| [353] 教室 no6 |
- 結花 - 2006年09月05日 (火) 00時17分
サキたちのケンカがあって
私は殴られた右頬をさすりながら自分の教室に戻った。
相当効いたんだろう、サキのパンチ。
グーだったもんなぁ。
相当効いたからこそ、あたし本当に気を失っちゃったっぽい。
昼休みに、殴られたのに
もう放課後だ。
どんだけ寝てんだ、あたし。
殴ってゴメン、巻き込んでゴメンとただ平謝りになる四人に
「大丈夫だよ」
と笑顔で言って
「先帰ってていいよ」
と言い残し、ここにいる。
別に一緒に帰らなかったのに理由はないけど。
殴られてｷﾗｲになるほど器小さくないし
あと
一番仲良しのマァはカレシの雄一とかえる。
だから
今日は一人で帰ろう。
――――教室 no6――――
相当疲れていた。
少し晴れた右頬を自分のピンクのハンドミラーで確かめながら
一番後ろの自分の席に「ふぅ」と言って座った。
ふと窓の方を見ると
サッカー部の部員の声が聞こえたり
吹奏楽の練習音が聞こえたり、
柔道部の「エイヤー！」みたいな声が聞こえたりする。
あ、その声は剣道部かな。
三年はもう引退したから
その声の主はみんな二年と一年だろうな。
あたしももっと部活やりたいー
と思いながら
「んんー」
としばらく伸びをして
机にうつぶせになる。
あたしは落ちた。
ケンカをとめたり
殴られたり
保健室で長時間閉じ込められたりで
疲れていたのかも。
あの時は、完全に
寝たね。
あたしは夢を見た。
それは陸上部でまだ走っている夢で
なんか風景は全国大会っぽい。
ワーワー
と歓声が広がる中、
あたしの400ｍ走が始まった。
パンッ・・
ピストルの銃声音
観客のわれんばかりの歓声。
体を一気に起こして
足を上げて
ただひたすら前を向いて
走る。
どこに自分の親がいるのかわからない。
自分の顧問がどこにいるのかわからない。
今は
無心に
ただ無心に
走って走って
気付いたら
白いテープを切っていた。
勝ったんだ。
100ｍ走で走ったマァはあたしが走り終わった後
一緒のベンチに
座って
「やったねぇ」
「・・・うん！」
とお互い激励をしながら
朝買ったペットボトルのキャップを開けて
走った熱を下げるように
ペットボトルの緑茶を
飲んだ。
ほんのり熱い。
ペットボトルの口がほんのり熱い。
「ん・・・」
あたしは深い眠りから覚めて
目を開けると
めっちゃ近くに
カズヤの顔があった。
何があった？
寝顔見られてた・・？
「ごめん、アヤ」
謝るカズヤ。
なんで謝る？
カズヤは
悪い事
して・・・な・・
あっっっ！！！
あたしもしかしてのもしかして
「アヤ・・・ゴメン」
ほんのりあったかかったのは唇。
夢と錯覚して
あたし
カズヤに
キスされた？
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