第一巻 出会い
ザーザー。
一人の少年に、雨が激しく打ち付けていた。
(くっそぉ〜。ゲームの攻略法聞いてたら、こんな時間になっちまった・・・。)
時計を見てみると午後12時を指し示していた。しかたないと、彼は細い路地へと入って行った。
と、その時、すさまじい勢いで黄色の球体が飛んできた。
「ぬ!?」
彼はとっさに、ブリッチの体形をとった。(その時にゴキュッという、にぶい音がしたとは言うまでもない)
腰をさすりながら目を細めてよく見ると、こちらに小さな子供が走ってきた。
「おぬし、何をしている!!ここは危ない!!」
よくは見えないが、かなり怪我をしているようだった。
「何言ってる!!おまえ、子供だろ!!」
その瞬間、また黄色の球体が飛んできた。
「とにかく逃げるぞ!!」
彼はその子をかついで家まで全速力で走った。
家には、たまたま誰もいなかった。改めて、その子を見ると怪我がすっかり消えていた。髪は深い青色で、ぼさぼさだ。だいたい小1ぐらいの身長だろうか。
「おぬし、名は何と申す?」
いきなり、問いかけてきた。
「俺?俺は鬼道。鬼道 霧円だ。」
「拙者はキガルという者だ。霧殿、おぬしは命の恩人だ。どうか主君(パートナー)になってもらえないだろううか。」
馬鹿な霧円は、言っていることの半分もわかっていなかったが、とにかく「いいよ。」といっておいた。
第二巻 驚き×驚き
「ところで霧殿。さっきの攻撃、まともに受けていたが大丈夫か?」
霧円は、ゆっくりと体を動かしながらいった。
「異常なし!」
ボーン。午前1時の鐘が鳴った。
「それより、今日はもうおそいからさっさと寝よう。」
階段をあがっている時、ふと霧円は思った。
(こんなにおそい時間なのに、誰もいない。おかしいな。)
そして、自分の部屋のドアノブをまわし、開けた瞬間、パーンというクラッカーの音がした。
「誕生日おめでとう!!」
そこに、父さんと母さんがいた。
「父さん、母さん。俺の誕生日は明日だよ。」
そんなことは気にもとめず、真ん中の椅子にむりやり座らされた。
「いいの、いいの。今日は前夜祭!!」
「でも、もう夜中だよ。」
といったか、いわなかった時にはもう熟睡していた。
気がつくと、布団の中で寝ていた。
(誰かがかけてくれたのかな・・・。)
と、寝ぼけ頭で考えていたとき、キガルのことを思い出した。
「は!!キガルはどこだ!!」
急いで下に降りると、そこに、楽しそうにトランプをやっているキガルと母さんがいた。
「母上殿、これでおわりじゃ〜!!」
「あ〜、また負けちゃった。強いのねキガルちゃん!」
霧円は、ちょっと考えてからいった。
「その子、どうしたの。」
母さんはちょっとびっくりしながらいった。
「あっ、起きてたの!?キガルちゃんがね、玄関で寝てたから起こしたらね、『霧円は?』っていっていたから遊んで待っていたのよ。」
霧円は、必死でうそを考え、こう言い放った。
「そいつはな、え〜と、友達からもらった新型ロボットなんだ!!」
「なにをいっておる。拙者はれっきとした・・・。」
霧円はキガルの口を塞いだ。
「ロボットなんだよな〜!!」
母さんは、一瞬あやしい顔をしたがすぐに
「どうりで頭がいいわけね!!」
と納得した。
(単純な母さんでよっかった。)霧円は心から、胸をなでおろした。
「ところで、父さんは?」
母さんは台所で洗物をしながらいった。
「なにいってるの。もう会社よ。」
あ、そうかと思っていたその時、
「ぬぁ〜!!拙者の本がない!!」
キガルがいきなり騒ぎだした。
(本?いったいなんのことだ??)
第三巻 なくしもの
「おい、キガル!本ってなんのことだよ!」
「いや〜、拙者もよく知らんのだが、なんでも命にかかわるとか・・・。」
そういうと、キガルは玄関へとむかっていった。
「どこいくんだ?」
ときくと、
「昨日通った道を探してくる。」
と答えた。
「待てよ。俺もついていく。」
その日の午前中、ずっと探していたがその本はとうとう見つからなかった。
「元気出せよキガル。そのうち見つかるって!」
あいからわず、キガルは下をむいたままだ。
「そうだ!!明日、部活があるから一緒に行こうぜ!!」
キガルがやっと顔をあげた。
「ブカツ?」
「ああ。部員は俺を含めて二人だし、顧問もめったに来ないから、大丈夫だぜ!」
(それに、キガルの好きそうなものがたくさんあるし・・・。)
「おぉ!!とても楽しそうではないか!!明日、絶対だぞ!」
ひとまずは一件落着かと思いながら、霧円は眠りについた。
ひそかにせまる、影にもきずかずに・・・。
第四巻 魔物
キガルをむりやりバッグに押し込み、霧円は学校へと向かった。
「い、息苦しいぃぃ〜!!」
バッグの中で、キガルがジタバタしだした。
「もう少しの辛抱だ。がまんしろ。」
階段を上り、ある部屋に入った。
「よ〜し。もういいぞ。」
キガルが、バッグから顔を出した。
「ぬほおぉぉ〜!!」
そこには、たくさんの武器や巻物が置いてあった。
「名付けて、『日本文化研究会』だぁ!!」
キガルはすでに、バッグを抜け出していた。
「これ全部、本物なのか?」
「んなわけねぇ〜だろ!!ほとんどが複製だ!!」
キガルは近くにあった日本刀を、ぶんぶん振り回しながらいった。
「ほとんどとゆうことは、本物もあるのだな!?」
霧円は、キガルから日本刀を取り上げてからいった。
「まぁそれは置いといて、どうだ、弓矢やってみないか?」
キガルに一番小さい弓を持たせると、奥から的を持ってきた。
「こうゆう風に構えて、ぱっと離すんだ。」
霧円の矢が、ヒュンといって真ん中にくっついた。
「先がきゅうばんだから、子供でもたぶん大丈夫だよ。」
キガルはゆっくり構えてから、矢を放った。ヒュン、ペタッ。見事、真ん中にくっついていた。
「す、すごっ!!おまえ、本当にロボットなんちゃうか?」
キーン、コーン、カーン、コーン。
「おっと、部活終了時間だ。さぁ、帰るか。」
霧円は重そうなバッグをさげながら歩いていた。
「霧殿!拙者、部活が大好きになったぞ!!」
「あい、あい。」
そのとき、ちょうど人とすれちがった。
「ちょっとそこの人!!」
すれちがった瞬間、いきなり呼びかけてきた。
「はい!?俺??」
よく見ると、そいつもキガルと同じような子供と一緒にいた。
「そう、君だ。君、魔物を持っているだろう。つぶさせてもらうよ!!」
背中に、キガルが震えている振動が伝わってきた。
(いったい、これはどうゆうことなんだ・・・。)
第五巻 最悪の敵
「おいっ、キガル!どうゆうことなんだよ!!」
いきなりの出来事で、混乱した霧円はキガルに呼びかけた。
「拙者にもよくわからんのだ。」
そういうと、キガルはバッグから飛び出した。
「ただ、奴と拙者は同じ者同士のような気がする・・・。」
(同じ者同士ということは・・・は!!)
「キガル。たしか、本が命にかかわるとか言ったよな。」
「あぁ。」
霧円は、敵の手元を指差した。
「つまり、あの本をなんとかすればいいんだな。」
その時、敵が動き始めた。
「おらぁ、おらぁ。そろそろいくぜぇ〜!!」
霧円は敵にむかって走り出した。
「キガル!俺が奴の本を投げ飛ばすから、それを持って逃げろ!」
敵はちょっと驚いたらしく、動きを止めた。
「お!人間の方から来るとは珍しい。お手並み拝見!!」
霧円は、本に拳を突き出した。
「くらえぇ!!」
敵はひらりとよけ、子供を霧円にむけて投げ飛ばした。
「グレイズ・マウル!」
子供の口から、矢印の形をした青い物が飛び出した。霧円は、かなり無理をしてよけたが、よけきれずに当たってしまった。だが、何の変化もない。
「どんなネタがあるのかは知らねぇーが、どうやら失敗したみたいだな。」
今度は蹴りを入れようとしたが、子供が前に立ちはだかった。
「グレイズ・ダヂル!」
また、口から矢印が出た。色は赤色だった。
「そんなことしても、無駄・・・!」
急に自分が浮いているような感覚におちいった。
「フフフ。やっと気付いたか。今、おまえの五感の内、二感をつぶさせてもらった。」
「なに!?」
敵は笑いながら言った。
「こいう道具があると、便利だよなぁ〜!」
ブチッ。頭の中で、そんな音がしたような気がした。
「さぁ、次は2発いっぺんにいくぜ!!」
霧円の頬に汗が流れる。
(くっそぉ〜。体が思うように、動かねぇ。)
「グレイズ・アイル!グレイズ・ノズル!!」
視界が真っ暗になった。においもしない。敵の荒い息づかいが、近くから聞こえる。
「だいぶ、心の力を消費しちまった。これで、終わりにする。」
ザッ、ザッという足音が聞こえてきた。
(キガル・・・。)
「グレイズ・イヤル!!」
霧円は、完全に孤独となった。
そんな時、心の底から声が聞こえてきた。
「霧殿!霧殿!!」
「キガ・・・ル。」
目を開くと、目の前に青い人影が二つあった。片方の人は色の濃い四角い物を持っている。これでもか!と思うほどめいいっぱいの力を込めて、その四角い物を蹴り上げた。空中にほうり出された四角の物体を、赤い矢のようなものが突き抜けた。
その瞬間、すべてがもとどうりとなった。最後に、赤く燃える本と、消えていく子供の姿を見てから気を失った。
第六巻 新たな友情
目が覚めると、病院にいた。(もちろん、学校は休んだ。)
なんでも、路上で寝ているところを発見されたそうだ。
「なぁ、キガル。俺が五感をつぶされたとき、どうなったんだ?」
キガルは、ベットの上に座ると(こいつはまったくの無傷だった)話し始めた。
「霧殿が敵にむっかって走り出したとき、『ギガルガ!!』とゆう声がしてな、拙者の手元に不思議な形をした弓矢が現れたのだ。拙者はそれを構えて、霧殿が本を投げ飛ばすの待っていたのだ。その瞬間に霧殿が倒れて動かなくなったのでな、こりゃまずいと思うて、霧殿と叫んだのだ。それを合図かのように、霧殿が急に立ち上がって敵の本を蹴り上げたので、矢を打ち放ったというわけだ。」
「それで、その後は?」
そういった瞬間に、となりのベッドのカーテンが勢いよく開いた。
「その後のことは、俺が話そう。」
この前戦った敵が、そこにいた。
「だぁ〜!!なんでおまえがここにいる!!」
「おいおい、それはないだろ。せっかくここまで連れて来てやったんだから。」
どうやら、救急車を呼んだのはこの男らしい。
「それよりも、まずは自己紹介だ。」
「俺は稲田 源。よろしく!」
そういって、手を差し出した。すると、キガルはとなりのベットに飛び移り、手を握った。
「拙者はキガル!こちらこそ、なのだ!」
(おいおい。元敵と、仲良くなっていいのか!?)
第七巻 術の力
「ぬぁ〜!?おぬしは!!」
キガルはベッドから、転げ落ちた。
「どうしたんだ、キガル。」
すると、ベッドの後ろから倒したはずの子供が出てきた。
「なぁ!?おまえ、たしか消えたんじゃ・・・。」
「おまえではない。僕はラズだ。」
キガルが、急に背後をドンっと蹴った。
「敵だ!!霧殿、戦うぞ!!」
ベッドから蹴り飛ばされた霧円は、まだ足が治ってないのにもかかわらず、立ち上がった。(もちろん、ゴキッという音もした。)
「ぎゃああぁぁ!!」
霧円は叫び、そして倒れた。
「は!!おぬしら、今度は何をした!!」
キガルは、ビッと相手を指差した。
「いや・・・、俺達はなにもしていない。」
その時、キガルの体がフワッと浮かんだ。
「キガル!!おまえはどっかに行ってろ!!」
キガルは窓の外へ、ほうり出された。
「で、稲田さんだっけな、なんの用だ?」
稲田は、一冊の本を渡した。その本は、真ん中に大きな穴が開いていた。
「それは、俺の術で魔本と見せたてるために使ったものだ。」
(うん?ハ○ー・ポッ○ー。この題名どこかでみたような・・・。)
「って、あぁぁぁ!!これ、俺の本じゃん!!」
「そんなことはどうでもいい。問題はその穴だ。」
稲田はそう言うと、カーテンを開いた。太陽の光が部屋中に広がる。すると、また本が燃え出したのだ。
「やめろぉぉ!!1900円もした本を、これ以上傷つけるな!!」
稲田は、カーテンを閉めながら言った。
「どうやら、おまえの術は『天気』に関係するらしい。
「は?天気?術??」
馬鹿な霧円は、まったく理解できなかった。
第八巻 頼み事
稲田は両手を顔の前で合わせた。
「そこでおまえに頼みがある。」
すこし間を置いてから、ズバッと稲田が言った。
「仲間になってくれ!!」
急に言われたので霧円はびっくりしたが、すぐに
「別にいいよ。」
と答えた。
「よしっ、これで決まり!!来週の日曜日に、ここの入り口に集合な。」
そういうと、稲田は出て行った。霧円は、ボーっと窓の外を見ていた。
(案外階が高いんだな、この病院。そういやキガルを見かけないな・・・。)
そして霧円は思い出すのだった。キガルを窓から放り投げたことを。霧円はおそる、おそる下を見た。赤い物体が、チラッと見えた。その時だった。ドアをノックする音が聞こえた。
「ど、どうぞ。」
入ってきたのは、頭から血を流したキガルだった。
(ヒィィィ!!)
「霧、殿。き、金髪の少年からもらったのだ。」
キガルからそれを受け取ると、まじまじと見た。ポッキーの箱に、割り箸を4本つけた単純な人形だった。よく見ると、『バルカン300』と書かれてある。
「はは。いいもんもらったな・・・。」
バルカンを返すと、霧円は目を見開いた。なんと、噴出すようにして流れていた血が止まっているのだ。
(やはりこいつは、魔物なのだろうか。)
霧円は、とにかく寝ることにした。あまりにもいろいろなことがありすぎたので、霧円の思考回路がショートしたのだ。ゆっくりとまぶたをつむり、夢の世界へと旅立って行った。
第九巻 特訓
『敵魔物打倒キガル強化新技獲得訓練』は、霧円の一言によって始まった。病院から脱出すると、毎日部活にかよった。(もちろんキガルを連れて。)
ひと〜つ。日本刀レプリカを磨くべし!
「のぁ〜!!キガル、そんなめいいっぱい磨くなぁ〜!」
「霧殿、折れたぞ!!」
ふた〜つ。巻物を整理すべし!
「バルカン、焚き火をしようぞ!」
「だぁ〜!!巻物を燃やすなぁ!!」
みぃ〜つ。座禅を組むべし!
「ぬぉ〜!!バルカンを燃やすなぁ〜!!」
「動くなぁ〜!!!」
バシィ!!
ついに、二人は体力を失った。
「はぁ、はぁ。もう限界・・・。」
「せ、拙者も・・・。」
その時、部室のドアが勢い良く開いた。
「ちぃーっす!」
「おぉ!武野!!久しぶり!!!」
武野は、唯一の部員である。
「あ!部チョー!!」
「ちょうど良かった!ちょっと手伝ってくれ!」
こうして、地獄の『敵魔物打倒キガル強化新技獲得訓練』は続いた。
追伸 家に帰った3人は、瀕死の状態だったとゆう
第十巻 番外編〜登場人物達の秘密〜
第十巻を記念して、番外編を作りました!!
一、登場人物ぷろふぃーる
名前 鬼道 霧円(きどう むえん)
年齢 十三歳
身長 145センチ
趣味 弓矢(自己流)
性格 のんびりや
夢 サラリーマン
名前 キガル
年齢 八歳ぐらい
身長 111センチ
趣味 バルカン投げ
性格 喜怒哀楽が激しい
夢 喜怒哀楽の激しい王様
本の色 ?
名前 稲田 源(いなだ げん)
年齢 十四歳
身長 170センチ
趣味 プラモ製作
性格 ほがらかで、元気
夢 プラモ専門店を開くこと
名前 ラズ
年齢 10歳ぐらい
身長 130センチ
趣味 散歩
性格 白黒はっきりしている
夢 稲田と一緒に店を開くこと
本の色 赤紫
名前 武野 和樹(ぶの かずき)
年齢 十三歳
身長 147センチ
趣味 小説(読み書きどっちも)
性格 いつも、幽体離脱をしている
夢 不明
二、魔界にいたころは・・・
キガル
拙者はよう覚えとらんのだ。たしか、鍛冶屋だったかのう。
ラズ
僕の父さんは、建築士。母さんは、家事をしている。僕には友達がいてね、ケルベルクというんだ。あいつ、どうしてるかな〜。
三、質問コーナー
Q霧円は、キガルからどう呼ばれているのですか?
Aキ)霧殿(きりどの)と呼んでいるぞ!!
Q稲田は、ラズとどうやって会ったんですか?
A稲)中学の帰りに会ったんだ。あ〜、思い出せば・・・。
霧)はいはい。わかったよ!!
Qキガルとラズは知り合いなのですか?
Aラ)まったくの無関係だ。
Qキガルの魔本の持ち主は、どこにいるんですか?
A霧)まったくわからん。
Q第二巻以来、霧円の父さんを見かけません。いったいどこへ?
A霧)父さんは、単身赴任なんだ。どこにいるかは聞かないでくれ。
四、作者の失敗
実は、キガルの名前はギガルの予定だったのに書き込む際にミスして、キガルになってしまったんですよ。(これからは気おつけなくては・・・)では、ここら辺で終わりにします。
第十一巻 いざ、戦場へ
ついに、稲田との約束の日がやってきた。(霧円達は、『敵魔物打倒キガル強化新技獲得訓練』のおかげでかなり強くなった・・・と思いたい。)行ってみると、すでに稲田達が待っていた。
「おいおい。いきなり5分遅れだぞ。」
稲田が、腕組をしながら言った。
「そっちの方が、早いだけだよ。」
こうして、霧円達は出発した。目指す場所は、駅から30分の場所にあるそうだ。その電車の中でのこと。
「そもそも、なにが理由でそいつらと戦うんだ?」
「いや、なんでも子供を使って金をかつあげする奴がいるらしんだ。そして、子供といったら魔物しかいないだろう。」
そういうと、稲田は魔本を取り出して術をチェックしはじめた。
「ふぅん。とゆうか、なぜ俺を誘う?」
「一人より、二人のほうがいいだろ。」
そんなことをしゃべっているうちに、キガルたちはバルカン投げをはじめた。
「ゆくぞ、ラズ殿!トルネードバルカンクラッシュ!!」
バルカンが回転しながら飛んでいった。だが、バルカンはラズの手元には行かず、霧円の頭に見事命中した。
「だぁ〜!!てめぇら、いいかげんにしろぉー!!!」
そんなこんなでやっと目的地に到着した。さっそく、敵のよくいる場所(稲田がいうには)に向かった。
「稲田。おまえちゃんと調べたんだよな。」
「あ、ああ。」
びっくりしたことに、そこに敵はいた。しかも、かつあげのまっさいちゅうだ。
「よし。ゆっくり近ずいて、背後から攻撃だ。」
霧円がそういった瞬間にもう、キガルは飛び出していた。
「やぁ、やぁ、我こそはキガル!!かつあげとは上等だぁ!!」
(あぁ。いきなり作戦失敗かよ・・・。)
皆、開いた口がふさがらなかった。
第十二巻 術の脅威
「なんだ?」
敵はぐるっと振り向いた。
「ちょっといいか霧円。」
稲田が肩をぽんぽんとたたいた。
「なんだよ。」
「奴にはちゃんと中田とゆう名前があるから、敵と呼ぶな。」
霧円は頷いた。
「わかった。それよりどうやって戦う?」
「は?おまえ、魔本を使って術を発動させればいいだけじゃないか。」
そういうと、稲田は魔本を取り出した。
「俺、その『マホン』とかゆうの持ってないんだけど・・・。」
「なにぃぃぃぃ!?」
稲田は少し考えた後、奇跡を信じて霧円を敵のところへむかわせた。
「霧円、おまえはおとりになれ。すきをねらって、俺が攻撃する。」
霧円は、キガルと合流した。そして中田をにらみながらいった。
「おまえ、かつあげしてるんだってな。」
中田は、しっかりとこっちをみすえた。子供の方は、キガルより少し身長が高い。
「それがどうしたってんだよ。」
「俺と勝負しろ!」
霧円とキガルは、一歩前に踏み出た。
「フフ、勝負か。久しぶりだなぁ!!」
中田は不敵な笑みを浮かべている。霧円は、弓を構えた。
「キガル、おまえも弓が手に入りしだいすぐに攻撃しろ。」
霧円の手から矢が放たれた。ねらうはもちろん魔本だ。しかし、それは中田の呪文によって跳ね返された。
「ゼンデム・ドラガ。」
中田達の周りを扉が囲む。全部で7つある。
「ラギ・ゼンデム。」
扉が円形に並び、グルグル回り始めた。
(いったい、どんな術が!?)
霧円の頬を汗が流れた。
第十三巻 魔界
ぐるぐると回っていた扉が、ピタリと止まった。そして、目の前の扉がゆっくりと開いた。その瞬間、扉の中から何百本もの槍が飛んできた。
「いかん!キガル、横に動け!!」
霧円とキガルはなんとかよけた。
(くそぉ〜、なんなんだあの扉は?)
そんなことを思っているうちに、次の扉が開く。今度は、剣が飛んできた。霧円たちは下にふせ、避けた。
「しぶとい野郎だな。次は三枚いっぺんにいくぜ!!」
中田がそういうと、それが合図かのように三枚の扉が真正面で止まった。
「オープン!!」
扉の中から、矢、爆弾、弾がいっきに襲って来た。
(くっ。キガルだけでも・・・。)
霧円は、キガルを自分の背後に移動させた。武具がもうそこまでせまってきている。
(ここまでか!?)
その時、「グラビス!」とゆう声ががした。いつのまにか、目の前に一人の子供がいた。ものすごい勢いで、武具をはらいのけている。しかも、まったくの無傷だ。
「ラズ!?」
「情けないないぞ、霧円!!」
中田はラズを見て少し驚いた後、こう叫んだ。
「稲田、まさかおまえがいるとはな!!」
すると、稲田が出てきた。
「久しぶりだな。今日は、けじめをつけにきた。」
「そうかい、そうかい。じゃあ、邪魔者には消えてもらおう!」
稲田は少しあせった。
「いや、そんなことしなく・・・。」
「ラゴウ・ゼンダルム!!」
すると、一つの扉がゆっくりと開いた。そして、ものすごい速さで霧円たちは吸い込まれていった。
目が覚めると、草原にねっころがっていた。
「ん?ここは・・・。」
すでに起きていたキガルが、目を見開いていた。
「どうしたんだ、キガル?」
「霧殿。ここに拙者は来たことがある。」
キガルは、近くにあった花をじっと見つめていた。
「ここは・・・魔界だ。」
第十四巻 帰還
「な、なんだとぉ!?」
(とゆうことは、この前に見た映画みたいに魔界に飛ばされたのか!?)
霧円は必死で考えた。
(ここにいられる時間はたしか24時間なはず。いったいどうやって観光する!?)
キガルが霧円の服を引っ張った。
「き、霧殿。せ、拙者は家族にもう一度会ってみたいのだが・・・。」
キガルはかなり興奮しているようだった。
「あぁ。それがいいな。」
(その後、ゆっくりと観光を・・・。)
霧円の顔が自然とにやけてきた。二人は、ゆっくりと町へ歩いっていった。そして、キガルの実家は意外と早く見つかった。
「ここかぁ。」
(立派な家だなぁ〜。)
しばらく見とれていると、待ちきれなくなったキガルが先に入って行った。ちょうどその時、ぽんぽんと肩をたたかれた。
「は、はい!?なんですか?」
そこにいたのは、深い青色の髪をした長身の若者だった。
「君も、魔本を焼かれたのかい?」
「は、はぁ?」
霧円は意味がさっぱりわからず、適当に答えた。すると、彼は一つの飴玉を差し出した。
「この飴が、君にいい友達を作ってくれるよ。」
「あ、ありがとうございます!?」
霧円は、一応もらっておいた。そしてドアを開け、向こう側に足を踏み入れた瞬間に、人間界に戻ってきていた。もう、真っ暗だ。
「よぉ!遅いじゃねぇーか!!」
そこには、傷ついた稲田とラズがいた。
「あれ?」
霧円の思考回路から、けむりが出てきた。
「中田は逃げた。とゆうか、見逃してもらった。」
そういうと、稲田はゆっくりと歩き始めた。
「今日は解散!俺はもうくたくただ。」
四人は、それぞれの場所へと帰っていった。(もちろん、親に怒られた。)
霧円はさっさとベッドに入り、物思いにふけっていた。
(帰ってきた・・・。それよりもあの人、キガルによく似ていたな。父親だったのだろうか。)
霧円は、ゆっくりと眠りについた。
新たなる戦いに向けて、深く考えながらも・・・。
第十五巻 飴玉
ふと目覚めると、霧円は電車の中にいた。隣にはキガルが座っている。
「あ〜、キガル。今日、なんかあったけ?」
キガルは、自分のバッグからバルカンを取り出しながら答えた。
「何を言っておる。この前、二人で遠足に行く約束をしたではないか!」
霧円は少し疑問に思いながらも、窓の風景を楽しんでいた。その時、ズキッとのどが痛んだ。どうやら風邪らしい。
「キガル、のど飴持ってないか?」
すると、キガルは一個の飴玉を差し出した。
「これならあるのだ。」
「お、ありがとう。」
霧円は、飴をなめながら聞いた。
「これ、どこにあったんだ?」
「うん?これは霧円の机の上にあったのだ。」
霧円は、急いで吐き出そうとしたが遅かった。口の中の飴はもう、完全に溶けてしまっていたのだ。
(魔界の食べ物を人間が口にしたら、絶対なにか起こるはずだ。)
霧円はキガルに、「どこか変わったところはないか?」と聞こうとしたのだが、声が出ず、そのかわりに電撃が出た。
(な、なにぃ!?)
何度しゃべろうとしても、電撃しか出てこない。霧円は声にならない声で、叫んだ。
「わああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
頬を、大量の汗が流れる。時計を見ると、午前5時32分41秒だった。
(なんだ、夢か・・・。)
おそるおそる、机の上を見ると飴玉がのっかっていた。霧円は着替え、さっさと下に降りていった。
「あら、最近早起きねぇ〜。」
すでに、母さんは起きていた。
「まぁね。」
霧円は、ご飯を流し込むと上に上がった。部屋の中でキガルがバルカン投げをしていた。
「プラネットファイヤァバルカン〜!!」
霧円は、顔面に向けて飛んでくるバルカンを払いのけると、飴をつかんだ。
「キガル。おまえ、この飴知って・・・。」
よく見ると、中身がなくなっていた。そして、キガルの口元が妙に動いている。
「おまえ・・・、食ったんか・・・。」
「おう!けっこう美味だったぞ!!」
霧円は、キガルを色々と調べたが特に変化はなかった。
(な〜んだ。ただの飴だったのか。)
「き、霧円!バルカンが!」
よく見ると、バルカンの口から煙が出ている。
「いかん!!」
霧円は、バルカンを外に投げた。バルカンは、なおも煙を上げている。すると、だんだん煙がある形になってきたのだ。
「こ、これは!?」
第十六巻 召喚
煙が、だんだん龍の形になってきたのだ。そして、ゆっくりと目を開いた。その目は赤く、数々の戦いを見てきたような落ち着いた目だった。
「おぬしはいったい何者だ!!」
キガルが叫ぶ。龍がこちらを向く。
「MEは、YOUの守護霊だ。」
(なんだ、このDJ口調は・・・。)
「YOUの食べた飴は、守護霊を実体化させる力があるのだ。」
すると、龍はバルカンを拾い上げた。
「YOUが『バルカン』と言えば、MEはいつでも召喚されるYO。」
そういうと、キガルにバルカンを渡した。
「ちなみに、一日30分しか実体化できないから・・・。」
そう言った龍は、バルカンの中に戻っていった。
「あと、MEの名は『黒煙龍』だYO。」
そして、完全に消えた。
(何だったんだ・・・。)
「霧殿、ちょっと見てくれ!」
そういって、キガルがバルカンを差し出した。よく見ると、『300』のところが『30』になっていた。そして、しばらくすると『30』が『29』になった。
(そうか。今、1分間実体化したから残り29分実体化できるってことか。)
その時、下から声が聞こえてきた。
「霧円ー、学校はいいのー?」
「ああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
霧円は、急いでしたくをした。キガルは、
「バルカン♪」
と楽しそうに言っていた。煙がもくもくとたちこめる。
「だぁ〜!!室内で召喚するなぁ〜!!」
第十七巻 はじめてのおつかい
「あぁ、暇だのう・・・。」
霧円が学校に行った後、キガルは一人さみしく遊んでいた。
「はぁ・・・。」
ため息をついたその時、霧円が帰ってきた。
「母さん!今日は祝日じゃねぇーか!!」
「あ、ごっめーん!」
キガルは、勢いよく下に降りた。
「霧殿、おかえりなのだ!!」
「あぁ、ただいま。」
しかし、霧円が帰って来ても何も変わらなかった。
「霧殿、今日は部活もないのか?」
「ない。」
そういって、勉強道具を取り出す。
「じゃあ、一緒にゲームをしようぞ!!」
「やだ。」
霧円は、シャーペンで文字を書こうとしたが芯が出てこない。
「ありゃ、シャー芯切れか・・・。」
その瞬間、キガルの目が輝く。
「霧殿!拙者がおつかいに行ってあげるのだ!!」
「え、別に他のがあるんだけど・・・。」
(は!キガルを追い出すチャンス!!)
「あ!やっぱり買って来て。ちなみに、ピク○ンのおまけが付いたやつね!」
「承知!!」
それだけを言うと、キガルは出かけて行った。
(よぉーし。勉強はじめっか。)
霧円は引き出しからシャー芯を取り出し、勉強を再開した。
一方、キガルはコンビニへ歩いていった。
「よし!黒殿と一緒に行こう!」
そういった後、バルカンを取り出した。
「バルカン!」
黒煙龍が、召喚された。
「なんかYOかい?」
「一緒に買い物に行こうぞ!!」
こうして、子供一人と龍一匹はコンビニに向かった。
「あの、ピク○ン付きのシャー芯ください!!」
店員は迷っていた。この、子供一人と龍一匹の変人を通報しようかしまいか。結局、通報した。
「君、この龍はいったいなんなんだ!?」
場所は変わって警察署。キガルは尋問を受けていた。
「黒殿は拙者の友達で・・・。」
もじもじしていると、霧円が駆けつけた。
「キガル、大丈夫か!」
「あ、関係者ですか。この龍は一体なんなんですか?」
霧円はとまどった。
「え、え〜と。それはロボットです。」
「ほう。誰が作ったんだね?」
霧円は、必死で考え答えた。
(武野、すまん!!)
「武野という人からもらいました。」
霧円は、紙切れに武野の住所と電話番号を書くと、キガルを連れて家に帰った。
「この、どあほぅ!!道ばたで召喚する馬鹿がいるか!!」
今日の霧円はかなり迫力がある。
「で、でも、霧殿!シャー芯は買ってきたぞ!!」
キガルの手には、白ピク○ン付きのシャー芯が握られていた。
(まぁ、いっか・・・。)
「よくやった!」
霧円は一言そうほめると、夕食を食べにキガルと降りていった。
追伸 武野はこの後、学校に一週間来なっかった。
第十八巻 盗難
ラズと稲田は、廃墟となった学校の校門に立っていた。
「ここか・・・。」
稲田が静かに言う。
なぜ、稲田達は廃墟にいるのか。時間は今日の朝にさかのぼる。稲田のもとへ届いた一通の手紙が、事件の発端となった。
「うん?なんだ??『おまえの携帯を奪った。返してほしければ、この場所まで来い。』
って、はぁ!?携帯!?」
その手紙の下には、正確な地図が描かれていた。
(たしかに、おとといごろから携帯が見当たらないな。まぁ、たいしたことじゃないけど。)
実は、流行からして買った携帯だが、電話以外に使ったことがないのが現実であった。稲田はその後、学校を早く切り上げその場所へ向かっていったのだった。
(携帯も一応高いからね・・・。)
そう思いながら、学校の中に入っていった。その瞬間、声が聞こえてきた。
「スモルギガ!!」
白い煙がこちらに襲ってきた。
「おっと!」
稲田はさっと避けた。煙はそのまま、まっすぐ進んで行った。そして、鉄パイプの椅子にあたった。しばらくした後、煙が消えた。
「どれ、どれ。な・に!?」
鉄のパイプが侵食され、ボロボロになっていた。
(あんなの、まともにくらったらマジでやばい!)
稲田の背中に悪寒が走った。煙が来た方向を見つめていると、二つの人影が近寄ってきた。
「君が、稲田君かい?」
「それが?」
稲田は反抗的に答えた。敵は、侵食されボロボロになった椅子の方に目を向けた。
「どうだ、すごいだろうこの術は。」
「グレイズ!」
ラズの手から、矢印型の光線が放たれる。しかし、敵はかるく避けた。
「もう、バトルをはじめるのかい。まぁ、いいけどね!」
敵の魔物が、目の前に現れる。
(早い!!)
「スモーガル!!」
魔物に、煙の鎧が装備される。
「ならば、グラビス!」
ラズの五感が強化された。ラズはすばやく魔物の後ろに回り、鎧の装備されていないところを殴りつけた。魔物は、教室の壁にたたきつけられた。だが、魔物はまったく無傷だった。
(なるほど。奴の使う煙は、あたったところの時間を早めるのか。)
「ラズ、敵の鎧に触れるな!!触れたら、じじぃになるぞ!!」
ラズはうなずくと、人間の方に手を向けた。
「グレイズ・アイル!!」
人間に青い矢印が直撃した。その瞬間、人間が倒れこんだ。
「き、きさま、何をした!!何も見えないぞ!」
「なーに、五感の一つをつぶしただけさ!」
稲田の魔本が光り始めた。
(おっし!調子が出てきたぞ!!)
「ラズ、行くぞ!!グレイズ・マウル!」
その時だった、魔物がラズに体当たりをした。煙の鎧にもろにあたってしまったのだ。
「ラズ!?」
第十九巻 最大呪文
しかし、ラズに変化はなかった。
(そういや、魔物の成長スピードは人間と比べて遅いんだっけ。)
体制をくずしたにもかかわらず、その五感を使ってラズは術を放った。またしても命中。だが、そのせいで敵はやけになってしまった。
「くそぉ〜!!皆くたばれぇ〜!!スモルギガ!スモルギガ!」
魔物の手から無数の煙が放たれる。
「ちぃ、めんどくさいことになっちまった。グレイズ・ダジル!」
稲田達は、軽く避けた後に術を発動させた。
「くそぉぉ!!くらえぇぇ、ホェーグル・スモルガル!!」
なんと、五感のほとんどをつぶしたにもかかわらず、敵は最大呪文を唱えたのだった。魔物が、両手を上にあげる。そして、手から膨大な量の煙が出てきた。
「ま、マジですかい!?」
稲田達は、一歩さがった。魔物の手から放たれた煙は、だんだん鯨の形になっていったのだ。
「いっけぇぇぇ!!!」
鯨がすごい勢いで、迫ってくる。口を大きく開いたその姿は、猛獣をも思わせる。
(く、どうすれば。漫画ならここで本が光るはずなんだが・・・。)
すると案の定、稲田の魔本が激しく光始めたのだ。稲田はパラパラとページをめくると、呪文を言い放った。
「ラゴウズ・グロウギオン!!」
ラズの手から、煙をまとった馬が現れた。馬は力強く地を蹴り、鯨に向かって行った。
ズギャァァー
激しい効果音と共に、爆風がはおる。稲田達は10m近く飛ばされた。ほこりが飛び散るなか、チリチリと魔本が燃えていた。しばらくして、燃えているのは相手の本だとと言うことに気付く。
「勝った・・・。救急車を呼ばなくては・・・。」
稲田は、相手のポケットから携帯を探り出すと『119』とボタンを押した。
第二十巻 相談
ある日突然、鬼道宅に一本の電話がきた。
「あっ、霧円?術についてちょっと相談したいことが・・・。」
稲田の誘いで、霧円達は超巨大ショッピングモールに来ていた。
「で、でかい・・・。」
と霧円。
「バルカン何個分!?」
とキガル。
「ほう、けっこうすごいYO。」
と黒煙龍。
それぞれがそのでかさに驚かされていると、肩をぽんぽんとたたかれた。
「よ!!」
「おう!稲田!!」
ラズを連れた、稲田がいた。稲田はキガルの方を向くと、急に目をこすり始めた。
「ん?どうしたんだ?」
「いや、なんか龍が見えないか?キガルのとなりらへんに。」
(あ、そういや稲田に黒煙龍のこと話してなかったな。)
霧円は、黒煙龍について簡単に説明した。そして、4人と1匹はショッピングモールに入って行った。(もちろん、たくさんの人に龍という未確認生物を見せつけた。)キガルとラズを本屋で待たせたあと、霧円達はファーストフード店へむかった。
「で、黒煙龍にも相談したいことってなんだよ。」
「ああ、実はな・・・。」
そういうと、稲田は魔本を取り出した。
「術ってのは、ページの1行目から読めるんだけど、この最大呪文の前の一行が読めないんだ。予想だと、○○・ラゴウズ・グロウギオンとなるんだが。」
ズゴォーン
「いま、変な音がしたけど大丈夫?」
「た、たぶん。」
ちょっと間をいれたあと、ずっと黙っていた黒煙龍がボソッといった。
「すごいものを手に入れたな・・・。」
「うん?なんか知ってんのか?」
霧円が聞く。
「いや、なんでもない。」
その時、放送が入った。
『稲田様、稲田様。ラズ君とキガル君が迷子です。1階の迷子センターまできてください。』
霧円達はさとった。このままではやばいと。
この後、霧円達は武野と再会した。
(どこで再会したかは、きみの想像に任せる。)