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名前 |
田中 洌
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題名 |
あけましておめでとう |
内容 |
今年こそ、がんばろうと、大晦日を元旦と見立てておとその盃を重ねているうちについ飲み過ぎて、昨日は半日棒に振った。 外はみぞれまじりの冷たい雨だ。 先ほど写真をとって来て、昨日から四苦八苦している瓦版・新年号の原稿素案を整えた。 ひと休み入れて校正し、夕方から印刷にかかる。 5000枚の印刷と配りやすいように半分に折る作業は、時間と闘う単純肉体労働だ。 十時までに何とかしたい。 元旦のTVで村松友視をぼんやり観ながら、大衆小説(エンタメ)のヒーローを考えた。 柴田連三郎の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、笹川佐保の「木枯らし紋次郎」につづいて小泉劇場が代役を果たして、彼が退いたあとの新しい時代のヒーローはどんな人間形象が担うのか? その観点から自分の主人公をもう一度見直す必要がある。五味川純平「人間の条件」の主人公・梶もあきらかに1000万人の読者にとってヒーローであった。山本周五郎の「さぶ」も。 時代は閉塞したまま喧噪をきわめ、人間を駆逐し、もはや人間になろうとするヒーローの像さえ許さない。 何かをやろうとしても何もできなくなってしまった。 それでも、小説を書くということは、この時代を果敢に生き、この時代とともに滅び去るヒーローの創出だ。 無意識のうちに、結局長いこと自分のヒーローを探していたのだ。 今年こそ、そいつを見つけだして、深酒をやめ、体調を整え、時間を大切にし、表現力を身につけ、何とか来年中にデビューする計画を立て、背水の陣で臨むつもりだ。
今年もどうかよろしく。 |
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[137] 2006/01/02/(Mon) 15:08:19 |
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