[7]智龍
そして、日は流れ、今日はクリスマスイブです。
「なんかすっごく微妙な天気…」 ご主人様が少し困ったような顔をして言います。 「お天気は悪くはないんですけどね。」 らんがそう言って見た空は、雲が多く、日はさしてはいますが、いつ雨やら雪やらが降っても、おかしくはない天気でした。 「明日にしない?」 「そうですね、明日は天気も良いみたいですし…」 「何をおっしゃいますか。クリスマス・イブに二人で過ごさないでどうしますの?」 ご主人様とらんが話していると、あゆみが口を挟みます。 「クリスマスはイブの夜が本番みたいなものですわよ。それにもし雪が降ればそれこそ好都合じゃありませんの。」 「じゃ、じゃあ、今日にしようか、らん。」 「そうですね。」
そして昼過ぎ、ご主人様とらんは二人で出かけました。 行き先はもちろん、福引でもらったペアチケットの先・・・遊園地です。
「さすがはクリスマスシーズン…人が多いな〜…。」 「そうですね…。」 「とりあえず何か乗ろうか?」 「え、えっと…あれに乗りたいです。」 そう言ってらんが指した指先にはメリーゴーランドがありました。
その後も、観覧車、ジェットコースター、コーヒーカップなど色々なものに乗りました。
「あ〜、楽しかった。」 「そうですね、でもちょっと疲れました。」 らんは少し疲れた顔で言います。 「そうだ、せっかくだからここで夕食とろうか?」 「え?で、でも…」 「いいからいいから〜。」 ご主人様はそう言うとらんをレストランへと誘います。
そして、中に入ると… 「いらっしゃいませ〜」 「・・・ちょっとビックリ…。」 「ら、らんも少し驚きました…。」 ウェイトレスを見てご主人様とらんが驚きます。 それもそのはず、ウェイトレスやウェイターなど、お店の人全てが赤い帽子と赤い服の、サンタクロース姿だったのです。 「さすがはクリスマスとは言っても、ここまでやるとはスゴイな…」 「そ、そうですね…お店に中にクリスマスツリーがあるのは、まだわかりますけど…」 「いらっしゃいませ〜、ご注文はもうお決まりですか?」 そう話しているとウェイトレスがご主人様とらんの前に現れました。 「えっと、僕ミートスパゲッチョー…じゃなくてスパゲッティー。」 「ら、らんも同じものを…」 「はい、ミートスパゲッティーをお二つですね。かしこまりました〜。」 注文を取り、サンタ姿のウェイトレスは去っていきました。
しばらくして、ウェイトレスがミートスパゲッティーを持ってきました。 「お待たせしました、ミートスパゲッティーになります。」 「食事が終わりましたらまたお知らせ下さい。」 スパゲッティーを出すと、ウェイトレスが言います。 「何かあるんですか?」 ご主人様が聞きます。 「はい、今日と明日はクリスマスということで、カップルでお食事をしていただいた方々には、食事の後にサービスでケーキと紅茶が出ます。」 「「か、カップル!?」」 ご主人様とらんが口をそろえて、驚いたように言います。 「はい、それでは失礼します。」 そう言うと、ウェイトレスが笑顔で去っていきます。 「ははは…カップルだってさ…」 「そうやって言われると、ちょっと恥ずかしいですね…」 「僕とカップルじゃイヤかい?」 「い、いえ、そんな事は…」
そう言いながら二人は食事をします。
そして食事が終わり、お店から出ます。 「おいしかったですね。」 「うん、それよりあの店、サービス良過ぎだよ…なんでサービスのケーキがあんなに大きいんだ?」 「そうですね、ちょっと苦しいです…。」
そして帰り道 「クシュンッ」 らんがくしゃみをしました。 「おいおい、大丈夫?ほらこっちおいで。」 そう言ってご主人様は、自分の首にしていたマフラーの半分を、らんにかけます。 「ほら、これでちょっとは温かいだろ?」 「は、はい。」 らんは少し赤くなり、嬉しそうに言います。
そして・・・ 「あ、雪ですよ。」 「ホントだ、やっぱり降ったね。」 「でも、雪ならちょっと嬉しいですね。」 「そうだね、ホワイトクリスマスだもんね。」 「はい。」 らんは嬉しそうに言います。
冬の夜に降る雪で気温はとても寒くても、二人の心はとても暖かでした。
END
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2002年12月24日 (火) 12時44分
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