「源義経」ガッシュバージョンです。
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第一話 鞍馬の火祭
「毎年この夜はな、鞍馬の天狗どのたちは、お山がそうぞうしいので、向いの龍王ヶ嶽の頂きに舞いあがり、火祭をながめおろしながら、酒をくみ交すのだ。だから、天狗どのの羽音を聞きたいと思うたら、今夜、こっそりと龍王ヶ嶽へあがってみるがいい。高い高い杉の頂きあたりから、ばたばたと羽音にまじって、田楽を舞う気配が聞えるわ」
23軒さきの、やはりこの鞍馬村で同じ大総仲間をつとめる家の前から、アルビィンの大きな声が聞える。
下戸のアルビィンが、今夜は少しばかり祝い酒をのんで、いい心持になっているらしい。神輿迎えの時刻が近いので、松明の用意をしている白衣すがたの若者たちに、アルビィンは話をして聞かせているのであった。
恵は、わが家の軒下から少しはなれたところに立って、その話を聞きながら、自分も楽しくなり、ひとりでにこにこ笑っていた。
養い親の七郎次の機嫌がいいと、恵も、やはりうれしくなってしまう。ことに今夜は、もう直神輿迎えにお山へあがらなくてはならないので、恵も新しい小袖を着て、きれいに化粧をしているせいか、自分でもよけいに気が浮き立っていた。
「おやじどのは、天狗の姿を見たことがおありか」
若い者のひとりが、からかうように聞くと、七郎次は、わざと怒った声になった。
「無論のことだ。若いころのわしは、お山の僧正ヶ谷で、一夜じゅう、天狗どのたちと酒をくみ交わしたことが何度もある」
9月9日の鞍馬の火祭の晩だけは、お山の天狗たちが龍王ヶ嶽へ移って田楽能を舞っている、とか、お山の天狗は心安い、というような七郎次の話は、若い者たちも聞きあきているし、七郎次もそれを承知で話をしているのであった。
続く
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あとがき?
微みょーな所で終わってしまった…。また書かねば!