投稿日:2006年06月03日 (土) 17時55分
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幕末に,大庭雪斎という蘭学者(1806〜1873)が訳した『民間格知問答』(1862〜65)という物理学の啓蒙書があります。「格知学」というのは物理学の意味の当時の語です。 その巻6に「焼点」という語が出てきて,説明に「光線が聚(あつま)り来(きた)る所の硝子(びいどろ)の一点なり」とあります。 原書がオランダ語ですから,この「焼点」は蘭語brandpuntの訳語ということになります。brandは動詞branden(燃える・燃やす)の抽象名詞です。puntは英語point独語Punktに当たる語です。そこで,brandを「焼」,puntを「点」と訳して組み合わせたものと思われます。 オランダ語からの訳語にはこういうタイプが多く,waterstof,zuurstofから「水素」「酸素」という訳語が作られたのが有名です(stofは英stuff=原料)。 「焼点」から「焦点」への歴史等は知りません。 オランダ語って,訳語を作るときに親切な語構成をしてたんだなあ,と思います。 |
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