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江戸時代の日本人は偉いっ! |
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ゴエン(管理・責任者)
(285)投稿日:2003年07月26日 (土) 12時27分
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久し振りに,わくわくさせられる展覧会を見て来ました。 「江戸大博覧会・モノづくり日本」(東京・国立科学博物館で,来月末日まで開催中)。江戸時代の日本人の科学的知識と工業技術は,驚く程に高かった…そんな意外な事実を示す展示品の数々に見入ってしまい,2日連続で博物館に足を運んでしまいました。
鎖国下の江戸時代に開花した日本独自の文化は,決して“井の中の蛙”たるが故の産物ではない。日本人の改良技術は,決して西洋人が“物真似”と笑う様な浅はかな代物ではない。そんなメッセージが,ひしひしと伝わってきます。
例えば,機械時計が発明されて西洋では,季節によって変わる日の出・日の入りに合わせるそれまでの生活が,機械が刻む時刻に合わせる生活に変わりました。つまり,人が機械に迎合しました。それが受け入れられなかった中国では,機械時計をおもちゃとして扱いました。それに対し日本では,文字盤やおもりを交換できる様に改良して,時計が刻む時刻が季節によって変わる様にしてしまい(和時計),これが商家などにも普及しました。つまり,機械を人に迎合させ,民衆に行き渡らせたのです。 原型は西洋人が作った物ですから,ある意味では“物真似”です。でも,哲学すら感じさせるこの改良を“物真似”と笑えますか?
江戸時代の華道の指南書の中には,自然の姿にデザインを学ぼうというくだりで,太陽系の惑星配置図が登場するものがあります。また,測量器具や製図用品,温度計などを宣伝する当時のチラシ(チラシは庶民向けの宣伝媒体で,大名や学者向けに作られる事はなかったそうです)が見付かっています。これらは,最先端の技術や知識が一部の権力者や知識人だけのものではなく,庶民の平均的教養が高水準だった証だそうです。 高度な知識や技術は地方にも広がっていて,例えば精巧な日本地図作成で知られる伊能忠敬の測量も,全国各地の知識人に支えられていました。 そして驚くべき事に江戸の末期には,パナマ運河と同じ閘門を用いる方式で日本海と琵琶湖を繋ぎ,北前船などの廻船を,関門海峡を回らずに大津付近へ乗り入れさせてしまおうという,壮大な計画が進んでいたのです。今回,敦賀から近江塩津に抜ける運河の,かなり精密な図面が公開されています。もし明治維新がもう少し遅かったら,この運河は現実のものになっていたでしょう。
他にも…自分が発明した,家畜を動力にする揚水機の宣伝のために,永久機関を理論通りに作って実演してみせた(当然,永久機関は実際には動かない。だから,私の発明した動力の要る揚水機を買って♪という趣向)発明家。医学の知識を民衆に行き渡らせた錦絵の数々。絵師に絵の具を買い与え,世の中のあらゆる物を記録・整理させたり,自ら模型を作って戦艦の改良を説いた大名。…などなど,江戸時代の日本人の高度で柔軟な発想の産物の連続に,ただただ驚くばかりでした。
江戸時代の科学技術を見直そうという趣旨の展示会が開かれるのは,実に71年ぶりだそうです。私達の御先祖様って素晴らしかったんだ…と,ちょっと誇りが持てる企画です。 同時に,欧米追随から脱却しようという意識が高まりながらも,国際社会での地位が急速に低下して自信を失いかけている今の日本人の心に希望の灯を点す,実にタイムリーな企画ともいえます。 今のところ東京以外での開催予定はないのですが,勿体ないです。今からでも可能なら是非とも地方巡回して,全国の人達に見てもらいたい展示会でした。 |
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■今の日本も"物まね"で再生なるか?/たーしー
(290)投稿日 : 2003年08月11日 (月) 23時13分
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ご無沙汰しております。(辛うじて、マイパソコンのクッキーには忘れられずに済みましたが…(何)) 「幕末の開国以降、我が国が工業面で諸外国にそれなりに追いついて行けたのは、江戸時代から我が国独自の工業技術を培っていたからだ」という話は、私もこれまでにも聞いたことがありますが、今回の展示では改めてその点を実感することができるわけですね。 「日本は外国の物まねをして金持ちになっただけ」という声は少なからず聞かれます。たしかにそれは一理あるでしょう。 でも一方で「日本人の物まねはただの物まねでない」というのもまた事実です。言い方を変えれば、「日本人は"ただならぬ物まねをできる"という独自性を発揮して躍進を遂げてきた民族である」と言ったところでしょうか。 最近の我が国は"下り坂の途上"と言った感が少なからずありますが、諸外国の成功例をうまく物まねし、それを我が国になじむようにうまく加工し直して取り込んでいくことにより、我が国を再び上り坂の軌道に乗せることができれば…などと、思わず考えてしまいました。 |
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■日本を立て直すのは誰?/ゴエン
(291)投稿日 : 2003年08月12日 (火) 23時09分
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冷静に考えてみると,もし日本海と琵琶湖を結ぶ運河が完成して船が頻繁に往来する様になったら,船底に付着した生物などが琵琶湖の生態系に悪影響を及ぼしていたかもしれませんね…。もっとも,それでも,あそこを運河で繋ごうという発想自体は,ずば抜けていると思います。
たーしーさん> レスありがとうございます(私1人だけが感動して,浮いている様な感じがしていたので,助かりました(爆))。
>日本人は"ただならぬ物まねをできる"という独自性を発揮して躍進を遂げてきた これって,本当は素晴らしい事なんですよね,きっと。 ただ,明治時代には欧米列強に一刻も早く追い付くために欧米の猿真似を半ば運命付けられ,第2次大戦に敗れた事で欧米への劣等感を植え付けられてしまった日本人は,民族の文化を守る事と,異文化への好奇心や自己改革の精神を持つ事とのバランス感覚が狂ってしまったまま,現在に至っている側面があるのではないかという気がします。 そこから立ち直るためには,理科系ばかりでなく,社会の構造を考え,作る立場にある文系(特に社会系)の識者や指導者達の頭も(というより,まずそっちから?)切り替えさせないと駄目ですよ。でも,私は社会系の学部を出ている人間なので,それが極めて困難である実態も存じております(呆怒)。もう,理系の側の志ある人の力で,実態の方から強引に変革してもらうしかないのかな…とか,ちょっと投げ遺りですね。何か,捕らえ所のないレスになってしまいまして済みませんです(汗)(…いや,具体例挙げてたら大変な長さになってしまうので…)。 |
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