「高嶺清麿に、金色のバオウ・・・・・」
「行くぞ。確かめてみよう、奴等の力・・・・・」
今日は日曜日。学校も休みで、今は、裏山で遊んでいた。
「ヌゥ・・・・・次は清麿が走る番なのだ!」
「フン、50m走なんて、簡単にお前を追い抜かせるわ!」
「いったな!なら、私とどちらが早いか比べるのだ!」
2人は、何も無い裏山で、ひたすら走っていた。
ただ、其処はこれから戦場になる場所だったとは気づきもしなかった・・・・・・
「アイアン・グラビレイ!」
ガッシュと清麿の後ろの地面が、どんどん削れて行く。
「ブラゴの呪文!?」
「逃げるぞ、清麿!」
2人は血眼になって走り、後ろを振り向いた。呪文が終わったからだ。
「お前、何者だ!ブラゴとシェリーか?」
「違う・・・・・・俺は、空天月ヤクモ・・・・・・・・そして、
俺の魔物が、コイツだ。」
ヤクモは、手に持つ魔本を清麿に見せびらかすと、魔物を指差した。
「我が名はゼロス!さぁ、戦いを始めようぞ!」
ヤクモは、よく旅人が付ける様なかなり薄い茶色のマントを付け、
魔本を腰のホルダーにはめているようだ。一方ゼロスは、翼が
黒く、牙が金色に輝き、腰に剣を付けている龍だ。
清麿は、指をヤクモの魔本に向けると、術を放った。
「ザケル!」
「小手調べというわけか・・・・よかろう!」
ヤクモは、左腕だけに付けている鎧のような物で、ザケルを
弾いた。
「次はこちらか!グラビルゼム!」
ゼロスが口を開くと、真っ黒で巨大な球体が、ガッシュに直撃した
。更に相手は、空に手を掲げて呪文を唱えた。
「リボルバス・グラビガ!」
天から黒い稲妻が落ち、ゼロスが黒く光る。
「ラウザルク!」
ガッシュが金色の光に包まれ、ゼロスに向かう。
「ギガノ・レイス!」
今のガッシュには、ギガノ・レイスなど聞かない呪文。
だが、ガッシュは激しく吹っ飛んだ。
「ば、馬鹿な!ガッシュ、大丈夫か!?」
「ウヌ・・・・あの物、とてつもなく強いのだ!」
ヤクモが、木に登って空から口笛を吹く。余裕なそうだ。
「だったらこれをくらえ・・・ザグルゼム!」
「グラビルゼム!グラビルゼム!グラビルゼム!」
連発の呪文に、ザグルゼムとグラビルゼムは相殺され、残りの二発
はガッシュに直撃した。
「ハハッ、グラビルゼムは、相手の体に重力を蓄積させ、リボルバス・グラビガは、連発で術を打てるようになる呪文さ!」
「このぉっ・・・・ザケルガァ!」
「ディオガ・グラビドン!バベルガ・グラビドン!」
巨大な重力の塊がザケルガを破壊し、おぞましい重力が、
2人を潰した。
「ぐぁぁぁぁぁぁ!」
「清麿!」
「ガッシュ・・・・奴のほうを向け・・・・!」
ガッシュが即座に、ヤクモのほうをむく。ヤクモは気づいていない様だ。
「行け・・・・・ザグルゼム!」
ヤクモが驚くが、術は木にあたった。
「ザグルゼム!ザグルゼム!」
術は、幾度も木にあたり、ヤクモは余裕の表情を浮かべた。
ヤクモが木から下りた瞬間の隙、2人はそれを見逃さなかった。
「終わりだ・・・・・バオウ・サゲルガァァァァ!」
とにかくヤクモは、ゼロスに乗って逃げ去った。
だがバオウは、木に直撃し、強化形態へと変化する。
「仕方ない・・・・ゼロス!グラビルゼム、グラビルゼム、グラビルゼム!」
バオウはそれを気にせず、どんどん突っ込んでくる。術が当たろうが、スピードは変わらない。
「チェックメイトだ・・・・カオス・ドラグ・グラビルド!」
黒い巨大な重力の破壊龍が、グラビルゼムの力でパワーアップし、
バオウと友に砕け散った。
「ゼロス、引くぞ!今回ばっかりは遊びすぎた!」
ゼロスとヤクモの姿は、見えなくなった。
ガッシュと清麿は立ち上がり、ため息を付いた。
「俺達・・・・・修行しなくちゃな・・・・」
「ウヌ・・・・・・」
その時清麿は気づいていなかった。額に光る、龍の紋章を・・・
続く