●「民衆は自覚しなくちゃ…ね」●
昨年秋、国政選挙において画期的な政権交代が実現したが、これは近世で例えてみれば、明治維新にも匹敵する大事件であった。だが、政権交代は、狭義的に見れば国会勢力だけで、司法の独立の名目を楯にとっての右翼的法曹界と、かつて国民を蹂躙した大東亜戦争で圧政に宣伝加担する罪を深刻に反省せず、また再びその愚を繰り返そうとするかにみえる報道界…この二大勢力が日本の隠然たる権力機構を維持していることに、国民は目をつぶってはならない。旧体制での残存権力は牙を研いで、針の隙間を突いて復権を伺おうとしている。
最近、政界を揺るがしている民主党がらみの大久保事件も石川事件も、検察=マスコミ連合軍による不当極まりない人権蹂躙・政治介入の悪辣な試みだと指摘する良識的な評論が強まっているのも、こうした背景からである。
思い返してみよう。昨秋の総選挙前後に突然降って沸いたように出たニュースが、民主党幹部のいわゆる「カネと政治」問題である。このニュースは自然発生的に派生した事件ではない。
このニュースを最初に掲載したのは読売新聞だが、読売新聞はご承知のように「なべつね」こと渡辺恒雄氏が総帥になっている新聞。親衛隊の調査研究本部と政治部を駆使して、民主党の追い落としを狙って瑕疵探しを命じた結果の、いわば狙いすましてつくられたニュースとの見方が強い。
読売新聞は自民党機関誌とも言われてきた。元社主の故正力松太郎氏が閣僚だったし、娘婿の小林与三次氏が自治省事務次官だったように、自民党とは縁が深い。また、なべつね氏は中曾根番記者だった縁で、国有地を現読売東京本社用地に払い下げて貰った有力な働きをしたとして、社長の地位を築いた立場もある。
読売新聞、またなべつね氏が報道界をけしかけて、民主政権打倒のリーダーシップを握ろうとしている経緯と背景がここにある。新聞社を私物化して世論の誘導を仕掛けている姿そのものという人もいる。読売新聞と特別契約関係にあるワシントンポストの紙面にまで手を回しているところは、氏の深謀も周到極まれりというべきか。
国民は騙されてはいけない。民衆は賢くなくてはいけない。若者は踊らされてはならない。
·