クラシックロマンス小説『冬のバラ』 キャサリーン・ウッディウィス作 サンリオクラシックロマンス (株)サンリオ出版
■ストーリー■
舞台は18世紀後半のイングランド北部。
ヒロインのエリエンヌは美しくて頭がよく正義感の強い女性。
父親は市長とは名前ばかりのギャンブラー。
父のいかさまギャンブルを暴かれ父の名誉を守るために、決闘で腕が動かなくなった弟との三人暮らし。
父は家庭を顧みずわずかな金もギャンブルに使い、弟は決闘して負けた相手を毎日のろい酒びたりの毎日。
エリエンヌは父がいかさまギャンブラーのつけを払うために、年寄りの金持ちと次々に見合いをさせられる。
雨の降っているある晩から物語りは始まる。
父の連れてくる求婚者は、年寄りはか容貌が良くない者ばかりで彼女は「結婚」に対する夢を打ち砕かれた。そこへ、一人のハンサムな青年が父親を尋ねてきた。
父から聞いていたので彼女はその人が自分の求婚者だと思い込み家に招きいれもてなす。
初めて会って、ふたりは恋におちた。にもかかわらず、その男性(クリストファー・シートン)は、父のいかさまを暴露し、弟を決闘で蒔かした相手そのひとだった。
彼に対する好意はたちまち敵意にかわった。
彼女は、ことごとくクリストファーに対して冷たい態度をとっていった。父は、クリストファーにも借金があった。
切羽詰った父親は、エリエンヌを競売にかけ、一番高嶺で彼女を競り落とした相手と結婚させると言い出した。
「だが、クリストファーだけは、競売に参加してはならぬ!」
という条件付だった。エリエンヌを高嶺で競り落とし花嫁にしたのは、火事で焼け爛れた体をもつサクストン卿だった。片足はびっこをひき、常に杖の世話にならねばならず、顔は火傷がひどいためマスクをかぶり、マスクをかぶっているため人前では食事もできない。
そんな野獣のような夫の外見に怯え、エリエンヌは世継ぎどころか彼に自分の身を触れさせるのも身だけがよだつほど嫌だった。
そして、クリストファーに恋をしていながら彼の求婚を拒み続けたことを後悔した。
競売に参加させてもらえないクリストファーは一計を考えた。
それはエリエンヌごと世間を欺くものだった。
18世紀のイングランドでは、追いはぎや強盗が出没し、その一連の事件とサクストン卿、クリストファーが関係していく。
何も失うものなどない。という状態から出発したエリエンヌの結婚生活。しかし、夫との生活が安定していくなかで彼女が段々と違和感を覚えていく。
夫とクリストファーはいとこ同士だったが、それだけでは彼女は納得できない事実に直面してしまった。
そして、夜毎、追いはぎたちに打撃を与える黒ずくめの「ナイトライダー」が出現する。
正義だと思っていた人が悪党で、けだものだと思っていた人が尊敬に値するようなことをやっていたりと活劇的な要素も持つラブストーリー。
後半のどんでん返しが小気味良い。
■感想■
面白かったです。まるで絵のない少女漫画を見ているようでした。舞台が18世紀後半というのもツボでした。
それに脇役に「アラン」という保安官が出てくるので読んでみる気になりました。
読みすすめるうちに、エリエンヌの気分になりました。
「エリエンヌ、どうして夫の本当の正体に気がつかないの気がつかないの〜。それに気がつけば心の平安が得られるのに」とじりじりしました。
美女と野獣的要素もある作品でです。
作者は、普通の主婦で30代に作家デビューしたそうです。
デビューのきっかけは「自分の読みたい小説がなかったから」。
物語の所々に散りばめられたラブシーンがセクシーででも品があってよかったです。
こういうラブシーンを個人的に目指したい・・かも(無理だろうな^^)