登場人物
ガッシュ・ベル 電撃の術を使う魔物。魔界にいたときの記憶を失っている。「やさしい王様」が目標。
高嶺清麿 ガッシュのパートナーで、とても頭のいい天才中学生。
「ここまでで、九回の戦いが終了した・・・6勝2敗1分けか。とりあえず、これまでの戦いは・・・。」
清麿はこれまでの九回戦までを復習していた。
まずは一回戦。先陣をきって出たムートと、声を自在に操る力を持つボルスの戦い。
その時、祐樹の声がする。
「ムート、後ろだ!」
祐樹の声を聞いて振り返るムート。しかし、そこには誰もいない。
「ボイルスガ!」
強力な音の波動がムートに直撃する。直後、煙がはれて視界が戻る。
「く・・・なんで祐樹が間違った指示を・・・」
戸惑うムート。するとボルスが
「フン、のんきなものだ。さっきの声は俺が言ったのさ。俺の声は自在に変えられる、どんな声にもな!」
順番に清麿、恵、フォルゴレ、サンビーム、ジードの声を巧みに使い分けた。そうすると、ムートが
「そういう能力か・・・だが、俺も負ける訳には行かないんだよ!」
ムートの頭の中に、この前の遺跡での戦いのときの記憶がよみがえる。
――じゃあな、みんな。そしてムート、また、一緒に遊ぼうぜ!
「俺のため、そして、あいつのためにな・・・」
形勢不利のムート。しかし、もっと強くなっていくという決意のもと新呪文が現れる。
「だからこそ、俺は強くなる!もうあんな犠牲を出さないために!」
大きな声で叫ぶムート。一方、本をめくっていた祐樹も・・・。
「こいつは・・・。ムート、新しい呪文だ!」
「よし!」
祐樹の指示を聞き、手を前に出すムート。それを阻止するように、相手は呪文を使う。
「ギガノ・ボイルスガ!」
ボルスが口を開き、強力な音の波動が放たれる。祐樹は本に心の力を込め、呪文を唱える。
「第十九の術、チャーゼル・フレルドン!」
そして最大呪文同士の激突の後相手はギブアップし、ムートの勝利。
二回戦。ジルゼVSギャドン
「てめえ・・・、主人公を馬鹿にして、ただで済むと思ったかぁあ!」
「いや、だから主人公じゃないって!(×25)」
他の味方メンバーから一斉にツッコミが入る。再びへこむ清。
「ざまあねえな!ラージア・ウォルセン!」
敵の魔物が巨大な水の弾を放つ。
「うっうっうっうっうっうっうっう・・・・・・」
「おい・・・泣くなボケ!」
なんと、清は泣いていた。ジルゼが何とか清を突き飛ばして自分も走って攻撃をかわす。その時、いきなり清が立ち上がって衝撃の言葉を吐く。
「こうなったら、もうギブアップだぁあああああーーーーー!!!!」
「なにぃいいいいいいいいーーーーーー!!!??」
目茶苦茶驚くジルゼ。相手も唖然としている。そして、清はうつむいたままベンチに戻った。ジルゼも怒りながら後に続く。
清のバカすぎる行動によって勝手にギブアップ。ジルゼ敗北。
三回戦。ルルVS相手がローマ字しか話せなくなる力を持つアルベルトの戦い。しかも、ルルが暴走する。
「MUかつくYO・・・KOUなったら、こいつをくらいな!」
そう言うとアルベルトは、真奈美に手を向ける。しかし、何も起こらない。
『何もおきないわね・・・』
一旦不安になったが、自分の体には変化がないと悟って「ドムルド」を唱える真奈美。しかし、何も起こらない。
『どういうこと・・・まさか、心の力がない!?』
しかし、本は確かに光っていた。ルルも手を前に向けている・・・驚いてはいるが。
「な、なんだ・・・てめえら、パートナーに何をした!」
ルルが相手を指す。真奈美が話し出す
「tyo,tyottoruru,ittainanigaokotteiruno・・・」
完全にローマ字だ。すると、アルベルトが
「簡単な話だYO。MEの術は、相手をローマ字でしか話せなくするのSA!」
『え、ぇえええええええーーーーーー!!!??』
声にならない叫びを上げる真奈美。
しかし、その後真奈美はアルベルトをぼこぼこにして力を無理やり解除させた。
「これで終わりよ・・・マオウ・ドムグルイド!!」
魔本が大きな光を放つ。そして、ルルが手を前に出すと巨大な女神が現れて相手に向かっていく。
「いててtete・・・・・・何!?」
起き上がった相手の男は、巨大な女神に驚き声をあげる。アルベルトは前に出て、呪文の発動を促した。
「何やってるんだYO!とっとと決めるんだYO!」
「あ、aa・・・ディオガ・ゼドルドン!!」
すると、巨大なZ型のエネルギーが現れて女神に向かっていく。
「フン・・・今までやってくれた恨み・・・!女の恨みは恐ろしいのよ!!」
真奈美が心の力を更に振り絞る。本の輝きがいっそう大きくなり、女神がZを飲み込んだ。そのまま相手に向かっていく。
「ぐぁあAAAAAA!!!」
女神が相手をふっ飛ばし、アルベルトの本が燃え尽きて送還される。
そして、最大呪文マオウ・ドムグルイドで相手を粉砕。アルベルトは送還されるのだった。
四回戦。今度はベズルが出陣。一方相手は、ガッシュ達が以前戦ったビリーだった。
「幸輔!もう長引かせる必要はない、最大呪文で終わらせるぞ!」
「―――了解だ!」
すると幸輔は、本に心の力を溜める、相手も、対抗すべく心の力を溜めていく。ベズルのバットと、ビリーの拳銃が光りだした。
「ダイナカル・マグナドン!!」
ビリーの拳銃が、直径約十メートルの大砲に変化し巨大な砲弾を放つ。
「ディオガ・バトノルセン!!」
ベズルがバットをスイングする。巨大なボールが現れ、砲弾と激突した。
「はぁああああああ・・・・・・!!!」
一気に心の力を込める幸輔。相手も心の力を振り絞る。その時、ベズルのバットに亀裂が入った。
「く、ヒビが・・・だがな、負ける訳にはいかねえんだよ!」
叫ぶベズル。その時、球が砲弾を粉砕した。球は相手をふっ飛ばし、呪文の激突によって起こった波動が相手の本に火をつける。
「ぐ・・・くそぉおおおおお!!!」
ビリーは魔界へと送還される。ベズルは、バットをしまうとガッツポーズをした。
ベズルの本気の力の前に、ビリーはあえなく敗退し本を燃やされる。
五回戦の対決は、キャンチョメVS物を見破る力を持つセリンの対決。
キャンチョメをフォルゴレが呼ぶ。キャンチョメはなんだろうと思いつつ、分身にその場を任せ戻る。
「いいか、あいつを倒したら・・・・・・」
何かを吹き込むフォルゴレ。キャンチョメは驚くも、フォルゴレが必死に説得して渋々頷いた。
「分かった・・・」
分身たちは、息のあったコンビネーションでセリンの攻撃をかわし、的確に反撃している。その時、分身の一人の攻撃がセリンにクリーンヒットした。
「ぐぁあ・・・」
セリンは地面に倒れる。フォルゴレは心の力の放出を止め、分身は消えた。
見破りの力に苦戦する二人だったが、ディマ・ブルクで何とかセリンを倒す。しかしフォルゴレは、戦いを嫌う英子のためにわざと引き分けにした。
六回戦。ファルドVSラムス。
二人の出会いは、今から昔にさかのぼる。まだファルドが幼かった頃だった。ある雨の日、母が買い物から帰ってくると、買ったもんではなく女の子が抱かれていたのだ。
「あれ・・・?母さん、お買い物は・・・?」
質問するファルド。すると、母は
「行こうと思ったんだけど、行く途中で倒れているこの子を見つけて・・・訊いて見ると、置いてきぼりにされたって言うから、うちで育てることにしたわ。」
「・・・・・・?」
まだ幼かったファルドに、難しいことは理解できなかった。
「元々私は、異能者一族の子・・・でも、特殊能力を持たない(落ちこぼれ)だったから、捨てられたのよ。」
義兄妹としての思いが重なり、力を発揮できなかったファルドは敗北する。
七回戦。ウインドVSレリド。
剣を懐にしまう。
「それがどうした!?ゼルド、呪文だ!」
敵の行動を意味不明と感じたウインドは、突っ込んでいきゼルドに呪文を使わせる。
「かかったな若造めが。ゼザルド・マ・ソルド!」
次の瞬間、ウインドが電撃の剣によって切られる。一気にゼルドの所まで吹っ飛ばされた。それを見て、ベンチにいた清麿が
「まずい!アイツの術、アースと同じだ!下手したら・・・」
清麿のこめかみの辺りを汗が伝う。何とかアドバイスしようとするが、聞こえていないようだ。相手ベンチでは、ラムスが
「無理よ・・・!戦ってる相手にアドバイスは出来ないのよ・・・」
そしてバトル場。ゼルドは怯んでいた。何できられたのかが、全く分からないのだ。
「フン・・・だが、あんな術は近付かなければいいだけのこと!」
叫ぶウインド。しかし、レリドにはまだ秘策があった・・・
居合いの剣によって切られるウインド。更にレリドは、すり足を使って一気に近付いてくる。
再び剣を懐にしまうレリド。余裕を見せるウインドとゼルドだったが、なんと、レリドが進んできているのだった。
「何!?なんで進めるんだ・・・!」
驚き声をあげるぜルド。ウインドが
「すり足だ!日本剣道の歩行術、しかも高速だぞ!」
何とか呪文の連発で、ウインドは勝利を収めるのであった。
八回戦、ブラゴVSシャドン。自分をこの場に呼びつけたことに対してブラゴは怒っていた。
「勝負ありね・・・ディオガ・グラビドン!!」
最大呪文が発動する。ブラゴのはなった強力な重力球が、シャドンに直撃した。それを見て相手は倒れたと思うシェリーだが、シャドンはまだ立っていた。
「・・・・・・!ディオガをもろに食らっても平気だなんて――」
驚くシェリー。しかし次の瞬間、シャドンが
「ギブ・・・アッ・・・プ・・・だ」
苦戦するブラゴだったが、バベルガで相手の最大呪文を潰した後にディオガを直撃させる。それでも立っているシャドンだったが、ギブアップを宣言した後に倒れる。ブラゴの勝利。
九回戦は、テッドVSゲバル。相手の呪文は、テッドと全く逆のタイプだった。
テッドが
「お前の術・・・最初は強いが、だんだん弱くなっていくだろ。」
その言葉に、パートナーは何も言えない。ジードも、分かっていたようで頷く。
「だからどうしたんだよ!」
しかし、魔物はテッドに向かって殴りかかってくる。一方ジードは、心の力がたまったようなので呪文を唱える。
「フォルス・ナグル!!」
四段階目の強化呪文が発動してテッドは更に強くなる。それによって、相手の攻撃を簡単に避けた。
「もらったぜ!ブロォオオオオオオオ!!」
すさまじい威力のパンチを繰り出し、相手は大ダメージを負う。相手の魔物は吐血し、気絶した。その後にテッドが相手に背を向けながら
「悪いが・・・俺はお前なんかよりも強いんだよ。出なおして来な!」
相手がどんどん弱くなってることに気付いたテッドは、フォルスまで強化して一気に相手を吹っ飛ばす。結局、相手の能力は何か分からなかった。
「ウヌウ、次は十回戦なのだ。」
「そうだな・・・相手からは誰が出てくるか・・・こっちでまだ出ていないのは、ガッシュ、ティオ、ウマゴン、ウォンレイ、ジークの五人だ・・・」
ついに始まる十回戦。どんな対決になるのか・・・!
続く