[59]ばぁどえふ
夕暮れ時の公園― お買い物の帰りに、ランがふと立ち寄ってみた小さな公園にはまだ何人か、小さな子供たちが砂場で遊んでいました。 でもすぐに、ひとりふたりとお家に帰っていって、薄暗くなるころにはみんないなくなってしまいました。 ランは、時々こういった光景を目にするんです。 小さな子供たちが、はしゃいでいるのを見るととてもうきうきした気持ちになれるのですけれど、そんな子供たちが帰っていった後の静けさというのは・・・少し寂しいですね。
ランは、前世ではお祭りの金魚すくいの水槽で泳いでいました。 ふふっ、ご主人様のあの頃のお姿もしっかりと覚えていますよ。 それで、だいたいその頃はお昼頃から道行く人々の姿を眺めていたんです。 でも、やっぱりお祭りって本番は夜、ですよね? ですからランにとって、夕暮れから夜、というのは「いろんな人と出会える時間」だったんです。 色とりどりの格好をした、いろんな年齢の人々が行き来するのをみるのは、楽しかったのも覚えています。
だけど、ご主人様のもとに帰って来られるようになってみると、それって少し特別な時だけだったんですね。 確かにはじめはとっても寂しい思いをしましたし、もちろんそれは今でも変わらないんですけれど、何というか、それはそれでランにとって勉強になったんですよ。 ・・・ご主人様にはじめてそのことを打ち明けたときは、さすがにびっくりなさってましたね。 でも、ランのお話をちゃんと聞いてくださって、それとなくなぐさめてくださったのはとっても嬉しかったです。
時々、ランはどうしようもなくご主人様に甘えてみたい、って思うことがあります。 こういった少し寂しい気持ちになったときとか、逆になんだかとても嬉しくなったときです。 守護天使として、それは本来なら持ってはいけない感情なのかもしれませんけれど、それでも叶うなら、できる限りの時間、ご主人様を独り占めしたい・・・です。
ただ、今はランができるだけのことをやるつもりです。 まずは、早く帰ってお夕飯の支度をしないと。
ご主人様、ランはがんばっています☆
2003年03月04日 (火) 16時45分
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