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モモとご主人様の1夜【第4話】

[123]K'SARS


「ありがとうございました〜」
 食事を終えて、僕たちはファミレスを出た。
 しかし、未だに無言のまま。
 何かを話そうとしても、言葉が声にならない。
 何か話せても、言葉にならない。
 モモも温もりが手を通して伝わってきているのに、なんだか遠くにいるみたいな感じ。
 もどかしい。
 今の心境を語るとすれば、そういうのが自然だと思う。
 僕はそれほど喋るほうではないけど、こういうときに話せないのは、すごく辛い。
 どうして、こんなことになったんだろうな?
 …やっぱり、僕が途中で邪な考えを出してしまったからだろうな。
 はあ〜。
「もし、そこの人」
「えっ?」
 声がした方を向いてみると、そこにはなんだか怪しげな女性が座っていた。
「…僕たちですか?」
「はい。彼方たちです」
 このパターン、どこかであったような気が…。
 ……はっ。
 気がついたら、モモと一緒に女性の前に立っていた。
 なんかこう、自然と吸い寄せられた感じで。
「何か、用ですか?」
「はい。なにやらお2人の間に、重たげな空気が流れていたのが気になりまして、お呼びしました」
「別に、何も…」
「…これを」
 僕のことを無視するかのように、女性はお守りを差し出した。
 どこにでもあるような、普通のお守りを。
「あの…」
「そのお守りは、きっとあなたたちを良い方向へと導く事でしょう」
 完全に無視されるし。
「ただし、そのお守りは、そこの女の子が持たないと、その効力を発揮しません」
「えっ、モモが、ですか?」
「そうです。そのお守りは、今から12時間以内に3つのお願いを叶えることができるのです」
「3つの、お願い…」
「そのお願いは、あなたが大切に思っているいる人が、必ず、叶えてくれましょう」
 ものすごく怪しかったが、僕には今の状況を打開する手立てがなく、例えそれがどんなにインチキ臭いものでも頼るほかに無くて、僕は差し出されたお守りをモモに手渡した。
 モモはそれを大事そうに受け取ったのを確認して前を見てみると、女性はいつの間にか消えていた。
 一体、何だったんだろう?

 それから僕たちは、家に帰らずに公園に寄った。
 いつもルルとナナとモモが一緒に遊んでいる公園も、闇に包まれていて、誰もいなかった。
 僕は近くに置いてあった自販機からジュースを買って、その1つをブランコに乗っているモモに渡す。
「なんだんだろうな、あの人…」
 2人っきりになって、久しぶりに出た言葉がこれ。
「…ご主人様」
「うん?」
 モモはずっとお守りを見ながら、話しかけてきた。
「これ、本当にお願いが叶うのでしょうか?」
「どうなのかな? まあ、モモが心から願えば、叶うと思うよ」
 とは言ったものの、全く根拠がない。
 お守り自体にそんな力があるとは思えないし、何より、あの女性自体の発言が怪しすぎ。
 今時、そんなご都合主義なことが…。
 ………。
 うん?
 そういえば、
『そのお願いは、あなた=モモが大切に思っている人が、必ず、叶えてくれるでしょう』
 って、言っていたな。
 僕はそんなに頭が良くなくて、某名探偵少年には遠く及ばないかもしれないけど、これだけはわかるような気がする。
 つまりは、モモが大切に思っている人が、その願いを叶えるんだ。
 …モモの大切な人、か。
「あの、ご主人様?」
「うん?」
「また、難しそうな顔をしていましたけど…」
 そういえば、さっきも言われたな。
 僕って、表情に出やすいタイプなのだろうか?
「いやね、モモの大切な人って、誰なのかなって」
「えっ? も、モモの、大切な人、ですか?」
「そう。モモが心から大切だって思える人。モモが心の底から大好きだと思っている人」
「も、モモは…」
 卑怯な自分がここにいる。
 まだ小さなモモに、こんな酷なことを言わせるんだから。
 でも、その言葉を聞きたいのも事実で、嘘偽りも無い言葉を、僕は望んでいた。
「も、モモが、大切にお、思っている人は、ご、ご主人様です!」
「…本当に?」
「はい。何度でも、言います。モモが大切に思っている人、世界で一番大好きな人は、ご主人様です!」
「そっか…」
 全身から、どっと力が抜けたような感覚になる。
 安心した気持ち、嬉しい気持ち。
 そして、目の前にいる少女をいとおしい気持ち。
 ああ、僕はなんて幸せなんだろうな。
 こんなに大切に思われたこと、今まで一度もなかったな。
 だったら、僕はそれに応えるしかない。
 モモが望んだ事を、しなければならない。
「だったら、僕はモモの望みを叶えてあげなきゃな」
「モモの、望みですか?」
「そうだよ。モモのしてほしいこと、やってほしいこと、何でも叶えるよ」
「でも、どうしてですか? …あっ!」
「そうさ。そのお守りに願いを言ってくれれば、僕が叶えてあげる」
 お守りに言わなくても、叶えてあげるけどね。
 ということは、あえて言わないでおいた。
「な、なんでもいいんですか?」
「ああ。僕に出来る事ならね」
「じゃ、じゃあ、ええっと」
 あはは、何しようかそわそわしてる。
 う〜ん、かわいいな。
「も、モモと、お家に着くまで、て、手を繋いでください!」
「…さっきまでやったじゃないか」
「そ、そうでしたか? じゃあ、えっと…」
「あはは。わかったよ、それは特別サービスとして、叶えてあげる」
「い、いいんですか?」
「もちろんだよ。モモが考えたお願いだし、さっきも言ったように、僕に出来ることならなんでもしてあげる」
「は、はい! じゃあ、その…」
 モモの遠慮がちに差し出された手を、僕は包み込むように握った。
「それじゃ、行こうか」
「はい! ご主人様」
 僕たちは、再び夜の町を家の方面へと帰って行く。
 お互いの手を、しっかり握り締めて。
 
 一方、その頃。
「うふふ、うまくいっているようですわね」
「そうですね。あともう少しで、達成ですね」
「いいな〜、モモねえたん。ご主人たまと、おてて繋げて。ルルたんも繋ぎたいぉ」
「う〜、ナナも、ナナも繋ぎた〜い」
「もう少しの辛抱ですわ」
「そう、全てがうまくいけば、また繋げますよ」
「わ〜い、ルルたん、早くご主人たまとおてて繋ぎたいぉ〜」
「ナナも繋ぎた〜い」
「…なんか、無邪気な空気と不穏な空気が混ざって流れているのは、私の気のせいなのかな?」
「いえ。多分、アカネお姉ちゃんが思っていることは、間違いではありません」
「…ご主人様、モモ、なんともないといいけど」
「「うふふふふふ」」

<続く>



 後書き♪

 うう、進みが悪くなってきたな。
「おまけにネタも切れてきましたね」
 そうなのだよ。
 案はあるんだけど、なかなか表現が出来なくて…。
「だからといって、3つのお願いネタは、どうかと思いますけど」
 人形じゃないからいいのだ。
「良くはないと思いますけど…」
 細かいことを気にしたら、すぐにふけるぞ。
「うう、私、ご主人様より若いです〜」
 …それはそれで、むかつくな。
 まあ、それはよかとして。
 今回は、この辺にしようか。
「は〜い」

メール 2003年09月24日 (水) 15時28分


[130]エマ
Re:モモとご主人様の1夜【第4話】


今回は、なんともしみじみとした…。
このご主人様って、すんごく口下手なんですね。見ててちょっとハラハラしますよ(笑)

でも、占い師さんが助けてくれたおかげで、なんとか良い雰囲気になりましたね。

モモちゃんと手をつなぐ、という状態って、実際にやったらどういう風に感じるんでしょう。思い切り想像力を働かせて考えて見ると、これすっごく楽しいですよね。

モモの小さい手…弱弱しく僕の手を握るけど、そこからモモの暖かさ伝わってきて…。
きっと、僕の手の暖かさも、彼女に伝わっているんだろうなぁ…。

と、もう想像が止まりません(笑)

さて、願い事の一つがかないましたね。次はどうなるんでしょう?

HOME 2003年10月10日 (金) 00時53分




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