仲間へ
同じ寮に住んでいる人のＤＶＤでミスチル聞いたよ、ナカナカいいね、ところでＫＡＴＥブッシュ聞いた？
こんなメールが高校時代の同級生から届き、納戸からベスト＆魔物語を捜し出し夜中家族が寝静まった寝室でディスクマンをつけてみる。明石やさんまの「恋のから騒ぎ」で有名なあのイントロが流れるともうそこは彼女独特の世界だ。ベストアルバムで聞くより、やはりトータルアルバムで聞いたほうがいい。一体彼女は今何処で、何をしているのか？

大英帝国ロック界随一のお嬢ケイト・ブッシュは16歳の時、ピンク・フロイドのデイヴ・ギルモア（g）に見出され、3年後の78年に『天使と小悪魔』でアルバム・デビューを飾った。ヨーロピアンな気品と**的エロティシズムが同居した小悪魔的ルックス（とくにアノ瞳！）、西洋古典をモチーフとした文学性に富んだ詞世界、官能的に響きわたるエキセントリック・ヴォイス――デビュー・シングル「嵐ヶ丘」が全英チャート第1位を獲得したことからも判るように、彼女の登場はあまりに衝撃的であった。80年リリースの『魔物語』では、従来のシンガー＆ソングライティングに加え、プロデュース・ワークを実践。以後、より明確なカタチでコンセプチュアルな“ケイト・ワールド”を展開し、孤高の存在となっていく