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[964]こんばんは(^^)!それでは感想文をUPさせて頂きます。 投稿者:JerryFish

投稿日:2014年06月28日 (土) 00時00分

ジェットエンジンに取り憑かれた男(上巻)感想

橘花(ジェットエンジン「ネ20」)の設計者による開発物語は、この本のまえがきにある

「彼らは1%の可能性を追い求めつつも、99%の失敗に生きている」

の一言に集約されてるというのが、私の感想ですね。


第一章「幻のジェットエンジン」

橘花と言えば、「日のあたらなかった日本初のジェット機」と以前掲示板に匂わせた書き方もしました。
この序章のネ20の登場場面からしても、
華やかな航空ショーの片隅にただ、ひっそりと展示されています。

「だが、」と著者の前間氏はそのひっそりとした展示物であるエンジンの意義をどんでん返しに強調します。
「戦前戦中、エンジンも含め自力でタービン噴流式のジェット機を飛ばすことができたのは、ドイツ、イギリス、そして日本」だけであると!

(※タービン噴流式のジェットエンジンを以降、タービンロケットの略、TRと記述させていただきます。TR10に敬意も込める意味でも。)

ネ20の開発期間はわずか4ヶ月!

非常に新鮮な驚きを私にも再び与えてくれます(^^)。

『橘花は翔んだ』で鐵太郎様はおっしゃいます。
「技術的な苦闘に関してはほとんど記述がないこと。
ま、このあたりは、前間孝則さんあたりのような
特別なライターでもなければ難しいでしょうかね。」

そのとおり前間氏はそれらを見事に設計関係者から当時の
TRへの憧憬、研究、実験、挫折、再起、設計、製造、飛行までに到る苦心談を引き出し、
集積し、分析をしながら技術開発の世界で並行していた海外事情や、迫り来る大戦争・開戦後の戦局とを照らし合わせながら、語ってくれています。
[965]投稿者:JerryFish
投稿日:2014年06月28日 (土) 00時05分
第二章「日本初のジェット機」

また前掲書にて鐵太郎様はこうもおっしゃっていましたね。
「まったく違う工業基盤を持っていた日本が、
ドイツの技術の粋を結集した航空機を単純に生産できるはずがない。」

まさしく!第二章の冒頭から驚嘆すべき記述が!
ジェットエンジンの日本における萌芽は1920年代から始まっていたのですね!

そこからの技術者達の人間性が非常に魅力的です(^^)。
(※物語は戦争後も登場し、会社・役職も変わる方々なので階級・職掌などは省略します。)

花島孝一氏:開戦後の訓示「世間では戦争、戦争と騒いでいるが、君達は技術の事を開発してるのであって、戦争のことなんか考えるのは間違いですよ」
この後、第三章まで読んでますが、この方の高空関連技術者達に与えた人脈・影響・薫陶は後々まで生きるんですね。

「急がば回れ」花島氏のこの訓示がなければ、次に登場する「TRに憑かれた男」こと、
これまた強烈な魅力と個性の固まりである種子島時安氏の周囲からの羨望(後に反感、更に後の全面協力)を
受けながらの地道なTR開発への邁進も無かったのかも・・・。

そして、永野治氏との出会い。永野氏に関しては零戦との関わり合いも面白いですが、
後のTR開発で種子島氏の限界(自身らを評して「プロの設計屋ではなく、皆実験研究屋」)に突き当たった後、
永野氏が「種子島を中心として向かうべき方向について大いに議論し、そして、集中すべき開発工事を三つに絞」り、
開発全般を指揮することになった事。開発が概念研究から具体的な設計に移った際のオルガナイザーの役割で補完してますね。

また、主観的な傾向がありながらも情熱的な花島氏、客観的で冷静に俯瞰する永野氏(でも一皮向けば情熱的な技術者(^^;))
いいコンビです(組織人事的には組んだり、離れたりがありますが。)!

この2人が出会っていなかったらどうなっていた事やら(^^;)。

「技術的な苦闘」に関しては、前間氏は落ちこぼれ文系人間の私にも分かり易く説明してくれますが、
これら幾多の技術的な課題に対する対策、
「実験、データ分析、検討会議、再設計、改良再製作、実験・・・この繰り返し(以下略)」で
感想文に書き連ねると、きりが無いですね(^^;)!
本来は、そこが一番熱く、尽きない話題なのですが・・・。

少しばかり、書かせていただくと、営々と蓄積した実験とそのトラブルのデータ、理論や疑問があったからこそ、
独国帰りの潜水艦(2隻中1隻沈没)で届いたたった1枚の図面(しかも拡大すると細部がぼやける)からTRの
一気に設計が進んだのですね(^^)!

また、それ以前から種子島氏が自ら心血をそそいで開発してたTR10(ネ10)を開発断念し、
新TRの開発を提案した苦渋の英断も泣けます(TT)。

そして、BMW003Aを日本で得たデータや使用できる資材(イ309材)で日本にあった形でできた
新TR、ネ20が設計・製図でわずか1ヶ月余でできたのは上記の蓄積があったから。

ただ、残念なのはホイットル氏の設計したようなタービン翼のアイデアが出なかったのは、
日本技術陣に時間と余裕が無かったからだと信じたいですね(TT)。
ホイットル氏の「専門家というものは先祖が犯した間違いをそのまま踏襲する人種である」という言葉に何分かの理があったとしても。

そして橘花の機体も完成し、念願の初飛行!
機体も出来合いの部品を寄せ集めた部分もある事からの不安の中、テストパイロットの方も絶対の自信を持ち得ずとも、
勇敢に日本初のジェット機に搭乗して飛行したのには、感動を覚えました(TT)!

日本に向かう途上で連合国に投降した独国技師の
「自分達が到着しない限り、日本はMe262を製造できないであろう」のセリフに対する日本の回答がこれです(^^)!
確かにMe262では無いけれど、これが日本のジェット機ですよ!

2回目の飛行(武装を除くフル装備)も結果は失敗だったとは言え、パイロットは無事。
何よりフィルムで地上から浮いていたのが確認できたということから、私はこれも成功の内とカウントしたいですね!
これまでの開発苦心を前間氏の筆力で追体験させて頂いた自分としては。

そして終戦・・・。あと少しの時間が欲しかった・・・。

でも、もう少し時間が有ったらどうなったのだろう?
やっぱり、橘花は日本初のジェット機より、桜花の如く
特攻機として名を馳せてしまっていたのかも知れない・・・・。
ある意味、この時点で開発がストップしてしまったのは天の配剤だったのかも。

[966]投稿者:JerryFish
投稿日:2014年06月28日 (土) 00時10分
第三章「戦後、空白の七年」

むぅ。橘花とネ20に関することに紙面を割きすぎました(TT)。
よって、もう少し第三章は簡素に済ませましょう。

GHQによる戦後処理の歴史はもう鐵太郎様には説明不要ですね。

まず、戦中・戦後永野氏の家族の悲惨な末路に落涙しかけました(TT)。
永野氏は身を引き裂かれる思いをしながらも、ネ20の開発に全身全霊を投げ打ったのですね。

第一章でネ20の事を記して「国家の存亡を賭け、極限状況下で心血を注いで生み出したジェットエンジンである。(中略)ある種の歴史性や人間のエネルギー、情熱といったものの結晶化にほかならない」と。まさに永野氏にとってはそうだったのでしょう。

戦後、贖罪するかのように職を投げ打ち、清貧に、家族の為に尽くします。
でも、永野氏を誰も責める事はできないと思います。理屈ぬきで。

ネ20の開発段階で並行して永野氏の家族のことが書かれていたら、私は途中でこの良書を投げ出してたかもしれません。

第二章で永野氏のネ20に対する責任感、情熱、そういったものを先に書いている前間氏は(物書きには基本的な鉄則かも知れませんが)ものの書く順序をわきまえていらっしゃる方だなと。

その間にも、他の技術者たち、夢を諦めきれない人たちは埋められていた魚雷艇用のガスタービンエンジンの復旧と研究に没頭します。エライ!
また、第一章に登場した人物達のほかに土光敏夫氏の登場です。まさか、この人が。
技術者畑の出身で技術者の研究を力強く支援していらっしゃった方とは存じませんでした(^^;)。

この人がいなければ「七年」のブランク期間の間に潜在的なTRの基礎技術力は、大きく下落していたでしょう。

・・・・というところで上巻は終わってますね。

さて、中途半端ですが(上巻だけ故に)まとめに入りますか。

第一章で永野氏が注文をつけます。
「単に昔はこうであったというのではなく、
今後に生きてくるような客観性のあるまとめ方であってほしいね」と。

この注文を受けた著者の前間氏は下巻でどうまとめてるか?
未読ですが、最終ページ最終段落だけカンニング(^^;)!

「七十年近く前、種子島らほんのわずかな技術者によって手探りではじめられた日本のジェットエンジン開発は、V2500の離陸とともに、いまようやく大きな飛躍のときを迎えようとしているのである。」

鐵太郎様のとある書評でのお言葉「未来への展望を書いて終わらせてくれないかな、と思うのです。」

永野氏と前間氏、その辺をしっかりと押さえてますね(^^)!

さ・て・と、それでは下巻の読書を始めますか(^^)。
長々と駄文に付き合ってくれていただいて、限りない感謝を!

JerryFish



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