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[518] ヒカリストーリー STORY13 強さの代償(第2部)
フリッカー - 2008年05月08日 (木) 17時56分

 強さの代償、遂に第2部へ突入!

第1部はこちら→http://bbs4.sekkaku.net/bbs/?id=watafa&mode=res&log=30

・ゲストキャラクター(敵役)
ライラ イメージCV:折笠愛
 謎の秘密結社『クリエイショニスト』のリーダーである女性。
 目的のためなら手段を選ばない、冷徹な性格。『ポケモンバトルはポケモンそのものの力が制する』という考えの持ち主で、ポケモンを勝利のための道具として見ている。かつてロケット団で『あるポケモン』の運用に携わっていた経緯を持ち、その力に酔いしれ仲間の生き残りを集めて『クリエイショニスト』を結成した。
 手持ちポケモンのダイノーズはデザインポケモンである。

[519] SECTION04 脱出! クリエイショニスト本部!
フリッカー - 2008年05月08日 (木) 18時01分

 あたしはヒカリ。トップコーディネーターになるために旅に出たポケモントレーナー。
 コンテストに出るためにも、強くなりたいと思うようになったあたし。そんな時に起こるいろいろな事件。何だか変な事を言うロケット団、ドサイドンの来襲、偶然見つけた幻のポケモン・ミュウを奪った変な奴ら・・・そんな中、あたしはクリエイショニストって会社のライラっていう人から、「簡単に強くなれる方法がある」って事を言われて、思わずついて行っちゃった。でも、そこで紹介された『デザインポケモン』というものは悪いものだった! でも、遅かった。サトシ達が助けに来てくれたけど、結局あたし達は捕まっちゃった・・・


SECTION04 脱出! クリエイショニスト本部!


 捕まったあたし達を乗せたジープが向かって行く先に、大きな建物が見えてきた。そんなに高くはないけど、こんなものが森の中に隠れてたなんて思えないくらい大きな建物。周りは高い柵で囲まれていて、いかにも怪しそうな雰囲気。そこの門が開いて、ジープは中へと入っていく。そして、ジープは建物の前で止まった。
「さあ、降りろ!」
 そんな言葉に、あたし達は従うしかなかった。手錠を掛けられたまま、あたし達は建物の中に入っていく。ヒトミさんは、何やら辺りをキョロキョロと見ていたけど・・・
「おい、ポケモン達はどうするつもりだ!!」
「残念だが全て押収させてもらう」
 サトシの言葉に、そう冷たく答えるライラ。捕まった時に取り上げられたモンスターボールが、箱に入れられて団員が持っていく。
「ピカピーッ!!」
「ポチャマーッ!!」
 ピカチュウとポッチャマも、かごに入れられた状態で連れて行かれる。
「返して・・・!!」
 あたしが反論しようとしたけど、すぐに団員に取り押さえられる。結局、ポッチャマ達はあたし達とは別の場所へと運ばれていっちゃった・・・

 どのくらい建物の中を歩いただろう。たどり着いた先は、真っ暗な牢屋が並ぶ所。あたし達は、その中の1つに入れられた。そこで手錠が外されて、やっと手が自由になったのはいいけど、すぐにドアが閉められた。カチャッと鍵がかかる音がした。ライラの顔は、ドアにある小さな鉄格子の窓からしか見えない。
「せいぜい自分の侵した過ちを後悔する事だな・・・」
 そう言うと、ライラの顔は鉄格子の窓から見えなくなった。コツコツという足音が遠ざかっていった。
「くそ〜っ!! ここから出せ〜っ!! ここから出すんだ〜っ!! ポケモン達を返せ〜っ!!」
 サトシが、すぐにドアを闇雲に叩き始めた。でも、その声は暗い廊下に響くだけ。部屋は広いけど、冷たい。テレビも、椅子もない。あるものといえば、寝心地の悪そうなベッドが、隅に2つあるだけ。ドアの向かい側にある鉄格子の窓から、月明かりが入ってくる。それがただ1つの明かりだった。そんな牢屋に、あたしも含めた5人が入っている状態。ドアを叩き続けるサトシと違って、あきらめが付いたのか、アユリとタケシは床に座り込んでいる。ヒトミさんはというと、どういう訳かベッドの上に立って、鉄格子の窓から外を見ていた。
「ごめん、みんな・・・あたしがあんな話に乗っちゃったから・・・みんなを巻き込んじゃって・・・」
 あたしは、そんなみんなに謝りたくて仕方がなかった。こんな風になっちゃったのも、あんな変な話に乗ろうとしたあたしのせい・・・
「いいえ、ヒカリさんは何も悪くはありません」
 そんな言葉に、アユリが答えた。
「でも・・・」
「悪いのは、そんな心に漬け込もうとするクリエイショニストなのですから・・・それを止められなかった私の方が、謝りたいです・・・」
 そう言って、アユリは顔をうつむけた。
「ごめんな、ヒカリ・・・俺達が、ちゃんと助けてやれなくてさ・・・」
 サトシはドアに背中をかけて座り込みながら、そう言った。
「起こってしまった事は、もうあれこれ考えても仕方がないさ。そう自分を責めるな」
 床に座るタケシが言う。
「そう。クヨクヨしてる暇があったら、ここからどうやって逃げようかなんて考えないの?」
 鉄格子の窓から外を見るヒトミさんの言葉も聞いて、あたしの心は少しほっとした。みんなは許してくれてるみたい。
「ところで、アユリって言ったね」
 すると、ヒトミさんがアユリに顔を向けて言った。
「何でしょうか?」
「聞きたい事が2つあるんだけど、いいかしら?」
 ベッドに座ったヒトミさんの言葉に、アユリは一瞬、ドキッとした顔をした。
「まず1つ目。あなたは何者なのか」
 ヒトミさんが、まず人差し指を立てた。
「そして2つ目。『デザインポケモン』っていうのは、どんなポケモンなのか」
 そして、次に中指を立てた。
「・・・わかりました」
 そう言った後、アユリは一呼吸おいて、話し始めた。

 * * *

「ルーナ・・・エクリプス・・・ヒカリさんが・・・悪い奴らに捕まっちゃったよ・・・」
 暗い森の中で、ハルナがルーナとエクリプスに背中を向けて、そんな事を言っていた。その目からは、涙がこぼれていた。
「あのまま・・・ヒカリさんに何かあったら・・・もうハルナ、生きていけないよ・・・」
 ハルナは木にもたれかかって、泣きながらそう言った。ルーナとエクリプスは、そんなハルナを見て表情を曇らせていた。そんな時、ハルナ達の近くで草むらがガサガサと揺れた。
「・・・誰!?」
 慌ててハルナが揺れた草むらを見た。そこから出て来たのは、1匹のフカマルだった。
「・・・フカマルじゃない!?」
 ハルナは首を傾げた。そこにいたのは、紛れもなくヒトミさんのフカマルだった。
「どうしたの? はぐれちゃったの?」
 涙を拭いたハルナが聞くと、フカマルは森の中のどこかを何度も指差した。まるで強調しているように。
「・・・もしかして、ヒカリさん達がいるの!?」
 ハルナが聞くと、フカマルはコクンとうなずいた。
「教えて!! どこにいるの!!」
 ハルナが聞くと、フカマルは走り出した。ハルナは、ルーナとエクリプスと一緒に、その後をついて行った。

 * * *

「ヒカリさんは、なぜデザインポケモンを手にしようとしたのですか?」
 まずアユリは、そうあたしに聞いた。
「えっ・・・」
 突然の質問にあたしは戸惑ったけど、隠してもしょうがないと思って、話す事にした。
「強く、なりたかったの・・・コンテストに、勝ちたくて・・・」
「・・・そうですか」
 それだけ聞いて、アユリはそう答えた。
「私も、あなたと同じように、強さを追い求めていました。ポケモンバトルで強くなりたいと。そんな時に現れたのが、クリエイショニストだったのです」
 アユリは少し間を置いて、話を続けた。
「ヒカリさんと同じように、簡単に強くなる方法を教えると言って、私を誘いました。そして、私はクリエイショニストの誘いに乗って、かつての手持ちを手放し、デザインポケモンを手にしてしまいました」
「そうだったんだ・・・」
 あたしは、そう言うアユリに同情できた。アユリも、今のあたしと同じような思いをしたんだ・・・
「手にしたばかりの頃は、その強さに私は喜びました。しかし、全てはそこから狂い始めてしまったのです。しばらくすると、またクリエイショニストが現れて、『もっと強いデザインポケモンを作りたくないか?』と言われて、私はクリエイショニストに入ってしまったのです。そして私は強いデザインポケモンが欲しいあまりに、悪事に手を染め、遂には幹部にまでなりました」
「・・・まさか、野性ポケモンの乱獲にも関わっていたの?」
「否定はしません。乱獲はかなり前からやっていて、私もそれに参加していました」
 ヒトミさんの質問にアユリはそう答えて、一呼吸おいた後、話を続ける。
「ですがその時、気付いたのです。『私は、こんな風になる事を望んでなかった』と。そして、私はクリエイショニストから逃げ出して、デザインポケモンの秘密を知る者として追われながら・・・」
 アユリの表情が、だんだん悲しそうになっているのがわかった。
「なるほど」
 ヒトミさんがうなずいた。
「話はわかったわ、アユリ。これで、あなたを信用していい人だという事はわかったわ」
「ありがとうございます」
 アユリはほっとした表情を浮かべた。
「さて2つ目の答えを聞かせてもらえる?」
 ヒトミさんが指を2本立てて聞いた。
「はい」
 アユリはうなずいて、話を始めた。
「ヒカリさんは説明で聞いたと思いますが、デザインポケモンというのは、遺伝子操作によって能力を大きく強化されたポケモンです」
「遺伝子操作で・・・?」
 サトシがその言葉を繰り返した。
「ドーピングと違って、その能力は生まれた時から持っている能力ですし、体にも変わった特徴は現れないので、体を調べられても見破られません。そのため、違法とも判断できないのも特徴なんです」
「そんな・・・じゃあ、普通に使っても気付かれないって事か!?」
 サトシが目を丸くして聞いた。
「はい。しかし、彼らは戦うためだけに生まれてきた存在なのです。ですから、自立心も抑えられていて、トレーナーの命令には逆らう事ができないのです。戦う事しか知らない彼ら・・・戦う事でしか、存在を許されない彼ら・・・そんな命が、あっていいと思いますか・・・?」
 アユリの表情が、また悲しそうになった。
「アユリ・・・」
 アユリは、後悔しているんだ。デザインポケモンをゲットしちゃった事を・・・
「私はそんな思いを、ヒカリさんに味わって欲しくなかった・・・だから助けたかったのですが・・・」
「・・・わかったわ」
 顔をうつむけたアユリを見て、ヒトミさんが答えた。
「それなら、なおさらこのまま終わる訳には行かないわね!」
 ヒトミさんの表情は、強気になっている。
「でも・・・どうやって? ポケモン達は没収されちゃったのに・・・」
「あたしはまだあきらめてなんかないわ! 慌てちゃダメ! 今は待つのよ、逃げるチャンスが来るまでね・・・!」
 あたしの質問にヒトミさんはそう強気に答えて、鉄格子の窓から映る夜空を見上げた・・・
 逃げるチャンスって言われても・・・そんなのあるのかな・・・?

 * * *

 どのくらいの時間が経ったのかな? これから一体どうなるかって思うと、恐くなって眠くなってもなかなか眠れない。
 あたしは壁にもたれかかって座りながら、うつらうつらの状態だった。その時、コンコンと何かを叩く音が聞こえてきた。結構大きい。その音で、あたしは目を覚ました。
「何・・・?」
 眠い目をこすって見てみると、音は床から聞こえる。それも床下から・・・? その音で、みんなも目を覚ました。
「来たみたいね・・・!」
 ベッドで寝ていたヒトミさんが、起き上がって音のする床を見つめた。すると、音がする床に、ピシッとひびが入った。
「!!」
 あたしはぞっとした。こんな暗い所で見ると、何だかホラー映画でも見ているような気分になった。何が出てくるの・・・? ひびはどんどん大きくなって、バキッと音を立てて、とうとう床に大きな穴ができた。そこからひょこっと出てきたのは・・・
「フカマル!?」
 そう、間違いなくフカマルだった。ほっとしたけど、なんでこんな所に?
「よくやったわ、フカマル」
 ヒトミさんがベッドを降りてフカマルにそう言うと、フカマルは穴から飛び出して、ヒトミさんの肩に飛び乗った。
「えっ、そのフカマルは・・・」
「そう、あたしの。実は捕まる前に、こっそり逃がしていたの。逃げる時の『切り札』にするためにね!」
 サトシの質問に、胸を張って答えるヒトミさん。
「凄いな・・・さすがトップレンジャーだ!」
 サトシが感心していると、穴からまた何かが出て来た。
「ふえ〜っ、やっと出られた・・・」
 出てきたのは、紛れもなくあたしが逃げるように言ったはずのハルナ!
「ハルナ!?」
「あっ! ヒカリさあああああんっ!!」
 あたしが驚いて声を上げると、ハルナはあたしを見つけて、すぐあたしに抱きついてきた。あたしはちょっとびっくりしたけど。
「よかった・・・無事だったんですね・・・!」
 ハルナは泣きながら、あたしにすがり付いていた。
「あらら、なんでハルナがいないと思ったら・・・一体どうしたの?」
「あたしが逃げてって言ったんです。それで逃げたと思ったんですけど・・・」
「フカマルがここに連れてってくれたんですよ!」
 あたしがヒトミさんに説明していると、ハルナがフカマルを指差してそう言った。
「そう、フカマルが連れてきたのね。なら都合がいいわ。ハルナ、感動の再会を喜ぶのはこの辺にして、早速ここから逃げるわよ!」
 ヒトミさんがそう言うと、フカマルがヒトミさんの肩から飛び降りた。フカマルはドアに向かう。
「打たれ強いんだな、ヒトミは」
 タケシが感心して、そんな事を言った。
「言ったでしょ、あたしはまだあきらめてなんかないって」
 ヒトミさんがドアを見ながらそう言った時、フカマルが“ドラゴンクロー”でドアをX字に切り裂いた!
「だから、みんなはあたしの事をこう呼ぶの。『鉄壁のヒトミ』ってね!」
 ヒトミさんが振り向いて自信満々に言った時、“ドラゴンクロー”で切られたドアが、バタンと音を立てて奥に倒れた。
 ヒトミさんは、ドアのなくなった入り口から顔を出して、右、左と見回す。それから、ゆっくりと廊下に出た。あたし達もそれに続く。逃げられるのはいいけど、ポケモン達は・・・?
「ヒトミさん、ポケモン達は・・・」
「心配しないで。ここに連れて来られる時に、素早く建物の中を観察していたの。あなた達のポケモンの連れて行かれた場所は、大体だけど把握してあるわ!」
 あたしの質問に、ヒトミさんは笑みを浮かべて答えた。
「私も協力します。この建物の中は、私が一番知っていますから」
 アユリも名乗りを上げた。
「ありがとね。頼りにさせてもらうよ、裏切り者さん」
 ヒトミさんはそう言ってアユリにウインクした。
「だが・・・今戦力になるのは、ヒトミのフカマルと、ハルナのポケモン2匹の、合わせて3匹だけだ。戦力不足は必至だぞ」
 タケシが、不安な表情を浮かべた。ひょっとしたら戦わなきゃいけないかもしれないって時に、ポケモン3匹だけじゃ心もとない。あたしは、不安になった。これじゃ、また捕まるだけなのかも・・・
「こんな言葉もあるのよ、『奇跡は待ってても起きない。自分達で起こすものだ』ってね!」
 ヒトミさんは、それでも強気で答えを返した。
「自分達で、起こす・・・」
 あたしは、その言葉を繰り返してみる。
「ハルナ、やるわ! みんなの・・・ヒカリさんのためになるなら!」
 ハルナが、強気で言った。
「そうだよ! やってみなきゃわからないじゃないか! 行こうぜ、ヒカリ! みんなを助けに!」
 サトシが、そうあたしに呼びかける。そう言われると、何だか不安が取れてきた。
「・・・うん!!」
 あたしは、はっきりとうなずいた。
「・・・おい、誰だ!」
 すると、廊下の突き当たりから、誰かの声が聞こえてきた。2人の黒ずくめの人。見張りだ! 気付かれちゃった!
「フカマル!!」
 ヒトミさんが指示すると、フカマルが素早く飛び出した!
「悪いけど今はキャプチャできないからね、フカマルで行かせてもらうわ!! “とっしん”!!」
 ヒトミさんの指示で、フカマルが一気に1人の見張りに突撃して行った!
「ぐっ・・・!!」
 ドカッと見張りのお腹にぶつかった。1人目の見張りは、そのままバタリと倒れた。
「ハルナだって!! エクリプス、“うたう”よ!!」
 ハルナも、モンスターボールを左手で投げた。出てきたのはエクリプス。エクリプスは、きれいな歌声をもう1人の見張りに聞かせる。すると、もう1人の見張りも、まぶたが重くなって、バタリとその場に倒れて寝込んだ。
「よし、みんな行くよ!!」
「はい!!」
 ヒトミさんの指示で、あたし達は一斉に走り出した。

 * * *

 どこかの部屋。そこには、何人かの研究者みたいなのと一緒に、ライラの姿があった。周りには、たくさんの機械がある。
「フフフ、こいつの戦闘データを組み込めば・・・ついにあれを完成させられる・・・」
 ライラの見つめる先には、縦長のカプセルに入れられたミュウ。体には何本ものコードがつけられている。そんな時、部屋に大きなサイレンが鳴り響いた。
「リーダー!! 大変です!!」
 部屋に1人の団員が慌てた様子で入ってきた。
「何の騒ぎだ?」
「例の・・・先ほど捕らえた連中が脱走しました!! 現在、本施設内を逃走中です!!」
「何だと・・・!? すぐに探し出せ!! 何としてでも連れ戻すのだ!!」
「はっ!!」
 ライラがそう指示すると、団員は素早く去っていった。
「やはりあがくか・・・だが、デザインポケモンの名を知る者を、ただで返すと思うな・・・!!」
 ライラも、その場を動き出した。

 * * *

 廊下にサイレンが鳴り響く。それでも、あたし達は走り続ける。みんなを・・・ポッチャマ達を助けるためにも・・・!
 あたし達の目の前に、団員達がグラエナを引き連れて立ちはだかった!
「フカマル、“ドラゴンクロー”!!」
 ヒトミさんの指示で、フカマルが飛び出した! フカマルはグラエナの群れに飛び込んで、力を込めたツメでグラエナを次々と切り裂く! たちまち弾き飛ばされるグラエナ達。
「くそっ!! グラエナ、“こおりのキバ”だ!!」
 1人の団員の指示で、1匹のグラエナが横からフカマルに飛び掛かった! そして、白く光るキバでフカマルの頭に思い切り噛み付いた! 効果は抜群! 凍りつくフカマルの頭。
「ああっ!!」
 あたしは、思わず声を上げた。フカマルのダメージは大きいはず・・・!
「まだまだ!! こんなものでやられないわ!! “たつまき”!!」
 それでも強気なヒトミさんの指示で、フカマルは体を軸に回転し始めた! 途端に、竜巻ができてフカマルの体を覆った! 当然、噛み付いていたグラエナもフカマルより大きいとは思えないほど簡単に回り始める。竜巻はどんどん強くなっていって、とうとうグラエナは竜巻に負けて真上に吹っ飛ばされた! 地面に落ちるグラエナ。回転を止めたフカマルは、頭に付いた氷を思い切り頭を振って取った。
「す、凄い・・・」
 あたしはそんなヒトミさんのフカマルの強さに、釘付けになっていた。あたし達でも苦戦した相手を簡単に・・・と思っていたら、あたしの背中からグラエナが突然、飛び出してきた!
「!!」
 気がついた時はもう手遅れ・・・と思ったら、そこにエクリプスが割って入ってきてグラエナに“はたく”をお見舞いした! 返り討ちにあったグラエナは、体勢を立て直す。見ると、後ろからもグラエナを連れた団員がたくさん!
「そんな・・・はさみ打ち!?」
「ヒカリさん、ハルナに任せてください!!」
 あたしの横にハルナが来た。そして、エクリプスがハルナの前で身構えた。グラエナ達が一気にエクリプスに襲い掛かる!
「エクリプス、ジャンプ!!」
 エクリプスは一旦息を1つ吸い込んで、ジャンプ! グラエナ達の“とっしん”が空を切った。ふうせんポケモンの名の通り、そのままフワフワと浮くエクリプス。それでも、グラエナは攻撃の手を緩めない。ジャンプしたエクリプスに、もう一度飛び上がって襲い掛かる! でも、エクリプスはフワフワと浮いたまま、体を軸にクルリと1回転。グラエナの攻撃をかわした! あの動き、あたしがポケモン達に教えた『回転』と同じ・・・!?
「あっ、あれって・・・?」
「はい! ヒカリさんの『回転』を勉強したんです!」
「いつの間にそんな事・・・」
「ほら、よく言うじゃないですか、『見て盗め』って!」
 やっぱりそうだった。グラエナはまだ攻撃をやめない。でも、エクリプスは浮いた状態を保ったまま、『回転』を続けてかわし続ける。あんな事は、あたしのポケモン達じゃマネできない。さすがはふうせんポケモン、プリン。サトシと同じように、ハルナもあたしの『回転』を進化させてたんだ・・・グラエナはとうとう疲れて、攻撃を止めた。
「チャンス!! エクリプス、“みずのはどう”!!」
 その隙に、エクリプスは“みずのはどう”を連射! 命中! たちまち目を回すグラエナ達。『こんらん』したんだ!
「やったあっ!!」
 ハルナはガッツポーズをした。
「くそっ、往生際の悪い奴らめ・・・!」
 1人の団員が唇を噛んだ。
「残念だけど、あたしは往生際がものすんご〜く悪いの!!」
 ヒトミさんはそう言い返した。
「みんな、耳をふさいで!! エクリプス、思いっ切り息を吸い込んで“うたう”よ!!」
 ハルナに言われた通り、あたし達は耳を塞いだ。エクリプスは、思い切り息を吸い込んでまた歌いだす。心地いい歌声が廊下中に広がった。それを聞いたグラエナや団員達は、たちまちまぶたが重くなって崩れ落ちた。耳を塞いでなかったら、あたし達まで寝ちゃってそう。
「ナイス、エクリプス!!」
 耳を離したハルナがウインクして言うと、エクリプスも笑みを浮かべて答えた。あたし達も耳を離す。
「結構やるじゃない、ハルナも!」
「そんな・・・ハルナができる事をしただけよ」
 そう褒めるヒトミさんに、ハルナはちょっぴり照れていた。
「凄いわね、エクリプス」
「キャハッ!! エクリプス、ヒカリさんに褒められたよ!!」
 あたしもそう言うと、ハルナはエクリプスと一緒に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「じゃ、ここを強行突破させてもらうわよ!!」
 ヒトミさんは倒れた団員達を飛び越えて廊下を進んでいった。あたし達も続く。
「ねえアユリ、これからどこを探すつもりなの?」
 あたしは、気になった事をヒトミさんに聞いてみた。
「この先に、デザインポケモンの研究施設があります。代金として持ち帰ったポケモンは、まずはそこに運ばれるはずです。恐らく、没収されたポケモンも・・・」
「じゃあ、そこに行けばいいんだな?」
「あたしの思った通りの方向ね。案内して!」
「はい」
 アユリはヒトミさんの横に出て、ヒトミさんと一緒に先頭を走って行った。

 * * *

 たどり付いた場所は、『関係者以外立ち入り禁止』と書いてある大きな観音開きの扉だった。
「ここなの?」
「はい、そうです」
 ヒトミさんが聞くと、アユリはうなずいた。
「じゃ、入らせてもらうわ!!」
 そう言って、ヒトミさんは扉を思い切り開けた。見ると、奥にはもう1つ自動ドアみたいなものがある。あたし達は、迷わず進んで自動ドアの前に立った。自動ドアが開く。その先には、驚きの光景が広がっていた。

 縦長のカプセルがいくつも並んでる、薄暗くて広い部屋。そのカプセルの中には、いろんなポケモンが入ってる。中には水みたいなものが入っているみたい。
「これが、研究施設・・・」
 自然とそんな言葉が出たあたし。
「ここで、デザインポケモンの生産が行われているのです。代金として入手したポケモンの遺伝子を採取して調整し、培養して短時間で強制成長させるんです」
 アユリが説明した。
「それよりも、ポケモン達を探さないと!」
 サトシが、真っ先に飛び出した。その時だった。
「待って!」
 ヒトミさんが突然、そんな事を言った。サトシは足を止める。
「何か聞こえるわ」
「えっ?」
 ヒトミさんのそんな言葉を聞いて、あたしは耳を澄ましてみた。
「ジャリンコ共のポケモン、全部ゲットでいい感じ〜っ!」
 そんな声が聞こえたと思うと、左側のカプセルの陰から、誰かがあの箱とピカチュウとポッチャマの入ったかごをかついで体をかがめながら姿を現した。
「あっ!! ロケット団!!」
 サトシが叫んだ。そう、間違いなくロケット団だった! なんでこんな所に!?
「ギクッ!! ジャリンコ共プラスアルファ!?」
 ロケット団もこっちに気付いて足を止めた。
「ピカピ!」
「ポチャマ!」
 かごの中のピカチュウとポッチャマも、あたし達に気付いた。
「ポッチャマ達をどうするつもりなの!! 返して!!」
「へんっ!! こっちはこのクリエイショニストって組織に協力するふりして、ピカチュウをゲットする作戦だったんだから!!」
「ついでに他のポケモンもおまけにゲットしてやったぜ!!」
 あたしがそう言っても、ムサシとコジロウは、いつものようにそう言い返すだけ。
「人のポケモンを盗んで悪事を働くなんて、ポケモンがかわいそうです!!」
「何度でも言いなさいよ〜だ!!」
 そう言うアユリに、ムサシはアカンベーをした。
「そんな訳で!!」
「帰るっ!!」
 ロケット団は声を揃えてそう叫んで逃げようとした。
「逃がすもんか!! ルーナ、“ねんりき”で捕まえて!!」
 すかさず、ハルナがモンスターボールを左手で投げた。出てきたルーナは、“ねんりき”で逃げようとするロケット団を捕まえて、宙に浮かせた!
「フカマル!!」
 ヒトミさんの指示で、フカマルも飛び出した!
「“たつまき”!!」
 ヒトミさんの指示で、フカマルは口から“たつまき”を発射!
「わあああああ〜っ!! 目が回る〜っ!!」
 たちまち飲み込まれるロケット団。そして、かごと箱は、ちょうどあたし達の側に落ちた。ロケット団は反対側に落ちる。
「ポッチャマ!!」
「ピカチュウ!!」
 あたしとサトシは、すぐにかごの所に行って、かごを開けた。
「ポチャマ〜ッ!!」
「ピカピ〜ッ!!」
 ポッチャマはあたしに、ピカチュウはサトシに抱きつく。ケガはないみたい。無事でよかった・・・
「う〜ん・・・」
 ロケット団は目を回しながらでも、何とか立ち上がった。
「ロケット団め!!」
「もう許さないんだから!!」
 あたしはもう怒った!! サトシと一緒に、ロケット団の前に立ちはだかる。
「こ、これって何だか・・・」
 ロケット団が一歩下がった。
「ポッチャマ、“うずしお”!!」
「ポォォチャアアアアアッ!!」
 ポッチャマは“うずしお”を作り出して、ロケット団に向けて投げた!
「うわあああああ〜っ!!」
 命中! たちまち洗濯機に入れられた服のように飲み込まれるロケット団。
「ピカチュウ、“10まんボルト”!!」
「ピィィィカ、チュウウウウウッ!!」
 そして、ピカチュウが自慢の電撃をロケット団にお見舞いした! 直撃! そして大爆発!
「やな感じ〜っ!!」
 建物を突き抜けて、ロケット団はいつものように空の彼方へと消えていった。

 あたし達は、箱の中からモンスターボールを全部取り出した。これで、ポケモン達は全員取り戻した。
「これでもうダイジョウブね!」
「あとはここから出るだけだな」
 あたしとサトシがそう言った時、ヒトミさんがサトシにこう聞いた。
「ねえサトシ、そのピカチュウ、貸してくれるかな? キャプチャディスクに入れて、スタイラーのエネルギーを充電させたいの」
「ピカ・・・」
 ヒトミさんがバトナージ・スタイラーのコマを見せて、そう言った。すると、ピカチュウはちょっと困った表情を見せた。
「いえ、ピカチュウは狭い所が嫌いなんです」
「あら・・・じゃあ、誰かでんきポケモン持ってたら貸してくれない?」
 サトシの説明を聞いたヒトミさんは、今度はあたし達に聞いた。
「あっ、パチリスがいます」
 あたしはすぐに、パチリスの入ったモンスターボールを取り出して、そう答えた。
「じゃあ、お願いできる?」
「はい」
 あたしはそう返事をして、モンスターボールのスイッチを押してパチリスを出した。
「パチリス、ヒトミさんに力を貸してあげて」
「チパ」
 あたしが言うと、パチリスはうなずいた。
「じゃ、お願いね!」
 ヒトミさんがそうパチリスに呼びかけると、キャプチャディスクのふたが開いて、中にパチリスが吸い込まれた。
「これで充電すれば・・・」
 ヒトミさんがそう言いかけた時だった。
「みんな、見て!!」
 突然、ハルナのそんな声が聞こえてきた。見ると、ハルナは少し離れた所のカプセルの前にいた。
「どうしたの、ハルナ?」
「これ!」
 ハルナはカプセルを指差している。見ると、その中に入っていたのは、あの時のミュウだった! 体にはたくさんのコードが付いている。隣に、中が見えない真っ黒のカプセルがあった事には気付かなかったけど。
「ミュウじゃないか!」
 サトシが声を上げた。その時!
 ガシャンと、自動ドアが開いた。そこから、たくさんの足音が聞こえた。
「見つけたぞ!!」
 そこにいたのは、ライラとたくさんの団員だった!
「ライラ!!」
 あたし達は、声を揃えて叫んだ。


TO BE CONTINUED・・・

[521] SECTION05 ミュウを救え! VSライラ!
フリッカー - 2008年05月09日 (金) 18時47分

「ダイノーズ!!」
 ライラの指示で、ダイノーズが飛び出した! ダイノーズがこっちに突撃してくる!
「わあっ!!」
 あたし達は慌てて逃げる。ダイノーズは、ミュウの入ったカプセルの前に陣取った。
「残念だが、そいつを渡す訳にはいかん。大事な材料なのでな・・・」
「くっ!! ミュウを連れて帰ろうと思ったのに・・・よりによってこんな時に!!」
 ヒトミさんが唇を噛んだ。
「ここは私が相手をします!!」
 アユリが、モンスターボールを構えて前に飛び出した。すぐに開けて、ルカリオとキルリアが飛び出した。
「そうはさせん」
「!!」
 でも、ライラの口元が不適に笑った。すると、何やら棒の形をした機械を取り出した。ライラがスイッチを押すと、先っぽのライトが光る。すると、ルカリオとキルリアが、突然頭を抱えて苦しみ始めた!
「な、何!? 何が起きてるの!?」
 あたしには、何が起きているのか全然わからなかった。
「フフフ・・・アユリ、忘れてはないだろう・・・」
 ライラが、笑みを浮かべた。
「『ブロック・システム』・・・」
 唇を噛んだアユリが、聞いた事もない言葉を口にした。


SECTION05 ミュウを救え! VSライラ!


「『ブロック・システム』?」
 サトシが目を丸くした。
「この装置を使えば、デザインポケモンの体内に注入されたナノマシンを通じて、特定のデザインポケモンの体をこちらの支配下に置ける・・・お前のような『裏切り者』のために用意されたセーフティだ」
 ライラが棒の形をした機械を見せて、笑みを浮かべたまま説明をする。ルカリオとキルリアは、そのままバタリと苦しそうに倒れこんだ。
「そんな・・・じゃあ、アユリのポケモン達は・・・!」
「これがある限り、戦う事はおろか、動く事もできん」
 あたしが言うと、ライラは余裕そうに答えた。
「・・・っ!!」
 アユリは唇を噛んで、2匹をモンスターボールに戻した。
「さあ、無駄な抵抗は止めろ。おとなしく牢屋に戻ってもらおうか」
 ライラの鋭い視線があたし達に突き刺さる。
「ふざけるな!! こんな所で降参なんてできるか!!」
「ピッカ!!」
 サトシとピカチュウが前に出て強気に言い返した。
「そうよ!! あたし達はそんな事くらいであきらめはしないわ!!」
 ヒトミさんも、前に出て叫ぶ。
「口だけは達者だな。だが、お前達はデザインポケモンであるこのダイノーズと戦って敗れているのを忘れては困るな」
「・・・!!」
 その言葉で、サトシとヒトミさんは一瞬、凍りついた。
「お前達がここでダイノーズと勝負をした所で、結果は目に見えている。さあ、降伏するか、ここで戦って敗れるか。どちらか選べ」
 ライラは余裕そうにそんな質問を投げかけた。
「どうするのですか・・・デザインポケモン相手に、普通のポケモンでは・・・」
 アユリが不安な表情を浮かべた。
「そうよ・・・あのダイノーズ、あたし達だけで倒せるの・・・?」
 あたしは思わず、そんな事を言った。あんなポケモン相手じゃ、またあのチビノーズの攻撃でやられちゃうだけでダイジョバない・・・はっきり言って、『無敵』って言いたくなっちゃう・・・
「さっきの言葉、もう忘れちゃったの? 奇跡は自分達で起こすものだって」
 ヒトミさんがあたしを横目で見て、そんな事を言った。
「やってやるさ!! どんなに確率が低くても、俺はお前を倒す!!」
 サトシは、強気にライラに言い返した。
「俺も同じだ!!」
 タケシも強気。
「ヒカリさんのためにも、ハルナはやる!!」
 ハルナも。
「みんな・・・」
 そんなみんなの姿に、あたしは見とれていた。
「ポチャッ!!」
 その時、あたしの足を、ポッチャマがポンと叩いた。
「ポッチャマ!!」
 ポッチャマは自分の胸をポンと叩く。「任せて!」って言ってるみたいに。
「ポッチャマ・・・」
 そんなポッチャマを見て、あたしの心に勇気が湧いてきた。そう言うなら、あたしはポッチャマを信じる! あたしの心は決まった。
「あたしも・・・戦うわ!!」
 あたしはライラを正面に見て、はっきりと言い放った。
「これで意見は揃ったね。あたし達の答えは、『どちらでもない』。つまり、ここで戦って勝つ!!」
 ヒトミさんはライラを指差して、はっきりと言い放った。
「皆さん・・・」
 アユリはそうつぶやいた後、自分の思いを託すように一歩下がった。
「・・・ならば、それを実際に示してみるがいい!! ダイノーズ!!」
 ライラがそう言うと、ダイノーズが動いた! チビノーズが、ダイノーズの体から離れた!
「“ラスターカノン”!!」
 ライラの指示で、チビノーズが一斉にこっちに“ラスターカノン”を発射! こっちに飛んで来る!
「ポッチャマ、“バブルこうせん”!!」
「ピカチュウ、“10まんボルト”!!」
「フカマル、“たつまき”!!」
 ポッチャマ、ピカチュウ、フカマルが一斉に攻撃! 飛んで来る“ラスターカノン”とぶつかって、大きな爆発! でも、その後すぐにチビノーズが煙を突き抜けて飛んで来た!
「“ストーンエッジ”!!」
 あたし達の一番恐れていた攻撃。3つのチビノーズが、一斉に3匹に襲い掛かった! 3匹はよけようとするけど、3つのチビノーズの動きが複雑すぎてよけきれない! どうしても当たっちゃう!
「ああっ!!」
 あたしは、思わず声を上げた。
「今だ!! グレッグル、“かわらわり”だ!!」
 その時、タケシがモンスターボールを投げた。出て来たグレッグルは、ダイノーズに飛び込んで力を込めたチョップをお見舞いした! 直撃! 効果は抜群!
「エクリプス、“ころがる”!!」
 それに続いて、エクリプスも転がりながらダイノーズに突撃! 直撃! 弾かれるダイノーズ。
「ヒカリさん、あいつの弱点がわかりました!」
「えっ!?」
 ハルナの言葉に、あたしは耳を疑った。
「あいつはチビノーズをメインに攻撃してくるけど、その間あいつは何もしていないんです! だからあいつの近くがガラ空きになってるんですよ!」
「俺も、同じ事を考えていたんだ。あのダイノーズは、攻撃をチビノーズに頼っている。その間、ダイノーズの体そのものは無防備だ。奴に近づけさえすれば、勝機はつかめるはずだ!」
 タケシも、ハルナに続けて言う。言われてみれば、確かにチビノーズが動いてる間、ダイノーズは動いていない。
「じゃあ、そうすれば・・・!!」
 勝てるかもしれない! そう思ったあたしは、すぐに指示を出した。
「ポッチャマ、ダイノーズに近づいて!!」
「ポチャッ!!」
 ポッチャマは立ち上がって、不意を付いてダイノーズに向けて走り出した!
「む、来るか!!」
 ライラも、それに気付いた。チビノーズがポッチャマに“ラスターカノン”を撃って来る! それでもポッチャマはジグザクに動いてスピードを緩めない。そして、ダイノーズの目の前まで来た!
「今よ!! “つつく”!!」
「ポチャマアアアアッ!!」
 ポッチャマがクチバシに力をこめて、ダイノーズに突き立てようとする!
「フンッ、甘いな。“まもる”!!」
 でも、ライラは笑みを浮かべてそう指示を出した。ダイノーズがバリアを張って守りの構えをとった。そこにポッチャマがクチバシを突き立てた! でも、バリアに受け止められて、手ごたえがない。
「そんな・・・!?」
 いけると思ったのに!? すると、そんなポッチャマの後ろに1つのチビノーズが回り込んで“ラスターカノン”を発射!
「ポチャアッ!!」
 完全な不意打ちだった。ダイノーズの目の前で倒れるポッチャマ。
「ああっ!! ポッチャマ!!」
 思わず叫ぶあたし。その隙に、ダイノーズは距離を取る。
「ならピカチュウ、“でんこうせっか”!!」
「ピッカアッ!!」
 続けてピカチュウが猛スピードでダイノーズに向かって行く! でも、あともう少しって所で、3つのチビノーズがピカチュウの前に回りこんだ。そして大きな三角を作って、その間に電気を流した!
「ピカアアアアアアッ!!」
 たちまちピカチュウは、三角の中に張られた電撃の中に簡単に捕まっちゃった!
「ピカチュウ!!」
「フフフ、接近される事など、こちらも承知の上だ」
 ライラは余裕そうな笑みを浮かべた。
「くそっ、向こうも弱点対策は完璧、という事か・・・」
 タケシが唇を噛んだ。
「じゃあ、これならどう!! フカマル、“あなをほる”!!」
 次はヒトミさんが指示を出した。フカマルは、床に穴を掘って地面にもぐりこんだ。チビノーズが追いかけるけど、穴の上で立ち往生。
「そうか!! “あなをほる”ならチビノーズの攻撃を受けなくて済む!!」
 タケシが叫んだ。確かに、地面の中にはチビノーズは潜れない。こんな簡単な事、どうして気が付かなかったんだろ・・・
「そういう事!! さあ、フカマルがどこにいるか、見切れるかしら!!」
 ヒトミさんが自信満々に叫んだ。地面の中にいる間は、いつ、どこから飛び出して攻撃してくるかはわからない。向こうも下手に動けないはず! 何も起きないまま、ジリジリと時間が経っていく。そして、遂にそれが破られた。フカマルが、ダイノーズの後ろから飛び出した! そしてそのままタックル! 効果は抜群!
「やったあ!!」
 思わず声を上げるあたし。
「また潜るのよ!!」
 ヒトミさんの指示で、フカマルはまた地面の中に潜る。
「・・・そういう手か」
 その時、ライラの口元が笑った。
「先程、『どこにいるか見切れるか』と言ったな。その答えはとても単純明快・・・」
「・・・!?」
 ライラの言葉を聞いて、ヒトミさんは少し動揺した。
「地中そのものだ!! “じしん”!!」
 ライラの指示で、ダイノーズは勢いをつけてジャンプした!
「しまった!!」
 ヒトミさんが叫んだ時にはもう手遅れ。ダイノーズは、そのまま地面に思い切り落ちた! 衝撃で大きな地震が起きる。
「わあああああっ!!」
 揺れのせいで、あたし達もバランスを崩しそうになる。そんな揺れが治まった時、地面の中からダメージを受けたフカマルが弾き飛ばされてきた。フカマルのダメージはかなり大きい。地中で“じしん”を受けちゃったら、確かダメージが倍になっちゃう・・・!
「“じしん”を使えるなんて、想定の範囲外だったわ・・・!」
 ヒトミさんが唇を噛んだ。
「それなら、いっそ何もできなくしてやる!! エクリプス、“うたう”よ!!」
 今度はエクリプスが飛び出した。エクリプスは、自慢のきれいな歌声をダイノーズに聞かせる。すると、ダイノーズの目がどんどん重くなって、とうとうその場で寝ちゃった。3つのチビノーズも、力を失って地面に落ちた。
「そうか、その手もあったか!!」
 サトシが感心して言った。
「ヒカリさん、今の内です!!」
 ハルナが言った。そう、寝てる今がチャンス!
「ええ!! ポッチャマ、“バブルこうせん”!!」
「ピカチュウ、“10まんボルト”!!」
「フカマル、“ドラゴンクロー”!!」
「グレッグル、“かわらわり”だ!!」
「エクリプス、“みずのはどう”!!」
 迷わずみんなで一斉攻撃! 当たらない訳ない! でも、ライラは見ているだけで何もしていない。攻撃のラッシュは続く。どんどんダイノーズはあたし達の攻撃を受けていく。これなら行けるかも!
「・・・?」
 そんな時、タケシが表情を変えた。
「どうしたの?」
「何だかおかしい・・・」
 あたしが聞くと、タケシはポツリとそうつぶやくだけだった。何だかおかしい? その時、ダイノーズが目を覚ました!
「反撃だ・・・“ラスターカノン”!!」
 ライラはそれを待っていたかのように指示を出した。すると、チビノーズがまた浮かび上がって、一斉にこっちに“ラスターカノン”を撃ってきた!
「ポチャアアアアッ!!」
 予想外の反撃に、みんなは動けなかった。爆発に巻き込まれて、弾き飛ばされるポッチャマ達。そんなダイノーズには、さっきまで攻撃を受け続けて疲れた様子はない。
「そんな・・・効いてないの!?」
 ハルナは動揺していた。
「“うたう”を使って眠らせるとは、いい手だ。だが、私はそれを利用させてもらった」
 ライラは余裕の笑みを浮かべた。
「やはり“ねむる”か・・・」
 タケシがつぶやいた。
「そうだ。お前達は“うたう”でダイノーズを眠らせたように思ってただろうが、逆だ。わざと“ねむって”体力を回復させたのだ」
「そんな・・・寝てたのはフェイントだったって事・・・!?」
 だからタケシはおかしいって思ってたんだ・・・これじゃ完全に死角なしじゃない・・・
「さあ、次はどうする? もう手は打ち尽くしたか?」
 ライラは挑発するようにあたし達に言う。でも、あたし達は黙ったまま。
「くそっ!! 何か・・・何か方法があるはずだ・・・!!」
 サトシがわなわなと手を握りながらつぶやくけど、実際に手は動かない。
「やはり、普通のポケモンでは・・・」
 アユリも不安な表情を浮かべる。
「どうしたら・・・どうしたら・・・」
 あたしは必死で打つ手を探した。何かないの・・・何か・・・何か・・・・・・はっ!
「・・・わかった!!」
 あたしは1ついい方法をひらめいた。あたしは、別のモンスターボールを取り出す。
「エテボース!!」
 あたしが出したのはエテボース。ダイノーズの前で身構えるエテボース。
「ほほう・・・ポケモンを換えてきたか・・・」
 それでも、ライラは余裕そう。
「エテボース、ズイタウンのコンテストでやったあの演技をやって!!」
「エイポ!?」
 あたしの指示に、エテボースは驚いて振り返った。当然か、あの時は失敗だった演技だもんね。
「な、何のつもりなんだ?」
 サトシも驚きの表情を見せる。
「いい? そのまま・・・」
 あたしは、エテボースの耳のそばでヒソヒソとあたしの作戦を話した。
「・・・エイポッ!!」
 それを聞いたエテボースは、納得してはっきりとうなずいた。
「行くよ、エテボース!!」
「エイポッ!!」
 エテボースはダイノーズの前で、2本のしっぽを広げて片手で逆立ちしてみせる。
「“スピードスター”!!」
「エイポオオオオオオオッ!!」
 あの時と同じように、エテボースは尻尾から“スピードスター”を発射しながらブレイクダンスを始めた。“スピードスター”はブレイクダンスをするエテボースの体をどんどん覆って、竜巻のような渦を作る。
「おやおや? 一体何の真似ですか? それでは攻撃にはなりませんよ・・・?」
 それを見たライラは、一層余裕の表情を強くした。確かに攻撃にはならないけど・・・
「見た目は派手だが、ここはコンテストのステージではないのだ・・・ダイノーズ、“ラスターカノン”!!」
 ライラが指示すると、3つのチビノーズが動いて、“スピードスター”の渦の根元を狙って“ラスターカノン”を発射! “ラスターカノン”は容赦なく渦の根元に飛んで行った! 命中! そして爆発!
「ああっ!!」
 サトシ達が声を上げた。爆発の煙が、エテボースがいた場所を包み込む。
「何をしようとしたか知りませんが、そんなもので・・・」
 ライラが言い終わらない内に、煙が晴れた。その時、ライラは驚いた。
「・・・!?」
 チビノーズの“ラスターカノン”が当たった所には、エテボースの姿は影も形もない。ライラとダイノーズは動揺した。そう、これがあたしの作戦!
「今よ!!」
 あたしが呼びかけると、爆発で上に散っていった“スピードスター”の中から、エテボースが姿を現した!
「!!」
 そんなエテボースの姿にみんなが驚いた。エテボースはそのままダイノーズの上を取る!
「上だと!?」
「“きあいパンチ”!!」
 あたしは迷わず指示した。
「エエエエイ・・・!!」
 エテボースはダイノーズの上から落ちながら、2本の尻尾の拳に力を込める!
「“まもる”で・・・!」
「ポオオオオオッ!!」
 ライラが指示しようとしたけど、もう手遅れ。エテボースは落ちる勢いも合わせて、2つの拳をダイノーズの頭に叩き込んだ! 直撃! 効果は抜群! 落ちる勢いでパワーも上がってるし、2本の尻尾でやったから威力も2倍! エテボースはパンチした反動を使って、クルリと宙で1回転してダイノーズの前に着地した。ダイノーズはかなりダメージを受けてふらふら状態。
「すご〜い!! さすがヒカリさんのポケモンだあっ!!」
「いや・・・エテボースは最初俺のポケモンだったんだけどな・・・」
 歓声を上げるハルナの横で、サトシがうらやましそうにつぶやいた。
「普通のポケモンなのに、あれだけダメージを・・・」
「“きあいパンチ”はかくとうタイプ最強のわざだ。いくらデザインポケモンでも、相性の不利なダイノーズが受けたらひとたまりもないだろう」
 ダイノーズを見てつぶやいたアユリに、タケシがそう説明した。
「これでわかったでしょ、裏切り者さん。ポケモンの強さっていうのは、ポケモンそのものの能力だけじゃ決まらないの。指示するトレーナの力も含めて言う事なのよ!!」
 ヒトミさんが自信満々にアユリに言った。その言葉に、アユリは何か感じていたようだった。
「おのれ・・・ダイノーズ、反撃だ!!」
 唇を噛むライラ。ダイノーズが体勢を立て直した、その時!
「キャプチャ、オンッ!!」
 そんなヒトミさんの声と同時に、キャプチャディスクが飛び出した!
「ここはあんたの負けよ!! バトナージッ!!」
 そう叫んで、ヒトミさんは人差し指と中指を立てた右手を一振り。キャプチャディスクがダイノーズの周りを囲む。ディスクの描いた輪が、ダイノーズの体に吸い込まれた。すると、ダイノーズの動きが止まった。
「おい!! どうしたダイノーズ!! 戦え!!」
 ライラが何度呼びかけても、ダイノーズは石のように動かない。
「スタイラーの充電は完了したわ!! もう今までのようにはいかないわよ!!」
「おのれ、『鉄壁のヒトミ』め・・・!!」
 ヒトミさんはバトナージ・スタイラーを構えて、自信満々に叫んだ。唇を噛むライラ。そして、あたしの側にパチリスが戻ってきた。
「ポッチャマ、“バブルこうせん”でミュウのカプセルを壊して!!」
「ポッチャマアアアアッ!!」
 これで、ようやくミュウを助けられる! あたしの指示で、ポッチャマはミュウの入ったカプセルに向けて“バブルこうせん”を発射! 命中! そして爆発! 中の水のようなものがこぼれた。ぐったりとそこから転がり落ちるミュウ。そんなミュウを、ヒトミさんが素早く抱きかかえる。
「じゃ、もうここに用はないわ!! 逃げるよ!!」
「はい!!」
 ヒトミさんの一言で、あたし達はその場から逃げだした。
「逃がすな!!」
 ライラも黙っちゃいない。団員達が、あたし達を追いかけてくる!
「パチリスお願い!! “ほうでん”!!」
「チィィィィパ、リィィィィィィッ!!」
 すかさず、あたしはパチリスに呼びかけた。パチリスは、追いかけてくる団員に向けて思いっ切り“ほうでん”! 命中! 団員達はまとめて電撃でしびれた。これで時間稼ぎになる。その隙に、あたし達は研究室を別の出口から後にした。

「逃げられたか・・・」
 ライラは、あたし達が通った方向を見つめながらつぶやいた。
「リーダー、ただちに追跡します!」
 1人の団員がそう言って、何人かの団員を連れて走りだした。
「奴らは思った以上に厄介だ。こうなったらこちらも切り札を切らせてもらおう・・・あのカプセルを開けろ!」
 ライラは、ミュウの入っていたカプセルの隣にある、黒いカプセルを指差して言った。
「『セカンド』を出すのですか!? しかし、あれはまだ調整中ですし、ブロック・システムのナノマシンも・・・!」
「もう完成したも同然だ。それに、コントロールならフォースド・アーマーでできる」
「・・・はっ!!」
 ライラの指示通りに、残った団員は黒いカプセルの側で慌ただしく動き出した。
「あいつら相手なら、肩慣らしにはちょうどいい・・・フフフ、お前の最初の仕事は、裏切り者の始末だ・・・」
 ライラはニヤリと笑みを浮かべて、ゆっくりと開いていく黒いカプセルを見つめていた。
「さあ・・・目覚めよ、セカンド!!」
 カプセルの中に入っていた赤いものを見て、ライラは高らかにそう叫んだ。

 * * *

「ポッチャマアアアアッ!!」
「チュウウウウウッ!!」
 追いかけてくる団員とそのグラエナを、ポッチャマとピカチュウが迎え撃つ。そんな時、ヒトミさんが抱いているミュウが目を覚ました。
「気が付いた、ミュウ? もう心配はいらないからね! ここを出たら、すぐに森に返してあげるから!」
 ヒトミさんが優しくそう言うと、ミュウは安心した表情を見せた。
「エクリプス、“うたう”よ!!」
 エクリプスが前に出て自慢の歌声を聞かせる。それを聞いた団員達は、グラエナと一緒にたちまちまぶたが重くなって、次々と倒れていく。
「よし、一丁あがりっ!」
 ハルナが得意気に言った。
「じゃ、先に進むわよ! アユリ、出口はどのあたり?」
「このまま行けば出られます」
 ヒトミさんの質問に、アユリがそう答えた。これで、やっと逃げられる・・・あたしはほっとした。
「チパ」
 するとパチリスが突然、あたしの足をポンと叩いた。
「どうしたのパチリス?」
「チパ」
 あたしが聞いてみると、パチリスは何か手に持ってる。小さなボール?
「何なの、これ?」
 あたしは、それを手にとって見てみた。モンスターボールみたい。でも、色が違う。スイッチを押してみると、手の中に納まる大きさに膨らんだ。そのモンスターボールは、下半分は白だけど、上半分は紫の地に藤色の大きな丸が2つ付いて、真ん中に大きく『M』の字が書いてある。
「何このモンスターボール・・・?」
 初めて見る模様のモンスターボール。こんな模様のモンスターボールなんて、あったのかな?
「おーいヒカリ、何やってるんだ?」
 そんなサトシの声が聞こえた。見ると、みんなはもう先に行っちゃってる。
「あっ、ごめんごめん!」
 このモンスターボールの事は、ここを出たらサトシ達に聞いてみよっと。あたしは、紫のモンスターボールをとりあえずしまっておいた。

 * * *

 たどり着いた場所は、どこにでもありそうなポケモンバトルのフィールドがある体育館のような場所だった。
「ここは?」
「デザインポケモンの能力をテストする場所です。ここで、デザインポケモンの強さを検証しているんです」
 サトシの質問に、アユリが答えた。テストって事は、ここでバトルをさせているのかな。
「今は誰もいないみたいね」
 あたしはつぶやいた。周りには不気味なくらい人影はない。
「ここを通り抜ければ、出口はすぐです」
「じゃ、早く行きましょ」
 ヒトミさんを先頭にして、あたし達は道を急ぐ。
「・・・?」
 その時、アユリが急に足を止めた。
「どうしたのアユリ?」
 あたしが聞くと、アユリは1個のモンスターボールを取り出した。そのモンスターボールは、カタカタと激しく揺れていた。
「ルカリオが、何かを察知したようです」
 そんなモンスターボールを見つめながら、アユリは答えた。
「ルカリオが、波導で何かに気付いたのか?」
「はい。ですが、いつもよりも激しいです。これは・・・」
「まさか、何か嫌なものが来るとか・・・?」
 ハルナがそう言った、その時! あたし達の後ろから、突然青いボールが飛んできた!
「!!」
 それに気付いたあたし達は、慌てて足を止める。青いボールは、あたし達の横を通り過ぎて、あたし達の前の方で当たって爆発した!
「今のは・・・“はどうだん”!?」
「ああ、間違いない!」
 あのボールは、間違いなく“はどうだん”! サトシも同じ事を思ってたみたい。振り返ると、ズシンズシンと音を立てて、何かが歩いてくる!
「な・・・何、あれ!?」
 “はどうだん”を撃った張本人の姿を見て、あたし達は驚いた。だって・・・見た事もないポケモン・・・いや、ポケモンじゃないかもしれない。その姿はほとんどロボットみたいだったんだから! 血のように赤い機械のようなボディに、頭には赤い一つ目がギョロリと光っている。人型のように見えるけど、生き物っぽい緑色の細長い尻尾も見える。そんなポケモン(?)がズシンズシンと音をたててこっちに近づいてきてる! あたしの背筋に一瞬、寒気が走った。
「あれって・・・ポケモンなのか・・・!?」
「あたしにもわかんない・・・」
 サトシのつぶやきに、あたしはそう答えるしかなかった。
「あれは・・・!!」
 アユリの表情が変わった。
「知ってるのか?」
「ええ、開発中だったって聞いた、デザインポケモン・・・」
「やっぱりあれ、ポケモンなの?」
 あたしは念のため、そう聞いてみる。
「ええ、体を覆っている赤い部分は鎧です。強すぎるパワーをコントロールするための・・・」
 アユリが説明している間に、赤い鎧のポケモンは両手を突き出して、“はどうだん”を作り出した。そして、それをこっちに投げつけた!
「きゃあっ!!」
 直撃はしなかったけど、爆発であたし達は一気に弾き飛ばされた! そのまま転ぶあたし達。
「ポッチャマ! パチリス!」
 あたしはポッチャマとパチリスの状態を確かめた。2匹共転んでたけど、無事だった。
「お遊びはそこまでだ!!」
 すると、赤い鎧のポケモンの影からライラの姿が現れた!
「ライラ! そのポケモンは、まさか・・・!」
「そうだ。お前達を始末するために、最終調整中だった所を引っ張り出してきたのだ・・・」
 アユリの質問に、ライラは不気味に笑みを浮かべた。
「この私が、長年手塩にかけて作り上げたデザインポケモン、『セカンド』をな!!」
 ライラは高らかに叫んだ。
「セカンド・・・?」
 そんなポケモンがいるなんて、聞いた事がない。この赤い鎧のポケモンは一体何なの!?


TO BE CONTINUED・・・

[528] いつ見てもいいですね
佳奈美 - 2008年05月11日 (日) 18時01分

お久しぶりです、佳奈美です。
いつ見てもヒカリストーリー、いい出来ですね。
今書いているストーリー、もしかして以前言っていた『正攻法ではなく、違法な形で強さを追い求める者』っていう奴ですか。
もし、それだったら感激です。
自分の作品がこういう風に再現されるのはもう言葉では言い尽くせないほどです。
フリッカーさんもこれからヒカリストーリーの更新、頑張ってください。
それからヒカリストーリーの漫画化、おめでとうございます。
私もこれからヒカリストーリーとフリッカーさんを応援しますのでどうかよろしくお願いします。

追伸・私が今ここで描いている新しい小説更新中ですので見に来てください。

[529] SECTION06 覚醒! 謎のポケモン・セカンド!
フリッカー - 2008年05月12日 (月) 00時41分

 赤い鎧のポケモン、もといセカンドは、その赤い一つ目で、あたし達をにらみつけた。それを見たあたしの肌がピリピリした。何だか、セカンドの体から目に見えない何か嫌なものが出ている気がする・・・『殺気』とでも言えばいいのかな・・・?
「さあ・・・セカンド、お前の力を見せてみろ!! “サイコカッター”!!」
 ライラが指示すると、セカンドが動いた。右手を突き出して拳を握ると、拳から青く光る剣が伸びた! そして、そのままものすごいスピードでこっちに向かって来る!
「受けて立つぜ!! ピカチュウ、“アイアンテール”だ!!」
「ピッカアッ!!」
 サトシが真っ先に応戦した。ピカチュウが、尻尾に力を込めてセカンドに向けて振る! ガチンと、尻尾と刃がぶつかった! そのままつばせり合いになるのかと思ったら、セカンドは簡単にピカチュウを弾き飛ばした!
「何!?」
 動揺するサトシ。その隙を、セカンドは見逃さない。ものすごいスピードでピカチュウとまた間合いを詰めて、“サイコカッター”でピカチュウを容赦なく切り裂いた!
「ピカアアアッ!!」
 弾き飛ばされるピカチュウ。倒れたピカチュウは、もうかなりのダメージを受けていた!
「そんな・・・ピカチュウを一撃であんなに・・・なんてパワーなの!?」
 あたしの背筋に寒気が走った。


SECTION06 覚醒! 謎のポケモン・セカンド!


「・・・どうした? それで終わりか?」
 ライラが挑発するように笑う。
「ならポッチャマ、“バブルこうせん”!!」
 あたしも黙っていられない。思い切ってポッチャマに指示を出した。
「ポッチャマアアアアアッ!!」
 ポッチャマが“バブルこうせん”を発射! でも、セカンドは信じられない行動をした。左手からも“サイコカッター”を伸ばして、飛んで来る“バブルこうせん”を2本の刃を振り回して連続で切り裂いた! たちまち“バブルこうせん”は相殺されちゃった!
「そんな!?」
「“サイコキネシス”!!」
 そのままセカンドは念じ始めた。
「ポチャアアアアッ!?」
 ポッチャマの体が宙に浮いた。慌てて手足をジタバタさせるポッチャマ。セカンドは“サイコカッター”をしまって、右手を突き出してゆっくりと握るしぐさを見せた。
「ポチャアアアアッ!!」
 すると、ポッチャマの体も握られるように締め付けられ始めた! ポッチャマの体がアルミ缶を強く握った時のようにつぶれていくのがわかる。
「ポッチャマ!!」
 あたしが呼びかけても、ポッチャマはどうする事もできない。このまま握りつぶされちゃうの・・・!?
「ルカリオ、“あくのはどう”!!」
 その時、アユリがモンスターボールを投げた。出て来たルカリオは、セカンドに向けて“あくのはどう”を発射! 命中! セカンドがよろけたお陰で、ポッチャマは“サイコキネシス”から開放された。
「そう来るか・・・今回は、ブロック・システムは使わん。セカンド相手なら使うまでもないからな・・・」
 ルカリオを見たライラは余裕の表情を浮かべた。
「“でんげきは”!!」
 セカンドは右手を突き出してルカリオに向けて電撃を発射! 命中! しびれるルカリオだけど、それでも怯まない。
「“りゅうのはどう”!!」
 アユリの指示で、ルカリオは青い衝撃波を発射! でも、セカンドは右手から“サイコカッター”を伸ばして、ひと振りしただけでそれを相殺しちゃった! そして、そのままルカリオに突撃していく!
「“ボーンラッシュ”!!」
 すかさずルカリオも青いにょい棒で応戦する! たちまち激しいチャンバラが始まった! 2匹共激しく腕を振り回しながらにょい棒と刃をぶつけ合う。その動きは両方共互角に見える。そして、とうとうにょい棒と刃が正面からぶつかってつばせり合いになった! でもその時、セカンドは開いていた左手の拳から“サイコカッター”を伸ばして、切りつけようとした!
「危ない、ルカリオ!!」
 あたしは思わず叫んだ。それに気付いたルカリオは、とっさに後ろにステップをしてかわした。でもその時。また信じられない事が起きた。セカンドは、右手を思い切り突き出したと思ったら、右手から伸びていた“サイコカッター”がルカリオに向けて飛んで行った! 予想外の動きに、ルカリオはよける事ができなかった。直撃! そして爆発! 弾き飛ばされるルカリオ。
「あいつ、“サイコカッター”を投げられるの!?」
 ハルナが驚いて叫んだ。
「なら、あたしが!! キャプチャ、オンッ!!」
 ヒトミさんがミュウをタケシに無理やり預けて、前に出た。右腕のバトナージ・スタイラーを構えて、セカンドに向けてディスクを発射した!
「精神集中・・・バトナージッ!!」
 そう叫んで、人差し指と中指を立てた右手をひと振り。ディスクはセカンドの周りを回り始めて、輪を作り出す。でも、セカンドは両手から“サイコカッター”を出して、一気に刃を振って輪を一瞬の内に切り裂いた!
「くっ!!」
 ヒトミさんが唇を噛んだ。
「なら、フカマル!!」
 ヒトミさんは一旦ディスクをバトナージ・スタイラーに戻した後、フカマルを呼んだ。やってきたフカマルは、ふたが開いたディスクの中に吸い込まれた。ディスクの色が青くなる。
「ポケアシストで、どう!!」
 もう一度ディスクを発射! 発射された青いディスクは、真上からセカンドに向けて落ちた。そこに、たくさんの流星が降って来た! それを受けたセカンドは、身動きが取れなくなった!
「この隙にっ!! バトナージッ!!」
 ヒトミさんはもう一度人差し指と中指を立てて、右手をひと振り。ディスクはまたセカンドの周りを回り始めて、輪を描き出した。
「このおおおおおっ!!」
 ヒトミさんの叫びに答えるように、ディスクはスピードを増していく。そして、輪がセカンドの体に吸い込まれた・・・と思ったら、セカンドは両腕でそれを思い切り跳ね飛ばした!
「ああっ!! あとちょっとだったのに!!」
 ハルナが声を上げた。
「フフフ、そんなこさくな手はセカンドには通用しない」
 ライラがニヤリと笑った。
「やっぱりキャプチャも一筋直じゃ行かないのね・・・!」
 さすがのヒトミさんも唇を噛むしかなかった。
「強い・・・!」
 あたしは、思わずそうつぶやいた。そうしている間にも、セカンドは右手の“サイコカッター”を突き出して、ルカリオに向けて突撃する!
「ルカリオ、“ボーンラッシュ”!!」
 とっさに指示を出すアユリ。体勢を立て直したルカリオは、にょい棒でもう一度“サイコカッター”を受け止めた!
「今だ!! “はどうだん”!!」
 そんな時、セカンドは左手をルカリオに向けて、至近距離で“はどうだん”を発射! よけられる訳ない! “はどうだん”は容赦なくルカリオに命中して、爆発! 弾き飛ばされるルカリオ。そこに、セカンドは“サイコカッター”を振り上げて追い討ちしようとする! ルカリオは立ち上がろうとするけど、間に合わない! その時、タケシが抱いていたミュウが、ヒトミさんの腕から飛び出した!
「ミュウ!?」
 ヒトミさんが驚いてる間に、ミュウはセカンドに向けて念じ始めた! “サイコキネシス”だ! セカンドはたちまち動きを封じこまれて、宙に浮く。そして、ミュウはそのままセカンドを投げ飛ばした! 地面に叩きつけられるセカンド。
「ミュウ!?」
 ミュウの予想外の行動に、あたし達は驚いた。
「どうやらミュウも、あいつらにうっぷんが溜まっていたようね」
 ヒトミさんがつぶやいた。立ち上がるセカンドと、にらみ合うミュウ。
「ほう、お前が相手か・・・おもしろい!」
 ミュウを見たライラが笑みを浮かべた。
「“はどうだん”!!」
 ライラの指示で、セカンドは両手を構えて“はどうだん”の発射態勢に入った! すると、ミュウも両手を構えて“はどうだん”を作り出した! そして、2匹は同時に“はどうだん”を投げつけた! 2つの“はどうだん”は正面からぶつかり合って、大きな爆発を起こした!
「うっ!!」
 爆風が、こっちにも吹き付けてくる。あたしは、思わず腕で顔を遮った。すると、煙を突き破ってセカンドが“サイコカッター”を使って飛び込んできた! 素早く“サイコカッター”のひと振りをよけたミュウは、長い尻尾に力を込めて、セカンドの頭にぶつけた! “アイアンテール”だ! 一瞬よろけたセカンドだけど、それでも怯まない。左手で“はどうだん”を至近距離でミュウに撃った! 直撃! 効果は今ひとつだけど、弾き飛ばされるミュウ。でも、ミュウも反転して“かえんほうしゃ”! 直撃! そんなバトルが、いつまでも続くように見えた。
「ルカリオ、大丈夫ですか?」
 アユリがルカリオの側に行って、状態を確かめる。何とか無事だった。
「ポッチャマ!!」
 あたしも、ポッチャマの側に行った。ポッチャマはよろりと立ち上がった。思ってたよりダメージは大きいみたい。
「やはりセカンドは、一筋直じゃいかない相手のようですね・・・」
 ミュウとバトルを繰り広げるセカンドを見て、唇を噛むアユリ。
「わざを見ただけじゃ、タイプも何なのかわからない・・・せめてタイプさえわかれば・・・」
 タケシも唇を噛んでいた。
「あたし達で、勝てるの・・・?」
 あたしも、不安になってそうつぶやいた。セカンドはあのダイノーズよりもかなり強い。前のダイノーズの時のように、うまく行く気がしない。セカンドの体から出る『殺気』に、押し潰されそうになった。
「そんなもので、あたしがあきらめると思う?」
 そんなあたしとアユリに、ヒトミさんが来てそう言った。
「そうさ!! 俺達で力を合わせれば、セカンドも倒せるはずさ!! 俺達は、そうやっていろんな事乗り越えてきたじゃないか!!」
 サトシも強気で言った。
「ヒカリさんのためなら、ハルナもやります!!」
 ハルナも、強気だった。
「・・・ポチャ!!」
 ポッチャマも、まだやる気みたい。
「みんな・・・うん!!」
「そう言うのなら、皆さんを信じましょう!!」
 そんなみんなに勇気をもらったあたしとアユリは、改めて正面からセカンドをにらんだ。
「“でんげきは”!!」
 セカンドの“でんげきは”で、ミュウが捕まっちゃった! 電撃に苦しめられるミュウに、セカンドはそのまま左手の拳から“サイコカッター”を伸ばして、ミュウに切りかかろうとする! 危ない!
「ポッチャマ、“バブルこうせん”!!」
「ポッチャマアアアアアッ!!」
 とっさにあたしは指示した。ポッチャマの発射した“バブルこうせん”は、見事命中! セカンドを止められた!
「ピカチュウ、“10まんボルト”!!」
「ピィィィィカ、チュウウウウウッ!!」
 続けてピカチュウが自慢の電撃を発射! 直撃! 思わず後ずさりするセカンド。
「ミュウ、俺達も助太刀するぜ!!」
 驚いて振り向いたミュウに、サトシが力強く言った。ミュウの横に、ポッチャマ、ピカチュウ、エクリプス、ルカリオが並んで、身構えた。
「・・・何だか、大乱闘ができそうなメンバーね」
「は?」
 それを見たヒトミさんの言葉に、タケシは首を傾げた。フカマルとグレッグルも並んで身構える。
「構わないぞ、2匹でも、3匹でも、それ以上でも・・・!!」
 ミュウ以外の6匹のポケモンを見ても、ライラは余裕の表情。
「セカンドの攻撃はどれも強力です。攻撃を確実にかわして攻撃のチャンスを作りましょう!」
「うん!!」
 アユリの言葉を聞いて、あたし達はうなずいた。
「ルカリオ、“はどうだん”!!」
「エクリプス、“みずのはどう”!!」
 真っ先に攻撃したのはルカリオとエクリプス。“はどうだん”と“みずのはどう”を同時に発射! でも、セカンドは両手の“サイコカッター”で、“はどうだん”も“みずのはどう”も簡単に相殺した! そのまま2匹に迫ってくる!
「よけて!!」
 2人の声が合わさった。ルカリオはジャンプして、エクリプスは『回転』をかけて、“サイコカッター”のひと振りをうまくかわした!
「逃がすな!! “でんげきは”!!」
 すかさずセカンドはルカリオに向けて左手を突き出して、“でんげきは”を撃とうとする!
「フカマル、フォローして!!」
 そこに、ヒトミさんの指示でフカマルがルカリオの前に飛び出した! “でんげきは”を生身で受け止めるフカマル。じめんタイプだから、でんきわざは全く効かない。
「“ドラゴンクロー”!!」
 フカマルは、ツメに力を込めてセカンドに突き立てた! 命中! 反動で後ずさりするセカンド。
「今だピカチュウ、“ボルテッカー”!!」
「ピカピカピカピカアアッ!!」
 その隙を突いて、ピカチュウが“ボルテッカー”で突撃していった! セカンドは左手からも“サイコカッター”を伸ばして、両手の刃で応戦する! セカンドと電気を纏ったピカチュウは正面からぶつかり合った! そのまま押し合いになるかと思ったら、大爆発! ピカチュウとセカンドは反動で互いに後ろに下がった。
「今よポッチャマ、“つつく”!!」
「ポチャアアアアッ!!」
 今がチャンス! そう思ったあたしは、ポッチャマに指示を出した。ポッチャマはクチバシに力を込めて、セカンドに向かっていく!
「グレッグル、“かわらわり”!!」
 グレッグルも腕に力を込めてポッチャマに続く!
「“サイコキネシス”!!」
 でもセカンドはライラの指示で、“サイコキネシス”を使って近づこうとしたポッチャマとグレッグルを簡単に弾き飛ばした!
「ポチャアアアッ!!」
 一気にあたし達の前まで弾き飛ばされたポッチャマとグレッグル。そこに、ミュウが“かえんほうしゃ”でセカンドを攻撃! でも、セカンドはそれをジャンプしてよけて、“はどうだん”を発射! 直撃! 弾き飛ばされるミュウ。
「束になってかかってこようが、セカンドは倒せん! “サイコキネシス”!!」
 セカンドが体に力を込めて“サイコキネシス”を出すと、ポケモン達だけじゃなくて、あたし達までも一気に突き飛ばされたように弾き飛ばされた!
「きゃあっ!!」
 背中から倒れるあたし達。そんなあたし達に、ズシンズシンと音を立てながらセカンドが近づいてくる。体から出て来る『殺気』が、またあたしを襲った。やっぱりあたし達、負けちゃうの・・・? 嫌でもそう思っちゃって、怖くなってきた。
「これでも、お前達は続けるか?」
 ライラが挑発するように言う。
「・・・もちろん!!」
 それでも、ヒトミさんは笑みを浮かべて答えた。
「最後まであきらめなければ、不可能な事なんてない!!」
 ヒトミさんは立ち上がって、そう言い放った。
「なら、思い知らせてやろう。その判断は間違いだとな! “サイコカッター”!!」
 ライラの指示で、セカンドは右手から“サイコカッター”を伸ばして、こっちに一気に近づいてくる! あたしに怖さは頂点に達した。
「ああっ・・・!! ポッチャマッ、“バブルこうせん”っ!!」
 怖くなったあたしは、思わずそう叫んでいた。
「ポッチャマアアアアッ!!」
 それに答えて、ポッチャマが“バブルこうせん”を発射! “バブルこうせん”は、セカンドの頭に命中! そして爆発! すると、セカンドの動きが急に止まった。
「・・・?」
 あたし達は目を疑った。何があったかわからないけど、セカンドはその場で立ち往生してる。
「む!? どうしたセカンド!! なぜ攻撃しない!!」
 ライラが叫んでも、セカンドは立ち往生したまま。
「何が起こったんだ!?」
 サトシは目の前の光景に、目を丸くしていた。
「・・・見て、あいつの頭!」
 ハルナがセカンドの頭を指差して、声を上げた。見ると、赤い一つ目の赤い光が消えていて、頭の部分には火花が走っている。
「そうか! 目の部分が壊れて、前が見えなくなってるのよ!」
 あたしは、すぐにわかった。あの鎧がどんな構造になってるのかは知らないけど、あの一つ目が壊れて、前が見えなくなったから立ち往生してるんだ!
「偶然もチャンスに変える生き方が好きってね! みんな、これを利用しない手はないわよ!!」
 ヒトミさんが声を上げた。
「ああ、わかってるさ!! みんな!!」
「ええ!!」
 サトシの一言で、あたし達もすぐに立ち上がった。これなら、いける! さっきの怖さは、どっかに吹っ飛んでいった。
「行くわよ、ポッチャマ!!」
「ポチャッ!!」
 あたしが呼びかけると、ポッチャマははっきりとうなずいた。
「ポッチャマ、最大パワーで“うずしお”よ!!」
「ポォォチャアアアアアッ!!」
 あたしは思い切り指示した。ポッチャマは“うずしお”を作り出して、立ち往生してるセカンドに向けて投げた! セカンドはよける行動をしないまま、水の渦に飲み込まれた! これなら、向こうは身動きが取れない!
「エクリプス、“ころがる”!!」
 エクリプスが、水の渦に“ころがり”ながら飛び込んだ! 飛び石のように水の渦の上を走っていって、セカンドに体当たり! 直撃! そして反転してもう1発! これも直撃! 手ごたえある!
「グレッグル、“かわらわり”だ!!」
 そこに、グレッグルが水の渦を飛び越えて、セカンドの頭にチョップをお見舞いした! 直撃! 2匹はジャンプして水の渦を飛び越えて離れる。
「ピカチュウ、“かみなり”だ!!」
「ピィィィィカ、チュウウウウウッ!!」
 そこに、ピカチュウが“かみなり”をお見舞いした! 直撃! 周りが水だから、効果は倍になってる!
「さあ、奥の手いくわよフカマル!! “りゅうせいぐん”!!」
 フカマルがあごに力を込めると、フカマルの口の中が光りだした。そして、吐き出すように思い切り口を開けると、口からいくつもの流星がセカンドに向けて飛んでいった! 流星は次々とセカンドに命中! そして爆発! その衝撃で、“うずしお”が壊れた。
「とどめを刺すには、あれを使うしかないようですね・・・!」
 アユリがつぶやくと、ルカリオはコクンとうなずいた。あれって?
「波導の力を一点に集中させるのです!! “はかいこうせん”!!」
 アユリが思い切り叫ぶと、ルカリオは頭の上に上げた両手を合わせる。両手の間が青く光ったと思うと、そのまま両手を強く突き出して、青くてセカンドを飲み込もうとするほど太い光線をセカンドに向けて発射! 光線はセカンドに向けてどんどん伸びていく! 直撃! そして大爆発! フィールドを覆いつくすほどの爆風が広がった。
「す、凄い威力・・・」
 吹き付けてくる爆風を腕で遮りながら、あたしはそのパワーにあっけに取られていた。
「波導の力で、“はかいこうせん”のパワーを高めているのか・・・」
「まさしく、“はどうのあらし”って奴ね・・・」
 タケシとヒトミさんが、そんな事をつぶやいた。煙が晴れると、セカンドが姿を現した。赤い鎧はボロボロになっていて、ところどころから煙が上がっている。火花も走っている。そんな状態のセカンドは、よろりと地面に膝を付いた。
「やったか!?」
 サトシが声を上げた。すると、セカンドの赤い鎧が、ボロボロと崩れ落ち始めた。
「フフフ・・見事だ。セカンドのフォースド・アーマーを破壊するとは・・・!」
 ライラがニヤリと笑った。赤い鎧が外れていくと、その中身が見え始める。白くて細い生き物のような体に、緑色の長い尻尾が伸びている。そして、最後に頭を覆っていた鎧がその場に転げ落ちた。
「・・・!!」
 その素顔を見て、あたし達は驚いた。その顔は、どこかミュウを髣髴とさせる顔。でも、ミュウより顔の形も目も鋭くて、全然かわいくない。むしろ、怖い。体も形も合わせて、その姿はまるでSF映画に出てきそうな宇宙人。素顔を現したセカンドは、ゆっくりと立ち上がる。
「ウウウウウ・・・オオオオオオオオッ!!」
 セカンドは突然、そんな叫び声を上げた。その叫び方は普通じゃない。まるで狂ったようだった。
「な、何、あれ・・・!?」
 あたしはそんなセカンドの姿を見て、鎧を着けてた時を見た時よりも怖さで肌がピリピリしてきた。
「あのポケモンは・・・ミュウツー!!」
 サトシが声を上げた。
「そうだ・・・これがセカンドの素顔、『ミュウツー・セカンド』だ!!」
 ライラが高らかに叫んだ。すると、セカンドが右手を突き出したと思うと、目が光った。途端に、あたし達の体が宙に浮き始めた! “サイコキネシス”だ!
「うあ・・・っ!!」
 強く体を締め付けられて、あたしの体は力を入れても全然動かない!
「カアアアアアアアッ!!」
 そんな叫び声を上げて、セカンドは突き出した右手を思い切り振った!
「きゃああああっ!!」
 途端に、あたし達はものすごい勢いで投げ飛ばされた! 地面に思い切り叩きつけられるあたしの体。何だか、さっきよりもパワーアップしてる気がする・・・!?
「間違いない・・・色は少し違うが、間違いなくミュウツーだ!!」
 タケシも声を上げた。
「ミュウツー・・・?」
 ミュウツーって何なの? あたしはポケモン図鑑を取り出した。
「ミュウツー、いでんしポケモン。ミュウの遺伝子を組み替えて生み出された。ポケモンで一番凶暴な心を持つという」
 図観の音声が流れた。
「ポケモンで一番、凶暴な心・・・」
 その言葉が、あたしをもっと怖くした。
「フォースド・アーマーは、強すぎるパワーを制御するためのものだ。それが破壊されたという事は、その封印された力を、解放する時なのだ!!」
 そう叫ぶライラの顔も、どこか狂ったような表情をしていた。
「ウウウウウウオオオオオオオ・・・ッ!!」
 セカンドがまた“サイコキネシス”で念じ始めた! すると、周りの建物がミシミシと音を立て始めた! 天井から、くずがどんどん落ちてくる。
「な、何!?」
 あたし達は辺りを見回す。すると、建物の壁や天井にひびが入り始めた! まさか・・・崩れるの!?
「崩れるわ!! みんな、逃げるわよ!!」
「は、はい!!」
 細かい事を考えてる暇はなかった。ヒトミさんの指示で、あたし達は一斉に逃げ出した。

 すぐ側にあった出口から外に出ると、アジトが大地震にでもあったかのように、一気に音を立てて崩れ始めた! クリエイショニストのアジトは、たちまち瓦礫の山になった。そんな信じられない光景を見て、あたし達は呆然とするしかなかった。
「これって・・・セカンドの力が壊したって言うの・・・!?」
 ヒトミさんが、そんな事をつぶやいた。すると、瓦礫の中から1つの影が空に飛び出した。セカンドだ! セカンドは瓦礫の上の空に浮遊して、あたし達をにらみつけた。
「ハアアアアアアッ!!」
 セカンドは、こっちに両手を向けて、両手から“はどうだん”をこっちに連射してきた! 雨のように降り注ぐ“はどうだん”。
「きゃああああっ!!」
 あたし達は、ポケモン達もろともそれをもろに受けちゃった! たくさんの爆発が、あたし達を包み込んだ。弾き飛ばされて、地面に倒れるあたし達。体中が、痛い・・・!
「うっ・・・ポッチャマ、“バブルこうせん”!!」
「ピカチュウ、“10まんボルト”だ!!」
 このままじゃやられる・・・! あたしとサトシは指示を出した。
「ポッチャマアアアアッ!!」
「ピィィィィカ、チュウウウウウッ!!」
 ポッチャマとピカチュウが、セカンドに向けて攻撃! でも、セカンドはそれをかわして、ポッチャマとピカチュウにまた“はどうだん”を連射!
「ポチャアアアアアッ!!」
「ピカアアアアッ!!」
 それをもろに受けたポッチャマとピカチュウは、たちまち弾き飛ばされた! そのまま倒れこむ2匹。
「そんな・・・ポッチャマ!!」
「ピカチュウ!!」
 あたし達が呼びかけても、ポッチャマとピカチュウは立ち上がらない。まさか、戦闘不能・・・!?
「グレッグル!!」
「エクリプス!!」
 タケシとハルナの指示で、グレッグルとエクリプスがセカンドに向けて飛び出した!
「ハアッ!!」
 でも、セカンドはその2匹を“サイコキネシス”でボールを打ち返すように簡単に弾き飛ばした!
「ああっ!!」
 思わず声を上げる2人。グレッグルとエクリプスも、その場に倒れて動かなくなった。
「カアアアアアアアッ!!」
 すると、セカンドは今度は右手から“でんげきは”を発射! その飛んでいく先は、サトシ!
「ぐわああああっ!!」
 悲鳴を上げるサトシ。そのままサトシは、バタリと倒れこんだ。
「サトシッ!!」
 思わずサトシに顔を向けたあたし。すると、セカンドの目があたしに向いた!
「!!」
「カアアアアアアアッ!!」
 気付いた時にはもう手遅れ。セカンドが、こっちに向けて“でんげきは”を発射! こっちに飛んで来る電撃。間に合わない!
「ポチャマアアアアッ!!」
 その時、そんな声が聞こえたと思うと、あたしの体が誰かに思い切り突き飛ばされた!
「ポチャアアアアアアッ!!」
 突然の行動にあたしが驚く間もなく、そんな悲鳴が聞こえた。そして爆発! まさか・・・ポッチャマ!?
「ポッチャマ!?」
 あたしが振り返ると、そこには倒れたポッチャマが。体からは煙が上がっている。まさか、ポッチャマがあたしを・・・!?
「ポッチャマ!!」
 あたしはすぐにポッチャマの側に行って、ポッチャマを抱き上げた。
「ポ・・・チャ・・・・・・」
 ポッチャマはそう弱く答えた後、ガクリとあたしの腕の中で倒れた。
「ポッチャマ!? ポッチャマ!! しっかりして!!」
 あたしはポッチャマに呼びかける。でも、返事がない。これは、『戦闘不能』ってレベルじゃない。まさか、ポッチャマは・・・!
「カアアアアアアアッ!!」
 そんな時、セカンドが“でんげきは”をあたしに向けて発射した! 気が付いた時には、もう電撃はすぐ側まで来ていた!
「きゃあああああっ!!」
 電撃があたしの体を走った。そして、体の力が抜けて、意識もどんどん遠くなっていった。そのまま、あたしは倒れて気を失っちゃった・・・

「フフフフフ・・・すばらしい・・・これぞ、私の求めていたポケモンだ!! ロケット団の頃からの私の望みだ!!」
 ライラがそんな様子を、宙に浮いたダイノーズに乗って見届けていた。
「フフフフフ・・・アッハハハハハハハハ!! ア〜ッハハハハハハハハ!!」
 瓦礫の山の上に、ライラの高笑いが響き渡った。


STORY13:THE END
THE STORY IS CONTINUED ON STORY14・・・

[530] 次回予告
フリッカー - 2008年05月12日 (月) 00時42分

 ミュウツー・セカンドの攻撃で、大ケガをしちゃったポッチャマ・・・

「ごめん、ポッチャマ・・・あたしがしっかりしてなかったから・・・あなたをこんな目に・・・!」
「もっと・・・強くなれたら・・・!」

 そんな時に、ヒトミさんが手を差し伸べた。

「その気持ち、あたしもわかるよ」
「・・・え?」
「それなら、あんな事につられちゃうのもわかる。でも、それは『現実逃避』になるんじゃないの?」
「現実、逃避・・・」

 そこに容赦なく迫り来るミュウツー・セカンド!

「フフフ・・・誰もセカンドを止める事はできん!!」
「あんたなんかにこの森を・・・ヒカリの夢を壊させはしない!!」

 あたし達は、どうなっちゃうの・・・!?

 NEXT STORY:強さの代償(第3部)

「あたし・・・もう逃げない!!」

 COMING SOON・・・



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