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[848] 本格RS《Dream Makers》 7日目前半 破壊神の序曲
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 00時50分

スレッド1つ目です。
ガムとアカリンが再会したり、
DMと休戦したり、
ラスボスが登場したりします。

[849] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目前半 (1)
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 00時52分

―――――――――――――――

 昨日は予想外なことがあって戻ってしまったが、プログラムを書き直して夜のうちに着くように直し、無事に。
 秋葉と琴美を乗せた船はグレン島に到着した。日はだいぶ昇り、ああ一時間目が始まるな〜皆勤を狙っていたのにな〜と琴美はこの場にふさわしくないことを思っていた。
「琴美さん、早速上りましょうか」
「上る?さっき地下に行くとか言ってなかったか?」
「いや…まずはみんなと合流することが先だと思いまして、地下は後でいいでしょう」
「上ねぇ…」
琴美は恨めしそうに天を突き刺す塔を見ていた。
「話によると80階まであるそうです」
「…………」

―――――――――――――――

アッシマーチーム、
現在、45階。
いきなり一堂の目の前に現れたのは、無数のテッポウオの大群だった!
「うわっ!」
悠は一歩身を引いた。
「待て・・・何かがおかしい。」
とワタッコ。
「え?」
「あいつら・・・俺達の存在には全く気付いてない。
というより、何か他の標的を狙っているように見えるぞ・・・?」
確かに、テッポウオは悠達のほうではなく、部屋の中心に向かって突撃し、攻撃をしている。
「このっ!こいつっ!あっち行け!」
テッポウオの群れの中から、少女の声が聞こえる!
「誰かいるみたいだ!よしっ、ここは僕が!!」
アッシマーが前に出る。
「がんせきふうじっ!」
アッシマーは群れを成すテッポウオたちを、まとめて岩で包み込んだ!
「これは賭けだ。もし中の女の子が草、岩、電気の攻撃に弱かったら・・・」
アッシマーは独り言をつぶやく、そして、リーフブレードで岩を切り裂いた!
「いけっ!『S・B・U・B(エス・ベー・ウー・ベー)』!!」
最後にアッシマーは、かみなりパンチで『S・B・U・B』を決めた!
帯電した岩の破片を浴びたテッポウオ達は、次々と崩れ落ちた。

 * * *

「大丈夫ですか!?」
ガムが少女に駆け寄る。
「あ・・・あなたたちが助けてくれたんですね。
どうもありがとうございます。」
そこにいたのは、1体のヨーギラスだった。
「!!」
突然、アッシマーの表情が変わった。
「?どうしたのアッシマー?この子知ってるの?」
あかつき!がアッシマーに問いかける。
「・・・ル・・・ルカ☆!!」
アッシマーは『ルカ☆』という謎の言葉を発し、ヨーギラスに駆け寄った。
「え!?」
アッシマーの不可解な言動に、驚きを隠せない悠たち。
「ルカ☆!大丈夫だった?僕だよ、お兄ちゃんだよ!
僕が吸い込まれたとき、君のHNが乗った白紙の記事があった事を覚えてるんだ。あと、あの日記。
だからずっと、君もこの世界に迷い込んだんじゃないかって思ってたんだ!」
「え?『お兄ちゃん』!?」
一同は驚愕した。先程自分の兄と名乗る烈と出合ったばかりの悠はなおさらである。
「・・・どうして、私のHNを知ってるの?
お兄ちゃんって・・・何?」
当のルカ☆の方は、何もわからないらしくただキョロキョロしている。
「そうか・・・君も記憶石で記憶を・・・」
「ちょっと待ってください!」
アッシマーが言いかけた時、突然悠が大声で言った。
「どうしたんですか?」
ガムが悠に問いかける。
「おかしいと思いませんか?僕達は皆、記憶石で記憶を消されているはずなのに・・・
なんでアッシマーさんは、自分に兄弟がいることを覚えているんですか?
前にも、『僕の住んでるところは北海道』って言っていたし・・・どうしてアッシマーさんだけ、そんなに過去の記憶を鮮明に覚えているんですか?
それになぜ、ポケモンの姿になってるのに、彼女が自分の妹だとわかるんですか?」
悠はアッシマーに大声で問いかけた。
しかし・・・

「・・・・・・そんなこと・・・僕に聞かれたって・・・」
アッシマーは、ただ首を横に振るばかりだった。

―――――――――――――――

 秋葉と琴美を乗せた船はグレン島に到着した。日はだいぶ昇り、ああ一時間目が始まるな〜皆勤を狙っていたのにな〜と琴美はこの場にふさわしくないことを思っていた。
「琴美さん、早速上りましょうか」
「上る?さっき地下に行くとか言ってなかったか?」
「いや…まずはみんなと合流することが先だと思いまして、地下は後でいいでしょう」
「上ねぇ…」
琴美は恨めしそうに天を突き刺す塔を見ていた。
「話によると80階まであるそうです」
「…………」

―――――――――――――――

Beastは境目の穴を見つめていた。
「この世界の破壊ももうすぐだ。。。破壊と混沌に満ちたこの仮想世界をこの目で確かめられる。
あの者たちのもだえ、苦しむ姿がこの目で見られる。。。!」
そんなことをやつはつぶやいていた。

***

『考え返すことはないものか、ビーストよ。』
『俺はお前とは別のものだ。この世界は光と闇に分かれている。俺は闇についたのだ。』
『そうか。。。なら私とお前は敵同士だな。』
『真逆の性質を持つもの同士ならそういうことになる。』
『。。。私の作り出した世界を甘く見るなよ。お前のBrakerとしての手であの世界を壊せると思うなよ。』
人間の姿が二つ。黒髪の男と、長い白髪の女。こうもりの翼を身につけた男がこういった。
『俺をなめんなよ、グレイス。』
鳥の翼を使い、女は空に舞い上がった。
『お前とはここで別れるのだな。。。』
女の目は悲しそうにビーストを見つめた。

***

「――ッ!!」
ビーストの脳裏にそんなことが走った。
(キオクノイシ。ハカイシンのオマエヲユイイツコワセルモノ。)
「ぐああああぁぁっ!!やめろぉぉぉ!!!」
機械のような声が頭を貫く。
「俺はグレイスを見返してやるんだ。あのすました顔をした女を壊すまで壊れるものか―――!」
「グレイスって誰だい?」
ビーストはわれに返り、辺りを見回した。そこにはあのギャロップが戻っていた。
「Grace?」
瑞ははてなを浮かべた。
「貴様等には関係なかろう。この暗闇の果てで朽ちるために来たのか。」
「あいにくこっちはそんなヒマなくてね。早くお前を倒さなきゃいけないんだよ。」
RXはクラッシュ―いや光の背中から降りるとひとかけらの石をビーストに見せ付けた。
「ふっ。。。貴様等なんぞに消されてたまるか!返り討ちにしてやる!!」
ビーストとの死闘が始まった。

―――――――――――――――

何はともあれ、新しい仲間『ルカ☆』を仲間に入れた悠たち。
アッシマーはルカ☆に質問を浴びせかけていた。
「で、ルカ☆が覚えているのはどの辺りまでなの?」
「そうだなぁ・・・家に帰ってきて、そしたら茶色い犬が出てきて・・・名前はわかんないけど。
それからMGゼータを作ろうと思って、そしたらパソコンが目に入ったから『せっかくだからちょっとチェックしてみようかな〜』って思って開いたら・・・ここへ来たんです。」
ルカ☆はそう答えた。
「ふ〜ん・・・じゃあ、それより前は?」
「それより前・・・は覚えてないです。第一あなたが本当に私のお兄ちゃんなのかもわからないし・・・」
ルカは首をひねりながら、まるでアッシマーを疑うような目付きで彼を見つめる。
「ま、まあまあそんな顔しないで・・・」
「それにしてもMGゼータって・・・ルカ☆さんガンプラなんてやってるんですか?」
ルカ☆の言葉に疑問を持ったのか、悠がルカ☆にたずねた。
「はい、ルカ☆はガンダム好きなんですよ。特にZZ系が・・・ね、ルカ☆?」
アッシマーは悠の質問に答えた後、やけにニヤニヤしながらルカのほうを向き直った。
「・・・ちょっと、気持ち悪いですよっ!やめてください!」
ルカ☆はもはや怒りの表情を顔に出しながら『こわいかお』でアッシマーをにらみつけた。
「・・・・・・何もそこまで怒らなくても・・・」
アッシマーはさっきと一転し、やけに暗い表情でうなだれ、そうつぶやいた。
「・・・あれって俗に言う『シスコン』ってヤツじゃ・・・」
「・・・もしかしたらそうかもしれませんね・・・」
それを見た悠とガムは、今までのアッシマーとのギャップに少々がっくりしていた。

 * * *

46階。
「星が〜降りしきるペントハウスでぇ〜♪
そらの〜オルゴール1人聴いてた〜♪」
ルカ☆は歌を口ずさみながら、一同の先頭に立って歩いている。
「結構明るいタイプなんだな。あのルカ☆って子は。」
ワタッコがほほえましい彼女の姿を見ながら、久しぶりに微笑んでいる。
「ガラス〜のロープを目隠しでわたる〜♪
みんな寂しい〜サーカスの子供さああああああああああああっ!!」
突然、ルカ☆の歌声が絶叫に変わった。彼女目掛けてどこかから炎が飛んできたのだ。
「だ、誰だ?」
悠が叫ぶ。
「ふふふ・・・知りたければ教えてやろう。」
どこかから声が聞こえてきた。3人の男の声だ。
「遠からん者は音に聞け!近くばよって目にも見よ!
我ら、リディア隊の赤い3連星!アグル!」
「オルティア!」
「チップ!」
自己紹介までして勢い良くとび出してきたのは、3体のウインディだった!
(・・・『赤い3連星』?なんかどっかで聞いたことあるぞ・・・?)
少なくとも、ルカ☆、アッシマー、ガムの3人はそう思っていた。
「じゃ、いきなり行っちゃいますかね?」
とチップ。
「そうやね、一撃でやってしもうたほうが、あとが楽やろからね〜」
とオルティア。
「それでは行くぞ!準備はいいな!」
そして最後に、アグルが勢いよく言った。
「おう!」
「よし、行くぞ!!」
「行くばい!」
「行きますよ〜!」
3体は1列に並び、それぞれが『かえんぐるま』を発動した!
「くらえ!『ジェットストリームアターック!!』」
3体は声の限りに叫び、そして悠たちに突っ込んでくる!
「うわーっ!こいつ絶対出る世界間違えてる〜っ!」
アッシマーが絶叫した。

―――――――――――――――

秋葉と水無月は31階までたどり着いた、なぜこんなに早く着く事ができたのは全く敵が出てこなかったからだ。
正直肩透かしを食らった気分だったがこれはガムたちがすべて倒してくれたとして、まだ彼らが生存である証拠として受け止めていた。
「このまま一番上まで行ければいいですね〜」
秋葉はへらへら笑いながら言った。
「安心している場合じゃないだろ、各階の床でグロテスクな芸術作品が出来上がっていたぞ」
「芸術作品ですか……私は13階の絵が好きですね…おびただしい鮮血に血で円形をたくさん描いた絵、あれは絶対一人死んでますね」
「そうそう、絵筆を思わせる毛がたくさん落ちていたことも…って、何を言わせるんだ!」
「お、ノリ突っ込みうまいですね。さて、次はどんな絵が描いてあるかな?」
「…………」
水無月は何も言いたくなかった。

***

さて、ここは32階…のはずだが何か様子が変だった、これまで通ってきた階とは比べようもないくらい変だ。
どす黒い空気が室内をうごめいて、部屋の真ん中には黒いキューブが置いてあり、そのキューブの上の空間には穴らしきものが空いていた。
そして、その空間の穴の前にネイティオ、ソルロック、ルナトーンが立って何かやっている様だった。
明らかに妖しすぎる…。秋葉はこの場から逃げだしたい気持ちを抑えて、その3人に話しかけた。
「あの…何をしているんですか?」
するとネイティオだけが振り向いた。
「……君は…あのあきはばら博士か?」
「秋葉さん…知り合いですか?」
「い、いいえ」
「ふふ、ステアから話を聞いているよ、あ申し遅れた、私はヒャクエ、こちらはユフとフウチだ、怪しい者ではないただの医師だ」
充分あやしいです。のセリフを堪えて、水無月は尋ねた
「…で、なぜただの医者がこんなところに…いや、何をやっているんですか?」
「…理由は話せば長い、それでもいいのか?」
「構いません」
「……分かった」
ヒャクエはファビオラとあかつき!の出会い、そして彼女が彼に施したこと、そして結界の話、エトセトラ……すべて二人に話した

「なるほど……だとすれば、下の階の石碑はあの中隊長のものだったんですね」
「全く、よせば良いものを…」
「…ごめん、俺には良く分からなかったけど、どういう意味だっんだ?」
納得する秋葉の横で、水無月は話が理解できないでいた。
「簡単に言うと…そうですね、ファビオラさんはあの中隊長の都合の悪い記憶を封印する際に、彼の「負の感情」のすべて抜き取ったそうです。
抜き取ったものが「負の感情の塊」だったものですから、当然不安定なものでしょうから、精神世界に接続させて封印を作り出して、その結界を作ることになったのですが、急遽作っただけにやはり結界に無理があって封印したものが暴走しそうになったそうです、しかし、その暴走の止め方が問題があったみたいで、
精神世界との連結をしている黒いキューブを『瓦割り』するという荒療治で、封印しているものをそのまま精神世界に送り込んでしまったとか。
なのでヒャクエさんたちは昨晩急いで結界を修復して、ファビオラさんも亡くなりもう隠す必要も亡くなったため、今朝早くにその中隊長に「負の感情」を戻したと言うわけです。わかりましたか?」
「…いや、さっぱり」
ヒャクエはため息をついた。
「全く、アリョーシャめ、好きな女の前で一人で意地張って無理をするんだからこんなことになるんだ。最初っから私達に任せておけばいいものを…」
「元気出してください」
「ありがとう。いいんだ、あいつは昔からアレだし、ああじゃなければ務まらない」
「…ではヒャクエさん、空間に空いたあの黒い穴が精神世界との連結点でしょうか? もしそうならばステアに援助を求めたほうがいいと…」
「ご名答、あれは精神空間とのワームホールだ、近づいたら死ぬぞ。最後の後始末としてあの穴を閉じたいところなんだが、近づくとゴーストポケモンやらが襲って来るもので近寄れない…
あいにく私たちは戦いは苦手であるし、あの穴を閉じるのは作業に専念したい、こうして遠くから押さえ込むので精一杯だ。まあ、彼の手にかかれば空間加工でなんとかなると思うが、彼は忙しいとか言っているものでな…」
「なるほど…じゃあ、私たちはヒャクエさんに近づくゴーストポケモンをすべて追い払っていればいいんですね?」
「あぁ、すまない、手伝ってもらう事になってしまって」
ヒャクエは深く頭を下げた。
「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」
「…しかし……」
ヒャクエはそこで言葉を切った。
「かつて封印していた物も今はもうないのに、なぜこんな空気が立ち込めるのだろうか? ゼロが管理を怠けているにしてもおかしい、陰の塊が暴れた結果にしても不自然だ…
なにか…あの穴の向こう側、精神空間の中で大きな力が動いているのか?」

―――――――――――――――

精神世界

「ハハハ・・・返り討ち?ふざけるなよ・・・俺は決めたんだよ・・・死のうが何だろうが・・・お前を消してやるってな」
BeastをにらみつけながらRXは言う
「クチダケハタッシャナヨウダナ」
Beastは動こうとしない
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
RXは火炎を出そうとしたのだが出さない
「・・・・もうやめにしないか?」
いきなりRXがとんでもないことを言う
「!?何を考えてるんだ!」
クラッシュがにらみつける
「ヤメルワケガナイダロウ」
Beastはそういう
「・・・・・・・・・・なら・・・仕方ないな」
RXの体が次第に黒くなっていく
「・・・・・・・お前に俺が消せるなら・・・・消される前にやるまでって奴だろ?」
RXが攻撃態勢に入る
「!?やめろ・・・!まだ速すぎる」
クラッシュがRXに忠告するように言う
「ハハハ!ご免・・・この石壊しちゃうけど・・・」
説得力のないいい方だ
だがその直後Beastは強力な光線を繰り出す
「・・・・・・・」
三人ともそれに飲み込まれてしまう
意識を失っただろう・・・・

***

????

「・・・・?ココはどこだ・・・・?」
少年は目を覚ました
さっきまでBeastと戦っていたのに・・・
人間に戻っている
「・・・・?・・・そうか・・・・コレか・・・」
記憶石はきれいに輝いている
ココはRXの記憶の中だろう
それに彼は入り込んだのである
何らかのショックで・・・
「コレはいつの記憶だろう・・・?・・・」

***

精神世界

「・・・・・・!?」
瑞とクラッシュが目を覚ます
Beastは何か輝く丸い発光体を作り上げている
「!」
RXが居ない
多分あの攻撃で吹き飛んだのだろう
「!?・・・そんな」
瑞の表情が怒りの表情へと変わる
クラッシュも戦闘態勢に入っている
が・・・・
「・・・・」
Beastの発光体が三つに分裂し
一つ穴へ入り
二つはクラッシュと瑞を追尾する
「!!!!」
もの凄い速さで避けられない・・・・

????

***

「・・・・・ココは・・・・」
RXは記憶の中では無い
暗闇にいる
「・・・・・・・・・そーか俺・・・死んだのか・・・」
死んだと彼は悟ったが・・・
「!!!!????どういう事だ・・・体が・・・」
体が悪の力にむしばまれた
瞳は悪へと染まっていく
何か発行している光が迫ってくる

精神世界

「グッ・・・・」
クラッシュと瑞は間一髪で直撃しなかった物の
爆風で数メートル吹き飛ばされた
血が出ている
だが手当も出来ない
「・・・・・シネ」
Beastは先ほどの数倍のでかさの発光弾を撃ち出す
当たったら死ぬ・・・
死を覚悟した・・・
死ぬ・・・・


????

「・・・・・・・・!!!!!!!!!!!!!」

精神世界

発光弾は当たらなかった
「グゥウウウゥウゥゥ・・・・・」
まさに完全なる獣と化したRXの巨大な爪で切り裂かれたのだ
まさに悪魔
「・・・?オマ....」
Beastが切り裂かれる
だが分裂する
「グ・・・グォオ・・グォオオオオオオオオ!!!!」
雄叫びをあげながらRXは巨大なアナを観る
アナが広がりきれば精神世界は消滅する
「・・・・グォオオオオ!!!!!」
アナを切り裂く・・・・
だがアナはすぐ復元した元の大きさで・・・
「・・・ムダダ」
四個に分裂したBeastが発光弾を撃つ
「!!!!!!」
空中だがそれを何とか避ける
「イマダ・・・・」
四個のBeastはRXにとりつき
元の形の戻った
「そんな・・・・」
球体の中にRXは取り込まれた
そんなRXに対し瑞はその言葉を言い放った・・・

Beast内部

「・・・・・・!?」
RXが目を覚ます
「・・・・奴に取り込まれたのか・・・!?なんだ・・・?記憶咳が光ってる・・・?Beastの記憶・・・なのか?」

精神世界

「ヤツハシンダ・・・コレデジャマモノハイナクナル」
発光弾を何十発も瑞とクラッシュに放とうと準備する
「シヌのはお前だけどな・・・」
Beastが引き裂かれる
内側から・・・
「コレなら・・・分裂できないだろ・・・・Beast・・・俺は観た・・・お前の過去を全部・・・だから・・・もうやめにしよう」
RXは瑞たちの近くに引き裂いた隙間から飛び降りて言う
「・・・・フザケルナ」
Beastは復元した
「キサマ・・・らの言葉など聞かない・・・・」
何故だろう・・・Beastの声が人間・・・そう言う声へと変わった
「・・・・・俺には解ってるんだ・・・グレイスと分かれたあの時のことも・・・全部」
RXはBeastをにらみつける
「・・・・・・・・・かといって・・・・貴様を・・・シンようスるワケに・・ワいか・・なイ」
声が良く聞き取れないような声でBeastは喋る
「・・・・・」
RXや瑞、クラッシュは黙って聞いている
「ソもソも奴がこのセかイをつくっタのガ間違いダ・・・・」
Beastは言う
「だからって・・・巻き添えにするのは・・・・」
RXが言う
「ダが・・・ワタ・・・シ・・・ハ・・・・ス・・・べ・・・テヲ・・・コワし・・てコ・・・のセカイを・・・・無に・・・」
Beastはそう言うと巨大な光球を作り
それを穴に入れて
穴を一気に広げようとする
「・・・どうやらお別れみたいだな・・・」
RXの体に悪の力がとりつく
「D・B・D・E(Dream・break・double・End)」
記憶石が光り出す
「・・・・・・・」
ダークエンドやダークラッシュなどのダーク技で
周りが何も見えなくなりかけたが
その後RXがBeastに突っ込んでいき
記憶石が光り出し
その時鳥の翼を持った女が舞い降りてきた・・・
そして後に残ったのは黒と白で二色が入り交じった記憶石だけだった・・・・・
だがその後すぐ白の色は消えた・・・・

―――――――――――――――

秋葉、水無月、ヒャクエの3人は、ゴーストポケモンをなぎ払いながら、精神空間とのワームホールへ少しずつ近づいて行く。

「このあたりで止まろう。これ以上近づくと危険だ。」
とヒャクエが言ったときだった。

黒いキューブの上のワームホールが、急にグニャリとゆがんだ。
そして、まるで脈を打つかのように表面が波打ちはじめる。そして・・・

ドシュウウウウウン!!
「うわっ!!」
ワームホールの中から飛び出してきたのは、まばゆい光の帯だった。
それは唸りを上げながら秋葉たちの頭上を通り抜けて行った。
「な、なんだったんだ今の?」
水無月が驚愕した表情で言う。
「い・・・今のはまさか・・・」
と、ヒャクエがつぶやいたとき。
「まだ終わりじゃなさそうですよ。なにか来ます。」
秋葉が大声で言った。
ワームホールはなおもゆがみを続け、ついにはもう一つ、何かを吐き出した。
黒い休憩の塊、そう、現代社会の化身、ビーストだ。
「くそ・・・あと少しでやられるところだった・・・
あの小僧・・・なかなかやってくれる・・・
まあいい、こちらの世界に飛び出したからには・・・この世界を破壊しつくすまで!!」
ビーストは体から電光を放つ!
その電光でユフとフウチがやられた。
「・・・コイツか・・・話に聞いてたビーストとかいうヤツは・・・」
秋葉は舌打ちをした。

 * * *

「くそっ!」
時を同じくして、悠もまた舌打ちをした。
Cチームは『赤い3連星』に苦戦を強いられていた。
ウインディの素早さにはこちらも舌を巻いてしまう。その素早さには悠、ガム、ルカ☆は追いつく事すらできない。
太刀打ちできるのはアッシマー、あかつき!、そしてワタッコの3人だけである。
「どうした!ファビオラ隊の中隊長をも退けたその力、我々にも見せてみろ!」
悠たちを翻弄しつつ、アグルが言ったときだった。

ウ〜!!
何かサイレンのような音が、タワーの中に響き渡った。
「緊急事態発生、ビーストがタワー内32階に潜入、各部隊は至急32階へ向かい、ビーストを殲滅せよ!」
どこかのスピーカーから、そんな声が聞こえた。
「何?」
「そぎゃんばかいな!」
「まさか・・・ビーストがここまで・・・」
『赤い3連星』の表情が一変した。
「・・・悪いが、彼らとの戦いはここで一旦終わりだ。
急いで32階へ降りるぞ!」
アグルが動きを止め、そしてオルティアとチップに言う。
「確かに・・・ビーストが来よるとなりよったら、それば先するほかいなかやね!」
オルティアがそれに答えた。
「皆さん・・・少し事情ができましたので、この勝負は中断です。
真の決着は、この後につけると致しましょう・・・」
悠たちのほうを向きなおったチップが、静かに、かつ紳士的な口調で言った。
「それでは我らも行くぞ!」
「おう!」
『赤い3連星』はそう言い残すと、猛スピードで階段を駆け下りて行った。

「32階で・・・何があったんでしょう?」
ルカ☆が口からそんな言葉を漏らす。
「32階といえば・・・ヒャクエさんがいた場所だ!!
みんな、ヒャクエさんに何か起きたかもしれないよ!」
あかつき!が一同に向かって言った。
「よし、行ってみましょう!『ビースト』って言うからには、何か只者じゃないヤツがいる気がする!」
ガムは『只者じゃないヤツ』の部分を特に強調してそう言った。
『ウルトラマンネクサス』に登場した怪獣が『ビースト』と総称されていたせいだろうか。
「それじゃあ、僕達も階段へ・・・」
悠が言ったときだった。

「いや」
後ろから男の声が聞こえた。
「その必要はない。私が直接そこまで連れて行こう。」
「誰だ!?」
アッシマーが振り返る。そこには、1体のユンゲラーの姿があった。
「私の名はステア。今は、そうだな……ただのテレポート使いとでも名乗って置こうか」
そう言うと、ステアは両腕を前に出した。
「え、ちょっと・・・」
「32階へ・・・行けっ!」
悠が言い終わらないうちに、ステアは広げた手を握った。

一同の姿は消えていた。
ビーストの待つ、32階へと向かったのだ。


―――――――――――――――


32階では秋葉達が苦戦していた。
辺りにはなぜか白い霧が漂っていた。黒い塊が・・・形を求めてこうもりの翼をつけた男になりさらにそれを通り越して獣の形になっていく。
ビーストがまた電光を起こす、その電光に向かっていった秋葉もヒャクエもそして電気が効かないはずの水無月までもがあっという間に地に押さえつけられた。
ビーストが秋葉たちから向きを変える。
「・・・力がみなぎってくる。これも封印のみを運よく記憶石が吸い込んでくれたおかげか・・・体が完全ではなかった所為で今まで魂自体が封印されるのを恐れなければならなかったが、もうそれもない。」
グォオオオォオオオオォォォォォン!
と雄たけびを上げると、最後によく知られた“あのポケモン”へと変化したビーストは塔の壁を貫き出て行った。ビーストが通ったあとには空虚しか残されていなかった。

そこに悠達が『テレポート』で現れた。
「遅かったか・・・、弟子が上手くやってくれればいいが・・・。」
ステアが言う。そんな中ワタッコが驚愕に目を見開く、
「これは・・・」
ワタッコがビーストが飛び去った方向・・・ではなくワームホールの周りに漂う霧に目を留めていた。
「どうしたんですかワタッコさん?」
ルカ☆がさりげなく聞く、
「これは・・・間違いない、これは物質生成を助けるタンパク質の霧・・・肉体を持った奴はもう、記憶石で倒せない。」
そういってワタッコは黙り込んだ。

******

記憶石の光が収まったとき、辺りは沈黙に包まれた。
RXはいなかった。残ったのは闇と悪の力の残骸、RXの肉塊、判別さえ出来ない。
大きすぎる衝撃が境界に穴を開けていた。

「ゼロが居なくなったから、死を迎える前に別世界に転送することは出来なくなっている。私にもどうしようもない。」
ぽつりと感情をこめずに光が言う。ようするにここから先精神世界でもドリームメイカーの世界でも死んだものが実は生きているということはないということ。
残酷すぎる現実に瑞はただ泣いていた。いつまでも泣いているはずだった。

グォオオオォオオオオォォォォォン!突如精神世界中を震わせる吠え声が響く。
光と瑞はそのあまりの凄さに圧倒された。
遠くからのはずなのに、パキッパキパキッ、吠え声に共鳴して精神世界が崩れ始める。
崩れた精神世界のかけらがパラパラと落ちてくる。
境界がゆっくり収縮してまた厚くなっていく、

「追わないと、」
我に返った光が前足を踏み出す、瑞はそれを無意識のうちに止めていた。
「・・・行っちゃうの?まだRXさんが居るのに?」
「それでも追わないと、世界が崩れる。」

・・・・・・。

「酷いよクラッシュ、いい人かもしれないと思っていたのに・・・。」
パンッ!音が響く、泣いている瑞を、光が蹴ったのだ。
「違う、違うんだ。」
そう呟きつつ前を見据える、
「人が死んだ。もうこれはゲームじゃないんだ。放って置けば向こうの世界ごと皆消えてしまう。」
そういった光の目からもぼろぼろと涙が零れ落ちていた。
「RXはもういない。それにもうじきここは崩れる、奴の思いを無駄にするわけにはいかないんだ。生き延びてあいつを倒さないと!」
瑞がその言葉にハッと目を見開いて頭を振った。次にはいつもの瑞がそこに居た。

「瑞!俺の背に乗って特防を上げておけ!!・・・飛ぶぞ!」
まだ少し躊躇いを見せる瑞に、光は無理に涙顔を微笑みに変えてみせる。
「大丈夫。他の奴らはイーナスが何とかしてくれるさ、そのためにあの核まで言ってゴットと連絡をつけたんだ。ここから出て、無事に居られるか分からないが・・・少なくとも境界なら越えられる。」
ピキピキッ!ゼロの世界の崩壊が進んでいく。
「早く背に乗れ!死ぬぞ!」
瑞は迷いを振り切り光の背に飛び乗った。と、同時に焼け付くような輝く闇色の炎が体を焦がす。
(今なら、境界がまだ薄い、今なら確実に越えられる。)
光が叫ぶ、

『天翔!!』

光は駆けながら己自身の『火炎車』を身にまとい吹く風と貰い火の効果でどんどんそれを強めていく、極限まで高まった炎は大きな4枚の翼となった。
光は駆ける。外に向かって、『超高速移動』を使いながら・・・。
体がぐんと軽くなるのと同時に速さも上がり暖かい空気と揚力で体が宙に浮く、
後ろの翼がジェットエンジンのようにエネルギーを放出してさらに加速する。光は宙を翔ける。
光はさらにスピードを上げ『火炎車』(今度は周りを覆うだけだったので瑞には当たらなかったが)をまとい壁に向かって『突進』しつつ、詠唱した。
「黒き太陽は天を翔ける。陽の炎は揚力を生み、陰の炎は破壊を生む。」
その瞬間光の周りの温度だけが凍りつく。

『天翔黒陽!!!』

落ちる力を利用しさらに威力を増した『火炎車』は斜めに壁を突き抜けた。
突き抜けた二人をタンパク質の霧が包んだ。

******

リディアと浅目・愛が戦った砂漠地帯、そこに白い光が舞い降りた。
白い光は鳥の翼を持った女だったそれは、小さく形を変えてあの幻のポケモンの形で落ち着いた。ずっと南に見える海上にどす黒い獣の形をした塊が姿を現す。それが通った後は『虚』になっていた。
「力を解放してしまったのだな、ビースト。しかしこの世界は簡単には崩れ去りはしないよ。」
何せ今は現実世界からヒトが来ているのだから。
とりあえず当分の間は任せても大丈夫そうである。もしどうしても駄目ならば自分も力を解放して打って出るしかない。
そういう、事態にはなりたくないのだが・・・
「この世界を葬れる機会か・・・・。」
ビーストは掟を破り侵攻した、それは自分も掟を破って良い理由にはならない、ここでできることは見守ることと、あとはせいぜい・・・・。
グレイスはフッと笑い、砂漠の中央で手をかざす。
砂漠の真ん中に光の輪が現れる。そこにはゴットフリートがつなげてしまった世界、―現実世界―が映っていた。

******

(展開が他のチームよりも遥かに遅れているが)一夜明けて、
由衣と223は気がついた。一応秋葉達が手加減していてくれたらしい。
223はまだ、ポ〜としている。洗脳薬の効き目が切れたようだった。ポ〜としているのは副作用らしい。
ルエルス達はすでに居ない、日はだいぶ昇っていた。
不意にに白い光が目の前に出て、中からキルリアが現れた。
流れるように一礼すると「フフッ♪」と微笑みつつ由衣に語りかける。
「試練は終了です。あなた達は認められました。」
「あなたは・・・一体誰?」
由衣は少しうろたえる。それにはかまわずキルリアは話す。
「ええと、申し遅れました。僕はクラスタ、ステア師匠の弟子です。」
そういってキルリアはもう一度礼をすると、由衣の鼻先まで顔を突き出して観察し、
「予想以上に皆さん強くなっていますね。試験期間を短くして大丈夫かと思っていましたが、これなら大丈夫そうですね♪」
歌うように言って微笑んだ。
クラスタはまた改まると由衣に向かって言った。
「由衣さん、でしたね。承認をお願いします。」
「ちょっと待った!わいは無視かいな!!大体まだ何も説明を受け・・・」
とやっと状況が飲み込めてきた223が言いかけたそのとき、東の方からグォ〜〜と地を震わす声が響いた。
少し膨れながらクラスタが言う。
「・・・もうっ!ニブイですね。貴方達の戦うべき敵が予想よりも早く現れた、それだけですよ。」
「は、はぁ。」困惑する由衣を尻目にクラスタは眉間にしわを寄せながらこう言った、
「今は師匠が『封印』を解いているので塔の中まで『テレポート』が使えます。貴方達は真実を知り、さらに力を収束する必要があるのでこれからゴットフリートの所まで飛ばなくてはなりません。」
必死に覚えてきた台詞なのか見事に棒読みだった。
クラスタはもう一度由衣をじっと見つめ、
「承認を下さい!」
と必死に訴えた。
・・・・・・。
由衣が不意に黙り込む、少しの間をおいてポツリとつぶやいた。
「・・・さんもくるんですか?」
「えっ?」
よく聞こえないとばかりに223が首をかしげた。しかし、クラスタは超タイプ。少しならば相手の考えることは分かる。
その言葉から受ける感じ・・・大体の事情を察してクラスタは少し沈んだ声で言った。
「えぇ彼女のところにも他の人が向かっているはずです。」
「・・・、それなら私は・・・」
いけないと言いかけた所を223が遮りいった。
「行く!代わりにわいが承認したる。クラスタ、早よワイらを連れて行ってくれ!」
由衣がそれに首を振る。
「駄目だよ!223は洗脳されていただけだけど私は自分の意思で裏切ったんだよ、いまさら行く資格なんて・・・」
「ちゃう!ワイらは行かなければならないんや!少なくとも今はそんなこと言ってる場合とちゃうんや!・・・クラスタ!!」
クラスタは全てに対しうなずくと『テレポート』と唱えた。

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[850] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目前半 (2)
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 00時53分

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実体を得たビーストが轟音をあげながら飛び去っていった32階の壁の穴・・・ちょうど、バシャーモの悠なら簡単に飛び降りられるぐらいの大きさだ。
悠達はその壁の穴をただ眺めていたが、やがて秋葉達がいることに気付き、駆け寄った
「ヒ・・・ヒャクエさん、なんだったんですか?あの得体の知れない化け物は・・・?」
悠はとてもポケモンとは呼べないような巨大な敵に対して、今まで以上の恐怖を覚え、ヒャクエにたずねた。
傷だらけのヒャクエはやがて起き上がり、答えた
「あれこそが『現実世界の化身』・・・我々、ドリームメイカーの最大の敵【ビースト】だ」
ヒャクエはビーストに倒されたユフとフウチを心配そうな目で見ていた
「あんなにばかでかい、こうもりポケモンのような怪獣・・・どうやって相手にすれば・・・」
アッシマーはそう言いかけたが、自分のそばにいるルカ☆を見つめると
「(そうだ・・・僕がしっかりしなくちゃ、妹を守れるように)」
すぐやる気を取り戻した!
「みんな!しっかりしようよ!」
そのルカ☆の元気な声を聞くと、弱気だったみんなの考えも一変した!
「そうだね!ここで逃げたらファビオラ様やイーナスさんに笑われる・・・オイラはやるよ!」
ルカ☆に負けず劣らず気丈なあかつき!
ワタッコも言った
「確かに、[記憶石]では倒せなくなったが・・・そのかわりにビーストは固定の体を得た。やつの力は計り知れないが、あとは俺達の力量次第で通常攻撃も可能なはずだ」
・・・その一方でガムは秋葉のそばへ駆け寄っていた
「秋葉さん!大丈夫ですか!?みんな心配したんですよ!あなたを探すために・・・」
秋葉はなんのなんの、と立ち上がると心配させまいと答えた
「私を甘く見ないでください。大丈夫ですよ。さっきのビーストの攻撃だって、ほら」
ライチュウの秋葉はしっぽを勢いよくふりながら[こうそくいどう]してみせた
「よかった・・・ところで、そこにいるサンドパンは?」
「ガムさんなら知っているはずです・・・水無月さんですよ!2人でこの階まで上ってきたんです」
「ええ!?水無月さんもこの世界へ!?」
ガムはその驚きと同時にサンドパンの水無月の姿をじっと見つめた
「(水無月さんって男だったんだ・・・)」
じつはガムという男、なんでもお話板で書き込みをしていた頃も水無月のことを女と間違えていた。今度は間違えないように・・・しっかり水無月の姿を確認していたのだ・・・情けない事に。
サンドパンの水無月も立ち上がるとみんなに言った
「そんなことより、大変だぜ。ビーストを塔の外に逃がしてしまった・・・あんな怪物を野放しにしていたら塔の外は1日と持たずに、大混乱だ」
水無月は壁の穴を見ていた・・・
「これはビーストを追う必要がありますね」
と、秋葉が答えた
「でも塔の最上階へ行って、ゴットフリートの真意も確かめないと・・・」
悠は今度は塔の上を見上げていた。今の悠にとっては烈の意志を受け継ぐためにも今はまず、ゴットフリートに直接会ってみなくては・・・それだけを考えていた
「また、チームを2班に分ける必要がありますね。このまま上に行く突入部隊と、塔から出てビーストを追う追跡部隊に・・・」
秋葉がそう提案すると、あかつき!がそれなら!という表情で
「ステアにまた[テレポート]でとばしてもらおう!・・・ってあれ?」
ステアはそこにはいなかった。そしてあきらかに[テレポート]を使った痕跡が・・・
「逃げたな、あいつ・・・」
秋葉は舌打ちをした。
ヒャクエが「まったく、あの人は・・・」という顔をしてみんなに話し掛けた
「とりあえず、ステアまで及ばないが私の[テレポート]で悠達を元いた46階まで飛ばすことなら可能だが・・・」
その横でガムが難しそうな顔をしている
「どうしたんですか?ガムさん?」
「・・・みんなの言っていることはわかった。ビーストがこの世界の最大の敵だということも。でも・・・」
ガムは瑞とRXと浅目のことを思い出しながら
「みんなをあんなむごい形で殺したゴットフリートが正しいとも、どうしても思えない。この塔に突入した最初の目的だってゴットフリートを倒すことだったじゃないですか・・・!」
ガムはビーストの出現によってゴットフリートのおこなった事がうやむやになるのではないか・・・と考えていた。かたくなな彼にとって、今でもゴットフリートを倒すことが第一目標なのである。しかし・・・
「ガムさん・・・!」
「ガム!今はそんなことを言っている場合じゃないんだよ!」
ガムとみんなの意見の分かれからチームワークが乱れそうな事態・・・
そんな時、上の階から3匹のウインディが駆け降りてきた!赤い3連星だ!!
アグル達はビーストが遠い過ぎていった壁の穴を見て青ざめた
「これは・・・」
「ビーストが塔の外に?」
「遅かったと!?」
そしてアグルは悠達にものすごい剣幕で言った
「お前達がビーストを塔の外へ開放したのか!?」
チップはヒャクエに言う
「ヒャクエ・・・あなたがいながらこの失態は・・・」
ヒャクエは赤い3連星に
「違うんだ!この者たちは・・・」
というが
「問答無用!!」
と答えるオルティア。
「チップ!オルティア!やつにジェットストリームアタックを仕掛けるぞ!」
アグルのかけ声に
「了解!」
「おう!」
と、チップとオルティアは返事をかえし、3匹、縦一列に[かえんぐるま]の発動体勢に入った!!
「まずい!話は後です!今はこの3匹を退けましょう!!」
アッシマーは戦闘態勢に入った!そこにガムが
「アッシマーさん!赤い3連星のあの技・・・僕達3人で返し技が狙えますよ!」
「なんだって!?」
ガムの話に驚くと同時に耳を傾けるアッシマー達
「あかつき!さん、この戦法にはあなたの[しんそく]も必要だ!力をかしてくれ!」
「・・・わかった!オイラでよければ!」
あかつき!はとにかくガムの言葉を信じることにした
「さっきから、なにをごちゃごちゃいっている!?」
アグルがまず一番手に突撃してきた!
「いきますよ・・・!」
ガムのかけ声と同時にあかつき!がまず、アグルの[かえんぐるま]に向かって突撃した!!
「いっくよー![しんそく]発動――!!」
あかつき!の[しんそく]がアグルの[かえんぐるま]のワザどの勢いを見事に勢い相殺した!!
「く・・・やるな、だがこの技が三位一体攻撃だということを忘れるな!!」
アグルの背後からチップが2発目の[かえんぐるま]であかつき!へ突っ込んできた!
しかし、あかつき!の背後からもまた、アッシマーが現れ、チップへ突っ込んだ!
「目には目を!歯に歯を!ジェットストリームアタックにはジェットストリームアタックを!!」
だが、チップは攻撃の手を休めない!
「バカな!くさタイプがこの技に突っ込んでくるなど、気でも触れましたか!?」
「狙ってたのさ!この手を!!」
アッシマーは[みきり]をつかってチップの攻撃を簡単に回避すると
「今です!ガムさん!!」
「うぉぉぉぉぉぉ―――!!!」
さらに、アッシマーの背後にひそんでいたガムが雄叫びをあげながらアッシマーをとびこえ、さらにチップの背中をも飛び越えた!!
「私を踏み台にしたぁー!?」
どこかで聞いたことのあるようなセリフだが・・・チップは驚かずにはいられなかった!
そして2人を飛び越え、空中高くジャンプしたガムは最後に[かえんぐるま]を仕掛けて突っ込んでくるオルティアにがっちりしがみついた!!
「バカな・・・なにしよっと!?はなせ!はなせ――!!」
オルティアの[かえんぐるま]の炎がガムの[もらいび]によって吸収されていく・・・
そのままガムは[かえんぐるま]の回転力を自らのスクリュー回転に変え、オルティアといっしょに脳天からまっさかさまに急降下していった!!
「まさか・・・あの技は!?」
ワタッコは目を丸くした!!そう・・・この技はガムがダーク化したRXに対して初めて使った垂直落下式の
「ブースターローリングクラ――――ッシュ!!!」
しかし・・・ガムは必殺技の軌道をあやまった!!
[B・R・C]の落下地点にヒャクエがいるのである!!
「!?」
ヒャクエは条件反射的にガムとオルティアに[サイコキネシス]を放った!!
「そうはいかんったい!!」
オルティアは[しんそく]をつかい、[サイコキネシス]を回避した!
「[しんそく]があかつき!だけの専売特許と思わないことやね!!」
しかし、ガムはヒャクエの[サイコキネシス]の直撃をまともにうけてしまった!
「ぐあっ!!」
その上、ヒャクエの[サイコキネシス]の威力が変化した!
「しまった!力の加減が・・・うまくいかない!!」
「うわぁぁぁぁぁあ!!」
ガムはそのまま消えてしまった・・・
「ヒャクエさん!ガムさんは・・・ガムさんはどうなったんですか!?」
取り乱す一同・・・
ヒャクエは答える
「『死んだ』ということはまず考えられない・・・ただ」
しかし、もっと深い顔をして言った・・・
「おそらくステアがしたように、ガムはこの世界のどこかへ飛ばされてしまった・・・」
一同が落胆する間も与えず3連星は再び[かえんぐるま]の態勢だ!!
「よそ見は禁物だぞ!!」
「くっ・・・今はこいつらをなんとかしないと・・・!!」

―――――――――――――――――

・ここはたくさんのお墓があるところ、シオンタウンのポケモンタワーの内部・・・
そこに一匹の♀のブースターがいた
「(マシュリ・・・)」
その時!
ドサッ・・・
「誰!?」
ふりかえる♀のブースター
「こ・・・ここは?どこなんだ・・・?」
そこに♂のブースターが飛ばされてきた
「きみは・・・ガム、くん?」
「僕と同じブースターが・・・それにお前は一体・・・どうして僕の名前を知っているんだ?」
♂のブースターは初対面の♀のブースターがなぜ自分の名前を知っているか、ということに疑問を感じずにはいられなかった。その上、妙になれなれしい言葉・・・
そう・・・この♂のブースターは、さきほどのヒャクエの変則的な[サイコキネシス]をうけて飛ばされてきたガムのことだ。
そして、この♀のブースターは・・・
「残念だったね。ブイズのみんなはステアさんの力でいまごろ、本部の地下だよ☆」
「ブイズ・・・?もしかして、ルレンやルエルスのことか!?」
ガムはとっさに身構えた!・・・しかし、ポケモンタワー内にはガムと♀のブースターの気配だけしか感じない・・・ガムは戦闘態勢をすぐにといた。
「今頃、ガムくんの仲間たちも、クラスタさんの[テレポート]で移動中かな・・・?」
「クラスタ?仲間?・・・??」
そこに、いあわせていなかったガムにはキルリアのクラスタが承認を得て223と由衣を[テレポート]させたことまではわからなかった。
「えへっ☆」
「(か・・・カワイイ!)」
ガムは[メロメロ]状態に陥りそうになった・・・が
「あれ・・・?その口癖、前にもどこかで聞いたことがある」
澪亮や秋葉なら、この口癖を決して忘れないだろう。
この♀のブースターは別名『モエる朱色』ブイズのアカリン。どうやらマシュリの墓を見届けるために1人だけポケモンタワーに残っているようなのだ。
・・・となるとこのポケモンタワーにはガムとアカリンの2人だけしかいない。
そして、彼女と初対面のはずのガムはその口癖で、何かを思い出そうとしていた・・・

***************

――――(話はEチームの中で行動中、ダーク化したRXとの激戦の満身創痍のガムが1人ルレンとルエルスによって研究所まで連れ込まれ、その研究所を爆破した直後にまでにさかのぼる)――――

・「は、はやく・・・早くみんなと合流しないと・・・」
ガムは爆破した研究所から今にも倒れそうな足取りでヨロヨロとさまよい歩いていた。
ワタッコ達と合流したくても全てのエネルギーを使い果たし、視界さえぼやけて見える・・・
「うう・・・」
ガムはとうとうダウンしてしまった。見渡す限り誰もいない所でたった1人・・・
「(体が冷たい・・・痛みも、なにも感じない・・・)」
身体中の傷が痛みを通り越し、目の前が真っ暗になった。
「(僕は死ぬのか・・・)」
意識もない。ただ迫り来る「死」を待つのみの状況・・・
ガムは「恐怖」と同時に「死」を覚悟した・・・
「(・・・あれ?)」
・・・死を覚悟したはずのガムの体が光り輝いている。
「(・・・なんだろう・・・体が気持ちいい・・・)」
その先には・・・
「・・・ふう!これでひとまず、大丈夫!」
アカリンが[ねがいごと]をガムにかけていた!
でもどうして、アカリンがこんなところに・・・?
「ファビオラさんからの依頼で『♂のブースターを探してちょうだい』なんていわれてきてみたけど、まさかこんなに傷だらけだったなんて」
「敵でもおなじブースターどうしだからね☆おもわず、助けちゃったよ!」
「えへっ☆」
ガムはまだ、かなりの傷が残っていて完全に気を失っている・・・
「あとはガムくんがここにいることを、ファビオラさんに伝えれば私の仕事はこれでおしまい」
アカリンはガムを頭で押して安全なところに持っていった。
そして、
「つぎに会うときは、敵としてあなたの前にたちはだかるかもね?」
「えへっ☆」
と言い残し、去っていった


――――(そして、現在にいたる)――――

・「えへっ☆」
「そうだったのか・・・あの時の光はアカリンが・・・」
ガムはそのアカリンの、とても敵とはおもえないような笑顔を見て、心の中に何か熱いものがこみ上げてくる・・・ラティアスの時以上の強すぎる気持ちに駆られた

決して『メロメロ』状態になっているんじゃない・・・人間界もポケモン界も含めて本当に1番、1番な気持ち・・・

「う〜ん・・・しかし、なんでガムくんがここにいるんだろ・・・?まあ、いいか。あの時はあの時だよ!今回は敵同士だね☆」
アカリンはそう言うと、すぐさま戦闘体勢に入った!
「ではいきま〜す![でんこうせっか]!!」
アカリンはブースターのすばやさとは思えないほど、すばやい動きでガムにとびかかる!
「くっ・・・こっちも[でんこうせっか]!!」
ガムも[でんこうせっか]でその攻撃を紙一重で回避した!
「うわ、すっごーい!つよいんだね!ガムくん!でもね!これはどうかな?」
アカリンは[のろい]を使うと、そのまま地中にもぐった!
「え?」
「[あなをほる]!!」
不意を突かれたガムの足元からアカリンが現れた!
「ぎゃあっ!!」
「そしてそのまま、[かみつく]いきまーす☆」
アカリンはガムの肩にかみついた!
「ぐッ・・・」
必死にたえるガム
「・・・ガムくん!まじめにやってよー」
アカリンは防御や回避ばかりで、全く攻めに転じないガムの戦い方に不満の声をあげた
・・・というよりも、ガムの行動に全く攻める気配がないのだ
ガムはかろうじて立ち上がると首を横にふり、アカリンに言った
「僕にはアカリンを攻撃することなんてできないよ・・・」
「?」
「アカリン・・・僕はお前、いや、君のことが・・・」
「えいっ!」
アカリンは[アイアンテール]をガムに仕掛けた
「うわっ!」
ガムはまたその攻撃を回避するとまるでポケモンタワー全体に響く[ほえる]ような勢いでアカリンに言い放った!

「君のことが大好きだ!!!!」

「!」
突然、アカリンの攻撃の手が止まった
ガムの心変わりというべきか・・・こんなに思いきった告白はなかった。
それだけ、ガムはアカリンに対して本気の恋なのだろう・・・
「僕に・・・一緒についてきてほしいんだ」
ガムはじっとアカリンの瞳に目をあわせてはっきり言った。

―――――――――――――――――

その頃、ひことプリンスは、ポケモンタワー周辺までたどり着いた。
「澪亮さん、あそこに…。」
「プッ…、」
プリンスが笑う。
「何がおかしいんですか?」
「バカだな。ひこさんは、後ろ見てくださいよ。」
ひこが後ろに振り返ると、そこには澪亮がいた。
「澪亮さん!いつからそこに!」
「俺はさっきまでずっとお前らの後ろにいたぞ。それより、あのブースターも倒した事だし、このタワーには用なし。」
「いよいよ、塔に潜入ってワケっすね。」
ひことプリンスと澪亮は、グレン島の塔へ向かうことになった。
3人は船に乗った。
「いきますよ。」
「らじゃ!」
3人は船に乗って、グレン島を目指した。

―――――――――――――――――


「君のことが大好きだ!!!!」
「!」
「僕と……一緒についてきてほしいんだ」
ガムはじっとアカリンの瞳に目をあわせてはっきり言った。
「い…一緒って…」
アカリンは唖然とした表情で口をパクパクさせていた。
「ブースターが……どうして同じブースター同士が戦わなくちゃいけない?」
ガムはアカリンに深く静かに問い詰めた。
「…じゃあ、違う種族だったら戦っていいの? 戦う理由なんて運命としか言いようが無いと思うよ」
アカリンは困った表情で答えた。
「違う種族?運命……?」
ガムの表情が一瞬キッとなった。
「じゃあ、君はゴットフリートに『このお墓のポケモンと戦え』と言われたらそれでもそれを『運命』として受け止めることができたのか……?」
ガムはそう言うとアカリンを横切り、マシュリの墓の前に立った 。
「う〜ん、『このお墓のポケモンと戦え』って言われれば戦うだろうと思う。 でも…『殺せ』とか言われたら絶対に嫌だけど…」
「……『違う種族だから』とか、『運命だから』とか……そんなこと言うのは好きじゃなんだけど……」
そして、マシュリの墓を見つめながら言った。
「命じられて、友達と戦うなんて……何だか悲しいよ」
ガムはマシュリの墓の前で少しだけ涙を浮かべていた。
「……………」
対してアカリンは黙っていた。
「僕に気がつく前の……このお墓にいたアカリンはなんだか寂しそうだった・・・でもそこには友達を思いやる優しさを感じた・・・他の敵にはない、アカリンだけの」
しみじみと言うガムの言葉を邪魔するかのように、突然アカリンは昔の話を語り出した。
「…このお墓にはね、マシュリって言う私の友達が眠っているんだ、二年前のあの日にね、ちょうどここに二人で肝試しに来ていたの……」
アカリンはそこで言葉を切った。
「…でもね、その時タワーに住んでいたゴーストポケモンにね…マシュリが呪い殺されてしまったんだ、私の力不足でね…それで私は固く決めたんだ、あのときマシュリを救えるだけの強くて大きな力が欲しいって……え〜と、それから…なんだっけ、こんなことを他の人に言うのははじめてだからかなぁ?えへっ☆」
「……………」
アカリンが笑って誤魔化そうとしていたその過去を聞いて、ガムは悠達と32階までいた時の、頑なだった自分の考えに疑問を持ち始めていた。
「(ゴットフリート軍にも友達や家族がいる……じゃあ、僕達が戦ってきた敵は一体……?アカリンにだって信じるもの、守りたいものがあって戦ってきた・・・それだけは間違いないはずだ)」
「……今でもその気持ちにかわりはない?」
ガムはアカリンにたずねた 。
「うん…変わらないよ」
アカリンはそっとマシュリのお墓を見た。
「…………!!」
そのアカリンの表情を見た時、ガムの心につかえていたものが一気に消えた!
それと同時に、別の感覚が再び強烈に彼を襲ってきた。
「(今、言わなくちゃ……この子にだけは……!)」
「?」
不思議そうな顔でガムを見つめていたアカリンを[でんこうせっか]でつかまえると、いままでになかったぐらい強く……強く抱きしめた!!
「ええ!え! ちょっと!」
アカリンはビックリして、慌てて[じたばた]して振り払おうとしたが、ガムは…
「いやだ……アカリン……君を離したくない!僕と……ずっと一緒にそばにいてほしい……!!」
1度[のろい]をかけているはずのアカリンの[じたばた]の威力も通じなかったようで、アカリンさらに強く抱きしめると本当に離れられないように2人に[ほのおのうず]をかけ、ガム自身の動きをも封じた!
「!、今度は何? 炎の渦!?」
アカリンは取り乱していた。まあ無理もない、許可を得てひとり墓の前でナイーブになっていたところに、突然無抵抗の敵が現れて「大好きだ!!」といわれる始末
そのうち説教をくらって親友のことを話すと今後は黙ってうつむいて、いきなり抱きしめててきたからだ。彼女でなくともこの事態には混乱するだろう。恋は盲目と言うが、ガムもなかなか強引だ。
「今、はっきり言わなくちゃ、もう二度と君に会えないような気がする……僕は……僕は君のことが……」
ガムはもう1度、声を大にして…。
「大好きだ……!!」
とアカリンに言った
「声も、目も、しっぽも、性格も、みんなみんな・・・!」
「大好きって……どのくらい?」
その言葉を受けて、さすがのアカリンも顔を少し赤らめていた(ブースターの顔はもともと赤いが…)。
同じくガムも顔を赤くして(元々の赤がわからなくなるぐらい)。
「耳をあててみて」
そのままアカリンのピンとたった耳を自分の胸元へと近づけた。
わざわざ耳を近づけなくても振動が伝わってくるほどの心拍音が聞こえた。
「変だよ僕……ものすごく身体が熱い……元々炎タイプのポケモンの姿に変えられたはずなのに……体の炎袋が熱いんだ……」
しばらくその体勢を続けるにしたがって、次第にアカリンの心拍数もガムに同調するように高まってきた。
「………聞こえる…ガムくんの鼓動が…あったかい…」
「僕・・・勘違いしていた、ドリームメイカーのことを・・・ポケモンのためにそこまで想うことができるなんて・・・」
ガムは小声でそう呟いたあとで、
「!」
ある言葉を思い出した。
−(ポケモンのためにそこまで涙を流せるなんて…この街とあなた方を有害と判断したのは・・・・・・私の思い違いだったのかもしれませんね)−
自分は改心したファビオラと同じ事を言っている。………そして気付いた。仲間を失った怒りに駆られて、自分もまた、『死の歌姫』としてのファビオラと同じ過ちをおこなおうとしていたことを……。
「……ありがとう、ガムくんの心が聴こえたよ。こんなに私のことを想ってくれていたんだね…私も」
アカリンはガムの顔を見上げた。
「ガムくんのことが好きだよ」
「アカリン……僕も君に教えられたよ。君にあえなかったら、僕はドリームメイカーの全てを敵視して憎しみの炎を燃え上がらせていたかもしれない……ありがとう、アカリン……」
アカリンは照れが隠せない顔で少し笑った後、ガムに切り出した。
「うん、ガムくん…。でも…一緒について行くのには、ちょっと条件があるんだ」
「条件・・・?」
ガムは『仲間になれ』と言われるのではないかと思った。アカリンが好きな気持ちとおなじぐらい悠達のことも大事だ。だからそれは、今のガムには決められないことだった。
「何も仲間になってくれとは言わないよ、さっきからのガムくんを見る限りこの仕事は性に合わないだろうし……条件は私に、勝ってからにして欲しいんだ」
「アカリンに戦って勝つ……憎しみあいや殺し合いじゃない、純粋なポケモンバトルで?」
「うん、純粋なバトルで。別にやる必要もないとは思うけどね…。 …あと、私は憎しみで戦ったりなんかしないよ!☆」
アカリンは最後の言葉は元の明るい声に戻って言った。
バトルというものが中ば日常的なものとして存在しているこのポケモン世界において、バトルは一つのコミュニケーションとして位置している。アカリンがあのように言ったのは、婉曲な告白の受理を意味していたが、ガムがそういうカルチャーギャップに気付くにはまだ先のことになる。
「……わかった!」
ガムはそう言うと2人を縛っていた[ほのおのうず]を[もらいび]で吸収した!
「これで君の[のろい]と対等だぜ」
ガムは好きな人を今後も護っていくためにはもっと力が必要だと考えていたとか、好きな人の前で強いところを見せたいとか、憧れのブースターと戦う機会に胸を躍らせていたかどうかは定かではないが、
ブイズの斬り込み隊長にしてNo.2の《モエる朱色》であるアカリンの実力を少し見くびっていた。
「えへへ…そうだね☆ じゃあ、私も全力で行くから!ガムくんも今度は本気で来てね!」
アカリンは素早くガムから離れて、後ろに下がって構えを取った。
「わかった!絶対、手加減しないよ!」
ガムもすかさず戦闘体勢に入った!!

―――――――――――――――――

光の蹄がカコッという音を立てて、地に着いた。どこかに着地したようだ。
タンパク質の霧は二人の見える先まで続いていた。
瑞は光の背から降り、地面の上を歩いた。
どこまでも続く霧は二人をどこかへ導いていた。
「これって何なの?」
瑞はとなりを歩く光に聞く。
「物質の生成を助けるタンパク質の霧だ。多分生きている者達がいる場所に出るだろう。」
霧がだんだんと薄くなり始めた。足の下は土になっていた。
「明るくなってきた。。。ここはどこなんだろう――。」
二人の目の前は突如明るくなり、開けた土地に出た。
見覚えのない景色。数日前に見たポケモンの世界ではなかった。
「これは――。」
二人は言葉につまった。ビーストが破壊の手をここまで伸ばしているのが見えた。全焼している家、横たわるポケモンの屍。破壊者としての役割をビーストは確実に果たしていた。
「そんな――ひどい――。」
瑞は信じられないと言わんばかりの口調で言った。
「もうだめだな、ここに生きているポケモンはいないようだ。ビーストの後を追ってれば、こんなことは幾度もあるだろう。やつの後を追うぞ。」
光は蹄を鳴らし、足を進めようとした。
「酷い有様ですね」
が、横からそんな声が聞こえてきた。声のする方を見ると、瑞の視線の先には何かがいた。一匹のヌマクローだった。
「はじめまして、でしょうか? 僕はベルと申す者です。ドリームメイカーの手先みたいなものでしょうか?」
よくわからない説明をし、ベルはおじぎをした。頭を上げると、にっこりと二人に笑いかけた。
「あなた達、ここで何をしてたんです?」
「教える必要もない。貴様こそ何してたんだ?」
光は即答した。ベルはまたにっこりと笑い、光の方を向いた。
「あなたこそ僕達を裏切った輩じゃないですか。まぁそんなことは今のドリームメイカーに関係ないですがね。」
「どういうことだ?」
光が問う。
「ビーストの出現場所をすばやく特定して、飛んできました。このように被害が各地で出るでしょうねぇ。だから戦力を探して僕はここまで来たんです。階級が低いって、パシリに使われるからいやなんですがねぇ。」
ベルはため息をつく。
「あのビーストに攻撃を仕掛けられるの?直接攻撃が無効な敵かと思ってたけど。。。」
瑞は疑問を打ち明ける。
「やつは実体のないものじゃないのか?」
光も問う。
「『こっち』では、ポケモンの姿でしたよ。ゴーストポケモンではなく、きちんと実体のあるポケモンです。まあ、その種族が問題ではありましたが。彼の襲撃を受けたここの者たちの反撃を見ていましたが、かすったことはかすりました。相当に強い攻撃でないとダメージはないようですけどねぇ。ただ、ごらんの有様でしてぇ、反撃後みんな死んでしまいましたが」
ベルはそういうと、二人に背を向けた。
「今は、あなた方と戦ってるヒマはないのです。ビーストの襲来が予定より早かったものですからねぇ、こちらの戦う用意があまりできてなかったんです。そこへあなた達二人がのこのことこの危機的状況に現れました。これはとても好都合なんです。」
数歩歩いたところで、ベルはくるりと瑞と光の方を向いた。
「どうです?ここは一つ契約を結んでみませんか?」
「はぁ?」
瑞と光は同時に言った。
「今のあなた達にこちらは手を出しません。代わりに僕の代わりに戦ってくれませんか?」
ベルは二人に説明した。
「いろいろあるとは思いますが、ドリームメイカーとあなた達の戦いはもう終わりです、これ以上は無駄です。利用できるものはすべて利用する、これが僕のモットーです。それに僕は戦いをするのは好まないので」
ベルは簡潔に言う。
「いやだよ。。。ドリームメイカーに味方するなんて。。。」
瑞はぽつりと言った、あの辛い出来事を許容できるわけがない。光も隣でうなずく。
「俺達は俺達で先を急ぐ。お前らのお遊びの相手をする暇はないんでね。」
「交渉決裂ですかぁ。。。まぁ予想はしてたんですがね。瑞とクラッシュさん、あなた達から協力を得るのは難しいことぐらいは。」
ベルはまた後ろを向いた。
「だから、実力行使させていただきます」
突如、瑞は背後から何かに襲われた。
「げふっ!!」
後ろから[いわくだき]の岩石を砕かんとする水流が、瑞の脇腹を叩く。
「おっ…おい!!」
光が倒れこんだ瑞に近寄ろうとしたその時、こんどは前からベルが、光に波乗りを放った。
「くっ…。」
弱点を突かれ、光は大ダメージを受けた。瑞は立ち上がろうとするが、足がもつれて言うことを聞かない。
「アクアファ……。お前、一体何者だ…。」
光が悶えながら言う。
「そうその通りです!さすがは彼についていた元ドリームメイカーの一員だけあって、賢い」
ベルが拍手をしながら笑った。
「僕はこう見えてもゼロ様の直属の部下…『切れ者ベル』と呼ばれてましてね。作戦を立てる際にゼロ様にいろいろと情報をいただいてたんです。
精神世界とこちらを彷徨ってるポケモンの情報とか、ゼロ様の前に『精神世界』の管理を行っていた神田さんを味方につけたということとか。」
そう言ってベルはにやりと笑った。瑞ははっと息を飲んだ。
「俺達の行動が筒抜け…!」
「そーうそう。だから僕は君達を利用しようと思いましてね。利用できるものは利用しておかないと損ですからねぇ。」
「ふざけないで!!」
瑞はだましうちをベルに放つ。だがベルの周りに鏡のような水の壁が現れて、攻撃を返された。
「抵抗はしないほうがよろしいかと。僕は先ほど僕は戦いたくないと言いましたが、あれは『戦いを毛嫌いしてる』のではなく『戦いがつまらないほど敵が弱い』という意味なんですよ。ゼロ様直属の部下をなめないで欲しいです。」
フゥ、とベルは一息ついた。
「くっ…どうすれば…。」
瑞は独り言のように言った。
(時間がないし、情報を集めることを優先したい。だが、こいつらから逃げるのにはどうすれば――)
「なら、僕達についてきてもいいんじゃないですか?」
光は驚いたようにベルの顔を見つめた。にこりと笑うと、ベルは光の問いに答えるようにしゃべった。
「『切れ者』と呼ばれていた僕を見くびらない方がいいですよ?相手の考えることぐらい予想できます。一大事ですから一緒に行動しましょう。
それに、僕らがドリームメイカーの一員だからって何も毛嫌いすることないですよ。現に、僕らだって『利用できるものは利用』しようとしているし。」
にこにこと笑うベル。二人は立ち尽くしていた。
「わかった…少しならお前らに協力しよう。」
「クラッシュ!!」
妥協した光に瑞が叫んだ。
「あいつらはドリームメイカーだよ!?協力していいの!?」
「よく考えろ!!あいつらはこちらより明らかに情報を持ってる!!こちらはうかつに動けない、だが相手に攻撃されずに行動できる。これが合理的なんだ!!」
「そうそう、一番合理的に行動しないと。今の目的は共同、ビーストの討伐ですから。」
黙り込んだ瑞をよそに、ベルは楽しげにしゃべった。
「で、私の基地ですが、ここからは遠く離れた―あ、忘れていた。面影がもう無いですが、ここはマサラタウンです、あなた方は今出てきたのでわからないですよね―南の方へと行きます。僕の用意した船で行きましょう。」
ベルは水辺に近づいた。光と瑞もゆっくり歩く。
「目指すのは6のしまの『へんげのどうくつ』です、遠いからかなり長い時間かかりますよ。」
船に乗り込み、ベルは言った。

――――――――――

「が、ガムゥ〜!!死んでないよね!どこへ行ったの!!また逢えるよね〜〜〜!!!」
と慌てふためきながら、とても早口になってヒャクエの胸ぐらを掴むあかつき!。
「お、落ち着け。ガムは死んではいない。ただコントロールが制御不能となって、この世界のどこかへ飛ばされただけで・・・。」
とヒャクエは何とか落ち着きの無いあかつき!を説得しようとした。するとそこへ「いかく」で攻め寄る赤い3連星の姿があった。
「私たち、とてもなめられたものですね。」
「そうばい。こんままや腹の虫がおさまらなか!!」
「お前ら、まだ決着ついとらんよな〜!!」
するとこちらの返事を聞く気が無いかの如く、トリプル「かえんぐるま」をしかけてくる。しかしその時、下の階からとてつもない邪悪な歌声が32階に響き渡った。そう「ほろびのうた」だ。これにはさすがに3連星もいてもたってもいられなくなり、逃げるように元いた46階へ駆け上がっていった。
「みなさん、大丈夫ですか?」
下へ続く階段から、徐々に姿を現してきた声の主。そして優しい母親のような声でCチームに話しかけた。
「ファビオラ様!!また逢えたんだね・・・ってあれ、違う・・・?」
あかつき!はその時、ファビオラが生まれ変わったのではないかと本気で錯覚を起こしたのか急いで駆け寄ったが、その正体は♀のガラガラだった。
「あなたがあのジグザグマだった子ね。ここまで大きくなって・・・、ファビオラったらホントに約束護ってくれたんだ。」
どうやら彼女はあかつき!のことをよく知っているようだ。
「へ?オイラ、あなたのような方には逢った事ないよ。」
かなり変な敬語を話すあかつき!本当に元中隊長なのか疑わしい。
「あっ!ごめんね、私のこと知らないんだっけ。では自己紹介から・・・。私の名前はフローレン。あなたが就任する前の中隊長をしていた者よ。」
それをきいて悠たちはすぐ様、また戦うのではないか、と戦闘態勢をとる。
「あかつき!さんに何をする気だ!!」
「乱暴な人たちね。このDMの関係者だと、すぐさまバトルだと思い込んじゃって・・・。こう見えてもね、私は救護班なんだから、乱暴な真似は嫌いなの!!わかったわね?」
「は、はい・・・。」
そんな悠たちを目の前に、「やれやれ」といわんばかりにからかうフローレン。彼女にはその後の返事をさせない他のものには無い何かがあるように思えた。
「私はね、この子たちに用があるの。しばらく塔の外へ借りるけどいいわよね。あと、そこのサンドパン!!ちょっとあなたもついてきて。」
しかし本題に入ると、前向きな性格なのかもうすでにあかつき!を連れて行こうとズルズル引きずりながら、さらに水無月まで呼びマイペースに進んでいった。
「あかつき!さんと水無月さんをどこへ連れて行く気だ!!「火の玉キーック」!!」
するとフローレンは「ほろびのうた」の体勢に入る。迂闊には手出しで無いよう、あらかじめ考えていたかのようだ。
「残念だけど、これはこの子にとっても、わたしにとっても、そしてみんなにとっても大事なことなの。だから邪魔はさせないわ。」
何か決意を固めていたかのような彼女に悠たちは何もできずにいた。そんなみんなを励ますようにあかつき!と水無月が元気よく答える。
「ダイジョーブイ!!みんな心配しないで。塔の外へ出るから「すぐ戻る」とはいえないけど、みんなのトコは忘れないよ!!ってこれは死ぬ前みたいだよね・・・。何か言い言葉無いかなぁ・・・ってあ〜!!」
「オレも大丈夫だ!用が済んだらすぐに帰ってきてやるよ!!」
引きずられながらも脳天気な性格のあかつき!。水無月との雰囲気のギャップがあべこべなのか、緊張が解けてみんなに笑顔が戻った。
「あっ、これだ!!みんな〜、しばらく抜けるけどオイラの分までよろしくぅ〜!!あと「さん」はいらない〜!!」
だんだんフェードアウトしていくあかつき!、水無月とフローレン。悠たちはいきなり3人ものメンバーを失った。この先どうする?大丈夫なのか!?いいや、彼らにはまだ心強い仲間がいるはずだ!!

――――――――――

「よく考えたら、ブースター同士で戦うのは初めてだ・・・ビヘクトの時は正確にはメタモンだったし・・・」
「うん、ガムくんからしてみたらそうかもね☆」
「いくよ・・・!」
考え終えた、ガムはやがて技の構えに入った!
「うん!」
それに応戦するアカリン
「[でんこうせっか]!!」
ガムはアカリンに今までにないぐらいの速度でとびかかった!!が
「えへへっ!ガ・ム・くん☆」
「うっ!」
アカリンはガムに[あまえる]を使った!
「しまった!ワザの勢いが・・・」
ガムの[でんこうせっか]はむなしいほどの勢いまで弱まり、アカリンにヒットした。
「ガムくん!そんなことじゃ、まだまだだよ!」
しかもアカリンにぶつかった時のインパクトがなんか変だ・・・
「アカリン・・・また[のろい]を使ったな!」
「へへっ!せいかーい!」
アカリンは[あまえる]と[のろい]を使う事によりガムの物理攻撃によるダメージをほぼ無効化していたのだ!
「もう1回[のろい]いきまーす☆」
「!・・・させるか!!」
ガムは再び[でんこうせっか]でアカリンの[のろい]を阻止しようとするが
「ガムくん!そのワザは私にはもう効かないんだよ・・・」
アカリンはガムの[でんこうせっか]に微動だにせず[のろい]を発動させ、能力を上げると
「そして・・・こちょこちょこちょ!」
「ちょ・・・や・・・やめ、あはははははは!!!」
アカリンはそのままの体勢でガムに[くすぐる]を使った!
「そのまま[のろい]!」
ガムはぐったりしている・・・
「そして[からげんき]だよっ!」
「!?・・・う・・・うわぁぁぁぁ―――っ!!」
ガムは特殊状態になっているわけでもないアカリンの[からげんき]に勢いよく、ぶっ飛ばされてしまった!!
ガムは完全にアカリンの実力をあなどっていた・・・
「(アカリン、ラティアスと違って普通のワザだけも・・・マジで・・・強い!!同じブースターでありながら、経験もワザ数も何もかもが僕と違いすぎる・・・!!)」
ふらふら立ち上がるガム。そしてアカリンに言った
「僕は・・・君の実力を過小評価していたようだ・・・」
「ガムくん、私は言ったはずだよ!『ガムくんも今度は本気で来てね』って」
と答えるアカリン。
「わかった・・・もう・・・今度こそ、手加減はしない!!むしろ、本気でいかなくちゃ君に勝てる気がしなくなってきた!!」
ガムはそう言うと自らに[ほのおのうず]を放った!!
「その技は・・・?」
アカリンはガムの使おうとしている必殺技に興味津々の目だ。
「わくわく・・・」
彼女も業師としてガムの必殺技を見たいのだろう。
ガムは[ほのおのうず]を[もらいび]で自らの体に帯びると、そのままアカリンに突撃した!
この技はガムの[B・R・C]の突撃版だ!!・・・が
「えへっ☆」
「うっ!(カワイイ・・・!)」
アカリンの得意中の得意技[メロメロ]がガムを魅了しようとした・・・
[B・R・C]の炎がくすぶって見える・・・
「(おちつけ・・・おちつけよ!・・・ガム!)」
「きゃ・・・ガムくんこわい〜〜!!」
ガムはアカリンを強烈に[にらみつける]事により[メロメロ]の威力を中和し・・・そのまま
「ブースターローリングクラ――ッシュ!!」
「きゃっ!!」
アカリンを見事に吹っ飛ばした!!
「す・・・すっごーい!ガムくんの必殺技!やるね!ガムくん☆」
驚き、はしゃぐアカリン。
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
しかし、今のガムはもうアカリンの言葉にいちいち反応できない。それだけ今の彼は、気が抜けない。気を抜くと、アカリンの逆襲を受けて負けてしまう・・・
可愛い顔をして、鬼神のような強さのアカリンをガムは改めて見直すと同時に脅威も感じていた。
「じゃあ私も必殺技、いくね!☆」
「何だって・・・?アカリンにも必殺技が!?」
ガムもまた、驚かずにはいられなかった!
「えっと、こっちの風とあっちの風は・・・よし![T・T・C]行きま〜す!」
「[T・T・C]!?」
するとガムの身体に1つの[ほのおのうす]が渦を巻き、彼の動きを封じた!
「この技は・・・僕の特殊型[B・R・C]と同じ・・・!?」
「まだまだ、これだけじゃないんだよ☆」
アカリンはいつの間にか放っていた、もう1発の[ほのおのうず]を[でんこうせっか]で駆け上がり、空中高くジャンプした!!
「く・・・くそ、身動きが・・・とれない!!」
必死にもがこうとするガムの頭上にボーリング球ように回転したアカリンがまっさかさまに垂直落下してきた![アイアンテール]の体勢だ!!
「ツイン・トルネード・クラッシュ!!」
「うわあぁぁぁぁっ――――!!!」
アカリンの[アイアンテール]が、かかと落とし気味にガムの脳天に直撃した!!
「ふぅ・・・ちょっとやりすぎたかな?」
アカリンは倒れたガムに、目をやろうとした・・・その時!
「きゃっ!」
ガムはアカリンに[でんこうせっか]で突撃し、そのままガッチリとアカリンをつかんだ!!
「アカリン・・・僕も持てる限りの技を君にぶつける!!」
「ブースターローリングクラ――――ッシュ!!!」
ガムはそのまま[でんこうせっか]の勢いで自分をアカリンごと壁に激突させようとした!このバリエーションはビヘクト戦で使った変形投げの[B・R・C]だ!!・・・だが
「えいっ!」
「うわっ!」
アカリンは[じたばた]して簡単に変形投げを解除してしまった!
[あまえる]や[くすぐる]を受けて攻撃力を落とされたガムと何回も[のろい]をかけて能力がアップしているアカリンとでは力比べで差が歴然としていた・・・
そのまま、空中高く舞い上げられるガムに
「ガムくん、きみの技をもらうよ!」
アカリンは今度は1発だけの[ほのおのうず]を放つと、再び[でんこうせっか]で[ほのおのうず]を駆け上がり、先ほどの[じたばた]で空中高く舞い上げられたガムを空中でガッチリつかんだ!
「シングル・トルネード・クラ―ッシュ!!」
アカリンは空中でガムをつかんだままきりもみ回転し、そのまま脳天から地面に垂直落下した!!
「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」
アカリン版、垂直落下式[B・R・C]というべき技・・・ガムは完膚なきまでに叩きつけられた・・・
「う・・・うう・・・」
それでも立ち上がってくるガム・・・もう気力だけの状態かもしれない
「ガムくん・・・もうやめよう・・・このままじゃ私、勢いあまって君を殺しちゃうよ・・・」
明るかったアカリンの表情もだんだん険しくなっていく・・・
「次で・・・次で・・・決め・・・る」
ガムは今にも倒れそうな上体で自分やアカリンがこれまで放った[ほのおのうず]の気流を一点に集めた!!
「爆発しろ![ほのおのうず]!!」
「きゃぁぁっ!!」
アカリンとガムは大爆発をおこした[ほのおのうず]に巻き上げられた!しかし、これは2人とも[もらいび]でダメージがない。
ガムはそのまま空中でアカリンをキャッチ!
「見よう見まねの・・・シングル・トルネード・クラ――ッシュ!!」
ガムはそのままきりもみ回転し、今度は自分がアカリンごと脳天から地面に激突させようとした!垂直落下式[B・R・C]が本来の名前というべきか。しかし
「ガムくん、ごめん・・・この勝負・・・私の勝ちだよ・・・」
アカリンは再度[じたばた]でガムを跳ねのけた!!
「うわぁぁっ!!」
「[S・T・C]はね・・・使い手の私が、返し技もよく知っているんだ・・・ごめん!」
アカリンはそのまま空中高く舞い上がった状態で[アイアンテール]をガムの首に決めた!!
「う・・・!」
「これで終わりじゃないよ・・・!」
アカリンはそのまま・・・[アイアンテール]をガムの首に決めたまま、
「スカイダイブドライバ―――――!!!」
落下の勢いで尻尾ごとガムの首を地面に叩きつけた!!
「!!!!!」
ガムは首を決められ、悲鳴をあげたくてもあげれずに・・・とうとうダウンしてしまった・・・
見よう見まねの[S・T・C]でさえ、華麗な技を持たない彼にかかる負担が大きかったのだ・・・
『スカイダイブドライバー』・・・アカリンが見せる3つ目の必殺技・・・ちょうどプロレス技で言うギロチンの形でマニアの見方だと「キ○肉マン」の悪魔○軍の『地獄の断○台』と酷似した超必殺技だ・・・!

***************

・ 「・・・ん・・・」
あたたかい光・・・ガムは目を覚ました。
「よかった!気がついたんだね!」
ガムはまたアカリンの[ねがいごと]によって助けられていた。
「えへっ☆」
ガムはアカリンの笑顔を受け入れる気にはなれなかった・・・
「アカリンに負けた・・・あんな大ミエきっていながら・・・」
ガムの目から悔し涙が静かに流れる・・・
「ううん、そんなことないよ。ガムくん、とっても強かった![のろい]をかけた私の攻撃を何回受けても立ち上がってくるんだもの!タフなんだね☆」
・・・なぐさめられると余計、泣きたくなる
ガムは今の自分がみじめな敗北者であると同時に、このままではビーストはおろか、アカリンにさえ勝てず、尻に敷かれることを痛感した・・・
・ ・・ガムはあることを決意した。
「アカリン!!」
「は、はいっ!」
アカリンはその[ほえる]ような呼び声に驚いて、思わずひとこと返事を返してしまった
「ここで・・・ちょっと待っていてくれないか?」
「?」
「すぐに戻ってきて・・・今度こそ、君に勝つ!」
その言葉に対してアカリンは
「うーん、無理だと思うよ? たった今、ガムくんの実力は見せてもらったし、冗談はそのくらいにして・・・」
と言い、精一杯『返事』を返してくれたことに対して、今度は言葉での返事を返そうとした時……。
「ホラなものか――――!!!」
ガムがまた吠えた!
「これが単なるホラでない証拠に、1時間以内にここへ戻ってきて、今度こそ君を・・・」
少し言葉をためて
「たたきのめす!!」
とさけんだ!

――――――――――――――――――――

[851] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目前半 (3)
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 00時56分

――――――――――――――――――――

・・・・・

・・・・・・・

精神をも破壊され、帰る身体を失ったRXは、いよいよ消えかけていた。
だが、粉々になった魂をかき集めて、一つの精神に戻す影があった。銀髪で背中に鳥の羽を生やした人間の容姿をしていたが
、やがて一匹のポケモンに変化した。ミュウという「しんしゅポケモン」。絶大なる力を持ち、仮の姿は創造の神である「グレイス」だった。

真っ暗な空間。精神世界でもっとも闇の深い場所だった。そして今、グレイスがかき集めた魂のかけらは一匹のバクフーンのものだった。
そしてグレイスが「せいなるはい」をふりかけた時、そのかけらは一つとなり、光を帯びながらバクフーンへと戻った。

…………………………

「ん…!んん…?」
『起きましたか?RXさん。』
RXが目を開けると、そばには一匹の幻のポケモンがいた。
「……?! おまえは?」
初めて見る幻のポケモンに、RXは息を飲んだ。
『私の名はグレイスです。そして破壊の神、ビーストと対になる存在です。』
「ビーストっ?!」
RXは体を起こそうとする。体中を激痛が走った。
「ううっ!!」
『あぁっ、だめです!まだ魂が完全に復活されてないんですよ!無理に体を動かしたらまた壊れかけません!じっとしていてくださいよ!!』
グレイスが慌てて止める。RXは激痛に身がよじれながらも、声を出した。
「俺を…どうするつもりだ?」
『少なくとも今は敵ではありません。それよりここは精神世界なのです!早く「そと」へ
出たいのならば、じっとしていてくださいよ!!』
そういうとグレイスは一匹のネイティに変身し、「ねがいごと」をRXに施した。
だが、普通の「ねがいごと」とは違い、強力な光を発しながらRXの傷を癒していった。
「それは『ねがいごと』なのか?」
『はい、ただ私の「へんしん」の力を使って変則的にあなたの魂を「復元」しているんです。神経を使うから黙っててください。』
グレイスは早口でRXにけしかけると、それっきりRXが何を言おうとも黙り込んでしまった。
たった数分間、なのにRXにとって何十時間とも思われる時間が過ぎた。
『よし、これで終わりました。』
グレイスは元のポケモンに戻った。RXの傷は完璧に癒えていた。
『これで魂の方は大丈夫です。あとは「そと」にあった身体の方ですね…しかし、肝心の戻るべき身体が無くなっていては…』
「おい、さっきから言ってる『そと』って、一体なんなんだ?」
RXが疲れた様子のグレイスに問う。
『あぁ、私としたことが説明してませんでしたね…。ええと、今から簡単に言いますからね、よく聞いていてくださいよ。あなたは、ここを「精神世界」と呼ばれていますよね?
まあ、そう言えばそうなんですが、簡潔に言うと、今いるここはそのもっとも深い領域なんです。』
「…は?」
RXは呆然とするが、グレイスは気にせず続ける。
『いいですか?ポケモンが殺され…つまり「魂の入れ物」である「身体」が壊されると、
この精神世界の最も深き場所…言うなれば「誰も入れない」ところへ強制転送されるわけです。』
グレイスは少し言葉をためながらRXに改まった表情で再び話しかけた
『RXさん、あなたにはまだ「そと」…つまりあなたが生きていた世界へと戻ってやってもらいたいことがあります』
「?」
『単刀直入に申しましょう、あの時あなたが倒したと思ったビースト...いやあのいでんしポケモンは「そと」の世界に放たれました。そして、各地のシティやタウンを襲い壊滅的な打撃を与えるでしょう、あなたにももう一度生存世界に戻ってビーストをとめてもらいたいのです』
「な…!!」
『あの時、あなたがビーストに特攻を仕掛けた時もしやと思ったのですが・・・もしあなたが鳳凰の加護を受けてない身だったら、私はこんな面倒なこと絶対にしません…。』
グレイスはブツブツと独り言をいい始めた。
「そ…それよりも、『面倒なこと』って何だ?」
『さっき私は「死者蘇生」という掟に反したことをしました。「死者蘇生」は生き物の世界ではやってはならないこと、つまり禁忌なのです。私の仮の姿の力も「蘇生」はなく「創造」のみなのもそのためです。でも、鳳凰の加護を受けており、ビーストと戦う力を持つあなたを見逃すわけにもいかず、「生き物の掟」に反してまで蘇生しました。「私の力」を変則的に使用してあなたの魂をかき集め、それからあなたの身体の所在を確認して、あなたを「そと」・・・つまり生存世界に送り出す準備をしていたわけですよ。』
「そ、そっか…でも待ってくれ、そこまでの「力」があるなら俺や悠達に頼まなくてもあんた1人だけでもビーストを止めることが…ファビオラさん達を蘇らせることもできたんじゃないのか?」
なるほど、そうかもしれない。 あらゆるポケモンに[へんしん]できるうえに魂まで原型をとどめていなかったRXを蘇らせることができたグレイスならビーストを連れ戻すことくらいあさめしまえだろう
しかし、それをRXが言い出そうとした時!
『ごふっ!』
「グ...グレイス!?」
突然グレイスが吐血したのだ!!
『…少し私のことをお話ししましょう』
『私の体はもう長く持ちません…「創造」の力を使い続けたリスクみたいなものでしょうか…さっきあなたにほどこしたことも単に私の寿命を分け与えただけなのです』
「・・・」
グレイスはあきらかに体を病んでいた…そんな体でずっと…
『私の能力(ちから)は万能なんかではありません、それどころか明日死ぬかもわからぬ生命なのです・・・ビーストを止める事は私ではなくあなた達でなくてはできないのです…』
RXはグレイスのそのわずかな言葉がまるで願いを託すかのように…訴えるように聞こえた
『とりあえず、私はすぐあなたを送り出さなきゃいけません。準備はいいですか?』
グレイスがそう言うと、辺りに霧が立ちこめてきた。クラッシュと瑞が「そと」へと出たときに使ったタンパク質の霧だった。
『ううっ!!』
「だ…大丈夫か!?」
タンパク質の霧を作り出すグレイスの体は確実に蝕まれている…使うたびにまるで寿命を縮めているかのように、
『大丈夫です...心配いりません、それより…』
「これは…?」
『変則的テレポートに使用する霧です。私のテレポートの力を無理に物質にするとこういう形になるのです。この霧を通って行けば、あなたも「そと」へ出られます。』
「おい、ここを通ったのは俺以外に誰かいるか?」
『最近…というかつい先ほど、ギャロップとブラッキーが通りましたね。』
「やっぱり…二人は無事なのか!」
RXは安堵の表情を浮かべる。
『あともう1つ、ゼロも死んでいません、精神世界に一時的に逃げ込んで、また生存世界へと逃げ出しました。「そと」の世界ではゼロが暴れ回って今最悪の状態です!さあ、早く行ってください!』
「あ、あぁ…。じゃあ行くぞっ!!」
RXは霧に向かって走りだした。
『あっちょっと待ってください!』
グレイスの呼ぶ声にRXはつまづきそうになった。後ろを振り返ると、グレイスが何かの箱を持っていた。
『これは「オルゴール」です。もし、向こうでミュウツーの暴走を止めることができたらその時このオルゴールをならしてください。私がそちらへ行ってやつを連れ帰ります。ただそれは一度しか使えないものなのでご注意を!』
「わ…わかった…。」
RXは言われるがままにオルゴールを受け取った。
『あと、向こうへ行ったらRXさんの身体は傷だらけのままです。その傷を治さなければまたこっちに戻ってきて面倒なことになってしまうのでとっとと誰かに助けてもらってください!』
「わかった。…そういや、お前の名前って、グレイスでいいのか?」
グレイスはしばらく考え込んだ。
『あぁ、その「グレイス」って名前は現世の者達が私のことを勝手に決めた名前なんです。正確には私の名前は「グレイス」ではないんですよ。私の本当の名前は私自身が気に入ってる「アメジスト」という宝石の名前なんです。でも、いちいちめんどくさいようなら私のことは普通に種族名で呼んでもいいですよ。』
「そうだったのか・・・」
RXはグレイス・・・もといアメジストの正式名をしっかり覚え直すと
「じゃあ、アメジスト、行ってくる。」
『頑張ってください!』
RXは手を振ると、霧の向こうに消えていった。そうすると、今まで神経を張っていたアメジストはヘたりと座り込んだ。
『もう私の「創造」の力も尽きましたね…。かなり疲れました…。』
独り言を言うアメジスト。
『私の寿命ももう長くありません...早く彼らがビーストを見つければよいのですが…。』
アメジストは一人でそんなことを呟いていた。

――――――――――――――――――――


アカリンにあんな事を言い放って、ガムはポケモンタワーを降りると、ある場所へと急いでいた。
「『荒行』だ!1時間でアカリンに勝つほどの力をつけるには『荒行』しかない!!」
その最中、ガムは先ほどアカリンに説教していた言葉を、今度は自分の心にも問い掛けてみていた。
―(「・・・『違う種族だから』とか、『運命だから』とか・・・そんなこと言うのは好きじゃなんだけど・・・」)―
『違う種族』・・・アカリンは確かにこの世界の・・・しかも、人間ではないポケモンだ。
今、自分がアカリンと同じ種族(ブースター)だからといってもそれは変らない・・・
でも・・・頑なだった自分が、今ではこうしてゴットフリート軍のファビオラと解り合えた。アカリンとは心を通わせることまでできた。
・・・負けたけど。
(人間・・・ポケモン・・・現実・・・架空・・・人間界・・・異世界)
ガムは人間界にいた時のある言葉を思い出していた
「【金ややさしさじゃ女はまもれねえ! すっ裸の自分の身体に ホレた女をまもってやれる力が どれだけ あるかどうかだ!!】」
何も持たない今の自分にアカリンを守る以上の・・・アカリンよりも強い力があるだろうか?・・・とにかく力がほしい・・・!!
「(僕はこの世界が・・・アカリンが大好きだ・・・!)」
人間世界でも、この世界でも・・・戦わないのは卑怯な気がする・・・あくまでガムの考えだ。
「(そして、全ての戦いが終わったらみんなに言おう・・・僕はアカリンと・・・)」
どうやら、ガムはこの敗北で一皮むけたようだ・・・
ガムは大急ぎですぐそこの水辺へと向かっていった!

――――――――――

「…………」

RXの意識の中

「?ココはどこだ・・・」
真っ暗な空間にただ一人傷ついて倒れている
「・・・真っ暗な所だ・・・背中の火もついてない・・・でもなんで・・・俺は助かったのか?あれは夢なのか?・・・解らない・・・だが・・・一体何があったんだ・・・・・?」
真っ暗な空間に一匹のポケモンが現れた・・・
「!・・・お前は・・・グッ」
立とうとしても激痛が走る
「クッ・・・好きな様にすれば良い!だけど俺は改造なんかにはくっしないからな!」
声を出すので精一杯だった・・・
「クッ・・・どうする気だ!」
エーフィ・・・ルエルスはそのまま笑いながら消えていった・・・
その後RXは気が楽になる気がして倒れた・・・

「う・・・ん?」
RXは目を覚ました。
「・・・?誰もいないのか?」
たくさんの木が見えることから森であることは想像できるが・・・誰も見あたらない
「・・・・・? 何かの鳴き声? なんだ、敵に襲われているような叫び声・・・!? クッ・・・でもこの森の構造も体も動かない」
RXはなぜかマヒ状態になっているかのように動けない。
「ク・・・ソ! 麻酔でも残ってるって言うのか?そんなはずは・・・クソ・・・!・・・・」
戦いたくても戦えない
「ク・・・それに今の俺は戦えないか・・・所詮この程度・・・あの時貰った神田さんの命・・・無駄に出来ない・・・! だけど・・・あのままだれが俺を助けた、なぜ誰も居ない?・・・救援活動って奴か?」
ルエルスは別に救助活動に言っているわけでもない。と言うより、彼女はすでにこの場にいない。

「フッ・・・所詮雑魚だな・・・無駄な力を使ったか」
多数のポケモンが倒れている中心に、そこには黒いイーブイがいた。
「クックックッ・・・RXGHRAM・・・ココに居るか・・・」
「?・・・誰か来る!」
草を踏む音が聞こえて、それはRXのそばにとまった。
「誰だ!?」
RXの前には黒いオーラを放つイーブイがいた。
「・・・RX・・・・! フィの居場所を教えて貰おうか」
黒いイーブイは言った
「フィ・・・!まさかこの世界にいるはずは・・・イヤ・・・ヒメヤさんの銃器の件もある、ありうるな・・・・迷い込んだのか・・・! だったらこっちが聞く!貴様は・・・!!!まさか・・・・ディ!」
RXはそう言った・・・
「ディ・・・そうだな・・・俺はディだ・・・!だが・・・お前も知ってるとおり・・・」
ディは悲しく言った
「・・・・ディ!やるか!?だとしたら!本気で叩きつぶす!」
RXはディをにらみつける
「・・・・・・・・ほぉ・・・まぁ良い・・・フッ」
ディは闇に消えた・・・・

そして、RXは再び眠りについた。

――――――――――

・ガムに再戦の予告を告げられ、1時間以内に戻ってきて今度は勝利する!と宣言されたアカリン・・・
「うーん、あんなこといわれてもね、私もユーリ達と早く合流しなくちゃいけないし・・・」
アカリンは困っていた
「ガムくんには悪いけど、書き置きだけ残して行こうかな・・・」
アカリンは、ポケモンタワーの入り口の外まで出てきてそう考えていた。
その時!
「カサッ・・・」
「!・・・誰!?」
シオンタウンの向こうから物音がした!ちょうど8番道路付近からだ!
「そこにいるのは誰なの?」
ここの近辺にはガムとアカリンしかおらず、ビーストの気配さえ感じないというのに・・・アカリンはそこへ目をやった。
すると草むらの中から
「フィ〜」
「イーブイ・・・?」
一匹の♂のイーブイがよちよちと姿を現した。澄んだ赤色の目をしたイーブイだ
「 ん・・・? 君は?どうしたの?」
アカリンは警戒体勢を解くと、その♂のイーブイに話し掛けた
「フィ?」
「(か・・・可愛い〜〜!!」」
アカリンはそのクリッとしたイーブイの表情に[メロメロ]状態なってしまった![メロメロ]が得意なアカリンが・・・
「どうしたの?もしかして、迷子になったの?」
アカリンは今までにないぐらいの笑顔で、そっとそのイーブイに近づいた・・・が
「フーッ!!」
イーブイはものすごく警戒している。
「(あらら・・・困ったなぁ)」
イーブイはアカリンに向かって[たいあたり]を仕掛けるが、
「えへっ☆ こわがらなくてもいいんだよ、私はあなたの味方!」
そのイーブイの[たいあたり]はあまりにも弱々しくアカリンは、いとも簡単に受け止めてしまった。
「うっ・・・うっ・・・」
「ううっ・・・ひっく・・・」
「ウェーン!ウェーン!ウェ―――ン!!」
イーブイは大声で泣き出してしまった・・・
「え?・・・ええっ!?」
困惑するアカリン
「え〜っと、こんなときどうすればいいんだろう? え〜と、え〜っと・・・ファビオラさんだったらどうするのかなぁ・・・」
アカリンはあたふたしながら考えた
「・・・そうだ!!」
アカリンはイーブイの首の巻き毛をくわえると、そのまま自分の首の巻き毛へ寄せて抱擁した。
「フィ・・・フィィィ・・・」
イーブイはアカリンの首のモフモフを感じて、泣き止むとそのまま眠り始めた
「スースー・・・zzzzz」
ブースターの体温は900℃というが、それは体に炎をためている時。
戦っていない今は、そのモフモフはあたたかいモーフになったのだろう・・・
「ふぅ、よかった〜! しかし、どうしたんだろうこの子・・・どこかで見たような気が・・・」
アカリンはイーブイを見た
「(この子・・・まだ、赤ちゃんみたい)」
アカリンはそのイーブイが、先ほどから言葉をしゃべっていないことに気づいた。まだ、1歳にも満たない赤ん坊のようなのだ。
「・・・フィ?」
「あ、起きた!」
アカリンはイーブイを巻き毛からイーブイを出した。
「クウゥゥゥ・・・」
「?」
イーブイのおなかのなる音だ
「う・・・うっ・・・ウェ――ン!!」
イーブイはまた泣き出してしまった・・・
「う〜ん、おなかが減っているのかなぁ・・・でも、私は今、モモンのみしか持っていないんだけどなぁ」
アカリンは可愛いもの好きの性格のためか、かなりの甘党で、きのみもモモンのみやカイスのみなどを主に食べている。
「ほら、モモンの実だよ☆ 口に合うかな?」
アカリンはモモンのみを手に、イーブイに出したら
「!・・・パクッ!!」
イーブイはモモンのみを見るや否や、アカリンの手ごと[かみつく]ような勢いでモモンのみを口にした!
「ハグハグ・・・!」
「うわぁ・・・よっぽどおなかがすいてたんだね☆」
アカリンはイーブイの口から手を抜いて、平気そうな顔をしてにっこり笑うと
「まだまだあるよ!もっと食べる?」
「フィ〜〜!」
アカリンはフィにモモンのみを与えながら思っていた
「(でもこのイーブイ、どこの子なんだろ・・・?)」
まだ幼い子どもだから、親がいれば届けないといけない。澄んだ赤色の目をしたフィ〜と鳴くイーブイなんて珍しい、この世界でイーブイはそんなに数が多くないから、ブイズの誰かに聞けば何か分かるかもしれないと考えていた。

***************

・その頃、ガムはシオンタウンからそう遠くない12番道路にいた。
海ぞいに伸びるとても長い道・・・
「・・・」
ガムは板橋から、水面に移る自分の顔を見つめつつ、考えていた
「(あの時の戦いは、自分とアカリンの実力はほぼ互角だった・・・)」
アカリンの[のろい]による能力向上と自分への[あまえる]や[くすぐる]による能力低下・・・
「(純粋に力だけで戦っていたら、アカリンに勝つ自信さえあった・・・けど)」
ガムは水面に前足を入れた
「技だ!今の自分には技が足りない!アカリンを上回るほどの新戦法を今すぐここで、身につけなくちゃ!!」
・・・!何を血迷ったのか、ガムは水の中に飛び込んだ!
「それをおこなうには、ボヤボヤとなまぬるい修行を行っている時間がない・・・とにかく『荒行』だ!!」
ガムは弱点の水の中で[でんこうせっか]や[アイアンテール]を、シャドーボクシングのようにくりだしていた!!
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
しかし、30分経つ頃には、新戦法どころかガム自身の生命が危うくなってたまらず、板橋の上に戻っていた・・・これじゃまるで自殺行為だ。
ブースターになったガムは改めて思った・・・
「人間界にいた頃は何ともなかった水が、こんなに恐ろしいものだったなんて」
ガムは場所をかえて特訓をしようとその場を後にしようとした・・・その時!
「うっ!」
突然、身体が重くなったような感覚が走ると、目の前にあったシオンタウンが見えなくなった!
「この感覚は・・・[とおせんぼう]!?」
ガムは後ろを振り返った!
「さっきからうるせぇんだよ・・・」
そこには、いかにも機嫌が悪そうな目つきをしているハガネールがいた
「!・・・あ・・・あ」
ガムはそのハガネールを見るや否や、まるで[かなしばり]にあったような恐怖を感じ、身体がすくみあがってしまった。
「お前がうるさくて、イワヤマトンネルでいちいち昼ねもできやしねえ・・・って、ん?お前どこかで・・・」
ガムはこのハガネールの顔を絶対に忘れない・・・
そう・・・ガムがこの世界に飛ばされた時、このハガネールの頭の上に落ちてきて・・・されるがままに、逃げてきてみんなと出会ったのだ。
「ははぁ・・・お前、あの時のブースターか?・・・オレは今、むしゃくしゃしてんだ!」
そう言うとハガネールは無防備状態のガムに[アイアンテール]を放った!!
「ぎゃぁぁ!!」
今のガムなら避けられるはずの[アイアンテール]・・・それが避けられない。
ガムにとって、この世界に来ていきなり襲われたハガネールが唯一のトラウマになっていたのだ
「【ゴットフリート】だか【ビースト】だか知らねぇが、ただの野生ポケモンの俺様にはかんけーねー!縄張りを荒らされたらそいつを殺るだけだ!」
ハガネールは[じしん]をくりだした!とうぜん、その攻撃は臆しているガムに直撃・・・!
・・・・・・・
水で弱った身体に追い討ちをくらわせるような、情けないほどのやられっぷり・・・こんな状況を何と説明すればいい?
「!」
ガムは、人間界の頃のセリフをまた1つ思い出した
「(これだ・・・これが『逆境』だ・・・!!)」

『逆境』とは!
思うようにならない境遇や不運な状況のことをいう!!!

不思議と・・・この状況が、かえって苦しくなくなってきた
「そうだ・・・これが『逆境』だ・・・!これこそが、神様が自分に与えてくれた『逆境』なんだ・・・!」
「この、ハガネールに勝てないようじゃ『アカリンに勝つことなど、夢のまた夢だ』と・・・ようやく神が味方したんだ!!」
ガムはふらふらと立ち上がりながら、そうつぶやいた
「んー・・・?なんだ?まだ生きてたのか?」
ハガネールはガムに気付くと再び[アイアンテール]を放つが、
「昔の・・・昔のことが・・・ハガネールが何だ――!!!」
ガムは叫びながらハガネールの[アイアンテール]に対して、[でんこうせっか]で真っ向からぶつかっていった!!
「ぎゃぁぁ!!」
悲鳴をあげたのは・・・両者だ!!
信じられないことに、[でんこうせっか]と[アイアンテール]が互角に打ち合った!
「へ・・・へへ!」
「こいつ・・・バカか?」
ハガネールの言う通り、ガムは完全に逆上していた。
「俺は今!『トラウマ』という最大の『逆境』を!・・・完全に乗り越えたのだ!!」
一人称まで変っている・・・だが、それが一世一代の大逆上でもあった・・・!!
ガムはやがて、黒い塊(シャドーボール)を取り出すと、その黒い塊に[ほのおのうず]を一点集中させ始め
「男の魂、充電完了・・・!!」
その火の玉のようなシャドーボールをハガネールに向かって投げつけた!!
「うぉぉぉぉ・・・ボ・・・ボールに目が―――!!?」
ハガネールがそのシャドーボールに異常なものを感じた時、動きに隙が生じた!
「今だ!」
ガムはハガネールにとびつくと、
「爆発しろ![ほのおのうず]発動!!!」
ハガネールを手一杯につかみ、自らに[ほのおのうず]を放つ!!
「ぎゃぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!」
するとハガネールを中心に火柱がうなりをあげた!!
これは・・・ボスゴドラ戦で使った特殊版の[B・R・C]だ!!
「(やった・・・!)」
ガムがそう思ったとき
「ちょ・・・調子に乗るな・・・!!」
「!?・・・うわぁ!!」
ハガネールは炎に包まれている状態でそのままガムに[しめつける]をかけると
「死なばもろとも・・・!!」
「!!!!」
ドガァァァァァァァァアァァ――――――――ン!!!!!
ハガネールはしめつけたまま、[だいばくはつ]を使った!!

*******************

・ポケモンタワー・・・もうすぐ1時間が経過しようとしている
「ガムくん遅いな〜・・・」
アカリンは入り口の手前まで降りて待っていた
「やっぱりガムくんには悪いけど・・・」
アカリンが振り返ったその時!
モコモコモコ・・・・
「?」
アカリンの目の前の地面がもりあがって・・・
「ぷはぁっ!!」
「うわっ!」
突然、ブースターのガムが地面から姿を現した!
「じ、時間は?・・・よし!何とか間に合っ・・・た!!」
「ガ、ガムくん!地面から!なんでわざわざ地面から?」
アカリンが面食らった顔で
「それに、なに!?そのすごい傷!とてもきけんだよ!!」
ガムに問い掛けた
ガムは、あのハガネールの大爆発の瞬間、[あなをほる]で地中にもぐり、ダメージを最小におさえていたのだ!・・・でも決してダメージがなかったわけではない・・・
「く、詳しい話はあとで・・・アカリン・・・!約束どおり今度こそ君に・・・勝つ」
そんな自信に満ち溢れたガムの表情とは正反対に、足はもうガクガクで今にも倒れそうだ・・・
「ガムくん・・・」
アカリンは「バトルはやめにしよう」と言おうとしたが、その足とは正反対に自信に満ち溢れたガムの表情を見ると
「・・・わかった!ガムくん、バトルだね☆」
アカリンはガムとの再戦を受け入れた
「やった・・・!」
ガムはふらつきながらも、ポケモンタワーの中へ入っていった
「でも、今度は勢いあまって再起不能にしてしまっても恨まないでね、えへっ☆」
「望むところ!!」

――――――――――

あかつき!と水無月がフローレンに誘拐らしきことをされてから、2時間後。Cチームは40階にいた。
いた……というか、地に伏せて、倒れていた。
それぞれの背中に、複数の鉄の棘や銀の針やサボネアの針が突き刺さって、その光景はなんとも痛々しい。
しかも、彼らの体からは何が焼けているような煙の筋がいくつも立っていた。
悠もアッシマーもワタッコもルカ☆もあきはばらも、みんな倒れていた。
その光景は全滅というに相応しい。
いや…正確に言うと、三人だけ立っていた。
「ふう、やっと終わったな……思ったより手間取った」
「…………」
「…………」
ドリームメイカーの一員にして医療班のヒャクエ、そしてそのお付きのユフとフウチだった。
三人は倒れている五人を見てため息をついた。
「こういうことは私には専門外だったからな。やはり、いつもやっていないと腕が鈍るし、普段からの習慣付けが必要だ…」
「…………」
「…………」
不意に悠の体が動いた。
「どうした?悠君、痛いのか?」
悠は辛そうな顔で無言でゆっくりと頷いた。
「分かった、今楽にしてやる」
ヒャクエは不気味な足音を響かせながら、悠の体に近づいた。そして、その体に刺さった銀の針を一本抜いて、再び…悠の体に突き刺した。
悠は一瞬痛そうな顔をしたが、安らかな顔に変わって、そのまま眠りについた。

「よし」
ヒャクエが呟いた後に、不意にアッシマーが話しかけた。
「…最高ですよ、ヒャクエさん。僕は針治療なんて受けた事がなかったから最初はかなり怖かったんですが
実際に受けてみると……いや、とても気持ちいいとは言えませんが…口では言い難い感覚がなんとも」
「そうだろう? 本当は私の専門は漢方薬なんだが一応鍼灸治療もできる、まあ任してくれ」
アッシマーはヒャクエたちが《漢方の医者》だったことに驚いていた。35階で会った時は絶対に《霊的祈祷的な何か》だと思っていたのに……まあそれは置いといて。
「ともかく早く塔を出て、早くビーストやらを追わないといけませんね…」
「いや、君達は今までの戦いの連続でかなり体がガタついているから、まずはゆっくり療養してからにしてくれ。
このまま、ましてあんな奴なんかとぶつかったらそれこそ犬死だ。君達には万全な体勢で挑んで欲しい」
ふと、アッシマーはファビオラの《めざめるパワー》を受けた後のこと、そして船上で瑞が無くなったときのことを思い出した。
自分が医療行為を受けたのはこれで三回目になるんだな……一回目は気がついたらベットの中にいて、バク次郎やラティオスさんたちが看病してくれたっけ
そして、二回目は…爆風で顔面を大火傷して、アレクセイに麻酔無しで手術された。でも腕は良かったのか術後の経過は良好だった。そしてこれが三回目。
ビーストが登場して、僕達とドリームメイカーの戦いは本当に休戦したのだろうか、ゴットフリートは悪者だったのか、
もし自分達を促成で強くさせるためにドリームメイカーが戦っていたならば、なぜファビオラが殺させなければならなかったんだ…?!アッシマーはこれを期にそういうことを考えようと思ったが、止めた。疲れていたからだ。
「要するに、ドクターストップというわけですか……分かりました」
そう言って、アッシマーはとりあえず寝ることにした。

――――――――――

ポケモンタワーの内部・・・ガムとアカリンのバトルが今またここでおこなわれようとしている。
アカリンが技の構えをとると、また、ガムも戦闘体勢に入った!
「では、[のろい]にはいりまー・・・」
「うぉぉぉぉぉぉぉぉお―――――!!!」
「ひゃあっ!」
アカリンの[のろい]による能力向上をガムの[ほえる]が阻止した!
「さすがガムくん・・・もう同じ手はつうようしないんだね☆」
ガムは「へへっ!」と笑い
「びっくりしたろ?」
とアカリンに対して自分の修行の成果を自慢するように言った
「うん!だって[ほえる]だもの、吠えられたら普通びっくりするよ」
「上手い・・・」
ガムはアカリンに「座布団一枚」と言いたくなった
「でもね☆私だってまけないよ!」
アカリンはすかさず[でんこうせっか]をくりだした!
「こっちも!」
ガムも[でんこうせっか]で応戦した!ワザ同士のぶつかりあいだ!
「えへへ☆」
「ぐぅぅっ・・・」
しかし、この攻撃は身体に相当なダメージが残っているガムの方に分が悪く、アカリンにせり負けてしまった
「そのまま、[かみつく]いきまーす☆」
アカリンはとっくみあいの状態で[かみつく]をおこなおうとする・・・が
「アカリン・・・」
ガムの言葉が変だ・・・
「(アカリン・・・大好きだよ)」
ガムはアカリンのピンと立った大きな耳へ、息をかけるようにささやいた
「ひゃあぁぁぁっ!!」
アカリンは完全にひるみ状態になりガムはその隙にとっくみあいから脱出した
もちろん、こんなワザがポケモンにあるはずない・・・ガムがアカリンのみに有効な反則的[ねこだまし]といったところか
「ガムくん・・・真面目にやってよ〜」
アカリンが半泣きになっている
「ご・・・ごめん、カワイかったからつい・・・」
アカリンの顔がキッとなる
「もう怒ったんだから!」
アカリンは黒い塊を取り出した
「お前なんか死んじゃえ![シャドーボール]!!」
アカリンはその黒い塊をガムめがけて、ものすごい勢いで飛ばした!
「(・・・きた!)」
ガムはその攻撃を避けようとしない
「ガムくん!?どうしてよけないの?死ぬよ?」
ガムは人間界での一句をつぶやいていた
「男の3つの条件がそろった時、男は無茶を承知で戦うんだ」
ガムもまた、黒い塊(シャドーボール)を取り出した!
「1つ!男はいざという時にはやらなければならない!」
その黒い塊に[ほのおのうず]を一点集中させた!
「2つ!今がいざという時である!」
「そして、3つ!俺は・・・俺は男なんだ!!」
一人称が変っている・・・そしてガムは、その火の玉のようなシャドーボールを[アイアンテール]で打ち放った!
ちょうど、[アイアンテール]が野球のバットのノックの原理だ!
「これが人間界にあやかった、新必殺技、ブースター版【男球(おとこだま)】!!」
「男の魂の球が」
「アカリンに打てるか――!!」
いつになく挑戦的なガム。
その魔球のようなシャドーボールがアカリンのシャドーボールを粉砕すると、アカリンへ目掛けて一直線だ!
「ガムくん、『必殺技』ってのはね、ただ単に工夫をこらせばいいってものじゃないんだよ」
しかし、アカリンは[アイアンテール]で打ち返す構え!・・・が
「!?・・・きゃぁっ!」
アカリンらしくもない技の直撃をまともにうけてしまった
「何?今?ボールに目があったような・・・」
驚くアカリン
「男の魂・・・充電完了!!」
「もう1発!」
ガムは【B・男球】を再びアカリンに打ち放った!
「やっぱり・・・ボールに目!?」
ガムの打ち放った【B・男球】に[にらみつける]の形相の目が意志をもった人面疽のごとく、くっきりと焼き付けられていた。
シャドーボールを取り出す際、[にらみつける ]を強烈にボールに焼き付けていたのである!確かに、ボールに魂を宿してはいけないというルールはないが・・・
「すごいよ!ガムくん!それは私には使えない技だ・・・でも私に同じ技は2度も通用しないよ!悪いけど、2度目は返させてもらうからね☆」
アカリンはガムの[B・男球]に対抗して、[ほのおのうず]を発生させると同時にそのうずの中心の勢いにのって[こうそくスピン]の原理で自ら高速回転しだした!
そして自回転[アイアンテール]を使い[B・男球]をはじきとばした!
「!・・・その技は!?」
ガムは驚かずにはいられなかった!
つめとしっぽの違いさえ除けば、その技はあかつき!の使う[M・R・S]と酷似していたのだ・・・というよりも、その技そのものなのだ!!
「これが私の4つ目の技【ブースター・スピン・クラッシュ】!!」
アカリンはそのまま自回転の勢いにまかせ、
「さあ、ガムくん!覚悟はいい?」
コマ回りの原理でガムに突撃していった!!
が、ガムはその攻撃を避けようとしない。
「だけど、その技の弱点は知っている!技発動の隙が大きすぎるんだ!!」
ガムは自分もまた[ほのおのうず]を発生させると、さきほどアカリンがした時と同じように自らも回りだし、【B・S・C】・・・とまではいかないものの、逆回転しながら迎え撃った!あとは力比べの状態だ!
「きゃぁっ!」
「うわぁっ!」
コマとコマのぶつかりあいは全くの互角!お互いの回転の勢いが相殺されるとガムと、アカリンは間合いをつめた
「アカリン・・・借り物の技で勝とうなんて・・・僕を甘く見ないでくれ」
「えへへ・・・そうだね☆ガムくんにはやっぱり、私だけの必殺技でいかなくちゃ」
そう言うと、アカリンは2発の[ほのおのうず]をガムに放った!
「これは・・・あの時の!?身体が・・・身体が動かない!!」
1発目の[ほのおのうず]がガムの身動きを封じる
「それではアカリン、[T・T・C]いきま〜す☆」
アカリンは2発目の[ほのおのうず]を[でんこうせっか]で駆け上がるとそのまま空中高くジャンプし、[アイアンテール]で急降下してきた!!
「ツイン・トルネード・クラ――ッシュ!!」
「うわぁぁぁぁっ!!」
ガムはここに来て2発目のアカリンの[T・T・C]をくらい、倒れてしまった
「ふぅ・・・」
アカリンは華麗に着地をした。
「また私の勝ちだね☆」
アカリンは勝ちを確信した表情でガムの方を見た
「う・・・うぅ」
「!?・・・嘘!何で!何で、立ち上がってこれるの!?」
ガムはスズメの涙の体力に加えて必殺の[T・T・C]をまともにうけても、なお立ち上がってきた!
・・・ガムは自分に語りかけていた
「(華麗な技を持つアカリンは『静』・・・対する力任せの自分は『動』・・・)」
「(お前に『華麗』なんて言葉が似合うと思うか?ガム?)」
ガムは黙り込んでいた
「ええい!こうなったら!」
アカリンはガムに対して1発の[ほのおのうず]を放ち、ガムをガッチリとつかむと、そのまま[でんこうせっか]で駆け上がり、落下投げの体勢でジャンプした!!
「シングル・トルネード・クラ――ッシュ!!」
アカリンがガムごと脳天からまっさかさまに地面へ、きりもみ落下しようとした・・・その時!
「(今だ!)」
ガムはアカリンの技を[てだすけ]した!
「ガムくん!何、バカなことしてるの!?私の技を[てだすけ]するなんて!」
「いいや!これを・・・これを狙っていたのさ!!」
ガムは[もらいび]をフルに発揮し、先ほどからガムとアカリンが何発も放っていたあたり一面の[ほのおのうず]の火力と[てだすけ]したアカリンの[S・T・C]の火力をすべて吸収した!
「きゃぁっ!」
そのままガムは[S・T・C]を力で返し、そのまま[B・R・C]に切り替えた!
「よし!」
ハガネール戦から、ひどかった傷がうそのように・・・なんともない!
「新必殺技その2!未完成【ブースター・ラブラブ・ローリングクラ―――ッシュ】!!!」
ガムは脳天からアカリンを自分ごと地面に叩き落した!!
「あぁぁっ!!」
そしてそのまま
「爆発しろ![ほのおのうず]発動!!」
アカリンは立ち上がる余裕もなく
「また、[ほのおのうず]!?・・・きゃぁぁぁっ!!」
ガム自身に蓄積されていた[ほのおのうず]の火力を一気に開放するとアカリンを自分ごと空高く巻き上げ・・・
「いっけぇぇぇぇぇ!!!」
ガムはアカリンの首に[アイアンテール]をひっかけ、
「[スカイダイブドライバー]もどきぃ!!!」
力まかせの[スカイダイブドライバー]をアカリンにかけた!!
「!!!!!」
技は見事にアカリンの、のど元をとらえていた!
「・・・やった!!」
[もらいび]による能力向上による、カウンター勝利・・・!
ガムにとって生涯を共にしたい人であると同時に、超えるべき壁でもあったブイズの切り込み隊長にしてNo.2の『モエる朱色』アカリン・・・
ガムは気絶したアカリンを見て「やっと・・・」と感じずにはいられなかった!
「う・・・う」
「!・・・アカリン!大丈夫!?」
ガムはアカリンのもとに駆け寄った!
「だ・・・大丈夫、ガムくん・・・あなたの勝ちよ」
「アカリン!今、[ねがいごと]をかけるから!」
「ううん・・・それより、ガムくん・・・教えてくれない?」
「?」
「あの時・・・どうしてあの時、あんなに私の技を受けたのに立ち上がってこれたの?」
『あの時』・・・アカリンが[T・T・C]を満身創痍のガムに仕掛けたときのこと・・・
「・・・アカリンが一発目の[ほのおのうず]を仕掛けた時、[もらいび]でとっさに吸収したんだ。
それが僕がアカリンに勝てる唯一の見込みだった・・・技数でも華麗さでも僕より勝るアカリンに勝つには、この戦法しかないと・・・」
「そうだったんだ・・・」
アカリンはもう1つガムに質問した
「あの技は?ただの[B・R・C]じゃないの?」
『あの技』・・・ガムがアカリンに仕掛けた「未完成[B・L・R・C(ブースター・ラブラブ・ローリングクラッシュ)]」のこと・・・
「この技は・・・元々、僕1人で使う技じゃないんだよ・・・」
「う・・・ん?」
「いつかRXさんの[かえんぐるま]との友情の[B・R・C]を完成させた時に思ってた・・・君との愛情の[B・R・C]も完成させたいと・・・」
「・・・」
「この技は、僕とアカリンが2人で[ほのおのうず]と[てだすけ]を使って繰り出す[B・R・C]だけど・・・それだけじゃないんだ。
純粋に技としても効力を発揮するけれど、本当に恐ろしいのは使用後・・・[もらいび]を利用して僕にも、アカリンにも力を分け与えられる愛の究極技なんだ・・・例えるなら原理は『幽○白書』の『邪王炎殺黒龍波』・・・」
「そうか・・・ガムくん、すごいよ・・・本当に1時間で強くなるなんて・・・」
アカリンは再び気を失ってしまった・・・
「[でんこうせっか]で突撃するだけじゃくってこの技にもバリエーションがあるんだけど・・・ってアカリン?・・・アカリ――ン!!」
心に決めた人の[ひんし]を見て取り乱すガム
「くそっ・・・!あの時、力を込め過ぎた・・・!」
ガムは急いでアカリンに[ねがいごと]をかけ始めた・・・

***************

・「・・・う・・・ん?」
「気がついた・・・よかった!アカリン!」
アカリンはガムの[ねがいごと]により回復させられていた
「うぅ・・・ほんとうに・・・本当によかった・・・」
ガムの目からは涙が流れている
「今度は私がガムくんに助けられたね・・・」
「うん・・・」
「えへっ・・・☆」
アカリンは、ゆっくり体を起こした
「約束だもんな・・・」
アカリンはガムのそばに寄り添い、そして
「あなたに・・・ついていきます☆」

・・・ガムは後に熱く語る・・・
(この時のアカリンは今までの中でも1番綺麗だった)


*****************

「この戦いが終わったら・・・一緒に暮らそう」
「えへっ☆」
ガムとアカリンは少し顔を赤くしていた(元々、赤いが)
「フィィ・・・」
すると、ポケモンタワーの階段の影からイーブイが姿を現した
「あれ? フィちゃん・・・」
「フィ〜!」
フィと呼ばれたそのイーブイはアカリンをすっかり気に入ってしまったみたいで、アカリンの首のモフモフに飛び込んだ
「えへっ☆ 君はやっぱり可愛いな〜!」
「?・・・アカリン・・・?ちょっと、そのイーブイ見せてみて!」
「フィ〜」
しばらくそのイーブイとアカリンを見ていたガムが、アカリンからイーブイを受け取った
「どうしたのガムくん?」
「フィ〜♪」
不思議な事にアカリンに慣れるまで時間のかかったイーブイが、ガムに対しては全く警戒しない・・・
「アカリン、この子はどうしたの?」
ガムはイーブイの澄んだ赤色の目を見ていった。
「いつのまにか、ここの塔に迷い込んでいたんだ。ルエルスさんに聞いたら名前は【フィ】というみたい、ルエルスの知り合いの子どもみたいで、オレンの実が好物だとか」
「【フィ】?」
ガムはRXの構想している小説とRXのウェブサイトのマスコットにそういう名前のイーブイがいたことを思い出した。
「RXさんのイーブイのフィ?」
「え? RXさんの?」
聞き返されたガムはアカリンに説明しようかと思ったが、事情が事情でうまく説明が出来なかった。
「・・・う〜ん、よくわからないや。とにかく、フィちゃんはRXさんが可愛がっていたイーブイだったんだね☆」
アカリンはフィに彼の大好物のオレンのみを与えながら言った
「ハグハグ・・・」
おいしそうにオレンのみを食べるフィ
「うん・・・だいたいを言えば、そうなんだけど・・・でもどうしてフィがこんなところに・・・」
ガムは少し考えていた
「僕はこれからフィをつれて、クチバ経由で悠さん達のいるグレン島にもどろうと思う。アカリンは?」
ガムはフィの巻き毛をくわえて自分の背中に乗せた
「私は、ステアさんにたのんで[テレポート]でグレン島へ送ってもらおうと思う。ガムくんより先に到着しているかな?」
「それじゃあ、しばらくお別れだね・・・」
ガムはフィを連れてアカリンのもとを去ろうとした時
「うっ・・・うっ・・・」
「フィ?」
「うっ・・・ひっく・・・」
「フィちゃん?」
「ウェーン!ウェーン!ウェ――ン!!」
突然フィが泣き出してしまった
「ああ!フィちゃん!泣かないで!」
アカリンが駆け寄ってきた
「フィ〜・・・zzz」
フィは安心したように眠りだした
「困ったなぁ・・・」
・・・どうやら、フィはガムとアカリンの2人ともすっかり気に入ってしまった様子で、2人が分かれようとするとぐずりだして泣き出してしまうのだ・・・
「しょうがない・・・」
ガムはアカリンにフィを渡すと
「しばらく3人で行動したほうがいいみたいだ・・・」
「うん、そうだね・・・」
ガムとアカリンはフィを起こさないようにひそひそ声で話した
「ところでガムくん?今、思ったんだけど」
アカリンがフィを見ながら、ガムに話し掛けた
「この子でわからないことがあるんなら、同じイーブイのドリーフさんに聞けば何かわかると思うんだ、本当はルエルスさんとかに話したいんだけど、彼女の口調からちょっと触れにくいことみたいだから」
「ドリーフさん? アカリンのいるブイズのメンバーのこと?」
「うん☆」
「よし!じゃあ、行き先変更!まずドリーフさんにフィを見てもらおう!」
「しゅっぱつ!しんこう!☆」
「フィ〜!」
分かれるとフィが泣き出すので、ガムとアカリンはしばらくの間フィを連れての共同行動をとることにした
分かれるとフィが泣き出しそうなので、ガムとアカリンはしばらくの間フィを連れての共同行動をとることにした。


――――――――――

彼はフォリア
ドリームメイカーズで「漆黒の冥王」とまで呼ばれていた
だがその本質は
ゴットフリートに恋人と家族を捕らえられているからである

そして彼の任務の一つ・・・それを紹介しよう

「目標を見つけた・・・作戦に入る」
色違いのブラッキー...フォリアの声が森に響く
RXは森の中に倒れていた

「ココは何処だ?」
RXは起きた。自分がなぜココに居るかも解らないが、さきほどと違って、だいぶ動けるようになっていた。
黒いテントにテーブル・・・そしてたき火がついている。
自分は寝袋の中に入っている・・・首だけ出ていて死んでるかのようだ
「君はね・・・森に倒れていたんだ、Beastと相打ちに成ろうと考えたみたいだけど・・・君は運がよかったようだね、いや人望が良かったのかな? 灰にして燃やしてすべてを再生させるというけれど、ホウオウは君を復活させてくれたそうだよ、あとは彼女の手当てが上手だったからかな? ここは6の島のはずれの島だね、・・・そして・・・今は彼女が持ってきた薬で痛みを無くしてる」
フォリアはRXにそう説明した
「・・・ッ・・・」
RXは体がかなり痛む
ホウオウの加護を受けていたと言っても、完全復活なんて都合の良いことは存在しない。
無茶をしたのだ、それだけの損害はあるのだろう・・・
「今は安静にしていた方が良い・・・僕たちは・・・心がもろいから協力して生きていけるんだ・・・今僕が君を助けたように・・・ね」
フォリアはたき火にあたりながらいった
「・・・何でお前は俺を助けたんだ?」
少しの沈黙の後RXはフォリアに言った
「・・・僕が君を助けたかっただけさ・・・君が死にそうになってるのを見捨てておくわけにはいかないだろう?」
フォリアはRXを見もせずにただ燃える炎を見つめながら言った
少し沈黙が続いたが今度はフォリアから話を切り出してきた
「君はなぜ戦うんだい?戦ってもお互いが傷つく・・・そんな悲しいことしか待っていないのに」
炎を見続けながらフォリアはRXに問いかけた
RXはホントはかなり辛いのだがこれだけ言って目を閉じようと思った
「あいつ・・・Beastが仲間を傷つけるのがイヤだからだ・・・そしてアイツ以外に仲間を傷つける奴も許せない」
RXはこういって目を閉じた
「まるでガラス細工・・・少し触れば壊れてしまいそうに純粋な心だ・・・君も君の仲間も」
フォリアはそう言ってどこかへ行った

*****

「・・・?どう言うことだ・・・なぜ君がココに居る・・・死んだはずだ・・・」
フォリアはあるポケモンを見つめながら言った。
「・・・・」
目付きの悪い鳥ポケモン・・・・色違いオオスバメだった・・・
だが何か違う
「・・・まさか!?キミは」
フォリアはゼロを見つめていたがゼロはRXが居るテントを目指して飛んでいった
「それがコピーだろうが何だろうが・・・今の仕事の邪魔はさせるわけにはいかない・・・」
フォリアもゼロを追いかけるがあちらがダンチに速い

「Zzz・・・百式ぃ・・・」
鼻提灯を作りながらRXは黒い寝袋の中で寝ている
そんな所にオオスバメが着地する
そして・・・不気味な笑みを浮かべる

「あれは復讐に狂った龍のせいで狂ってしまったのか・・・?! 奴が作り出したコピー・・・今の彼には荷が重すぎる」
フォリアはスピードをあげる

「・・・この時を待っていた・・・・待っていた・・・待っていたぁああ!!!」
破壊光線の体勢にオオスバメのジルベールは入る
「・・・Zzz」

「間に合わないみたいだな・・・チッ・・・しょうがない」
フォリアは空高く舞い上がる
「・・・」

「?!フォリア?どういう事だぁ?」
翼でフォリアを吹っ飛ばすがフォリアは消える
「そうだったなぁ・・・お前は分身を作り出し攻撃する自らは隠れ・・・そして自分も前線にでたり消えたりを繰り返し当たれば改造された時に身につけた能力で瞬時に身代わりと変わる・・・だが体力を削るから何十分続くかなぁ」
コピー・・・コピージルベールは狂っている様だ
そして高速で飛び回り、つばめ返しで分身を叩き落す
「・・・」
数多くのフォリアが消えるが上空からだましうちが当たったり等
おかしな攻撃でジルベールは戸惑う
「?!もぉいい・・・奴を殺す!」
はがねのつばさをRXに向けて打とうとしたが、しっぺがえしで防がれる
「・・・・ぬぉぉぉぉぉぉぅぉっおおういお」
狂いに狂ったかついに気が触れたのだろう
意味不明な言葉を発する
コピーだからなのか、うまく自分で意志すら制御できなくなっている・・・
うまくいかないことが精神的ダメージだったのだろう
「ぐぉぉぉぉぉぉぉっとっぉぉぉ」
強力なエネルギーを口に集める。破壊光線を撃つ気だ!
「・・・哀れだねその意志はついに制御できなくなった」
口から光線を放つ瞬間シャドーボールで口を閉じられ
ゼロは自滅した
「・・・・さて・・・RX君に見つかる前に僕は退散しないとな・・・・自分の仕事をまっとうするだけ・・・フィちゃんを探さないと」
その後フォリアはどこかへ姿を消した。

――――――――――

Fチームは迷っていた。真夜中の海に、ポツンと、船が浮いているだけだ。
「迷ったな・・・。」
「迷いましたね。島1つ見えないし、方角までわからなくなりましたね。」
2人が顔を青ざめて会話してるのに対して、澪亮は余裕の表情である。
「まあ、なんとかなるだろ。」
澪亮は[なんとかなるだろ精神]だった。そんなFチームに世にもラッキーな事に、別の船を見つけた。それは、ベル達の乗っていた船だった。
「瑞さんがいますよ・・・!!」
ひこが言うと、Fチームを乗せた船は真っ先に、ベル達の船に向かった。
ベル達もFチームの存在に気がついたのか、
「見てください。別の船がこちらへ向かってますよ。」
「あれは澪亮さん?」
瑞が言う。とりあえず、瑞達はFチームと合流することができた。Fチームはベルから、ビーストの話を聞き、彼らに協力することになった。

************

ところで、223と由衣がクラスタのテレポートで飛ばされた場所は、
「塩のにおいがする・・・。」
「ここは何処なんや?」
由衣が言うと223が続ける。ここはドリームメーカー本部ではなく、無人島の砂浜だった。
「逃げおったな。アイツ。」
クラスタはいつのまにか消えていた。正確には由衣と223のみをテレポートで飛ばしたのだが、目的地の設定を間違えてクラスタはテレポートを失敗したことは違いない。
「どうしよう・・・。船もないし、」
由衣と223は無人島の砂浜をひたすらさまよっていた。

**************

ガムとアカリンとフィは、ドーリフのいるという無人発電所までやってきた。しかし、そこにはドーリフの姿はなかった。発電所は瓦礫となりそこには戦いの跡が生々しく残っていた。
「ここにいたのじゃな。アカリンよ。」
「誰!?」
ガム、アカリンが後に振り向く。そこには1匹のムウマがいた。
「ホホホ、わらわはドロシア。わらわはおぬしを裏切り者とみなし、おぬしを抹殺する。」
「ちょっと待ってよ。何で私が裏切り者なのですか?」
「じゃあ、そこにいる♂のブースター誰じゃ?」
「え、このコはガムくん・・・あっ!」
「ホホホ・・・遂にボロを出しおったな。わらわのチカラ、思い知るがよい!」
ドロシアはアカリンに襲ってきた。

――――――――――

[852] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目前半 (4)
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 01時02分

――――――――――

「わらわの力・・・思い知るが良い!」
そう言ってドロシアはサイコキネシスをアカリンに放とうとする
「火炎放射!」
サイコキネシスが放たれるホンノ1秒あるかないかでガムの火炎放射はドロシアに直撃する
「クッ!裏切りものよ・・・!そしてその...」
ドロシアが続きを言おうとしたときドロシアの体に電磁砲が直撃する
「・・・君は愚かだね・・・後ろに僕が居てもその存在すら築かないなんて・・・」
ブラッキーが後ろから冷たく言い放つ...
「!いつのまに!・・・わらわに疵を付けた事は・・・最悪の刑じゃ!次に会ったときは死刑にしてくれる!」
ドロシアは3対1では分が悪すぎる・・・そうおもったのか撤退した
「・・・・」
ブラッキーはそのまま立ち去ろうとする
「待ってくれ!」
ガムはもちろんの事ブラッキーを引き留めた
「?・・・何だい」
ブラッキーはガムを見る
「一体君は・・・?」
ガムはブラッキーを見つめる
「・・・君たちには関係ない・・・と言っては失礼だな・・・僕はフォリア・・・」
ブラッキーはそう言う
「フォリア・・・(どこかで・・・)」
どこかで見たことのあるような雰囲気のフォリアを見ながらガムはそう思った
「ひさしぶり! フォリア君! 私はアカリンだよ!」
アカリンはフォリアに微笑みながら挨拶をする
「僕は・・・」
ガムが言おうとしたときフォリアが言う
「知ってるよ・・・ガムさん・・・だったかな?」
「フィ?」
会ったことの無いフォリアに対してフィは迷うように呟く
フォリアはフィの事も知っているようだ
「・・・子供は良いね・・・その純粋な心は僕たちの心までいやしてくれるよ・・・まるで天使のように」
フォリアはそう言ってフィに近づく
「・・・君たちはBeast・・・奴と戦ってたんじゃなかったのかい?・・・そもそも・・・君はこのブースター・・アカリンさん・・・と言うべきか・・・と一緒にいると彼女に迷惑がかかるんじゃないかい?・・・まぁ・・・このイーブイが居るせいもあるが・・・」
フォリアはフィを見ながら二人に呟いた

しばらく瓦礫となった無人発電所で何かを探索したあと、フォリアが口を開いた
「君達は何故戦って居るんだい・・・?戦っても・・・残るのは傷跡と悲しみ・・・そうだろう?」
フォリアはガムとアカリンに問う
それをガムが答えた
「僕は・・・アカリンとこの戦いが終わったら一緒に暮らそうっていったから・・・速くこの戦いを終わらせたいから戦ってるんだ!」
ガムはフォリアにかなり真剣な顔で言う
「・・・・・まるで君たちはノアの箱船・・・この混沌の戦いに終止符を打つ・・・戦いの海を箱船で乗り越えられるね・・・」
フォリアはガムとアカリンにそう言うとどこかへ歩き出す。
「・・・思ってみれば僕は戦いに負け続けてきたのかもしれない・・・ファビオラさんとは分かり合えたのに・・・」
フォリアが視界から消えて少しして、ガムはアカリンに呟く
「フィ〜」
フィはアカリンの背中の上でモガモガカシカシとしている
「・・・それは違うな」
ガムの後ろから声がしてガムは振り返った
「フォリア・・・どういう事何だい?」
ガムはフォリアを見る
「君は勝ち続けてきた・・・心の真の戦いでね・・・心が折れることが負けなんだ・・・だから君は勝ってきた・・・上っ面だけで勝負を決める連中に・・・ね」
フォリアはガムにそう言った
しばらく沈黙が続いた後フォリアが話を切り出した
「・・・さぁ・・・僕と戦うんだ・・・現実世界にとらわれた不自由な魂よ・・・そして運命の僕」
フォリアはそう言ってガムにシャドーボールを放つ
「!」
何とかシャドーボールを回避するガム
「アカリン!フィと逃げるんだ!」
アカリンにガムは言うが・・・
「そうはさせないよ・・・黒いまなざし」
アカリンとフィは逃げれなくなってしまった
「フィ・・・フ・・・ウ・・・ウェーン!!!」
フィはついに泣き出してしまう
「火炎放射!」
「シャドーボール」
火炎放射とシャドーボールがぶつかりあい周りに煙が立ちこめる
「今だ!電光石火!」
フォリアにガムは電光石火を直撃させるが・・・フォリアは消えた
「僕はここだよ・・・シャドーボール」
ガムの背後を取り背中にシャドーボールは直撃する
「!なんで・・・クソ!」
ガムはシャドーボールを撃ち出す
「?・・・どう言うつもりだい?」
おわかりの方も多いはずだ「男球」である
「男の魂・・・充電完了!」
にらみつけるで威嚇した後アイアンテールで男球を打ち出す
「・・・!」
男球にフォリアは直撃を受ける
その球には「目」がある様な気がしたからだ
「クッ・・・」
フォリアは今の一撃で戦闘不能になったようだ
「追いつめたぞ!なんで僕と戦うんだ!」
ガムはフォリアに問いかける
「・・・僕の仕事はアカリンを殺すことだったのさ」
フォリアが言うとガムもアカリンも驚きを隠せなかった。
「うぇーん!ウェーン!」
フィはまだ泣いている
「・・・フッ・・・僕はね・・・既に何回も死んでいるんだ」
ガムにフォリアはそう言う
「ど・・・どいうことだ!」
ガムは少し驚きながらも(アカリンを殺しに来たもそうだが)そう言った
「・・・僕はねゴットフリートに家族と恋人を捕らえられていたんだ・・・そして僕が命令におとなしく従えば解放して貰えるはずだった・・・だが今だに家族も恋人も・・・そして僕は死んでも他のブラッキー・・・他のブラッキーを殺してパーツとする・・・そして脳や記憶が完全にコピーされたクローンのできあがりさ・・・」
フォリアはガムとアカリンにそう言った
「・・・・」
「うぇーん・・・うぇー・・・フィィ・・・」
フィは泣き疲れたようだ
「・・・さぁ僕を殺してくれないか?・・・僕はまた生き返るかも知れないが任務を失敗した今蘇らせる事もない・・・鳳凰の加護を受けたRXを生態実験したから強力なサンプルもあるだろうしね・・・だから僕を殺してくれ・・・オリジナルの死んだ今自由でない僕は不自由と言える・・・縛り付けられるのはイヤなんだ」
フォリアはガムに目を閉じて言う
「・・・・・・」
ガムはどうしようか悩んでいるようだ・・・
「・・・僕を殺さないと君が死ぬ・・・そして僕は死なない・・・でもそれが僕の価値なんだ・・・君の勝ちとなり価値となるなら僕は喜んで価値をすて君の勝ちへと変えよう」
フォリアはそう言うともう何も言わなくなった。
「・・・・・」
ガムはどうしていいか分からない無言のまま、フォリアをただ見つめていた。
「やめてよ、フォリア君」
そこで、アカリンが口を開く。
「貴方も私みたいに辛かったし、気持ちも分かるけど、今の私には偽りの言葉で自分を重ねてしまうその言葉は嫌だよ。私の前でもうそんなことを言わないで」
フォリアは少し黙って、
「君はいい人に出会ったようだね。羨ましいよ」
と言い、去っていった。

――――――――――

「こうなったら・・・残された手段は一つですね。」
由衣は海を眺めながらつぶやく。
「最後の・・・手段?」
223は由衣の言葉に疑問をぶつけてみた。
「223さんが飛んで、この島を脱出するんですよ。」
「え!僕が!?・・・ってそうか。僕はフライゴンになっとるんやったな。」
223はそう言った。
彼にとっては無理もない話である。つい最近まで人間・・・シュウだった体が、いきなりフライゴンに変化したばかりのだ。
彼の戸惑いは、むしろこの世界に皆が迷い込んできたばかりの頃と同じといえるだろう。
「じゃ、話は早いな。背中に乗りや。一刻もはようこの島でて・・・」
とにかく急いで島を出ようとする223。
しかし、それは由衣によってすぐに止められた。
「ちょっと待ってください!当てもなく飛んで、疲れ果てて落ちたりしたらどうするつもりなんですか?」
「・・・あ、そうやったな・・・」
223は冷静さを取り戻したようだ。
「まずはこの島が何の島なのか突き止めなきゃ・・・」
由衣が言ったときだった。

「おんや・・・あんたら何者だ?」
とつぜん後ろから声がした。
2人が振り向いてみると、そこには1体のネンドールが。
「私ですか?・・・私は由衣です。」
「僕は223っちゅう者や。はじめまして。」
とりあえず2人は自己紹介をしておいた。しかし、それが仇になった。
「何?お前らドリームメイカーに追われてるって奴らか!
はは〜ん・・・このシャッコさまと戦うことになるとは、お前らも不幸な奴だな〜」
シャッコというらしいそのネンドールは、顔の周りのたくさんの目で由衣と223をにらむ。
「お・・・お前はドリームメイカーのまわしもんか!?」
223はシャッコを指差し叫ぶ。
「ご名答!あんたもなかなかカンがいいなぁ〜!」
シャッコはそう言うと、体からはなれている両腕を上空目掛けて飛ばした!
「さあ・・・シャッコ様の必殺技『オールレンジ光線乱れ撃ち』をうけてみよ〜っ!」

突然、真横から『サイケこうせん』が飛んで来た!
「あぶない!」
由衣は体でサイケこうせんを受け止める。悪タイプなのでダメージはゼロだ。
しかし、それだけではなかった。
「うわっ!・・・わ!」
いきなりあちこちから『サイケこうせん』『れいとうビーム』『ソーラービーム』『はかいこうせん』が飛んで来た!
2人はかわすだけで精一杯である。
見ると、2本の腕が空中を舞いながら、光線技を撃ちまくっている。
これをもしガム、アッシマー、RX、ルカ☆のうち誰かが見ていれば、きっと「まるでジ○ングだ!」と言っただろう。
「腕や!腕を不規則に飛ばしてあっちこっちから僕ら目掛けて撃ってきてるんや!
・・・由衣さん!乗りや!空中戦をするで!」
223が叫ぶ。
由衣はうなずき、223の背中に飛び乗る。そして、223は急上昇した。

――――――――――

「クックック・・・このオールレンジ光線がかわせるかな?例え空中を飛んでいても、オールレンジ光線は四方八方から飛んでくる!」
空中を飛んでいても、オールレンジ光線はこちらへ飛んでくる。
「だったら・・・、はかいこうせん!!」
「ぎゃああああああ!!」
223のはかいこうせんは、シャッコに直撃した。
「しかし、破壊光線を使った貴様は反動で動けないハズだ!」
シャッコがそう言った瞬間由衣のだましうちがシャッコにヒットした。
「お〜の〜れ〜!!ドリームメーカー海賊団の副船長をなめるなよ〜!」
「ドリームメーカー海賊団って何よ!」
そういうと、由衣はシャッコにかみくだくを食らわせた。
「ぬぅ〜、もう一回オールレンジ光線!!」
その時、とってもいやな音がシャッコの耳に直撃する。
「これでお前の防御ががくっと下がったで!覚悟せえや!」
動けるようになった223は、もう一度、はかいこうせんをシャッコに放った。
「ぐはっ・・・!こうなったら、最後の手段!!」
すると、シャッコの体は突然光りだした。
「自爆するつもりだわ!223さん、逃げないと!」
「でも・・・、わい動かれへん・・・。」
223は、再び、はかいこうせんの反動で動けなくなっていた。由衣は223を引きずって遠い所に逃げようとした。その時
「ドォォォォォォン!!」
シャッコは大爆発を繰り出した。由衣は223と一緒にできるだけ遠くに逃げたことで、大ダメージは逃れていたが、それでも、体全身が痛む。
(それにしてもドリームメーカー海賊団って一体・・・?)
由衣が考え出すと、
「ドゴーン!!」「ドコーン!!」「ズガーン!!」
砲激の音が聞こえた。なんと、由衣達の目の前には海賊船が・・・!!
「シャッコの言ってた事はこのことやったんやな。」
「撃てーーー!!」
砲弾がこっちに飛んでくる。
「逃げよう!223さん!」
由衣と223はジャングルの方へ、逃げ出した。

****

ジャングルに行くと、何処にもポケモンはいない。ただ、いくつもの植物、木があってとても茂ったジャングルだ。
「ここまで来たら見つからんやろ。」
「あ・・・、あれは!?」
由衣達の目の前には、いくつかのオボンの実の木がなっていた。
ボロボロになっている由衣達は、回復のためにオボンの実を集めていく。そして、10個収穫できた。
由衣達は、オボンの実を食べだすとみるみる回復していく。その時、
「ここにいたのだな!」
由衣達の目の前に、2対のマクノシタが現れた。

「くそう!こうなったら船長に報告だ!」
そして、2対のマクノシタはあっさりやられて逃げ出してしまった。悪タイプの由衣には強かったが、飛行技が使える223には弱かった。
「弱かったですね・・・。」
すると、223は何か思いついた。
「そうか!この島はたぶんあいつらのなわばりかもしれへん。」
「なわばり・・・そっか!だって無人島と思ってた島にシャッコがいたから・・・確かにあの時おかしいと思った・・・。」
「もうちょっと調べてみようや。何かわかるかも知れへんで。」
由衣と223はこの島を調べる事にした。

――――――――――

・グラエナの由衣はフライゴンの223の背中にのり島のすみからすみまで探りを入れていた
「あかん・・・どこにも人の気配がない、さっきのマクノシタは一体なんだったんや?」
島はフライゴンの223から見たら思ったより小さく、[そらをとぶ]でものの数分で探索できた。
「ちょっと待って!223さん!あそこ!ほら!見て!」
由衣が指す方向に小さな洞窟がある
「ひょっとして・・・あそこが海賊のアジトかも」
「よっしゃ、緊急着陸や!」
2人は洞窟の中へ入っていった
・・・・・・・・・
「誰もいませんね・・・」
「そやな、まるで敵の罠にはまっている気がしてき・・・」
「しっ!ちょっと待って!」
223は由衣にぐっと、かみつかれ、踏みとどまった
「うわっ!痛っ!突然何するんや!由衣さん!」
「声を立てちゃダメ!」
由衣はとなりのフロアを指した
そこには、したっぱと思われるたくさんののカブトやシェルダーの姿はあっても、海賊の頭らしきものの姿がどこにもいない
「(あれ?おかしいな・・・)」
「(どないなっとるんや?)」
223と由衣はひそひそ声でカブトやシェルダー達に気付かれないよう話していた
「そこはただのポケモンダンジョンの『モンスターハウス』・・・そいつらは単に海戦用に武装しただけの野生ポケモンの集団にしかすぎん。」
223と由衣の耳元で誰かがささやいた・・・
「え?」
「誰?」
その時!・・・「ドン!」
「うわ!」
「きゃっ!」
223と由衣はモンスターハウスのど真ん中に突き出された!
「何だお前達は!?」
カブトやシェルダー達は223と由衣に気付くと戦闘体勢に入った!
「し・・・しもた!」
「私達を突き飛ばしたのは誰!?」
由衣がふりかえると、その後ろには・・・なんとシャッコの姿が!!
「クックック・・・野生ポケモンならまだしも、仮にもドリームメイカーのポケモンが無計算に[だいばくはつ]を使うと思うか?」
「ま・・・まさか」
由衣が言い切ろうとした時
「そのまさかだ!あの時、『ふっかつのタネ』を所持していたのさ!・・・もっとも、今はもう使い切って持ってはいないがな」
シャッコが勝ち誇った表情で言い続ける
「野生ポケモンとは違うのだよ!野生ポケモンとは!」
・・・なんだかどこかで聞いたことのあるような台詞だ
もしここにガム、アッシマー、RX、ルカ☆のうち誰かが居合わせていれば、「それは○ク!?」と言ったかもしれない
「じゃ・・・じゃあ、さっき僕らが戦ったマクノシタは!?」
223の困惑にシャッコが答える
「『海賊団』も『副船長』もみんな嘘さ・・・このシャッコと部下の2体のマクノシタの芝居のな」
「な・・・なんやて!?」
そう言うシャッコの後ろには、先ほどの2体のマクノシタが何事もなかったかのように愉快そうに笑っていた。
シャッコが続けて言う
「そう言えばお前らが、いもしない船長を探しにこの野生ポケモンの巣窟に自分から入り込んでくると思ってな・・・実に愉快だったぞ!ハハハ!」
「くそ・・・!僕らはシャッコ達にいいように踊らされていたっていうんか!?」
「223さん!今はそんなこと言っている場合じゃないですよ・・・!!」
由衣が言う頃、2人は逃げ場がないほどのカブトやシェルダーの集団にかこまれていた
「今はこいつらを何とかしないと・・・!」
「せ、せやな!おい!そこのくされネンドール!!あとで僕がコテンパンにしたるから覚えときいや!!」
223は威勢良くシャッコに言い放つが
「ふん・・・負け惜しみを」
シャッコはモンスターハウスのポケモンの巻き添えをうけまいとそそくさ洞窟から退散していった
「来ますよ!223さん!」
由衣が223に合図した!
「くっそー!カブトがなんや――!!」
223はポケモンの大群にむかって行った!!

**************

・一方、謎のブラッキー、フォリアが去ったあと、ガムはアカリンと共にもうしばらく無人発電所に止まっていた。
「ガムくん?」
「・・・」
ガムのはフォリアの言い残した言葉を考え、沈黙していた。
―(君達は何故戦って居るんだい・・・?戦っても・・・残るのは傷跡と悲しみ・・・そうだろう?)―
・・・今さら考えもしなかったことだが、今のガムにはその言葉が痛かった。
「(確かに、これまでの自分はただ『ドリームメイカー=悪』と決め付けて戦っていた・・・怒りにまかせて)」
しかし・・・そんなうつむいていたガムにアカリンが
「えへっ☆ガムくん!心配はいらないよ!」
アカリンがにっこりした笑顔で語りかけてきた
「ガムくんに初めて会った時にも言ったはずだよ!私はあの時、友達のマシュリを救えるだけの強くて大きな力が欲しくて戦ってきたって!」
ガムはアカリンを見て改めて驚いていた。
アカリンは常に前向きというべきか・・・彼女ほど「ネガティブ」という言葉が似合わない子はいない。
「ガムくんも、違わなくない?」
アカリンはくりっとしてガムを見つめ、たずねた。
「そうか・・・そうだね・・・アカリン!ありがとう!」
よく悩む事の多かったガムは、ここでもアカリンに励まされた。

「(この世界で戦う事をやめたら一体自分に何が残る?それは人間界でも同じ事・・・少なくともこの戦いを通じて僕はアカリンと知り合い、しっしょになれた。それだけは間違いないはずだ!!)」

再び決意を固めると同時にガムもまた、ゴットフリートの真意を確かめたくなった。アカリンの仕えているゴットフリートがなぜこのようなことを続けるのか・・・
今のガムに『ドリームメイカー=悪』という概念がなくなっているため、なおその事だけが気になっていた・・・
「私がガムくんとずっとポケモンタワーにいたせいで、なんだか勘違いしてる人たちがいっぱいいるみたいだけど・・・だいじょうぶ!いざとなればみんな殺っちゃえばいいんだから☆」
「や・・・殺っちゃえばって・・・」
「それとも、私がガムくん以外の誰かに簡単にやられるような子に見える?」
「ぜ・・・全然そうは見えない」
ガムは、またアカリンに[スカイダイブドライバー]をかけられるんじゃないかと思いヒヤッとしていた。あの技を食らうのはもうごめんだ
「フィィ・・・」
そんなところに、眠っていたフィが目を覚ました
「あ、フィ!」
「フィちゃん!」
「クゥゥゥ・・・」
フィのお腹のなる音だ
「お腹がすいたのね、ちょっと待ってて!」
アカリンはそう言うと無人発電所のあたりを見回した
「たしかここに・・・あった!」
アカリンは丸くて大きいきのみを取り出すとそれを[アイアンテール]できざんで
「ほら![カイスのみ]だよ☆お口にあうかな?」
それをフィに与えた
「アカリン・・・本当に甘いものが好きなんだね・・・」
ガムはそれをながめていた。
「ハグハグハグ!!」
おいしそうにたべるフィ
「うわ!すごい食べっぷり☆フィちゃんはきっと大きくなるよ!」
ガムがしばらくしてアカリンに話しかけた
「ところでアカリン・・・よかったら、また僕の特訓に付き合ってくれないか?早く未完成の[B・L・R・C(ブースターラブラブローリングクラッシュ)]を完成させたいんだ」
「うん!わかった!でも、フィちゃんが食べ終わるまでちょっとまってね☆」
「わかった!」
ガムはこれまでの戦いから「力」に翻弄されることを極端に嫌っていた。
そのためには「強化」にたよらず今ある力をつちかい、一刻も早くアカリン以上の実力を身につけなくては・・・フォリアとの戦いをへて、なおその考えが強くなっていた。
と同時にアカリンは自分にとって今でも越えるべき壁なのである。

************

・223と由衣を騙し、野生ポケモンの巣窟『モンスターハウス』におとしいれたシャッコは部下の2体のマクノシタと共にゆうゆうと洞窟を後にしていた
シャッコがあざわらう
「あれだけの野生ポケモンの中にフライゴンとグラエナの2匹だけでは数分とももつまい・・・」
そのシャッコのもとで
「ケケケ・・・そうですね、シャッコさま」
部下のマクノシタ達もヘラヘラ笑っていた
「さて我々はこのことを報告するために島を出るとするか」
「イエッサー!」
シャッコ達が島を出ようとした・・・その時!
「ぎゃっ!」
マクノシタの1体が[はかいこうせん]に吹っ飛ばされた!
「何!?」
シャッコが振り返った!・・・そこには223に乗った由衣の姿が!!
「ば・・・バカな!?なぜここに!?」
驚かずにいられないシャッコ・・・そこを間髪をいれず
「223さん!もう1発です!」
「まかしときいや![はかいこうせん]!!」
由衣の合図と同時に223の[はかいこうせん]が再びうなりをあげた!
「ヒィィィ!!」
もう1体のマクノシタは戦おうとせず、2発目の[はかいこうせん]におじけづいて逃げ出してしまった
「チッ・・・使えないやつらめ!」
シャッコは逃げていくマクノシタに目もくれず、223と由衣に目を向けた
「(こいつら・・・あの状況をどう切り抜けてきたというのだ・・・?)」
よく見ると・・・由衣は無傷なのに対して223は身体中に無数の[やけど]のあとが目立つ・・・
「(はて・・・あの洞窟にやけど技が使えるポケモンはいなかったはずだが・・・)」
シャッコは2人に聞いてみた
「お前達・・・一体あの野生ポケモンの巣窟をどうやって切り抜けてきたのだ?」
由衣はシャッコをにらむと
「教えてやるもんですか!」
[ほえる]ように叫んだ!
「覚悟せいや!このくされネンドール!あ、いたた・・・」
223も威勢良く叫んだが[やけど]のダメージがそうとう、こたえているみたいだ・・・
「まあいい・・・そんな[やけど]のフライゴンを抱えている状態でこのシャッコさまにかてるはずかない・・・」
「そんなもん、やってみんとわからんわ!」
223は言い返した!
「ふん・・・ほざけ」
シャッコは両腕を不規則的に飛ばし、[れいとうビーム]と[ソーラービーム]を交互に撃ち放ってきた・・・変幻自在の[オールレンジ光線乱れ撃ち]だ!
「うわ!」
「きゃっ!」
由衣はかろうじて[ソーラービーム]を回避したが・・・[やけど]を負っている223は[れいとうビーム]に打ち落とされてしまった
「223さん!?」
223の事を気にかける間も与えない勢いで、遠隔操作のシャッコの2つの手が一斉に由衣を狙い撃ちせんとしている!
「く・・・」
由衣はあとずさりした・・・
「(私1人でこの2つの敵とも言えるネンドールのシャッコの2本の腕に太刀打ちできる・・・か)」
「・・・!そうだ!もう1回!」
由衣はネンドールに向かって[とっしん]をしかけた!
「む・・・くるか?」
上やななめに交互に飛び交うヒャッコの2本腕から放たれる[ソーラービーム]や[れいとうビーム]を由衣は[とっしん]の勢いで巧みに回避すると
「もう1回くらいなさい!・・・[かみくだく]!!」
由衣はシャッコのふところへとびこんだ!・・・が
「甘い!」
シャッコの本体にエネルギーが集中されると・・・
「あ・・・あかん・・・由衣さん!ふ・・・ふせるんや!!」
倒れている状態の223がその異変を察知し、由衣にむかって叫んだ!
「わ・・・わかった!」
由衣がふせると同時にシャッコの本体からものすごい勢いで[はかいこうせん]が放たれた!
「うわっ!」
その爆風で由衣はふき飛ばされ
「きゃぁぁっ!!」
「由衣さん!?」
その状態でシャッコの操る2本の腕によってあやつり人形のように[ソーラービーム]と[れいとうビーム]の集中砲火を受けた!
「フフフ・・・2本の腕だけ封じれば勝てるとは思わぬことだな」
シャッコがそう言うと、その腕はシャッコの身体から離れては本体に戻っていく・・・
シャッコの2本の腕のダブル攻撃に加えて、シャッコ本体の攻撃・・・由衣達は2人つではなく3つもの敵と戦っているも同然なのだ・・・
「勝てると思うな」
シャッコが血も凍る表情で言い放ち、倒れている2人に詰め寄ってきた
「(223さん・・・あの技をつかいましょう)」
由衣がかすれるような声で223に語りかける
「(由衣さん!?あ、・・・あの技って、まさか!?)」
223もまた、かすれるような声で由衣に返した
「(今受けてみて・・・やっとわかった!・・・[オールレンジ光線乱れ撃ち]という技が)」
「(!?)」
223は「そうか!」という表情で立ち上がり
「了解や!」
由衣もまたゆっくりと立ち上がった
「?・・・まだ立ち上がってくるか・・・その意気込みだけは、ほめてやろう」
シャッコは満身創痍の2人に向かって再び、遠隔操作の2本の腕を使った[オールレンジ光線乱れ撃ち]を繰り出した!!
「あんたねぇ!両腕をピコピコ飛ばすばっかりで私達をもてあそんでそんなにたのしい!?ふざけんじゃないわよ!」
!・・・由井の思わぬ、はきだすような台詞
「ふん・・・なにかと思えば負け惜しみか?弱いやつの考えそうなことだ」
シャッコはおかまいなしに[オールレンジ光線乱れ撃ち]の右腕の光線を223に、左腕の光線を由衣にとばそうとするが
「うっ!な・・・なんだこれは!?」
「かかったわね!」
由衣はニヤリと笑った・・・そう、先ほどのはきだすような台詞は「負け惜しみ」ではなく、悪ポケモン特有のワザ[いちゃもん]だったのだ!
223と由衣はシャッコの動揺した隙に右と左の光線を難なく回避した
「さあ!これであなたはもう[オールレンジ光線乱れ撃ち]を続けて出せない!・・・223さん、今です!!」
「OK!後は僕に、まかしとき!」
223がシャッコにむかって突っ込んでいった!
「くそ・・・させるか――!!」
[オールレンジ光線乱れ撃ち]を封じられたシャッコは本体からの[はかいこうせん]で223を撃墜しようとするが、シャッコ本体だけの攻撃ではあまりにワンパターンで簡単にかわされてしまった
「そんなあくびのでるような[はかいこうせん]、へでもないわ!!」
その最中、223の翼がするどく光った・・・[はがねのつばさ]の体勢だ!
「[やけど]状態の[はがねのつばさ]なぞ・・・!」
「まだまだ!これだけやないで!!・・・大文字ィ!!!」
223はそのまま[だいもんじ]で自らの[はがねのつばさ]を激しく燃え上がらせた!!
「な・・・なに?こ・・・これは・・・!?」
シャッコの目の前には業火のような炎の翼を持ったフライゴンが勢いよく[そらをとぶ]ではばたいている・・・はばたくほどその炎は2倍にも3倍にも拡大されていく・・・!!
これは例えるなら「レジェ○ズ」のグリードーの翼のごとく、そのはばたきはマニアな見方で「V2ガン○ム」の「光の翼」ともいえるだろう。
「かくごしいや!このくされネンドール!!きっちりウエルダンまで焼き焦がしたるでぇぇぇ!!!!」
「ひ・・・ひぃぃぃぃ――!!!」
シャッコは逃げ場がないほどに大きな223の翼の炎に飲み込まれた!!
「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・あちち・・・」
223は技をきめると、自らの[やけど]状態を少し確認していた。
「そ・・・そうか・・・お前達はその技で、あの『モンスターハウス』のポケモンを一掃したというのだな」
シャッコもまた[やけど]状態になってしまい、倒れている状態で言った
「そう言うこと!さあ、とどめよ!」
由衣が答えると今度こそ[かみくだく]をシャッコに決めようとするが
「ま・・・待て!この俺の姿を見ろ!」
シャッコが言うその姿は・・・まずい![だいばくはつ]の体勢だ!!
「由衣さん!・・・あかん!攻撃するな!」
「くっ・・・」
由衣は技の体勢をといた・・・
シャッコはフラフラ起き上がると、そのまま島を逃げるように[ふゆう]で去っていった
「ああ!こら!待たんかい!!」
223が止めようとするが
「いや!223さん、これでいいんですよ」
由衣が223に言った
「何やて?」
「ここで私達がシャッコを倒してしまうと、また私達はこの無人島をさまよわなくてはいけなくなる・・・逃げていくシャッコの後を気付かれないように追いかけてこの島を脱出しましょう、やつはきっと仲間のいるところへ逃げるはずです」
「あ・・・そうか!ほな、いくで!」
223は由衣を背中に乗せて、シャッコに気付かれないように[そらをとぶ]を使った
飛行中、由衣は[いやしのすず]を使い、223のやけどを治しながら話していた
「でもまさかあの『モンスターハウス』のフロアで223さんがあんな技を使うとは思いませんでした・・・一室全体大炎上でしたよ」
「あ、あの時は僕もただ無我夢中で・・・」
223がいきなり[やけど]状態になっていたわけは、洞窟の『モンスターハウス』一室全体でこの技をつかっていたからなのである。もちろん由衣はとっさに[あなをほる]をつかってフロア全体の巻き添えを回避していた。
「あれだけすごい技ですもの・・・何か名前はないんですか?」
「いや・・・名前って言われてもなぁ・・・」
由衣が「それなら・・・」という表情で
「【炎上の翼】・・・なんてどうです?223さんがあの技を使った後、あたり一面焼け野原でしたから」
「【炎上の翼】・・・それ、ええな!」
223の必殺技【炎上の翼】を正式に決定した2人はシャッコの後を追いかけていた。
そのシャッコは・・・
「まさか、フライゴンになりたての者がいきなりあのような技をつかうとは・・・あやつなら【ビースト】を・・・ここは賭けてみるか・・・」
シャッコはそのままナナシマの方向へ[ふゆう]で飛んで行った、その先は瑞達と合流したFチームが向かおうとしている6のしまの『へんげのどうくつ』・・・とは全然違う方向で悠に必殺技と記憶石を授けた後の烈がさまよっている5のしまの『おもいでのとう』付近だった

*****************

・一方、無人発電所のガムとアカリンはカイスのみを食べ終わったフィを寝かしつけたあと、入り口付近でバトルの特訓をしていた。
「いくぞ!アカリン!」
「えへっ☆ガムくん、まだまだツメがあまいよ!」
ガムとアカリンの[でんこうせっか]が打ち合う
「これならどうだ![ブースターローリングクラ――ッシュ]!!」
ガムはアカリンに突撃していくが
「えへへ☆させないよ![ブースター・スピン・クラッシュ]!」
「うわっ!」
アカリンの[B・S・C]に返された。
「いてて・・・やるな、アカリン」
「えへっ☆」
ガムは改めて思った「あの時、よくアカリンに勝てたもんだ・・・」と

「次の特訓いくぞ!まだ未完成な[ブースターラブラブローリングクラッシュ]の訓練だ!」
「オッケー!」
ガムとアカリンはそれぞれ同時に[ほのおのうず]を発動させ、がっちり組み合った!
「二人のこの手が真っ赤に燃える・・・」
・・・と[もらいび]と[でんこうせっか]で加速をつけながら、2人同時のかけ声と同時に2人の[B・R・C]を[てだすけ]でさらに勢いをつけようとするが
「うわっ!」
「きゃっ!」
そこで協力技の体勢がとけて、ガムとアカリンははじきとばされてしまった!
どうしても2人の[てだすけ]のテンポがうまくいかない・・・
「アカリン・・・ちゃんと僕に合わせてよ!」
「そう言うガムくんこそ!私の技についてこれないんじゃないの?」
「なんだと!」
「なによ!」
ガムとアカリンは究極の協力技がなかなか完成しないためか、そうといらだっている
「・・・いや、ここでケンカしてもはじまらない。あとひといきなんだ・・・[てだすけ]さえ上手くいけば、これが究極の無敵技に・・・」
「うん・・・そうだね。ガムくん、さっきはごめんね・・・えへっ☆」
「ううん・・・こちらこそ!」
・・・ガムとアカリンは『必殺技』について話し合っていた。
「えへへ☆ガムくん、私はね・・・必殺技の「殺」の文字は『命を殺す』ではなくて『心を殺す』と書くんだと思うんだ。ただ強ければいいんじゃない、技でいかに相手を魅了して、肉体的にも精神的にも叩きのめして完全に屈服させることが出来るのが真の必殺技だと思うよ☆」
アカリンは必殺技の『殺』の字を説いた。なるほど、アカリンの言う事も一理ある。
肉体的以上に精神的打撃は『必殺技』の脅威といった感じだろう
それに対してガムは言った
「アカリン・・・それは違うと思うよ。僕の感じる必殺技とは「必」で必ず返されない決め技が最高だと思うんだよ。僕がカールと戦った時もRXさんの声が聞こえて『返されないから必殺技なんだぜ』って聞こえたんだ」
ガムは必殺技の『必』の字を説いた。ガムの言っていることも間違ってはいないはず。
返し手がない成功率100%の技は何にも劣らぬ完璧な技といえよう。
・・・どうやらガムとアカリンが協力技発動の際、[てだすけ]で失敗するのは、2人の『必殺技』にかける理想像が違うからかなのだろう。
「うーん、もうちょっと研究が必要だね」
アカリンが言う
「そ・・・そ・・・う・・・だね・・・」
ガムが言うと・・・なぜかその場に倒れてしまった!
「?・・・ガムくん!?」
「クークー・・・zzzz」
ガムは疲れきってダウンし、眠っている・・・
アカリンになんとか勝てた今でもガムの方がアカリンより、経験値も技量も少ないから・・・打倒アカリンの時にうけたハガネール戦での疲労に加えて、ここまでの行動でそうとうな疲労がたまっていたのだ。
「(・・・ゆっくり、寝かせといてあげよう・・・)」
アカリンはガムを頭で押し、フィが寝ている所のそばにもっていくとフィと一緒にガムを寝かせてあげた
ガムが来た頃には気がつかなかったが、改めて見ると、無人発電所はほぼ廃墟と化していた。
ガムとアカリンが到着するずっと前の琴美達やブイズのバトルの時に、すでに壊滅状態になっていたのだ・・・
「スースー・・・zzz」
「クークー・・・zzz」
仲良く眠っているガムとフィ
「(2人とも寝顔が可愛いなぁ・・・)」
アカリンはガムとフィの寝顔を見ていた
「・・・」
「アカリン!」
後ろでアカリンを呼ぶ声が聞こえる
「あなたは・・・リーディさん!」
アカリンがふりかえるとそこにはブイズのサンダースのリーディがいた!
ブイズでは、アカリン以外にもまだ、ドリーフとリーディだけがステアの[テレポート]によって送られていなかったのだ。
「今までどこにいってたの?」
「ええ、ちょっとね・・・それよりあなた大変よ!なんだかドリームメイカー内であなたのことを『密通者』とか『裏切り者』だとか言ってるやつらがいるみたいだけど・・・」
「うん、ガムくんとずっといっしょにいるからね・・・でもへいきだよ! 私、ガムくんが居ればなんとかなりそうだから! えへっ☆」
ガムとフィの寝顔を見ながらアカリンは答えた
「・・・アカリン、あなた、完全に・・・」
「えっ?」
「い、いえ・・・なんでもないわ」
完全に恋の虜になってしまっているアカリンにリーディは何もいえなかった。
リーディは寝ているガムの方へのみ目をやると、再びアカリンに問いかけた。
「・・・さて、アカリン。そこにいる♂のブースターの話だけど」
「?」
「大丈夫なの?彼、あなたとうまくやっていけるかしら?」
アカリンはにっこり笑って即答で答えた
「大丈夫だよきっと、多少の困難も愛の力さえあれば!☆」
リーディはあきれ顔でアカリンを見る
「愛の力・・・って、いや問題はそこじゃなくてね。 こんな弱そうな男に貴女の相手が務まるのか?って」
リーディはこう言いたいのだろう「この男(ガム)はアカリンの実力には遠くおよばない意味でふさわしくない」・・・と、それはつまり、アカリンの悪い虫を取り去って、恋の病から解き放してしまおうという魂胆だった。
アカリンは少しだけ表情を変えて答えた
「リーディさん・・・そんなことを言うなら、戦ってみたら? ガムくんは決して弱くないよ」
「そうね、ためさせてもらうわ」
リーディは眠っているガムの頭をけどばそうとした!・・・が
「よっと!・・・リーディさんっていいましたよね?」
ガムは途中から起きていた!寝たふりをして2人の話を聞いていたのだ。
「僕がアカリンにふさわしい男か・・・のぞむところです!!」
ガムは身体に[ほのおのうず]をおびながらやる気満々の体勢だ!
「そう・・・なら説明はいらないみたいね!いくわよ!」
リーディはガムに対して[こうそくいどう]で間合いを詰めた!
「2人ともがんばれ〜!」
「フィ〜♪」
アカリンはいつの間にか起きていたフィをモフモフの中に抱えながら、ガムとリーディを応援していた。
「あなたがいかに甘ちゃんだか思い知らせてあげる!」
リーディはそのまま攻撃体勢に入る!
「教えてあげるわ!『リーディ戦法』の極意を!」
「『リーディ戦法』・・・?させるか!」
ガムは[でんこうせっか]で応戦する・・・が
「がぁっ!」
ガムはリーディの[にどげり]をくらい、ガクッと身体のバランスを落とした!
「相手が電気タイプだからといって必ずしも電撃がくるとは思わないことね!」
「く・・・くそう!」
ガムは体勢を立て直そうとするが・・・思うように身体がうごかない
「驚いた?こたえるでしょう?[おうじゃのしるし]を使っての2連撃は」
[おうじゃのしるし]はたまに相手をひるませる道具・・・[にどげり]の2連撃に加えて高確率で相手をひるませることができる
「リーディ戦法その@『道具は有効に使え』!」
リーディは無人発電所に無雑作に落ちていた[ぎんのハリ]を拾うとそのまま
「ブンッ!!」
同時に3本ガムの背中へ勢いよく突き刺した!
「ぎゃあっ!」
ガムはたまらず倒れこんだ!
「そしてリーディ戦法そのA『弱点は徹底的に狙え』!」
リーディはそう言うと[ぎんのハリ]が突き刺さっているガムの背中へ集中的に[かみつく]の連続だ!!
「うっ!?・・・&%()‘%$#$’!!!!!」
ガムは気絶しそうな痛みに言葉にならないような声をあげた![ぎんのハリ]は半分まで背中へ食い込んでいる・・・
「リーディさん・・・すごく・・・つ・・・強い!?」
リーディの嵐のような猛攻にガムは後ずさりして、距離をとろうとするが
「させないわよ」
リーディは[こうそくいどう]してガムのふところに再び飛び込んだ
「!?」
「リーディ戦法そのB!「獲物は逃すな」!」
リーディはガムに[でんきショック]をしかけた!
アカリンはそれを見ると
「いけない!フィちゃん!目をとじて!」
「フィ〜〜?」
アカリンはフィの目をしっぽで覆った
一方ガムは
「うわ!?・・・あれ?目が・・・目が・・・」
リーディの[でんきショック]をうけたガムの視界がぼやけて見える
「ふふっ、どうかしら?私の技【サンダーフラッシュ】の味は?」
アカリンはその光景を見てつぶやいていた
「【サンダーフラッシュ】・・・リーディさんの得意技で[でんきショック]と[フラッシュ]の複合技。私の技みたいに派手じゃないけど、じわじわいくとても恐ろしい技なんだ・・・」
ガムは視界がぼやけて見える中[かえんほうしゃ]をめったやたらに撃っていた
「くそ!くそ!くそ――っ!!」
「きゃっ!」
「やった!」
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるというべきか・・・[かえんほうしゃ]はリーディにヒットした!
「あまいわ!」
「え?」
リーディは平気そうな顔をしている・・・というかダメージそのものがない!
「ガム、といったわよね。あなた、ここがどこだかわかっている?」
ガムはハッとした!ここは無人発電所・・・壊滅したとはいえ、電力がいたるところに残っている・・・
「リーディ戦法そのC!『有利な場所に追い込め』!」
そう・・・リーディはいたる場所の電力を[ちくでん]で吸収し、回復しながら戦っているのだ!
「【サンダー・・・フラ――ッシュ】!!」
「うわぁぁっ!」
そしてリーディはもう1発ガムに【サンダーフラッシュ】をかけた!
「目が見えない・・・くそ・・・ここまでか・・・」
ガムは大きく倒れこんだ。
「所詮あなたじゃアカリンの男には不向きだったのよ!」
リーディは言い放つとガムへ[こうそくいどう]でとどめをさそうと向かっていった!
「きゃっ!?」
リーディの身体が沈んだ!・・・足元に深い穴が!?
「・・・かかったな」
ガムがヨロヨロ立ち上がると視界がはっきりせず、おぼつかない足取りで穴に歩みよった
「ガム!これはいったい!?」
リーディがガムに向かって穴の底から叫んだ
「僕もリーディさんの戦法そのCを使ったんですよ!『有利な場所に追い込め』・・・どうです?その状況で[ちくでん]を使ったり、満足に電気技を使うことができますか!?」
「私がしてやられた・・・というわけ!?」
穴はそうとう深くほられていて、[ちくでん]はおろか、電気技を使おうとしてもほとんどが地面の中へ埋葬されてしまい、十分な威力を発揮できない状態だ・・・
「これで・・・これで決める!!」
「!」
「アタ――ック!!」
ガムは穴にむかって、まるで[タネマシンンガン]のような無数の[ひのこ]で一斉射撃をしかけた!!
「負けるもんですか・・・!」
リーディは地中から「ミサイルばり」で応戦した!
両者の技は互角!
「ガム!あと一歩というところで残念だったわね!」
リーディは穴から一気に飛び出した・・・が
「キャァァァ―――ッ!!!!」
「・・・よし!」
なんと!穴の出口に[ほのおのうず]がトラップのようにはりめぐらされていた!
必ずリーディは穴の出口を狙って脱出する!・・・とふんだガムは電気を使わせない穴のトラップと、穴から脱出された時の炎のトラップの二重トラップを仕掛けていたのだ・・・!!
「終わった・・・!」
炎に焼かれて気絶しているリーディを確認すると
「・・・ずあっ!!」
ガムは背中にささっていた[ぎんのハリ]を抜いて自分も倒れた・・・
「ガムくん!リーディさ――ん!!」
アカリンが駆け寄る・・・

・「・・・う・・・あ」
ガムはアカリンの[ねがいごと]によって全快させられていた。そこには同じくアカリンによって回復させられたリーディの姿も
「えへっ☆もう大丈夫だね!」
「アカリン・・・ありがとう!」
「フィ〜!」
フィもガムのところへすりよりモフモフの中へ飛び込んだ!
「フィも・・・!」
ガムはフィの頭をなでなでした
「・・・」
「ガム!」
リーディはその様子を見ると、ガムに言い放った!
「まさか私の戦術を真似されるとはね・・・悔しいけどあなたの実力を認めてあげるわ」
ガムはリーディに返す
「い、いいえ・・・僕はあの戦いでリーディさんに多くの戦術を教わったような気がします・・・こちらこそリーディさんが戦術の先生に見えました・・・」
ガムはリーディにペコリとおじぎをした。
「ふふ・・・言ってくれるわね。 あとアカリン、多分あなたはまだ聞いていないだろうから連絡よ、これは本当は悪いニュースだけど、今のあなたにとっては良いニュースかもね。
例のヤツ、ビーストがこの世界に遂に侵入してしまって、ドリームメイカーと元人間との戦いは事実上これで終了。正式に共同戦線を張れるようになったわ」
「ええっ!!」
「び、びーすと?」
「ガムへの詳しい話はアカリンがよろしくね、 ・・・さて」
リーディがガムとアカリンのところへ詰め寄ると、
「[にどげり]!!」
「ぐはっ!!」
ガムの顔面に[にどげり]をくらわせた!!
「いい?もし、この先アカリンの尻に敷かれるようなことがあったら、私がただじゃおかないわよ!」
そういい残すとリーディは[こうそくいどう]で無人発電所を後にしていった・・・
・・・・・・・・
「いてて・・・」
「ガムくん・・・あまり怒らないでね☆リーディさんってああいう人だから」
「いや・・・怒っていないよ、むしろ感謝している。あの人にはこの戦いを通じて『戦略』というものを教わった・・・」
「えへっ☆そうだね」
「・・・あれ!?」
するとリーディが元いた場所に戻ってきた!!
「うわ!」
「リ、リーディさん!?」
[おどろかす]をくらったようなインパクトをうけるガムにおかまいなしにリーディは
「あ、それと、あなたたち、そのちっちゃなイーブイのことを知るためにドリーフさんをさがしているんですってね! 彼はアレだけど連絡があればすぐ駆けつけるから・・・いちいちあなたたちから移動して探さなくてもいいいわよ?私が報告しておくから!」
そういい残すと
「ああ!私にもアカリンみたいに情熱的ないいカレできないかなー!」
と言いながら今度こそ[こうそくいどう]で去っていった・・・
「な・・・何だったんだ・・・」
ガムが呆然としている横でアカリンは
「ほんとリーディさんらしいな☆」
とニコニコしてアカリンに抱かれながらフィは
「キャッ!キャッ!」
と笑っていた

―――――――――――――

RXはまだへんげの洞窟の近く林を探索していた。
疵は少し良くなったようだ

「・・・あの時は寝ていたけど、フォリア・・・お前って・・・」
へんげの林でRXは一人呟く
「ドリームメイカーどもめ・・・ゆるさねぇ」
RXがそう言ったときだった
後ろから音が聞こえる
「・・・?」
後ろを振り向く
たいてい予測は出来るかも知れないがここはしるしの林・・・へラクロス達も多く生息している。
だが今回は違う
黒いイーブイ・・・ディである
「・・・フッ・・・こんなところでたった一人で何してるんだ?死に損ないが・・・!」
ディは不気味な笑みを浮かべ前足のポーチに入っている赤っぽい石・・・小さな炎の石を見る
「・・・!お前・・・!まさか!」
RXはディに近づこうとしたが遅かった
ディは自らポーチから石をだし自分にぶつけた
「ハ・・・ハハハハ・・・ハーッハッハッ!貴様程度今の俺の暗黒火炎・・・ダークマター・・・つまりはこの銀河すべてを取り巻くダークの意志!銀河意志に比べればちっぽけな火・・・!俺が燃やし尽くしてやる!」
ディの体には既に暗黒の炎がまとわれている
彼もまたフィと同じようにRXが作ったキャラ、記憶が正しければあれは一時的に進化させるための道具で、フィの自由進化の副産物だったはず
「これは近頃お前らの仲間・・・ガムとか言う奴が使ってた技を研究して開発した・・・これが俺の技だ!B・R・D!」
黒い火炎をまとい電光石火でディはRXに突撃してくる
彼の特性はもうか・・・ブースターの様に相手の炎は吸収できないのだ
「うぅ・・・」
下は草でそれのダメージも彼は受けた
予想以上のスピードと火炎そして追い打ちの様にダメージを与える炎
「フッ・・・!こんな場所で俺には勝てないないくらお前でも・・・そして体もズタボロだ・・・!今楽にしてやる・・・」
再び暗黒の炎を体にまとう
「メテオ・・・メテオ・・・ブースト・メテオ!」
RXはそう叫ぶとあいての後ろに高速移動した
「?!・・・!お前に今のお前には出来ないはずだ!」
ディが前を見たまま言った
「体ってのは不思議でね〜無理しろっていっちまうんだよねぇ〜それに、この技は俺の移動用だから自分のからだにゃダメージが無いんだよねぇ・・・炎も応用させて貰ったよ」
ディの周りは既に炎で囲まれている
「クッ!」
ディはRXの方を向くがRXは電光石火で後ろに回り込む
「まだ・・・抵抗するのなら・・・!蹴り砕いてやる!」
ここにルカやガム、アッシマー等元ネタがわかる人がいれば
「カ○ー○!」と言うだろう
「ライジング!メテオ!インフェルノ!」
RXは火炎放射と聖なる炎にかなり近い火炎を脚に集中して電光石火を繰り出す
まず1発めは炎をまとう蹴りで蹴り上げる
すぐさまそれを電光石火で追いかけて更に蹴り上げる事を繰り返すまるで稲妻の様に・・・
その高さが一定まで来たとき・・・それを終わる
印の林の最も高い木を超えて森の上空に飛び出す
「砕け散れぇえええ!」
強烈なかかと落としで地表まで落下させる
更に火炎放射と聖なる炎に近い火を腕に集中させ
追い打ちの様に撃ち出す
「こっから着地したら・・・疵・・・もっとすごいことになるだろうなぁ・・・」
そんな事を思いながらRXは地表になんとか着地する
だがブースターは炎ポケモン
まったく炎は効かない・・・・
だがそこにディは居ない
逃げ去った様なのだ
「・・・あ〜いてぇ〜・・・帰るのメンドクサ・・・」
RXはなんとかのろのろよろよろと歩いていく

―――――――――――――

[853] 本格リレー小説《Dream Makers》 7日目前半 (5)
あきはばら博士 - 2010年08月29日 (日) 01時04分

―――――――――――――

澪亮たちはベルたちと合流したが
・船の上で壮絶な■を遂げた瑞
・敵として立ちはだかったクラッシュ、もとい光
・ゼロ直属の部下であるベル
こんな際物揃いで、ここに存在していることへの突っ込み所が満載な三人を前にして、Fチームがどのような対応を取ったかというと……
「あ、また会えたね」と言う感じで実に普通に対応していた。まぁ……それにも理由もあり。
ひこは瑞が■んだところを見てなかったし、光とも面識が無い。
プリンスはユーリの部下だったので光とベルのことを知っていたが、自分は裏切った身なのでそのことについて言わなかった。
澪亮は三人とも知っていたが、元の性分がアレなので、何故瑞が生きているのかなどを聞こうとしなかった。
逆に、瑞はなんだか気まずい雰囲気だし。
光は澪亮のことを明らかに避けていた。

「しかし……ふふふ、また貴女に会えるとは、夢にも思えませんでしたよ」
ベルは三人に現時点までの出来事(ビーストの出現とか)を簡単に話した後、澪亮に向かって言った。澪亮は黙っていた。
「え?澪亮さん、このヌマクローの知り合いなんですか?」
ひこの問いかけに澪亮が答えた。
「おう、前に三度ほど戦ったことがあるですぜ、ひこさん。いやぁ〜あのときは本当にこいつ容赦がなくてさぁ、こんな可愛い乙女に向かってバンギラス他を差し向けるし……まあ、面白かったからいいけど」
「…いや、澪亮さん、あなたはもはや私より年下の女の子だという設定が危なくなっているような…はっ!しまった!」
ひこは自分の爆弾発言を急いで撤回しようと思ったがもう遅い、聞こえてしまった…後悔と恐ろしさでいっぱいになった。しかし「まあ、それもそうだよな」と澪亮が笑い飛ばしてくれたので、心底ホッとしたと言う。
「あ〜、そういやソントキに、みずさんと同じブラッキーなんだけど、突然人生について語りだす愉快なブラッキーとも戦ったなァ…」
瑞はそんな澪亮の思い出話を軽く無視しながら、考え事をしていた。
果たして、戦いに退屈を覚えているベルは澪亮と戦って、何を思ったのだろうか?勝敗の行方は? そういえば澪亮さんが真面目に戦っているところを見たことが無いなぁ…

そこまで、考えたところで、瑞の思考がストップした。突然、謎の大波が6人が乗る船を襲った。

「なっ何!!」
瑞が海水を吐き出しながら、波を起こした相手に言った。そこには一匹のポケモンが
「あらあら、これまた失礼、私の名前はビルマ。今回は我が師のカール様の敵討ちに伺いました」
ビルマと名乗る妖しいランターンはそう言うと、充電を始めた。
「もと一員だった僕が言うのもあれだけど、一応ドリームメイカーとは休戦状態だよな? ベルさんすみませんが、説得してください」
「いえ、ここは素直に倒したほうがいいですね、まぁ説得してもいいのですが面倒で。実はビーストの存在はトップシークレット扱いになっているのです、下っ端の奴等に話しても混乱を招くだけですから
だからビーストの事を持ち出すより、サクっと倒したほうが早いですよ」
プリンスの言葉にベルが面倒臭そうに答えた、そして続ける。
「もともとドリームメイカーという組織は、あの時に強大な力と言うカリスマ性ですべてをまとめあげてできた組織ですからね
貴方たちの戦いで、ドラゴン四天王が全滅した上にその他の戦闘員もたくさん■んでしまって壊滅的被害を受けている今、内乱が起こったり、下克上を狙う馬の骨が現れるかもしれませんね。いや、もしそれを聞いても僕は少しも疑いませんよ」
ベルはまるで他人事の様に言った。
「じゃあ、ともかく倒さないと…誰か、手伝って」
プリンスは提案したが……
「俺は疲れて眠いからヤダ、やるならお前がやれ」
澪亮は言う
「わざわざ僕が手を下すこともないでしょう」
ベルは言う
「無理!無理だって、だって相手は特性《ちくでん》。勝てないよ」
ひこは言う
「ギャロップは狭い場所で戦うことに適していないんだ」
光は言う
「みんな戦わないようなので私も遠慮します」
瑞は言う
「みんな揃って我が儘言うな!!お前等は子供か!」
「まぁ、確かにな…HAHAHA……でもさ、こういうのはまず一番年下が戦うものなんだよ、プリンクン?」
澪亮はプリンスに言った。

―――――――――――――

・ガムとアカリンはリーディに言われたとおり、そのまま無人発電所でドリーフの到着を待ちつづけていた・・・
「キャッ!キャッ!」
ガムのしっぽに飛びついて楽しそうなフィ
「ほら!フィ!僕のしっぽをつかまえられるかな?」
ガムはしっぽを左右にふり、フィをじゃれつかし、遊びながらアカリンに聞いた
「リーディさん、ちゃんとドリーフさんにフィのことを伝えてくれたかな?」
アカリンはガムとフィの遊ぶ姿をほほえましくながめながら答えた
「うん!大丈夫だよ!なんてったってあの人の行動は最速・適格だもの!今頃ドリーフさんはこっちに向かっているよ☆」
「そうか・・・なら安心だ!」
「ガムくん、楽しそう・・・フィちゃん!今度は私のところへおいで!いっしょに遊ぼう?」
「フィ〜♪」
フィはアカリンのモフモフの中にはいり、モガモガフシフシした
「えへっ☆きみはやっぱりかわいいな!」
フィと楽しそうに遊ぶガムとアカリン・・・
「?」
ガムが遠くを見つめた
「どうしたの?ガムくん?」
「誰かが・・・くる!」
ガムは遠くから来るポケモンの影を確認した!
ドリーフさんか?・・・いや、違う!これは・・・
「アカリン!フィを安全な場所へ隠して!」
「え?えぇ!?わ・・・わかった!」
アカリンはフィを発電所の片隅に落ち着かせるようにそっと隠した・・・!
「フィ〜?」
「(フィちゃん、しゃべっちゃダメ!)」
フィに言って聞かせるアカリン、そしてその影はガムのいるところまで近付いてきた・・・
「ホホホ・・・さきほどのうとましいブラッキーはいなくなったみたいじゃな・・・」
「あ、あなたは・・・ドロシアさん?」
現れたのはムウマのドロシアだった!
フォリアがガムに倒されるまで、一時身を隠していたのだ!
「さよう・・・今度こそ、アカリン!そなたを『裏切り者』とみなし、抹殺してくれようぞ!」
ドロシアは[サイコキネシス]をアカリンに放つ体勢に入った!
「違うんだ!ドロシアさん!アカリンは裏切り者なんかじゃ・・・」
ガムがドロシアを説得しようとするが・・・
「問答無用!かくごじゃ!」
ドロシアは[サイコキネシス]の照準をガムに変えた!
「うわっ!」
間一髪よけたガムにアカリンが言った!
「待って!ガムくん、きっとドロシアさんは【ビースト】のことを知らされていないよ!」
「何だって・・・!?」
・・・ドリームメイカー内では組織の内部上、戦闘員の混乱を避けるために一部を除いたほとんど大部分の部下に【ビースト】の存在を伝えられていない現状がある。
ドロシアはそんな『知らされていない』者側なのだろう・・・アカリンはそのことをガムに伝えた!
そしてアカリンは言う
「だから、ここはドロシアさんを■なない程度にやっちゃおう☆・・・ね?」
「りょ・・・了解!」
ガムはアカリンの「■なない程度に」の言葉に一瞬、ゾッとしたがすぐに話の全てを飲み込むと自分も戦闘体勢に入った!
「うけてみよ![シャドーボール]2発撃ち!!」
ドロシアは[シャドーボール]をガムとアカリンの両者に向けて放つが・・・
「そんなもの!」
ガムは[シャドーボール]に[シャドーボール]で応戦し、
「アカリン![B・S・C]応戦するんだ!」
とアカリンに指示を出した!
「りょうかい![ブースター・スピン・クラ――ッシュ]!!」
2発目の[シャドーボール]はアカリンの[B・S・C]こと、[回転アイアンテール]によって簡単にはじかれた!
「ば・・・ばかな?わらわの技が手も足もでないと!?」
ガムはドロシアに言う
「残念だったな!ムウマのあなたでは僕には絶対に勝てない!」
「なぜなら、僕が人間界にいた頃、『ポケモンコロシアム』でレオのムウマを1番つかっていたのだから!技や戦略は知り尽くしているんだ!!」
これは本当である。この男、「ポケモンコロシアム」ではイーブイ系の次に特にムウマを使っていたのだ。
「へえ・・・そうだったんだ☆」
ドロシアはそれでもあきらめない
「ならば・・・この裏切り者のアカリンだけでも血祭りじゃ!!」
「きゃっ!」
ドロシアはアカリンに[くろいまなざし]を使い、ガムには[みちづれ]で威嚇をはなちながら、あくまでアカリンとの1対1の戦いに持ち込む体勢に入った!
「くそ・・・アカリン!大丈夫!?」
ガムは手が出せない状態でアカリンに呼びかける
「えへっ☆私なら大丈夫だよ!それより、ガムくんはそこで見てて」
アカリンは臆することなくドロシアに対して戦闘体勢をとりながらガムに言いつづけた
「ガムくんに私の切り札になる『最大の必殺技』を見せてあげる!」
アカリンはガムにそういうと自分の炎を燃え上がらせた!!
「何を企んでおるかしらぬが・・・あの世へいけい!!」
ドロシアは[かみなり]を不意打ち同然な速度でアカリンに直撃させた!!
「きゃぁっ!」
「ホホホ・・・[まひ]になっては思うようにうごくこともできまい・・・これでとどめじゃ!」
ドロシアは無数の[シャドーボール]をアカリンめがけて放った・・・が
「甘いよ!ドロシアさん!・・・[こらえる]!!」
「なにぃ!?」
なんと!アカリンは、すべての攻撃を[こらえる]を使うことにより、うすかわ1枚で防ぎきってしまった・・・!!
「そのまま、アカリン、[のろい]にはいりまーす☆」
自らの能力を向上させるアカリン
「させるものか!!」
ドロシアはふたたび[サイコキネシス]でアカリンを攻撃しようとするが・・・
「えへっ☆効かないんだよ!・・・[こらえる]!」
アカリンはそれをまた[こらえる]で耐える・・・
「そしてもう1回、[のろい]だよ!」
「く・・・くそぉぉぉ!!」
なりふりかまわなくなったドロシアは[やつあたり]でアカリンに向かって突っ込んでいく・・・!
「えへへ☆ドロシアさん、ごめんね」
アカリンはさきほど[こらえる]でギリギリまで減らしたダメージと何回もの[のろい]による攻撃力&防御力アップを利用し・・・
「[じたばた]と[からげんき]だよっ!!!」
そのままドロシアに対して、[じたばた]と[からげんきを同時に発動させた!!!
「く・・・うわぁぁぁ――!!!」
ドロシアはその衝撃で勢いよく吹き飛ばされ、勢いで叩きつけられるとうごけなくなった・・・勝負は一瞬で決まった・・・!
本来、ノーマル技の[じたばた]も[からげんき]も、ゴーストタイプのドロシアに対しては[効果がない]はずなのだが・・・それだけ、この技のインパクトや技の衝撃が強烈なのだ!!しかも[からげんき]には[まひ]の状態まで加わっていて威力はさらに倍化されていた・・・!!
「凄い・・・」
ガムはアカリンのその技を見ながら驚きの表情でつぶやいていた・・・
受けたのがゴーストタイプのドロシアでなければ・・・きっと相手はひとたまりもなかっただろう・・・
そう思うと恐ろしい技だ・・・
「ガムくん・・・これが私の最大の技【朱転殺(しゅてんさつ)】なんだよ☆」
「【朱転殺】・・・それがアカリンの最大の必殺技なの?」
「えへへ☆そうだよ!」
【朱転殺】・・・アカリンの『モエる朱色』の『朱』に[こらえる]から[じたばた]につながる『逆転』の『転』。そしてアカリンが説いた『必殺技』の『殺』の3文字からくる、アカリン最大の奥義・・・そうとらえることができる必殺技といえよう。
「!」
ガムはふと思った
「その技って・・・ワタッコさんの必殺技の[飛翔侍村正]になんとなく似ている・・・」
アカリンは答えた
「この技はね・・・私がジルベールさんの技を、みようみまねでアレンジした自分用の必殺技なんだ!」
「そうだったのか・・・」
ガムとアカリンが必殺技【朱転殺】について語り終えた時・・・
「うう・・・」
「・・・?ドロシアさん?」
アカリンの【朱転殺】で吹っ飛ばされたドロシアが起き上がってきた
「ま・・・まさかアカリンがこのような切り札を隠し持っておったとは・・・ここは一時撤退じゃ!」
ドロシアはガムとアカリンの知恵&パワーに逃げ腰になると
「覚えておれ!!」
と言って去ろうとした・・・が

!!!!!!!!

「ぐばぁっ!!」
突如何者かがドロシアの頭と胴体を両手でわしづかみにした!!
ガムとアカリンはそこに目をやると・・・
「あなたは・・・ゼロ!?」
アカリンは言った
「ゼロだって!?」
ガムはゼロの存在を知らないが、どこかで見たような浅い記憶だけがあった・・・おそらく自分が仮■状態で精神世界でカールと戦ったあの時にゼロをどこかで見たような記憶があったのだろう・・・
「ふん・・・あのバクフーンめ・・・この『冥府の司祭』のゼロが、たかが2発の[ダークエンド]で倒せるとでも考えていたのか?」
ゼロはRXの事をあざわらうかのように精神世界でのことをつぶやいていた。
「さて・・・」
ゼロは両手でつかんでいるドロシアを見ると・・・
「俺はつかえない部下などいらん・・・」
そう言ってドロシアの頭と胴体を力任せに[かいりき]で裂きにかかった・・・!!
「お・・・お許しください!ゼロさま!!次こそは・・・次こそは・・・!」
必■にゼロに命乞いするドロシアであった・・・が
「ふん!!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!!!」
ゼロはドロシアを頭と胴体から力任せに真っ二つに引き裂いた・・・!!
「これぞ・・・このゼロの処刑技【ドラゴン大切断】・・・ククク・・・殺しというものは敵味方関係なく良いものよ・・・」
ゼロはそういうと惨殺したドロシアを投げ捨てた
「!!」
それを見たガムの何かが切れる音がした
「・・・ゼロ・・・お前は同じドリームメイカーの仲間を躊躇なく殺して、それでもドリームメイカーのポケモンなのか・・・!?」
「ガムくん・・・恐い・・・」
アカリンが見るガムは今にも襲い掛かりそうなものすごい怒りの剣幕でゼロに[にらみつける]をはなっている・・・
それに対してゼロはいびつな笑いを浮かべながら答えた
「そんなのしったことか・・・俺は手柄よりは人が殺れるほうがいいんだ、戦争なんだからな・・・」
「な・ん・だと・・・」
ガムが今にも爆発しそうな感情を必■におさえているときに・・・
「フィ・・・?」
「あ・・・こら!フィちゃん!出てきちゃダメっていったでしょ!」
アカリンがフィを隠そうとする、その姿を見たゼロは・・・ニヤリと笑う

・「ほう・・・子供がいるのか・・・子供の殺しは数年ぶりだからさぞかし愉快だろうな・・・」
と[はかいこうせん]をフィに向けた
「うっ・・・うっ・・・」
ガムがさけぶ!!
「や・・・やめろ――!!」
バシュ―――ン!!!!
「うう・・・」
「ウェーン!ウェ―ン!」
ガムはフィをかばい、急所ははずれたものの、背中にゼロの[はかいこうせん]をまともに受けてしまった・・・
「!」
それを見たアカリンも・・・たまらずゼロに言い返した!
「ゼロさん・・・あなたのやろうとしていることは【ビースト】のやろうとしていることより悪質だよ!」
「ふん、ほざけ・・・弱いものになにができる?この世は強いものこそ絶対だ・・・ククク・・・」
ゼロはそういいながらガムとアカリンを見ると
「アカリン・・・お前はドリームメイカー内で『裏切り者』の疑いをかけられているようだな・・・いい機会だ・・・ここで俺に倒されることを幸福に思え」
ゼロはガムとアカリンへ襲い掛かってきた!
「させないよ!ゼロさん!私の今の能力に気付いていないでしょ?」
そうだ・・・アカリンは[のろい]の重ねがけにわずかな体力・・・加えて[まひ]の状態だ・・・ということは!!
「では☆いきま〜す!【朱転殺】!!」
アカリンが【朱転殺】の構えに入ろうとした・・・が!!
「ククク・・・その技は体力が少量の時に成立する技・・・この俺にそんな技は無駄無駄無駄・・・せめてルレンくらい上手にできるようになってから使うんだな・・・」
そう言うとゼロは
「{りゅうのいかり}!!」
「きゃぁぁぁ!!」
アカリンはゼロの{りゅうのいかり}によって一蹴された!
アカリンは【朱転殺】発動のために少量のHPのかわりに[のろい]で防御力もアップしていたはずだったが、ゼロはそこを見抜いて[りゅうのいかり]による一定ダメージ技を使ったのだ!!
「うう・・・アカリン」
ガムはフィをかばうために受けた[はかいこうせん]のダメージをもろともせず、自分に[ほのおのうず]をかけると
「[ブースターローリングクラ――ッシュ]!!」
ゼロへ向かって突撃していった!!
「ほう・・・これがあの世界(精神世界)でカールを倒したという[B・R・C]か?・・・だが!」
ゼロはものすごい勢いで突っ込んでくる[B・R・C]をよけずに
「ウガァァァァァアアアアア!!!!」
「うわぁっ!」
ゼロのはガムに対して[ほえる]を放つと、その勢いに殺されるかのようにガムはひるみ、[B・R・C]の体勢がとけてしまった・・・!
「どうれ・・・お前もこのゼロ様の【ドラゴン大切断】にかけてくれよう・・・ククク・・・」
「うわっ!?」
ゼロはそう言うと右手の[ドラゴンクロー]でガムの前足を左手の[ドラゴンクロー]で後ろ足をつかみ、左右の力に[かいりき]を加え、引き裂きにかかった!!
「ぐっ・・・あああぁぁぁぁぁ!!!」
ものすごい叫び声と共に、ギシギシとガムの全身の骨がきしむ音がする・・・
「そうら、苦しめ・・・ククク・・・ヒヒヒ・・・」
[だましうち]にも近い戦法でゼロにかかってしまったガムとアカリン・・・【ドラゴン大切断】にかけられているガムと[りゅうのいかり]に倒れたアカリンはズタズタの身体でひたすら思っていた
「(フィちゃん・・・)」
「(フィ、お前だけでも逃げるんだ・・・!)」
ガムとアカリンはフィがいる方向へ目をやったが・・・そこにフィがいない!
・・・その時!【ドラゴン大切断】をかけているゼロを冷気(れいき)が襲った!!
「何!?ぐぉぉぉ!!」
「うわっ!?」
ガムはゼロが動揺した隙に【ドラゴン大切断】から逃れ、真っ二つにされずにすんだ・・・でもこの冷気は・・・?
ゼロはさけぶ
「誰だ・・・!?この『冥府の司祭』のゼロに[ふぶき]をあびせたやつは・・・ぐがっ!」
そこを今度は[れいとうビーム]がゼロを直撃した!!
「あ・・・あれは」
倒れているガムはある方向を見た・・・そこにはシャワーズの姿が!
・・・しかしブイズのユーリは現在、グレンの塔の中・・・だとしたらこれは!?
「まさか・・・フィちゃんなの・・・?」
アカリンがつぶやいた・・・
そのシャワーズはものすごい怒りの形相で有無を言わずゼロに向かっていくと今度は[オーロラビーム]をゼロにあびせた!!
まるで「お父さんをいじめるな――!!」と言わんばかりの表情だ・・・!!!
「ぐ・・・ぐがぁぁぁぁぁ!!!」
ゼロもさすがにこの状況に驚いたのか、普通ならよけられるはずの[オーロラビーム]をまともにうけてしまった!!
「ちょ・・・調子に乗るな――!!」
ゼロはそのシャワーズに[はかいこうせん]を放つが・・・
フッ・・・とシャワーズの姿が見えなくなった・・・[くろいきり]で気配を消し、[はかいこうせん]の軌道をそらしたのだ!!
「な・・・なんだ!?このシャワーズの異常な能力は・・・!?・・・うげぇぇっ!!」
ゼロはシャワーズの[ハイドロポンプ]の直撃をまともにうけた!!
「い・・・今だ!」
「今しかないね!」
ガムとアカリンはその隙にかろうじて立ち上がると、
「ブースターローリングクラ――ッシュ!!!」
「朱・転・殺――!!!」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁ――!!!!」
ガムの[B・R・C]とアカリンの[朱転殺]を同時にゼロにたたきこんだ!!さすがによろめくゼロ・・・!!
「く・・・まあいい・・・ここでお前らを始末できなくても、いずれグレンの塔で葬れるからな・・・それまでお前らの命をあずけておいてやる・・・」
そして
「ついでに覚えておくといい・・・【ビースト】と名のっている存在と【グレイス】と名のっている存在の前ではお前らなどとるにたらぬ存在だということを・・・」
ゼロは[そらをとぶ]でその場から退却していった・・・
・・・・・・・・・・
「ハァ・・・ハァ・・・」
からくもゼロを撃退したガムとアカリンはさっきのシャワーズのいた方向へ目をやった・・・
「あれ・・・さっきのシャワーズの姿は・・・?」
そこにはシャワーズの姿はなく、かわりに
「フィ・・・う・・・う・・・」
今にも力尽きそうなフィの姿があった!!
「フィ!!」
「フィちゃん!?しっかりして!」
ガムとアカリンは自分達の傷よりもフィの元へ駆け寄った!
「どうしたんだ・・・さっきは突然シャワーズに進化したかと思ったら、急に退化するなんて・・・」
「フィちゃん・・・しっかりして・・・」
「う・・・う・・・フィィィ・・・」

―――――――――――――

「・・・ん・・・」
アッシマーは目を覚ました。
さっきまであった背中の不思議な感触がない。体の針は抜かれているようだった。
「終わったんですか?」
「ああ、他のみんなも終わっているぞ。」
ヒャクエは表情を変えずに答えた。

「ふぅ〜気持ちよかった!」
「なんだか体の中の毒気が全部抜けていったような気分ですね・・・」
「なんだか病み付きになりそうな心地よさだったな・・・」
「この戦いが終わったら、今度はゆっくり観光でもしながら受けたいものだな。」
ルカ☆、秋葉、悠、そしてワタッコも目を覚ましたようだ。
「・・・さて、君たちはこれからどうするのかね?」
ヒャクエが悠たちに話しかけた。
「とりあえず、ここで2手に分かれるべきですね。片方はこのまま搭の最上階を目指して進軍を続け、もう片方は搭を離れてビーストを追う・・・」
と秋葉。
「それで、チーム分けはどうするんですか?」
その言葉に、悠が問いかける。
「・・・僕が、ビーストを追う側につきます。秋葉さんはこの中でただ1人ビーストの事を知ってますから・・・よければついてきてくれませんか?
未知の相手にいきなり食って掛かるのを勇敢とは呼びませんからね。」
その問いかけに勇ましく答えたのはアッシマーだった。
「そうですね。では、私とアッシマーさんでビーストを・・・」

「待って!」
秋葉が言いかけた言葉を、誰かが遮った。ルカ☆だ。
「私も行かせてください!足手まといになるだけかもしれませんけど、頑張ります!」
ルカ☆は声を張って、秋葉に頼み込む。
「ルカ☆・・・」
アッシマーはルカ☆の許へ歩み寄ると、しゃがみこんでルカ☆の頭に手を置いた。

「ルカ☆。今から僕達が行こうとしているのはとても危険な場所だ。もしかしたら、命を失う事になるかもしれない。
君は迷惑に思っているかもしれないけど・・・僕は君の事が好きだ。君の兄として・・・君を危険な目にあわせたくないんだ。」
アッシマーは静かに言う。シスコンなどではなく、あくまでも純粋な兄妹愛がそこにあった。
「・・・分かってるよ。でも、私のおにいちゃんはやるときは全力でやる人だけど、おっちょこちょいな人だったから・・・
正直言って、おにいちゃんが本当に私のおにいちゃんなのかはまだ分からないの。でも、なんとなく分かるんだ。
私にはおにいちゃんがいた。おにいちゃんはこんな人だった、私の本当のおにいちゃんと、今のおにいちゃんはきっと同じ人だって・・・
だから、私もおにいちゃんのお手伝いがしたいんだ。だからお願い!私も行かせて!」
ルカ☆はそう言うと、ぺこりとお辞儀をした。

「・・・分かった。じゃあ行こうか!」
アッシマーは笑顔でそう答えた。
「じゃあ僕とワタッコさんが搭に残って、アッシマーさんとルカ☆さんと秋葉さんが搭を離れてビースト追撃に向かう、というチームになるんですね。」と悠。
「そういうことになりますね。それにしても・・・」
秋葉はそこまで言って、首を傾げた。
「ここからビーストの所までどうやって行くか。今ビーストはどこにいるのか。それを突き止める必要が・・・」
「その心配は無用だ。」
秋葉の言葉が再び誰かに遮られた。
一同は声がした方を向く。
「ステアさん!いつの間に?」
そこには先程ヒャクエの許へ悠たちをテレポートさせたユンゲラー、ステアの姿があった。
「ビーストは今、マサラを破壊してトキワに向かっているところだ、ドリームメイカーとしてはまだ対策にあぐねているが、ハナダにだけは近づけるわけに行かないので、そのように誘導することになるだろう。
とすれば、トキワの次はタマムシ、そしてクチバに向かわせることになるだろう・・・・・。そこで君達に頼みがある、トキワでビーストに攻撃を仕掛けてクチバへ向かうように仕向けて欲しい」
「わかりました」
「あと、今クチバには前に君たちと共に戦っていたポケショの住民たちが避難している、会えるといいな」
「なんだって!?」
アッシマーの目の色が変わった。
ポケショの住民たちといえば、セキチクに避難したはずだ。それがなんらかの理由で、クチバへ移動したというのだろうか・・・
彼らの顔、彼らと共に戦った記憶、彼らに対して抱いた感情・・・それらがアッシマーの頭の中に電光のようによみがえった。
重傷を負ったノクタスちゃん、その介抱のために残ったバク次郎とディグダマン、搭からテレポートで逃げたサナとラティオス、そして・・・
「それは・・・ 僕は彼女達が居るクチバへとビーストを誘導させるなんて・・・できません」
「アッシマーさん。 それならば彼らをさらに避難させれば良いじゃないですか、覚悟を決めてください」
秋葉の言葉にアッシマーは考える。もうこの世界に安全なところなんて無い、彼女もそれを覚悟している、それに今ならば避難も間に合う。ならば・・・。
「ラティアス・・・せっかくブラックタロンの直撃からもガムさんが助けてくれたのに・・・
こんなところで■なせたくない・・・あの子は・・・僕が守る!」
カッコよく聞こえる(?)独り言を、アッシマーはつぶやいた。
「・・・行きましょう。こうしてる間にもビーストはトキワを破壊しつくしてしまうかもしれない・・・」
アッシマーが秋葉に言う。その声は先程よりも真剣さを増していた。
「それで、移動手段はやはり・・・」
「無論、私がトキワまで『テレポート』させよう。」
秋葉の質問に、ステアはまるでそれが当たり前であるかのように即答した。
「……本当にトキワなのでしょうね」
「ふ、この場に及んでウソなど言うわけ無いだろう? あのときについたウソについてはここで謝って置こう。すまなかった。 まあ、聡明な君ならば、そんなウソなんてとっくに気がついているだろうが」
「え」
妖しく笑った表情でステアにそう言われた秋葉は、硬直した。
「では、行きましょうか。」
「……は、はい」
「ルカ☆、行きます!」
バラバラにならないように、小柄な秋葉とルカ☆はアッシマーの背中に乗る。
「・・・そうだ。アッシマー君。」
不意に、ステアがアッシマーを呼び止めた。
「なんでしょうか?」
アッシマーはルカ☆と秋葉をおぶったまま答える。
「その少人数では心もとないだろう、クチバに行けばビーストだけでなく、野生ポケモンや私達の仲間に襲われる事もある。もしそんな事があったら、これを使ってくれ。」
そう言ってステアが差し出したのは、赤く丸みを帯びた機械と、ベーゴマのような形をしたいくつかの白いものだった。
「『キャプチャ・スタイラー』と『キャプチャ・ディスク』・・・」
「使い方は、まあ知っているだろう。もし力を借りたいと思ったら、それを使ってみるといい。
ただし、ビーストに使おうとするとどういうことになるか・・・という事くらいは想像がつくだろう。」
ステアはそう言うと、アッシマーにキャプチャ・スタイラーとキャプチャ・ディスクを渡した。
「ありがとうございます!」
「礼には及ばんよ。では、テレポートをはじめる!皆はアッシマー君から離れるんだ。一緒に飛ばされるぞ!」
ステアはそう言うと、両手をにぎり、自分の体の前に突き出す。
「トキワシティへ・・・行け!」
ステアは手を広げた。その途端、アッシマーたちを光が包み、そして消えた。アッシマーたちの姿はそこには無かった。

―――――――――――――

(まったく・・・・ポケ使い荒いぜ。)
と小声で言いながら、ソーラビームを放つため、光を吸収する。ちなみに光とは、小鷹 光の事ではない。
その間に、ビルマはプリンスにハイドロポンプを放った。
「ぐはっ・・・瑞、パス。」
「ええっ!?」
「ブラッキーは弱いから楽勝だな。」
とビルマが言うと、恒例の・・・

プッツン

瑞の堪忍袋の尾が切れた。
「てめぇ・・・!!!ブラッキーの悪口を言いやがったな・・・!!!」
瑞のだましうちがビルマに炸裂する。
「おのれぇ・・・!!!スパーク!!」
瑞は[まひ]状態になった。しかし瑞の特性は[シンクロ]であるから、
「しまったー!!!ブラッキーの特性が[シンクロ]だった事を忘れていた!!」
ビルマはまひ状態になってしまった。次の瞬間、プリンスのソーラービームがビルマに炸裂した。
「ぎゃあああああ!!!」
「ヘッ・・・ザコが・・・!!!」プリンスがヤクザ口調で言うと、ビルマはまた襲い掛かってきた。
「お前ら・・・これで僕を倒したと思ってはいけませんよ・・・!!!」
その時、澪亮はたまたまウズウズしていたので、ビルマを[■サイン]で脅していた。
「・・・」
ビルマはそれに、みじんも同様しなかった。シカトされていた澪亮はマジ切れ寸前でした。

「で、コイツどうするんですか?」
「コロス・・・・・・・・・・・・・・・・!!!」
カタカナ表記「殺す」といってビルマを脅して、シャドーボールをタネマシンガン(またはスピードスター)並に放つ。無数のシャドーボールをビルマはよけ切れなかった。
「グギャアアアアアアアア!!!」
ビルマは悲鳴をあげながら海の底に■体となって沈んだ。

―――――――――――――

しるしのはやしを抜け出したRXは、へんげのどうくつに戻る最中だった。傷だらけの体なので、思うように歩けない。
「ハァ・・・ハァ・・・歩くのダル。」
など、ブツブツ言いながら、歩いていた。しばらくして、へんげのどうくつの前にたどり着いた。それと同時にばたりと倒れた。
「あっ! よかった、やっと見つけた、傷ついたバクフーンを発見!」
「アリーナさん、足元に気をつけてください!」
RXの目の前にふいに現れたのは、ハピナスとチリーンだった。ハピナスは手に持っていた鞄を地面に下ろした。
「重症だったみたいわねぇ… でも、だからといって治療後に走り回ったり戦ったりしちゃ、あの方に失礼よ。 今『へんげのどうくつ』に運ぶからそれまで待ってて!」
そういうとハピナスは「かいりき」を使ってRXを持ち上げた。
「わわっアリーナ様!ご無理をなさってはいけません!ここは私のねんりきで…。」
「なぁに言ってんの、リーシア。それだったらあなたの体力が持たないでしょう?私は大丈夫よ!」
心配するチリーンをよそに、けらけらと笑うハピナス。どうやらハピナスはアリーナ、チリーンはリーシアというようだ。
「くっ…。」
RXの体に激しい痛みが走る。そして、痛みに耐えきれず、RXは意識を失った。

…………………………

「バクフーンさん、大丈夫?」
RXの目が開く。アリーナの顔と、低い天井が目に映る。横を見ると、床より少し高い。どうやらベッドの上のようだ。
「ここは…?」
寝台に連れて行かれたRXは、ハピナス達から治療を受ける。
「スミマセン、あなたがたはダレですか?」
良く分からないままに治療を受けるRXは混乱しながら、質問をする。
「アリーナと言います。ルエルスさんからよろしくの言伝を頂いて、貴方の治療の続きを任されました。こちらはリーシア、こちらはビアンカと言います」
アリーナと名乗ったハピナスの紹介で、リーシアと呼ばれたチリーンとビアンカと呼ばれたアリーナはそれぞれ挨拶をする。
アリーナの[たまごうみ]とリーシアの[いやしのすず]で回復させる。
「ここは私たちDream Makers救護班の基地、「へんげのどうくつ」です。今アリーナ様が「たまごうみ」で、私が「いやしのすずで」あなたの傷を癒してます。」
リーシアがそばにより、簡潔に説明する。
「あなた、確かRXさんよね?RXGHRAN改さん…。」
「違う、RXGHRAM改だ…。」
RXが力なく訂正する。と、その瞬間、基地の奥のドアが勢いよく開く。
「アリーナ!私に調べてほしい物があるって本当!?」
出てきたのは一匹のベイリーフだった。
「そうよビアンカ、このRXさんが持っていたこの箱、調べてくれない?」
アリーナがRXの手元にある箱を指さす。
「ラジャー!」
ビアンカが楽しそうに敬礼し、「つるのむち」を使って箱につるをのばす。
「ちょっ…ちょっと待て!」
RXが急いで起き上がり、ビアンカのつるを箱から払う。三匹はきょとんとした顔をした。
「どうして?RXさん、その箱に何があるの?」
「これは、アメジスト…ミュウがくれた箱なんだ。この箱は一度使うと消えてしまうか
ら、いじらないでくれ!」
「ミュウ?!」
三方向から一斉に驚きの声が上がる。
「へー、RXさんミュウとも会ったんだ!すごいね!!」
子供のような笑い声をたてるビアンカ。
「何がおかしい!」
「だって会えるわけないよ、幻のポケモンなんて!私もミュウに会いたいけど、一度も見たことないよ!」
「うるさい、会ったって言ってん…痛っ!」
RXとビアンカの間の喧嘩はアリーナのビンタで止められた。アリーナがおもいっきりRXの背中を叩いたのだった。
「そんだけ元気なら、もうしばらく寝たら大丈夫ね、RXクン!あと少し休みなさい!」
RXは叩かれた部分をさすりながらも、アリーナの言うとおり寝転がった。
「おやすみ、RXクン!」
「おやすみなさい、RXさん。」
ビアンカとリーシアが交互に言う。RXは目を閉じ、眠りに入った。
「(と、その前に・・・これはここに隠しておこう)」
RXは寝入る前に敵に悪用されないようにとオルゴールを「へんげのどうくつ」の地中へ埋め隠した。

―――――――――――――

「(神様・・・この子だけは・・・!)」
「(どうか助けてあげてください・・・!!)」
さきほどから必■にフィに[ねがいごと]をかけつづけているガムとアカリン・・・しかしフィの様子はいっこうによくならない・・・
ちなみに、ガムとアカリンのケガはもうすでに[ねがいごと]によって完治させていた。
「一体なにが・・・」
ガムとアカリンががフィを我が子のように心配していると・・・
「そのイーブイは今、仮■状態におちいっているだけだ」
後ろからアカリンを呼ぶ声がする
「あなたは・・・ドリーフさん!」
そこには、少し円熟さを感じさせるイーブイがいた。
「ドリーフさん・・・遅いよぉ・・・フィちゃんが・・・フィちゃんが・・・」
アカリンの目からは涙がこぼれ落ちる・・・
「すまん、すまん・・・だが安心しろ、その赤ん坊のイーブイ、フィといったかな?そいつは■んではいない」
「え?」
ガムは驚くと同時に
「どういうことですか!?教えてください!ドリーフさん!!」
自分より小さいが・・・どことなく威厳を感じさせるイーブイのドリーフの肩を揺り動かした!
「いいだろう・・・まず俺が遅れた理由から話した方が早いかな・・・」
ドリーフはガムの手をはらいのけるとガムとアカリンの2人を落ち着かせ、話し始めた。
「俺がリーディから赤ん坊のイーブイがいるとの報告を受けた時に・・・まず、ルレンとルエルスの研究所を思い出した」
「なんだって・・・」
それを聞いていたガムは「ルレンとルエルスの研究所」と聞いて、自分が改造されそうになったあの研究所だということがすぐにわかった。無数の「DARK BOX」が置かれていたあの場所だ・・・
「・・・」
アカリンは黙ってブイズ隊長、ドリーフの話を聞いていた
「さっきゼロとお前達が戦った時に現れたシャワーズは、まぎれもないフィの姿だ」
ドリーフが恐ろしいほど冷静な顔で言った
「じゃ、じゃあ・・・フィはどうしてこんなことに!!」
ガムは取り乱していった・・・がドリーフが
「話は最後まで聞け・・・そのフィのシャワーズはフィの形態の1つにしかすぎん」
「・・・?」
「フィの能力は一切の道具を使わない【自由進化】だ。フィは自分の意志でブースター・シャワーズ・サンダース・エーフィ・ブラッキーに一時的に進化することができる」
「!!」
「いや・・・正確にはその高いリスクとして5分・・・つまり攻撃ターンで計算すると5回攻撃する間となるな・・・その5分がすぎると元のイーブイに戻る上に生命力の酷使から仮■状態となる・・・」
ガムとアカリンはさすがに驚かずにはいられなかった!!
ガムは思った「その能力はまるでポケスペのレッドのブイだよ!! 5分しか進化していられないなんて・・・【進化】というよりまるで【変身】じゃないか!!」
「どうやらフィはそうした能力を持たせるために、遺伝子改造によって生まれた子どもらしい。科学者の考えることは理解できないな・・・」
「!!」
ガムがたまらずドリーフの胸ぐらをつかんだ!
「ドリーフさん・・・! ドリームメイカーって何ですか!? そんなつまらない考えで・・・どうしてこんな小さな生命にそんなことをさせるんですか!!」
ガムの目からも涙がこぼれた・・・「フィがかわいそうだ・・・」と言わんばかりに・・・
「・・・知りたいか?」
フィは黙ってそう言うとガムとアカリンに地図と[ふねのチケット]を手渡し。
「ビーストが現れたことでステア達にあまり私用でテレポートを使わせるわけにもいかない。その地図にはクチバまで直行でいける最短の経路が記されている。今、塔の中には悠とワタッコの2人しかいない・・・今1番手薄な塔の力になってやれ」
そして、ドリーフはガムにむかって
「そしてガムよ、そこまで気になるならお前がゴットフリートに会って真意をたしかめろ、もう1度グレンの塔へもどるがよい!」
と言った!
そして次にドリーフはアカリンにむかって
「そしてアカリンよ!ブイズ隊長としてお前に任務を申し渡す!お前はガムと行動を共にし、グレンの塔の『突撃部隊』のスパイとして悠達の行動をさぐれ!」
今のアカリンに『突撃部隊』のスパイ・・・?
ドリーフはこういいたいのだろう。
『お前はガムといることで『密通者』としての『裏切り者』の疑いをかけられている。ならば表ざたは『突入部隊のスパイ』として行動を共にすることによってガムの力になってやれ』と
・・・しばらく考えてアカリンは
「りょうかい!『モエる朱色』のアカリン、任務を遂行します!えへっ☆」
アカリンはもとの笑顔にもどった
ガムは昏睡状態のフィを背負うとアカリンの手を引っ張り
「じゃあアカリン、僕たちはクチバへ行こう!」
「うん!」
アカリンは[でんこうせっか]でクチバへ走っていってガムもついていこうとした時・・・
「ガム、ちょっとまて」
ドリーフは[かみつく]でガムをとめた
「な・・・なんですか?ドリーフさん?」
「お前はこの戦いが終わったらアカリンと所帯をもちたいんだってな・・・せんべつだ!持っていけ!」
「こ・・・これは?」
ドリーフがガムにわたしたものは金に輝く指輪・・・ではなくてリボン・・・そうポケモン不思議のダンジョンの[きんのリボン]だった!
「アカリンはお前が思っているほど強い娘ではない・・・いつか壁にぶちあたるだろう・・・そんな時はお前が支えになってやれ」
「ドリーフさん・・・ありがとう!」
ガムはそう言い残すとアカリンを追って自分も[でんこうせっか]で移動を始めた!
「健闘を祈る!」
ドリーフはその2人を静かに見送った

************

・ガムとアカリンはドリーフの渡してくれた地図をたより[でんこうせっか]であっという間に、クチバの沖合いまで到着していた!
「驚くほど早く到着できた・・・」
「えへへ☆そうでしょ?この地図はリーディさんが[こうそくいどう]で作ってくれた、敵に出会わずクチバまで到着できる最短ルートだったんだよ!」
実はガム達が敵に会わずにクチバに最速に到着できた理由はそれだけではない。
「ふん・・・本当ならこんなことしないんだけど・・・あの赤ちゃんイーブイのためだものね・・・」
リーディが遠くから見ていた
行く先々の敵ポケモンを気付かれないようにリーディが追い払っていたのである!
だから敵からの妨害を受けることなくガムとアカリンは最速で到着することができた・・・

それと、もう1つ断っておこう
ここにはラティアス達『ポケ書チーム』が避難場所を変えてこのクチバにいるのだが・・・リーディの作ったこの地図には『ポケ書チーム』のポイントが記されていなかったため、ガムはラティアス達がいることに気付いていなかったことを。
ガムならばラティアス達との再会をよろこんだかもしれないが、ドリームメイカー軍のアカリンがいると混乱をまねく結果にしかならない・・・とドリーフとリーディが判断したからなのである。
とにかく今は時間がないのだ・・・

「ええっと・・・この[ふねのチケット]をつかって・・・」
「ガムくん!あそこ見て!」
「うわぁ・・・」
そこにはとても頑丈そうな大型ボートが止められていた。
「きっとドリーフさんが手配してくれたんだよ☆」
「そうだね・・・じゃあ、これに乗ってグレン島へ行こう!」
ガムとアカリンはボートに乗り込むと一刻も早く!といわんばかりにグレンへ向けて出発した!!
・・・・・・・・
「・・・」
アカリンは昏睡状態のフィを心配そうに見つめていた
「ドリーフさんの話だと・・・フィの目覚める時間は早ければ10分後かもしれないし、遅ければ一ヶ月たっても目覚めないかもしれないっていうし・・・フィちゃん・・・」
一方でガムは考え事をしていた
「(【ビースト】と【グレイス】。・・・僕たちの最大の敵はそれなのか・・・)」
今のガムには去り際のゼロの言い残した【ビースト】と【グレイス】のことがなんなのか・・・まだわからなかった・・・
「(それに・・・ドリーフの言っていた『今、塔の中には悠とワタッコの2人しかいない』って・・・アッシマーさんとルカ☆ちゃんとあかつきさんはビーストの追跡に行ったのか・・・?)」
今のガムには気がかりなことが多すぎる・・・
一抹の不安を感じながらガムとアカリンはグレンへむけてボートを飛ばしていた。

―――――――――――――

「フィちゃん、早く目を覚ましてくれないかなぁ?」
アカリンは独り言の様に言った、傍には目を瞑っているフィの姿。
「敵が現れなきゃいいけど・・・」
「そうだよね・・・、でも自分達でなんとかしよっ!!」
アカリンの言うとおりだ、敵が現れたらフィを守らなければいけない、でも戦っている時に目を覚ましたら・・・、また一時的の進化をするかもしれない。
とにかく、ガム達は敵が現れないことを願った。・・・そしてフィが目を覚ますようにと・・・。
「グレン島が見えてきたよ」
ガムの目の前にはグレン島が見えた。・・・そして塔も。

―――――――――――――

由衣は、223の背中に乗って、シャッコを追いかけていた。
「このままやったら、奴の隠れ家みたいな所へいけるからな。」
223の歌声のような羽音も今は聞こえない。理由は簡単だ。シャッコにばれないようにするためだった。
すると、海中では野生のテッポウオやハリセーンが泳いでいた。
「あれ・・・・?」
由衣は何かに気がついた用に言う。
「ここって、ナナシマのどこかなんかじゃない?」
「あ、確かにそうやな。だってさっきテッポウオやハリセーンがおったもんな。それにテッポウオのおるとこは、5のしま、6のしま、7のしまやから、そのどれかの島の周辺のおるで、多分。」
「静かに!!」
由衣が焦った表情で言う。
「あ・・・そやった。」

―――――――――――――

「シャッコは、まだ私たちに気付いていないみたいね」
由衣が静かに言った。
由衣の言うとおり、シャッコは気付いていないようだ。
「なんか偉いラッキーやな」
223も静かに言う、やはり羽音も静かに羽ばたく。
「慎重に行かなかったら・・・、私たち一貫の終わりかもね」
「なんやて!?」
「静かに!!」
由衣はまた焦った表情になった。
一貫の終わり・・・、つまり『■』
「■んだらアカンな・・・」
「そうね・・・」
どこか悲しげな表情に変わる。
「!」
由衣と223は驚いた表情になった、シャッコが急に動きを止めたからだ。・・・ある島の前で。
「何の島やろ?」
「でも、5の島、6の島、7の島の内の1つの島だと思う」
真剣な表情と目つきをした由衣に、223は戦闘態勢を構える用意をした。
「奴はこの島にある、隠れ家に行くつもりやろか?」
「多分ね」

―――――――――――――

やがて、RXの体は完治し、いつでも戦うことが出来る状況になっていた。消えていたはずの背中の炎も出せるようになっていた。
「アリーナ様、ベルが戻られました!!」
ビアンカがそういって走ってアリーナの元へ、かけつけて来た。
「ベルって誰だ?」
RXはベルが誰かを確かめるために、アリーナ達と共に、外へ出た。

・・・・・・・・

一方、こちらはFチーム、はずれのしまに到着していた。
「ここが僕の基地です。ここではRXが治療を受けているはずなんですが・・・。」
「え!?RXさんも蘇っていたのですか? な、なんで?」
瑞がベルに尋ねる
「あの状態から蘇った説明はあとにしましょうか。結論だけ言うと、彼はちゃんとここで生きていますよ。それに彼はすでに完治してると思いますよ。ほら。」
すると、ベルは、笑顔でへんげのどうくつの中から出てきたRXに指を指す。
「あのバクフーンが、RXか。」
プリンスが言うと、ひこが続ける。
「いつの間にかバクフーンに進化していたんですね。」
とりあえず、Fチームはへんげのどうくつに到着したので、早速ベルの基地へと入った。
ちなみに、それまであった出来事をFチームはRXに一通り話し、また、初対面のプリンスやベル達は改めてRXに自己紹介をした。
「さてと・・・」
完治したRXと合流できたFチームを見ると、ビアンカ達がすっくと立ち上がった
「・・・?どうしたんだ?ビアンカさん?」
RXがビアンカ達に問い掛けた
「RXさんを完治させてベル達と合流できた今、私達がここに居る必要はもうないわね・・・」
続いてアリーナも話した
「私達はこれから避難しながら、ビーストに襲われた、まだ生きている人達の看護にまわろうと思うの」
最後にリーシアがベルに言った
「ベル・・・あなた達の方は7人もいるのだから大丈夫よね?」
それに対してベルは
「どうぞ、どうぞ、私達もここ(へんげのどうくつ)でしばらく戦力を温存するつもりですので、ご自由に」
ビアンカとアリーナとリーシアは船に乗り込むと
「それじゃあ、みんな」
「もう会えないと思うけど・・・」
「頑張ってね!」
とRXの合流したFチームにそういい残し、共に海を移動していった・・・
「ちょ・・・待ってくれ!」
RXがビアンカ達を呼び止めようとした時、5人の姿はもう見えなくなっていた。
「(助けてもらった礼ぐらいはいいたかったのに・・・)」
RXはそんなことを思いながらビアンカ達の去っていった海面をただ見つめていた・・・

・・・・・・・・

ベルの基地には沢山の機会が並べられていた。SFのゲームに出てきそうな場所だった。
「まずはビーストの居場所を調べなければなりませんね。」
ベルは、コンピューターを起動し、ビーストの場所を調べていく。
・・・しばらくして、ベルの顔がだんだんけわしくなってきた
「どうしたの?」
瑞が不安そうな顔をしてベルに問う
「なんてことだ・・・」
ベルが顔を瑞達の方へ向けて
「ビアンカ達が・・・さきほど、ビーストに襲われ・・・」
そして少し言葉をためて
「・・・■んだとの確認がでました」
とみんなに伝えた。
「なんだって!?」
すぐさま驚き、立ち上がったのはRXだ。
そんな・・・さっきまで元気な顔でさよならを言ったばかりだというのに・・・
あまりにも突然すぎるビアンカ達の■に、RXは必■に自分を落ち着かせようとしていた。
それでもベルは平常心を崩さずに
「みなさん、ここから動くことは非常に危険です。しばらくここに止まって対ビーストにそなえ、戦力を温存しましょう。ビーストの居場所がわかっても、決してすぐにこちらから仕掛けないこと。いいですね?」
とみんなへ言い聞かせた
ドリームメイカー軍のベルにこう仕切られて「何を・・・」と思う者もいたが、確かにベルの言う事は間違ってはいない。
ベルの表情も瑞達が初めて出会ったときとは全く違う顔になっていた。
「・・・わかったよ」
RXはそのままそこに座り込んだ。
「それでも油断は禁物です。ビーストのことを知らされていない雑兵(したっぱ)や内乱状態のドリームメイカー軍の者どもがここ(へんげのどうくつ)を襲ってくるかもしれません。その時はまかせましたよ」
ベルはそのままコンピューターで調べ事を続けた・・・


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