーフェクト・ポリゴンの足が、炎に包まれる。そしてその足で、キノガッサに強烈なキックをお見舞いした! 直撃! 効果は抜群! 炎に包まれたキノガッサは、そのままケンゴの目の前まで跳ね飛ばされた。
「キノガッサ!!」
 ケンゴが叫んでも、キノガッサは起き上がる事はなかった。完全に戦闘不能。
「相手がかくとうなら……行け、フーディン!!」
 ケンゴはキノガッサをモンスターボールに戻すと、今度はねんりきポケモン・フーディンを繰り出した。ポケモンコンテスト・ソノオ大会で使ったポケモン。
「“サイコキネシス”!!」
 フーディンが念じ始めると、サワムラーになったパーフェクト・ポリゴンが、念力に捕まえられた! 効果は抜群!
「やった!! 聞いてる!!」
「“ラーニング”だ!!」
 でもゲイリーは、また“ラーニング”の指示を出した。するとサワムラーになったパーフェクト・ポリゴンの目がまた光って、また姿が変わり始めた。体が小さくなったと思うと、その姿はかぎづめポケモン・マニューラの姿になった。マニューラになったパーフェクト・ポリゴンは、フーディンの強い念力がまるで働いてないかのようにサッと飛び出した。そうだ、あくタイプにエスパーわざは全く効かないんだったっけ! そのままフーディンに躍りかかる!
「まずい!! フーディン、“ひかりのかべ”!!」
 慌ててケンゴが指示を出した。フーディンはすぐに目の前に透明な壁を張って、マニューラになったパーフェクト・ポリゴンの攻撃に備える。
「“かわらわり”!!」
 でもゲイリーが指示したのは、そんな“ひかりのかべ”を壊せるわざだった。マニューラになったパーフェクト・ポリゴンは、その鋭いツメを使って、簡単に“ひかりのかべ”を割ってみせた。
「“あくのはどう”!!」
 そしてそのまま、“あくのはどう”を発射! 至近距離。よけられるはずがない! 効果は抜群! そのままフーディンは、仰向けに倒れた。戦闘不能。
「そんな……何なんだよ、あいつ!?」
 ケンゴはマニューラになったパーフェクト・ポリゴンを見て、動揺を隠せない様子だった。その顔は、少しだけ怯えているようにも見える。そんなケンゴの表情を見たのは、幼馴染のあたしも初めてだった。あんな得体の知れない相手の能力を見たら、当然なのかもしれないけど。
「グレッグル、“かわらわり”だ!!」
 今度はタケシのグレッグルが、マニューラになったパーフェクト・ポリゴンに向かって飛び出した。右手を振り上げて、マニューラになったパーフェクト・ポリゴンにチョップをお見舞いしようとした。でも、マニューラになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、また姿が変わり始めた。今度は背がどんどん高くなっていく。そこに、グレッグルのチョップが振り下ろされた。でもその手は、簡単に受け止められた。パーフェクト・ポリゴンの姿は、マニューラからほうようポケモン・サーナイトの姿に変わっていた。その手が、グレッグルの振り下ろそうとした手を簡単に受け止めている。
「“サイコキネシス”!!」
 サーナイトになったパーフェクト・ポリゴンは、そのまま強い念力でグレッグルを吹き飛ばした! 効果は抜群!
「グレッグル!!」
 タケシの叫び声も空しく、グレッグルはもう戦闘不能になっていた。
「言っただろう、パーフェクト・ポリゴンに弱点はないってな!! いくら戦おうがお前達に勝ち目はない!!」
 ゲイリーのそんな叫び声に合わせるように、サーナイトになったパーフェクト・ポリゴンは、また念じ始めた。すると、あたし達の体が、宙に浮いて、そのまま吹き飛ばされた! 一瞬の出来事だった。気がついた時には、あたし達は地面に叩きつけられていた。
「という訳だ、いつまでもお前達の遊びに付き合うつもりはねえ。あばよ!!」
 ゲイリーはあたし達の目の前を、サーナイトになったパーフェクト・ポリゴンと一緒に、悠々と走り去っていく。そして、誰も乗っていない1台のパトカーの中に乗り込んで、エンジンをかけた。
 逃げられちゃう! あたしは何とか痛む体を立たせたけど、その時にはもう、奪われたパトカーは動きだして、もうその場を走り去っていこうとしていた。逃げられた……

 と思ったその時。
 突然、走り去ろうとしていたパトカーの前に、大きな地響きを立てて、大きな黒い塊が落ちてきた。パトカーは慌ててよけようとしたけど、その塊から延びた手に、あっさりと捕まって、持ち上げられた。そのシルエットはまるで怪獣みたいな感じだったけど、よく見たらそれはボスゴドラ! でもボスゴドラにしては大きすぎる。小さなビルくらいの、本当に怪獣みたいな大きさしてるし、何より体が何だかメカっぽい。
「何だあれ!?」
『降臨! 満を持して!!』
 するとそのボスゴドラから、聞き慣れた声が聞こえてきた。あの声は、ロケット団のコジロウ!? すると ボスゴドラの胸の部分が開いて、中から何かがせり上がってきた。
「何だかんだの声を聞き!!」
「光の速さでやって来た!!」
「風よ!!」
「大地よ!!」
「大空よ!!」
「世界に届けよ、デンジャラス!!」
「宇宙に伝えよ、クライシス!!」
「天使か悪魔か、その名を呼べば!!」
「誰もが震える、魅惑の響き!!」
「ムサシ!!」
「コジロウ!!」
「ニャースでニャース!!」
「時代の主役は、あたし達!!」
「我ら無敵の!!」
「ロケット団!!」
 そこにいたのは、間違いなくいつものあいつら――ロケット団だった。なんでこんな時に出てきたの? ゲイリーを捕まえたって事は、ひょっとしてあたし達に味方するつもり?
「くっ、何なんだてめえらは!!」
 パトカーからいつの間にか降りていたのか、ゲイリーがボスゴドラの足元で叫んだ。
「今度こそ製鉄牧場のココドラ達をゲットしようと思って、『メカコドラ』を『メカボスゴドラ』に進化させて来たら、見た事のないポケモンがいると来たじゃない!」
「しかも、いろんなポケモンに自在に変身すると来たら、我らロケット団がゲットするしかないぜ!」
「そのポケモンをボスにプレゼントすれば……!」
「幹部昇進!! 役員就任!! いい感じーっ!!」
 ロケット団の2人と1匹は、揃ってそんな事を叫んだ。何だかあたし達に味方するんじゃなくて、パーフェクト・ポリゴンそのものを狙っているだけみたい……
「そんな訳で、そのポケモンはいただいて行くわよ!!」
 ムサシの一声に合わせて、ロケット団の2人と1匹は、すぐにボスゴドラ、もといメカボスゴドラにまた乗り込んだ。ハッチが閉まると、メカボスゴドラが動き出した。そして、持ち上げていたパトカーを強引に投げ捨てる。
『まずは“メタルクロー”なのニャ!!』
 ニャースの声がスピーカーから聞こえてきたと思うと、メカボスゴドラは、その大きな腕を振り上げて、一気に振り下ろした! ゲイリーとサーナイトになったパーフェクト・ポリゴンは慌ててかわす。紙一重。メカボスゴドラの腕が、ズシンと地面に突き刺さった。それが外れたのを確かめると、突き刺さった腕を強引に引き抜く。
『ええい、すばしっこいわね!!』
『なら次は、“アイアンテール”なのニャ!!』
 今度は尻尾を思い切り横に振る。勢いよく振られた尻尾が、横からゲイリーとサーナイトになったパーフェクト・ポリゴンに襲いかかる! これは当たる。あんまり期待している訳じゃなかったけど、ロケット団ならパーフェクト・ポリゴンを止められるかもしれないって、一瞬思っちゃった。
「くそっ、“サイコキネシス”だ!!」
 ゲイリーはすぐに指示を出した。サーナイトになったパーフェクト・ポリゴンは、“サイコキネシス”を使ってメカボスゴドラの尻尾を受け止めてみせた。
『何ぃ!?』
 ロケット団の驚いた声がスピーカーで響いた。
「そんな相手になりないなら、なってやるよ!! “ラーニング”だ!!」
 ゲイリーが指示すると、サーナイトになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、また姿が変わり始めた。人よりも高く背が大きくなると、それはよろいポケモン・バンギラスの姿になった。
「パワーにはパワーだ。“はかいこうせん”!!」
 ゲイリーが指示すると、バンギラスになったパーフェクト・ポリゴンは、口から“はかいこうせん”を発射! 光線はメカボスゴドラの首に命中! そして大きな爆発を起きると、メカボスゴドラの首がたちまち吹っ飛んだ。
『わあああああっ!!』
 スピーカーで響くロケット団の悲鳴。そして、そのままメカボスゴドラは爆発の衝撃で大きな音を立て倒れて、動かなくなった。そんなメカボスゴドラの中から、ロケット団の2人と1匹が飛び出す。
「このーっ、こうなったらポケモンバトルよ!! 行くのよ、ハブネーク!!」
「マスキッパ、お前もだ!!」
 ロケット団の2人はすぐにモンスターボールを取り出して、強く投げた。中から飛び出すハブネークとマスキッパ。でもマスキッパは相変わらず、嬉しそうにコジロウの頭に噛みついたけど。
「ハブネーク、“ポイズンテール”!!」
「マスキッパ、“タネマシンガン”!!」
 ハブネークとマスキッパが、指示を聞いてバンギラスになったパーフェクト・ポリゴンに向かって飛び出した。
「へっ、こんな相手じゃ“ラーニング”を使うまでもないな。“いわなだれ”!!」
 ゲイリーは余裕を見せて指示を出した。バンギラスになったパーフェクト・ポリゴンが吠えると、バンギラスになったパーフェクト・ポリゴンの上からたくさんの岩が雪崩のように落ちてきた! “いわなだれ”はハブネークとマスキッパの2匹をまとめて押し流して、ロケット団までも巻き込んだ。
「“はかいこうせん”!!」
 続けてゲイリーが指示を出すと、バンギラスになったパーフェクト・ポリゴンは、もう一度“はかいこうせん”を、ロケット団に向けて発射! 光線は真っ直ぐ動けないロケット団に向けて吸い込まれていった。そして爆発!
「うっそだあああああっ!!」
 そんな叫び声を響かせながら、ロケット団はあたし達にやられた時と同じように、空の彼方へと消えていった。
「へっ、口はでかくても中身は大した事のねえ奴だったな」
 ゲイリーがそうつぶやくと、パーフェクト・ポリゴンはバンギラスの姿から元の姿に戻った。
 やっぱりあいつは、ロケット団で相手にできるような奴じゃない……

 * * *

 目の前で思う存分披露された、パーフェクト・ポリゴンの力。
 Zファイルに封印されたベルリッツ・システムの力が、これだけの力を与えるなんて……彼はこの力を、どんな悪事に利用しようとしているんでしょうか。それが何なのかはわかりません。ただ、これが悪事に利用されてしまえば、恐ろしい事態が待っている事だけは、理解できました。
 私の一族が生み出し、その手で封印した技術が、今目の前で悪事に利用されようとしている。それだけは止めなければなりません。一族の人間として。そんな思いが、私の中で強くなっていきました。
 私はロケット団が空へ消えていってすぐに、前へと飛び出しました。プラチナ、と私を止めるヒカリの声が聞こえましたが、それには構っていられません。
「ポッチャマ!!」
 私が呼ぶと、ポッチャマがすぐに私の横から飛び出しました。
「“みずのはどう”!!」
 向こうはまだこちらに気付いていません。この隙なら……! ポッチャマは“みずのはどう”をパーフェクト・ポリゴン目がけて発射しました。でもその瞬間を、ゲイリーに気付かれてしまいました。
「後ろだ!! かわせ!!」
 ゲイリーのとっさの指示で、パーフェクト・ポリゴンは“みずのはどう”をジャンプしてかわしました。そして反転してこちらに体を向けて着地。
「誰かと思えばお前か、プラチナ・ベルリッツ」
「Zファイルの技術を、あなたに悪用させはしません!! ベルリッツ家の名に賭けて!!」
 私はこちらに鋭い視線を突き刺すゲイリーに、はっきりとそう叫びました。
「ポッチャマ!!」
 私が叫ぶと、ポッチャマは真っ直ぐパーフェクト・ポリゴンに向かって飛び出しました。
「名に賭けて……か。“ラーニング”!!」
 ゲイリーは少しだけ笑みを見せると、また“ラーニング”の指示を出しました。するとパーフェクト・ポリゴンの目が光り、姿が変わり始めました。人に近いシルエットになって変わった姿は、でんげきポケモン・エレブーでした。
「“かみなりパンチ”!!」
 ゲイリーが指示すると、エレブーの姿となったパーフェクト・ポリゴンの拳に電気が走りました。その拳を、向かってきたポッチャマに叩き込みました。直撃。そして効果抜群。ポッチャマはたちまち弾き飛ばされてしまいました。
「ポッチャマ!!」
「“ほうでん”!!」
 私が叫ぶ間もなく、ゲイリーは次の指示を出しました。エレブーの姿となったパーフェクト・ポリゴンが放った電撃は、ポッチャマだけでなく、私にも襲いかかってきました。
「きゃあああああっ!!」
 私の体に電撃が走り、体の力が抜けていきました。そのまま私の体はその場に崩れ落ちました。
「ベルリッツ家の名に賭けて悪用させないだと? 笑っちまうぜ。お前達が表に出さずに封印した技術を、俺は『有効に』利用してやろうと思っているだけなのにな」
 せせら笑うゲイリーとエレブーの姿となったパーフェクト・ポリゴンの前には、倒れて動かなくなったポッチャマの姿が見えました。完全に戦闘不能になっています。
「ま、まだです……私は……あなたを、止めてみせます!!」
 私は電気でしびれて力が入らない体にむち打って、その場から立ち上がり、出せる限りの声で叫びました。そして、もう1つのモンスターボールを取り出しました。
 相手がこれだけ強い相手でも、あきらめずに何か行動を起こしていけば……!


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[820] FINAL SECTION ヒカリ&プラチナ! 最後の戦い!
フリッカー - 2009年05月26日 (火) 19時08分

 あたしはすぐに、飛び出したプラチナの後を追いかけた。
 プラチナは、自分の一族が作ったものが悪用された責任を償いたいと思っているみたい。その証拠に、瞳には強い意志が宿っている。でも、あんなポケモン相手に1人で戦うなんて無茶。それはやっぱり現実になった。プラチナはエレブーになったパーフェクト・ポリゴンの“ほうでん”を、ポッチャマと一緒にもろに受けちゃった。その一撃で、ポッチャマは戦闘不能。
「ま、まだです……私は……あなたを、止めてみせます!!」
 それでもプラチナは、よろよろとだけど立ち上がった。そして、もう1個のモンスターボールを取り出した。
「ポニータ!!」
 プラチナが繰り出したのはポニータ。でもそれを見たエレブーになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、また姿が変わり始めた。今度は背が低くなって丸い体へと変わっていく。そして変わったポケモンは、丸い岩の体を持つ、メガトンポケモン・ゴローニャだった。
「“ストーンエッジ”!!」
 ゲイリーが指示すると、ゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンは、尖った岩の雨を、向かってくるポニータに向けて発射! 岩の雨は容赦なくポニータに襲いかかった! 効果は抜群! ポニータはたちまち逆方向に吹っ飛ばされる。プラチナの目の前で倒れたポニータは、もう戦闘不能になっていた。
「そんな……!?」
 プラチナは驚きを隠せなかった。確か、“ストーンエッジ”は急所に当たりやすいわざ。それが決まっちゃって、ポニータは一撃で倒されちゃったんだ……!
「さあ、覚悟しな!! “ころがる”!!」
 すると、愕然として動けないプラチナに、ゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンが、その体を転がせて、プラチナに向かってきた! 危ない!


FINAL SECTION ヒカリ&プラチナ! 最後の戦い!


「マンムー、“とっしん”!!」
 パワーにはパワーで対抗するしかない。そう考えたあたしは、自然とマンムーを繰り出してそう呼んでいた。飛び出したマンムーは、その大きな体をゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンと、プラチナの間に割って入らせた。マンムーの体は、ゴローニャの体を簡単に跳ね飛ばした。
「プラチナ!!」
 あたしはすぐに、サトシと一緒にプラチナの側に駆け付けた。よろよろと立っているプラチナの体を、支えてあげた。
「ごめんなさい、ヒカリ……」
「あんな奴に1人で戦うなんて無茶よ!!」
「でも、私はやらなければならないのです……! ミミロップ……!!」
 プラチナはすぐにもう1個のモンスターボールを取り出して、スイッチを押した。すると、中からミミロップが現れた。
「だから2人でやるってか? 俺はいいぜ、2人でも、3人がかりでもな!!」
 あたしがプラチナに言った言葉に合わせるように、ゲイリーがあたし達を挑発した。
「何!?」
「そんな事!! マンムー、“こおりのつぶて”!!」
「ミミロップ、“きあいだま”!!」
 あたしはその言葉を聞いてムッときた。そして自然とマンムーに指示を出していた。マンムーはすぐに“こおりのつぶて”を発射! 続けてミミロップも“きあいだま”を発射した。当たれば効果は抜群。でもゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンは、その2つをスッとかわしてみせた。
「ハヤシガメ、“エナジーボール”だ!!」
 サトシも続けてモンスターボールを投げる。出てきたのは、ハヤシガメ。ハヤシガメはゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンに向けて、“エナジーボール”を発射! “こおりのつぶて”をよけた直後のゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンは、動きが取れない。当たる! あたしは確信した。でもその直前に、ゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、また姿が変わり始めた。神社にある鐘のようなシルエットになって浮かび上がったその姿は、どうたくポケモン・ドータクンだった。そこに“エナジーボール”が直撃するけど、効果は今ひとつ。鋼のボディに空しく弾かれるだけだった。
「また変わった!!」
「“サイコキネシス”!!」
 隙を見てゲイリーが指示を出した。ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンが念じ始めると、急にマンムーの体が宙に浮かび始めた。驚いて足をじたばたさせるマンムーだけど、どうしようもない。そしてそのまま、念力で勢いよくゴローニャになったパーフェクト・ポリゴンの周りを振り回され始めた。
「マンムー!!」
「そのまま奴らに叩きつけてしまえ!!」
 あたしが叫ぶのもよそに、ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンは念力で振り回したマンムーをそのままハンマーのようにこっちに振り下ろしてきた! あんなものに押しつぶされたら、ひとたまりもない。あたし達は、反射的にその場から離れる。でも、ハヤシガメだけは足の遅さがネックになって、離れる事ができなかった。ハヤシガメはたちまち、マンムーの体の下敷きになった。叩きつけられた時の凄まじい衝撃が、こっちにも伝わってくる。あれをまともに受けていたら……と考えると、ゾッとする。そのまま、マンムーの体が念力でまた持ち上げられる。その下には、下敷きになって倒れているハヤシガメの姿が。ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンはまだ、マンムーを振り回そうとしている。これ以上そんな事されたらひとたまりもない。
「マンムー、戻って!!」
 あたしは慌ててモンスターボールにマンムーを戻した。
「へっ、デカブツなのがアダになったな」
 ゲイリーは得意気な顔をしている。マンムーのパワーに頼ろうとしても、こんな風にされるんじゃ、こっちが危ない目に遭いかねない……!
「“ジャイロボール”!!」
 すると、すぐにゲイリーが指示を出した。ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンは、その体を横回転させながら、真っ直ぐ向かってきた! その先にいるのは、プラチナのミミロップ!
 気付いた時にはもう手遅れだった。ミミロップはドータクンになったパーフェクト・ポリゴンの大きな体の直撃をもろに受けて、弾き飛ばされた。
「ミミロップ!!」
 プラチナの声を聞いて、ミミロップは何とか立ち上がった。でもそこにすかさず、“サイコキネシス”で攻撃するドータクン。また投げ飛ばされるミミロップ。ミミロップは反撃する隙がない。このままじゃ……!
「とどめを刺せ!! “ジャイロボール”!!」
 ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンがまた、“ジャイロボール”でミミロップに向かっていった! 消耗しているミミロップは、それをよけられる体力はもうなさそう……!
「ミミロップ……!!」
 プラチナがミミロップに何か指示を出したけど、“ジャイロボール”が直撃した音が、それを遮った。プラチナの前で倒れこんだミミロップは、完全に戦闘不能になっていた。これでプラチナの手持ちは全部……
「……これで前の手持ちは全部やられた。お前の負けだ」
 堂々とプラチナを指差して、ゲイリーは言った。
「……いいえ」
 でもなぜか、プラチナは首を横に振った。
「まだ、勝負は終わっていません!!」
 プラチナがそう叫んだ瞬間、ミミロップの体から、白い光の塊が出てきた。その光はミミロップの体から離れると、近くで倒れていたプラチナのポッチャマに向かっていった。それがプラチナのポッチャマに吸い込まれると、プラチナのポッチャマの傷は完全になくなって、そのままプラチナのポッチャマは力強く立ち上がった。
「な……!?」
 これにはさすがのゲイリーも驚いた。
「あれは“いやしのねがい”か……!!」
 それに続けて、タケシが声を上げた。
「“いやしのねがい”?」
「自分が倒れる代わりに、味方のポケモン1匹の体力を回復させるわざだ。ミミロップは、倒れる直前にあのわざを使ったんだ」
 サトシの疑問に、タケシが答える。
 その“いやしのねがい”で回復したプラチナのポッチャマは、すぐにドータクンになったパーフェクト・ポリゴンの前に出る。でも、いくら回復したからといって、パーフェクト・ポリゴンを倒す決定的な方法にはならない。あいつが“ラーニング”で姿をコロコロ変え続ける限り……
「そうか、“いやしのねがい”か……だが、それを使った所でパーフェクト・ポリゴンを倒す事はできないさ。こっちはお前のポケモンに合わせて姿を変えればいいだけなんだからな」
 ゲイリーも同じ事を言った。それを聞いたプラチナは、唇を噛む事しかできなかった。
「こいつが量産された暁には、簡単に人が入手でき、個体ごとの性能差もなく、かつ弱点も存在しない、人にとって理想のポケモンになる。そこんじょそこらの『不完全なポケモン』なんか、用なしになる!」
 堂々としゃべり続けるゲイリー。そして、ドータクンになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、さっきも使ったエレブーの姿になった。
 何か、あいつの“ラーニング”に対抗する方法を考えないと、こっちに勝ち目はない……向こうはこっちが出したポケモンに有利なタイプのポケモンになる。それを破るためには……




 そうだ! それなら……!




「確かにそうかもしれない。でも、本当にそうなの?」
 あたしはそうゲイリーに言い返した。それを聞いたゲイリーは、何!? と言葉を返した。
「『完璧な人間なんて、どこにもいない。どんな人だって失敗はするし、届かない思いだってある』って、あたし言われた事があるの。それはポケモンだって同じだと思う。ポケモンも人も、いろんな個性があるし、悪い所だって、いっぱいあるわ。でもそれがあるから、強くなれるんじゃないの!!」
 あたしは前にタケシに言われた言葉を借りて、はっきりとゲイリーにそう言い放った。そして、モンスターボールを1個取り出した。
「だから何だって言うんだ」
「あんたが改造したそのポケモンなんて、本当に強いポケモンなんかじゃない……それをやったあんたも、最低の人間って事!! エテボース!!」
 あたしは取り出したモンスターボールを、思い切り投げた。その中から、エテボースが飛び出した。
「それを言うなら、実際にこいつを倒してからにするんだな!!」
 ゲイリーが少し怒った様子で叫ぶと、エレブーになったパーフェクト・ポリゴンの目が光って、また姿が変わり始める。今度は牧場にいるポケモン、ボスゴドラになった。でもそれは、あたしが予想したタイプのポケモンだった。ボスゴドラになったパーフェクト・ポリゴンは、真っ直ぐエテボースに向かっていった!
「何か、手があるのですか?」
 不安そうにプラチナが聞いた。でもあたしは、いつもの言葉で答えを返した。
「ダイジョウブ!! エテボース、“きあいパンチ”!!」
 そしてあたしは指示を出した。エテボースはサッと前に飛び出すと、尻尾の拳に力を込めた!
「な!?」
 ゲイリーが気付いた時にはもう手遅れだった。エテボースは向かってくるボスゴドラに、パンチを叩き込んだ! 直撃! 効果は抜群! ボスゴドラになったパーフェクト・ポリゴンはたちまち跳ね飛ばされたと思うと、元の姿になって倒れこんだ。それを見たみんなが、声を上げた。
「役割破壊……その手がありましたか!!」
 特にプラチナは、そんな事を言っていた。
 よく考えてみれば、答えは簡単な事だった。向こうがこっちの苦手なタイプに変わるなら、それに有利なわざをこっちが使えばいいだけ。どうやらそれを『役割破壊』っていうみたいだけど。ノーマルタイプのエテボースを出せば、向こうはいわかはがねのポケモンに変わるはず、と思って、あたしはエテボースを出した。だって、エテボースはどっちにも有効なかくとうタイプの“きあいパンチ”を覚えているから。
「くそっ、はめやがって!!」
 ゲイリーが声を上げると、またパーフェクト・ポリゴンが向かってくる。
「サトシ!!」
 あたしはすぐにサトシに声をかけた。エテボース以外に苦手とするタイプに有利な強いわざを持っているポケモンは、あたしのポケモンにはいない。それは、サトシが持っている。だからあたしは声をかけた。
「ああ!! グライオン、君に決めた!!」
 サトシはすぐに、グライオンを出した。あたしの思った通りのポケモンを出してくれた。
 それを見たパーフェクト・ポリゴンの姿がまた変わり始める。今度は丸い体へとなっていく。変わったポケモンは、がんめんポケモン・オニゴーリだった。これも予想通り!
「“れいとうビーム”!!」
「かわして“ほのおのキバ”!!」
 オニゴーリになったパーフェクト・ポリゴンは、“れいとうビーム”を発射する。でもグライオンはそれをうまくかわした。そしてそのキバから赤い炎が出たと思うと、素早くオニゴーリに飛び付いて、燃えるキバで噛み付いた! 効果は抜群!
「何だと!?」
「続けて“はがねのつばさ”!!」
 さらにグライオンは一旦オニゴーリから離れて距離を取ると、今度は“はがねのつばさ”でオニゴーリを切り裂いた! 効果は抜群! 2回も効果抜群の攻撃を受けたパーフェクト・ポリゴンは、また元の姿に戻る。
「くそっ、それならこっちにだってどのような相手に対抗できる奴になってやる!!」
 ゲイリーが叫ぶと、パーフェクト・ポリゴンの姿が変わり始める。今度はマッハポケモン・ガブリアス。強力なドラゴンタイプのポケモンだった。さすがに向こうもさっきまでの戦法に応戦してくる……
「ポッチャマ、“ふぶき”!!」
 でもその時、プラチナが指示を出した。プラチナのポッチャマがすぐに飛び出して、“ふぶき”を発射! “ふぶき”は容赦なくガブリアスになったパーフェクト・ポリゴンを飲み込んだ! また弾き飛ばされたパーフェクト・ポリゴンは、あっという間に元の姿に戻った。
「ドラゴンタイプには、こおりタイプが有効ですよ」
 あたしの横で、プラチナがほほ笑んだ。そうだ、ドラゴンタイプにはこおりタイプが有効だった。プラチナにフォローされちゃった。あたしはありがとう、とこっちも笑顔を返した。そして改めて、ゲイリーに顔を向ける。
「これでわかったでしょ? 完璧なポケモンなんて、ウソなんだって」
「くそっ、ガキのくせに調子に乗りやがって!! “トライアタック”!!」
 あたしの言葉を聞いたゲイリーは、カッとなってパーフェクト・ポリゴンに指示を出した。でも、パーフェクト・ポリゴンはかなり消耗している。これなら、いける!
「ポッチャマ、“がまん”!!」
 ポッチャマはすぐに前に飛び出して、攻撃をこらえる態勢になった。そこに、“トライアタック”が飛んできた。ポッチャマはそれを体で受け止めた。押し出されそうになるのを、足を踏みしめて耐え続ける。そしてそのまま、ポッチャマは“トライアタック”を倍返し! 跳ね返って戻ってきた“トライアタック”の直撃を、パーフェクト・ポリゴンはもろに受けた。
「ヒカリ、行きましょう!」
 プラチナが、あたしに声をかけた。見ると、プラチナのポッチャマが、あたしのポッチャマの横に並んで身構えている。
「ええ!」
 あたしははっきりとうなずいた。
「行くわよ、ポッチャマ!!」
「行け、ポッチャマ!!」
「ポチャッ!!」
 あたしの指示が、プラチナの指示と重なった。そして、2匹のポッチャマの声も合わさった。
「まずはあたしから!!」
「わかりました!!」
「ポッチャマ、“うずしお”!!」
 まずはあたしが指示を出す。あたしのポッチャマは、“うずしお”を作り出して、それをパーフェクト・ポリゴン目掛けて投げつけた! パーフェクト・ポリゴンが気付いた時にはもう手遅れ。パーフェクト・ポリゴンは、たちまち水の渦に飲み込まれて、身動きが取れなくなる。
「今よ、プラチナ!!」
「ハイ! ポッチャマ、“ふぶき”!!」
 続けてプラチナの番。プラチナのポッチャマが、渦に飲み込まれたパーフェクト・ポリゴンに向けて“ふぶき”を発射! パーフェクト・ポリゴンを閉じ込めていた水の渦が、一気に凍りつき始める。そして、水の渦はパーフェクト・ポリゴンもろとも完全に凍りついて、パーフェクト・ポリゴンを閉じ込める。
「行くよ!!」
「ハイ!!」
 あたしとプラチナは、そう声をかける。そして、2匹のポッチャマが、横に並んで身構えた。
「ポッチャマ、最大パワーで……!!」
 あたし達は、声を合わせて指示した。

「“バブルこうせん”!!」
「“みずのはどう”!!」
 2匹のポッチャマは、一斉に氷漬けになったパーフェクト・ポリゴンに攻撃した。あたしのポッチャマは“バブルこうせん”、プラチナのポッチャマは“みずのはどう”で。
 2匹の攻撃は、1つになって氷を砕いて、中のパーフェクト・ポリゴンに直撃! そして、最後には大きな爆発を起こした。氷の粒が辺りに降り注いだけど、パーフェクト・ポリゴンの姿は、完全になくなっていた。
「バカな……データが完全に破壊されてしまったのか……!?」
 ゲイリーは、動揺してそうつぶやいた。そういえば、ポリゴンの体はデータでできている。それがさっきの攻撃で、消滅したんだ。
「やったあ!! 勝ったわ!!」
「ハイ!! ヒカリのお陰です!!」
 あたしとプラチナは、思わず一緒にハイタッチした。2匹のポッチャマも、あたし達の真似をするように一緒にハイタッチした。
「ちっ……よくも俺が望んだポリゴンの完全体を!!」
 するとゲイリーは怒って、1個のモンスターボールを取り出した。そうだ、ゲイリーにはまだあのサンダースがいる、喜ぶのはまだ……!
「ポッチャマ!!」
 その時、叫んだのはプラチナだった。プラチナのポッチャマはすぐに、モンスターボールを投げようとするゲイリーの手に向けて、“みずのはどう”を発射! 今まさに投げられようとしていたモンスターボールに直撃して、モンスターボールはゲイリーの手から弾き飛ばされた。地面に落ちたモンスターボールは、よく見るとスイッチが壊れている。ここを壊されたら、モンスターボールからポケモンを出す事はできなくなる。
「……これで、あなたの負けです。降参してください」
 そのプラチナの言葉を聞いて、ゲイリーは唇を噛むしかなかった。

 * * *

 こうして、事件は無事に解決した。
 ゲイリーは警察に御用となって、Zファイルも無事にコバルトさんの許に戻ってきた。これにて一件落着。
「いやあ、みんな。すまなかったね、私の娘の事でここまで迷惑をかけてしまって……」
 プラチナの横に立つコバルトさんが、あたしにそう言った。
「いいえ。あたしはただ、プラチナを助けたかっただけです」
「そうか……君達のような勇敢なトレーナーを、私は立派に思うよ」
 そう言われると、あたし達はちょっと照れちゃう。あたしはトレーナーとして当たり前の事をしただけです、とちょっぴり顔を赤くしながら言った。
「それにしてもお父様、あのZファイルは……」
 プラチナがコバルトさんに何か聞こうとしたけど、コバルトさんは最後まで聞く前に口を開いた。
「ああ、あのファイルに入ったデータか。あれはまた今までのように封印するつもりだよ」
 コバルトさんは一旦そこで間をおいて、改めてプラチナに体を向けると、また話し始めた。
「我々研究者は、日々いろいろな事を研究して、人の明日の生活に活かせるようにするために、働いているんだ。でも、それでも生まれる成果が必ず人のためになるとは限らない。時には人を不幸にするものができてしまう事もあるんだ。父さんはそれを恐れて、あの技術を封印したんだ。本当にいい研究者は、人のためになるものを生み出さなきゃだめだって考えてね。プラチナも研究者になろうとしているなら、その心構えを忘れないで欲しいんだ。Zファイルは、それを戒めるためのものでもあるんだから」
「……ハイ!」
 コバルトさんの言葉に、プラチナははっきりと答えた。
 やっぱりどんな研究も、いい事に活かして欲しいね。あたしは思った。

 * * *

 次の日。
 この日は、私がここを出発しようとしていた日であり、ヒカリ達がロクショウシティを出発する日でもありした。
 私はヒカリ達が出発する前に挨拶をしてこようと、彼女達のいるポケモンセンターに向かいました。
 ポニータの背中から降りて、正面玄関から中に入ると、そのロビーにはヒカリ達の姿がありました。既に荷物をまとめていて、これから出発するようです。
「あっ、プラチナ!」
 すると、ヒカリが真っ先に私の姿に気付き、こちらに駆け寄ってきました。
「今日でもう、こちらを出発するんでしたよね」
「ええ。サトシのジム戦がある、キッサキシティに行くの。もちろん、あたしもコンテストでがんばるから!」
「そうでしたか……」
 見ると、私のポッチャマも、ヒカリのポッチャマといろいろやり取りをしているように見えました。私のポッチャマは少し寂しそうにしているようです。
 思えば、あの偶然の出会いから、あっという間でした。私は旅の中でいろんな人と出会ってきましたが、相手がそっくりさんという事もあってか、これだけ印象に残った人との出会いは初めてでした。なので、いざ別れるとなると、少し寂しい気もします。旅で別れるのが寂しいと思ったのも、初めての事でした。
「そうだ!! プラチナ、1つあげたいものがあるの」
 するとヒカリが思い出したように、さっきまで座っていたロビーの椅子に一旦戻ると、何やら小さな箱を持ってきて、あたしに差し出しました。
「これ、あたしが作ったポフィンなの」
「ポフィン……?」
 その名前は、私にとって初めて聞くものでした。
「ポケモンのお菓子よ。あたしが作ったの。味はプラチナのポケモン達に合うかどうかはわからないけど、食べてみてね!」
 なるほど、ポケモンのお菓子ですか。ヒカリはそれを作る事もできるんですね。私は特に、料理をした事はあまりありませんから、こういうものがとても新鮮なものに感じました。
「ありがとう」
 私はそのポフィンが入った箱を、そっと受け取りました。そして、私がふと思った事を、私は聞いてみました。
「ヒカリ」
「何?」
「また……会えますよね?」
「会えるわよ! 旅をしていれば、いつかきっと!」
 ヒカリは私に、笑顔で言葉を返してくれました。
「そうですね……」
 私はそれを聞いて、自然と笑顔が浮かびました。
 別れというものは、寂しいものじゃないんですね。私の不安が、自然と晴れていきました。

「じゃあなー!」
「今度はヒカリと間違われないようになー!」
「元気でねー!!」
 私がポニータに乗って出発すると、みんなは手を振って私を見送ってくれました。その暖かい声が、今までで聞いた中で、一番心地いいものに感じました。
 私は後ろを振り向くと、みんなと同じように手を振って、ヒカリに一番言いたかった事を言いました。
「ヒカリ、ありがとうー!」

 フタバタウンのヒカリ。私と顔も服装もそっくりな人。そんな人と、私は偶然知り合いになれた。そして、事件に巻き込まれながらも、一緒に力を合わせて戦った。これは旅の中で、一番の思い出になりそうです。

 ヒカリ、私はあなたの事を、ずっと忘れません。
 また、会えるといいですね。

 ヒカリがくれたポフィンをポッチャマにあげながら、私はそう思っていました。
 このポフィンの味は、どうやらポッチャマの口に合っているようです。ポッチャマはおいしそうに、ポフィンを頬張っていました。

 * * *

 プラチナを見送って、あたし達も出発する事にした。
 出発する前、あたし達はケンゴとやり取りをしていた。ケンゴはやっぱり、違う町に行くみたい。
「ケンゴは、これからどこに行くんだ?」
「ああ、もうすぐコンテストがあるみたいだから……」
「えっ、コンテスト!? それって、どこでやるの?」
 コンテスト。その言葉をあたしは聞き逃さなかった。あたしはコンテストがどこで開かれるのか、聞かずにはいられなかった。
「えっと、名前は確か……あれ? 何だっけ……? ど忘れしちゃった……」
 でもケンゴはなぜか町の名前を思い出せないみたいで、すぐに笑ってごまかした。
「ちょっとケンゴ! 町の名前忘れるなんて、ダイジョウブなの?」
「ど、ど忘れしただけだよ。少なくとも、ここから近い所にある町で開かれるのは確かだよ。もしヒカリも出るんだったら、ボクは絶対に負けないからね! 今回は自信があるからね」
「出るんだったら受けて立つわ! あたしだって、次で優勝したらグランドフェスティバルに出られるんだから!」

 * * *

 そんなやり取りをした後、あたし達はケンゴと別れて、出発した。
 それにしても、このロクショウシティでプラチナと会えた事は、とても楽しかった。
 世の中には自分と同じ顔を持つ人が、3人いるって言うけど、そんな人に巡り合えるなんて、ひょっとしたら奇跡なのかもしれない。
 顔も服装もそっくりな人と、偶然知り合いになれて、事件に巻き込まれながらも、一緒に力を合わせて戦ったなんて、不思議な出来事。これは旅の中で、忘れられない思い出になりそう。

 プラチナ・ベルリッツ。
 また、会えるといいなあ。

 そんな事を考えながら、あたしはみんなと一緒に次の町へと足を進めていた。

 * * *

 こうしてあたし達の旅は、まだまだ続く。続くったら、続く……


SPECIAL STORY:THE END

[821] 予告特別版
フリッカー - 2009年05月26日 (火) 19時12分

 次回からのヒカリストーリーEvolutionも、見逃せない展開がいっぱい!

・STORY30:旅人の心

 エテボースはポケモンピンポンに興味を持って、あたし達と別れた。
 でもあたしは、なぜか空しさを感じていた……

「エテボースは、あたし達を見捨てたんじゃないかな……?」
「どうしてそう思うんだ?」
「だって、あんなにサトシやコンテストが好きだったのに、あんなにあっさり別れられる訳ないよ……」

 そんな時、言葉をかけてくれたのは、あのミライさんだった。

「本当にエテボースは、ヒカリちゃんを見捨てたと思う? あたしは違うと思う。エテボースはエテボースなりに、ヒカリちゃんの事を大事に思っていたはずよ」
「?」
「あたしはわかるよ。そうやってあちこちを歩き回る人の気持ち」

 そしてミライさんの意外な過去が……

「その子、あたしのいとこなのよ」
「へえ、いとこだったんだ! サトシ君とのバトル、あたし負けちゃったけど、サトシ君の気合が、こっちにも伝わってきたいいバトルだったわ」
「相変わらずね。バトルは気合で何とかなるものじゃないのよ、なんてね。スズナ」

 そして思わぬ再会……

「ハーイ!! 今日もあたしはハイテンショーン!!」
「あれ……もしかして、ミホ!?」
「あっ、ヒカリン!! ひっさしぶりねーっ!!」
「誰、この子?」
「あたし、ミホ!! ヒカリンのベストフレンド!!」

・STORY31:記憶の道しるべ

 あのポケモンハンターJがまた現れた! そのターゲットは……

「なぜその姿のままでいる? その姿のままでは戦えないだろう?」
「な、何の話かしら……?」
「ミ、ミホ!? なんでJに!?」

「そろそろ正体を現してもらうか!! ドラピオン、“クロスポイズン”!!」
「きゃああああっ!!」
「ミホ!!」

 その時、ミホに信じられない事が……

「ミホの体が……溶けてる……!?」

・STORY32 エキシビジョンの舞台

 ポケモンコンテスト・エキシビジョン。それに、あたしが招待された!

「よーしみんな、張り切って練習するわよ!!」
「ヒカリ、張り切ってるな」
「ポケモンコンテスト・エキシビジョンに出られる事は、コーディネーターにとって名誉な事だからな。当然だよ」

 そこには、あのルビーさんの姿も!

「ここでヒカリちゃんと同じ舞台に立てるなんて、嬉しいわ」
「ルビーさん……」
「緊張するのもわかるわ。でも、トップコーディネータになりたいなら、私は喜んで壁になるわ」

 そしてコンテストバトルで、ルビーさんと直接対決!

「さあヒカリちゃん、コーディネーターとしての全ての力を、私にぶつけなさい! 私もそれに、全力で答えるから!!」
「……はい!!」
「ドサイドン、ショウタイム!!」

 みんなもポケモンゲットで、ダイジョウブ!!



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