【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中

小説板

ポケモン関係なら何でもありの小説投稿板です。
感想・助言などもお気軽にどうぞ。

名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[91] ヒカリストーリー STORY04 2人の絆(前編)
フリッカー - 2007年10月13日 (土) 19時34分

 どうも、フリッカーです。
 ついに完成した初の2部構成シナリオであるSTORY04、とくとご覧あれ!

[92] SECTION01 サトシ暗殺計画!
フリッカー - 2007年10月13日 (土) 19時39分

 あたしはヒカリ。トップコーディーネーターになるために旅に出たポケモントレーナー。
 初心者用ポケモンをもらいに行った時に打ち解けたポッチャマをパートナーにして、ひょんな事から仲間になった、カントーから来たトレーナー、サトシとタケシと一緒に旅を始めたの。大小いろんな事を経験しながら、あたし達の旅は続く。
 これは、そんなあたしが旅の途中に経験した、ある日のお話。


SECTION01 サトシ暗殺計画!


 とある町の郊外。
 人気のない、ある建物の裏側に、あの2人と1匹――ロケット団の姿があった。
「この場所で間違いないのね?」
「ああ、手紙と一緒に入ってた地図を見る限りでは、確かにこの場所だぜ」
 辺りを見回すムサシの質問に何かが書かれている紙を見ながら答えるコジロウ。ロケット団は誰かに呼び出されたみたいだった。
「でも、こんな所に呼び出しておいて、何の用なんだ?」
「何言ってるのニャ! ニャー達もそれだけ有名になったって事だニャ!」
「ところで、その手紙を書いた人は何者なのさ?」
「それが、わからないんだよ。ただ書いてあるのは、『G』って字だけで・・・」
 2人と1匹がそんなやり取りをしていた時だった。
「待ちかねたぞ・・・」
 どこからか、聞きなれない男の人の声がした。振り向くと、そこには見るからに怪しそうな黒ずくめの男の人の姿があった。素顔を隠す、独特の形をした黒いバイザー。右手に付いた銀色の機械。その格好全てが、ロケット団には見覚えのあるものだった。
「あ!! あんたもしかして・・・ポケモンハンター!?」
「そうだ」
 ムサシの驚きの混じった質問に、男の人は表情を変える事なく答えた。
「ま、まさか!! あんたあのJとか言うポケモンハンターの仲間とか言うんじゃないだろうね!!」
 苛立ちを覚えたムサシは、その思いをそのまま男の人にぶつける。
「Jか・・・フン、あんな女と一緒にしてもらっては困るな。今回は、君達に是非とも協力して欲しい事があって来てもらっただけだ」
 男の人は表情を変えないまま話を続ける。
「へん!! あんたみたいな奴なんかに協力なんて・・・!!」
「まあまあ、ムサシ落ち着けって!」
「きっと何かいい話があるかもしれないニャ!!」
 苛立ちをむき出しにするムサシを、コジロウとニャースが必死で止める。
「話がわかるじゃないか。さて、本題だ。君達は、この少年の事を知っているだろう?」
 男の人は、そう言うと2人と1匹に1枚の写真を差し出した。
「!!」
 それを見た途端、2人と1匹は急に静まり返って、写真に釘付けになった。
「俺は、『彼』にちょっとばかり用があってね・・・是非『彼』の事についていろいろと聞かせてもらいたい。『彼』の事を追い回していた君達なら、知らないとは言わないだろう・・・?」
 男の人の口元が笑った。
 その写真に写っていたのは・・・紛れもなくサトシの顔だった・・・!

 * * *

 ヨスガシティのコンテストに出場したあたし。でも、結果は予想外の1時審査敗退。精一杯がんばってきたのに、とても悔しかった。でも、その後気晴らしに参加したタッグバトル大会は準優勝で終わったけど、とてもいいバトルができたって思う。いつまでもくよくよしててもしょうがない。コンテストはまた、次でがんばってみせるわ!
 シンジに見捨てられたヒコザルを、サトシがゲットしたって事もあった中で、あたし達は次のジムがあるトバリシティに向けて旅を続けていた・・・

「ちょっと!! いいじゃないそれくらい!!」
「せっかく出発しようって時に、突然用事で戻るなんてありかよ!!」
「急に思い出したんだから仕方がないじゃない!!」
「仕方なくない!! たかがそんなもの買うくらいで勝手に行動するなよ!!」
「ち・が・い・ま・す!! 絶対に必要な物だったの!!」
 とある小さな町の郊外。後ろに市街地が見えて、正面には森が広がっている。あたしとサトシは、道の真ん中でそんな口ゲンカをしていた。どういう成り行きでこうなったかというと、今日、この町を後にする予定だった。でも、あたしは急におしゃれ用具を買わなきゃいけなかった事を思い出して、自分から町に戻った。それで、戻って来たらサトシが出発を遅らせた事にカンカンに怒って待っていた、という感じ。
「そんなもの、今なくたって問題ないだろ!!」
「じゃあ何、サトシは自分のおしゃれとか、気にしない訳!?」
「ああそうさ!! 気になんかしてないよ!!」
「何よそれ!! 信じられない!!」
「信じなくて結構だよ!!」
 正面からどんなに言い合ってもきりがない。こっちが言った事を返される度にムカツイてくる・・・もういい加減に認めたらどうなのよ!! そんな様子を、ピカチュウが呆れた顔で眺めていた。
「・・・ま、まあまあ2人共落ち着いて。今回は、理由はどうであれ、何も言わずに勝手な行動をした・・・」
「何よ!! あたしが悪いって言いたい訳!?」
 間に入ったタケシに、あたしはそう言い返した。その気迫に、タケシも一瞬下がった。
「そうだよ!! 勝手に行動した方が悪いんだよ!!」
「あの時は、たまたまみんないなかったじゃない!!」
「いなかったからって、勝手に行動していいって理由にはならないぞ!!」
「・・・・・・!!」
 そして、また言い争いを始めるあたしとサトシ。どんな事を言ってもきりがないから、最後はにらみ合いになる。
「・・・フンッ!! いいわよ!! こっちの事情もわかってくれない人なんて最低っ!!」
「結構だよ!! 勝手に行動して予定を狂わす女なんて最低さ!!」
 あたしとサトシは、そう言って顔を背け合った。もう、本当にムカツク・・・!!
「あ、いたいた! やっぱり思った通り!」
 すると、どこからか別の声が聞こえて来た。初めて聞く女の人の声。声のした方を見ると、そこには2人の人がいた。1人は、水色の髪に青い服の、見ただけで美人だとわかる女の人。もう1人は、金髪の特徴的な髪をした、見覚えのある男の子・・・
「あっ!!」
 あたしと、サトシの声が合わさった。
「カ、カズマ!?」
「ミ、ミライ!?」
 あたしは男の子の、サトシは女の人の名前を叫んだ。
「ご名答、なんてね! サトシ、旅に出てからは初めて会うわね。元気にしてた?」
 ミライっていうらしい女の人は、サトシに笑みを浮かべてそう言った。
「まさか、シンオウに来てたなんて思わなかったよ。どうしてここがわかったんだ?」
「簡単に言えば、気ままに旅してて、たまたま前のコンテストで観客の中にサトシを見つけたのよ」
「そうだったのか」
 2人は、まるで知り合い同士のように、違和感なく話し合っている。
「サトシ、知り合いなのか?」
「ああ、ミライ。俺のいとこさ」
「よろしくね」
「あ、ああ、自分はタケシです」
 その間に入ったタケシとも、女の人は気前よくやり取りをした。
「それにしても、ボケモンバトルの極めてるサトシが、どうしてあんな所にいたの?」
「え!?」
「もしかして、あの子?」
 女の人はそう言って、顔をあたしの方に向けた。

「ヒカリ!! 旅に出てからずっと探してたんだよオレ!!」
 いきなり顔色を変えて、あたしに一方的に言い寄るカズマ。カズマは、あたしと同じフタバタウンに住んでた子。あたしとは、隣近所の知り合いだった。でも、昔からこう、せっかちだったのよね・・・
「え、ええ・・・」
 あたしは苦笑いして答える。
「コンテストも見てたぜ!! あの時は残念だったな、絶対行けるって思ってたのにさ。あの審査員、どうかしてるよ!! オレだったら『テープ巻き戻せ!!』って文句言ってた所だったよ!! だから気を落とす事はないって!!」
 あたしを気遣っているのはわかるけど、言い方がオーバーすぎる。その言いっぷりにはあたしも言い返す隙がない。
「あ、そうそう。もし、あいつとウマが合わないなら、オレと一緒に来ないか?」
「え、ええ!?」
 カズマの予想もしない言葉に、あたしは驚いた。
「いいだろう? オレ達は昔馴染みなんだからさ、あんな知らない奴よっかはマシだろ?」
 カズマは、そう言ってサトシに顔を向けた。

 あたしとサトシの顔がまた合った。さっきまで少し忘れかけていたケンカの事をまた思い出した。
「・・・・・・フンッ!!」
 あたしとサトシは、また顔を背けた。
「あらあら・・・」
「何だか気まずい空気・・・」
 それを見た女の人と、カズマはそんな事をつぶやいた。女の人は、少しの間考え込む。
「う〜ん、そうだ! あなた、名前なんて言うの?」
「ヒカリ、ですけど・・・!」
 女の人の質問に、気が立っていたせいで、あたしはすこし怒り気味に答えた。
「ヒカリちゃんね。あたしはミライ。人呼んで『氷の魔女』。サトシのいとこなの」
 ふうん、サトシのいとこね・・・あたしはそうしか思わなかった。
「オレはカズマ。そっちは何て言うんだ?」
「・・・サトシだよ!」
 カズマが自信満々に自己紹介すると、サトシも少し怒り気味に答えた。
「ありゃ、やっぱり怒ってるな・・・」
 それを見たカズマは、小声でそうつぶやいた。
「さて、自己紹介が終わった所で、ここは1つ、『マルチバトル』やってみない?」
 ミライさんは、いきなりそんな事を提案した。
「マルチバトル?」
「要は、タッグバトルの事。いいでしょ? サトシと、ヒカリちゃんのコンビで」
「え!?」
 あたしとサトシは、また顔を合わせた。当然、こんな時にいい訳ない。冷たい視線が、あたしとサトシの間を行き来する。
「じゃ、決まりね!」
 そんな様子を見たにも関わらず、ミライさんは勝手に決めちゃった。
「ええ!?」
 あたしとサトシの声がまた合った。あたし達は、また顔を合わせる。
「・・・・・・フンッ!!」
 あたしとサトシは、また顔を背けた。
「おいおい、タッグバトル大会やったばかりだろ・・・」
 タケシが呆れて、そんな事をつぶやいた。
「いいんスか、ミライさん? オレはバトルできるならいいけど、あの2人があんな状態で・・・」
「いいのよ。あの2人が仲直りするきっかけになるのならね。だから、カズマ君はいつも通りやればいいのよ」
 心配そうに聞くカズマに、ミライさんはウインクして答えた。

 * * *

 バトルをするのに適当な野原を見つけて、バトルの準備は整った。成り行きで、サトシとタッグを組んでタッグバトルする事になっちゃったあたし。よりによって、なんでこんな時に・・・!
「それでは・・・何だか不安だが、これより、サトシとヒカリチーム対、ミライとカズマチームのタッグバトルを開始する。使用ポケモンはそれぞれ1体ずつ。どちらかのチームのポケモンが2体とも戦闘不能になった時点で、試合終了とする」
 いつものように審判役を務めるタケシの説明が聞こえてくる。でも、あたしはそんな事はちっとも耳には入らなかった。とにかく、早くこのバトルを終わらせたいとしか考えていなかった。
「よ〜し、気合は充分!! いつでも来やがれ!!」
「言っとくけど、サトシは強敵よ。前のホウエンリーグじゃ、ベスト8に入ったんだからね」
 気合を入れるカズマに、ミライさんはそんな事を言った。
「え!? それ、ホントなんっスか!?」
「こんな時にウソついてどうすんのよ。もしかして、怖くなった?」
「・・・バカいうなよ!! キャリアの差は気合でカバーしてやるぜ!!」
 からかうように笑うミライさんに、カズマは動揺しながらも強気で答えた。
「さ、そっちも始める前に挨拶でもしたらどうなの?」
「・・・・・・」
 ミライさんが気前よくあたし達にそんな事を言う。あたしとサトシは、横目を合わせた。こんな時に、サトシと挨拶なんて、する気にもならない。それは、サトシも同じようだった。
「・・・・・・フンッ!!」
 あたしとサトシは、また顔を背けた。
「あちゃー、やっぱりあのままか・・・まあいいわ。あれもきっと今の内」
 ミライさんはそんな事をつぶやいて、モンスターボールを取り出した。
「では、バトル開始!!」
 タケシが、合図を出した。
「さあ、あたしのポケモンはこれ!! 呼ばれて飛び出てグレイシアちゃんっ!!」
 ミライさんは何だか楽しそうにそう叫んでモンスターボールを投げ上げた。中から出てきたのは、大きさはそれほどない、水色の体を持つ4つ足のポケモンだった。『氷の魔女』って言っただけあって、こおりタイプっぽい。
「オレも行くぜ!! 頼むぜ、ナエトル!!」
 カズマも続けてモンスターボールを投げ上げた。出てきたのは、サトシも持ってるナエトルだった。
「あれ、あのナエトル・・・」
 それを見たあたしは、思わずそんな言葉をこぼした。あのナエトルは、あたしが初めてのポケモンをもらいに行った時、研究所にいたナエトル・・・! でも、そんな事はどうでもいい。あたしも出すポケモンを選ぶ。みずタイプのポッチャマやブイゼルは、ナエトルと相性が悪い。パチリスも同じ。となると・・・
「ミミロル、お願い!!」
 あたしが選んだのはミミロル。
「ピカチュウ、行ってくれるな?」
「ピカ!!」
 サトシは、やっぱりピカチュウだった。
「ミミ!?」
 隣に出て来たピカチュウに、驚くミミロル。そして気が付いたら、ミミロルはいつものように、戦闘態勢のピカチュウの雄姿(?)に、胸をときめかせてすっかり釘付けになっちゃっていた。
「ミミロル、ま・じ・め・に・ね!!」
「!!」
 それにいらだったあたしが注意すると、ミミロルは慌てて前に体を向きなおした。
「・・・何だか、向こうのポケモン同士の相性は悪くないみたいね」
 それを見たミライさんは、少し嬉しそうな表情を浮かべた。
「カズマ君はピカチュウをよろしく!」
「アイアイサー!!」
「さ、ショータイムよ!! グレイシアちゃん、ミミロルに“れいとうビーム”!!」
「ナエトル、あいつの鼻をへし折ってやるぜ!! ピカチュウに“タネマシンガン”だ!!」
 先に仕掛けたのは向こうだった。グレイシアの“れいとうビーム”がミミロルに、ナエトルの“タネマシンガン”がピカチュウに飛んで来る!
「よけて!!」
「かわすんだ!!」
 2匹ともあたし達の指示で攻撃をよける。
「グレイシアちゃん、さらに“れいとうビーム”連射〜っ!!」
 それでも、グレイシアはもう一度“れいとうビーム”を連続で撃ってくる! でも、ミミロルはそれを軽やかによける。やみくもに攻撃してる? こんな攻撃ならダイジョウブ! 隙を見て・・・!
「ミミロル!! “ピヨピヨパンチ”よ!!」
 あたしの指示で、ミミロルは体勢を立て直して、攻撃に転じようとした。でも、ミミロルが着地した場所は、氷の上!
「!?」
ミミロルは足を滑らせて、転んで攻撃できなかった。
「ただ、やみくもに攻撃してただけだと思った? それは大間違いよ!!」
 ミライさんは、自信満々に叫んだ。まさか、ミライさんは最初からこれが狙いで・・・
「“こおりのキバ”!!」
 その隙を逃さず、グレイシアが間合いを詰めてくる。氷で足が滑ってなかなか立てないミミロルに、グレイシアは白く光ったキバで右手に噛み付いた! ミミロルの右手が凍り付いたのが見えた。

「まだまだ!! “はっぱカッター”だ!!」
「“アイアンテール”で反撃だ!!」
 ナエトルの攻撃がまた来る。ピカチュウは、そのまま尻尾に力を込めて思い切り振った! “はっぱカッター”がその一振りで簡単にはじかれる。
「な!?」
 動揺するカズマを尻目にピカチュウはその尻尾をナエトルに向けて振る! 命中! 弾き飛ばされるナエトル。
「ナエトル!! くそっ、なんてパワーだよコイツは!! ミライさんの言う通りだぜ・・・!!」
 唇を噛むカズマ。
「でも、こっちだって負けるつもりはねぇんだ!! ナエトル、“メガドレイン”!!」
 それでも、カズマは強気で指示する。立ち上がったナエトルは、口から緑色の光線を発射した! それがピカチュウに命中すると、ナエトルはみるみるうちに力を取り戻していく。
「ベスト8だかジャストミートだか知らねぇが、てめえなんかに、ヒカリを取られてたまるかってんだ!!」
「な、何言ってんだこいつ!?」
 カズマが叫んだ言葉の意味を、サトシは理解できなかった。

「さあ、一気に行くわよ!! “こごえるかぜ”!!」
 グレイシアはいったん下がったと思うと、口から凄まじい冷気を吐いた!
「ミミーッ!!」
「ピカーッ!!」
それに、ピカチュウもミミロルも巻き込まれる。こっちにも、その寒気が伝わってくる。
「くそっ!! ピカチュウ、グレイシアに“でんこうせっか”!!」
「ミミロル、もう1回“ピヨピヨパンチ”!!」
 あたし達の指示で、ピカチュウとミミロルは一気にグレイシアと間合いを詰める。これなら当たる! あたしは確信した。
「カズマ君!!」
「わかってるっスよ!! ナエトル、“リフレクター”!!」
 そんな時、ナエトルが前に出たと思うと、目の前にいきなり四角い透明な壁が立ちはだかった!
「ミミ!?」
「ピカ!?」
 2匹が気づいた時にはもう手遅れ。2匹は透明な壁に思い切り頭をぶつけた。
「くそっ、もう1回だピカチュウ!! “10まんボルト”だ!!」
「ミミロル、“れいとうビーム”!!」
 2匹は体勢を立て直して、それぞれの飛び道具を発射する構えを取った。
「いいの? 2匹で攻撃するのはいいけど・・・」
「オレを忘れるなーっ!! ナエトル、ピカチュウに“タネマシンガン”だ!!」
 2匹が狙いを定めていたのはグレイシア。マークされていないナエトルは、邪魔される事なく“タネマシンガン”をピカチュウにお見舞いした! もろに受けたピカチュウは、“10まんボルト”を発射できなかった。
「!!」
 それに気付いたミミロルは、反射的にピカチュウに顔を向けた。
「よそ見しないのっ!! “れいとうビーム”!!」
 ミライさんはそれを見逃さなかった。グレイシアが発射した“れいとうビーム”は、まっすぐミミロルに向かって飛んで行った! 命中! 倒れたミミロルの足は、凍り付いていた。
「どうしたの? 2人で力を合わせないと、マルチバトルじゃ勝てない事くらい、わかってるでしょ?」
 ミライさんが挑発するように言う。あたしは、思わずサトシの方に顔を向けた。
「ちょっとサトシ!! ちゃんとやってよね!!」
「なんで俺のせいにするんだよ!! そういうヒカリこそしっかりやれよ!!」
「そんな事くらい、言われなくたってわかってるわよ!!」
「全然わかってないじゃないか!! 気付いてたんならフォローしてくれればいいじゃないか!!」
 また、言い争いになるあたし達。その様子を、ピカチュウとミミロルは、呆れた様子で見ていた。
「ミライさん、このバトル、失敗じゃないっスか? 何だか、あの2人には逆効果っぽいっスよ・・・」
「・・・そう簡単にいくものじゃなかったか。でも乗りかかった船だし、始めた以上は終わらせないとね!」
 その様子に呆れていたカズマに、ミライさんは表情を変える事なくつぶやいた。
「カズマ君、あたしがメインで行くから、後に続いて!!」
「アイアイサー!!」
「決めるわよグレイシアちゃん!! “ふぶき”!!」
 ミライさんの指示で、グレイシアは“こごえるかぜ”よりも強力で雪も混ざった冷気を、動きを止めていたピカチュウとミミロルに発射した!
「!!」
 あたし達が気付いた時にはもう手遅れ。たちまち“ふぶき”に飲み込まれる2匹。そして2匹は、そのまま凍り付いちゃった!
「まだまだ!! こいつはおまけだぜ!! “はっぱカッター”!!」
 続けてナエトルが攻撃する。嵐のように飛んで来る“はっぱカッター”が、2匹の動きを止めた氷を切り裂いていく。そのお陰で、自由になれたのはいいけど、2匹はかなりのダメージを受けたみたい!
「ピカチュウ!!」
「ミミロル!!」
「さあ、次で決めるわよ!!」
 バトルの流れは、完全にミライさん達の方に向いていた。ミライさんが次の攻撃の指示を出そうとした、その時だった!

 どこからか、急にレーザーのようなものが飛んで来た! その先にいるのは、ピカチュウだった!
「ピカ!?」
 ピカチュウが気配に気付いた時にはもう手遅れ。レーザーはピカチュウに命中! レーザーを受けたピカチュウは、銅像のように体が茶色くなって、動かなくなった!
「!?」
 突然の事態に、みんなが驚いて動きを止めた。
「ミミ!? ミミ!?」
 ミミロルは特に驚いて、ピカチュウに駆け寄って呼びかける。でも、ピカチュウは何も反応しない。あたしには、目の前で起こった事には見覚えがあった。まさか、これって・・・!? あたし達は、レーザーが飛んで来た方向を見た。そこには、見慣れた黒ずくめの格好をした、1人の人が立っていた!
「お、お前は!! ポケモンハンター!!」
 サトシは、すぐにそう叫んだ。そう、その人は、前に2度会った事のある、ポケモンを奪い取る悪人、ポケモンハンターJによく似た格好をしていた! でも、ところどころが違うし、顔もJとは違う。男の人?
「『ほけもんはんたー』? 何だあいつ?」
「聞いた事があるわ。あちこちで価値のあるポケモンを奪っては違法に売りさばく闇の存在・・・!」
 ただ1人、状況を理解できないで首を傾げるカズマに、ミライさんは顔をポケモンハンターに向けたままそう答えた。
 そのポケモンハンターがパチンと指を鳴らすと、どこからかJが使っていたものと同じ入れ物が飛んで来て、動かなくなったピカチュウを閉じ込めた。
「ミミーッ!!」
 ミミロルの叫びも空しく、ピカチュウを閉じ込めた入れ物は、ポケモンハンターの手に戻って来た。
「・・・このピカチュウはもらった」
 ポケモンハンターはポツリとそう言うと、あたし達に背を向けて、急に走り出した。逃げる!
「待て!! ピカチュウを返せ!!」
 すかさずサトシが追いかける。こんな事になったら黙っている訳がない。その声は、いつも以上に気が立っているように見えた。
「追いかけなきゃ!!」
 あたしも、ポケモントレーナーの1人として黙っていられなかった。すぐにサトシの後を追いかける。
「ヒカリはいい!! お前がいなくたってやれる!!」
 すると、サトシは急に立ち止まってこっちを見て、思いがけない事を言った。それで、ポケモンハンターの登場で治まっていたあたしの腹の虫がまた呼び起こされた。
「ちょっと!! どうしてそんな事言うのよ!?」
「あんたがいても邪魔になるだけだ!!」
 サトシはそう反論して、またポケモンハンターを追いかけ始めた。ただ、ミミロルだけはサトシの後を追いかけていった。
「何よ、その言い方!! じゃあいいわよ!! 1人で行けば!!」
 ふてくされたあたしは、顔を背けてそんな事を言い返した。
「おい!! 今はそんな事言ってる場合じゃないだろ!!」
 タケシの注意も、あたしの耳には入らなかった。
「もう、こんな時にまで・・・追うわよ、グレイシアちゃん!!」
 それに呆れたミライさんは、グレイシアにそう言ってサトシの後を追いかけた。グレイシアも後に続く。
「オレ達も行くぜ、ナエトル!!」
 カズマも、ナエトルと一緒にその後を追いかけた。
「ヒカリ、俺達も行くぞ!!」
「・・・わかった!!」
 あたしは腹の虫が治まらないまま、怒り気味に答えて、タケシと一緒に後を追いかけた。
「何だか、嫌な予感がするわね・・・」
 ミライさんは、そんな事をつぶやいていた。

 ポケモンハンターは、ここからそう遠くない森の中に飛び込んだ。サトシも、それを見ていた。
「くそっ、よりによってなんでこんな時に・・・今日はついてないぜ」
 サトシは、機嫌悪そうにそんな事をつぶやいた。そして、サトシが森の中に入ろうとした時だった。
「いてっ! 何だ!?」
 サトシは、足の裏に違和感を覚えた。足元を見てみると、そこには三角の針のようなものがたくさん散らばっていた! そのいくつかが、サトシの両足の裏に刺さっていた。それにすぐ気付いたミミロルは、すぐに足を止めた。
「うっ、何だ・・・? 体が・・・」
 すると、サトシの顔が急に青ざめた。足の力が抜けて、地面に膝を付く。
「・・・フフフ、まんまと網にかかったな!!」
 そこに、あのポケモンハンターがサトシの目の前に姿を現した! 隣には、青い大きなくらげポケモン、ドククラゲの姿があった。

「!?」
 サトシの様子がおかしい事に、あたし達も気付いた。
「サトシ!! どうしたの!!」
「・・・みんな、来ちゃダメだ!!」
 真っ先に来たミライさんが声をかけると、サトシがこっちを向いて左手を突き出した。その顔は、かなり青ざめていた事がわかった。
「!?」
 あたし達は足を止める。サトシの身に何があったのか、あたしにはまだわからなかった。
「見て!!」
 ミライさんは、すぐに何かに気付いて、サトシの足元を指差した。そこに散らばっている、三角の針のようなもの。
「これって・・・“まきびし”!?」
 あたしは思わずそう言った。その答えは、すぐに帰って来た。
「どうだ? ドククラゲの“どくびし”のお味は、サトシ?」
「ど、“どくびし”!?」
 あたしは、耳を疑った。“どくびし”といえば、踏んだ相手に毒を負わせるわざ。って事は、サトシは毒にやられてるって事!?
「ど・・・どうして俺を知ってるんだ・・・?」
「お前の話はいろいろと聞いている。随分と同業者の邪魔をしてくれたじゃないか。だから、俺の所に来る前に息の根を止めるために来たのだよ!」
「息の根を止める!?」
 あたしは、また耳を疑った。このポケモンハンター、ピカチュウだけじゃなくてサトシも狙ってる!? 息の根を止めるって・・・もしかして殺そうとしてる!?
「お前の行動パターンは分析してある。お前は、事件が起きたら真っ先に向かおうとする。勇敢な行為だが、それはそのまま『弱点』になる。そんな単純な奴など、罠に掛けるのは容易い」
「罠・・・だと・・・?」
 サトシの体力が次第になくなっていくのがわかる。
「このポケモンハンターGに出会った不幸を、あの世で後悔するんだな!」
「そん・・・な・・・こ・・・と・・・・・・」
 そんな事を言った後、サトシの体が崩れ落ちたのが見えた。
「サトシッ!!」
 それを見て、あたしは思わず叫んだ。そして、我に返った。サトシが・・・死んじゃう!


TO BE CONTINUED・・・

[98] SECTION02 囚われたサトシとダブルトラップ!
フリッカー - 2007年10月24日 (水) 23時30分

「サトシッ!!」
 あたしは思わず叫んだ。そして、我に返った。サトシが・・・死んじゃう! あたしはすぐに、サトシの所に行こうとした。
「早まらないでヒカリ!! あそこには“どくびし”があるのよ!! サトシと同じ目にあいたいの!!」
「でも・・・!!」
 そんな事を言っている間に、どこからかグレーの装甲車のような車が走ってきた。やっぱり、Jが使っていたものに似ている。
「連れて行け、ドククラゲ!」
 Gっていうらしいポケモンハンターが指示すると、ドククラゲは触手で倒れたサトシの体を掴んで、持ち上げた。そして、車に運ぼうとしてる!
「ミミーッ!!」
 先に動いたのはミミロルだった。自慢のジャンプで“どくびし”を飛び越えて、Gとドククラゲの前に立ちはだかった!
「・・・何!?」
「ミミーッ!!」
 にらみつけるGに、飛び掛っていくミミロル。ピカチュウを助けようとしてるみたい。でも、すぐにドククラゲの触手が、ミミロルを簡単にはじき返した。それでも、ミミロルは怯まない。体勢を立て直して、“れいとうビーム”を発射しようとする!
「・・・“あやしいひかり”」
 すかさず指示を出すG。ドククラゲの額の赤いランプが光る。
「!!」
 それを見たミミロルは、途端に目を回して千鳥足になった。発射された“れいとうビーム”は全然違う方向に飛んで行った。『こんらん』しちゃってる!
「フッ、その程度か・・・」
 Gはそうつぶやくと、ドククラゲと一緒に車に素早く乗り込んだ。
「では、ごきげんよう」
 ドアを閉める前に、Gはこっちに余裕そうな言葉をかけた。ドアが閉まる。
「サトシーッ!!」
 あたしの叫びも空しく、車は急激に加速して森の中を走り去っていった・・・


SECTION02 囚われたサトシとダブルトラップ!


「そんな・・・こんな事になっちゃうなんて・・・!」
 それを見ているだけしかできなかったあたしは、自分のやった事を後悔した。
「あたしのせいで・・・あたしのせいで、サトシが・・・!」
 良心が目覚めたあたしの心の中で、そんな思いが強くなっていく。Gを追いかける時、サトシはまだ怒ってた。あのせいで、サトシは冷静さを失って罠に落ちちゃったんだ・・・あの時ケンカなんかしてなかったら、サトシは冷静さを失わずに、何よりあたしも一緒に行って、“どくびし”がある事に気付けたかもしれないのに・・・!
「グレイシアちゃん、“こごえるかぜ”で“どくびし”を吹き飛ばしちゃって!!」
 ミライさんが指示すると、グレイシアは“どくびし”が散らばってる場所に向けて“こごえるかぜ”を吹き付けた。その一吹きで、“どくびし”は一気に吹き飛んで、道が開けた。あたしは、車の後を追いかける前に、『こんらん』してるミミロルをモンスターボールに戻す。そうすれば、『こんらん』状態は治る。そして、あたしは真っ先に車の後を追いかけ始めた。
「お、おいヒカリ!!」
 そんなカズマの声も聞こえなかった。サトシを助けなきゃって事しか、もうあたしの頭にはなかった。地面に付いた車のタイヤの後を追いながら、あたしは走り続けた。

「急いで追いかけるぞ!! あのままじゃ、サトシの命が危ない!!」
「アイアイサー!!」
 タケシの一声で、他のみんなも一斉にあたしの後に続いて動き出した。
「・・・・・・」
 走っていく中で、ミライさんは何か考え込んでいた。
「どうしたんだミライ?」
 その様子に気付いたタケシが、ミライさんに聞く。
「・・・変だと思わない?」
「・・・何が?」
「謎解きよ。あのGとかっていうポケモンハンター、サトシの命を狙ってたみたいだけど、もしそうだとしたら、毒を負わせればそれだけで殺せるっていうのに、わざわざ連れ去ったなんておかしいと思わない? ただ連れ去る事だけが目的なら、眠らせるだけでも充分なはずでしょ?」
「言われてみれば・・・確かに!」
「そうっスよね・・・殺すんなら、その場で殺してとっとと逃げりゃいいだけっスよね・・・」
「少なくとも、ただ連れ去ったようには思えないわ。あたしのカンが正しかったら、何か『裏』がありそう・・・」

「はあ、はあ、はあ・・・」
 息を切らせながら、あたしはタイヤの後をたどって行く。こうしてる間にも、サトシは毒で弱っているはず・・・そんな事を考えると、あたしの心が焦った。
 しばらく走っていくと、森の開けた所に、あの車が止まっているのが見えてきた。追いついた! その思ったのもつかの間。突然、足場が崩れて、あたしは地面の中に吸い込まれた!
「きゃあっ!!」
 少し落ちて、しりもちをつくあたし。上を見上げる。これは、落とし穴・・・?
「ヒカリちゃん、どうしたの!!・・・ってうわあっ!!」
 そんな声が、上から聞こえてきた後、また地面が崩れる音。他のみんなも、落とし穴にひっかかったみたい。
「いたた・・・やっぱり、あたしのカン通りだったわね・・・」
「くそ〜っ、誰だよこんな所に落とし穴なんかつくった奴は!!」
「わーっはっはっは!!」
 カズマの言葉に答えるように、頭上から聞き慣れた高らかな笑い声が響く。穴に、見慣れた顔がひょっこりと出てきた。
「『誰だよこんな所に落とし穴なんかつくった奴は!!』の声を聞き!!」
「光の速さでやって来た!!」
「風よ!!」
「大地よ!!」
「大空よ!!」
「天使か悪魔か、その名を呼べば!!」
「誰もが震える魅惑の響き!!」
「ムサシ!!」
「コジロウ!!」
「ニャースでニャース!!」
「時代の主役はあたし達!!」
「我ら無敵の!!」
「ロケット団!!」
「ソーナンス!!」
「マネネ!!」
 いつものように自己紹介するあいつら――間違いなくロケット団だった。
「・・・ご苦労だった、お前達」
 すると、また聞き慣れた声が顔を出した。それは、あのポケモンハンターGだった!
「噂に聞いた通り、お前達の落とし穴は一級品だな」
「それはどうも〜」
 Gの言葉に、ロケット団はゴマをするように答えた。
「まさかお前達、そいつと手を組んだのか!?」
「いかにもその通りだ!! このG様から頼まれて、協力してやってるんだぜ!!」
 タケシの質問に、自信満々に答えるコジロウ。
「カッコつけやがって!! 罰金100万払ってもらうぞ!! ラケット団とやらあ!!」
「ロケット団よ!!」
 カズマの言葉に、怒って大声で言い返すムサシ。
「そう言ってられるのも今の内だ」
 Gがそう言って、パチンと指を鳴らした。すると、突然地面が激しく揺れだした! ロケット団が素早く穴から離れる。
「な、何だあ!?」
「その穴の中で、全員仲良く生き埋めになるがいい!!」
 Gの声と共に、穴の壁が崩れてきた!
「!!」
 あたしは思わず、目をつぶって頭を抱えてしゃがむ。あたしは覚悟した。

 その時、穴の横から何かが飛び出してきた。音からして、かなり大きそうだった。その何かが、低く重い鳴き声を上げながら、落ちてくる土砂を弾き飛ばした。
「・・・?」
 見上げてみると、そこには岩をたくさん積み上げてできたようなヘビのような巨体。いわへびポケモン、イワークだ!
「ふえ〜っ、何とかうまくいったぜ、イワークの“あなをほる”」
 横穴からカズマがひょっこりと顔を出した。タケシやミライさんもいる。このイワークは、カズマのポケモンみたい。
「ナイスよ、カズマ君!」
「いやいや、それほどでも。さあ、上へ上がるぜ!」
 カズマが、真っ先にイワークの体を登っていった。あたし達もそれに続く。こうやって、何とか落とし穴から出る事ができた。
「くっ、このダブルトラップから抜け出すとはな・・・だがまあいい。計算外だが誤差の範囲内だ」
 そんなあたし達の様子を見て、Gは唇を噛んだ後、また表情を戻した。
「どうだヒカリ!! 見ただろ、オレのカッコイイ所を!!」
 カズマは、イワークの頭の上で右手の人差し指を高く上げて、高らかに叫んだ。でも、あたしはそんな事を気にするまでもなく、真っ先にイワークから降りてGの前へ向かった。
「・・・・・・」
「完全にすべってるわね。それに、ヒカリちゃんを助けたのはあなた自身じゃなくてイワークでしょ?」
「・・・・・クソ〜ッ・・・・・・」
 場が気まずい空気に包まれる。ミライさんのツッコミを受けたカズマは、ガクッと肩を落とした。イワークも、呆れた表情を見せた。
「ポケモンハンターG!! サトシはどこなの!!」
「・・・フッ、やはりそう来ると思ったよ、お嬢ちゃん。お目当てのものなら、あそこだ」
 Gが指差した方向を見ると、そこには大きな木に縄で縛られているサトシの姿があった! 側には、動けなくなったピカチュウが入った入れ物もある。
「サトシッ!!」
 あたしは、反射的にサトシの所に行こうとした。でもその前に、白い頭で茶色の体、そして手に1本の骨を持った1匹のポケモンが立ちはだかった。
「おっと。俺はそんな簡単にサトシを明け渡す男ではないのでね・・・助けるのならば、俺を退けてからにするんだな」
 自身ありそうなGの言葉の後に、白い頭のポケモンは手の持った骨をバトンのように振り回して、構える。まるでいつでも来いとでも言っているようだった。
「このポケモンって・・・」
 あたしは、ポケモン図鑑を取り出した。
「ガラガラ、ほねずきポケモン。生まれた時からいつも持っているホネを自在に使いこなす。性格は凶暴」
 図鑑の音声が流れた。

「お前達はあいつらの相手をしろ」
「ラジャー!!」
 Gの指示で、ロケット団はカズマとミライさんの前に立ちはだかる。にらみ合うロケット団とカズマ、ミライさん。
「へっ、やるかよラケット団!!」
「だからロケット団よっ!!」
「ラケットでもロケットでも関係ねえ!! お望み通り相手になってやらあ!!」
「関係なくないわよっ!!」
 カズマとムサシは、相変わらずそんな言い争いをしていた。
「やれやれ、いつまでバカな事してるつもりなのよ・・・グレイシアちゃん戻って!」
 そんな様子を見ていたミライさんは、グレイシアをモンスターボールに戻した。
「さ、みんなショータイムよ!! 呼ばれて飛び出てニューラちゃん!!」
 ミライさんはそう叫んで、別のモンスターボールを投げ上げた。出てきたのは、シンジも持ってたマニューラに似た黒いポケモン、ニューラだった。
「こうなったらバトルでお仕置きしてやるわ!! ハブネークッ!!」
 ムサシが怒りのままにモンスターボールを投げて、ハブネークを出した。
「行け、サボネア!!」
 コジロウが出したのはサボネア。でも、出てきたサボネアはいつものようにコジロウにトゲを向けて飛びついてきた。
「いて〜っ!! 違う違う!! あっちだって!!」
「ホントに無敵なのかしら、このロケット団ってのは・・・」
 それを見たミライさんは、少しだけ笑みを浮かべてそんな事をつぶやいた。
「こっちから行くぜ!! イワーク、“ロックブラスト”!!」
 先手を取ったのはカズマ。イワークは、口からたくさんの岩を吐いて攻撃する! ハブネークに命中! 岩の集中砲火に、ハブネークも怯む。
「ハブネーク!!」
「どうだ!! 史上最大のポケモンの力、思い知ったかあ!!」
 自信満々に叫ぶカズマ。
「・・・それはホエルオーでしょ」
「え!? イワークって一番でかいポケモンじゃないんスか!?」
「それはもう昔の話。大の若者が古い知識しかなくてどうすんのよ、カズマ君?」
「・・・・・・」
 ミライさんのツッコミで、場が気まずい空気に包まれた。冷たい風が吹き抜けた。

「ヒカリ、俺も加勢するぞ」
 タケシが、あたしの隣に来た。
「2人で来るか。ならばこちらも2体で相手をさせてもらおう。ドククラゲ!! ガラガラ!!」
 Gの指示で、ドククラゲもどこからか現れて、ガラガラの横に立つ。
「ポッチャマ、お願い!!」
「頼むぞ、ウソッキー!!」
 あたし達も、ポケモンを出す。あたしはポッチャマ、タケシはウソッキー。にらみ合う4匹のポケモン達。本当なら、すぐにサトシの所に行きたい。こうしてる間にも、サトシは毒で弱り続けているはず・・・こんな所で足止めされてる訳には・・・!
「ポッチャマか・・・そうか、お嬢ちゃんはどこかで顔を見た事があると思ったら、この間のコンテストで予選落ちしたヒカリとかいう奴か! そんな輩など、俺の敵ではない!」
 その言葉を聞いて、あたしは一瞬、動揺した。
「ヒカリ、奴の言葉に乗せられるな。バトルにあまり時間を取られ過ぎると、サトシの命が危ない。なるべく早くケリをつけるぞ!!」
「わかってる!!」
 ちょうどタケシも同じ事を考えてたみたい。サトシのためにも、ここは負けられない!
「では、こちらも始めよう。ガラガラ、“ホネこんぼう”!!」
 先手を取ったのはG。ガラガラが、骨を振り上げてポッチャマに迫ってくる!
「ポッチャマ、よけて!!」
 とっさにそう指示するあたし。ポッチャマはガラガラの骨の一振りをしっかりよけてくれた。
「ウソッキー、“すてみタックル”だ!!」
 タケシの指示で、全身に力を込めて勢いよくドククラゲに突撃していくウソッキー。
「ドククラゲ、“バリアー”!!」
 すると、ドククラゲの目の前に、透明な大きな壁が立ちはだかった! ゴツンと思い切り頭をぶつけるウソッキー。
「今だ、“ギガドレイン”!!」
 その隙をGは見逃さなかった。ドククラゲの無数の触手が、ウソッキーにからみつく。そして、そのままウソッキーの体力を吸い取り始めた! 効果は抜群! 悲鳴を上げるウソッキー。
「くっ、あのドククラゲ、くさタイプのわざも使えるのか・・・!!」
 唇を噛むタケシ。ウソッキーの様子に、あたしも気付いた。
「ポッチャマ、ウソッキーをフォローして!!」
 すぐにあたしはそう指示した。ポッチャマはドククラゲに向けて“バブルこうせん”を発射! 命中! でも、効果は今ひとつ。ドククラゲは苦にもしないで、ウソッキーの体力を吸い取るのをやめない。
「こうなったら“つつく”攻撃よ!!」
 攻撃を切り替えるあたし。ポッチャマはくちばしに力を込めて、ドククラゲに向かっていく!
「・・・いいのか? ガラガラには隙だらけだぞ?」
 余裕の表情を見せるG。見ると、ポッチャマの後ろから、ガラガラが両手で持った骨を振り上げて向かってくる! あたしはよけて、と指示しようとしたけど、もう遅かった。
「“ボーンラッシュ”!!」
 Gの指示で、ガラガラは目にも留まらぬ速さで、骨でポッチャマを連続で殴りつけた! そして骨を横に払うと、ポッチャマはあたしの目の前に弾き飛ばされた!
「ポッチャマ!!」
 あたしがそう叫んだ直後、ドククラゲがウソッキーを離した。体力の吸い取られたウソッキーは、糸の切れた操り人形のように崩れ落ちた。完全に戦闘不能。
「ウソッキー!!」
「まずは1匹・・・」

「くそっ!! 大きいからって調子に乗るなよ!! サボネア、“ニードルアーム”!!」
 反撃に転じるコジロウ。サボネアが腕に力を込めて、自分の体の何倍もあるイワークの頭を思い切り殴った! 効果は抜群! 思わず怯んで後ずさりするイワーク。
「お返しよ、ハブネーク!! “かみつく”攻撃!!」
 続いてハブネークもイワークにキバを向いて向かっていく!
「やべっ!!」
「ニューラちゃん、“ふぶき”!!」
 焦るカズマを、ミライさんがフォローした。“ふぶき”の一撃で、サボネアもろともハブネークを吹き飛ばす。
「すまねえ、ミライさん・・・」
「しっかりしなさいカズマ君!! 調子に乗りすぎちゃダメ!! 相手は結構戦い慣れてるわよ!!」
「ほめてくれてこりゃどうも!! ハブネーク、ニューラに“ポイズンテール”!!」
 ミライさんの言葉を聞いたムサシは、ハブネークをニューラに向かわせる!
「さあ、ゴングが鳴ったわよ、ニューラちゃん!!」
 それを見たミライさんがそう言うと、ニューラは身構えた。
「冷凍拳、“れいとうパンチ”ぃ!! なんてね!!」
 そんな事をミライさんが笑みを浮かべて叫ぶと、ニューラの右手が白く光り始めた。そして、その右手を引いて、そのままハブネークを迎え撃つ! 右手のストレートパンチは、ハブネークの顔にクリーンヒット! 勢いに任せてニューラがハブネークの横を通り過ぎると、ハブネークはたちまち氷付けになった!
「ああ!! ハブネーク!!」
「どう? 『氷の魔女』の力、思い知ったかしら?」
 動揺するムサシに、ミライさんはウインクして自信満々に言った。
「よ〜し、オレだって負けてられねえぜ!! イワーク、“たいあたり”だあ!!」
 負けじとカズマも攻撃に出る。イワークは、その大きな体を思い切りサボネアにぶつけた! こんな大きな体をぶつけられたサボネアが、ただで済む訳がない。たちまち弾き飛ばされ、木に叩きつけられるサボネア。
「これはおまけ、なんてね!! ニューラちゃん、“メタルクロー”!!」
 ミライさんがそう叫ぶと、ニューラは爪に力を込める。そしてそれで、素早くサボネアを切り付けた!
「サボネアッ!!」
「決めるわよニューラちゃんっ!! “ふぶき”!!」
 すかさず次の指示を出すミライさん。ニューラが放った“ふぶき”は、たちまちロケット団の全員を巻き込んだ。
「さ、寒〜っ!!」
 そんな悲鳴を上げながら、ロケット団の全員はたちまち氷付けになった。
「よっしゃあ!!」
「無敵とか言っておいて、たいした事のない奴らだったわね。さ、サトシ救出に加勢するわよ!!」
 ミライさんはそう言って、Gとバトルを繰り広げるあたし達の方に顔を向けた。

「次だ!! ドククラゲ、“ギガドレイン”!!」
 ドククラゲの触手が、今度はポッチャマに伸びる!
「かわして!!」
 とっさにそう指示するあたし。でも、ドククラゲのたくさんの触手を、ポッチャマはかわす事ができなかった。とうとう触手に捕まるポッチャマ。
「フッ、ドククラゲの80本の触手から逃げられると思うな。やれ!!」
 Gが手を前に突き出すと、ドククラゲがポッチャマの体力を吸い取り始めた! 効果は抜群!
「ポチャアアアアアアッ!!」
 悲鳴を上げるポッチャマ。少しすると、ポッチャマの体の力がガクリと抜けたのが見えた。
「ポッチャマ!!」
 あたしがそう叫んだ時、ドククラゲがポッチャマを離す。ポッチャマは、その場にばたりと倒れて、動かない。完全に戦闘不能。
「これで2匹だ・・・さあ、次は何で戦う?」
 Gは余裕の表情を浮かべたまま、あたしを試しているように言う。あたしはポッチャマを、タケシはウソッキーをモンスターボールに戻した。
「どうするの、タケシ? このままじゃ・・・」
「ああ、相手はかなり手強い・・・まともに戦い続けたら勝ち目はない。サトシを助ける所じゃなくなってしまうかもな・・・」
 唇を噛むタケシ。タケシの言う通りだ。いつまでもGにかまってる訳にはいかない。だけど、この状態からして、Gがこの先を通してくれそうな様子はない。こんな事している間にも、サトシは弱り続けているっていうのに・・・どうすれば・・・どうすれば・・・!
「どうした? 戦えるポケモンがいないのか? それならば・・・ん?」
 Gが何か言いかけた時、何かの気配に気付いた。Gが振り向くと、そこにはサトシが縛られている木の根元で、動けないピカチュウが入った入れ物を重そうに持ち運ぼうとしてる、ニャースの姿があった!
「ニャ!?」
「お前、何をしている!」
「え・・・こ、これは、あの・・・」
 ニャースの行動を不自然に思ったらしいGの問いかけに、ニャースは慌てて言い訳を言おうとした。その時だった。あたしの懐が急に光った。モンスターボールが勝手に開いた?
「ミミーッ!!」
 足元を見ると、そこにいたのはミミロルだった! ニャースに向かって“れいとうビーム”を発射! 不意を付かれたニャースは、よける事ができなかった。一瞬の内に、ニャースの体はたちまち凍りついた。
「何!?」
 Gが驚いてこっちに顔を戻した、その時。
「ニューラちゃん、“メタルクロー”であの縄を切っちゃって!!」
 ミライさんの声。すると、ニューラがニャースの横を素早く通り過ぎて、“メタルクロー”でサトシを縛っていた縄を切り裂いた! 縄から解かれたサトシは、ゆっくりとその場に倒れた。
「『氷の魔女』ミライ、見参!! なんてね!!」
「ミライさん!!」
「ヒカリちゃん、今の内にサトシを!!」
「はい!!」
 あたしは、すぐにサトシの所に行った。ミミロルもついて来る。
「行かせん!! ガラガラ・・・」
「それはこっちのセリフ、なんてね!! ニューラちゃん、“でんこうせっか”!!」
 あたしを止めようとGがガラガラに指示を出そうとした時、ニューラが素早くガラガラに体当たりをかけた! ミライさんは、Gの相手を引き受けてくれるみたい。
「くそっ、ドククラゲ・・・」
「グレッグル、ドククラゲに“かわらわり”だ!!」
 すると、今度はタケシが応戦する。モンスターボールから出て来たグレッグルは、右手に力を込めてドククラゲの頭にチョップをお見舞いした!

「ミ・・・ミッ!」
 その頃、ミミロルはピカチュウの入った入れ物を凍ったニャースの手から重そうに取って、ゆっくりと地面に下ろした。
「ミミ!! ミミ!!」
 ミミロルは入れ物のふたを叩いてピカチュウに呼びかける。でも、動かないピカチュウは何も答えなかった。

「オレも手伝う!!」
 そして、サトシの所に来たあたしの所に、カズマも来た。あたしは、すぐに倒れたサトシの体を起こす。カズマと2人がかりで、サトシの体をGから離れた場所に運んだ。サトシの顔が青ざめているのが、はっきりとわかる。
「サトシ!! しっかりして!! ねえっ!!」
 あたしは、サトシの体を揺さぶって呼びかけた。
「う・・・・・・う・・・・・・」
 でも、サトシは目を開けないまま、弱々しい声を出すだけだった・・・


TO BE CONTINUED・・・

[101] re
ひこ - 2007年10月30日 (火) 13時19分

遂に来たサトヒカ!!!!!
2部構成だそうで、今までよりもっと濃い内容になりそうですね・・!

では執筆頑張ってください!



感想はポケ書のほうで書こうかなーとか企んでます(知らん

[102] SECTION03 サトシ、完全なる敗北!?
フリッカー - 2007年10月30日 (火) 19時37分

「ミミ!! ミミ・・・!!」
 入れ物の中で、変わり果てたピカチュウをどうしていいのかわからないミミロルは、ただ、叫び続けるしかなかった。その目には、涙が溜まっていた・・・

「サトシ、あたしよ!! ヒカリよ!! 返事をして!!」
「う・・・・・・う・・・・・・」
 あたしの呼びかけに、サトシは目を開けないまま、弱々しい声で答えるだけだった。
「こりゃ、ひどい状況だぜ・・・まさに虫の息だ・・・」
 サトシの状態を重く見たカズマが、そんな事をつぶやいた。
「運ぶ前に何か応急処置しねえと、やばいんじゃないのか!?」
「どうしよう・・・」
 あたしは動揺した。このままじゃ危ないって事は、あたしにもわかった。でも、応急処置をしようにも、それができるようなものは持ってない。どうしていいのかわからない・・・そう思った時、あたしの視界にあるものが入った。
「あれって・・・モモンの実?」
 ふと目に入った、近くの木になっている小さな木の実。それは、間違いなくモモンの実だった。
「モモンの実って確か、毒を消す効果があるんだよな・・・」
「あれを食べさせれば・・・!」
 サトシを助けられる! そう確信したあたしは、すぐにその実を2つほど素早く取ってきて、戻った。
「サトシ!! これを食べて!!」
 あたしはそう呼びかけて、サトシの口にモモンの実を1個当てた。そうすれば、サトシは自力で食べてくれると思った。
「・・・・・・」
 でも、サトシは一切口を動かさない。あたしが手を離すと、モモンの実はサトシの頬を伝って力なく転がり落ちていった・・・


SECTION03 サトシ、完全なる敗北!?


 Gとミライさん、そしてタケシは、激しいバトルを続けていた。
「ニューラちゃん、“メタルクロー”!!」
「ガラガラ、“ホネこんぼう”!!」
 ニューラとガラガラが正面からぶつかり合う。ニューラの爪と、ガラガラの骨がかち合った! 2匹は間合いを取って仕切り直しになる。
「グレッグル、ドククラゲに“かわらわり”!!」
 グレッグルは、正面からドククラゲに突撃していく!
「“ハイドロポンプ”!!」
 ドククラゲが迎え撃つ。放たれた強い水流は、グレッグルをいとも簡単に押し返した! 木にぶつけられるグレッグル。
「このポケモンハンター、なかなかやるわね・・・タケシ君、こうなったらコンビネーションで行くわよ! あたしが先に行くから、後に続いて!」
「わかった!!」
「ニューラちゃん、“ふぶき”!!」
 ニューラが、“ふぶき”をドククラゲとガラガラの2匹に向けて放つ!
「ガラガラ、“まもる”!!」
 “ふぶき”がまさに2匹を飲み込もうとした時、すかさずガラガラは守りの体制に入った。透明なバリアが、ガラガラの体を覆う。そしてその直後、“ふぶき”は2匹を飲み込んだ!
「今だグレッグル!! ドククラゲに“かわらわり”だ!!」
 2匹の動きが止まった隙をついて、タケシはグレッグルをドククラゲに向かわせた! “ふぶき”で動きを止められたドククラゲは、よける事ができない!
「ガラガラ、グレッグルに“ホネブーメラン”!!」
 “まもる”で攻撃を防いでいたガラガラが、素早く動いた! 手に持った骨をグレッグルに向けて投げつける! グレッグルは、完全に不意を突かれた。投げつけられた骨は、グレッグルに直撃! 効果は抜群! 弾き飛ばされるグレッグル。でも、ガラガラの攻撃はまだ終わらない。名前の通りブーメランのように戻ってきた骨を手に取ると、素早くグレッグルに近づいて、もう一撃殴りつけた! 効果は抜群!
「グレッグル!!」
「は、速い!?」
 予想外の事態に、ミライさんは驚きの声を上げた。
「少しはやるようだな。だが、いつまでもお前達と遊んでいる暇はない」
「・・・そうはいかないわ!! こっちだって、かわいいいとこをやらせる訳にはいかないのよ!! あたし、こう見えてもジムリーダ候補に選抜された事だってあるのよ!!」
 それでも、ミライさんは怯んだ表情を見せない。
「達者な口だな。それをいつまで言ってられるかな?」

「サトシ!! お願い、食べてよ・・・!!」
 あたしはもう一度モモンの実をサトシの口に当てる。でも、やっぱりサトシの口は動かない。手を離すと、モモンの実はまた、サトシの頬を伝って力なく転がり落ちていく。
「・・・ほら、これを食べれば、毒が治るのよ!! ダイジョウブだから、食べて!!」
 あたしはまたモモンの実を拾ってサトシの口に当てた。でも、結果は同じだった。
「そんな・・・」
 あたしは、言葉を失った。サトシは、ものも食べられなくなるほど弱っていた事を、思い知らされた。これじゃ、モモンの実を食べさせる事ができない・・・
「くそっ! これじゃ話にならないぜ・・・!」
 カズマが唇を噛んだ。でも、こんな所であきらめたくなんかない・・・何としてでもモモンの実を食べさせなきゃ、サトシは・・・! そんなあたしの頭に、こんな状態のサトシにモモンの実を食べさせる、ただ1つの方法が浮かんだ。こうなったら・・・! あたしはすぐに、手に持っていたモモンの実を口にほおばった。
「お、おいヒカリ!? 何やってんだよ!? ヤキが回っちまったのか!?」
 カズマが言う事も聞かずに、あたしはほおばったモモンの実を口の中でよく噛む。甘い味が、口の中に広がる。当然、あたしが食べたら意味がない。ある程度実を噛み砕いた後、あたしは実を口に含んだまま、サトシに顔を近づけた。そして、サトシの口を少し開けて、あたしは自分の口をサトシの口に静かに重ねた。そして、口を開けて噛み砕いた実をサトシの口にゆっくり流し込んだ。
(お願いサトシ、死んじゃダメ・・・!!)
 そう祈っていたせいか、あたしは自然と目を閉じていた。
「!!」
 それを見たカズマが、驚きの表情を見せた。こんなのを見たら、驚いて当然か。でも、あたしが今、男の人に対してどんな事をしているのかなんて、全然考えていなかった。ただ、サトシを助けたい。それ以外の事は何も考えていなかった。
 実を流し込み終わると、口を離してサトシのあごを持ち上げて、流し込んだ実を飲み込ませる。飲み込んだのを確かめて、あたしはもう1個の実をほおばる。よく噛み砕いて、またほおばったままサトシの口に自分の口を重ねて、噛み砕いた実を流し込む。そして、あごを持ち上げて飲み込ませる。
「ヒ・・・カ・・・リ・・・?」
 すると、サトシがうっすらと目を開けて、弱い声だけど確かにあたしを見てそう言った。
「サトシ・・・!」
 少しだけど、意識を取り戻してくれた・・・! あたしは、サトシが無事でいてくれて、嬉しくなった。恥ずかしいけど、涙が出そうになった。

「ふ〜ん・・・」
 その様子を、ミライさんは横目で見ていた。
「よそ見をしていていいのか!? ガラガラ、“ほのおのパンチ”!!」
 それを、Gは見逃さなかった。ガラガラは持っている骨を投げ捨てて、右手に力を込める。すると、右手の拳が炎に包まれた! ガラガラはそのまま、ニューラに向かっていく!
「ちっ、ニューラちゃん、“れいとうパンチ”で応戦よ!!」
 すぐに対応したミライさんの指示で、ニューラも右手に力を込める。拳が、冷気に包まれる。ガラガラの右の拳が、ニューラに突き出される! ニューラも、右の拳を突き出す! 2つの拳が、正面からぶつかりあった! 炎と冷気がぶつかり合って、拳から白い煙が巻き起こった。2匹が煙に包まれる。でもその直後、ドンという鈍い音がしたと思うと、ニューラが煙の中から弾き飛ばされた!
「ニューラちゃん!?」
 驚くミライさんの前で、倒れるニューラ。戦闘不能。よく見ると、ニューラの頬がやけどした跡がある。
「まさか、“ほのおのパンチ”を・・・!?」
「そうだ。パンチが片手でしか出せないと思ったら大間違い、という事だ」
 煙の中から姿を現したガラガラの手は、右手だけでなく、左手も炎に包まれていた。そう、ガラガラは右手の“ほのおのパンチ”を“れいとうパンチ”を受け止められた後、左手の“ほのおのパンチ”をニューラにヒットさせていた。これじゃ、よけられるはずがない。
「お遊びは終わりだ。ガラガラ、奴を止めろ!!」
 Gはサトシを助ける事に必死になっているあたしを見て指示する。ガラガラは、まっすぐそこへ走っていく!
「まずい!! グレッグル!!」
 タケシは、ガラガラを止めようと、グレッグルにそう指示した。でも、タケシが見たのは、ドククラゲの触手にがんじがらめにされているグレッグルの姿だった!
「行かせはしない。このグレッグルの相手は、ドククラゲだ・・・」
 Gはタケシを見て、余裕の笑みを浮かべた。タケシは唇を噛んだ。

「カズマ、サトシを運ぶの手伝って!」
「・・・あ、ああ!」
 あたしが呼びかけると、カズマは慌てて返事をした。そして、2人でサトシを抱えて、運び出そうとした時だった!
「ヒカリちゃん!! 危ない!!」
 突然、ミライさんの声がした。見ると、どこからかガラガラの骨が飛んで来るのが見えた!
「!!」
 あたしは、慌てて伏せる。骨は、あたしの頭上を通り過ぎていった。そして、Uターンして、ガラガラの手に戻った。“ホネブーメラン”だ!
「うっ・・・!」
 慌てて伏せたものだから、手の力が緩んじゃって、サトシの体はドシンと地面に叩きつけられた。その衝撃のせいか、サトシの目が完全に開いた。
「チッ、ナエトル!! “タネマシンガン”でもお見舞いしてやれ!!」
 カズマはすぐにモンスターボールを投げて、ナエトルを出した。ナエトルは、“タネマシンガン”を発射してガラガラを迎え撃つ! でも、ガラガラは口から火を吹いて、“タネマシンガン”を容易くはじき返した! 火はそのまま、ナエトルに襲い掛かる! 効果は抜群!
「な!? “かえんほうしゃ”が使えるのかあいつ!?」
 動揺するカズマ。返り討ちにあって大ダメージを受けたナエトルは、たちまち戦闘不能に。
「ミミロル!!」
 こんな時に、サトシがやられちゃったら・・・あたしは、慌てて勝手にボールから出たミミロルを呼んだ。ピカチュウの入った入れ物にすがり付いていたミミロルはすぐに反応して、こっちに来てくれた。
「グレイシアちゃんっ!!」
 ミライさんもこっちをフォローしようと、一度戻していたグレイシアを再び出した。ミミロルとグレイシアは、2匹がかりでガラガラに飛び掛る! でも、ガラガラはそれにも素早く対応した。邪魔をするなと言わんばかりに、“ホネこんぼう”で2匹をなぎ払った!
「ミミーッ!!」
 弾き返されるミミロル。ミミロルの体は、ピカチュウの入った入れ物にぶつかった。その拍子に、入れ物についていたスイッチが入った。
「グレイシアちゃん!!」
「ミミロル!!」
 あたしとミライさんが叫ぶ間もなく、今度はあたしをにらみつけるガラガラ。そして、手に持った骨をあたしに向けて投げつけた! “ホネブーメラン”だ!
「ああっ!!」
 あたしは、それをよける事ができなかった。左のすねを骨がぶつかった。痛さで思わずかがみ込む。骨は、Uターンしてガラガラの手に戻る。もう一撃が来る! でも、よけられない! 骨を振り上げて飛びかかって来るガラガラを前に、あたしは思わず目をつぶった。その時!

 あたしの体が、急に誰かに倒された。そのお陰で、ガラガラの骨の一振りは空を切った。
「!?」
 あたしの体は、誰かに抱えられている。顔を横に向けると、そこには・・・
「大丈夫か・・・ヒカリ・・・」
 少しだけ笑みを浮かべてこっちを見るサトシの顔があった。でも、顔色は何だか無理をしているように見えた。
「サトシ・・・?」
 驚くあたしを尻目に、サトシはゆっくりと立ち上がった。その体の動きもぎこちない。やっぱり、まだ体は完全に治ってないんだ・・・! それを見たガラガラは、すかさずサトシに“ホネこんぼう”をお見舞いしようとする! 危ない! でも、その攻撃はまた別の影が素早く阻止した。ピカチュウだ!
「ピカチュウ・・・無事だったんだな・・・」
 サトシが少し弱い声でそう言うと、ピカチュウは元気よく答えて、サトシの許に駆け寄った。ミミロルも、ピカチュウの復活に、嬉しそうな表情を浮かべた。
「サトシ!!」
「無事だったんだな!!」
 ミライさんとタケシが、喜びの声を上げる。
「む! 息を吹き返したか、しぶとい奴め・・・」
 Gが、サトシの様子に気付いた。ドククラゲもグレッグルを離して、サトシの方を向く。
「さっきは・・・よくもやってくれたな、ポケモンハンターG・・・!」
「フン、だがお前が息を吹き返した所で、まだこちらが負けだと決まった訳ではない。むしろ、好都合だよ」
「俺は・・・お前みたいな奴が許せねえ・・・! 頼むぞピカチュウ!!」
 まだ余裕の表情を浮かべるGを前に、ピカチュウが前に出た。その闘志が電気袋からの火花となって現れた。サトシは、まだ体が完全に治っていない。でもピカチュウはまだ平気。これなら、いつものようにGを倒してくれる。あたしはそう思った。
「ピカチュウ、ドククラゲに“10まんボルト”!!」
 サトシは、残った自分の力を振り絞るように指示を出すと、ピカチュウはそれに答えて、電撃をドククラゲに向けて放った! これが当たれば効果抜群・・・のはずだった。でも、予想を裏切って電撃はドククラゲの前で急に向きを変えた! そして、いつの間にかGの許に戻ってきていたガラガラの体に吸い込まれた! じめんタイプのガラガラには、当然でんきわざなんて効く訳ない。
「何!?」
「無駄だ。こちらには『ひらいしん』を持ったガラガラがいる。ピカチュウがどれだけ電撃を放とうが、ガラガラが受けるだけだ」
 でんきわざを全て自分に来るようにするとくせい『ひらいしん』。前のタッグバトル大会でも、それを使っていた相手とサトシが戦ったのをあたしは見た。それを見たあたしは、急に不安に駆られた。
「くそっ・・・ピカチュウ!! こうなったらガラガラに“アイアンテール”!!」
 サトシは目標を切り替えた。ピカチュウは、尻尾に力を込めて、ガラガラに叩きつける!
「受け止めろ!!」
 ガラガラは、それを骨で受け止めた。骨と尻尾のつば競り合いになる2匹。
「背中ががら空きだ!! ドククラゲ、“ハイドロポンプ”!!」
 すると、ドククラゲがピカチュウの背中に狙いをつけて、“ハイドロポンプ”を発射! その場を動けないピカチュウに、よけられる訳がない。
「ピカアアアアッ!!」
 弾き飛ばされるピカチュウ。
「ピカチュウ!! くっ、2対1なんて・・・卑怯だぞ!!」
「卑怯とでも何とでも言え!! ドククラゲ、“ハイドロポンプ”!! ガラガラ、“ホネブーメラン”!!」
 サトシの言う事も無視して、Gは攻撃を続ける。ドククラゲが、もう一度“ハイドロポンプ”を発射する!
「よけろピカチュウ!!」
 サトシの指示で、ピカチュウはそれをジャンプしてかわした。でも、それを狙っていたかのようにガラガラの骨が飛んで来た! 直撃! 効果は抜群!
「ピカッ!!」
 地面に落とされるピカチュウ。骨は、ガラガラの手に戻ってくる。そして、倒れたピカチュウに追い討ちをかける! 骨の一振りは、倒れたピカチュウにはよけようがなかった。効果は抜群!
「ピカアアアアッ!!」
 サトシの目の前に弾き飛ばされるピカチュウ。ダメージはかなり大きいみたい!
「フフフフフ・・・『ふといホネ』の威力は実にすばらしい・・・取り寄せた甲斐があったな」
 自信満々にそんな事をつぶやくG。
「そうか・・・! あのガラガラ、道理でパワーがあると思ったら、『ふといホネ』を持っていたのね・・・!」
「『ふといホネ』は、ガラガラの攻撃力を高める道具だからな・・・」
 ミライさんとタケシは、そんな事をつぶやいた。
「くそっ・・・ピカチュウ、もう一度だ!!」
 それでもサトシはあきらめない。ピカチュウはもう一度、“アイアンテール”でガラガラに向かっていく!
「そのパターンは通用しないぞ!! ドククラゲ!!」
 すると、ピカチュウの横から、ドククラゲの触手が伸びてきた! 触手は、ピカチュウの体をがんじがらめにしめつけた!
「ガラガラ、“ホネこんぼう”!!」
 触手に捕らえられて動けないピカチュウに、ガラガラが容赦なく追い討ちをかけた! 効果は抜群! ドククラゲの触手から解き放たれたピカチュウは、その場に崩れ落ちた。やっぱり、2対1で敵う訳ない・・・あたしの不安は、ますます強くなっていった。
「ピ・・・ピカチュウ!!」
「これでもうそのピカチュウは再起不能だ。実に俺の計算通りに動いてくれたな」
 Gが余裕の笑みを浮かべる。
「・・・どういう・・・事だ?」
「俺は物事を始める前に念入りに計画を立てないと気がすまない性質(たち)でな、お前が今まで出場したリーグの戦跡から徹底的に調べ上げたのだ。お前がバトルでどんなポケモンを出してどんな行動をしようが、俺の知らないものはない」
「ふざけるな・・・! まだ、ピカチュウは戦えるさ・・・2対2になれば・・・! ナエトル・・・うっ・・・」
 サトシは懐から別のモンスターボールを取り出そうとした。でもその時、サトシの体が急にふらついた。めまいを起こしたみたいだった。
「サトシ・・・!?」
 サトシはやっぱり無理をしてたんだ・・・! このままだったら、バトルどころじゃなくなる! あたしは、サトシの所に行こうとした。でもそれを、Gは見逃さなかった。
「邪魔をするな! “ハイドロポンプ”!!」
 ドククラゲがあたしに顔を向けて、“ハイドロポンプ”を発射した! 気付くのが遅れた。よけられない!
「ヒ・・・ヒカリ!!」
 その時、それに気付いたサトシがあたしに覆いかぶさるように、あたしの体を倒した。“ハイドロポンプ”は、あたし達の真上を通り過ぎていった。
「ヒカリ・・・下がっていろ!」
「でも、サトシはまだ・・・!」
 サトシの顔は苦しそうだった。サトシはあたしの不安をよそに、またぎこちなく立ち上がる。
「他人の心配をしていていいのか!! やれ!!」
 その行動は、Gに隙を見せる事になった。Gが指示すると、その隙を突いて、ドククラゲがサトシに触手を伸ばした!
「うわあっ!?」
 サトシは、抵抗する間もなく触手に捕らえられた! サトシの体が、軽い荷物のように容易く持ち上げられる。
「サトシ!!」
 あたし達が、一斉に声を上げた。
「・・・ヨスガシティのタッグバトル大会に出たのは不運だったな。それに出てくれたお陰で、俺はお前の新しい戦闘データが取れたのだからな。フフン、俺の勝利の方程式に、狂いはない!」
 Gが話を続ける。このままじゃ、サトシが殺されちゃう! あたしは直感でそう思った。
「ミミロル!! サトシを助けて!!」
「ミミッ!!」
 あたしは、ミミロルに呼びかける。ミミロルがドククラゲに飛び掛る。でも、ドククラゲは空いている触手で、ミミロルを簡単に弾き飛ばした!
「そんな・・・!!」
 あたしの心を絶望感が襲った。すると、サトシは手の自由が利かない中で、持っているモンスターボールを4つ全部取り出して、あたしの方に向けて開けた。ナエトル、ムクバード、エイパム、そしてヒコザルが姿を現した。
「ヒカリ・・・みんなを・・・頼む!!」
 こっちを向かないまま発せられたその言葉に、ナエトル達は驚いてサトシの方を見た。まさかサトシは、覚悟を決めたの・・・!?
「さあ、お別れを言え・・・お前を取り巻く全てのものにな!! “ギガドレイン”!!」
「ぐわああああああっ!!」
 ドククラゲが、体力を吸い取り始めた! 悲鳴を上げるサトシ。間もなくして、サトシの手足と頭が、糸の切れた操り人形のようにガクリと崩れた。
「サトシッ!!」
 それを見たあたしは、ただそう叫ぶしかなかった。
「俺の勝ちだ・・・とどめを刺せ!!」
 Gの指示で、“ギガドレイン”はさらに激しくなっていく。このままじゃ、サトシが本当に・・・!
「そうはさせないわ!! グレイシアちゃん、触手に向けて“れいとうビーム”よ!!」
 その時、ミライさんの声がした。すると、グレイシアはサトシをしめつけているドククラゲの触手を狙って“れいとうビーム”を発射した! 命中! 触手に寒気が走ったドククラゲは、思わずサトシを離した。その場に崩れ落ちるサトシ。
「何!? こんな時に邪魔するとは・・・!! ドククラゲ、奴に“ハイドロポンプ”!!」
 少し動揺したGは反撃に出る。ドククラゲが、グレイシアに体を向けて“ハイドロポンプ”を放つ!
「あたしのカン通りね! グレイシアちゃん、“ミラーコート”!!」
 ミライさんはそれを待っていたようだった。グレイシアの体が、ほのかに光りだした。そこに、“ハイドロポンプ”が襲い掛かる! でも、“ハイドロポンプ”はまさにグレイシアを飲み込もうとする所で光にせき止められて、そのまま逆流し始める! ドククラゲは、それをよけようがなかった。自分の放った“ハイドロポンプ”で弾き飛ばされるドククラゲ。
「な、何!?」
 木に思い切り体をぶつけたドククラゲは、完全に戦闘不能になっていた。
「どう、自分の攻撃倍返しのお味は? いや、“ミラーコート”はエスパーのわざだから、ドククラゲには『倍倍返し』か。そんなの食らったら、どんなポケモンだってただじゃ済まないわ。さあ、観念しなさい!!」
「ちっ、こんな時に邪魔されるとは・・・」
 自信満々のミライさんの言葉に、唇を噛むG。でも、すぐにその表情は戻った。
「・・・だが、いいだろう。常に最悪の事態を想定するのが俺の主義だ。今回は見逃してやろう。サトシなど、いつでも殺せる。その時まで命は預けておく! また会おう・・・!」
 そう言い残すと、Gはドククラゲとガラガラを戻して、身を翻して車に滑り込んだ。
「逃がすか!!」
 カズマが、それを追いかけようとした。でも、車は急激にエンジンをふかして、追いかける間もなくどこかへと走り去っていった・・・
「行ったようね・・・」
 ミライさんがつぶやいた。
「くそっ、あいつめ!! 罰金100万払わせてやる!! 追いかけるぞ!!」
「深追いしない方がいいわ、カズマ君」
 車の後を追いかけようと走り出そうとしたカズマを、ミライさんが手を掴んで止めた。
「なんで止めるんスかミライさん!!」
「今はサトシの事が最優先よ。それに、何だか嫌な予感もするしね・・・」
 理由を聞くカズマに、ミライさんは倒れたサトシを見てそう答えた。
「サトシ!!」
 あたしは、すぐに倒れたサトシの許へ走った。サトシのポケモン達も一緒に来る。ミミロルは、ピカチュウの所へ行く。
「サトシ!! しっかりして!! 返事をして!!」
 あたしやサトシのポケモン達がどんなに呼びかけても、サトシは返事をしてくれない。そこに、タケシが来る。
「これは・・・辛うじて脈はあるが、『意識不明の重体』って所だな・・・」
 タケシがサトシの様子を調べてそう言った。
「そんな・・・そんな・・・!」
 それを聞いたあたしの心の中に、悔しさが湧き出てきた。ヨスガシティのコンテストの時よりも、ずっとずっと大きな悔しさが。せっかく助けたサトシが、またこんな目に遭っちゃうなんて・・・あたしのせいだ、あたしがしっかりしてなかったから・・・! あたしの目から、自然と涙がこぼれた。
「うあああああああっ!!」
 あたしはあの時と同じように、そう空に泣き叫んだ・・・


STORY04:THE END
THE STORY IS CONTINUED ON STORY05・・・

[104]
★ディオ★ - 2007年11月04日 (日) 21時16分

カンソーでーす。


す、凄過ぎる!!新手のハンター、Gの登場とは・・・。
というよりも何故『G』なのかが気になるが。(ギンガ団でもあるまいし・・・
ならばこちらだって負けませんよ!!


ちなみに、リクエストで出したキャラ、ゲキのモデルはこれを参考にしてください。
http://wingred.hp.infoseek.co.jp/rough/Ryosuke.jpg

ちょっと分かりにくい場合はこのサイトに飛んで『高橋涼介』というのをモデルにしてください。
http://initiald.sega.jp/ind_ac4/chara04.html



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板