「遡 [Soil]」の感想はこちら
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よろしくお願いします。
同じ歴史ファンタジーでも西遊記とは随分違う
お久しぶりです。
遺跡の発掘から始まって最後に遺跡現場に重なるって、なんだか火の鳥の太陽編を思い出しました。歴史ファンタジーの雰囲気が良く出ていたので(萩尾望都の雰囲気かな)、ロジックとか現実性とか気にせずに読みましたが、それでも、疫病に効く唯一の薬が毒であるってのは、昔ならそうだろうなあと納得したり。
楽しませて頂きました。
堪能しました
拝読しました。
まさに力作でございました。頭の中で構築された世界観をごまかさずしっかり書ききってあるな、と感心しました。決して説明くさくならず、なおかつ作品の雰囲気を最後まで壊さず仕上げてあり、素晴らしい筆力だと思います。
真の王とは民の喜び悲しみを自分のものとし、それ以外は欲さない。貴作に登場する王に、王としての優れた資質をみたので、ラストで自分だけ○って欲しくはなかったのですが――これは個人的な好みの問題ですけどね。
好みといえば、貴作は文の密度が濃いというか情報量が多いので、もう少し漢字を開くかなにげない場面や描写を増やしたほうが読みやすい気もします。
いずれもあくまで好みの問題です。そう思う読者もいることだけ、頭の隅にでも留め置いていただければ、と思います。
しっかりした文章と古代・異国の空気を堪能させてもらいました。ありがとうございました。
励みになります
感想ありがとうございます。
>天然記念狼さん
火の鳥、あまりに夢中に一気に読んだためどれが何編か記憶の彼方ですが……萩尾先生の名前が出された時点で恐ろしく平伏かつうれしくてたまりません、ポー、レッド・スター、後期の一角獣シリーズやマージナル含めて萩尾望都のSF・歴史作品は大好きだし影響は受けていると思うので……。
救いがないというのはおっしゃるとおりで、起きてしまった最悪の状況をどう描こうかな、といういともありましたので、そこをすっと飲み込めるような書き方が出来たとしたらうれしい限りです。ありがとうございます。
>道三さん
心残りは、王の視点を選択したばかりにこの小さい国の庶民視点の描写がおろそかになったことでした。ご指摘の文章の気になる点も、個人的には気になったところでした。それこそ犬との関わりの強い世界ならば、彼らの最大の友人、子供たちをメインに据えた部分から描くことでまた違った視点、文章の表現を持ち込めたかもしれません。醜い言い訳をするなら、視点を限定しないとちょっと長引きすぎるかなと……本当はもっと気楽な物語にしたかったのですが、なぜかこんな風に。
情報量の多さはそもそもスタートがまずかったかな、と。以前書いた、現代視点の考古学者が主人公の話を、過去視点から書きなおすとこうなる、というのをやってみた次第です。もうちょっと説明くさくもなく、スタイリッシュに描ける構成力を磨く励みとしたいと思います。
感想、ありがとうございました。
name:ナノハ
Date:2010年09月06日 (月) 10時24分 No.322
力強い作品
卯月さま
初めまして。ナノハと申します。
御作、拝読しました。
作者様の知識、考察などが余す所なくひとつの作品を創り上げており、ファンタジーではあるけれども、歴史のドキュメンタリーを目の前に見ているような感覚で読ませていただきました。
王としての苦しみ、一人遺された者の哀しみがひしひしと伝わってくるようでした。
古代から続く人間と犬との絆
読後感がとっても重厚でした。 ううーん…… と思わず唸ってしまう。
初代の王の時代から、ずっと導き続けた銀色の球体。 この超越した存在のもとで、生きて滅びる[人]と[都市]。 王が善良であるだけに、その儚さ、もろさが滲みました。 その儚い存在である人間に寄りそう[犬]。 古代から続く人間と犬の絆を、美しい伝説のように見せていただいた気がします。
name:楠沢
Date:2010年09月06日 (月) 22時05分 No.338
世界観
拝読致しました。
純粋に面白かったです。
作品内の世界観がしっかりしていて、登場人物達の生活も伝わってきました。ストーリー展開はもちろんたのしみましたが、私にはこの部分だけでかなり楽しませていただきました。
梅さんも指摘されていらっしゃるとおり、誰がいけないというのがないだけに国のはかなさを感じました。
ピンクが好きです(関係ない)
感想ありがとうございます。
>ナノハさん
足りない頭でどうにかひねり出した別世界の物語でしたが、気に入っていただけたようで幸いです。ドキュメンタリーっぽいのは、最近ディスカバリーチャンネルとかを見まくっていたせいかもしれません……。
できるだけ民の目線で居たいと思いながらも、重い選択と義務に殉じなければならない王の心情を描き出せていたか不安だったのですが、その点を汲んでいただけてうれしい限りです。
>梅(b^▽^)bさん
既に終わってしまった歴史を書いてみたい、という思いがありました。言い方は変ですが、滅びてしまったものには心惹かれるものがあります。漠然と過去の美しさに思いを馳せる自分と、そこに過酷な何かがあったんだろうという点を描ければと。その重さと美しさを感じ取っていただけたなら、これほどうれしいことはありません。
>楠沢さん
世界観に関しては、他の短編何本かのために用意したものを転用しているせいかあまりドタバタせずに済んだというのもあります。できるだけ、この話に登場する考古学者のような国の統治や管理システム面から考えるだけでなく、そこに住んでいる人間たちからどんな世界かの発想を広げようとは思っていたので、登場人物たちの生活が伝わってきた、というお言葉は非常にうれしいです。その点は犬祭りという舞台で人間に近い視点として犬を出せたことにも感謝です。
感想、ありがとうございました。
何かすごいものを読んだ
……というのが今の気持ちです。茶林です。はじめまして。
エジプト者、というエジプト関係好きな方々を指す言葉がありますが、卯月さんもきっとそうなのだろうなあ、と思いつつ、緻密な描写に圧倒されております。
構成について。他の方々が色々述べられ、卯月さんもコメントされているのですが、私はむしろ舞台劇のシーン割りにかなり近いのではないかと感じました。情景描写は確かに小説的なのですが、それ以外の、人物の言動やシーンの割方に舞台劇の要素を強く感じ取りました。それが上手く働いている部分とそうでない部分があるなあ、と。
ともあれ、すごいものを読ませていただいた、という気持ちは変わりません。この作品が読めてよかった!
name:迅本
Date:2010年09月08日 (水) 23時26分 No.379
とても面白かったです
卯月音由杞さん、こんばんは。(親愛の念を込めて卯月さんと呼ばせて下さい)
御作、拝読いたしました。
文章・構成ともにとても丁寧で、卯月さんのこだわりを感じました。
「先生」と「王」の手記を交互に読み辿るような展開に、
一層引き込まれました。 謎に近づいてゆくスリルもさることながら、
王の気高さ、滅びることになった国のはかなさが伝わってきました。
説明くどくなく、情景を伴って入ってくる描写力に、
こんな文章が書けたらとちょっぴり悔しい思いをしています。
特に最後のシーン、王の哀しい一人称では、差し込む光のなかに浮かぶティキが白昼夢のように映り、強く余韻が残りました。
力強い作品を読ませていただき、有難うございました。
name:りい
Date:2010年09月09日 (木) 22時52分 No.385
後を引く
卯月音由杞様
こんばんは。
初めまして、りいと申します。
御作拝読いたしました。
細やかで丁寧な描写と構成は、劇や映画を観ているような錯覚に陥るほどでした。
思わず腕組みしたくなるほど、とても後を引く作品でした。
どうもありがとうございました。
嬉し泣き中
感想ありがとうございます。
>茶林さん
過分なお言葉をいただき恐縮です。恥ずかしながらエジプト者と言っていただけるほどの知識も深い興味も(もちろん嫌いではないですが)持っていないですが、河川の灌漑による穀物農業はやはり古代エジプトやメソポタミアの情景をモチーフにしてはいます。あと犬のティキも一応、ファラオハウンドを想定して書いてはいますし……。
舞台劇らしい、と言われて納得するところが多いです。現在と過去をリンクさせて書こうと思った時点で、各々の時系列で一人称視点から経時的に追いかける形式を選択しましたが、それゆえ舞台上で役者にスポットを当てて演じているような描写となり、結果として各部にガタが出たかな、と思います。病気の拡大の説明や、国の歴史を振り返るシーンなどは「上手く働いて」いない部分なのかなと、茶林さんの感想をいただいて、個人的には思ったところです。書いていて冗長さを感じましたが、上手くクリアする技術もなく、流してしまいました。反省したい点です。
紹介文も、ありがとうございました。それだけでも投稿した甲斐があるってもんです……。
>迅本さん
文章に関してはくどい、重いと言われ反省するることも多々ありますが、一向に直りません。しかし迅本さんの感想をいただいて、ああやってよかった……という気持ちになります。ありがとうございます。過去や架空の世界を舞台にした作品に読者を引きずりこむのにどうしたらいいか、試行錯誤した結果を汲んでいただいて嬉しいです。
ラストシーンを書くのはいつも苦手で、今回も迷いましたが、イマジナリィな終わり方を選んでみました。気に入っていただけたなら幸いです。
>りいさん
映画のような物語、はいつも意識しているところですので、そのように呼んでいただいて嬉しいです。違う世界の物語を描くなら、その世界の映像をどうにか読者にも共有してもらいたい、という思いがありますので。
感想、ありがとうございました。
name:招夏
Date:2010年09月10日 (金) 14時15分 No.404
秀逸な情景描写
初めまして、拝読させていただきました。
うわー、本格的ファンタジーですねぇ。どこまでも続くベージュ色の砂原や漆黒の夜空に燦然ときらめく星々が、目の前に迫ってくるようでした。秀逸な情景描写にため息です。
>星の落ちる音
満月の夜って、本当に星が消えてしまいますよね。それを星が落ちたなんて表現するところが素敵です。
人も、文明も、この地球でさえ、いつかは滅びます。できることなら、見苦しくない最期を迎えたいものです、どんな悲惨な状況になってもね。…と日頃考えているので、できれば、王様は綺麗なミイラくらいで発見されて欲しかったなぁ。生き残ってれば、そりゃあびっくりだろうけど、決して幸せではないですよね(苦笑)
読み応えのある作品、ありがとうございました。
ラストって難しい
感想ありがとうございます。
>招夏さん
描写に注目してくださり、ありがとうございます。満月については、真冬の山中で昼の青空のような明るさを見て以来、いろいろな場面で使いたくなるモチーフです。星のひとつやふたつ本当に落ちるだろう、と思わせてくれた情景に感謝しております。
王の最後については、生きてるんだか、死んでるんだか、すべて夢の中なのか、読んでいる人の側で想像してもらいたいような書き方にしてしまいました。作者的には、自分を閉じ込めてしまった時点で彼は王でも予言者でも人間でもなくなってしまったのかなと思うので……人生の締めくくり方も、物語の締めくくり方も、なかなか思うように描けません(汗)。
感想、ありがとうございました。
拝読しました。
しっとりと心に染みる作品でした。
読了後の余韻までも素晴らしいものでした。
心から賞賛を贈ります。サンクス!
読後しーんと厳かな気持ちになる
今回、競作作品の中で、予言者の悲哀と孤独を描ききったという意味で、ダントツでした。
複数キャラの一人称という形でしたが、時系列に混乱もなく、文章も読みやすかったです。悠久の時間の流れの中に立つ、星空と砂漠の情景が目に浮かぶようでした。
萩尾望都的な透明な悲しさ、私も感じました。
読ませていただきました。
犬の聖地に住み着いた民の盛衰と滅亡。「予言者」として生まれながら、住人を病の苦痛から解放することしか出来なかった王の果てしない孤独と絶望がやりきれないほど胸に迫ってきました。
ラストで王は現代に蘇ったのでしょうか。それはそれでまた、波乱の人生が待ち構えているような気がします。
静謐で幻想的なストーリー、楽しませていただきました。
ありがとうございます
感想ありがとうございます。
>30-06さん
読後にいい余韻を残せていたようで嬉しいです。謎めいた終わり方はどうかなと不安でしたが…。
こちらこそ読んでいただいてサンクス!です。
>butapennさん
他者と違う才能を持つばかりに起きる不幸、というものを予言者という存在のコアに据えてみようと思いながら人物造形をしてみました。それを汲んで読み取っていただけたなら幸いです。
>まあぷるさん
確かに、今にして思うと原始的な文明に謎のオーバーテクノロジーって組み合わせは、まんま萩尾望都でした。好きとはいえちょっと無自覚に書いてしまったかもしれません……。
王はどうなってしまったんでしょう。目覚めてしまうよりも、このまま夢を見続けるほうがいいのかもしれません。
感想、ありがとうございました。