術後4日目。朝食後、トイレに行ってみるがやはり出ない。同じ日に手術した仲間達は皆、一様に苦しんでいる。病室の先輩達も同じ道を踏んできているのだ。牛乳とか、ヨーグルトを飲むといいというので試してみるが、即効性があるわけでもない。 基本的には「同病相憐れむ」で親切な先輩達ではあるが、自分が苦しんできたことを後輩が苦しんでいるのは、どこか楽しんでいるようなフシもある。 「りきみすぎて頭の血管がプッツンして、違う病院へ運ばれた老人がいた」などと、マコトシヤカに話すのだ。 便秘というのがこんなにも気分の重いものだとは知らなかった。やりきれないので、またもトイレにでかけてりきんでみる。5分も粘っていると油汗が出てくる。テキはお尻から少し顔を出しているような気もするのだが、力を緩めると即座に引っ込んでしまう。(実際に見たわけではないが、そんな気がするのだ^^) メ一杯りきんで、少し顔を出したところを指でつまんで引きずり出してやりたい衝動に駆られるが、さすがにそうするには抵抗があった。 最後のひとふんばりができない。頭プッツンの話や、傷口がまた開くのではないかと、コワイのだ。 むなしい努力のあとは、脱力感と無気力感が襲ってきてトイレを離れることになる。 昼食も美味くない。無為に時間を過ごしていると、もう夕食の時間がやってくる。 とても入らない。昼食がまだ胃の中にそのまま残っていて、夕食を口にすると食道にまで詰ってくるような感じがするのだ。 さすがに夕食の半分以上を残してしまった。
ここの病院の日課でトイレの回数を記録しておかねばならない。 毎日、「大何回、小何回」と渡されているノートに書き込まねばならないのだ。 夕食後に看護婦さんがそのノートを見て言った。 「ふくいさんはまる3日出ていないですね。辛いでしょう。一本打ちますから診察室に来てください」 ボクはのこのこと看護婦さんについて行ったのだが、「一本」というのが「浣腸」をさすとは知らなかったのだ。 恥ずかしさもあったが、この苦しみから逃れられるのならと、妥協した。 打ち終わってから、「すぐには行かないで下さい。薬が出てしまいます。5分後くらいに行って下さい」と言うもんだから、ボクは病室で待機していた。「よし、10分くらいガマンして一気にケリをつけてやろう^^」とタカをくくっていたのだが、5分後には腹がグルグルいいだした。こらえてはみたが、すさまじい威力である。「もうアカン!」と、6分後には病室を飛び出していた。トイレまでの廊下が果てもなく長く感じた。トイレのドアの前に立った瞬間、気が緩んだのか「ピッ!」という感じがした。「ちびった!」慌ててズボンを下ろし便器に座る。(ここからの描写は省略^^) ホッとしてパンツが汚れていないかと目をむければ、例の「ウイング付き」がしっかりとガードしてくれている。なぜか、素晴らしく感動してしまった。 ウイング付きの感動とは裏腹に、出た量はわずかなものだった。まだ明日も戦いは続くようだ。
♪尻と泪と男と女(原曲はもちろんアレ^^)
忘れてしまいたいような ベンピの苦しみに おそわれた時に男は りきんでしまうのでしょう 力んで力んで一人力んで 力んで力み疲れてあきらめて やがて男は 涙の中に眠るのでしょう
日頃の暮らしの中で 2日や3日のベンピには 多少は慣れてる女は 静かに耐えるのでしょう 耐えて耐えて一人で耐えて 耐えて耐えきれずに涙して やがて女は カンチョウに頼るのでしょう
またひとつ 男のアホさが見えてきた またひとつ 女のズルさが見えてきた オレは男 カンチョウなんて恥ずかしいよ 今夜も一人トイレで りきんでみるだけさ 力んで力んで一人力んで 力んで力み疲れてあきらめて やがて男も カンチョウに頼るのでしょう
|