[325] 強がり上手 |
- 空 - 2006年05月03日 (水) 13時17分
本当は弱いくせに強がってみせるところが本当に愛しく思える、 最高の女だった
「仁、いってらっしゃい、気をつけてね」 「何また強がってらっしゃるの?」 「はは、何で、」 「顔に寂しいって書いてあるの」
春になったと世間はいうけど、まだ明け方は肌寒いこの季節 さっきまで二人ぴったりくっついていたので余計にそれを感じる そんな中に一人残して仕事に行く俺 本当に悪い癖だと思うこいつの、寂しいとかそういう欲求いわないの、 損するタイプだな、きっと、少なくとも俺よりは
「お前さぁ、そういうのって疲れない?」 「どういうの?」 「寂しい、とかっていわないでため込んだりするの」 「 ....寂しい、けどさぁ、仕方ないんだって、いいきかせたり、できる...から仕事だし....」
声がだんだん小さくなっていき、何となく身体の方も顔をしたに剥けて縮こまってる姿とかもう本当に、ピンポイントをついてくる行動だ これを計算でやっくる女もいたが一応俺も俳優だしそういうのはわかる
「寂し?」 「...ぅん」 「聞こえません」 「寂しいです」 「ん、素直な子は好きよ俺」
ぎゅう、とそれこそ目に見えない愛情を注ぐように抱きしめる 冷たい周りの空気と対照的に温かい身体、 周りの冷たさにこの熱が取られないようにめいっぱい力を込める しばらくは大人しく背中に手を回していたがトントンと背中を叩いてくる、あぁそういえば
「仁そろそろ時間....」 「はいはいわかってますよっお前はもっとムードと男心の勉強をしておくこと!あー後俺が以内間に寂しくなって浮気とかしないように!」 「...な!そんなことしないよ!!」 わぉ強気、威勢がいいな朝から、近所迷惑だって
「じゃあ行って来ます!」 「いってらっしゃい仁」 見送られさっきよりも幾分かムードがシリアスからプチほのぼのに変わって、心なしか周りの温度と俺の体感温度も上がった気がする 背を向け地下の駐車場に足を向けようとするが、 一つ忘れ物をしたことに気づく、 いつも出掛けるときに俺と彼女が交わす大切な儀式
「ごめン、忘れ物したー、」 向き直り、己の方に歩いてくる俺を見て不思議そうな顔をする 「え?あ....] 次の言葉など飲んでしまった、 唇をゆっくりとスローではなして間近で目を見て一度だけにこり、 彼女もまたにこりと笑い返し今度は自ら口付けてくれた うわぉ大胆、てか反則それ 「忘れないでね?」「お...っけいってやば!マジで時間!」 そういって慌ててかけていく俺の背中に 「仁こそムードの勉強すればいいのに」 とつぶやいていたが今の俺の耳には届かない 「浮気とかしないでね仁!」 「その言葉俺がお前に返します!」
彼女と別れ車に乗り込みふと思う、 あぁもしかしてあのとき本当は俺の方が寂しかったのかも
「強がりなのも俺の方だったりして」
そうつぶやき一人笑みを浮かべる赤西仁がいた
余談ですがあのとき本当に寂しかったのは俺の方かも にするかで迷いました
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