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(816) Summer vacation's diary 第一話 湖山村 投稿者:ルラ

「まったく、親父の奴は何でこんな時に出張なんだよ・・・」
ここは、新幹線の車内。本を読みながら、中学生ぐらいの少年がつぶやいた。彼は窓側に座っていて、横の席には人がいない。そして、彼の足元にはなにやら多くの荷物が入っていそうなかばんがある。
「フゥ・・・」
少年はため息をつくと、読んでいた本を閉じてかばんに戻す。彼の趣味は読書で、今回も五冊ほどの本を持っているのだが楽しみのために読むのをやめた。
「しかし、一体どんなところなんだ?湖山村って・・・」
どうやら、彼が行くのは「湖山村」と言うところらしい。その時、駅が近くなったことを示す放送が入る。
「まもなく、広島、広島・・・」
その放送を聴いて、少年はかばんを持って立ち上がる。そして、彼はドアへと向かっていった。

新幹線がホームに止まり、ドアが開くと乗客が降りてくる。今は夏休みとはいえ、お盆のわけでもなく普通の平日なので客はほとんどがスーツ姿だ。その中で数少なく半そで半ズボンで新幹線を降りた少年は、在来線へと乗り換えるために階段を下りていく。
「えっと、次はこっちでその次はあっち。親父の実家は、相変わらず辺鄙な所だ。」
少年が地図とにらめっこをしている。その地図は、中国地方を走る電車の路線図だった。行く場所が分かった少年は、歩き出した。しかし、突然懐から音が鳴る。
「電話か・・・」
少年はポケットから携帯電話を取り出すと、話し出す。
「もしもし?」
気のない適当な返事で答えると、電話の向こうから男性の声が聞こえた。
「ずいぶんとのんきそうだな、清人(せいと)。」
「親父か。フン、疲れてるんだよ。そもそも、あんたがアメリカへの長期出張なんてことにならなければ問題はなかった。」
少年の名前は清人というらしい。どうやら、彼の電話の相手は父親のようだ。
「そう怒るな。俺だって、好きでなったわけではない。それに、これもお前のためもあるんだぞ。だからこそ、お前をお袋のところにな・・・」
清人の父は話し続けているが、清人は全然話を聞かずにこういった。
「チッ・・・もういい。これ以上はなしていると、電車が出発する。じゃあな」
清人は電話を切って、携帯を右ポケットに戻す。

「まもなく、湖山、湖山・・・」
アレから一時間後、清人は電車に乗っていた。といっても、二両編成のローカル線だが。でも、そのこともあってか車内には人が少なく、座るのは容易なことだった。
「そろそろおりるのか。」
清人はかばんを持ってドアの前に行く。その間にも、電車は小さな無人駅に停車した。ちなみに、ここの駅で降りるのは清人だけだ。
「無人駅なのに改札があるのか。・・・変わったところだ。」
そういいながら切符を改札に入れて、清人は駅舎を出た。
「おーい、清人〜!」
突然清人は名前を呼ばれる。声のしたほうこうを見ると、老婆がいた。
「あんたは確か・・・」
「忘れたのかい?藤山富江(ふじやまとみえ)。あんたの祖母だよ。」
「ああ。家が分からないから、迎えに来るとか親父が言ってたな。」
しかし、清人には富江のことなど全然覚えていなかった。それもそのはず、彼がここに来たのは、2歳ぐらいの時だ。
『だが、わずかに覚えている。あの時は親父もお袋もいて、二人とも俺とよく話してくれた・・・』
富江に連れられ家に向かう途中、清人はふとこんなことを考えた。一方富江は、何かつぶやいている。小声だが、それは聞き取れるくらいの大きさだった。
「まったく、あの女は何で利彦(としひこ)と清人を置いて何処かへ行くんだろうねえ・・・」
あの女・・・そのことを聞いて、清人は少し嫌な感じになる。富江の言った「あの女」と言うのは、清人の母藤山飛子(ふじやまひこ)で、今は清人が13歳なので・・・十年前、つまり三歳の時に何処かへと行方をくらましたという。事件に巻き込まれたという説が有力だが、いまだに彼女は見つかっていない。

それからしばらくして、二人は家に着いた。
「さ、ここだよ。」
富江に言われ、清人は家へと入る。この家は一階建てだが、とても広くなっている。靴を脱いで玄関に上がると、富江に案内されてある部屋に入った。
「ここがあなたの部屋。普段は何もないところだけど、ちゃんと掃除はしてあるから大丈夫だとは思うよ。」
「ああ」
清人は適当に返事をすると、かばんを置いて部屋を物色する。確かに富江の言うとおり、部屋は掃除されているようできれいだ。すると、富江が言った。
「じゃあ、私は買い物に行って来るからね。」
そういって富江は外に行こうとするが、清人が
「待ってくれ。それなら、俺が行く。」
「でも、道も知らないだろうし・・・」
「いや、少し気になることがあるんでな。そのついでだ。」
富江は「ついで」というのが気になったが、金とメモを清人に渡して居間に戻っていった。
「しかし、俺が昔に見たアレは一体・・・」
そうつぶやき、清人は靴を履いて外へと出た。


続く


2005年03月11日 (金) 06時35分


(822) Summer vacation's diary 第二話 疑問 投稿者:ルラ

「しかし、なぜ俺はあんなことを引き受けたんだ?」
コンビニへ向かう途中、清人がつぶやいた。本当は違うことをしようと思ったのだが、ひとまずこの村を見ておこうと思ったので、仕方なく引き受けたのだった。
『本当に田舎だな。中心部から少し外れた場所とはいえ、道も少なければ田んぼばかり・・・』
清人が感じたように、確かにこの村は道が少なく田んぼばかりだ。湖山村には生徒こそ少ないが小中学校が一個ずつある。
しかし高校がないので、中学を卒業すると同時に都会へと越してしまう若者が多いので過疎が進んでいるのだとか。
それから十分ぐらいして、清人はコンビニに着いた。とっとと買い物を済ませると、彼は家へと戻った。
「ただいま・・・」
家のドアを開けながら清人が言う。すると、富江が来た。
「お帰り、この村はどうだい?」
「別に。だが、かなりの田舎だな。」
富江の質問に対して、ドアを閉めた後清人はそっけなく答える。その時、再びドアが開いた。
「こんにちはー!」
大きな声で挨拶をしながら、少女が入ってきた。身長は清人と同じくらいで髪は短く、半そで半ズボンの服装、右手には何かの入った袋を提げている。
「あら美恵ちゃん、いらっしゃい。」
どうやら、少女の名前は美恵と言うようだ。
「富江さん、これ、うちの母からです。中身はスイカだそうですよ。」
そういいながら美恵は、袋を富江に渡す。すると美恵は、清人に気付いたようで
「ところであんた、名前は?」
「(チッ、何だこいつ・・・)俺は藤山清人だ。しかし、人に名前を聞くときは自分から名乗るものだぞ。」
清人は冷たく言い放つ。美恵は、それにむっとしながらも答える。
「私は、山川美恵(やまかわみえ)。ん、藤山・・・?ああ、あんた、富江さんの孫ね!」
「(気付かなかったのかこいつ・・・)ああ。チィ、無駄な時間を食ったな。じゃあ、俺はちょっと出かけてくるぞ。」
そういうと、清人はまたドアを開けて何処かへといった。
「何よアイツ・・・ところで、アイツは何歳なんですか?」
美恵が富江に聞く。
「ああ、あの子は13歳。美恵ちゃんと同じよ。」
「ふ−ん、私と同い年か・・・」


「確か、この山だったはず・・・」
清人は近くの山を登っていた。昔の記憶を頼りに、彼は進んでいく。
「ここか?」
しばらくすると、清人はある広場のようなところに着いた。そこには、なにやら模様のある円がひとつあり、近くには岩が複数ある。
『確か、十年前・・・』

十年前、清人は両親と一緒にここ、湖山村に来た。その時親達の目を盗み、この山へ来たのだった。
その時ここの結界へと来たのだが、その時のことを彼はあまり思い出せなかった。唯一覚えていることといえば、
円の中心に何かがあり、円は光っていたと言うことだ。その後のことは詳しく思い出せない。
「しかし、まだこんなものが残っているとは・・・まあいい、帰って読書だ。」
そういうと、清人は家へと帰っていった。

しばらくしてふもとの全然人通りの少ない道を清人は歩いていた。すると、何かの気配が彼の横を通った。
「なんだ、今の気配は・・・?」
いろいろなことを疑問に思いながらも、彼は家へと歩き続けた。


続く


2005年03月12日 (土) 11時42分


(830) Summer vacation's diary 第三話 情けない 投稿者:ルラ

翌日、清人は朝食を食べた後自分の部屋で読書をしていた。
『そういえば宿題もあったか・・・』
清人は宿題のことを思い出し、考え込む。
『アレを今やった後、そっちは来週やって・・・』
しばらく考えたあと、清人は宿題をかばんから引っ張り出してやりだす。
「まったく、何で先生はこんなめんどくさいものを出すのかねえ・・・」
愚痴をつぶやきながらもすらすらと宿題を続けている。30分ぐらいして、彼は宿題をやめた。
『続きでも読むかな・・・』
清人が本を取り出し、読もうとしたその時、玄関のドアが開く。
「こんにちは〜!」
富江は今居ないので、しかたなく清人が出る。玄関にいたのは、美恵だった。
「何のようだ?」
「その言い方、やめなさいよ・・・富江さんは?」
美恵の質問に、清人は頭をかきながら答える。
「フン、余計なお世話だ。ばあちゃんなら買い物だぞ。で、お前の後ろにいるガキは?」
「あ、こいつ?こいつは私の弟の山川大樹(やまかわたいじゅ)。ちなみに、10歳よ。」
清人が大樹を見ると、大樹は美恵の後ろへ隠れてしまう。
『なんだこいつ。臆病者だな・・・』
清人が考えていると、美恵が
「富江さん、いないの・・・じゃあ、遊びに行きましょう!」
「は?」
突然のことに、清人はあきれる。しかし美恵が清人を引っ張り、三人は外へと行く。
『なぜ・・・こうなる?』

しばらくして、三人はとある農道にいた。
「で、何をする気だ?」
「う〜ん、それが・・・まだ決めてないのよね」
その瞬間、清人と大樹がいやな目で美恵を見る。美恵はさすがにまずいと思ったのか、どっかに歩き出した。
『フン・・・アイツ、馬鹿だな。』
大樹は急いで美恵を追う。清人は、欠伸をしながら彼女を追っていった。だが、少しすると美恵は立ち止まる。
「ん?」
後から来ていた二人も止まる。美恵の前には、小太りの少年がいた。ざっと、十歳ぐらいだろうか。右手には何かが入った虫かごを持っている。
「そこにいたか、大樹。」
少年が大樹の名を呼ぶと、大樹は目の色を変えて美恵の後ろへ隠れる。
「ケッ、また隠れやがって。情けねえなぁ」
少年が近付いてくる。すると、美恵が
「ちょっと待ちなさいよ!あんた、いつまで大樹を・・・」
すると少年は、虫かごから何かを取り出す。それは、小さな蛇だった。
「へ、へび・・・!」
美恵は思わず後ずさりしてしまう。どうやら彼女、蛇が苦手みたいだ。
『だめだこりゃ。姉が蛇嫌いなら、弟は臆病・・・情けねえ』
清人はその光景にあきれている。しかし、それを覆すようなことが起こった。
「でやぁあああああ!!」
なんと、少年が清人の横を通って美恵の後ろへ回りこむ。そして、彼は大樹に向かって拳を向けた。鈍い音とともに、大樹は倒れる。
「大樹!」
『殴ったか・・・。やっぱり、ただの悪餓鬼か。で、あの小僧はいじめられてると・・・』
清人は、状況判断が得意だった。それを生かし、今まで多くの成功を収めたのだ。しかも、彼の今の予想は当たっていた。
「こら、やめなさ・・・」
美恵が少年に向かうと、少年は蛇を美恵に投げる。そしてそれは、美恵の顔に当たった。
「キャーーー!!蛇がーーー!!」
「まったく、情けなさ過ぎる・・・大体アレは、毒蛇じゃないだろうが」
清人がそういいながら、美恵の顔についた蛇を取る。清人が手を離すと、蛇は何処かへ行ってしまった。
「あんた、よくもやってくれたわね・・・」
凄い形相で美恵が言った。しかし少年はそれを気にせず、大樹を再び殴ろうとする。
「全く・・・。」
すると、清人が大樹の後ろへと移動する。
「うおりゃぁあああああ!!」
パンチが大樹の腹に決まり、大樹が吹っ飛ばされ・・・
「フン」
少年はにやりとする。しかし、大樹は後ろにある田んぼには落ちなかった。
「何だ?」
「フン・・・ずいぶんと馬鹿な餓鬼だ。」
大樹を受け止めたのは清人だった。彼は少年を睨みながら挑発の言葉を投げつけた。


続く


2005年03月12日 (土) 23時07分


(839) Summer vacation's diary 第四話 決意 投稿者:ルラ

「そういやあんた、見かけない顔だな。名前は?」
「全く、変ながきだ。」
少年が聞くも、清人はそれを軽くスルーした。
「チィイ・・・」
すると、少年が殴りかかろうとする。しかし、
「何をやっている、虎雄」
「この声は・・・」
少年・・・いや、虎雄は拳を止める。そして四人は、声のしたほうこうを向く。
「相変わらず馬鹿な真似を・・・」
「す、すまない、熊雄の兄貴・・・」
どうやら、虎雄をしかっているのは彼の兄のようだ。名前は熊雄というらしい。がっちりとした体格で、清人より少し大きい。
「僕の名前は蜂田熊雄(はちだくまお)。そして・・・見かけない顔だな。お前、名前はなんと言う」
熊雄がさっきの虎雄と同じような質問をしてきた。清人は、何かを思ったのか今回は答える。
「ホウ、山川と違って自分から名を名乗るか。俺は藤山清人だ・・・」
「藤山ねえ・・・君は、藤山富江さんの孫かい・・・?」
「それがどうした」
熊雄はなんだか嫌な感じで話し続け、清人はそれに対し気のない感じで話す。
「いや、なんでもないさ。弟が迷惑をかけたね・・・じゃあ、僕達は帰らせてもらうよ・・・。」
そういった後不敵な笑みを見せ、熊雄は寅雄を連れて帰った。その後、清人が
「おい山川。アイツは一体なんだ」
「ああ、蜂田兄弟のこと・・・あいつらは熊雄が13歳、寅雄が10歳。で、父親はこの町で一番大きな病院の院長。それで・・・」
美恵は解説を続けているが、清人はそっぽを向き大樹のほうをむく。
「・・・なのよ。ってあんた、話聞いてるの!?」
美恵が怒鳴るが、清人はそれを無視する。すると、大樹が口を開く。
「清人さん・・・だったよね。さっきは、僕を助けてくれたの?」
大樹が元気そうな感じで訊く。だが、清人は首を横に振る。
「さっきお前を助けたのは、後ろが田んぼだったからだ。お前が田んぼに落ちたら、農家の人が育てた稲が駄目になるだろうが。」
「あ・・・」
大樹は後ろが田んぼだったことに気付き、振り返って田んぼを見た後すぐに清人のほうを見る。
「言ったはずだ。最初からお前を助けるつもりはなかった。」
「う、うん・・・」
大樹は顔を下に向ける。すると、美恵が怒った感じで
「ちょっと、そんな言い方はないでしょ!いくらなんでも・・・」
美恵が怒鳴っていると、大樹が美恵の服を引っ張る。
「行こう・・・」
「・・・」
大樹がうつむきながらゆっくりと歩く。
「一つ言っとく。もしアイツとけんかするなら、奴の攻撃は大振りすぎる。だから、相手の攻撃をかわした上でパンチを食らわせればいい」
清人の言葉を聞いてる間、大樹は立ち止まっていた。美恵は清人の顔を見る。清人の顔は、何だが変な感じだった。妙な感じがしたので、美恵はすぐに大樹を追いかける。
『しかし、何で俺はあんな奴に助言をしたんだ・・・』
二人が行ったあと、清人はふとこんなことを思った。

その日の昼、大樹は昼食を普段よりも多く食べた。美恵は全然気にせず、ただ腹が減ってるだけだと思った。
そしてその後、大樹は美恵がテレビを見てるところを見計らってこっそりと家の外に出た。彼が向かった先は、虎雄がいるであろう裏山だ。
しばらく裏山を探し回ると、一つの人影があった。大樹はそれが誰なのかはわかっていて、声をかける。
「蜂田・・・虎雄!」
「あん?」
虎雄が振り返ると、視界に大樹の姿がある。彼の目には、何かの決意がこもっているような感じがした。


続く


2005年03月14日 (月) 07時44分


(851) Summer vacation's diary 第五話 進歩 投稿者:ルラ

「フン・・・俺様にそんな風に来るとはな・・・後悔ずるぜ!」
そういうと虎雄は、大樹に向かって走ってくる。
『・・・来た!』
「でやぁああああ!!」
虎雄は大樹に殴りかかる。確かに、清人の言ったとおり大振りのパンチだ。大樹は、それをギリギリでよける。
「何?ならば・・・」
虎雄は連続で殴りかかってくる。しかし、大樹はそれらをギリギリながらもかわしていく。
「くそぉお!」
だがその時、パンチが一発大樹の腹に当たった。虎雄は笑みを浮かべ、大樹の目にはわずかながらに涙が見える。
「へっ、俺様に逆らうからこんな目にあうのさ・・・。」
「・・・うるさい!」
大樹が、飛び蹴りを虎雄に喰らわせる。その勢いに、虎雄は倒れる。
「参ったか!」
顔にわずかながらの笑みを浮かべて、大樹が言う。しかし、虎雄は立ち上がって
「ふざけんじゃねえぞ、雑魚がぁ!」
凄い形相で突っ込んでくる。その迫力に大樹は怯み、パンチを腹に喰らう。
「ぐぁああああああ!!」
大樹は腹を押さえながら地面にひざをつく。彼の口からは、赤い気体が少し出ていた。だが、虎雄は容赦なく向かってくる。
『く、お姉ちゃん・・・』
美恵のことをとっさに思う。その時、さっきの清人の言葉が浮かんだ。
―――言ったはずだ。最初からお前を助けるつもりはなかった。
更に、自分をかばった美恵の言葉も思い出す。
―――ちょっと、そんな言い方はないでしょ!いくらなんでも・・・
二つの言葉を思い出して、ふと自分にこう思った。
『僕は、お姉ちゃんに甘えていた・・・いつも一緒にいて、ほとんどのことを任せていた。でも、それじゃあだめなんだ・・・』
「終わりだぁああああ!!」
虎雄が右手を振りかざす。しかし、大樹はそれを両手でとめた。
「とめ・・・た?」
「僕は、甘えてばかりだった・・・自分で解決しようとせず、他人に頼っていた・・・だがそれでは、何にも進歩しない!」
大樹は虎雄の腹に蹴りを入れた。虎雄が怯んだ隙に、更に頭にチョップをする。
「がはっ・・・」
改心の一撃が決まり、虎雄は倒れる。しばらくするも、彼は起き上がらなかった。
「ふう、やった・・・」
そういうと、大樹は地面に倒れて眠ってしまった。


「・・・樹、大樹!」
「う、う〜ん・・・」
大樹は、聞きなれた声によって起こされる。顔を上げると、美恵とどっか違った方向を見ている清人がいた。
「お、お姉ちゃん・・・?」
「まったく、お昼食べてからずっといなくなってて、心配したのよ!」
美恵が叫ぶ。どうやら、本当に心配していたのだろう。少し涙声になっていた。
「ご、ごめんなさい・・・」
大樹はとっさに謝る。すると、清人が
「おい、お前、あの虎雄とか言う餓鬼とけんかしたのか?」
「う、うん・・・」
「フン・・・それで相打ちか。とりあえずその怪我、手当てしてもらえ。それから、お前の姉貴は本当に心配してたぞ。これからは、心配をかけないようにするんだな。」
そういい残すと、清人はその場を去った。
「さ、帰ろう。」
美恵が言った。大樹は頷き、二人は家に帰る。その日、大樹は機嫌がよかったという。


続く


2005年03月17日 (木) 22時48分


(970) Summer vacation's diary 第六話 泥棒 投稿者:ルラ

次の日、清人は部屋で本を読む・・・つもりだったのだが誰かが来た様で富江に玄関へ行かされた。玄関には、美恵の他に少年が一人いた。
「おはようございます!」
景気よく声を出す美恵。すると、少年が話し出す。
「お前が藤山清人か・・・。俺は大野里槻(おおの さとき)。湖山中学校の一年で13歳。よろしくぅ!」
そういって手を出す里槻。清人はそれに応じて手を差し出す。向こうは手を強く握ってきた。
『こいつ、結構熱血系だな・・・』
そう判断する清人。美恵が
「藤山、こいつ熱血系なの・・・まあ根はいい奴だから、仲良くしてあげて・・・」
「二人でがんばろうじゃないか!ハーッハッハッハッハッハ!!」
あきれる清人。美恵も顔をむすっとさせている。里槻はおもむろに漫画を取り出す。
「ん?何だその本?」
「今、一番熱くなれるマンガ!そのなも(青春一直線!!)だーーー!!」
またもやあきれる二人。その時、富江が三人のとこにきてリビングに招き入れた。その後、清人が
「山川、大樹の奴はどうした?」
清人は「里槻は徹底無視」を決めたらしく、話しかけてきても無視の連続。美恵とだけ話している。美恵は質問に答える。
「大樹なら、一人で買い物に行ったわ。昨日の夜から、私と一緒にいようとする機会が減ってるわね・・・」
複雑な心境のようだ。その時、里槻が激怒する。
「お前ら、俺を無視するなーーーーーー!!」
仕方なく、外へ行く三人。すると、大樹がやってきた。息が荒い。結構走ってきたようだ。
「お姉ちゃん、この町に、泥棒が現れたんだ・・・」
驚き顔を見合わせる三人。大樹は続ける。
「さっき学校の近くにあるコンビニに行こうとして、山本さんの家の前を通ったら警察が来てたんだ。何でかと思って事情を聞くと、泥棒が入ったって・・・」
話し終わったあと、大きく深呼吸する大樹。清人が
「おい山川、この村にも泥棒はいるのか?」
「いえ、今まで例がないわ。とりあえず、富江さんにも言っておかないと・・・」
そう言って清人の家に行く美恵。里槻も、自分の家に戻る。それと入れ違いに美恵が戻ってきた。
「教えてきたわ。さ、厄介払いもすんだことだし聞き込みよ!」
「は・・・?」
驚く清人。しかし、無理やり美恵に連れられ聞き込み調査に行かされた。
「なんで、俺がこんなめに・・・?」

それから1時間聞き込みを続け、あることが分かった。それは、昨日電車に、怪しい男が乗っていたということ。その男は、この村をうろうろしていたということだ。これを聞いて三人は、同じことを考えた。
―――犯人は、その男だ―――


続く


2005年04月18日 (月) 07時53分




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