[328] FINAL SECTION 決戦! 夢の続きへ! |
- フリッカー - 2008年02月27日 (水) 19時23分
「う・・・っ!」 あたしは、何とかして立ち上がろうとした。でも、体がなかなか言う事を聞いてくれない。何とか立ち上がったけど、体は痛いし、頭もふらふらする。またあんな攻撃を受けちゃったら、もう立てなくなりそう。 「ヒカリさん!! 負けないでください!!」 ハルナの、そんな焦った声が聞こえてくる。 「ヒカリ!!」 すると、遠くから聞きなれた声が聞こえてきた。見ると、客席には今まで操られたポケモントレーナー達と戦っていたサトシ達の姿が。結構疲れてる様子。 「今行くからな!! ピカチュウ、“10まんボルト”!!」 サトシの指示で、ピカチュウはステージに向けて“10まんボルト”を発射! でも、それはステージを覆っているダメージバリアーに簡単に止められた。 「そんな!?」 「おや、どうやら味方が来たようですね・・・でも、手出しは無用ですよ」 驚くサトシを尻目に、メイルは横目でサトシ達に言った。 「ヒカリをああしておいて、そんな訳にはいかない!! ニャルマー、“シャドークロー”!!」 ノゾミがそう言い返して、ニャルマーに指示した。ニャルマーは、“シャドークロー”をダメージバリアーに突き立てようとする! 「グレッグル、“かわらわり”だ!!」 続けてグレッグルも、右手に力を込めてダメージバリアーに向けて振る! でも、ダメージバリアーに触れた瞬間、2匹の体に赤い火花が走った! 弾き飛ばれる2匹。 「くそっ、ダメか・・・!!」 「無駄ですよ。このダメージバリアーは、ポケモンの攻撃で簡単に壊す事はできません。それよりも、あなた達には別に戦うべき相手がいるのではないですか?」 メイルがニヤリと笑った時、ドアから操られたポケモントレーナー達が、ポケモン達を引き連れてなだれ込んできた! 「くそっ、こんな時に!!」 サトシが唇を噛んだ。3人は操られたポケモントレーナー達の方に振り返る。 「みんな・・・」 みんなからの援護は期待できない。もう、あたしはどうしたらいいの・・・?
FINAL SECTION 決戦! 夢の続きへ!
「よそ見をしていていいのですか?」 そんなメイルの声が聞こえた。見ると、ジバコイルが4匹の前に飛び込んで来る! 「エテボース、“きあいパンチ”!!」 慌ててあたしは指示を出した。エテボースが、尻尾の拳でジバコイルを迎え撃つ! 当たれば効果は抜群! でも、ジバコイルはスラリと流れるようにかわした。やっぱりコンピューターの仕業・・・! 「ミミロル、“ピヨピヨパンチ”!! パチリス、“スパーク”!! ポッチャマ、“つつく”!!」 でも、連続で攻撃すれば1回くらい! そう思ったあたしは、残った3匹にも指示を出した。まずはミミロルがジバコイルに踊りかかる! 「無駄な事を・・・」 メイルが余裕そうにつぶやいた。ミミロルの拳を、ジバコイルはかわした。そこに、パチリスが飛び込む! でも、それもかわされた。 最後はポッチャマ! でも、それもまた簡単によけられた。 「そんな・・・!!」 連続攻撃も通用しないなんて・・・ 「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、とでも思ったのですか? 本当に下手な鉄砲は、どんなに撃っても当たらないのですよ。“マグネットボム”!!」 メイルの口元が笑った。ジバコイルが“マグネットボム”を連射! 「みんな、よけて!!」 あたしは反射的にそう声を出していた。4匹は、体にスピンをかけてかわそうとする。でも、“マグネットボム”は4匹の動きを追いかけるように動いた。 「ミミィッ!!」 「チパァッ!!」 「エイポォッ!!」 「ポチャアッ!!」 命中! 悲鳴を上げる4匹。そして、あたしのすぐ横に弾き飛ばされた。そのまま、4匹はダメージバリアーにぶつかった! 「ミミィィィィッ!!」 「チパアアアアッ!!」 「エイポォォォォッ!!」 「ポチャアアアアアアッ!!」 4匹の体に赤い火花が走った。そして、4匹は力なくダメージバリアーから離れて、倒れた。 「みんな・・・!!」 あたしは思わず叫んだ。みんなのダメージはかなりのもの。このままじゃ・・・! あたしの心が焦った。 「いつまでもそんな戦法では通用しませんよ。何かいい方法がひらめいたりしないものですか・・・?」 挑発するようにメイルが言う。確かに、このままじゃこっちが負けちゃう。でも、何も思い浮かばない・・・! なおさら心が焦る。 「まあ、あなたなら当然でしょうね。広大な川の流れを生身でせき止めようとする者は、やがて自らの愚かさに気付くのです。その流れを変える事などできません。人はそれを、『運命』というのですよ・・・」 「!!」 運命。その言葉が、あたしの心に深々と突き刺さった。 「ポチャーッ!!」 「ミミーッ!!」 「チパーッ!!」 「エイポーッ!!」 それでも4匹が、負けじと一気にジバコイルに飛び掛った! 「“ほうでん”!!」 でもそれも、ジバコイルの“ほうでん”の一撃で簡単に弾き飛ばされた! 「ミミィィィィッ!!」 「チパアアアアッ!!」 「エイポォォォォッ!!」 「ポチャアアアアアアッ!!」 悲鳴を上げて倒れる4匹。みんなの体力は、もうやばい・・・! 「あなたは所詮、そこまでなのですよ。それが、あなたの限界なのです・・・!」 あたしは完全に動揺していた。メイルに何も言い返せない。すると、ジバコイルが黄色のボールを作り始めた。あれって・・・! 「さあ、絶望しなさい・・・あなたの力に・・・!! “でんじほう”!!」 メイルが右手を横に振った。ジバコイルは、黄色のボールを発射した! そのボールは、どんどんあたしに近づいて来る! 「あ・・・ああ・・・!!」 あたしはもう、体が動かなくなっていた。どんどんボールが近づいてくる・・・! 「ポ・・・ポチャマーッ!!」 ポッチャマのそんな叫び声が聞こえた。そして! 「きゃあああああああっ!!」 “でんじほう”は容赦なくあたしに襲い掛かった! 体に強い電流が走った。パチリスのものとは、比べ物にならない。そして、よろけたあたしの背中は、ダメージバリアーにも触れた! 「ああああああああっ!!」 赤い火花があたしの体に走った。“でんじほう”と合わせて、今までに経験した事もない痛みがあたしの体を襲う! 「ヒカリさん!!」 「ヒカリ!!」 みんなの絶望した声が聞こえた。 「ああ・・・あ・・・・・・」 体が、ダメージバリアーから離れる。体の力が、完全に抜けた。もう声を上げる事もできなくなった。あたしの体は、力なく前に倒れた。もう立ち上がる気力もない。 「もうあきらめたらどうですか? あなたに、もはや勝ち目はありません。降参するならそれもかまいませんが?」 メイルの声が聞こえる。降参・・・もう、あたし達に勝ち目はない・・・なら、ここで降参しちゃえば、あたし達は助かるかも・・・ 「わ、かった、わ・・・あ、たし・・・こう・・・」 完全にあきらめたあたしは、「降参する」って言おうとした。 「ポチャッ!!」 そんな声が、あたしの声を掻き消した。見ると、ポッチャマがあたしの前にぎこちない足取りで出ている。まさか、こんなになってもまだ戦うつもり・・・!? 「ポッチャ、マ・・・?」 「ポ・・・チャマーッ!!」 ポッチャマは、苦しそうだけど思い切り息を吸い込んで、“バブルこうせん”を発射! でも、パワーがない。“バブルこうせん”はジバコイルの目の前まで来て、消えちゃった。 「おやおや、まだやる気がある事は認めますが、そんなものでは“わるあがき”も当然ですよ? “10まんボルト”!!」 ジバコイルは、そんなポッチャマに容赦なく“10まんボルト”で攻撃! 「ポチャアアアアアアッ!!」 効果は抜群! 悲鳴を上げて、あたしの目の前に倒れるポッチャマ。それでも、ポッチャマは立ち上がろうとする。このままじゃ、ポッチャマが・・・! 「ポッチャマ・・・もう・・・やめ、て・・・」 あたしは、ポッチャマに力の限り手を伸ばした。 「ポ・・・チャ・・・?」 ポッチャマが、こっちを向いた。 「もう・・・あたし達、に・・・勝ち目、なんて・・・」 あたしがそう言い掛けた時だった。 「ポチャッ!!」 すると、ポッチャマは首を思い切り横に振った。まるで、それはダメって言ってるみたいに。 「ポッチャマ・・・?」 「ヒカリさん!! ダメです!!」 すると、ハルナの声が聞こえてきた。 「さっきから言おうとしてた事ですけど、ポッチャマはコンテストパスを取り返して、ヒカリさんに元気になって欲しいんです!! また、一緒にコンテストに出たいんです!! だから、それに答えてあげてください!!」 「え・・・?」 あたしは、その言葉に耳を疑った。あたしが視線を戻すと、そこにはボロボロのポッチャマがいた。すると、ポッチャマはあたしが伸ばした手に手を置いた。 「・・・!」 その手に、あたしは暖かいものを感じた。 「ポチャ、ポチャマ・・・!」 ポッチャマは強い眼差しで、首をはっきりと横に振った。 「あきらめちゃ・・・ダメ・・・?」 あたしには、そう言っているような気がした。そのポッチャマの瞳の向こうに、あたしはポッチャマとの思い出がフラッシュバックした。
あたしとポッチャマが出会った、あの日。たまたま機嫌を崩したポッチャマを探しに行っただけだけど、その時に起こったハプニングで、あたし達は意気投合した。そして、あたしは最初のポケモンにポッチャマを選んだ・・・
ポッチャマと練習した、最初の演技。最初はなかなか決まらなかったけど、ロケット団にピンチに追い込まれた時、あたしの思いにポッチャマは答えてくれた。そして、あたし達は一緒に喜んだっけ・・・
ミミロルやパチリス、ブイゼルとの出会い。みんなを仲間に加えられたのも、ポッチャマのお陰。そして、ポッチャマはみんなの中心として、いつもがんばっていたっけ・・・
コトブキシティでの、初めてのコンテスト。ここでも、ポッチャマはあたしの力になってくれた。この時は優勝できなかったけど、次のソノオ大会の時は、“うずしお”を覚えて、あたし達は優勝できた・・・
そう・・・どんな時にも、どんな場所でも、ポッチャマはあたしの力になってくれた・・・優勝できなかったヨスガ大会でも、タッグバトル大会でも・・・あたしを、いつも信じてくれた・・・
「ポッチャマ・・・あたしの、ために・・・?」 今、ポッチャマはそんなあたしのために、がんばろうとしてる・・・あたしを信じてきたから・・・これからもあたしと一緒に、がんばっていきたいから・・・ すると、あたしの手に、また別の手が3つ重なった。見ると、ポッチャマの周りには、ミミロルとパチリス、エテボースがいた。 「みんな・・・?」 6つの瞳に、ポッチャマと同じで何か強いものを感じた。 「ポチャ、ポッチャマ・・・ポチャマ・・・!」 そう言って、ポッチャマが胸をポンと叩いた。 「僕達は、まだやれる・・・僕達を、信じて・・・?」 あたしは、何だかそう言っているような気がした。それは他の3匹も同じようだった。そして、ポッチャマは言った。 「ポチャ、ポ〜チャ・・・!!」 ダイジョウブ。最近忘れかけていたその言葉を、ポッチャマはあたしに言った。その言葉に、今まで誰に励まされても動かなかったもう1人のあたしが動いた。まだ、全部終わった訳じゃない・・・こんな結末でいい訳ない・・・! 旅に出たばかりの頃の自分が、あたしにそう言った。 「・・・ありがとう」 あたしは左手を伸ばして、みんなの手の上に重ねた。すると、みんなの顔に笑みが浮かんだ。 「最後の挨拶は済みましたか?」 そんなメイルの声が、あたし達を現実に引き戻した。でも、あたし達は迷わなかった。あたしは、みんなの上に重ねた左手をグッと握った。 「確かに、あたしはまだダメかもしれない・・・でも、そんなままじゃあたしは嫌・・・!!」 みんなからもらった勇気が、あたしに力をくれた。あたしの体に、力が入ってくる。 「あたしはまだ、コンテストをやりたい・・・コンテストをあきらめたくない・・・だから、負けられない・・・!!」 あたしのボロボロの体が、ゆっくりと自然に立ち上がる。 「・・・!!」 その様子に、メイルは驚いていた。 「ポッチャマ・・・みんな・・・まだついて来てくれるなら、あたしに力を貸して!!」 あたしの体に、熱いものがよみがえってきた。あの時の、初めてコンテストに出場した時のように・・・! 「ダイジョウブッ!!」 あたしは、久しぶりにその言葉をお腹の底から大きく叫んだ。 「ポチャポ〜チャアアアアアアアアッ!!」 そんなあたしの思いに答えるように、ポッチャマが大きく叫び声を上げて、体から青いオーラが噴出したように浮かび上がった。『げきりゅう』が発動したんだ! 他のみんなも、それに答えるように体に力を入れて身構えた! みんなが、あたしの方に顔を向けた。 「・・・うん!!」 あたしはうなずいて、メイルに顔を向けた。 「まだ・・・あたしは負けない・・・!!」 あたしは、メイルにはっきりそう言い放った。 「ポチャ!!」 「ミミ!!」 「チパ!!」 「エイポ!!」 みんなも、気合の入った声を出した。 「ヒカリさん・・・!!」 ハルナの顔に、笑顔が戻った。 「そうだヒカリ!! お前の力をメイルに見せてやれ!!」 操られたポケモン達と戦いながら叫ぶサトシの声が聞こえる。その言葉が、あたしの心を加速させた。 「・・・さ、最後のあがき、ですか・・・追い詰められれば誰もが必死になるものです。ですが・・・!!」 メイルの言葉で、ジバコイルが前に出る。 「もう勝敗はついています!! ジバコイル!!」 メイルの指示で、ジバコイルが飛び出した! 「ポッチャマ!!」 あたしも、負けじと指示を出した。それに答えて、ポッチャマが飛び出した! 「“つつく”!!」 「ポチャマーッ!!」 ポッチャマはクチバシに力を込めて、ジバコイルに突撃していく! 「フフフ、そんな動きなど見え見えですよ・・・」 メイルが笑みを浮かべた。ポッチャマがジバコイルのすぐ側まで来た! 「・・・と見せかけてストップ!!」 「!?」 あたしの指示に、メイルは驚いた。ポッチャマはあたしの指示通り“つつく”をやめて、ジバコイルの目の前でストップ。ジバコイルのかわす動きが空振りした。今だ! 「“バブルこうせん”!!」 「ポッチャマアアアアッ!!」 その隙を突いて、ポッチャマが“バブルこうせん”を発射! それは、いつもよりも力強いものだった。直撃! ジバコイルの右の磁石に当たって、付いていたリングが壊れた! うまく行った! そう、これがあたしの思いつきでやった戦法。フェイントをかければ、コンピューターの予想した動きの裏をかけるんじゃないかって思った。その予想は的中! 「フェイントをかけるとは・・・!」 「これでもう、コンピューターのサポートは受けられないわ!!」 これなら、勝てるかもしれない! あたしは確信した。 「くっ・・・ですが、そちらのダメージはかなりのものです! もはやそちらに勝ち目など! サーナイト!」 ゴーグルを外したメイルの指示で、サーナイトが前に出た。 「ジバコイル、“マグネットボム”!! サーナイト、“シャドーボール”!!」 メイルの指示で、ジバコイルは“マグネットボム”を、サーナイトは“シャドーボール”をポッチャマに発射! 2つの弾がポッチャマに飛んで行く! 「エテボース!!」 「エイポ!!」 すかさずあたしは指示を出す。エテボースがポッチャマの前に飛び出す! 「“ダブルアタック”!!」 「エイポーッ!!」 エテボースは、2本の尻尾に力を込めて、飛んで来る“マグネットボム”と“シャドーボール”に振った! “マグネットボム”と“シャドーボール”が、エテボースの拳に受け止められた! 「!?」 「そのままはね返しちゃえ!!」 「エイッポーッ!!」 メイルが驚いてる間に、エテボースは“マグネットボム”と“シャドーボール”を受け止めた尻尾を思い切り突き出した! “マグネットボム”と“シャドーボール”が、発射したジバコイルとサーナイトに飛んで行く! 直撃! 爆発が起きた。 「今よ!! ミミロル、“ピヨピヨパンチ”!! パチリス、“てんしのキッス”!!」 「ミミィィィィッ!!」 ミミロルが、サーナイトに耳の拳をお見舞いした! 命中! サーナイトはたちまち、『こんらん』して頭がふらついてその場で立ち往生。 「チッパ・・・」 パチリスは、ジバコイルに投げキッスをした。飛んで行ったハートマークを受けたジバコイルも、『こんらん』して体のバランスを崩す。 「そんな・・・!?」 メイルは、さっきとは逆の状態になって動揺していた。 「ヒカリさん、凄い・・・!! やっぱりヒカリさんは凄い人なんだ・・・!!」 そんな様子を見ていたハルナは、少し興奮した様子だった。 「ですが・・・いくら逆らおうとしても、『運命』からは逃れられないのですよ・・・!! それが『現実』なのです・・・!!」 メイルが、負け惜しみみたいな事を言った。でも、その言葉にはあたしはもうひるまなかった。 「そんなの、『現実』じゃない!!」 「!!」 あたしが言い返した言葉に、メイルは驚いた。 「エイポォォォォッ!!」 エテボースが、ジバコイルに“ダブルアタック”をお見舞いする! クリーンヒット! 「あんたは夢を途中であきらめて、逆ギレしてるだけよ!!」 「チパアアアアッ!!」 あたしの言葉に合わせるように、パチリスが“スパーク”でジバコイルに突撃する! 直撃! 「そんな事したって、誰も認めてなんかくれないじゃない!!」 「ミミィィィィッ!!」 ミミロルもあたしの言葉に合わせるように、“とびはねる”でジバコイルの上に飛び上がって、キックをお見舞いした! 直撃! 「あきらめないでがんばり続けていたら、夢は叶ったかもしれないのに!!」 「ポッチャマアアアアッ!!」 そして、最後にポッチャマもパワーアップした“バブルこうせん”をジバコイルに発射! 直撃! 4匹の攻撃を受けたジバコイルは、ステージにドスンと落ちた。 「・・・・・・」 メイルはなぜか指示を出さないまま、立ち尽くしていた。 「ポッチャマ、“うずしお”!!」 「ポッチャマアアアアッ・・・!!」 ポッチャマが水の渦を作り出した! それは、いつもよりも大きく大きくなっていく! 「ポチャアアアアッ!!」 そして、ポッチャマはそれを思い切り投げつけた! 「“うずしお”に飛び込んで!!」 「ポチャッ!!」 あたしの指示で、ポッチャマは水の渦の真ん中に自分から飛び込んだ! そして、ポッチャマの体に水の渦が纏わり付いた! まるで、“アクアジェット”のように! 「みんな、力を貸してあげて!!」 「ミィィィィミ、ロォォォォッ!!」 「チィィィィパ、リィィィィッ!!」 「エイポォォォォッ!!」 ミミロルは“れいとうビーム”、パチリスは“ほうでん”、エテボースが“スピードスター”をポッチャマに向けて発射! 3匹の攻撃が1つになって、ポッチャマに届いた! “アクアジェット”にみんなのパワーが加わって、まるで流星のようになってジバコイルに向かって行く! 「お、応戦するのです!! “でんじほう”!!」 メイルも慌てて指示を出した。ジバコイルは、すぐに“でんじほう”の発射体制に入る! 「行けえええええっ!!」 「ポッチャマアアアアッ!!」 それでも、あたし達は怯まない。あたしは、お腹の底から思い切り叫んだ! それに答えるように、みんなの力を借りたポッチャマは加速していく! そして、ジバコイルとぶつかった瞬間、大爆発が起きた! まぶしい閃光と凄まじい爆風で、あたしは思わず腕で目を遮った。 「!!」 その爆発に、操られたポケモン達と戦っていたサトシ達も、思わず手を止めて目を向けていた。 「ポッチャマ・・・」 あたしは、少し不安になった。でも、ポッチャマはすぐに煙の中から飛び出して、空中回転しながらカッコよく着地した。そして、その前には地面に落ちて動かなくなったジバコイルの姿が。戦闘不能・・・! 「ジバコイル・・・」 メイルが、そうポツリと一言声を出した。そして、顔をうつむけてこう言った。 「見事です・・・まだ勝負は終わっていないと言いたいですが、私の負けです・・・」 「・・・え!?」 あたしは、メイルの突然の一言に驚いた。すると、ステージの周りに張られていたダメージバリアーが消えていった。サトシ達と戦っていたポケモンやポケモン達が、力を失ったように次々と倒れていった。 「その志、恐れ入りました・・・どうやら、私は誤った方向に進んでしまったようです・・・夢を抱きしめれば、未来は変えられる・・・私はそれを、忘れてしまっていたようです・・・」 メイルはそんな事を、淡々と話した。その緩んだ表情は、ウソをついているとは思えなかった。それを聞いていたサーナイトも、何かを感じていたようだった。 「・・・どうして最初からそう認めなかったの! 今からでも遅くないよ! まだやり直せるよ! だから・・・!」 「残念ですが、私はもう、歯止めの利かない所まで進んでしまいました・・・もうやり直す事など・・・それよりも、自分の事を心配したらどうですか?」 「!?」 その言葉に、あたしはまた驚いた。すると、ステージに真っ二つになったあたしのコンテストパスが投げ込まれた。 「若いあなたなら、まだ何度でもやり直しができます・・・あなたはあなた自身の夢を信じて、道を切り開いて行くのです・・・その夢を、どうか忘れないでください・・・決して、私のようになってはいけませんよ・・・サーナイト・・・」 すると、サーナイトが念じ始めた。メイルやジバコイル、サーナイトの姿が消え始めた。“テレポート”だ。 「メイル!?」 「フタバタウンのヒカリ・・・会えてよかったです・・・あなたと、もう少し早く知り合えていたら、私の人生は変わっていたかもしれません・・・」 メイルは笑みを浮かべてそう言い残すと、ジバコイルとサーナイトと一緒に、その場から完全に姿を消した。
「メイル・・・」 終わった・・・あたしは、メイルが立っていた場所をしばらく見つめていた。メイルって、ホントはいい人だったんだ・・・あたしも、もし一歩間違えていたら、メイルみたいになっていたのかな・・・? そんな事を考えずにはいられなかった。 「ヒカリ!!」 「ヒカリさん!!」 すると、みんながあたしの側に駆け寄ってきた。 「うん、ダイジョウブ・・・」 そう言おうとした時、あたしの体が急に重くなってきた。そして、あたしの膝が床について、そのまま倒れそうになった。でも、あたしの体は何かに支えられた。見ると、それはエテボースの尻尾だった。あたしの正面にはエテボース。それに、ミミロルとパチリスも、あたしの体を支えようと手を伸ばしていた。 「みんな・・・」 そんな3匹のぬくもりを感じて、あたしは暖かい気持ちになった。その時、ポッチャマがあたしの前によろよろと歩いてきた。 「ポチャ」 ポッチャマは、真っ直ぐな瞳であたしに真っ二つになったコンテストパスを差し出した。 「・・・ありがとう」 あたしは、それをゆっくりと手を伸ばして受け取った。間近で眺めてみる。 「これで、またコンテストに出られる・・・」 あたしは嬉しくなった、これも、みんなのお陰・・・あたしは、4匹の顔を見た。みんな笑ってる。それを見て、あたしは嬉しくて涙が止まらなくなった。 「みんなあああっ!!」 あたしは、我慢しないで泣きながら4匹を思い切り抱きしめた。突然の事に、4匹は少し驚いた。 「ありがとう・・・ホントにありがとう・・・こんなみんなと一緒なら・・・あたし、ダイジョウブ!!」 あたしは泣きながら、みんなにそう言った。 「よかったな、ヒカリ」 「これで一件落着だな」 「ポケモンが人を励ますって事、あるなんてハルナ知らなかった・・・」 「ああ、全くだね・・・」 みんなも、そんなあたし達を見て、笑みを浮かべていた。その時、あたしの上がまぶしく光った。見ると、後光のようなものがスポットライトのようにあたしに降り注いでる。 「あ、あれ・・・?」 すると、あたしの体の痛みが、不思議とどんどん消えていく。体もどんどん軽くなっていった。 「体が・・・治ってる?」 あたしは抱きしめた手をほどいて、両手のひらを見ながら立ってみる。立つ事にも、全然違和感がない。 「これは・・・“ねがいごと”だ・・・!」 タケシが言った。 「“ねがいごと”って、自分とは違う相手を回復させるわざ、だったよね・・・」 「ああ。そして、“ねがいごと”を覚えられるポケモンといえば・・・」 ハルナの質問に、タケシがそう答えた。 「・・・サーナイト?」 「え? じゃあ、これって・・・」 ノゾミの言葉で、あたしは確信した。あたしは、さっきまでメイルが立っていた場所を見た。間違いない、これはメイルのサーナイトがやったんだ・・・あたしは、メイルがこのわざであたしに謝って、そして応援しているような気がした。
* * *
昼間と打って変わって、星がよく見えるその日の夜。 ポケモンセンターの部屋で寝ようとしていたあたしは、寝る前にポッチャマを出した。 「ポッチャマ、一緒に寝ようよ」 「ポチャ?」 ポッチャマはその言葉に驚いた。当然か、こんな事ってあまりした事なかったからね。でも、今日はポッチャマと一緒に寝たい。いろいろ、言いたい事があるから・・・ あたしはポッチャマを抱きしめて、ベッドに入った。ポッチャマが、あたしの顔のすぐ横に顔を出した。 「ねえ、ポッチャマ」 「ポチャ?」 「あの時、コンテストに出たいって言ったのも・・・ハルナの前で、アドリブで演技を見せたのも・・・全部、あたしを励ましたかったからなんでしょ? それも全部、あの時あたしの悩みを聞いてくれたからなんでしょ? ごめんね、ホントはこっちがリードしなきゃいけないのに・・・」 「ポチャ!」 ポッチャマは、「そんな事ないよ」って言ってるように、笑みを見せた。 「あたしね、みんなには『充電』してるって言ってたけど、ホントは休んでたの。あの時も言ったけど、どうしていいかわからなくて、自分ってコンテストに向いてないかな、って思っちゃって・・・だからって、みんなに心配かけたくなかったし・・・」 あたしは、しばらく間を置いてから、次の事を話した。 「でもね、まさかポッチャマが励ましてくれるなんて思ってなかったわ。そんなポッチャマがいたら、あたしもがんばれるんじゃないかな、って気がしたの」 「ポチャ・・・」 そう言うと、ポッチャマはちょっと照れた表情を見せた。 「こんなあたしだけど、またコンテストに出るって言ったら、力になってくれるよね?」 「・・・ポチャ!」 ポッチャマは、「もちろんだよ!」って言ってるみたいに、はっきりとうなずいた。 「ありがとう・・・あたし、ポッチャマを最初のポケモンにしてよかった・・・」 あたしは、ポッチャマをギュッと抱きしめた。 「ポッチャマ、大好き・・・!」 あたしは目を閉じながらポッチャマとおでこを合わせて、そう言った。 こんなポッチャマと一緒に、またコンテストのステージに立ちたい。そんな思いが、あたしの中で強くなっていった・・・
* * *
数日後。 ポケモンコンテストコンペキ大会の当日がやって来た。前の騒ぎで、コンテスト会場はごちゃごちゃになったみたいだけど、ちゃんと元通りになって、予定通り開かれる事になった。 客席に、みんなと座るあたし。膝の上にはポッチャマ。隣の席には他の3匹がいる。みんなでいろんな人の演技を目に焼き付けておこうって思って、ポケモン達と一緒に見る事にしたの。あたしの手には、復旧してもらったコンテストパス。 「お待たせいたしました! 数日前に大きな事件こそありましたが、この通り予定通り無事に開催する事ができました、ポケモンコンテストコンペキ大会! 司会は私・・・」 そんないつものアナウンスが始まった。客席で見ているだけで、しかもまだ演技が始まってないのに、なぜだか心が躍った。 「ヒカリ、今ここにいて、コンテストに出たくなったんじゃない?」 隣の席に座っているノゾミが、あたしに言った。 「うん! やっぱりあたし、コンテストに出たい! また前みたいになっちゃうかもしれないけど、コンテストを思いっきり楽しみたい!」 あたしは、そんな気持ちをこの場所で確かめた。 「そうさ。神様はきっと、ヒカリに試練を与えて、強くなれって言ってるんだよ。夢はいつか叶うものなのかもしれない。でも待ってるだけじゃダメさ。自分で掴んでいくものだからね!」 ノゾミがいつものように、カッコイイ事を言った。 「うん! みんな、次に出る時のためにも、しっかり演技を見ておこうね!」 「ポチャ!」 「ミミ!」 「チパ!」 「エイポ!」 あたしが言うと、ポッチャマ達は元気よく答えてくれた。 「よかったな、ヒカリ」 「サトシに泣いてた事もあったって聞いた時はどうなるかと思ったけど、これで一安心だね。それにしてもサトシ、『目にゴミが入ったって思った』はないんじゃないの?」 「い、いや・・・まさか、あの時ヒカリがあんなに落ち込んでるなんて思ってなくてさ・・・」 ノゾミとサトシは、そんなやり取りをしていた。 「では早速、エントリーナンバー1番の方から、どうぞ!!」 司会の高らかな声が響いた。
早速1次審査が始まった。ステージでたくさんのポケモン達が舞った。演技1つが終わる度に、会場に拍手が鳴り響く。あたしはそんな様子を自分の経験と重ね合わせながら、演技の1つ1つを目に焼き付けた。 「さあ、1時審査も最後になりました! エントリーナンバー35番、コトブキシティのハルナさんです!!」 いよいよハルナの番が来た。会場が拍手に包まれる。ハルナは、やっぱり三日月が描いてある緑色のドレスを着て、ステージに出て来た。そして、客席に向けてスカートのひらを持って、「えへっ」と言ってるみたいに笑顔でかわいらしくポーズを決めた。 「ハルナーッ!! がんばってねー!!」 あたしがそう叫ぶと、ハルナはこっちを見つけて、左手を振って答えてくれた。そして、左手にボールカプセルをつけたモンスターボールを持った。顔は緊張してるのかと思ったら、結構張り切ってる様子。「ヒカリさんの前だから、いい所見せなくちゃ!」とでも思ってるのかな? 「時の流れは移り行けども、変わらぬその身の美しさ!! 月光の力を借りて!! ポケモン、ルナトーン、その名はルーナ!! ここに見参っ!!」 そんな前向上を言って、ハルナはモンスターボールを投げ上げた。モンスターボールから、紙吹雪のように光る星くずがパアッと飛び出して、その中からルーナが現れた。 「行くよ、ルーナ!! ハルナスペシャルその3、『流星乱舞スターダストセレナーデ』!! “スピードスター”から“ねんりき”!!」 ハルナの張り切った指示で、ルーナは“スピードスター”を発射。そして、“ねんりき”で念じ始める。すると、“スピードスター”は“ねんりき”でうまくコントロールされて、まるで流れ星のようにルーナの周りを飛ぶ! 「“スピードスター”と“ねんりき”、そしてルナトーンそのものとの絶妙なコンビネーション!! その姿は、まるで夜空の月と流れ星のようです!!」 司会のアナウンスで、会場はヒートアップ。あたし達も、心が躍った。ハルナ、結構やるじゃない! 「凄いなあ、ハルナ!」 「ああ、ヒカリにコーチしてもらった甲斐があったな」 サトシとタケシが、そんな言葉をこぼした。 「さあ、驚くのはまだ早い!! ハルナスペシャルその5、『爆裂花火メガファイアーワークス』!!」 「ハルナスペシャルその5?」 あたしは、聞いた事もない『ハルナスペシャル』に耳を疑った。こんな演技、ハルナは練習なんてしてなかった。 「“シャドーボール”追加っ!!」 ハルナの指示で、ルーナは“シャドーボール”を飛び回る“スピードスター”に向けて発射した。そして、それは“ねんりき”の力で『ハルナスペシャルその2』と同じように分裂した! 「まさか、『その2』と『その3』を合わせるのか!?」 ノゾミが、思わずそんな事をつぶやいた。その予想は的中していた。 「行っけえっ!!」 ハルナが、左手を突き出した。すると、分裂した“シャドーボール”は“スピードスター”の中にぶつかって、次々と炸裂! 黒と白の粒が、ステージに降り注いだ! 「“シャドーボール”も“ねんりき”で操り、分裂させて“スピードスター”にぶつけました!! これはかなり高度なわざです!!」 司会のアナウンスが響く。でも、“シャドーボール”の黒の割合が多くて、何だかイマイチな気がした。 「う〜ん、何だか“シャドーボール”と“スピードスター”のコントラストが合ってないな・・・」 ノゾミも、同じ事を考えてたみたい。そうこうしている内に、ハルナの演技は終わった。ハルナは、ルーナと一緒に丁寧にお辞儀をした。 「ハルナさん、ありがとうございました! 以上を持ちまして、1次審査は終了! これから、次の2次審査への審査に入りますので、皆さん、しばらくお待ちください!」 司会のアナウンスが響いた。
* * *
ハルナに会うために、あたしは待合室に行った。入るとそこに、ハルナとルーナの姿があった。 「あっ、ヒカリさん!!」 こっちから声をかけようと思ったら、ハルナはすぐにあたし達に気付いて、駆け寄ってきた。 「お疲れ!」 「どうでしたヒカリさん!! ハルナ、精一杯練習したんですよ!! ねえ、ルーナ!!」 ハルナは自信満々に言った。ルーナも笑顔でうなずいた。 「ねえ、あの『ハルナスペシャルその5』って・・・」 あたしは、見た事がなかった『その5』について、ハルナに聞いてみた。 「ああ、あれですか? ヒカリさんをビックリさせようって思って、内緒で練習してたんです!!」 ハルナは笑顔でそう答えた。 「でも、なんで『その5』なんだ? 『その4』じゃないのか?」 「フフ、見てわからなかった? 1つ飛ばすくらい凄い演技なんだから!!」 そんな疑問を聞いたサトシに、ハルナは胸を張って答えた。 「それについてなんだけどハルナ」 「何?」 ノゾミが、『ハルナスペシャルその5』について、何か言おうとした。 「さあ、お待たせしました! 1次審査の結果発表です!」 そんな司会の声が、奥にある画面から聞こえてきた。 「あっ、結果発表だ!!」 ハルナは、すぐに画面に食いついた。 「厳正な審査の結果、2次審査に出場するのは・・・!」 そんなアナウンスと一緒に、画面に次々と出場者の顔写真が出てくる。1人、2人、3人、4人・・・ハルナの顔はまだ出て来ない。 「ダイジョウブ! きっと出てる・・・!」 ハルナは、自分に言い聞かせるようにそうつぶやいていた。5人、6人、7人・・・まだ出て来ない。張り詰めた空気が漂う。そして・・・8人目。その顔はハルナじゃなかった。 「あれ!? どうしてなの!? いけると思ってたのに!?」 ハルナは、その事実に唖然としていた。 「ハルナ、さっき言おうとしてたけど・・・」 そんなハルナに、ノゾミが声をかけた。 「あの『ハルナスペシャルその5』、ぱっと見ただけじゃ確かに凄い演技だった。でも、“シャドーボール”と“スピードスター”のバランスが取れていなかったよ」 「え!?」 ノゾミの指摘に、ハルナは驚いた。 「“スピードスター”の白の方が目立てばよかったと思うんだけど、“シャドーボール”の黒の方が目立ってたよ。あたしは、その色合いに、違和感を覚えたね。多分、審査員もそうなんじゃないかな?」 「そう、だったんだ・・・」 あたしの時と同じように説明するノゾミのコメントを聞いて、ハルナは肩を落とした。 「ごめんなさい、ヒカリさん・・・せっかく来てくれたのに、いい所を見せてあげられなくて・・・」 ハルナは弱った声で、あたしにそう言った。 「違うでしょ。ヒカリにも言った事があるけど、コンテストは人のためじゃなくて、自分のためにするんでしょ」 ノゾミは、いつかあたしに言った事をハルナに言った。 「あ・・・ごめんなさい・・・」 ハルナは、また弱った声でノゾミに謝った。見ると、ハルナの目から悔し涙がこぼれていた。ハルナは、あたしの前で失敗して落ち込んでる。言ってあげなきゃ・・・! 「ダイジョウブ!」 あたしは、ハルナの肩に手を置いて、そう言った。 「・・・え?」 「リボンゲットを焦っちゃダメ! また、次がんばればいいでしょ?」 あたしはハルナの目を見て、はっきりとそう言った。 「ポチャポ〜チャ!」 ポッチャマも、胸を張ってそう言った。 「・・・はい!!」 ハルナは顔を上げて、はっきりと元気よく返事をした。元気になってくれたみたい。よかった・・・ 「真似されちゃったね・・・」 それを聞いたノゾミは、笑みを浮かべてそうつぶやいていた。 「コンテストはまだ終わってないよ。次に出る時のためにも、しっかり見ておかなきゃ!」 「ポチャマ!」 「はい!! そうします!!」 あたしとポッチャマがそう言うと、ハルナは元気よく返事をして、流れた涙を手で拭いた。
そんなあたしの様子を、あのメイルが影から静かに見守っていた事には、気が付かなかった・・・
* * *
そう、これはあたしも同じ。あたしも、ハルナみたいにがんばらなきゃ。いつかまた、あのコンテストのステージに立つ日のために・・・! また、あの時の時のように失敗しちゃうかもしれない。でも、あたしには、同じ夢を追いかけてついて来てくれるポッチャマ達がいる。途切れた迷路に立ち尽くす時だって、信じる仲間がいれば、乗り越えていける! どんな痛みも、どんな辛さも、ダイジョウブ! そう、あたしの夢は、まだ終わっていない。夢の続きは、これから始まるんだ・・・!
こうしてあたし達の旅は、まだまだ続く。続くったら、続く・・・・・・
STORY10:THE END
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