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[883] DreamMakersSST 神速と最速
あきはばら博士 - 2011年05月22日 (日) 23時46分

これはゼロとその同士達《ジェノサイドクルセイダーズ》が若菜や輝たち元人間を狙って殺戮を始める、世界を大混乱に陥れる事件より前の……
――ある日のことです。



「……つーか、なんで俺様はこんなことしているんだ」
「クルーザの兄ちゃん、早く行こうよ、僕は早く飲みたいんだ」

一匹のフローゼルはため息をつきながら歩いていた。
そして横には無邪気に笑うゴーストが、実に楽しそうにそのフローゼルの前を歩いていた。
このフローゼルの名はクルーザ。そして、ゴーストの名はサイコと言う。
一見、何の接点もなさそうに見える、この二人の関係は、平和なこの世を混乱に巻き込んで世界に混沌を与えることを目的としたある秘密集団に属する仲間同士である。
しかし、もしもそんな関係だけであったならばクルーザは絶対にサイコと共に行動などしないだろう。
ことの発端はクルーザの友人であるサーナイトのフィーレンの言葉だった。

彼女はいつもの通りに、実に優雅で気品溢れた口調でこう言った。
「クルーザ、申し訳ありませんが、一つ用事を頼まれてくれません? 私、ただいまちょっと抜けられないので……」

彼女とは古くからの付き合いであるし、それにあんな声と口調で頼まれてしまったからには断るわけにも行かない。
クルーザはその言葉に応の返事をしたことを後悔していた、よりによってその用事がこいつの【血飲みの付き添い】だったとは……。



このゴースト、サイコは幼い頃に何があったのか分からないが、時折他者の血液を飲まなければ精神が落ち着かなくなってしまう病気にかかっていた、恐らく出血多量で亡くなった後にゴーストポケモンに転生したのではないのかとクルーザは考えている
(実際には、工事現場の近くで事故にあったときに出血多量になったトラウマからこうなってしまったのでクルーザの認識とはちょっと違っているのだが、ここでは置いておくとしよう)。
ここでもしもサイコ自身が好き勝手な行動が出来る身分であれば、道行く人を襲っていればいいのだが。しかし、クルーザ達の属している集団はリーダーが決起をさけぶまでは陰で秘密裏に動いていくべきことが絶対の義務だったので、表立って人を襲って血を奪うことは出来なかった。
だからと言い、やはり仲間達の血を啜わせる様なことは出来ないので、毎回彼の保護者役を務めているフィーレンが外に連れ出して、道を歩いていた適当な誰かを[催眠術]で眠らしている間に、サイコにその人物の血を与えていたが(集団があろうがなかろうが、やっぱり通り魔的なことをやっていたのだが、やはり隠密さの違いはあるのだろう、眠っているうちに血を失っても、単に貧血で倒れたと思ってくれるのだろう)。
今日はあいにくそのフィーレンが忙かったようで、こうしてクルーザが付き添っているわけである。

一人で行かせればいいものだが、ガス状の手の中に常にナイフを隠し持っていて、ナイフで喉笛を切り裂いて血液を浴びることが好きだという、こんな存在凶器のような奴を一人で歩かせるのは、道行く人を殺戮して回るなどの事件を引き起こす可能性など、たくさんの意味で危なすぎるので、こうしてクルーザはしぶしぶサイコに連れ添っているわけである。


「ねえねえ、早くしようよ!そんなのじゃ《最速》の名が泣くよ」
「ああ、はいはい」

とりあえず、その辺にいる適当な奴を後ろから殴って気絶させればいいやと思いながら、適当にあしらって返事する。
そうして、しばらく歩いていくとサイコが嬉々と声を上げた。
「あっ、アレなんかどうかな?」
「ん?」
サイコが指した方向をクルーザは興味無さげに目を向けた先には。
白い体毛に茶色いラインを持つポケモン――

一匹のマッスグマの姿だった。

「あ……!」


クルーザはそのマッスグマに覚えがあった、別に顔見知りと言うわけではない。実際に見るのは初めてであったが、昔少しだけそういったことに興味があったのでその特徴だけなら聞いたことがあった。

前代ドリームメイカーに仕えていた四幹部のうち……。

  唯一殺戮が認められていた『死』の集団。

その歌声を聴いたものは眠るように死んでしまうという伝説を残す。

  ドラゴン四天王《死の歌姫》のファビオラ。

そして彼女に仕えていたという者が、

  星のイーナス、月のフローレン、そして太陽のあかつき!

あのビースト事件の際に大活躍し、現ドリームメイカーリーダーの悠と互角に張り合った程の実力者であり……


  その集団の唯一の生存者!


あのマッスグマは、その噂に聞くあかつきに間違いないとクルーザは確信した。

ともかく、あれと関わるのはいろいろとヤバイことになる、下手すれば俺様達の集団が現在最も存在を知られてはいけない敵対組織である『ドリームメイカー』にばれてしまう、
と考えてクルーザは、サイコを制止させてあいつは見逃すように言おうと思った――その時。

「こんにちは〜」
あろうことかサイコは、何の警戒も無しに、何の躊躇いも無しにあかつきの目の前に出ていた。




「(くそっ! あの大馬鹿野郎!!!)」




クルーザの心の中で怒鳴り声が響き渡り、今すぐにでもぶん殴ってやりたくなった。


しかし――
「ん? ゴースト? 澪亮さんじゃ、ないよね。 じゃあ、はじめましてだね! どうしたの〜、最近この近辺で通行人を襲っては血を奪っていく無差別通り魔が出没してね、今日は被害がないかどうか、オイラは見回っていたところなんだ。 よーするに、パトロールってやつだよ! 君達もゴルバットやら虫ポケモンやらには気をつけて歩くといいよっ!」
彼ののんびりとした明るい無警戒な声を聞いて、クルーザはひとまず肩をなでおろし安心をした。

良かった、とりあえず本人はアレらの事件がサイコがやったこととは分かってないらしい。
よしっ、まだ大丈夫だ、ここで適当に誤魔化しておけば切り抜けられる。
それにしても、虫ポケモンか…… ふんっ、全く忌々しいな。

クルーザはそう考えながら、自分もあかつきの目の前に出てくる、なんとか言い訳をして、この場からサイコを連れ出そうと……。

「これは失礼した、俺達は……」
「無差別通り魔、そうだね、僕がその犯人ってわけさ、今日もまたちょっとその辺にいる人を襲って血を飲みに来たんだ」





「(くそっ!! この大馬鹿野郎!!!!)」





再び、クルーザの心の中で怒鳴り声が響き渡(以下略)。
但し、今回は一回目よりも度合いが高いことは言うまでも無いだろう。

まちがいねぇ……フィーレンの奴、忙しいとか言っていたが。
本当は俺様への嫌がらせじゃねぇのか?!
俺様が何かあいつに変な事でもしたってのか?
くそっ、心当たりが多すぎてどれだか分からん……

……いやっ! いやいや! そんなわけが無い、それに今はそんな問題じゃない。

「ええぇ?! じゃあ、君達が……!?」
「うん! 僕はねぇ、血が無いとオカシくなっちゃうんだよ。 じゃあ、とりあえず…… 死んでくれる?」

……嗚呼、もうなるようになれだ……。

クルーザは半ヤケになりつつも、もうこれ以上変な事を言わない様にと左手でサイコの口を制止させてから、あかつきに言う。
「っモガ…… クルーザの兄ちゃ……」
「……まあ、そんなわけだが、 何故、俺様達がこんなことを言ったか分かるか? ……フン! まあ、特別に教えてやろう。 お前はここで死ぬのだからな!!」



俺様はあのあかつきとは昔から一戦を交えてみたかった。別に俺様はただ単に強い奴とは戦いたいとは思わない。
彼をただ――最速の俺様として戦わなければならない相手だと認識していたからだ。
まあ、かなり不本意ではあるが、これで俺様の望みも一つ叶ったと言うわけか……。
一応、100歩ほどだけ譲ってサイコに感謝でもするべきだな……。
「あ〜! そういえば、クルーザの兄ちゃんとこのマッスグマってなんか似ているね」
「んなこと言ってる場合か!!」
「まあ、食肉目イヌ上科クマ科と食肉目イヌ上科イタチ科だからね! 当然だよ!」

……俺様ってイヌなのか?
と言うか、俺様にしてみれば、このサイコとあかつきの二人の方が似ているような気がするのだが……。
口調とか、発している空気とか、こんな出会い方をしなければこの二人、すぐにでも親友同士になれそうな感じだぞ。
それにしてもフィーレンの奴、こんな奴とよく一緒にいられるな…… 尊敬したい。

気を取り直し、俺様はあかつきの方をじっと見る。
彼は悠々と構えて俺様の攻撃の瞬間を待っていた、全くなめた奴…… いや、あれが彼のスタンスなのだろう。

だが悪いが、俺様の攻撃は走り出してからでは避ける事なんか出来ない。



――察知した瞬間には、もう当たっている。
――反撃する瞬間には、もう終わっている。
――最速のクルーザ様とは俺様のことだ!



俺様は体を低くして、[電光石火]を発動させる。
《最速のクルーザ》こと俺様の戦法、まずはスピードで撹乱させて、[アクアジェット]で死角からの攻撃に転じ……



その瞬間――
クルーザの視界からあかつきの姿が消えて、クルーザは突き飛ばされていた。

何が起こったのか分からなかった、あかつきへの距離が瞬間にひん曲がって見えた、飛ばされながら見れば、さっきまでクルーザがいたはずの場所にあかつきがいた。
クルーザはしばらく空中を舞って、数十メートル離れたところでようやく地面にぶつかって滑走して止まった。
クルーザはその時ようやくある事を思い出した、全く気づくのが遅かった。


――なぜ自分があかつきと戦いたがっていたのかの目的を忘れていた。

彼は後悔して、そして身を以ってその事実と言うものを実感する、
彼は現在確認されている上での最速の技である……。



――[神速]の使い手であったことを……――






「ふう、よし!」
「僕を忘れないでよ」
一仕事終えたように息をついたあかつきの背後から、サイコが片手に持ったナイフを振り下ろした。
慌ててあかつきは回避したものの、サイコの斬撃が続けざまに襲ってくる。
「あっははひゃぁあ゛ゃはは!!! あひゃぁあ゛ひゃひゃっぁひゃぁぁ!! 無駄だよ、僕の攻撃からは逃げられないぃ!」
狂ったように哄笑するサイコのナイフによる連続攻撃、無秩序の攻撃が次々と飛んでくる。素人のナイフの振りであって振りが大きいが、無秩序の続けざまの攻撃というものは軌道が読みにくくかわしづらい。
例え避けたところで次にどこにナイフが来るのか読めず、読んだところで見当が外れ、その刃を体に受けるしかなくなってしまうのだ。

……しかし、かつてあかつきに戦闘技術の手ほどきをして、必殺技を伝授してくれたあのアブソルの斬撃のキレに比べてしまえば、あかつきにとってこれは斬撃とは到底言えなかった、日々の訓練はきちんとこなしている、意識を集中すれば見てから避けても充分に間に合う。
あかつきは長い胴体を自在にくねらせて、すべて回避していた。

「そこだぁ!」
サイコはナイフの軌道を不意に修正させて、絶対に避けられない胴体を狙ってナイフを突いた。

……が、それは確かに狙い通りの場所に突いたのだが、あかつきの体からは血が一滴も流れなかった。

「あ、れぇ?」
びっくりしてサイコが手を引っ込めると、サイコの手からはナイフが無くなって、代わりに緑色の木の実が手の中に収まっていた。
「君のナイフはここだよ〜」
サイコのナイフはあかつきの手の中に収まっていた。
「な、なんで……僕のナイフが、君の手の中に?」
驚愕するサイコにあかつきは笑いながら返事をする。
「かんたんかんた〜ん! [トリック]をすり替えたんだよ!  はっはっは〜、君のナイフは奪い取った、これでイニシアルはオイラのモノだ」
あかつきはノリノリに、いかにも悪役っぽい台詞を吐いた。
イニシアルではなくイニシアチブ(主導権)が正しい言葉の使い方であるが、そんなことをあかつきは気にしない。

「え〜い、こんな危ない物なんて、ぽいっ!」
そしてそのまま、サイコのナイフを投げ捨てた。ナイフは回転をしながら放射線を描いて、地面に落ちた。
「ああ! なんてことをっ!!」
サイコは心底残念そうに叫び声をあげる。その様子はまるで二人で漫才をやっている様だった。
「じゃあ、今度はオイラの番だね!」
あかつきは心底楽しそうに、[神速]の体勢に入る。
「あれぇ[神速]かい? そんなのゴーストタイプの僕なんかに効く訳無いじゃないか!」
サイコは笑う。
「やってみないと判らないよ! 人生なんてそんなものさ♪」
「ふ〜ん…… そんな人生、僕がズタズタにしてあげるよ!」
「ダメだよ! そんなことしちゃぁ、 人生はマッスグゴーゴー! の精神が一番さっ!」
あかつきは[神速]を発動させた。

神速の攻撃はサイコに命中して、



  『こうかはばつぐん』だった。


「なぁ……!」
「言ったよね? 人生は何があるか分からないって!」

今回、あかつき!がやったことは実に単純明瞭だった。[神速]を発動すると同時に[シャドーボール]を抱え込んでサイコに向かって突っ込んだのだ。
物体は通常、運動エネルギーが高いほど破壊力を増すが[シャドーボール]単体の速さには限界がある。
しかし、このように[シャドーボール]を抱え込んで[神速]を使えばどうだろうか? この行為によって、[シャドーボール]は弾自身の速度ではなく、神速の速度の[シャドーボール]となる。
当然、ノーマルタイプのあかつきにとってはゴースト技の[シャドーボール]に触れていても効果は全く無い、そしてサイコに対してはノーマル技の[神速]はすり抜けてしまう。

――ただし、シャドーボールだけは違う、あかつきの身体はすり抜けても[神速の速度のシャドーボール]だけはゴーストタイプのサイコにちゃんとヒットするのだ。

「とどめだ!」
「ぁぐ…………!」
あかつきは[電撃波]をサイコに撃ち込んだ。
[電撃波]は急所に当たってサイコはそのまま気絶してしまった。
「さて、回収回収〜♪ っと」
あかつきは気絶したサイコを確認した後、彼の手の中から緑色の木の実を拾って再び自分の持ち物とした。

「あとは……、後ろの君だけど、どうする?」
あかつきは後ろに気配を察知して、振り返りもせずに彼に話しかけた。
「無論、続ける。 俺様を傷つけて生かしておくわけにはいかないからなぁ!」
戻ってきたクルーザは、あかつきの言葉に答えた。
「そっか……」
あかつきはその言葉を聞いてクルーザに顔を向けた。
「正直な、俺様はお前と戦いたかった、最速を目指すためにも《神速使いのあかつき!》との勝負は必須だった……。この俺様の伝説の礎にさせるためにも、俺様はお前をここで倒す!!」
クルーザはあかつきを指差して強く言い放つ。
「………………」
「どうした? 怖気ついたか?」
「いや……、見ず知らずの人がオイラの名前を知っているなんて、オイラ感動で……」
「……ふん、くだらねぇな! それがお前の最期の言葉だ!」


先手必勝。
悩む暇があるならまず攻撃が彼のスタンス。

クルーザは[アクアジェット]であかつきに突っ込んだ。
攻撃は確かに捉えていて体の感触がした、クルーザはすぐさま[かみくだく]の体勢に入ったところで……、気が付いた。

人形だ。

「[身代わり]……か、チッ! 味な真似をしやがって」
振り向くとあかつきが腹を叩いて笑っていた。
「くっそ!! なめやがって!! 俺様の速さに勝てると思うなよ!!」

[神速]と言っても、単純な瞬間到達速度が速いだけで、純粋な素早さの面では明らかに俺様の方が勝っているとクルーザは考察していた。つまりは、持続できる速さや瞬発力など総合的な面では、あかつきよりもクルーザの方が速いと。

「(勝てる、絶対に勝ってやる!)」
クルーザは二度目の[アクアジェット]であかつきに突進した。

しかし、またもや[身代わり]だった。
「(ふん、みがわりは使えば使うほど体力を消耗する、連続使用は出来ない、逃げ回ってばかりということはあいつには打つ手が無いということだな、今度こそ……)」
その瞬間、クルーザの脳内に嫌な予感がよぎった、

「(!……も、もしや、あの腹を叩く行為は……)」

そのクルーザの嫌な予感はその約半秒後に、裏切ることなく、正しく的中する事となる。
持っていた緑色の木の実 ――言い換えれば『カムラの実』を食べたあかつきの素早さが上がり、瞬時にクルーザの背後を取った。


――あかつきの純粋な速さがクルーザの速さを上回った。
――すべての速さにおいてこの瞬間にあかつきが最速となってしまった。

 [身代わり]→[身代わり]→[腹太鼓]→ カムラ発動 

というコンボと言えば、皆も分かる人が居るだろう。当然、次に来る技は一つしかない。
あかつきは体を捻り反動をつけて、環状に、竜巻でも起こすかのように回転を始めた。

「《M・R・S([じたばた]混合バージョン)》〜〜!! いっけぇ〜〜!」

環状の高速回転運動の遠心力を生かし、
その長い胴体から、
腕が、
手が、
爪が、
クルーザの肉体を抉る。



 紅い噴水が起こった。







あかつきは倒れているフローゼルとゴーストを前にして、悩んでいた。
友人の悠からの頼みを受けて、連続通り魔を退治することになっていたのだが、果たして気絶した彼らを捕まえて帰るべきかどうかを悩んでいた。
本当は捕まえて帰るべきとは分かっていたが、なにしろへろへろクタクタでとても背負って帰る元気が出なかった。ゲームで言えばHP赤ゲージで音がピコーンピコーンと鳴っている状態だった(実際にそうなのだが)。
頼まれたのは退治だけだったので、とりあえずこれで彼らも懲りたと自己判断して帰路に付く事にした。
「ああ! そうだ、いま街にレオードさんが来ていたっけ、オイラが拾ってきた物から価値があるものがあったら買い取って貰おうかなっ♪」
自分の大好きなアニソンを口ずさみながら、何事も無かったかのように、いつものように、爛漫に……

こうして《神速使いのあかつき!》は退場した。





それから数分後。
クルーザは起き上がって、あかつきに負わされた出血傷を抑えながら、あかつきの後をよろよろと、とても最速とは言えない速度で追いかけていた。
「……殺す、…殺してやる ……絶対殺す……」
今の彼を歩かせているのは執念、最速を目指す執念のみ。

こうして《自称:最速のクルーザ》は退場した。





それから十数分後。
サイコが気絶から立ち直って、辺りを見回した。
そこにはマッスグマの姿もクルーザの姿も見当たらず、自分が大好きな鮮血の水溜りが一つ残っていた。
サイコはクルーザがあの後、あのマッスグマを殺した後に一人で帰っていったと推測して、
そこに残された鮮血を好きなだけ飲んだ後、MYナイフを拾って、満足した顔を浮かべながら帰路に着いた、

こうして《ブラッドジャンキーのサイコ》はその場から最後に退場した。


そうして、戦いは終止符が打たれた。








それからクルーザは、毎日の30分程の日課で500kmのウォーミングアップ飛行をしていたキングによって、行き倒れているところを発見された。

その後、クルーザはキングに「フハハハ、私の弟子にしては良くやったぞ」と言われ、ラヒトにはイヤミを吐かれ、オーシアの看護を受ける破目に遭い、散々な目に会うことになるのだが、クルーザには言い返す気力が出なかった、もはや何も言いたくなかった。


相手に、一撃さえも与える事が出来なかった。
とにかく、むなしかった。





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