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[202] つないだ手F
♪花♪ - 2005年10月05日 (水) 18時10分

冬も終わって失業式が来た




亮と結ばれて二ヶ月




私は今浮気をしているのか


それとも私は捨てられたのか





瀬戸際に立っている状態だ








――――つないだ手 F――――



学校に親がごった返している中



私は一目散に





屋上へ走った。





耳が痛むような音を出して扉を開け



大きく息を吸い込むと



頭の中に色んなものがグルグルまわる。












―ここで初めて雄一と話したんだっけ






捨てられたはずなのに


捨てたはずなのに



いつも頭の中には雄一がいる






―今頃仕事してるのかなぁ

―それとも綺麗なお姉さんと仲良くしてるのかなぁ







車の音

風の音

すべて替わっていないのだけれど




ただ私が













 ―醜くなったー







また鈍い音がして


振り向くと




亮がいた




「何たそがれてんねん、アホ」


「うるさいな」




「卒業式始まるで」









確かに温もりはあるのだけれど

その温もりは





私はまだなれていない。






「?どうしたん」


「ううん。なんでもないよ」








「ただ亮への気持ちが100%にならなかったなって」




亮が手を離して



すこし前を歩く。





「いったろ、俺」


「何を?」



「まぁ、言ってないんやけど。」


「なんだそりゃ」












風がまだ冷たいから


上にコートを羽織って



両手を手に巻きつけて








「俺は真希に思われていなくても今はいいんよ?」



「なんで?」



「好きってそういうもんちゃう?」





まだ純粋で


いや、傷ついてる私を癒したのかもしれない




でもその瞳は真っ直ぐ私を見ていた。








「そのうち分かるで」

「そうかなぁ」







「お前にたくさん思われないの承知で付き合った」


「何、いきなり」



「お前を満たせないの分かってて付き合った」


「一緒におればおるほど純粋な子でなぁ、真希」









「その日その日ごとに好きになっていくんよ」



「だから、真希もそうやと思った」







亮は遅れるで、といいながら小走りをする


私は置いていかれないように



ちょこちょことついていくのだが


やっぱり駄目だった







「私もだよ!」



「私も日に日に好きになっていくよ」




「だから、卒業しても一緒にいてね」




伝えなきゃ、駄目だった。







「いつか100%にして見せるから」







亮は戻ってきて私の両手をつかみ


グイッと引き寄せて






私のおでこにキスをした。







「俺もそのつもりや」








雄一



ごめんね。


やっぱ無理だよ。




重さに耐えられるほど



私は強くないから。







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