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名前 |
田中 洌
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題名 |
最終章 |
内容 |
九月末であと少し残していた短編、昨日と今日で終わる予定が、もう一日かかりそうなので無理をしないで今日は筆を置く。終わる予定が終わらなかったのは、予定通りの結末にならなかったからだ。構想通りにならないというのははじめての経験だが、気持ちがとても乗るものだ。 今日は調子がよかった。 それに、風雲舎の山平さんから、送っておいたお歳暮のお礼の電話がかかってきて、「いい原稿があがったら持ってこい」と来た。「持ち込み原稿は、2000編くらい読んでいて、ねちねちいやらしい編集者だが、目は確かだぜ」という。そうにちがいない。励みにもなるし、とてもうれしいことだ。 熱にうなされているとき、「小説すばる」で読んだが、新人賞の類は、ほんとうかどうか分からないが、地方を入れると全部で毎年、400もあるという。受賞した瞬間から、「過去の人」らしい。読んだのは『過去の人』という題名の短編だった。ただ同じ号に掲載されていた浅田次郎の短編には舌を巻いた。 農村から、岡谷を思わせる製糸工場に糸引き工女として働きに来た女の転落を、それを「ごめんなさーい」といって見送る小学校の先生と最後にうさんくさいいんちき牧師を絡め、何もかも善意として取る女の悲しさと愚かな美しさ……それを彼は、兇暴な共感を持って描いた。政治にも時代にも一語の批判も書かない。それでいて、ほとんど反社会的といえる兇暴な感動を創り出す。 とても勉強になった。 明日は野暮用で、一日、吉祥寺だ。月曜には書き上がるかもしれない。 火曜日は一日取材に出て、木曜か金曜に、瓦版発行予定だ。用紙はあと二千五百枚買ってきて、五千、トナーも前もって新しいものを注文した。ポスティング費用やなにやらで、毎月五万から七万ほどかかるが、飲まず食わずで節約して捻出だ。 まだ一度もブログというやつを見たことがないので、これから、初体験だ。 それでは、お互いにくれぐれもからだに注意。 |
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[105] 2005/12/03/(Sat) 18:54:53 |
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