[128] 合併はしたけれど |
- 伊永 - 2004年04月19日 (月) 13時11分
首長は、財政が苦しくてやっていけないという思いから、合併すると財政が大きくなり特例債もあるので何とかやっていけるだろうと、合併に期待感があるようだ。 だが、我が家の家計が苦しいから隣の家計を当てにするというのでは、地方自治体の首長とはいえないだろう。 苦しくなっている大本は、国の失策のつけを地方に転化する地方交付税の縮減にあるのだから、大本を正さなければ地方自治の将来はないのだ。それを一番知っているはずの首長が、全国町村会などの決議に反して国と立ち向かおうとしない姿勢が、なんとも情けなく写るのは私だけなのか。 「昭和の合併に学ぶべき」と言えば、「昭和と平成は事情が違う」と言い逃れるが、平成の合併で最も注目された「さいたま市」と「南アルプス市」にだって、すでに学ぶべき結果がでているではないか。
さいたま市は、浦和・大宮・与野の3市の合併で2001年に誕生した、平成合併の優等生だったはず。 合併推進派は、「合併で大きくなる財政を、福祉充実にあてる」「サービスは高いほうに、負担は低いほうに」と大宣伝したが、がん検診受信料引き上げ・対象年齢引き上げ・敬老会助成金半減・証明手数料引き上げ・国保税大幅引き上げ・火葬場有料化・介護保険料免除基準の引き上げなど、「サービスは低いほうに、負担は高いほうに」という結果になっている。
その一方でさいたま都心や北部拠点宮原土地区画整備事業・JR浦和駅、大宮駅、武蔵浦和駅周辺開発など、大型開発事業を同時進行。旧3市の再開発や区画整理事業をすべて引き継ぐなど、「福祉切捨て・大型開発事業優先」で、住民を裏切っている。
山梨・南アルプス市はどうか? 八田・白根・芦安・若草・櫛形・甲西の6町村が2003年に合併して出来たが、介護保険料の最大38%引き上げに、住民組織が「保険料引き下げ・利用料減免」の署名を提出。 石川市長は「ない袖は触れない。高齢者が増えれば負担もあがる」と更なる引き上げを示唆。八田地区と芦安地区など4地区で高齢者祝い金の年齢引き上げや支給減額。
甲西地区では、重度障害者・乳幼児・ひとり親家庭の医療費無料の廃止、福祉タクシー券枚数減・人間ドック対象年齢引き上げ。 八田地区の温泉入浴障害者無料制度の廃止、などなど。 旧・櫛形町長だった石川市長は、市議会で「自らが合併に向けて非常においしい話を進めてきたものの一人だ」と認める所信表明。 住民は「合併したからといって暮らしがよくなるというものではないと言うのが実感」と、早くも失敗を痛感しているという。
旧・櫛形町といえば、津別町と姉妹都市のはず、1市3町は津別町に聞けば平成の合併が昭和の合併となんら変わりないことが、火を見るより明らかなはず。 「合併あり気でない」というなら、平成合併の事例から学ぶことも議題とすべきだろう。
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