投稿日:2015年02月26日 (木) 04時02分
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鳥取県御国言葉ノ酒 東部
御国言葉ノ酒とは何か? ノ格の名詞と名詞との組み合わせは多義で、理解が難しい。御国言葉は方言のことだから、方言の酒? 鳥取県酒造組合が企画した、鳥取県の旧国名、因幡・伯耆の言葉を名前に付けた地酒である。地酒を愛する鳥取県民応援団を「鳥取飯酒」(藩主に掛けている)と称し、第3金曜日を地酒で乾杯する「三金交代」(参勤交代に掛けている)としゃれている。ポスターに「がいに旨い『鳥取の酒』を、まんぐるじゅうで飲んでごしないな。」と書いてある。「とっても美味しい『純米酒』を周りの人みんなで飲みませんか。」という意味だ。 鳥取県を東部(因幡国)の千代(せんだい)藩、中部(伯耆国の東部)の天神藩、西部(伯耆国の西部)の日野藩に分け、それぞれの藩で造られる地酒にお国言葉で名前を付けた。「がいに」は西部、「まんぐるじゅう」は東部、「ごしないな」は中部の言葉としてある。 選りすぐりの鳥取県方言が銘柄の名前になっていると思われる。 まずは、千代藩の銘柄を見てみよう。「まんぐるじゅう」「えらい」「あっとろしい」「しょうから」「がんじがんじ」の5銘柄。 「えらい」(疲れた、体が苦しい)と「しょうから」(腕白、いたずら者)は中部でも使っていた。「えらい」は体の状態を表す形容詞だが、「偉い」と同音で、他県の人には自慢しているように誤解されることがある。「しょうから」は「性が辛い」ではないかと推測されるがどうだろう。「がんじがんじ」(よく噛む様子)は幼児語として知っている。中部の倉吉では「ようがんじがんじするだあぜ」(よく噛むんだよ)、「がんじがんじしないよ」(よく噛みなさいよ)のように使い、よく噛む様子を巧みに表現していると思う。 「まんぐるじゅう」(周りのものみんな、そこらへん)と「あっとろしい」(びっくりした)は聞いたことがない。語源も推測できない。「あっとろしい」は「おっとろしい」(恐ろしい)と関係するのだろうか。単純に「お」が「あ」に変わった語形だろうか。 (2015年2月26日) |
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