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[1174]う〜ん。どうしても納得いかない。 投稿者:JerryFish

投稿日:2015年05月16日 (土) 08時26分

鐵太郎様

おはようございます(^^)。
前回の『歴史群像6月号』
「パウル・カレル2つの顔」について。

パウル・カレル氏の人間的な側面については
なるほどと知ることができた点では納得でした。

でも、どうもルポ・ライター(?)大木毅氏による
カレル氏の著作批判部分に「反対!」とまでは
いかずとも、「疑問に思う」点が多々あったので、
私なりの追加検証と、そこから得た所感により
当記事に対する感想を述べさせてもらいます。

@まず、大木毅氏の今回のカレル氏ルポは本邦初
では無いらしい。(ベンツ氏の伝記も紹介している。)

http://d.hatena.ne.jp/k-takahashi/20090712/1247407190

上記URL記事によると2009年6月の雑誌記事
として寄稿してるようですね。

しかもこの時点で2005年のベンツ氏の伝記に
言及していますが、この時点でもドイツ国内のみの
出版のようです。(この記事によれば当伝記の評価は
不明。)

Amazonで検索かけてみましたが、現時点でも
日本にはベンツ氏による翻訳本は出版されてないよ
うです。

しかも、この時点では『普通に参考資料として使えば
よいのではないだろうか。大木氏も「(※多分、
カレル氏が)虚偽を書いたのではない」ことは
認めているのだし。』とのことです。

A歴史群像92ページ「どこまでが事実なのか」

a)「少なくとも書記の著作は『ジグナール』の
編集に関わっていたときに得たものと、戦後、
数名のインフォーマント(元国防軍将校が主。
その政治的な志向については指摘するまでも
なかろう)から受けた情報に拠っていることが
判明している。つまり、最初からある種の傾斜を
持った典拠なのである。」・・・と書いてますよね。

でも上記の大木毅氏の文章は表面上は
断定的でありながら、読み直すと曖昧かつ、
矛盾してるのではないか?と愚考します。

宣伝誌『ジグナール』が確たる情報源で
あるのなら、独軍に都合の良い記事だけを
抽出したシロモノでしょう。

そこで問いたいのは、
まず「初期の著作」とはどの著作から、
どこまでの著作を指すのか?

これが明示されない限りは、
それぞれの著作でどこまで引用し、
参考資料にしてるのか明確になりません。

また、「数名のインフォーマント(主に国防軍将校)
から受けた情報に拠っていることが判明している」
とのことですが、これまた怪しいものです。

まず、「判明している」と突き止めた歴史家は誰か?
著作名は?それとも大木毅氏ご自身が史料を直に
調べた結果なのか?何とも。

それから国防軍将校の具体的な氏名などが出ないのでは
「政治的な志向」がどんな方向に向いていたのかすら、
判然としません。ただ薫りだけを匂わせて読者に
バイアスのかかった想像に仕向けてるだけでは?

(※話が少し横道に逸れます。
「情報を受ける」に値する元国防軍将校なら
一人当たり最低50〜60人位の軍人ぐらい対象に
記録しているはず。その元将校「数名」から情報提供
を受けてるのなら戦記を書くサンプル数としては
十分かと・・・。
何も自分の足で稼ぐばかりが取材では無いと思います。
もちろん、キー・パーソン(例えばマンシュタイン元帥
のような人物)には念入りな直接取材が必要かと・・。
横道はここまでです。)以下、本論にもどります。

これではとてもではありませんが、
「つまり、最初から、ある傾斜を持った典拠・・・」
と断言できるのかと?

しかもこの文の続きが上記の記事文章と前後矛盾
してるのでは?

「しかも、カレル氏がどういうやり方で
取材していたのか検証するすべがない。」

「適切な史料批判がなされてるのかを
検証することは不可能なのだ。
仮に、恣意的な引用や歪曲があっても、
確かめようがないのである。」

初期の著作とは断っていても、
「つまり、最初から、ある傾斜を持った典拠・・・」
と書ききっているのに、直後でこの文章。
この辺り文章の前後で矛盾してると私は捉えます。

著作の信憑性に疑問符が付くのは否めないにせよ。

B『焦土作戦』のプロホロフカ戦車戦の反証史料、
『ドイツ国と第二次世界大戦』(ドイツの公刊戦史)
の信憑性について。(93ページ)

まずは『戦史叢書』(日本の公刊戦史)
自体も信憑性が決して高いというわけではない
という評判を聞いてます。

↓これはオマケ。(画面下へスクロール、
「日本の公刊戦史の特長について触れてみたい。」
の一文より下の文章をご覧下さい。)

http://blogs.yahoo.co.jp/naomoe3/55242533.html

『ドイツ国と第二次世界大戦』(ドイツの公刊戦史)
については・・・。↓

http://www21.tok2.com/home/tokorozawa/faq/faq08a03b13.html

上記サイト、1,2画面分下スクロールした辺り、
(軍事版、2010/02/18)より抜粋。

====================================
【質問】
 ドイツ公刊戦史はこれ?
Das Deutsche Reich und der Zweite Weltkrieg
(英訳 Germany and the Second World War )

【回答】
 確かにそれはドイツの公刊戦史(10巻11冊)で
一冊あたり1000ページ以上ある膨大な資料だけど,
よく読むと概略的なことしか書いていない,
注釈だらけの本だよ.
「詳しくはドイツ公文書館で探してね」という内容.
それぞれの巻末にはドイツ公文書館だけではなく,
参考文献もしっかり記載している.

(※2010年の記述であることに注意!!)
その中にはパウル・カレルの一連の著作は,
しっかり参考文献として記載してあるよ.

だから,日本の自称戦史研究家の先生方は,
噂や一部の人の解釈だけとららえて,
全否定する前に,
いろいろな角度から調査して
情報を取捨選択してほしいな.
そうしないと,間違った情報を流す可能性があると思う.
とんでも本だったらいいけど,
研究家として印税もらっているプロなんだから.
=========================(抜粋は以上。)

と、まあ、大木毅氏が主張する根拠の原典が、
こんな内容のものであるようです。
以上の内容が現時点(2015年)でも、改訂無しの
最新版であるかどうかは不明です。

ただし、ベンツ氏の伝記が2005年に出版され、
その内容(カレル氏の人生・人間性のみならず、
その著作内容に踏み込んでいるか?)はともかく、
伝記の信憑性が高ければ、
相当前にカレル氏の著作はドイツ刊行戦史の参考文献
から外されてると思うのですよ。

Cプロホロフカ戦車戦(93ページ)

まずはウィキペディアから。「プロホロフカの戦い」

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%AB%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

さて、大木毅氏の93ページ最下段の文章に拠れば、
「プロホロフカ南方の戦車戦など存在しなかったこと
が明らかになる。当該戦域には、最大時で四四両の
戦車を有するのみの第六装甲師団があっただけなの
である」

う〜ん。ウィキペディアの記事と真っ向から
対立する文章ですね。どの書籍を当たっても、
ウィキ(その他ネット上の史料含む)を見ても、
プロホロフカ南方で
(史上空前であったかどうかはともかく)
大規模な戦車戦があったとの内容は共通です。

独軍は武装SSの中ではまともな装備を持つ
全3個師団(第1SS、第2SS、第3SS)を
投入してると私の手持ちの書籍などと内容はやはり共通。
ウィキによれば7月12日時点で上記3個師団
合計で戦車204両が使用可能との事。
その前日、7月11日時点ではティーガー70両を
含んだ戦車400両。
(突撃砲がこのカウントの中に含まれるかは不明。)

ソ連軍も第5親衛戦車軍(他、第2親衛戦車軍など)を
主力とするという内容で800 - 850両の戦車
(内409両がT34)。各種資料は一致。

上記ウィキペディアの出典をご覧になるまでも無く、
様々な著書・史料などが「プロホロフカ戦車戦」に
ついて著述されてます。(ウィキでも2007年、
即ちベンツ氏の伝記2005年出版後に著書2点が
出典に入ってます。)

これでも「プロホロフカ戦車戦など
存在しなかったことが明らかとなる」のでしょうか?

大木毅氏が上記戦車戦を否定材料として挙げているのは、
(私から観れば)表題だけとると権威的であるものの、
そちらの方こそ信憑性の怪しいBのドイツの公刊戦史
だけです。

確かにケンプフ将軍配下の第三装甲軍団のプロホロフカ
への競争は無かったでしょう。
(後述するように任務も進撃方向も違ってた)
これに関してはウィキでも私の手持ちの既読の書籍にも
載ってはいません。

でも、「当該地域(←おそらくプロホロフカ)には、
最大時で四四両の戦車を有するのみの第六装甲師団が
あっただけなのである」との記述は如何に?

第六装甲師団はケンプフ将軍配下の第三装甲軍団に
属してるのですけど?
そして、第三装甲軍団にせよ、第六装甲師団にせよ
プロホロフカ付近の戦力配置図にすら載っていません。

もっともプロホロフカ南方、約15kmの
北ドニェツ川に橋頭堡は築いていたらしいですが。

※クルスク戦参加師団一覧表↓

===========================
http://hobby.2ch.net/test/read.cgi/army/1041765133/

2ちゃんねる「クルスク戦」

61 :55:03/01/14 18:30 ID:AUlIm/mZ
まったりとクルスク戦に参加した師団の一覧〜
=====================(以上)
まさか、参考資料に2ちゃんねるを使うとは(^^;)。

独第三装甲軍団の動向と位地↓

https://books.google.co.jp/books?id=VdVWBAAAQBAJ&pg=PA146&lpg=PA146&dq=%E7%AC%AC6%E8%A3%85%E7%94%B2%E5%B8%AB%E5%9B%A3%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%AB&source=bl&ots=BwjtmkggMe&sig=k2V2Eqoi2WOgB2lxUbLTKkTWSFg&hl=ja&sa=X&ei=VTpWVaz3MJft8AXq_4DADQ&ved=0CDwQ6AEwBQ#v=onepage&q=%E7%AC%AC6%E8%A3%85%E7%94%B2%E5%B8%AB%E5%9B%A3%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%9B%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%AB&f=false

さて、第六装甲師団のみが、第三装甲軍団から離れ、
クルスクの戦いでも焦点であり、
正面に第5「親衛」戦車軍が陣取る
プロホロフカに位置していた?考えにくいですね。

ウィキペディア「クルスクの戦い」ページ下段に

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

ケンプフ将軍配下の支隊の配置図と進撃路、
が記されてます。その任務と顛末は

「南東方面の前線では、ケンプ軍支隊が、
ソ連軍第7親衛軍の陣地を攻撃して突破したものの、
陣地の防御はより強固だった為、前進が遅れてしまい、
ソ連軍の東方からの増援を阻止する任務を
十分に果たすことができずにいた。」

大木毅氏「当該戦域には、最大時で四四両の
戦車を有するのみの第六装甲師団があっただけなの
である」
・・・。本当?(←くどい(;゜Д゜)!!)

尚、ドイツ連邦国防軍のパンフレットに
『彼らは来た』、『焦土作戦』が挿入されたのは、
国防軍兵士に「歴史」を教えるのではなく、
「理想的な兵士像」を伝えたかったが為と愚考します。

また、ドイツ国内において専門家サークル・一般読者
の間でも歴史書と認められていないというのは、
歴史史料の問題云々より、2005年出版のベンツ氏
伝記出版で「ナチ・アレルギー」が読者間の蔓延故では?

何しろドイツ国内の模型店でタミヤのドイツ戦車プラモ
の出来に感動した店主が、うっかり戦車プラモと一緒に
鉤十字入りの国旗をショーウィンドーに飾ったところ、
その夜のうちにショーウィンドーが破られたという
エピソードもあるぐらいです。

ともかく、大木毅氏の文章の正当性を裏付ける史料の
方があまりに少なく、また、ドイツ国内の見聞録も
今のところ、彼の記述以外確認のしようがありません。

でも、ここまで情報化された社会になった現在、
@で彼が2009年から報じてるにも関わらず、
「プロホロフカ戦車戦は無かった」だの、
「ドイツ国内では最早、カレル氏は認められていない」
ということが一向に日本国内で伝わっていませんね。

今日の深夜から調査した結果、彼の主張が怪しいもの
と、私個人としては思わざるを得ません

以前からの彼の主張が正しければ、今頃は戦史に関する
書籍・情報媒体の内容の大転換もあれば、ドイツと同様
日本でもカレル氏の著作も新品・中古本に関わらず投売り
になってるでしょう。

・・・という事が私なりに調べ上げた調査結果と
結論です。

申し訳ありません。駄文・長文の
新記録達成ですね(TT)。

失礼しましたm(__)m。

JerryFish



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