案内されたテーブルに座る 正面は雨粒が続く大きな窓 窓の大半を占めるドックとクレーン 波が静かにドックをノックしている
左の窓を占めるのは船 大船小船も小さな波に揺れる
白いテーブル 白い生地の布に斜めに敷かれた青い布 丁寧な縫製の上に上品な皿が置かれる
海の見えるレストラン ざわざわと聞こえるのは隣の席のご婦人方の声 日常の営みの説明だけでも 昨日と大昔の出来事が混乱せずに存在している 頷きを求めるジェスチャー その話が終わらぬまま 既に違う話題が平行して進み続ける これで私たちは元気になるのだ 経験を積んだ主婦たちは この盛り上がりで孤独ではなくなる
コーヒーの香り カップに映る枠付きの空
ゆったりとのびやかに立ち上がる人々
私も席を立つ 食事の質や量よりも 内外の違いを楽しんだ一人
言葉の風 言葉の花 言葉の料理
外は雨 降り続く雨 大船小船 ドックとクレーン そして城
外は雨 海の匂いがラストオーダー |