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(1022) 【第41話】 罠 投稿者:マクルク HOME

―――12月23日 午前7時03分
綾人達は潜水艦へと移り、ちょうど沖縄を過ぎた辺りを潜っていた。
米軍兵から支給された最低限度の食料、医療セット、武具の詰ったリュックサックが
各自で至急された。
綾人は改めて自分の持つ魔本に映し出された術、その効果を確認した。
自分の持つ術(すべ)をどう生かすか、どう繋げるかなどの自己流コンビネーション創案に
余念がなかった。
その他も景色を眺める者、武具扱いのチェックなどとにかくジッとしていることは
ほとんど無かった。
そして、残りの約1時間分も予想以上にあっという間に過ぎて、目的地へ数10メール前に着いた。
潜水艦の目が水上から覗かせると、それぞれが潜水艦から陸へ繋がるパイプ巻を通って
陸へ上がった
辺りは生い茂る木々で囲まれている。

「―――アルト、敵の気配は?」
「この森周辺はいなさそうだね・・・。
 ただ、その奥の山に4つの気配が感じられる・・・」

ジュリアが黙って手を上げると2列に並んだ。
常に縦に並んで、人間、魔物の交互にならび、あらゆる方向からの
攻撃に対処できるように並び、ゆっくりと歩き出した。
10分もたたぬ間に、森を抜け、ルル等の知る“秘密の入り口”が見えた。
そこはデコボコした荒らいトンネルだった。
うまく、凹凸した岩に手足を引っ掛けて、進んでいくと、大きなゴツゴツした
広間へ出た―――

「・・・ここが、最初の広間ね」

ジュリアは地面をジッと見つめると、岩を指で軽く叩いた。

「・・・軽いな。・・・罠?・・・いや、違うか。
・・・お前等、来るぞ?」

突如、天井が崩れると、白銀の鎧を全身に纏った兵が大量に
振り出した。

「・・・あ!!」

アルト、シオン、リリィ等は見覚えのある兵士に驚きを隠しきれなかった。

「戦闘はもう始まってるんだぞ!?どうした!!」
「アレって・・・アイツが持ってたハズなのに・・・」

かつて見た兵士はユーゼスが何らかのルートを使って持ってきた
魔界の機械兵だった。
それらはアルト等によって全滅させられ、ユーゼス本人も送還された今
この兵士が存在するのはおかしいことになる。
―――他の場所にも兵が存在していた?
―――あるいは兵が他の魔物にまで渡っていた?

細かいことは一旦忘れ、目の前の敵に専念するよう、雑念を振り払った。

「陣形を取れ!敵数はざっと20体!アルト、ロバートも前衛に出て
 最短で敵を殲滅させろ!いいな!?」

全員が返事をした。

「ゴウ・フィドルク!」
「ウィルム!」
「ドルノビル!」

一斉に3人が飛び掛り、敵陣へ突っ込むと
先頭に立つ兵の何人かが突き飛ばされた。

「・・・・・・」

葵は後ろでギリギリと機械と機械が擦れる音が聞こえ、
咄嗟に振り返った。
途端、白銀の兵が短剣を葵に振りかざすが、
間一髪でそれを避けて、大きく下がった。

「ジュリアさん、後ろにも敵が・・・」
「チィ・・・パートナーは全員中衛位置まで下がれ!」

パートナー等が一斉に中衛位置―――
広間の中心へと戻った。

今度は地面の下からゴゴゴと地響きに似た音がどんどんとこみ上げてきた。
刹那―――
回転する大量の水が地面を突き破って、広間一体をまとめて吹き上げた。

「!!!・・・クソッ・・・なんで水が・・・!?」

パートナー達は四方八方に吹き飛ばされ、魔物、兵達もバラバラに
宙を舞った。

「(・・・しかも、地面の下に地面・・・!!
 落ちたら、即死・・・)
 いいか、お前等!?今持ちうる術を最大に生かして
 この4つの入り口のどこでもいいからたどり着け!
 もちろん、パートナーと一緒にだ!!!」

綾人はウィルムを唱えると、アルトが宙を走って、落下する綾人を抱きかかえると
正面の入り口に着地した。

「僕達はOKです!」

スティーブはディオジキル・フィドルクで駆けてくるシオンの身体に
跨ると左手前の入り口に入り込んだ。

「俺達も大丈夫だ!」

ジュリアはノビルガを唱え、ロバートの伸びる鼻に捕まり、
カーネルがポルクを唱えると、パウロの下半身がバネになって
地面の破片を踏み台にして、勢いよくはねると、直線上にいる
カーネル、ジュリア、パウロをまとめて抱きかかえ、勢いで
左奥の入り口に飛び込んだ。

「私達も平気だ!全員入口に着いたか!?」

リリィは葵の服の襟を抱えながら、フラフラした状態ではあるが
なんとか、右の入り口へと辿りついた。

「私達も無事です!」
「じゃあ・・・ルル達は!?」

ルルと真奈美は合流してはいるが、部屋の中心を落下しているため
どうあがいてもこの広間のどこの入り口にも届くワケがなかった。

「綾人、強化の術で・・・」
「わかった。ただし、やるからには最速だ―――
 ウィレイド!」

アルトの体から蒼い光が放たれる。

「―――ウィル・ガドルク!」

さらに、白い光がアルトを身体を包むと、顔面から
勢いよく飛び出した。
そのスピードはまさに高速で、数秒と数える間も無く
ルルと真奈美を軽々と抱え上げると、元の入り口まで戻った。
しかし、途端、各入り口が壁から飛び出した銅色の扉で塞がれてしまった。

「・・・なんだよコレ!?・・・クソッ開かない!」

アルトが必死に叩いて、蹴るがビクともしない。

「おーい!みんなー!聞こえるーーー!?」

今度は叫んで見るが、一向に返事が返ってこない。
声が届いていないらしい。

「どーしよ・・・別れちゃった・・・」

ルルが不安げな表情で真奈美の衣服を掴んだ。

「・・・と、とにかく先へ行こうよ。
 この4つ入り口全部、最終的には1つの部屋に
 繋がってるしさ・・・そこできっと合流できるよ!」

4人は立ち上がると、先見えぬ一直線のルートを黙って歩き出した。


2005年05月21日 (土) 14時15分


(1028) 【第42話】 術の応用 投稿者:マクルク HOME

「・・・リリィ、先進もう」
「てゆーかぁ・・・もうちょっと秘密基地っぽい場所だ
 って思ってたからさ、もっとマシに作ってあるかと思った
 けど、以外と作りが雑なのね」

閉ざされた扉は、予め扉の大きさ分の隙間から落下し、
接合し、出口を閉ざすもので、中々の上質な罠ではあるが
そこから進もうとする一直線の左右上下の岩が突起した
一直線の道は力任せに、荒く造られた感じに思えた。
ついさっきまで綺麗な正方形の形をした大広間は何だったん
だろう?
葵は歩きにくいデコボコした道をフラフラと歩き出した。
―――葵達は薄暗く、奥から見えるかすかな光を頼りに
歩き出した。
僅かな隙間も無い洞窟は熱が篭り、数分と経たぬ間に
汗が噴出してきた。
ポケットに入れていた綿のタオルで汗を拭った。
そして、17〜8分屈んだ状態のまま歩き続けた後
ようやく、かすかな光は徐々に大きくなり、洞窟全てを
照らすほど大きくなり、遂にはその光の根源の部屋へと
辿りついた。

「・・・!」
「アラ、お久しぶりですわね・・・?」

狭い洞窟を抜けた先に、再び正方形の大広間があった。
前よりは幾分、小さいが。

「まさか、運良くこっちへ来てくれるなんて、何かの運命かしら?
 ・・・神様が、私達に与えてくれたチャンスってとこ
 でしょうねぇ♪」

ジェミニカの本が光った。

「ロズルガ!」
「―――ギガノ・ビライシル!!」

直径1mほどのバラの花が葵達に向かって放たれた。
それを、リリィが球状の光のバリアでそれを弾いた。

「・・・その屈強な盾は健在なのね」

リリィが半透明の4枚の羽根を羽ばたかせて、
マキュリーの下へと飛んだ。

「オルダ・ロズロン!」

湾席の地面を突き破って、グネグネと生きたように
複数のバラが茎をうねらせ、絡み合うようにリリィ目掛けて
その花びらと花びらの間に飛び出た銀色の針ごと襲い掛かった。

「所詮、あてずっぽうでしょ?
 こんな小さな私を捉えられるほどアンタの目はいいのかしら?」

マキュリーは下唇をかみ締めながら、複数のバラを乱暴に
振り回した。
それを、リリィは軽々と避ける。

「ジェミニカ!今度はアレを―――」
「ビライ!」

マキュリーは指示を出した瞬間、薄ピンク色の光球が
飛んできて、肩で爆発し、頭から転げた。

「・・・ッ!!」
「ジェミニカ・・・!早く!」

ジェミニカは慌てて本のページを捲り、マキュリーから
離れるとさらにより強い本の光を放たせた。
その表情が光の量と呼応している。

「双輪に咲きし、紅き薔薇!
 冥界の淵に咲きし、楽獄園の黒き薔薇!
 裂くは黒弁の刃、貫きしは鳳仙花の槍を象らんとす棘!!―――」
「故に出でよ!バズオウ・ロズガーゴ!!」

マキュリーの両腕から現れた光は銀色の輪を二つ作り、
その輪の中の空間がドス黒く歪み、中から
褐色肌の女性を司る像が巨大な一本の槍を持ち、姿を現した。

「リリィ、走るわよ!」

葵は少し険しい表情で、マキュリーとは反対方向―――
出口側へと走った。
手汗に滲む手が持つ本はジェミニかに負けじと劣らない
強い光を発していた。

「あの術に対応するには、出来るだけ力を溜めなきゃいけない・・・」
「葵、来るよ!!」

女性像は槍に白い静電気を帯びさせ、それを持ったまま突っ込んだ。
その勢いで地面が抉られ、爆ぜ、岩欠片を飛ばした。

「・・・・・・」
「・・・葵、まだ!?

ギャゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ――――――

「・・・・・・」
「もう来るって!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ―――――

「・・・(―――来た!)
 ディオ・ラ・ビシルド!!!」

槍の眼前に突如現れた盾はその進行を止めた。
盾は槍に押された形で、裏側ででっぱっている。

「・・・クゥ・・・ぁ・・・ぁあ・・・!!!」

盾に皹が入りだした時、槍の先端がUの字に曲がり
その先端が女神の顔を突き刺し、ひび割れさせていた。

「お願い・・・もって・・・・・・」

ガシャアアアンという盾が壊れる音と共に
槍の先端は女神を顔面を貫き、砕くと徐々に薄れ
消えていった。

「・・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」

葵は小刻みに息を漏らしながら、両手を膝について
苦しそうな表情を見せた。
リリィは葵の精神的な疲労感は見たことがあっても
肉体的な疲労感を見せたのは初めてのことだった。
息を切らす葵の表情に不安を隠すことは出来なかった。

「大丈夫?葵!」
「・・・平気だから、ね。それよりも前・・・」

リリィが前を振り向くと、ジェミニカの本が先ほどの同様の
強い光を放っていた。

「さきほどの攻撃で分かりましたわよ・・・!
 アナタの持つ最大の盾は私の“2番目“に強い
術に敗れた・・・。
じゃあ、その盾は1番強い術に耐えられるのかしら?」
「・・・・・・・・」
「ジェミニカ!コレで最後ですわよ!!」
「―――――ディオガ・ロズルドン!!!」

地面から飛び出した巨大なホットピンクの薔薇は
荒れ狂う波のように茎を撓らせ、斜め上から花を振り下ろした。

「リリィ、コッチに手を向けて」

葵が指差した先は葵の前に立つリリィから見て、右斜め上に位置
を指していた。
リリィは両手をそちらへ向けた。

「ディオ・ラ・ビシルド!!」

ホットピンクの薔薇は斜めに傾いた盾に直撃した。

「・・・!!!」

薔薇は滑る様に花を、茎を撓らせて斜め上に跳ね上がった。

「え〜〜〜〜〜!!?何でッ!?何でなのよォ!!?」

―――反射する盾はぶつかった瞬間、威力を若干分散して跳ね返す。

「ディオ・ラ・ビシルド!!」

宙を勢いよく跳ね上がる薔薇はまた、斜めに反射した盾に跳ね返され
それはまっすぐとマキュリーの元へと落下していった。

「ィイ・・・ヤアアアアア!!!」

――――それを斜めに向けることでさらに威力は分散される。

薔薇は凄まじい轟音と共にマキュリーを押しつぶした。
砂煙があたりを包み込んだ。

―――あとは、鏡の反射の要領で対象を敵に向ける

押しつぶれた地面の上に潰されたマキュリーは白目で意識を
失っている。
せっかく新調した服もボロボロに汚れている。

「・・・残念ね。負けちゃった・・・本は好きにしてちょうだい」
「・・・そうさえてもらうわ」

葵は地面に置かれた本にビライを放ち、本を燃やした。
マキュリーは意識を失ったまま、送還された。

「リリィ、行こう」

葵が立ち去ろうとした時、ジェミニカが声をかけた。

「アナタ達の目的は何なの?レギオンを奪う気?」
「違う。レギオンの発動を阻止しに来たの・・・」
「アラ、そうだったの。どーせ、アタシにはもう関係ないし
 情報良かったら教えるわよ?」
「敵の情報なんて当てにならないけどね」
「・・・ま、とりあえず聞いてよ。この先は結構長いけど
 一本道で罠もないから難なく進めるわ。
 その先にはレギオンもある・・・・・・」
「・・・で?」
「だけど、そこにはあのカグヅチも居る。
 彼の実力は常識を逸脱した強さ・・・
 レギオンのボディーガードである私たちが全員寝返ったって
 勝てる見込みがないほど強い・・・。本当に強いのよ」
「それでも、進む」
「!!」

葵は一言言い残すと大広間の先にあるデコボコのトンネルを
また潜っていった。

「・・・あんなバケモノ、勝てるワケないのに・・・」


2005年05月28日 (土) 19時29分


(1034) 【第43話】 魔導巨砲レギオン 投稿者:マクルク HOME

山内の最上層の一番奥の大広間。
両脇からは湧き水が漏れ、深い水溜りを作っている。
その部屋で直径5m近くある砲口の奥に輝く白い鉱石を眺める
一体の魔物と人間はそれに見とれていた。

「・・・残り、146分33秒でレギオンのエネルギーが
 溜まる・・・俺が世界を手にするのも、それと平行している
 のだ」

紅い皮膚に細くも生ゴムを圧縮させたかのように
筋肉を腫らせた腕。
逆立った刺々しい髪。
充血した目に浮かぶ白い血管。
魔界の独特の文化を象徴するような見慣れない文字が
縫われた朱色のコート。
これら全てがカグヅチの本の使い手、ドレイクは未だに
背筋を凍らせずにはいられなかった。

「それにしてもムカついてくるぜ・・・土壇場でゴミが
 数匹攻めてくるとはなぁ・・・」

カグヅチは鋭い爪を手のひらにしまい込んでギュっと握った。
ギリギリと歯軋りの音がドレイクの耳に入る。

「マキュリーがやられた時点で最低一人はここに来ることに
 なるぞ」
「テメェ、ナメたこと言ってんじゃねえぞ!?
 んなことは知ってる!」
「残るはバーザス、オッグス、Dr、ザクスミスの3人・・・
 何人がここに来ると思う?」
「・・・・・・あえてだ。あえて言うならバーザスとオッグス
 が負ける可能性は低い。確実じゃあないがな・・・」
「理由は?」
「フンッ・・・少なからずバーザスは言わずともわかるだろうが
 ・・・!なんせヤツは――――」



「―――オイオイ・・・マジですか?」
「男がグダグダ言うもんじゃないよッ」

同じような広間の暗がりからヌゥっと姿を現した大きな大きな
まさに“魔物”を象徴するような巨体が姿を現した。
肩には本を持つパートナーがスーツのネクタイを締めなおしている。

「こここんなデッカイ魔物・・・初ッ初ッめてだ・・・」
「うーわぁ・・・帰りてぇ・・・」

パウロとロバートがすでに肩をガクッと下げてため息をついた。

「グルルルルルルル・・・・・・」

巨大な魔物は鋭い牙から垂れる涎を腕で拭くと
品定めをするように、顔を近づけた。
パウロはとっさにカーネルの後ろに隠れ、半身を出した。

「・・・・・・・・・」
「バーザス、どうだ?この餌共は美味そうか?」
「ヴルルルルル」
「フフ、そうか。美味そうか・・・じゃあ――――
 アクル!!」

バーザスは勢いよく首を戻して、口を膨らませると
その口から滝のような大量の水を吐き出した。

「避、避けろォッ!」

二組は互いに反対方向に走って、地面に滑り込むと
地面に当たった水は波のように跳ね返って4人を
流した。

「クソ・・・体も半端なけりゃ、術もハンパねーな・・・!!」
「バーザス、軽く遊んでやれ」
「ルガアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!」

バーザスの左腕から血管が浮き出て、それを豪快に振り上げ、
カーネル等目掛けて豪快に振り下ろした。

「パウロ、行くぞッ」

カーネルはパウロを持ち上げ、拳目掛けて思いっきり投げた。

「ゴムルク!!」

パウロの体はムササビのように伸び、その拳の勢いを殺し、
跳ね返した。

「ギガノ・ノビセン!!」

さらに反対方向からロケットミサイルが飛んでくるのに気づいた
バーザスが肘でそれを受け止めた。
肘の皮膚が剥げ、紫色の血がボトボトと地面に落ちる。

「・・・・・・へぇ、雑魚い割に足掻くな?」
「窮鼠猫を噛むって言葉、知ってるか・・・?」

カーネルとパウロはジュリアのいる反対方向へと駆けつけた。

「・・・やってみろよ」
「ああ、やってやるさ!」

ジュリアの眼光に本の持ち主は余裕の表情を見せた。
額から流れる冷たい汗を拭きながら。


2005年06月08日 (水) 20時56分


(1038) 【第44話】 洪水注意報 投稿者:マクルク HOME

「パウロ、別れて変化で相手の本を奪うことを優先して突っ込め!
 ロバートは相手の攻撃の妨害、私たちは距離を置くぞいい    な!?」
「オッ、オウよ!!」

カーネルとジュリアは大広間の入り口前まで走って下がり
片膝を地面につけ、本を開いた。

「ガンズ・ブルク!!」

パウロの周辺から多量の煙が出てきて、その煙から
同じ姿、大きさのパウロが何十体も現れた。

「ポルク!」

強く光る本に呼応して一斉にパウロ達がロバートそっくりに
化ける。
バーザスの本の持ち主はうっと軽いうめき声をあげて
引いたような表情をした。

「よぉ―――――しッ。
 全員突っ込め〜〜〜!!」
「オオオオオオオオオオオオッ!」

ドドドドと小さな地響きを唸らせながら、一斉にパウロ達は
飛び込んでいった。

「チビが・・・!ナメんなッ――――
 ガルアクルガ!!」

一直線に走り、鋭く回転する水流がロバート達の3分の1近くを飲み込ませた。
水圧を受けたパウロ達は煙となって次々と消えていく。
その中に本物はいなかった。

「チィ・・・バーザス!全部叩き潰せえぇぇぇ!!!」
「ゴラアアアアアアァァァァンッ!!!」

バーザスは両拳を握り、ガムシャラに拳を振り回した。
凄まじい攻撃の荒らしに当たり一面が地震のごとく震え上がり
地面にいるロバート、体に這い付くロバートを全てなぎ払うのに
そう時間はかからなかった。

「ハッ・・・ハハハ・・・群れで来た割りに
 随分とまぁ・・・ハッハッハ♪」
「・・・」

本の持ち主の勝ち誇った笑みを見て、ジュリアが同じように
笑みを見せた刹那――――

バーザスの背後で地面が砕ける音と同時に鼻の先端をドリルに
変えたロバートが飛び出した。
飛び出した高さはちょうど、パートナーと平行している。

「ギガノ・ノビセン!!」

ロバートの鼻が巨大な大砲に変わり、ミサイルが飛び出した。

「(・・・決まった!)」

ロバートはこの時点で勝利を確信したが―――

「ラージア・アクシル!!」

突如、バーザスの体から水が噴出してその水がみるみる体を包み込んだ。
それはギガノ・ノビセンに当たるも、水が震えるだけで、中身には届かなかった。

「ついでに一匹仕留めさせて・・・」
「オオオオオオン!!」

バーザスの拳が荒々しく飛んでくる。
ロバートの2、3粒の冷や汗が風圧でいっきに顔から離れるのを感じだ。
次に、自分の体が風圧で飛んで壁に当たった。
ボッコォンと耳鳴りがするほど大きな音で拳はめり込むが若干のミス。
若干の狙い定めのミスがロバートの命を救った。
ロバートはすくむ足を奮い立たせてジュリアの所へ戻った。
戦いの最中とは言え、ジュリアの懐は妙に落ち着けるものがあった。

「なるほどなるほど・・・動揺作戦ってヤツね・・・うん。
 もうその手は効かない。今度は我々の“台風”を見せてやるよ・・・」。
 Tt’s Muroto show ! Can you put up with this attack ?
  (室戸ショーの始まりだ! 貴方達はこの攻撃に耐えられるかな?)」

流暢で滑らかな英語で4人を見下し、自己に酔いしれると、バーザスは
獰猛な咆哮を、めいいっぱい口を広げた。

「来るぞ!」
「エイジャス・アクレイド!」

辺りが丁度足のあたりまで水が浮き上がり、揺ら揺らと波を打っている。
そして、その水が一気に4人の周りに集中し、天高く吹き上げ、押し上げられた。
手足が水に浸かっていて思うようにバランスがとれず、動けない。

「ギガノ・アクル!!」

さらに、打ち上げられた4人目掛けて巨大な、5m強の水玉が飛び出した。

「ロバートッ」
「待って・・・!狙いが・・・上手く・・・!!」

水玉が噴水のような水しぶきを飛ばしながら、刻々と迫ってくる。
そのあせりが体の一部が浸かったロバートの体を鈍らせる。
顔が水浸しだが、その中には塩辛い汗も混じっている。

「ガンズ・ブルク!」

無数に分かれたパウロがロバートを水中から支え、姿勢を固定させた。
急激に高まった鼓動がフッと静かに収まるとロバートはギガノ・アクルを見据えた。

「ギガノ・ノビセン!!」

巨大なミサイルが巨大な水玉を弾くが、その勢いで4人が水流から落とされる。

「バーザス、叩き潰せェ!!!」
「ロガアアアアアアアアアアアア!!!」

バーザスの上腕がはれ上がり、血管が浮き出て、それをただ真っ直ぐ―――
シンプルに振り下ろした。

「く・・・ッ」
「カーネル、どいて!!」

ロバートとパウロが二人を突き飛ばす。
何も言い返すことも出来ないまま、バーザスの巨大な拳に見事に叩き潰され
その凄まじい轟音が後から耳に入ってきた。
瞬きすら許す間も無く振り下ろされた。
死んでしまった?生きていて欲しいが、こんな大きな一撃をまともに喰らっては―――
ジュリアの目に光が消えかけたころ、地面に体が打ち付けられ、全身に一瞬走る激痛と
中途半端に途切れた呼吸による苦しさが不幸中の幸いか、光を取り戻した。

「・・・ダメ押しと行こうか?」
「え?」
「―――アクル!ガルアクルガ!ガンズ・アクル!」
「―――はッ!!?ちょ・・・ッ止めろぉ!!」
「―――ガンズ・アクル!アクル!アクルウウウゥゥゥ!!!」

ジュリアは思い出した。
かつてもっとも厳しい戦争の最前線に立ち、ライフルを構え。相手の
頭を射抜くことのみ考えていた時のことを。
聞こえるのは悲鳴でも、仲間の指示でも無かった。
耳にうるさいほど響き渡る爆撃音。
大音量のヘッドホンを耳に当ててる間隔に近い音。

「・・・嫌・・・」

強襲による優位な立場を翻す小さな小型手榴弾―――
前線に立つ隊長と副隊長の飛び散る肉片。
混乱する新米兵。ジュリアもその一人。
ドミノが崩れるように次々と撃ち殺される新米の兵。
常に視野の3分の1が赤いモノで覆われ、不安を調和させる仲間が
全て消えた時、一度訓練によって閉ざされた死への恐怖感が
こみ上げてくる――――
まさに今の心境を物語っていた。
自分は強くない。皆が仲間が私を強くしてくれる。
死んじゃ嫌―――
死んじゃったら私、弱くなっちゃう
誰よりもひ弱で情けない私―――

「・・・トドメだ。ディオガ・アクルドン!!!」


2005年06月16日 (木) 21時53分




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