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[1165] トイレの落書き(お題『嘘』)
御伽アリス - 2012年09月06日 (木) 11時42分

 木で作った家は狼の息で吹き飛ばされちゃった。
「嘘つき」
 僕の兄さんたちは狼に食べられた。
「嘘つき?」
 昨日、家の近所にヘリコプターが墜落したんだ。
「どうして君は嘘ばかりつくの」
 道でお婆さんが苦しそうにしていて、助けていたので遅刻しました。
「みんなが本当の事ばかり言うから」
 コウジくんの靴を隠したのは僕じゃない。
「意味分かんないんだよ、おまえ」
 トイレの落書きの事なんて今日まで知りませんでした。
「意味なんて初めからないよ」
 給食のフォークを僕が隠して持っていた、っていうのも誰かの勘違いだ。
「いいから早く本当のことを言うんだ」
 でも、殺したのは確かに僕です。
「本当のことの本当さって、そんなに安っぽいものじゃないんだ」
 僕は嘘なんてついていない。
「……このまま君を帰すわけにはいかない」
 あの時僕は誰かに声をかけられたんだよ、後ろから。
「僕は関係ありません」
 それで薬で眠らされて。
「やってないって言うのかよ!」
 僕は嘘をついた。嘘をついていた。
「やったのは僕じゃない」
 でもそれも嘘だった。
「お前しかいないんだよ」
 僕が殺したんだね。
「僕が罪をかぶります」
 ひとつ、嘘じゃないことがある。
「なんだって?」
 少なくとも、これだけは嘘ではないと思えること。
「コウジくんを殺したのは僕です」
 本当のことを本当のことたらしめているのは、意図的・計算的に作り上げられた嘘の言葉だ。
「嘘だ! 君は嘘つきだ! 罪なんてかぶるな!」
 本当のことしか言わないロボットの言うことを、人は本当の意味では信用しない。
「コウジ? どうしてお前が……」
 僕は狼少年。これは嘘?
「ボクは死んでなんかないよ。小戸木くんはボクのわがままに付き合ってくれて」
 狼少年だって、本当は怖いんだ。本当に狼が来るんじゃないかって。
「2人とも、ここに座りなさい」
 だから狼少年は、狼になった。
「お、小戸木くん、何してるの。だめ!」
 僕が、殺しました。僕は僕の嘘を信じてほしかっただけなんだよ? 嘘は嘘のままに、本当のことと同じくらい価値があるんだ。
「やめろ、小戸木!」
 一度言った本当のことを、嘘に変えるのは簡単。でもその逆。一度ついた嘘を後から本当のことに変えるのは、ほとんどの場合かなり難しいでしょ。
「ごめんなさい、僕がコウジだったんです」
「何をする気だ!」「それを放せ」「コウジくん……」
「大丈夫、嘘つき狼が食べるのは人間でも羊でもないよ」
 最初から、意味なんか、なかった。つまんない嘘だけだった。


 ***
記事の上限がきたのに、こんなのをアップして良かったものか……という不安があります。しばらく作品を書いてなかったので、タイピング練習みたいな感じで作りました。



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