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名前 |
MUTUMI
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題名 |
217 |
内容 |
慌ててプレスはそう叫んだ。一矢の殺気が静まった為、声が復活したようだ。 「誤解……ねえ」 胡乱な目で見つめ、一矢は更に吐息を零す。 「まあ、お前に経済能力を求める方がどうかしてるんだろうけど。それにしても今月も赤字って、毎月の収支はどうなってるんだ? まさか、借金とかつくってないだろうな?」 その言葉に、ピクピクとプレスは頬をひくつかせた。一矢はその動きだけで、総てを理解してしまう。 「え!? 本当につくってるのか!? うわ、……マジかよ」 本来の目的も忘れ、一矢はこの経済能力ゼロの人間に、真剣に説教をしたくなった。 一矢が説教を始める前に、慌ててプレスが叫ぶ。 「先々月に船の補修をしたんだよ! 一時的に金庫が空になってるだけだ! 直ぐに借金もなくなる!」 「……ふうん、へー。でも今は貧乏なんだ」 ニタリと、目が笑った。 (ぎゃあ!? こいつまさか!) 何とも嫌な予感がした。 「札束で頬を叩けば、何でもゲロりそうだな」 一矢はいともあっさりと、血も涙もない事を言い放つ。 (……やっぱりそうくるか) ガクリとプレスは項垂れた。空の金庫が恨めしく思える。 |
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[253] 2007/04/15/(Sun) 22:06:22 |
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