投稿日:2015年03月05日 (木) 05時30分
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鳥取県御国言葉ノ酒 西部
御国言葉ノ酒とは何か? ノ格の名詞と名詞との組み合わせは多義で、理解が難しい。御国言葉は方言のことだから、方言の酒? 鳥取県酒造組合が企画した、鳥取県の旧国名、因幡・伯耆の言葉を名前に付けた地酒である。地酒を愛する鳥取県民応援団を「鳥取飯酒」(藩主に掛けている)と称し、第3金曜日を地酒で乾杯する「三金交代」(参勤交代に掛けている)としゃれている。ポスターに「がいに旨い『鳥取の酒』を、まんぐるじゅうで飲んでごしないな。」と書いてある。「とっても美味しい『純米酒』を周りの人みんなで飲みませんか。」という意味だ。 鳥取県を東部(因幡国)の千代(せんだい)藩、中部(伯耆国の東部)の天神藩、西部(伯耆国の西部)の日野藩に分け、それぞれの藩で造られる地酒にお国言葉で名前を付けた。「がいに」は西部、「まんぐるじゅう」は東部、「ごしないな」は中部の言葉としてある。 選りすぐりの鳥取県方言が銘柄の名前になっていると思われる。(以上、既出) 鳥取県西部、日野藩の銘柄。「ばんじまして」「ええしこ」「がいな」「がんじょ」「あげ そげ どげ」の5銘柄。 「がいな」と「がんじょ」は中部でも使う。「がいな」は大きいという意味で、愛媛県や香川県の方言にも「がいげな」「がいに」といった類似形式がある。毎年8月に米子市で行われる「米子がいな祭り」はこの方言を使っている。「がんじょ」は形容動詞で仕事に精が出る、よく働くといった意味である。頑丈と関係があると思われる。倉吉では「あの人はがんじょなけ」「あんたぁがんじょななあ」などのように使う。「ばんじまして」はこんばんはという夜の挨拶。「晩じる」という動詞の丁寧な連用形である。「ええしこ」は聞いた記憶がかすかにある。いい具合にという意味の副詞である。「あげ そげ どげ」は、あんな、そんな、、どんなに相当する指示語である。指示語の方言形は各地のものを比べてみると面白い。倉吉市では、連体詞が「あがな そがな どがな」で、副詞が「あがにい そがにい どがにい」である。愛媛県では「あがいな そがいな どがいな」「あがいに そがいに どがいに」が対応する。 (2015年3月5日) |
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