小説 『星々の舟』 作者 村山由佳
言わずと知れた直木賞を受賞した作品。
新聞のみだしに心惹かれたので買ってみた。
■あらすじ■
暁(あきら)にはひとつ年下の妹がいた。
名前は沙恵。
両親の再婚の連れ子同士だった。
義理の兄妹のふたりは、いつしか想いあい、親にナイショで
深い仲になるが、ふたりにはどうしても結婚できない理由が
あった。
沙恵の出生の秘密を両親から知らされた暁は家を飛び出してしまう。
数年後に、実家から義母が生死の境を彷徨っているから帰ってきて。
と電話があった。物語はココから始まる。
暁、美希(暁のもうひとりの妹)、沙恵、貢(暁の兄)、聡美(暁の姪)
重之(暁の父)
の順で、物語は進行していく。
■感想■
物語の進行の中で、語られる義母の描写が鮮やかだと思った。
そして、登場人物達は何かを無くし、自分の気持ちと向き合ってゆく。
それは、妻だったり、婚約者だったり、親友だったり、愛人だったり。
同じ事柄が登場人物の視点で、少しづつ姿を変えるところなど
飽きなかった。
ラストは、静けさの中に見た、情念って感じでした。
『一生、どこにも嫁がない』決意を固めた沙恵。
『会えない状況』を作り出し旅立つ暁。
それを静かに『見守る』父。
おりしも、終戦記念日とあいまって、父、重之の章は印象深かったです。
以上。